第3回中央環境審議会総会会議録

日時

平成14年3月6日(水) 15:00~17:00

場所

フロラシオン青山 孔雀西の間

出席者

(会長)森嶌 昭夫
(委員)浅野 直人 池上  詢 上野 征夫
清水 誠 鈴木 継美 竹内 啓
辻井 達一 中西  弘 原田 尚彦
藤井 絢子 桝本 晃章 松本 聰
村杉 幸子 雪下 國雄 和気 洋子
鷲谷 いづみ
(環境省)山下副大臣奥谷大臣政務官
中川事務次官 浜中地球環境審議官
松本大臣官房長 炭谷総合環境政策局長
西尾環境管理局長 小林自然環境局長
飯島廃棄物・リサイクル対策部長 岩尾環境保健部長
石原水環境部長 松原大臣官房審議官
小林大臣官房秘書課長 南川大臣官房総務課長
櫻井大臣官房会計課長 一方井大臣官房政策評価広報課長 他

議事

【南川官房総務課長】
 大変お待たせいたしました。定刻になりましたので、ただいまから第3回中央環境審議会総会を開催させていただきます。現在、30名のうち16名の委員の出席ということで、ぎりぎりでございますが定足数を満たしておりますので開始させていただきます。
 それから、前回の総会以降、委員の方々の交代が一部ございましたので、新たに委員となられた方をご紹介申し上げます。上野征夫委員でございます。

【上野委員】
 よろしくお願いいたします。

【南川官房総務課長】
 なお、もうお一方、桝本晃章委員が就任されておりますが、少しおくれて到着するということでございましたので、到着され次第ご紹介させていただきたいと思います。
 それから、環境省側も大臣以下、交代がございましたが、恐縮でございますが、お手元の資料の下から3番目に参考資料1といたしまして「環境行政の課題」というものが入っております。これは、組織、名簿、さらに各部局の抱えている仕事につきまして、ポイントをまとめたものでございます。これはこれで別途ご活用いただきたいと思って、今日は配布しておりますが、その2ページに「幹部職員名簿」ということで、大臣以下幹部職員の名前が載っておりますので、これを見ていただくことで、紹介に代えたいと思います。
 本日は、本来、大木環境大臣が真っ先に出席してご挨拶申し上げたいと思っておりましたが、今日は衆議院の予算委員会あるいは本会議の関係で出席できませんので、あらかじめご了解をお願いしたいと思いま。
 それでは、森嶌会長、よろしくお願いいたします。

【森嶌会長】
 それでは初めに、奥谷環境大臣政務官より、ご挨拶をいただきたいと思います。

【奥谷環境大臣政務官】
 ただいまご紹介をいただきました、環境大臣政務官を務めております衆議院議員の奥谷通でございます。本日は中央環境審議会の総会にお招きをいただき、また、このようなご挨拶の機会をいただきましたことを心より感謝を申し上げる次第でございます。
 私は、かつては中国の砂漠に木を植えに行ったこともありますし、環境というのは政治の活動の一つの大きな柱に位置づけておりまして、このたびのこのポストをいただけたことを無上の喜びとし、また、一生懸命やらせていただきたいと考えております。
 今後、中央環境審議会の先生方のご指導のもと、大臣、副大臣を補佐いたしまして、環境行政の一層の推進のために努めてまいりたいと思っておりますので、これからもよろしくご指導のほど、お願いいたします。本日はどうもありがとうございました。

【森嶌会長】
 どうもありがとうございました。それでは、山下副大臣が遅れているようでありますので、またおいでになって区切りのところでご挨拶をいただきたいと思います。
 それでは審議に入りたいと思います。審議に入ります前に、事務局から本日お配りしております資料を確認していただきます。

