中央環境審議会第16回総会議事録

日時

平成23年4月20日(水)

場所

三田共用会議所 大会議室B~E

議事内容

午後4時08分開会

○谷津官房長 それでは、時間が過ぎましたので、ただいまから第16回中央環境審議会の総会を始めさせていただきたいと思います。
 今の定足数の状況でございますが、事務局から。

○紀村官房総務課長 今の段階で16名の方の委員が来ておられまして、本日の予定ですと23名の方がお越しになるということでございますので、現時点で定足数を満たしておるということでございまして、総会は成立いたしております。
 なお、本日の会議は、「中央環境審議会の運営方針について」に基づき、公開としております。本日の総会は鈴木会長の強いご意向で開催することといたしました。
 まず、鈴木会長から、本日の総会について、思うところを含めて、ごあいさつ賜りたいと存じます。よろしくお願いいたします。

○鈴木会長 皆様ご承知のとおり、今、大変、日本はいわば、非日常的な状況を迎えております。これからまだ、事態が収まっていくのに日数も要するかと思いますが、こういう時期に、やはり環境省といいますか、あるいは環境に関わる方々が、一体どういう考え方で、どういうふうに国の将来を考えていくべきか、これはある意味では欠かすことのできない喫緊のテーマであろうと思います。
 そういうことで、大変皆様お忙しいことはご承知の上で、中央環境審議会の総会を招集させていただくことにいたしました。
 本日は短い限られた時間ではございますが、ぜひ委員の方々の思いも伺わせていただき、そしてそのご意見を踏まえまして、後ほどそのまとめを、環境大臣のほうにも提出させていただきたいと思います。
 まず、総会を始めます前に、今回、大変多数の方が被災されました。亡くなった方の数もまだ確定できないという状況でございますし、そしてまた、避難されている方々もたくさんいらっしゃいます。そういう方々へのお見舞い、そして哀悼の心を中央環境審議会総会として、黙とうの形で捧げさせていただくことをご提案したいと思います。よろしいでしょうか。
 では、黙とう。

(黙とう)

○鈴木会長 黙とう、直れ。ご着席ください。
 それでは、松本環境大臣、防災担当でもいらっしゃいますが、ご多忙のところおいでいただきました。ごあいさつを、まずお願いいたします。

○松本大臣 環境大臣、防災担当大臣の松本龍でございます。中央環境審議会第16回の総会にお集まりをいただいた皆さんに、まず心から敬意を表したいというふうに思います。
 日ごろから、環境政策につきまして、さまざまなご協力とさまざまな知見をいただいておりますことに、心から感謝を申し上げたいと思っております。
 今お話がありました、3月11日、午後2時46分の東日本大震災は、まさに地震と津波、そして福島での原発事故という複合災害という状況の中での今日の開催ということで、改めて被災された方々にお見舞いを申し上げながら、また、尊い命を亡くされた皆様に哀悼の誠を捧げながら、今日開会ということに臨んでまいりたいというふうに思っているところであります。
 この度の災害によりまして、今まだ被災されている方々は、避難所に13万5,000人ぐらいおられますし、また、避難所ではなくて、自宅に息をひそめておられる、避難されている方々にも大きな力を、これから私自身注いでいかなければならないと、新たに覚悟を決めているところであります。
 損壊家屋等々の撤去につきましても、いち早く、近藤副大臣、樋高政務官にしっかり取り組んでいただきまして、3月25日に指針を出し、また3月29日に、瓦礫の処理につきましては、全額国庫負担という方針を打ち出したところであります。
 石綿やPCB、さらにさまざまな化学物質の問題、あるいは、ペットの問題、健康の問題、いろんな、水や大気や土壌の問題をこれから扱っていかなければならないという中で、皆様のこれからのさまざまな科学的な知見もよろしくお願い申し上げたいというふうに思っております。
 去年の10月、そして12月、生物多様性と気候変動の大きな国際会議では、皆様方に力をいただいて、大会に臨んでまいりました。そういう意味では、改めてお礼を申し上げたいと思っております。
 いずれにしましても、この、災害からの復旧、復興ということに、これから皆さんと一緒に取り組んでいかなければなりませんし、まさに、3月11日という日から、それ以前の生活、そして、それ以後の生活ということが、これから大きく問われてくるだろうというふうに思っております。
 まさに、陸や海や空といった問題が大きく我々の前に課題としてありますし、また、3月11日の前の暮らし方、住まい方、社会のありようから、これからどう変化をしていくのかということも、大きなライフスタイルの変化ということ、そして、日本人の生き方ということを人類に示していかなければならない大きな課題が、目の前にあるというふうに思っております。
 今日、皆様方のさまざまな知見を拝聴する中で、これからの自分自身のかてにしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。

○鈴木会長 それでは、審議に入らせていただきたいと思いますが、本日は時間も限られております。
 まず最初に、この震災の発生以降、環境省がどういうようなことを具体的におやりになってきたのか、この説明を簡略にお願いいたしまして、そして、その後、委員の方々からご意見を伺うことにいたしたいと思います。
 それでは、官房長、お願いいたします。

○谷津官房長 はい。大臣官房長の谷津でございます。
 お手元の資料2をご覧ください。環境省の今回の対策でございます。
 まず、損壊家屋等の処理でございまして、2つ目が、今後のその復興のためのグランドデザイン、3つ目が、この夏、冬に向けた電力需給対策という三本柱でございます。
 1枚開けていただきますと、1つ目が、損壊家屋等の処理でございます。
 [1]が国から地方自治体への助成の特例と。基本的に全額国費で賄うという制度を今回は導入いたしました。
 2つ目が、体制の整備でございます。
 政府の中に検討会議を設けまして、一方、県では、県ごとに対策協議会を設立し、国が中心になって、あるいはその県を全面的にバックアップするような体制を講じたわけでございます。
 全国の関係自治体、関係団体に受け入れの協力も要請をして、具体的な受け入れの量、種類、これをまとめてございます。また、技術支援も行っていると。
 3つ目が、さまざまな技術的な措置、あるいはその法制上の特例措置、こういったものも講じています。
 次のグランドデザインでございますが、近藤副大臣から、各閣僚にはこういった中身でご説明をして、情報共有、政府として共有しているものでございます。
 今回、3つの方向でございますが、まず1つは、問題解決型の被災地の復興であろうと。また、産業構造の高度化を目指していこう。一方で、災害リスクに適応した国の再編、こういったものも必要になってくるであろうということでございます。
 具体的な対策例としては、総理も触れておられますけれども、地域のエコタウン化、また特性に合わせた、産業構造あるいは地域振興、国レベルでのエネルギーの需給構造の改革。これは単に被災地だけの問題ではないという観点でございます。
 次を開けていただきますと、電力需給。それぞれ、各委員よくご存じのようなメニューを並べて、しっかり取り組んでいきたいと。
 次の参考資料でございますけれども、家庭での問題、オフィスでの対応。参考3が省エネ、分散型電源の大量普及と。こういったことに、環境省として積極的に取り組んでいこうということでございます。
 次に資料3、具体的な環境省の対応でございますが、まず、損壊家屋等の処理でございます。詳細の説明は省かせていただきます。
 1枚開けていただきまして、3ページ目に環境放射線モニタリング。環境省は、バックグラウンドということで、離島など10カ所で放射線モニタリングを実施しまして、これを逐一公表している。
 3つ目が、アスベストの問題。
 4つ目が、一般的な意味での環境モニタリング。有害物質などのモニタリングでございます。
 5番目は、これ、かなりいろいろなところで議論されておりますが、被災ペットの問題でございます。
 6番目として、自然公園、国立公園等も大きな被害を受けておりまして、そういったものが地域の復興とどう絡んでいくのか。
 7番目が、電力需給への対応ということでございます。
 資料の4でございます。逐一説明は省かせていただきますが、1枚開けていただきますと、積算線量のグラフを付けさせていただいております。
 次が、放射性物質に係る関係法令ということで、ご案内のとおり、環境基本法では、具体的な数値については原子力基本法その他の関係法令で定めるということで、個別分野の規制法の体系からも放射線物質による汚染は除かれているといったあたりをご紹介してございます。
 2枚開けていただきますと、全体の原子力安全規制の法体系をつけさせていただいております。
 あとは、アスベスト対策、環境モニタリングの状況、また自然公園の被災状況。こういった資料を今日はご用意させていただきました。
 以上でございます。

○鈴木会長 ありがとうございました。
 松本大臣はこの後官邸で行われます被災者生活支援特別対策本部会議等にご出席にならなくてはなりません。ということで、16時40分……

○松本大臣 まだしばらくおります、向こうを……

○鈴木会長 しばらくですか、向こうを遅らせて。それは大変心強いです。最後までいらっしゃいますか。

○松本大臣 いや、途中で抜けます。

○鈴木会長 途中で抜ける。こういう機会でもありますので、最初に、特に大臣へご質問あるいはご要望等ございましたら、今の段階で伺いたいと思います。
 武内委員でよろしいでしょうか。では、武内委員、安井委員。

○武内委員 時間もないので、簡単に申し上げたいと思います。
 この大震災からの復興は、我が国にとっては極めて大きな挑戦ですが、私は、だからと言って、今までやってきたことを否定することはよくないと思います。
 例えば、"人からコンクリートへ"という、逆方向に向かう可能性もあります。私は、そうではなく、自然と共生する社会をつくるという形の復興計画をつくるべきだと思っています。
 エネルギーについても同じで、地域分散型、地産地消型の再生可能エネルギー開発を、復興計画の前面に出していくというような観点を強調していくことが非常に重要ではないかと思います。
 また、復興計画の中に、これまで提唱してきた持続型社会のイメージをきちんと盛り込んでいくという観点が必要ではないか。コンパクトシティの構築という話が出ていますが、例えば瓦礫を3Rに即して処理するとともに、それと自然再生をうまく組み合わせることで、瓦礫の利用が「復興の丘」の創生をもたらすといった、シンボリックな行事にもつながるような考え方をぜひとるべきだ思います。
 今回の震災の大きな特徴は、阪神・淡路大震災のような都市型の大災害と異なり、自然公園も含む農林水産業地域が非常に大きな被災を受けていることです。その点でいうと、昨年のCOP10で、私どもが提案し、松本環境大臣にも大変強い支持をいただいた、里山・里海の再生もぜひ、復興計画の中に入れていただきたい。
 こうした取り組みを通して、私たちが今までやってきたことを踏まえた新たな提案として、国内のみならず国際社会にも発信していけるのではないかと思います。とくに、COP10の成果、COP16の成果を踏まえて復興計画を考えていくのが、これまでの成果の継承ということになり、同時に新しい形の復興計画の提案にもなると思います。
 最後になりますが、私は今、自然環境部会長ですが、この地域は、ご承知のように、非常に風光明媚な地域です。その意味で、自然公園の再生や拡大も考えられるかもしれません。居住地域を少しコンパクトにして、コンパクトにした残りの空間を、積極的に自然再生をすることを通して、その地域の本来の自然環境の魅力を高めることにつなげ、それを長期的に見て、観光資源も含めた地域の今後の経済発展にもつなげていくことが重要ではないかと思います。
 現在、三陸海岸で「ジオパーク」が構想されていますが、それも、「震災の記憶」と合わせることにで、より有意義なものにしていくことができるのではないかと思います。
 私としては、ぜひそういう観点を、緊急の補正予算の内容に盛り込むことも含め、今後の環境政策の中に取り入れていただければ、大変ありがたく思います。
 以上でございます。

○鈴木会長 はい。
 では、安井委員。

○安井委員 ありがとうございます。まさに大変なこの時期に、今後の長期的、かなり長期間かかります被災復興、及び再構築、日本の社会の再構築を目指す場合に、1つ、本当に、今十分なアイデアというものがあるかどうかをちょっと伺いたいと思います。
 今日のこのグランドデザイン等を拝見いたしましても、確かにアイデアは散発的にいろいろなものが出ている。先ほど来エコタウンあるいはコンパクトシティーなんかもその例ではございますけれども、やはり、最終的に散発的なアイデアというものを1つのハーモナイズした形に構築して、組み上げていかなきゃいけない。こういう、その組み上げを行うときに、割合と専門家というのは、自分の知っている範囲は狭いという、そういう特徴を持っております。
 それに対しまして、また、もう一つ狭くする理由はやはり各省庁の壁でございまして、例えば、ここのグランドデザインの中にもいろいろ書かれていることがございますけど、そんなことを言うと、これは経産省的な話になりがちでございますが、そういった壁を乗り越えて、1つの総合的な形にハーモナイズした格好に組み上げていくというそのときに1つ伺いたいのですけど、割合と環境の専門家というのは雑学者でございまして、そして物事を割合と広く眺めるという、そういう訓練を積んできております。そのあたりを活用していただけるようなアイデアをお持ちかどうか、ちょっと伺いたいと思っております。
 以上でございます。

○鈴木会長 崎田委員

○崎田委員 ありがとうございます。
 震災の復興の担当大臣として、今、推進、努力してくださっているというのは、大変うれしいと思いますが、1つお願いが。
 震災の復興対応の中で、今、どこも瓦礫に埋もれているわけですけれども、そういうところの対応に関して、環境省がきちんと情報を出しながら、都道府県や市町村、そして廃棄物処理業界の皆さんと連携しながらきちんと対応をして、道筋をつくっているんだということを、広く社会に情報を発信をしていただいて、ああ道筋がきちんと立っているんだというような、1つの安心感を与えていただきながら進めていただければ、大変うれしいなと思っています。
 なお、そういう、今の対応の後に復興計画が出てくるわけですが、その復興計画の作戦には、やはりいろいろご意見があるようにエネルギー政策が大変重要になってくると思います。
 それで、原子力を含めた大きなエネルギーだけでなく、地域の未利用資源を徹底活用する分散型の電源をきちんと使って、まずそこを徹底して、地域づくりの核にしていくという視点が大変重要だと思っています。
 そのときに、じゃあ、地域の未利用資源は何だと考えると、例えば、自然エネルギーとか農業的なバイオマスだけではなく、地域の中の廃棄物処理の施設とか下水道施設とか、いろいろなものも全部考えた上で地域づくりをまず考えていくというような、地域の食・資源・エネルギー・水、それを共に考えた地域づくりをしていくという、そういうような総合的な視点に立って考えていくところを重視していただきたいと思っております。
 その際なんですけれども、やはり国の大きなグランドデザインの方向性、プラス、それぞれの地域の方々がその特性に合った地域の街をつくっていきたいという意志というものがあると思うので、そういう地域発の戦略をうまく組み上げながら、全体的な施策を一定の方向できちんと質を高めて推進していただくという、そういう総合戦略を国がぜひ立てていただければありがたいと思っています。
 なお、そういう被災地だけではなく、今、原子力の対応で、エネルギー消費地である首都圏の私たちも、本格的な節電対策とか、これを機会に本気でエコライフを推進していくという、単なる、日々のちょっとした取り組みだけではないライフスタイルの変換、あるいは働き方とか、時間設定とか、すべての変換が今求められているときだと思います。特に今年の夏は、そういう意味で大胆な提案をしながら、暮らしの中で、ただの我慢じゃなく、本当にきちんと生きていけるんだと、そういう流れを出していければなと思っています。よろしくお願いいたします。

○鈴木会長 では、河野委員。簡潔にお願いできますでしょうか。

○河野委員 大臣に質問があります。
 環境中の放射性物質についてのことなんですが、今回、先般レベル7ということがありました。これはなぜレベル7という表明だったかというと、環境及び健康への影響も大きいということが大きな1つの理由となっていると思います。
 ところが、ご存じのように、今までにモニタリングとかそういうのは、大半が文科省がやられている、あるいは東電が独自にやられているものが、それも最近は割と改善されてきてはいますけれども、環境省は全くかんでいない。いや、全くと言うと嘘で、実はここにもあるように環境放射線モニタリングの状況というのを一部やられていますよね。
 ところが、それはほとんどいわゆる北日本というか日本海側に偏った測定点だけですね。それはなぜなのか。今後、一部、環境省設置法、法体系で言うと原子力とか電力の扱いは全然別という法体系になっていますが、環境省設置法の中に一部そのようなものの監視・測定はできるという項目もあります。今後、このような大気だけではなく全般的に広い環境中の放射性物質の動向などについて、環境省はどのようにかんでいくか。あるいは、全然今までと同じように絡まないのかどうか。
 そこでもう一点、非常に大きい問題として、廃棄物の問題があると思いますが、これは、例えば、今の福島第一原子力発電所の周辺もそうですし、よくいろいろな人の言い分の中に出てくるので、土壌などがセシウムで汚染されていても表土だけは除けば大丈夫というような話もありますが、除いたそれはどういうふうに処理されるのか。
 福島原発の周辺だけではなくて、地下水、土壌も含めて、その辺の廃棄物処理は環境省の所管ですが、そのところ、どこまで環境省が今後関与していかれるのか、その辺のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○鈴木会長 では、佐和委員。

○佐和委員 結論を先に申し上げると、新聞等で報道されておりましたけれども、京都議定書が日本に義務付けた目標、1990年比、温室効果ガス排出量の6%削減は、今回の突発的な災害を受けて、免責といいますか、義務付けを緩めてほしいという要望が政府から国連に出されているとの報道がありましたが、仮にそれが本当だとすれば、そういうご都合主義は避けていただきたいと私は考えます。また、鳩山イニシアチブ、すなわち2020年に90年比25%削減も、福島原発がずっと止まったままでも、また原発の新増設が止まったとしても、十分達成可能だと私は考えます。なぜそうなのかについての細部は、時間の都合で申し上げませんが。
 今年の夏の東京圏の停電を避けるためには、もう数カ月先のことですが、節電の一語に尽きるのではないでしょうか、この建物でもエレベーターが止まっています。こうした努力の積み重ねにより、電力需要のピーク、午後1時から3時までのピークを20%ぐらい下げる。真夏のピーク需要は約6,000万キロワットと言われていますが、それを20%削減することは、大した苦痛を伴うことなく、可能性の範囲内にあると思います。
 私は関西に住んでいますが、関西圏で節電しても東京圏の停電回避の手助けにはならないのだから仕方がないのではとおっしゃる方が少なくありませんが、関西の人も企業も、ひたすら節電に励んでおります。日本全国で今節電をやれば、電力消費量の25%削減ぐらいは十分可能だというふうに私自身は思っております。政府には、ぜひ節電対策に力を入れていただくことをお願い申し上げます。
 以上です。

○鈴木会長 はい。一応ここまでとさせていただきたいと思うんですが、後でまたありますので。
 いろいろと、短期的な被災者への対応等は、環境省が十分にと言えるかどうかわかりませんが活動していらっしゃる。いろいろとご意見いただきましたのは、やはり長期的な、持続可能な国づくりをどうしていくのかというような点に関しての、例えば、環境省としても21世紀環境立国戦略というものを2007年につくっております。
 そういうようなものをちゃんとベースにして、どういう具体化をしていくかとしていくかというようなことがあろうかと思いますし、それから、エネルギー問題に関しては、当面の化石燃料へそのままシフトということではなくて、CO2削減、これは国際的な約束をきっちり守っていくためにどうしていくのかというようなことがあろうかと思います。
 放射性廃棄物の問題は、これは原子力発電所が環境省より前にできていたということもあるんだろうと思うんですが、今のような原子力安全管理の体制で本当にいいのかどうか。環境省はやはり国民の側に立って、ある意味では、生活環境、自然環境等々、社会環境を守っている立場でありますので、将来的にこういう原子力の問題、あるいは核廃棄物、さらには放射能によって汚染された環境、特に海水中へ、海へ放射性物質を含む排水が放流されたという大変なことがあるわけですが、そういうものに対して、環境に対して、環境省が一番ある意味ではノウハウを持っていることでもありましょうし、国民の側に近い立場で議論ができるところだろうと思います。
 そういうようなことで、ある意味では、もう議論の結論があるような、ないような段階まで来てしまいましたが、ぜひ松本大臣に、この機会ですのでご意見を伺えればと思います。