【事務局】
それでは資料の確認をさせていただきます。
 机の上に座席表、それから議事次第をお配りしてあります。それから資料でございますが、資料1「中央環境審議会委員名簿」、資料2「中央環境審議会の審議状況等について」、資料3「使用済自動車の再資源化等に関する法律案(仮称)」、資料4「地球温暖化対策税制の検討状況について」、資料4-1「我が国における温暖化対策税制に係る制度面の検討について」、資料5「化学物質対策について」、資料6「地球温暖化対策について」、資料7「ヨハネスブルグサミット(持続可能な開発に関する世界首脳会議)~概要と準備プロセス~」、資料8「これからの大気汚染対策について」、資料9「土壌汚染対策法案について」、資料10「自然環境保全行政の主な動きについて」、それから参考資料1として「環境行政の課題」、参考資料2「平成14年度環境省重点施策」、それから資料番号は振っておりませんが「地方環境対策調査官」というカラーのパンフレットを用意してあります。以上でございます。

【森嶌会長】
 何か足りない資料等ございますでしょうか。ありましたら、事務局の方にお申しつけください。
 それでは、ただいま山下環境副大臣がお見えになりましたので、ご挨拶をいただきたいと思います。

【山下環境副大臣】
皆様、本日は大変ありがとうございます。遅参いたしまして申しわけございません。ご紹介いただきました山下と申します。今年に入りまして、1月8日に環境副大臣の任を拝命いたしました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 既に、奥谷環境大臣政務官の方からお話があったと思いますけれども、大木環境大臣は今、予算委員会が始まろうとしておりまして、今日は総括質疑でございますので、今から3時間ほど審議される予定だと聞いておりまして、出席はかなわないのではないかというふうに思っております。どうぞお許し願いたいと思います。
 私も拝命いたしまして2カ月になろうとしているわけでございますけれども、この環境行政という分野は日増しに重みを増しておるなということを痛感しながら仕事をさせていただいております。国内におきまいてもそうでございますけれども、地球的問題群の中心の課題として、単に国家レベルの取組だけではなくて、人類的な取組が必要であるという問題になっているわけでございます。
 特にことしは地球サミットがあり、また、今国会で大きな課題となっております京都議定書の批准、そして温暖化対策推進法の改正。また、環境省的には土壌汚染対策法、これも初めての土壌の分野の対応でございますし、さまざまな課題が今、大きく環境省として問われておるわけでございます。私は、今国会は特に環境国会ともいうべき対応が迫られているというふうに自覚しているわけでございます。
 今日お集まりの森嶌会長を始めといたしまして、先生方には、常日ごろから大変な貢献をいただいておるわけでございます。年1回の総会でございまして、時間的にも非常に余裕のない時間になっておるわけでございますけれども、どうぞ本日、有意義なさまざまなご意見、またご提言を頂戴いたしますことをお祈り申し上げまして、ご挨拶にかえさせていただきます。ありがとうございました。

【森嶌会長】
どうもありがとうございました。それでは、審議に入らせていただきます。
 中央環境審議会議事運営規則によりますと、会長は同意して審議会の決議とした、これは、各部会が決議をしたものにつきまして、会長が同意をいたしますと、これをもって中央環境審議会の決議としたということに読みかえておりますけれども、その各部会の決議につきましては、私の方から総会に報告をするということになっております。
 昨年1月に環境省が発足いたしまして、それと同時に中央環境審議会も再編されたわけでございますけれども、その中央環境審議会の現在までの審議状況につきまして、資料2の「中央環境審議会の審議状況等について」に取りまとめをしております。
 これから事務局に当面の諸問題等についての報告をしていただきますが、この報告の中で、各部会の重要な答申などにつきましても触れていただくこととし、この審議状況等を含めてご報告することをもちまして、総会に対する報告ということにさせていただきたいと思っております。
 それでは、各部局から、当面の問題等について報告をいただきたいと思います。まず、廃棄物・リサイクル対策部から報告をお願いいたします。