○松本大臣 これだけたくさんの皆さんの前で発言をするのは気恥ずかしい思いですけども、自分が感じていることだけちょっと述べたいというふうに思います。
 先ほど、3月11日の以前の生活と、それから以後の生活というのを、やっぱり社会のありよう、人間の暮らしようから考えていかなければならないというふうに思っています。
 今から100年以上前に外国から日本に来た人たちのいろんなことを書いた、「逝きし世の面影」という、渡辺京二さんの本がありますけれども、そういった時代に戻るのかということをいえば、なかなか、今の文明を甘受している中で、そういうことはなかなか難しいけれども、やっぱりその辺の人の暮らしのありようというのをもう一回見直す必要があるのかなということも、今、時々考えています。
 武内先生が言われた、これは時代、時計の針を逆戻しにすることは、"人からコンクリート"ということは絶対だめだというふうな話はそのとおりだと思いますし、持続可能、自然と共生する社会というのも大きなことだと思います。
 そして、先ほど思ったのは、私、「津波災害」という河田惠(よし)昭(あき)先生の本を、今年の1月17日にいただいて、実は読んでおりまして、そのとき一番記憶に残ったのは、「水は昔を覚えている」という津波の格言がありまして、今、千葉や茨城の液状化の問題、まさにそうなんですね。
 ですから、埋め立てをして、そこに家を建ててきた人間のありようというのが、まさに今、そこで問われているんだというふうに思いますので、やっぱりその辺のところも含めて、これから考えていかなければならないなと、実は思っているところであります。
 それと、復興のことは、私は今、頭の中に実はないんですね。ないというか、復旧というか、今、被災している方々、避難所におられる方々の見守りというか、そこでの生活を改善していく、まだ劣悪な状況であるのをまず改善をしていくのが私の役目で、しかも、避難所に行けない人たち、東北の皆さんは本当に何か粘り強い方々で、そういうところに行かなくて、ひっそりと暮らしておられる方々に対する見守り、医療や介護、福祉をやっていかなければならないということが、まだまだ、一番、自分自身の喫緊の課題であります。
 当然、復興ということであれば、地域のつながりとか絆、阪神淡路でアンケートで一番高かったのは、住まいではなくて、つながりだったんです。つまり、今までのつながりとか絆をしっかり守らなければならないという中で、復興を考えていかなければならない。
 先ほど崎田先生が言われました、地域の特性を生かした復興。まさに私もずっと、宮古から大船渡、それから陸前高田、南三陸、ずっと石巻、寒風沢島とか牡鹿半島も行きましたし、福島の南相馬も行きました。傷め方といいますかそれぞれ地域によって復興の度合いも違うでしょうし、また高台に行けばいいというふうに言われていますけれども、いや行きたくないんだという声も一杯あります。そういう中で、それぞれ地域の特性を生かした復興のあり方というのも、これからしっかり、下から上に積み上げていくやり方をしていかなければならないなと思っています。
 河野先生が言われた放射能の関係で言えば、実は私は、被災者生活支援本部の本部長でありまして、片山総務大臣、仙谷官房副長官がそばにいてくれて、今、がんがんやっていますけれども、放射能と――原発とはちょっと切り離れたところにいますから、さまざま、環境省がこれから取り組んでいかなければならないのは十分承知をいたしておりますし、この間やっぱり思いますのは、政治のありようと、官僚のありようと、学者のありようと、業界のありようが本当に何かこう、ニュートラルコーナーにそれぞれいなかった。つまり、政治と政府と経済産業省、原子力安全・保安院のありようが、もっときっちりしておかなければならないし、学者が原子力安全委員会ということで本当にニュートラルなコーナーにいたのかなということもありますし、そして東京電力と安全・保安院との関係がまさにやっぱり、きっちり切り離していかなければならない状況を、これから改めて構築をしていく必要があるんだろうと思います。
 放射能に対して環境省が絡むのか絡まないのかということは、後ほど皆さんと議論していきたいというふうに思います。
 佐和先生が言われた、京都議定書の問題であります。これは私ども人類共通の課題でありますから、少なくとも温暖化対策にきっちりとした決意で取り組んでいかなければならないということも、私たちはこれから言い続けていかなければなりませんし、ある意味では、国内法の整備はこれからCOP17に向けて、11月、12月の南アフリカに向けて、日本がしっかりとした国内法を持っていなければ、まさに厳しい状況になるだろうということも含めて、これからしっかりとした対応をしていかなければならないというふうに思います。
 このごろちょっと思うんですが、やっぱり、少なくとも環境省というのは、覚悟がこれから要るというふうに思っています。覚悟をしっかりしながらやっていく。つまり、石原都知事がよく、パチンコは夜中にしなさいとか自販機とかいうふうな問題を言われましたが、まさにそれを上回るような提案というか、さまざまな課題をしっかり国民に提供していくのが、環境省のこれからのありようが問われると思っております。
 私自身の知見はあまりありませんけれども、それぞれ環境省そして中央環境審議会の皆さんの知見を集めていただいて、議論をこれからしていただきたいというふうに思っています。
 以上です。

○鈴木会長 ありがとうございました。
 現場をご覧いただき、また具体的ないろいろなことに直面しておられるところで、長期的な復興というのは、確かにまだ先のことかもしれませんが、同時にまた、いろいろ政府としていろんな形の計画が動き出してしまうと、本来あるべき姿にたどり着くかどうかという問題もあろうかと思いますし、復興というのは、ある意味では東北地域だけの問題ではなくて、オールジャパンで、私たち自身も生き方を変える、新しい国づくりをしていかなくてはいけない。そういうようなこともあろうかと思います。そういう意味で、今後、政府としてどういう体制でおやりいただくのかというようなことも含めて、おいおいお伺いしながら進められればと思っております。

○松本大臣 今、それぞれ、武内先生、安井先生、崎田先生、河野先生、佐和先生が言われたことはちゃんと書きとめておりますので、私自身も同じようなスタンスでおりますから、復興構想会議の中でもこのことはしっかり申し入れをしておきたいというふうに思っております。

○鈴木会長 ありがとうございました。まだ……

○松本大臣 大丈夫です。

○鈴木会長 そうですか。
 それでは、ここで、委員の方々のご意見をいただく前に、おいでいただいております近藤副大臣それから樋高政務官から、ご意見をいただきたいと思います。

○樋高政務官 続けていただいて。どうぞ……

○松本大臣 いや、私はいるから。

○樋高政務官 大臣がいらっしゃるうちに。

○鈴木会長 ええ。じゃあ、大塚委員、それでは――これ、切りがなくなりそうですが、よろしいですか。

○大塚委員 よろしいですか。さっき河野委員が言われていたことにかなり近かったので、またちょっと同じことを、似たようなことを言うことになってしまいますけれども、今回の大震災に伴う原発の事故というのは、原発の事故が、恐らく今、最大の環境問題になってしまったということだと思います。
 もちろん、東電に責任があることは疑いないのですけれども、既に経済産業大臣も言われているように、津波の関係で耐震の指針等にも問題があった可能性があるということだと思いますが、原発に関する今までの耐震の指針等を含めた、何が問題だったかということの検証は、ぜひしていただく必要はあると思いますし、されることになるだろうと思います。
 その中で、既に先ほど大臣がお答えいただいた中に入っておりましたけれども、原子力安全・保安院の問題で、特に私がこうじゃないかというふうに思っているのは、やはり原子力に関する開発のところと規制のところが、同じところ、省がやっていたということが、何かの問題があった可能性があるのかなと思います。これも、推測ですので検証していただく必要があると思います。
 それから、もう一つの問題として、これも河野委員がおっしゃっていたことと関係しますけども、放射性物質によって汚染された土壌の管理はどういうふうにされるか、これから決まることだと思いますが、ある程度の時間がかかる可能性も出てくるかと思います。
 そういう意味では、いずれにしても、環境担当官庁がこの最大の環境問題になる放射性物質の問題に関わるというのは、国民感情としてはかなり納得のいくところではないかという感じもいたしまして、ぜひその点についても、これは立法の問題とか法律の改正の問題とかになってしまいますけれども、ご検討いただけるとありがたいというふうに思っております。
 以上でございます。

○鈴木会長 はい。
 では、浅野委員、浅岡委員でよろしいですか。

○浅野委員 長期的な話としては、中央環境審議会は、前から2050年に我が国の温室効果ガス排出量を80%削減することを目指して、ロードマップを検討してきているわけで、それなりにきちっとした整理ができつつあるわけですが、そういったようなこれまでの検討の結果が、今度の災害復興の中でぜひ生かされていくべきだろうと思います。
 インフラ面での整備なしに、ただ単に国民や事業者の心がけや節電の努力のようなものだけで、80%の削減ができるはずがないわけです。低炭素社会のためのインフラは、ある意味では全国全部、津々浦々でできなくても、できるところできちっとやっていくということからはじめることが必要であるとするならば、災害復旧についてもそれが単なる原状回復に終わらないようにすることが必要でありますので、やはり、2050年の目標というところを見据えた施策を考えにいれて、復興の方針が立てられるべきだろうと思います。
 あと2点は、少し短期的な課題でありますけども、災害廃棄物に含まれるアスベストに関しては、既に環境省で十分な検討と対策を考えておられるということがわかりましたので安心したわけですが、これだけの対策をきちんとやろうとしていることが、早く現場の市民の方々に伝わることが必要だろうと思います。といいますのは、一般環境でアスベストにばく露された方への健康被害が、遠い将来、例えば40年後に出てくるようなことがありますと、当然、現在の環境省所管の法律で救済をしなくてはいけないということになるわけですが、何しろその段階で因果関係が極めてはっきりしない事象への救済の世界に入らざるをえないわけです。今の段階でちゃんと対策がとられているということが明確であれば、40年後の不安というものも解消できるだろうと思いますけれども、ここでの対策があいまいなままにしておきますと、40年後にさっぱりわけがわからないというようなことが起こってしまって、大変な問題になると思いますし、今、アスベスト救済のために費用負担をしておられる方々も、これ以上新しく被害が出ないということを前提で納得しておられるわけですから、次から次へと被害が出てしまう、あるいは本当に被害かどうかよくわからない、ボーダーラインのところの人たちが出てくるようなことがないように、しっかりした対策が必要だろうと考えます。
 もう一点だけございます。アセスメントについては、災害復旧に関しては特例を設けるということになっていて、既にそれはやむをえないので規定を適用するということになっているのですけれども、そうだからといって、これは、災害復旧に際して環境に対する配慮が全く要らないということではないわけで、今までのような細々した手続きは必要ないということを言っているだけでありますから、環境配慮については可能な限り適切に行われることが必要だろうと思います。
 さらにまた、自然エネルギーの導入ということがエネルギー供給に関しての緊急の対策としても、将来の課題としても、改めて必要であるということはよくわかるわけですが、その議論の中でちょっと気になりますのは、アセスをやれば2年もかかる、というような議論が時々出てまいります。しかしこれはおかしいと思います。
 もちろん、2年もかけてアセスをやるべきであるかどうかということは、本来のアセスメントの趣旨から言っても、違うだろうと思います。例えば、フル装備ですべての項目を調査しなければいけないような電源と自然エネルギー利用の電源というのは、当然調べなきゃいけないことが違うわけですから、何もかも全部調べなきゃいけないというような発想で2年かかるとか、何億かかるというような議論がおかしいと思うわけで、本来あるべきアセスの姿というのは、本当に問題、環境上に負荷をかけることについては、きっちりあらかじめ見ておくということです。この際、自然エネルギーの導入については、アセスが不要というような議論にならないように、ぜひお願いしたい。ただし、アセスはできるだけ合理的に短時間に、本当に必要なことがきちっとできるということを、モデル的にも実行していくいいチャンスだろうと思います。

○鈴木会長 浅岡委員。

○浅岡委員 まず、アセスの関係で、本日、やはりどういう解釈で、このような方法をとったのかについて、資料が配付されるべきだったのではないかと思います。アセスメントを緊急の火力発電所については免除しましょうということ。確かに必要なこともあろうかと思いますけれども、緊急避難の要件に当たるような、あるいは、ある意味で相当性というものは本当に重要なことだと思いますので、環境省から、そうした、火力発電所がここで安直に認められるということがないように、そこのチェック、あるいは、非常に効力の悪い火力発電所が復帰するということがないように、見ていただきたいと思います。
 それから、先ほどのご説明の中で、今回の震災の復興につきまして、震災地だけではなくて、もっと日本全体の問題として捉えるべきだと。これはとても重要な指摘だと私は思っています。
 原子力発電の問題が多々あります。福島も大変大きな問題ですけれども、全国各地にそうした同じような条件下にある発電所、原発がたくさんあるわけでありますし、書かれていますように、東海地震、東南海地震が本当に近づいているという中で、そういう意味で今回の対策がしっかりとられていくことが、今後ほかの地域で起こってくることにも対応できるという発想のもとに準備をする、そういうような位置づけが必要だと思います。
 もう一つの観点は、原子力につきましては、もう、何といいましても、現状で新増設とか、今停止中の原発は、簡単に再開されるということはとてもできない状況にはありますけれども、この問題、そういう認識が広がっていると思いますけれども、こうした、原子力あるいはエネルギー問題と温暖化問題というものを繋げた議論というものが十分なされていないと思います。ですから、原子力にかわって石炭開発をこれからやったほうがいいじゃないか、つくればいいじゃないかという議論になってきています。
 対策として持続可能な社会を目指すとすれば、地域の復興も共通の対策、共通の発想だということから、温暖化問題をあわせてここで議論すると。先ほど大臣からおっしゃっていただいたことはそのとおりだろうと思います。
 そういう目で京都議定書への対応というのも考えていかなくてはならないと思います。まさに地盤が、これだけ1メートルも地面が沈下しますといいますと、温暖化で100年後に起こる海面上昇と同じことがあの地域に起こっているということでありますし、それは全国に起こると。海面上昇が起こる、温暖化の影響が何なのかということが目に見えているというようなこともあります。
 もう一点、最後にロードマップの関係でありますけれども、残念ながら、これまでの環境省のロードマップも国の方針がそうでありましたからと思いますが、大きく原子力発電所の増設と稼働率を上げていくということを前提にしたものになっております。ここはやはり、見直していかざるを得ない問題だろうというふうに思います。
 その点は、決して目標を見直すということじゃなくて、そうした中身についてはやはり現状に則して、具体的に取り組まなければならないというふうにお願いしたいと思います。

○鈴木会長 では、佐藤委員。

○佐藤委員 はい。それでは、2点申し上げたいと思います。
 第1点目は、私、地震のときには東北大学におりましたものですから、被災地にいた1人として申し上げたいんですけれども、大方針を早く立てていただいて、現地にはきめ細やかな対応をしていただけるようにお願いしたいと思います。
 そういう意味において、廃棄物の処理は100%国費でということを決めていただいたのは大変よかったなというふうに思っておりますけれども、廃棄物の処理、いわゆる瓦礫の処理の中で、所有権が問題になってなかなか進まないというような話も聞いておりますし、そういう話は伝わっているんだろうと思いますけれども、そういう大きな問題に対しても、国が何らかの対応をしていただけると、多分、地方で非常に助かるんだろうというふうに思っております。
 それから、第2点目は、先ほど浅野委員からもお話がありましたけれども、震災のいろいろな処理に関わる健康問題。アスベストだけでなく、PCBであるとか重油であるとか、あるいはヘドロ自身というのもあって、伝え聞くところによると、ヘドロが原因だろうということで、レジオネラというような珍しい肺炎が出てきたりしてきているようです。そのときに大事なのは、多分、廃棄物を処理する作業者から一般住民まで幅広くケアするような体制が必要であろうと思うんですね。
 特に、廃棄物の処理などに関しては、ボランティアの方々が入ることもあって、その方々が作業者であるのか一般住民であるのかという区別がまた難しくなるようなこともありますので、その辺まで目配りをして、健康問題についても対処していただけるようにお願いしたいと思います。
 以上です。

○松本大臣 ちょっと一言。廃棄物の処理ですけども、1つ、皆さんにご理解いただきたいと。これ、言い訳でも何でもないんですが、16年前の1月17日の阪神淡路の都市計画の事業が行われた面積は2.6平方キロメートルです。今度は、青森から福島、千葉、茨城等々含めて、市街地だけで90平方キロメートルです。浸水だけでいうと、もっと、400平方キロメートルくらいあるというふうに思っています。つまり、全然、阪神淡路と規模が違うということだけはご理解をいただきたいというふうに思います。しかも、まだご遺体が瓦礫の中にありますから、重機でガガガッという、一遍に処理をすることができない状況の中で、今、瓦礫処理を、樋高政務官初め、廃リ部の皆さん、もうほとんど夜も寝ずに頑張っておられるということで、これからも努力は続けていきますけれども、そういう、全然違う災害である。しかも、一方で、先ほどから出ておりますように、福島の原発がある、風評被害もある、節電もあるということで、かなり、三重、四重の複合災害が、今、自分たちの目の前にあるということはご理解をいただきたいというふうに思っております。
 ですから、いつも、私も、今日も委員会、昨日も委員会、明日も委員会があって、遅い、遅いとずっと言われておりますけれども、一生懸命やっております。
 それから、先ほど言われた健康問題は非常に重要なことで、私、3月11日の夜中に、みんなに、危機管理センターの中で指示したのは、津波は感染症と伝染病がかなり厳しいということを厚生労働省にその日に伝えました。ですから、その対策はずっと彼らもやってくれているというふうに思いますけども、いずれにしても、今、医療と介護と福祉が、避難しておられる方々に張りつかなければならないということは、これからもずっと大きな、中期的な課題だと思っています。
 次、ちょっと行きますので、これで失礼いたします。

(松本大臣、退席)

○鈴木会長 はい。大変お忙しいところをありがとうございした。
 それでは、近藤環境副大臣、樋高政務官にごあいさつをお願いしたいと思います。

○近藤副大臣 本日は、本当に、お集まりをいただきまして、熱心なご議論を、また貴重な提言をいただいておりますことを感謝申し上げたいと思います。
 今ご紹介いただきました、環境副大臣を務めさせていただいております、近藤昭一でございます。
 今回の大震災でございますが、今、松本環境大臣・防災担当大臣からも話がありました。本当に広域にわたる、本当に大きな被害をもたらした震災であります。
 ただというとあれですが、よく未曾有の大震災であり、想定外であったとか、1000年に1度という言葉があります。私は、もちろんそうなのかもしれませんが、あまりこういうことを1つの言い訳にすべきではないという思いも、同時に持っております。ただ、松本大臣からも今ご指摘にもあったように、大変に大きな地域にわたり、大きな被害をもたらしたということも事実であります。
 ですから、私はそういった意味では、多くの方が亡くなられ、そして今なお多くの方が被災をされている、謙虚に、この震災の被害、そしてまたここで起こったこと、先ほど来もご指摘あるいはご質問いただいていることを、しっかりと検証し、亡くなられた方、また避難をされている多くの苦しんでおられる方々のためにも、またすべての人々のためにも、しっかりと見直すべきところは見直し、そして今後に生かし、そしてまた、現在、目の前にある課題を克服していかなくてはならないというふうに思っております。
 そういう意味では、これも先ほど来ご指摘をいただいておりますが、この国の環境を守ることは環境省の仕事だと。こういう、国民の皆さんの、また多くの皆さんのご期待をいただいているわけであります。ただ、一方で、そのことに対して、必ずしも十分な仕組みができていないというところも、私は事実ではないかというふうに思っております。そういう意味では、しっかりとこのことを受け止めていかなくてはならないと思っております。
 今、大臣からも少しご紹介がありました、復興構想会議というものができて、今後に向けて、また今、目の前にある課題、そしてその中に、環境省としての取り組まなくてはならない課題もあるわけでありますが、こうしたことに、目の前にあること、そしてまた中長期的なことについて、構想会議、またはさまざまな場面で、皆さん方の知見を、ご指導もいただきながら、しっかりと対応してまいりたいというふうに思っております。
 改めて環境省としての立場を申し上げさせていただきますと、これも、ちょっとくどい言い方になりますが、先ほど来もご指摘をいただいております、目の前にある課題、被災者復旧、復興に向けた課題に、しっかりと取り組んでいかなくてはならないということ。そして、これからは、本当に、被災をされた方が未来に向けてしっかりと希望が持てるように、また、これは地域だけの問題だけではないというふうに思っております。東北地方が抱えてきたさまざまな課題を、これを機にまた克服をしていかなくちゃいけない。やはり過疎地であった。もちろん、そこで多くの方々が一生懸命生きてこられたわけでありますが、そうした東北地方が持ってきた1つの課題、これも視野に入れながら、そして一方で、やはり、日本が抱えてきたという問題もあると思います。それぞれの委員の方からもご指摘をいただいたこと、私は改めて思うわけでありますが、環境を守っていくということは、1つの生き方、我々のそれぞれの一人一人の生き方、哲学であると思います。
 そういう意味では、日本が持ってきたいわゆる化石燃料等々のこうした資源が少ない、限られた国土である、こうした日本が持ってきた課題、脆弱な課題というものも、この機にしっかりと取り組んでいく。目の前にあることを、また地域が抱えていることを、また日本全体が抱えていること、こうしたことを総合的にしっかりととらまえて、しっかりとしたグランドデザインをつくっていかなくてはならないと思っておりますし、このことにまた、委員の皆さんのご指導とまたご知見をいただきたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○鈴木会長 ありがとうございました。
 次に、樋高環境大臣政務官、お願いします。