【飯島廃棄物・リサイクル対策部長】
 廃棄物・リサイクル対策部長の飯島でございます。お手元の資料3をご覧いただきたいと思います。「使用済自動車の再資源化等に関する法律案」、いわゆる自動車リサイクル法案について、ご説明させていただきます。
 当審議会の廃棄物・リサイクル部会に自動車リサイクル専門委員会を設置いたしまして、この自動車リサイクルのことにつきましてご検討いただいてまいりました。専門委員会では、昨年の8月に中間報告を取りまとめていただきまして、その後、パブリックコメントで意見聴取、そうしたものを踏まえまして、現在、リサイクルの法制度化を検討しているところでございます。
 本年の1月18日に開催されました廃棄物・リサイクル対策部会に対しても、その時点での検討状況をご説明したところでございます。なお、この自動車リサイクルにつきましては、あわせて経済産業省の産業構造審議会でも自動車リサイクル・ワーキンググループで検討が行われておりまして、昨年の9月に第2次報告書が取りまとめられているところでございます。この両方の審議会のご意見を踏まえまして、現在、環境省、経済産業省におきまして法案の準備を進めているところでございます。
 資料3を見ていただくとわかりますように、使用済自動車は年間約500万台排出されます。これまでは、有用金属・部品を取り出し、流通化されてリサイクルが行われてきたわけでございますが、おおむね75%から80%ぐらい実はリサイクルが行われているところでございます。
 ところが最近になりまして、(2)番にございますように、最終処分場が逼迫して、シュレッダーダストと呼ばれる廃プラスチック等を管理型の処分場に埋め立てなければいけないということで、処理費用が高騰している、また、鉄スクラップの価格も低迷しているということで、要するに、今まで有価で回っていたものが、逆有償になってしまうという状況になりまして、このリサイクルシステムが働かなくなるのではないかと心配です。
 今回、ここに新しい制度を入れまして、75から80%のリサイクル率もさらに高めるような形で自動車リサイクルが円滑に進むようにしようということで制度を考えたわけでございます。
 基本的な役割分担でございますが、今回の特徴は、拡大生産者責任の考え方を取り入れまして、自動車製造業者、これは輸入業者も含めてでございますが、メーカーを中心として、このリサイクルの制度をつくろうと思っています。
 2番の(1)の「基本的な役割分担」でございますが、製造業者、輸入業者におきましては、自らが製造・輸入した自動車が使用済みとなった場合、そこにございます3品目、フロン類、エアバッグ、シュレッダーダストを引き取ってリサイクルを行うという義務をかけます。また、自動車の流れというのは、一番最後のページに絵がございますが、個人又はタクシー会社等、自動車の所有者が引取業者に引き渡すということになるわけでございますが、[2]にございます、いわゆる販売業者とか整備業者、こういう方々が引取業者であるわけでございますが、自動車所有者から使用済自動車を引き取って、フロン回収業者又は解体業者に引き渡すという、引き取りと引き渡しの義務をかけます。これらの方々は、都道府県知事の登録制といたします。引き渡されたフロン類につきましては、フロン類回収業者が適正に回収して、自動車製造業者等に引き渡す。これも登録制でございます。
 次のページにまいりまして、その先の流れといたしまして解体業者、破砕業者というのが出てきますが、ここは都道府県知事の許可制といたします。そして、解体業者、破砕業者におきましては、これまでも有用な部品を取り出したり、あるいは鉄スクラップを取り出したりしてきたところでございますが、エアバッグ、シュレッダーダストを自動車製造業者に引き渡すという引渡義務をかけます。一番初めにあります自動車所有者が[5]になってございますが、使用済自動車を引取業者に引き渡すということでございます。
 (2)の費用の負担方法でございますが、これまでの容器包装リサイクル法、家電リサイクル法が動いているわけでございますが、今回、新車販売時に自動車の所有者にリサイクル料金を支払っていただくという仕組みを初めて取り入れております。なお、既販車につきましては、これは国土交通省の協力をいただきまして、最初の車検時、3年ないし2年あるわけですが、最初の車検時までにリサイクル料金を引き渡す。すなわち、いわゆる排出時負担ということではなくて、その前にリサイクル料金を支払うという仕組みを取り入れております。
 料金は、自動車製造業者が定めまして公表する。不適切な料金設定に対しては、国が是正を勧告できるようにする。これは、いわゆる販売競争によりまして、この料金が低くなることを期待しているものでございます。それから、輸入業者の場合、倒産とか解散ということがあり得るわけでございますが、リサイクル料金につきましては、第三者機関として資金管理法人を指定いたしまして、ここで管理することにいたします。製造業者がシュレッダーダストをリサイクルするときには、この第三者機関に払い渡しを請求できるという仕組みでございます。
 「その他」のところにございますように、製造メーカー等にリサイクル義務をかけるわけでございますが、不存在の場合などに対応するための第三者機関、さらには[2]にございます自動車の流れを管理するために電子管理票制度を導入する。さらに、先ほど申し上げました登録制・許可制を受けた人たちに対しては、廃棄物処理法の業の許可の特例、不要にする等の措置を講じます。
 それから、フロンの問題がございますが、フロン回収破壊法というのがこれから施行されるわけでございますけれども、この枠組みを引き継ぎまして、カーエアコンのフロンにつきましては、この自動車リサイクルシステムの中で一体的に扱うことにしております。
 それから[5]でございますが、これは別の法律になりますが、必ず使用済自動車が引き渡せるようにということで、自動車重要税の還付制度、従来、2年間を車検時に支払うわけですが、これを月で割って還付制度をインセンティブにしようということも、国土交通省の協力を得て措置をする予定でございます。
 今申し上げたのが最後のページの概念図にございまして、ここにございますように「自動車製造業者・輸入業者」という一番左のところに拡大生産者責任をかけていくということで、大変条文が長くて150条ぐらいありまして、現在まだ法制局で審査中というところでございます。以上でございます。

【森嶌会長】
 どうもありがとうございました。ご質問等おありかとも思いますけれども、一通り報告を伺って、後に一括して伺いたいと思っております。
 それでは、総合環境政策局からお願いいたします。

【炭谷総合環境政策局長】
 総合環境政策局長の炭谷でございます。資料4に則しまして、温暖化対策のための環境税、いわゆる温暖化対策税制の検討状況につきましてご説明申し上げたいと思います。
 温暖化対策税制の検討につきましては、中央環境審議会の地球温暖化対策税制専門委員会において進められているところでございます。この専門委員会は昨年10月に設置され、昨年中に6回の会合を開催いたしました。主に温暖化対策税の制度面の検討を中心に審議を行ってまいりました。所属委員につきましては、資料の1ページにあるとおりでございまして、この審議会に属していらっしゃる方以外にも、外部の環境税の専門家、特に政府税調の委員の方々にも数名ご参画をいただいております。まだ具体的な制度案を示すには至っておりませんが、それまでの審議により行われた論点整理を中間的に取りまとめ、昨年末に公表いたしているわけでございます。
 それでは、この取りまとめの内容につきまして、次の2ページ以降に則して簡単にご説明申し上げたいと存じます。
 まず、このとりまとめにおきましては、諸外国の温暖化の対策税制について紹介をしております。典型的な「炭素税」を導入したスウェーデン、既存税である鉱油税を引き上げたドイツ、国と企業との協定や排出量取引と組み合わせたイギリス、2004年以降それまでの排出削減が進んでいない場合に導入することをあらかじめ法定化したスイス、その4カ国について事例を紹介いたしているわけでございます。
 次に(2)の「我が国の既存の化石燃料・エネルギー関連税」についてでございますが、例えば石油税、揮発油税等でございますが、これらについて概観した上で、課税段階としては、化石燃料の輸入・精製前の段階である「上流」と、精製後・流通段階の「下流」とに大別できる。また、温暖化対策税制を考える際には、既に課税されている石油のほか、電力や現在は課税されていない石炭などの扱いが課題になることを指摘しているわけでございます。
 以上のことを踏まえまして、(3)の「温暖化対策税制の論点整理」を行っております。税の目的につきましては、CO2の排出削減という政策目的であり、税収確保という従来の課税の目的とは異なるが、政策目的である課税であっても問題はないとの意見が大勢となっております。税の制度につきましては、課税段階、課税対象、課税標準、税率、既存税制との関係といった論点について取り得る選択肢と、その利害得失について活発な議論が行われているわけでございます。
 次のページにまいりますが、次に「税による諸影響の緩和について」でございます。例えば、具体的な方策としては産業部門や燃料種別による減免措置、国境税調整等が挙げられているわけでございます。
 その他の論点として、例えば排出量取引や協定等の他の温暖化対策との組合せが有効であり、これを想定した制度検討が必要であるとか、また、早期導入か段階的導入かといった税導入に当たっての方法論等についてのご議論がございました。こうした論点整理を行った後、(4)に簡単なオプションを提示して、これらを比較検討しているわけでございます。
 化石燃料については、上流・下流という課税段階、新税導入か既存税活用かという2つのアプローチを組み合わせますと、4つのオプションができるわけでございますけれども、これを提示しております。
 電力については、発電用燃料に課税するか、あるいは発電用燃料を非課税として電力消費に課税するか、それとも双方に課税するかという3通りに分けて場合分けをしております。
 4ページにまいりまして、今後につきましては、こうしたオプションをさらに具体化するなど、議論を深めていく必要があるとされております。本年も引き続き検討を進めていくことといたしております。以上でございます。