○樋高政務官 環境大臣政務官を仰せつかっております、樋高でございます。先生方、今日は、本当にお忙しいところ、ありがとうございました。
 今回の震災に当たりまして、環境省におきまして災害廃棄物対策特別本部長を仰せつかりまして、私自身はやっぱり、答えは現場にあるだろうと思いまして、現地に今まで7回、足を運んでまいりました。新聞、テレビでわからないことは、大分わかりました。例えば、新聞、テレビでわからないことといえば、やっぱりにおいでございます。廃油のにおい、あるいはヘドロのにおい。今はまだ冬場ですから、そんなに大きな感じではないんですが、ただでさえ、今、生活が大変困難であろうという上に、これから夏場になりますと、ますますにおいがひどくなるだろうということをかんがみたときに、ヘドロなども含めた、災害廃棄物の迅速かつ円滑な処理が必要であろうというふうに感じてきたところでございます。
 今回、本当に尊い犠牲が払われたわけでありますけれども、私が特に思いましたのは、今回を1つのきっかけとして、ライフスタイルを転換していく。人と自然との共生に一歩進んでいくということなのかなと思っておりますし、環境省の1つの腕の見せ所の場面だろうというふうに私自身は思っております。私自身も、国民の皆様方から、環境省あるいは環境政策に期待しているものが大であるというのを、本当に、現地に入りましたときにも肌で感じてきたところでございました。
 今日は、先生方の英知をぜひともいただきまして、今後の施策に反映させていただきたいというふうに思っております。
 副大臣と私と残って、今日の後半の議論もいただいて、また大臣のほうにもしっかりとお届けをさせていただきたいと思いますし、先ほど総政局長のほうから、アセス関係の資料もこの会議が終わるまでに配付をさせていただけるという段取りにもさせていただきました。よろしくお願いします。ありがとうございます。

○鈴木会長 ありがとうございました。
 それでは、大臣は次の会議にお戻りになりましたが、先ほどの環境省からの説明も含め、いろいろまた、先生方からご意見をいただきたいと思います。
 これまでのご議論で大体おわかりと思います。皆さんも同じお考えではないかと思いますが、やはり短期的な瓦礫の問題等も含めて、被害に関する、被災者等々の対応等も含めた、当面の問題、それから、長期的な復興計画を具体的にどういうふうに考えていくのか。
 そこにおいてやはり、エネルギーの問題なんかをどういうふうに位置づけていくのかという2つ目の問題。
 それから、3つ目の問題として、福島原発に伴いまして、私たちとしては、ある意味では初めてのケースということになりますが、放射能汚染に関して、今の法体系では環境省がなかなかそういう意味では取り組めないという状況も含め、今後どういうふうにしていくべきか。
 原子力の安全管理それから推進、こういうところの体制もどうしていくか。これは、ここだけの問題ではなくて、国全体として考えていかなくてはいけない問題だろうと思いますが、当面、環境中に放出された放射性物質に関しましての対応を考えるとしたら、これはやはり環境省が考えざるを得ないというようなことは、国民の期待するところだろうとも思います。
 大体その3つの点につきまして、最終的には整理をさせていただいて、大臣のほうに後ほど上げさせていただきたいと思いますが、委員の方々からご意見をいただければと思います。
 先ほど、名札を挙げていただきながらご発言いただきませんでした、最初に挙がっていたのは多分中杉委員ではないかと思いますので、中杉委員、中村委員、それから田中委員、橘委員というふうに回ってください。

○中杉委員 ありがとうございます。今回の問題に関しては、緊急時にやる対応と将来的な問題、副大臣も言われたように、2つのところに分かれてくると思うんですね。
 緊急時の対応というのは一応やられているというふうに思いますけれども、緊急時の対応で1つ問題になるのは、やっぱり、放射性物質の話はどうするかという話になろうと思います。この放射性物質の話については、特に、私が土壌部会を承っていますので、土壌のことが気になるわけですけれども、これについては、環境省が独自に何らかの判断基準を出して発表するということ自体は、非常に混乱を招くことになるだろうというふうに私も理解しています。そういう意味では――そうではありますけれども、今、原子力安全委員会、文科省あたりで出しているものに関して、どういうばく露経路というものを考慮しているのかというのが、よく見えてこないところがあります。
 これ、放射性物質の場合は、私は専門じゃないのでよくわからないところもありますが、直接ばく露の話がありまして、それから内部ばく露の話があります。内部ばく露については、飲料水とそれから食品、野菜、水産物、それが問題になって、盛んに議論されているところでございますけれども、土壌を直接口に入れる、あるいは舞い上がった土壌を吸い込むという経路を、環境省は従来やっている、土壌汚染対策としてやっているところでございます。その辺のところでどのぐらい問題があるのかというのを、環境省としては少し計算をしてみる必要があるだろうと。
 私は単なる数字の遊びみたいなことをやってみたのですが、通常の汚染、普通、土壌の場合、子供がたくさん、大人よりもたくさん口に入れるということがありますので、ちょっと気になるんですけども、ざっと計算をしてみたところでは、水道水で摂取するよりは少し低いレベル。今まで一番高い濃度と言われているところでも水質基準の水道水から摂取するよりは、少し低いレベルにあるだろうと。農作物を食べる場合の基準である5,000ベクレルという数字と比較すると、乳幼児の飲料水でされるものの、1%ぐらいではないだろうかというふうに考えています。
 これは、私が計算したのが正しいかどうかというのはまた議論をしていただく必要があるのですが、ただ、もう一つ問題になるのは、子供は土を食べてしまう。これを1日に10グラム食べてしまうということがあります。そうなると、かなり多量になる。その辺のところをどう評価するかというところが、1つ、問題になってくると思います。
 そういう意味では、文部科学省のほうで、今日も学校の校庭でどうのこうの、砂場でどうのこうのという議論をされておられました。そういうところで、そういうふうなばく露経路があるんだと、想定をする必要があるんだということは情報提供をしていく必要があるだろうと。それを踏まえた上で議論をして、決めていただく必要があるだろうと。それは国全体として考える上で、1つの問題として、情報提供を既にしておられるかもしれません、そうであれば結構ですけれども、環境省が本来持っている知見としては伝えておく必要があるのではないだろうかというふうに思います。
 それから、長期的な問題は、実際には、今の瓦礫を処理する問題が終わって、復興して、今度新しい土地を作る。この土壌の話に絡めて言いますと、例えば、噴砂が吹き出したところがあります。そうすると、土壌汚染の対策をやった後に、下に封じ込めているのが噴き出している可能性がある。これは直ちに調べてそれをどうこうするという話ではないですけれども、そういうものに対してどういうような対応をしていくのかというふうなことを、少し今の段階から考えておく必要があるだろうと。
 復興のときに、いろんな問題、環境問題について、どういう問題がリスクとして生じるのか、そういうものを想定しておいて、それに対してどういう対応をしていくのか。これは土地所有者とか事業者の方にあまり過大な負担をかけるのは適切ではありませんので、どういうような対応をしていくのかというのを、今から勉強していく必要があるだろうというふうに思っております。
 それから、もう一つ非常に重要なのは、今回も水と地下水の調査をしていただきますが、長期的に問題になってくるのは、海洋の底質の問題だとか、そういうふうなものの調査が必要になってくるだろうと。
 これは、今、緊急時にやる調査ではなくて、継続的に調査をやる。2段階でそういうふうな環境の状況をしっかり把握することによって、安心を提供することが重要であろうと考えております。
 以上でございます。

○鈴木会長 はい。
 では、中村委員。

○中村委員 はい。ちょっと、具体的に2つほど申し上げたいと思うんですけれども、1つは、政府を挙げて節電対策、もちろん今、国民もしているんですけれども、今日いただいた資料の中に、例えば、照明で節電するということで、LED等で照明の方法を変えていくということを政府のほうで行っていくと。恐らくこれは、政府の中の予算でされると思うんですが、実は、私も保育所をしておりまして、そこでLEDに変えたらどのくらいの金額予算が必要かというので、ちょっと調べさせたところ、全部で1300を変えなきゃいけないというデータが出てまいりました。金額的には、改修費で7,000万円と。とてもこれは一企業で変えていく規模ではないんですね。
 したがって、例えば、節電をLEDに変えていく、少し瞬発力を高めるために、そういったことを法人所得税から減免させるとか、その辺の、環境省が直接統括ではないとは思いますが、そういう、具体的に推進できるようなアドバイスを関係省庁にしていただけたらというふうに考えるのが1つ。
 もう一つは、ちょっと私、特区の評価専門委員をやっているのですが、今まで本当に特区というものをつくっても、なかなか遅々として新しいことが進まないという現実を見てまいりましたが、そこで、ぜひ今回は、こういう事態ですから、環境省が後押しをして、自治体に環境特区というのをつくっていただいて、法律の整備を待つまでもなく、そこの中でエコタウンをつくっていくとか、そういった形で地域の特性を生かしながら、スピードを持って復興につなげていくということもできるのではないかということで、ちょっと意見をさせていただきました。
 以上です。

○鈴木会長 はい。
 では、田中委員。

○田中委員 はい。田中です。廃棄物・リサイクル部会の部会長をやっていますので、廃棄物とそれからエネルギーの問題について、ちょっと考えてみたいと思います。今回の状況の中で、ごみ処理が電力不足の解消に貢献できないかという観点です。
 現在、ごみの処理で発電出来る量が大体150万から160万キロワットの発電能力が整備されておりますけれども、実際は90万キロワットの実働だと思います。それは原子力発電所の1基分に相当します。ところが、エネルギー回収を重点的に施設整備していないために、小さい焼却炉がたくさんあって、それで、欧米に比べると発電量が非常に少ないと言われています。
 環境省は、2012年度において250万キロワットという施設整備の目標を掲げておりますけども、もう少し加速して実行していただければと思いますが、今の状況を見ますと、その目標は達成できないのではないかなと危惧しております。
 そのために、廃棄物のリサイクルという点では、物質として回収するものとそれからエネルギーとして回収するものと分けて、汚れたプラスチック類は積極的にエネルギーとして回収する。そして、施設を大きくして発電効率を高める。
 売電量を増やすために施設内の利用比率を少なくする事によって、ちょっと試算すると、目標250万キロワット以上が整備されれば、生活者、家庭用の電力の需要量の10%ぐらいまでごみ発電でカバーできることも夢ではないというふうに思います。そういうことで、長期的には、ごみ、廃棄物のエネルギーを最大限に活用する施策を展開していくことが求められると思います。
 それと同時に、電力会社にとって、電力の需要のニーズに合った焼却施設の運転、ピーク時に合わせた発電が必要であれば、そのような運転もできると思いますので、今の国難を解決するのに少しでも貢献できるのではないかなと思います。
 そういう意味では、災害廃棄物の処理においても廃棄物の有効利用をするというのはもちろんですけども、日本には廃棄物を処理するために整備された施設がたくさんあります。特に、ごみ発電施設は、予備炉的なものがあって、ゆとりがある部分を最大限に活用するということで、谷津さんの説明では、地方自治体の協力を求めているということは、非常にいいことだと思います。
 特に、関東地方で電力を起こすことができる施設を利用して、1キロワットでも余分の電力をつくるように、災害廃棄物の可燃性の廃棄物を活用すべきであると思います。ということで、長期的なというのと、災害廃棄物の観点から、そのように提案したいと思います。
 以上です。

○鈴木会長 橘委員。簡潔にお願いできますでしょうか。時間が限られております。

○橘委員 環境省が大変ご苦労されているのはわかりましたけれども、先ほどの放射能のモニタリングが例えば文科省でやっていたとか、そういうので、あれっ、環境省はなぜやらないんだろうというような、素朴な疑問があります。
 それから、結論から言えば、これからいろいろやっていく上で、各省庁一丸となってやらなきゃいけないんですけれども、やっぱり、役割分担をはっきり我々国民にわかるようにしていただきたい。特に、環境省はこの辺を分担するんだと。各省庁がバラバラじゃもちろん困りますけれども。それで、例えば、エネルギー問題などというのは、環境省だけではなくて経産省も非常に絡んでくるでしょうし、それから、"コンクリートから人へ"といっても、やっぱりしばらくはインフラの整備に、また、力も注がなきゃならないと。例えば、国交省との関係がどうなるのかと。その辺をビジブルにしていただきたいということがございます。
 それから、ローカルでやらなければいけない問題と、やっぱり、広域あるいは国家的にやらなければいけない問題。例えば、電力の問題なんかになりますと、これ、ローカルといっても、すぐ、自然・再生エネルギーの利用ということになるんですが、例えば風力発電なんていうのは、電力というのはご承知のように、もう瞬間的に使わないと意味がないわけで、そのままでは蓄積できないわけですから、やはり、あまり自然エネルギー、再生可能エネルギーにすぐ頼ろうという楽観的な考え方ではなくて、かなり、これはネットワークを組まないと使えないもので。ヨーロッパなんかでうまくいっているのは、そういう、1つの国の単位ではなくて全体でネットワークを組んでいるからという話を聞きますので、日本でもやはり、ローカルと非常に広域の対策、両面で考えていかなきゃいけないんじゃないかと。
 以上でございます。

○鈴木会長 はい。
 佐藤(友)委員。

○佐藤友美子委員 先ほど、会長がおっしゃったように、やっぱり環境省というのは国民のサイドに立っていると、国民は思っているんですけど、今回に関してはあまりそういう声が聞こえてこないというか、どういうことをやってくださっているのかがなかなか見えてこないなというのを思いました。先ほど副大臣からもあったように、仕組みの問題があるからそれがなかなか難しかったということですけど、やっぱり仕組みを変えていくときですので、今までの枠組みにとらわれないでぜひやっていただきたいなと思います。
 それと、里山イニシアティブとかで、随分、国民の生活レベルの提案を環境省はしてこられたと思うんですね。今回、自然の脅威というのを非常に感じたわけですけれども、今日も朝、ちょっとテレビでやっていましたけど、裏山に逃げるためのちゃんと用意をしていたところは助かったという、皆さんが助かったというような旅館もありますから、やっぱり、小さな、自然とともに生きる知恵というんでしょうか、そういうものをきっちりみんなが思い出すというんでしょうか、やっていくことがこれからもっと。大きなところではもっと違うことがあると思いますが、小さな個人レベルでもいろいろできることがあるということを訴えていただきたい。
 それと、さっき政務官からにおいのお話がありましたが、マスコミで行った人から聞いても、すごいにおいだという話がありました。環境省というのは、五感でいうところが強いところだと思いますので、それは必ずしもマスコミであまり言われていないところかもしれませんけど、人間の生きるそういう環境ですので、そこについても積極的に発言をしていただけたらと思います。
 以上でございます。

○鈴木会長 はい。
 リピーターの方は後にさせていただいて、岡田委員。

○岡田委員 水環境部会長として、放射線の問題について一言申し上げたいと思います。基本的には中杉先生が土壌環境部会長としておっしゃったこととかなり近いというか、同じだと思います。
 今の仕組みではなかなか放射線を扱えない。これはよくわかるんですが、今の仕組みで、少なくとも国民の安全というか安心が担保されているとは思えない。ということは、今の仕組みがある意味では破綻しているというふうにみなさざるを得ないというふうに思います。
 それと、農作物、水道のほか、それから水産物も最近つくるようですが、そういうものがバラバラにできていて、それぞれのものに入ってくる放射性物質は、水、土壌、それから底泥、それぞれ全部、関係しているわけですね。そういうことに関するノウハウというのは、環境省が多分一番持っている。それをきちんと説明すれば、国民の安全、安心が担保されるというふうに思います。
 そういう意味で、国民に近い環境省が最後に何をするか。今の仕組みで本当に全体像がきちんとできているのかどうか。文科省それから経産省、農水省、厚生労働省がやっているんですが、それが矛盾なくできているかという、最低限の検証ぐらいはしていただいて、それで何か問題があればこれはだれにあるかという、多分、環境省がせざるを得ないだろうということで、ご検討をお願いしたいというふうに思います。
 以上です。

○鈴木会長 では、坂本委員。

○坂本委員 今まで出てきたところと大分重なるんですが、環境省の場合ですと、例えば、酸性雨というような形で、ウォッシュアウトとかレインアウトとか、そういった情報を持っているわけです。そうすると、今回のいわば大気から、土壌へ、水へと、そういった部分については、幾つかのこれまでの知識を含めて、デポジションがどうなっていくとか、そういったところを、今の中杉委員それから岡田委員が話されたようなところで考えて、情報を提供していく。そして、その場合に重要なのは、やはりこの場合、リスクコミュニケーションに近いようなことを同時に考えて、情報を出していく必要があろうと思いますけれども、特にその点が、先ほどの被災地の話と、それから被災地以外という形で考えた場合、オール日本で考える場合には、リスクコミュニケーションの形を考えて情報を出していくことによって、いわば風評被害なりそういったものをなくしていくような形もやっていただきたいというふうに思います。
 以上でございます。

○鈴木会長 はい。
 では、崎田委員。

○崎田委員 すみません。短くします。先ほどは将来的なことをかなり申し上げたんですが、短期的なことを2点ほどお話をしたいと思います。
 それで、先ほど樋高政務官が7回現地に入られたというお話があって、頭が下がりますが、私もボランティアのシステムづくりのために震災の2週間後に1度入りました。そのときやはり思ったのは、大臣がおっしゃったように、あまりにも今回の対象地域が広過ぎるということです。ですからいわゆる短期の普通の人のボランティアということも、あまりにも少な過ぎるという気がしました。徐々に政府の呼びかけや、いろいろな団体の呼びかけで始まってきていますが、あまりにも仕組みとして対応できていないという感じがしますので、やはり、今の学生さんとかいろんな若い人たちに、短期でもいいからどんどん入っていくようなシステムを、もう少しつくっていただきたいと思っています。
 その際、今、環境省では、即効性のある事業へのモデル事業への募集というのをやっておられ、募集要項を読んだのですが、「2分の1を助成」とか書いてあって、2分の1はNPOが払わなきゃいけない。例えばボランティアを継続して送り出す仕組みを作ろうとしても、バス1台出すのに25万円かかるという現状の中で、NPOや企業もどこまで自分たちで資金を出せるかということを悩みながらやっているところが大変多いという現実を、ちょっとお話をしたいというふうに思います。
 もう一点は、放射線影響の大気とか土壌汚染のお話が出たのですが、私はぜひ、環境省が既に所管している廃棄物の分野からも取り組んでいただきたい。今、瓦礫処理を頑張ってくださっているわけですけれども、それに関しても、福島の放射線影響の廃棄物の処理なども大変問題になってくると思います。そういうことにきちんと積極的に関わっていただくことから、既にかなりある放射性廃棄物の問題とか、将来の廃炉の問題とか、そういうことにもきちんと関わっていけるような流れをつくっていただければ、大変ありがたいかなというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