【森嶌会長】
 ありがとうございました。それでは、次に環境保健部から報告をお願いいたします。

【岩尾環境保健部長】
 環境保健部長の岩尾でございます。資料5に「化学物質対策について」がございます。その前に、私どもの環境保健部で、公害患者さんの被害救済という業務をやっておりますので、本総会の前に、本日1時半から開かれました環境保健部会でご審議いただいた内容について、まずご報告させていただきます。
 公害健康被害の補償等に関する法律に基づきまして、公害患者さんに対しまして被害救済をしているわけでございますが、毎年度末に次年度の障害補償の給付基礎月額、それから遺族に対します標準の給付月額を改定するという作業がございます。先ほどの環境保健部会でご審議いただきまして、答申をいただくということが終わりましたことを、まずご報告させていただきます。
 そして資料5でございます。私ども、もう一つ環境汚染物質として化学物質対策を扱っておりますが、そこにございます残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約、通常POPs条約といっておりますが、昨年の5月に採択されました。これに基づきまして、国内でこの条約に加盟するということの作業が始まりまして、昨2月の28日に今国会に条約が上程されております。条約自体は、そこに書いてございます幾つかの化学物質に対しまして使用・製造の禁止、それから排出の削減等々が書かれております。我が国では、既に、これらの2の[1]にございますような物質は製造・使用の禁止、あるいはもともと輸入もされていないというもので、対策はとれておりますが、国内法の整備のためには、そこにありますうちのマイレックス、トキサフェンという国内で使用実績のない物質につきまして、化学物質の審査に関する法律の中で、新しくこれらのものを指定するという政令の改正がございます。いずれにいたしましても、この条約の批准につきましては、50カ国の締結ということでございますので、私どもはヨハネスブルグサミットまでに締結の手続を完了したいと考えております。そういう中で国会に上程されましたので、速やかな審議を期待するというところでございます。
 それから、その次にまた片仮名で恐縮でございますが、PRTR制度ということが、そこに書かれております。これは、平成11年に「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」という法律が成立しまして、今年から、それぞれ企業あるいは事業所等々で使われる物質が届けられることになっております。14年の4月から開始されます。これを、今年の秋には公表・開示いたしまして、地域住民の生活に資する情報を提供したいと考えております。
 PRTRの制度で対象となります物質は354の化学物質でございますが、このような制度につきましては、中央環境審議会の環境保健部会の先生方に十分ご意見を伺いながら整備をしてまいりました。今後といたしましては、そこにございますように、企業等々との十分な情報交換をしながら、円滑な制度の施行に向けましていろいろと進めていこうと考えております。
 このPRTR制度は、川で例えますと、化学物質の使われているところをどのように考えていこうかということですが、その上流側に当たります化学物質自体を使用あるいは輸入などを制限する法律に「化学物質審査規制法」というという法律がございます。昨年の省庁再編に伴いまして、環境省が経済産業省、厚生労働省とともに所管することになりました。これに伴いまして、新規化学物質の審査に当たりまして、中央環境審議会の意見を聞くこととなっております。環境保健部会の中に化学物質審査小委員会を置きまして、現在まで11回開催、この間262の新規化学物質についてご審議をいただき答申を受けております。
 そのほか、最後に書いてございますように環境リスク評価の推進、環境ホルモンなどへの対応ということで、国民に広くPR等々をしているところでございます。環境保健部からは以上でございます。