○鈴木会長 では、大塚委員。

○大塚委員 本当に簡単ですが。今、崎田委員が言われたことと、これも重なっちゃったんですけど、放射性廃棄物に関して文科省と環境省と一緒にルールをつくるという話が新聞に出ていましたけれども、これは市町村とかに関わっていただくと、恐らくなかなか難しいと思うので、国が出ていく必要があるかなと思っていますが。
 ただ、洗浄するのは結構大変だと思いますので、通常の一廃とか産廃とは違う対処をするためにどういう役割分担をするかというのは結構大事な問題と思いますけれども、もし今、差し障りないお答えができるようでしたら、お願いしたいと思います。

○鈴木会長 いろいろと、ご意見、あるいはご質問もいただきました。
 先ほどの短期的な問題それから長期的な復興に関する問題、そして放射性物質の管理に関する問題、大体そういう形で、あるいはエネルギー節減をどういうふうにしていくかということに集約できていくと思います。
 復興計画を考えるときに、どこまで本当に徹底してどうするのかと。これは環境省を超える問題としても、例えば、土地を具体的にどういうふうに復旧させるのか。私有制というような問題をどこまで乗り越えられるのか。先ほどのごみの中の所有物という問題もありましたが、どういうふうに考えていくか。いろいろ新しい問題もありながら、しかし、なおかつ環境省が考えなければいけない、環境省が考えることが一番適切であろうというようなことも多いと思います。
 そういうようなことで、今、極端に、例えば、原子力の安全管理にやはり環境省がきっちり乗り出すのかというようなことは、ここで発言できることではもちろんないんですが、そういうことも含めて、国が自分自身を見直していかなきゃいけないときだろうと思いますし、我々自身も、エネルギーは使えば使うだけ使える、それに対して電力が供給する義務を持っていることがセキュリティーであるというような昔ながらのパラダイムは、もう全く通用しない。その地域で供給できる電力の範囲でどうやって暮らすのか。こういうようなことを考えなきゃいけない時代になっているんだろうと思います。
 そんなようなこともいろいろと考えつつ、環境省の側で、どなたか。谷津さんから、それとも副大臣から。はい。

○近藤副大臣 本当に、貴重な、重要なご提言をたくさんいただきましたので、少し私が答えられるというとあれですが、それぞれ、大臣が防災担当大臣ということもありまして、官邸に詰めていることが多いものですから、官邸に主に詰めておりまして、私と政務官で分担をしてやってきたところもあります。私のほうから答えられるところを答えさせていただいて、後ほどまた、樋高政務官のほうからもお答えさせていただきたいというふうに思っています。
 メモをとらせていただいた順番で、少し答えさせていただきたいと思います。
 廃棄物処理に関わる健康の問題については、これは厚労省とも連携をして取り組んでいかなくてはならないこういう課題で、取り組みすべき課題ということで捉えさせていただいております。
 また、放射性物質については、これ、先ほど来ご指摘をいただいておりますように、廃棄物については環境省が取り組んでまいりました。ただ、放射能に関わるものは、ことごとく除外をすると、こういう法の組み立てであります。
 このことについて言い訳するわけではなく、やはり今、目の前にある課題でありますので、環境省としては、先ほど大臣が「覚悟」という言葉を使われましたが、覚悟をもって、やはり皆さんの期待といいましょうか、要望に応えられるように、この放射性物質に関わる廃棄物の問題、廃棄の問題、あるいは、今後のモニタリングのあり方、あるいは土壌の対策もございますし、また、土壌に関わる地下水等々の汚染の問題も出てまいりますので、これらの問題については、取り組みを始めさせていただいていると。取り組みといっても不十分なところがありますが、取り組むための準備を始めさせていただいているというところであります。
 また、今後の節電等々の対策、この節電にはさまざまな面があると思いますが、節電とともに、その節電の中に、先ほどLEDの装備の問題もありました。こうしたことに関わることは、経済産業省とも連携をしていかなくてはならないと思いますが、税の優遇の問題、あるいは、特区、こういうことについても検討を始めさせていただいているというところであります。
 また、ごみ処理、ごみ発電のこともご提案をいただきました。これは、後ほど樋高政務官からもお話をいただく、廃棄物の処理の中でお答えさせていただくのがいいかもしれませんが、しっかりとした、現地での分別等々との絡みの関係の中で、やはり膨大なごみが出ておりますので、こうしたものを分別する中でごみ発電等々にも活用していくということは、重要な指摘だと思っております。
 あと、ボランティアのことがございました。これは環境省の必ずしも所管ではございませんが、私も政府の緊急災害対策会議に出させていただいておりまして、ボランティアのことは課題になるわけであります。一時、現場が非常にまだまだ厳しい状況の中にあるということで、ボランティアの方は少し遠慮をしてほしいというような発信があったというところもあります。
 ただ、ご承知のとおり、今、非常に現地ではボランティアの方に来てもらいたいという要望が増えている中で、文部科学省についても、大学等々と連携して、できるだけ学生の皆さんにも、いろいろなことに気をつけながら出ていってほしいということで、取り組みを始めさせていただいているところです。
 ただ、まだまだ、なかなかそういうことが浸透していない部分と、現実に現地での宿泊施設等々のことは、まだ必ずしも十分に対応できていないところがあるのかもしれません。私自身も、このボランティアの活動には大変に関心というか、注意を払っていかなくてはいけないというふうに思っておりまして、このことについては、官邸で、官房長官に実はちょっとお話をさせていただいたところで、政府として、国民を挙げてこの国難にぶつかっていく、ボランティアの人たちに、できる限り参加しやすくなるような状況をつくってほしいということは、申し入れをさせていただいたところであります。
 必ずしも全部にお答えできていないところがあるかもしれませんが、後にまた補足してもらいたいと思いますが、いずれにせよ――いずれにせよと申しますのは、本当に今ご指摘をいただいているところでいいますと、原子力行政についての取り組みというのは、私はやはり非常に課題があるところだというふうに思います。仕組みの中には、環境省が必ずしもさわることが、適応するということができなかったところでありました。私はやっぱりこれは絶対に、政府として見直しをしていかなくてはならないところで、一番といいましょうか、重要なところだと思っているところであります。
 以上です。

○鈴木会長 では、政務官。

○樋高政務官 すみません、ありがとうございます。まず、幾つか細かいこと、さまざま、本当にご高説をいただきまして、本当にありがとうございます。
 まず1つ、お答えではなくて、今回の災害対策におきまして、環境省は大臣官房審議官の清水さんに現地に張りついていただいていると。本省の指定職が現地に入って、ニーズを的確に把握をするということを行ってきたということも、皆様方にご報告させていだきたいと思っております。
 一つのポイントはまず、広域連携にあるだろうと思っております。沿岸域は大変小さい市町村が多いわけでございまして、行政機能が著しく、やむなく低下をしてしまっているというところが多いわけでありまして、早速に、まず現行法の中で、いかに柔軟にかつ最大限、被災地の復旧、復興のためにするべきかということで、例えば、災害廃棄物処理については、事務委託を市町村から県にすることによって、県に事実上行っていただくという体制を築き、あるいは県境をまたいで、中間処理、最終処理ができるようにネットワーキング化すると。それを環境省のほうがしっかりとマッチングをしていくという体制も整えさせていただいたということも、ちょっとお伝えさせていただきたいと思います。
 それと、省庁連携でありますけれども、これも、実は、こういう事態になりまして、与野党を超えて、あるいは省庁の垣根を超えて、いろいろな取り組みができております。
 私自身も、現地に行ったときに、実は、環境省の皆さんとだけ行ったわけではなくて、私は、例えば、岩手県の釜石、大槌に入りましたときは、全部で6の府省庁、内閣府、国土交通省、農林水産省、厚生労働省、警察庁、そして環境省という、現地まで行くところも省庁連携のもとでやって、その現場でいろいろな状況をしっかりと把握すると同時に、どう対処したらいいかという議論をずっとバスの中でしながらやってきたということで、省庁連携をしっかりやらせていただいているということでございます。
 それと、直接のお答えではないのですけれども、私自身、お話しありましたけれども、今回の倒壊家屋等の瓦礫を、むしろごみと見ないで宝と見たいという発想の転換が必要なのではないかなと思ってございます。
 先ほど、先生がおっしゃった、いわゆる可燃性の廃棄物を焼却場で、発電機がついているところで電気へという、これらの発想も既に着手をさせていただいております。それらについても、しっかり視野に入って取り組ませていただいているところでございます。
 それとあと、私自身、災害廃棄物処理に一部末席で絡ませていただいた中で感じましたのは、被災直後は、そのまま分別しないで、とりあえず仮置き場にとにかく、居住地近傍、あるいは危険地域から災害廃棄物を移動させるということで、まるで不法投棄場のような状態にごちゃごちゃになっていたわけですけれども、最近の状況を見ますと大分、環境省が今までずっと、それぞれの自治体の皆さんに分別ということで、ずっと助言等を行ってきた、導いてきた成果が出ているなと。
 実は、仮置き場に全部災害廃棄物を持っていくということではなくて、むしろその処理の質を確保すると。つまり、分別をしっかり行ったほうがコストも、そして、実はそのほうがスピーディにできると。中間処理、最終処分まで考えたときにスピーディにできるということで、今、大分、さまざまな現地においても、日本最先端のいろいろな技術、あるいは知見を含めて、最前線で取り組みをし、それらの取り組みをほかの市町村に広めていくということを行っているということも、お伝えさせていただきたいと思います。
 それとあと、今日は時間に制限がありますので、また、ぜひ今後とも政務三役のほうに、どうぞメールなりFAXなりで、また先生方の英知をご結集いただいて、日本の英知の見せ所だというふうにも私は思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 また、細かいことについては事務方からお願いいたします。

○白石総合環境政策局長 短時間で恐れ入ります。先ほどご指摘いただきましたように、アセスメントの適応除外に関して、資料を机上配付させていただきました。
 この紙は、個別具体的に、東京電力という、災害復旧事業を行う指定公共機関の1つがやる場合のことについて紙に書いたものでございますけれども、ただ、当然のことながら、ご指摘がありましたように、52条2項におきまして、防災上の観点から緊急に事業を行う必要があるものについては、人命等に直接かかわる問題であることから、適応除外ということもあるのだけれども、関係省庁、法制局も含めまして調整をしていただいて、こういう特例はあっても環境配慮は当然に行うのがその法律の趣旨であるというふうな前提のもとで、このような紙を、東京電力の場合は、こうしましょうということを、経済産業省と確認をした文書を、今、お配りしたものでございます。
 ということでございまして、ポイントを申し上げますと、まず適応除外になるような、災害復旧事業なら何でもありかというふうなことについては、2つの縛りが(1)の[1]と[2]にございます。
 発電設備を災害復旧ということで、他の場所につくったりするということも制限があるのが、法律の趣旨だろうということで、従来から存在する、同社の発電所の敷地内で行われるというものが1つの要件。
 もう1つが、2番目にありますように、発災の日から、いつまでたっても復旧事業というわけにもいきませんので、3年程度以内に供用開始のものというふうなことで考える。これは、いろいろな廃棄物処理施設などの災害復旧も、当該年度と翌2年度ぐらいで災害復旧ということで予算を組んでいるということも考えまして、3年程度ということを考えました。こういうことが外にあらわれるようにするためには、指定公共機関である東京電力さんのほうで、復旧計画を策定するということ。それから、講じられるべき措置として、(3)で、それをまず公表、それから4をめくっていただきまして、環境影響を最小化するための配慮、それから、公共団体住民に対する説明等。それから、実施中あるいは開始後の環境保全措置とその公表。それから、5番目は、もし一定の進展が見られたならば、環境負荷の大きいところから優先的な運転の停止をと。それから、そういったことをすべて公表と、こういうふうなことで、環境に配慮した上での災害復旧事業ということで、これは、たまたま東京電力の例でこうしておりますが、東北電力も全く同じようでございますし、電力以外のことも今後あり得るとしたら、同じような考え方のもとで、災害復旧事業をアセス適応除外になったとしても対応していただくという、こういうふうな考え方の例でございます。
 なお、これはホームページに近々アップさせていただきますので、今日は申しわけございません、後ろの方にはお配りできないかもしれません。よろしくお願いいたします。

○鈴木地球環境局長 温暖化の絡みでございますけれども、温暖化に対する取り組む決意とか、姿勢については全く変わりがないことは、大臣から申し上げたとおりでございます。また、節電とか、分散型あるいは再生可能エネルギーを進めるために、それを後押しする施策が必要であるという話も、副大臣からいただいてございます。
 技術的な話をちょっと申し上げますと、京都議定書の話がちょっと出ておりましたが、基本的に2008年と2009年の数字は、かなり京都議定書を上回る削減ができているということもございまして、現在のところ、基本的には達成できるのではないかということで、もちろん、不確定要因がいっぱいございますので、断定的なことは申し上げられませんけれども、不可抗力みたいなような、発動するなんていう報道があったことは知っておりますけれども、そのようなことは政府内で全く検討していないということでございます。
 それから、中期的に影響があるというのはそのとおりだと思いますけれども、原子力政策については白紙から検証するという話もございますし、他方で、再生可能エネルギー等については一層推進する必要があると我々も思っております。
 また、今回のこうした節電の中で、新しいライフスタイルの定着ということもあるんじゃないかと思っておりますけれども、今のところ、これがどのような定量的な影響があるかということは、なかなか難しい現状でございます。以上でございます。

○鷺坂水・大気環境局長 それでは、水・大気環境局長でございますけれども、まず、災害に伴ってさまざまな有害物質でありますとか、そういったものが出ているのではないかと、こういうことがございます。
 それで、私どもといたしましては、補正予算でも要望させていただいておりますけれども、アスベスト関係のモニタリングを適切にやる。そうしたことで、例えば、避難所の近くでありますとか、実際に仮置き場の近くでありますとか、あるいは解体現場、こういったところもしっかりやっていきたいと思いますし、また、有害物質についても、大気、それから地下水、水質、土壌、こういったものにつきましてモニタリングをしっかりやっていきたいと、このように考えているところでございます。
 それから、海洋環境につきましても、これはなかなか予算の限りがありますので、ポイント、ポイントということになりますけれども、油の流失の状況でありますとか、あるいは瓦礫が、今、海洋にも引きずられていっているというお話もございます。
 そして、またそこにいろいろなものが沈んでいるのではないかというような議論もございますので、そこは、そういった中の調査をやっていきたいと、このように考えておりまして、そういった調査結果を踏まえて、適切に対応していきたいと思います。
 それから、いろいろご指摘がございました放射線の問題につきましては、大臣、副大臣からのご答弁のとおり、三役と相談しながら対応していきたいと思います。

○渡邉自然環境局長 自然環境局長でございます。今回、三陸海岸の津波、地震の被害を受けた多くの地域が、陸中海岸国立公園を初めとして、自然公園地域にもなっており、大きな影響を受けたところであります。
 地域の復興の力になれるような自然公園の再生復興のためのプランづくりを、地元の皆さんと一緒に考えていきたいと思っておりまして、その際、武内委員からもご指摘のあった、里山、里海の再生といったものと連携していく、あるいは、自然災害を学ぶための震災の記憶のジオパークという役割を自然公園にも持たせていく。そういった点を大事にしていきたいと思いますし、佐藤委員からご指摘がありました、地域の集落のコミュニティーの人たちの視点に立った取り組み、あるいは、地域の昔の知恵を生かした自然公園の再生、復興、そういった点を大事にして取り組んでいきたいと思います。以上でございます。

○伊藤廃棄物・リサイクル対策部長 廃棄物・リサイクル対策部長です。今回の震災では、何と言っても瓦礫の処理が大変重要な問題になっているということでございます。大臣からもありましたけれども、想像を超えるような量の瓦礫が、人が住んでいる近くにあるということで、これをとにかく何とか早急に処理しなければいけないということで、日々、奮闘しているわけでございます。
 財産権との関係で、今回の処理が非常に難しいのではないかというふうなご指摘がございまして、これは、私どもも当初からそういうことを考えまして、これは政治主導でやっていただいていたのですけれども、法務副大臣のもとに法制局の部長や法務省の局長が並んで、財産権と今回の損壊家屋の撤去等の関係について議論していただきまして、2日ほどの議論で、いろいろ現行法上できることを指針という格好でまとめて、例えば、倒壊して瓦礫状態になっている部分については所有者に連絡、あるいは、その承諾を得ることなく撤去しても差し支えないとか、そういった事項についてまとめまして、各県には連絡しているところでございますけれども、なかなか徹底されていないというような面もあると思いますので、そういったことについての周知も図っていきたいと思っております。
 また、健康問題、PCB、あるいはアスベストを含んだ廃棄物も相当あるということも想定されております。これらについては取扱指針、特にPCBにつきましては、一般の人たちがどうやって見分けたらいいのかとか、あるいは、実際に瓦礫処理に当たる人たちにどういうふうなことを注意してもらわなければならないのかといったことを具体的にまとめまして、これも各県を通じて、市町村あるいは住民の皆様に徹底をしているところでございますが、これをさらに進めていきたいと考えております。
 さらに、今回の瓦礫の処理は、地元の市町村あるいは県が主体的に頑張っていただく必要が当然あるわけでございまして、それを国が全面的にバックアップしていくと、こういうことが必要だろうということで、これは、樋高政務官に被害の大きかった3県に直接出向いていただきまして、県、それから市町村、それから国の出先機関、それから関係業界が一堂に会する各県の協議会というものを設けていただいております。この協議会の場で具体的なことをどんどん決めていくと。我々国も、環境省だけじゃなくて、国交省、農水省、警察、自衛隊、それぞれの地域の代表に参加していただいて、また、我々の代表である清水審議官にも参加していただいて、いろいろ処理しているということでございます。
 国会等で、いろいろ「遅い」とか言われておりますが、一応環境省としてできるだけのことはやっていきたいと考えている次第でございます。以上でございます。

○鈴木会長 ありがとうございました。いろいろ局長からご覚悟のほども伺ったというわけですが、これは、もちろん環境省だけはではなく、各省、オールジャパンで、今後の構想も考えていかなければいけないわけですが、ぜひ環境省の存在、役割が大きいということを認識いただいて、それがまたよく見えるようにしていただきたくと。
 先ほど、核廃棄物等に関しましても、覚悟をしていただいたというようなこともございましたし、今、この被災に関しましては、世界中から、ある意味では支援を受ける、そしてまた、注目を受けているところであります。
 これに対する対応として、安易に火力に頼ってCO2を排出し、今後の対策を怠るというようなことになっては、もう恥ずかしい限りでありますので、こういう状況の中から、原子力はどういうふうに考えていくのか、そしてまたCO2の削減に関しても着々と当初の目的を果たしていくという、いわば我々自身の生き方そのものを、環境省とともに、ある意味では覚悟を持って進めていく、変えていくというようなことになろうかと思います。
 実は、6時にはここを閉めなければいけない。建物を閉めなければいけないということのようでありまして、大変慌ただしくお帰りいただかなくてはなりませんが、本日、皆様からいただきましたご意見につきましては、私のほうで一度整理させていただきまして、松本環境大臣に後日お渡しできればと思っております。その内容に関しましては、私にご一任いただいてよろしいでしょうか。

(異議なし)

○鈴木会長 ありがとうございます。それでは、そのように対応させていただきたいと思います。
 以上をもちまして、本日の中央環境審議会の総会を終了させていただきたいと思います。本日は、お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございました。

午後5時57分閉会