【森嶌会長】
 ありがとうございました。それでは、次に地球環境局の関係につきまして、お願いします。

【浜中地球環境審議官】
 岡澤地球環境局長は用務のために出席できませんので、私は地球環境審議官の浜中でございますが、便宜、私からご報告を申し上げます。
 お手元の資料の6と7でございます。まず6で、地球温暖化対策でございます。地球環境部会におきましては、温暖化対策と同時に今後のフロン類対策のあり方についてもご審議をいただき、既に両方とも答申をいただいているところでございますが、今日は、温暖化対策の方に絞って申し上げたいと思います。
 先生方ご案内のとおり、昨年11月、気候変動枠組条約第7回締約国会議(COP7)が、モロッコのマラケシュで開催され、京都議定書実施ルールの細目について基本的に合意が成立いたしました。これを受けて、内閣の地球温暖化対策推進本部で決定を行いまして、京都議定書の2002年締結に向けまして、我が国として、政府として準備作業に精力的に取り組むという方向を決定いたしまして、その後、取組を進めてまいりました。また、審議会におきましては、1月24日に国内制度のあり方に関する答申を取りまとめいただいたところでございます。さらに、2月13日には、再び推進本部の決定を行いまして、議定書の締結に向けた今後の方針が決まったところでございます。詳細は後ろに別紙としてつけてございますので、後ほどご覧賜れば幸いでございます。
 この決定におきましては、ただいまも環境保健部長からお話がありましたヨハネスブルグサミット(持続可能な開発に関する世界首脳会議)、後ほどちょっと申し上げますが、これが8月末から9月の初めにかけまして開催されることを踏まえて、今日の通常国会、今会期におきまして、議定書締結の承認と、これに必要な国内担保法の成立に万全を期すということにしたところでございます。また、この議定書締結の承認あるいは関連法の成立に先立って、現在、政府が実施しております地球温暖化対策推進大綱を見直して、新たな大綱を策定するということにしたところでございます。こうした方針に基づいて、現在、議定書の締結・発効に向けて全力で取り組んでいるところでございます。
 また、2番でございますけれども、こうした取組において、政府・産業界はもとよりでございますけれども、国民各界各層がみずからのライフスタイルを変革していくということが非常に重要であるということでございまして、このことは昨年11月の推進本部決定でも、そういう点が決定されているところでございます。
 環境省におきましては、こうした目的のために、昨年11月20日に「地球温暖化防止国民生活推進室」、略称といたしまして「環のくらし推進室」というものを設けたところでございます。先ほどの2月13日の推進本部決定におきまして、こうした取組の一環として、環境大臣が関係大臣の協力を得まして、「環の国くらし会議」を開くということで合意をされました。第1回会合は2月16日に開催されました。この「環のくらし会議」では、各界でご活躍のオピニオンリーダーに参加をいただきまして、今後の具体的な取組を、いろいろユニークな発想も含めてご議論いただく。そして、大いにいろいろとマスコミ、その他で発信をしていただこうということでございまして、具体的な行動につなげていきたいということでございます。
 次に3番目でございますが、国際的な連携という問題でございます。地球温暖化対策は地球規模の問題でございますから、その対策の実効性を確保するためには、すべての国が参加する共通ルールをつくっていくということが重要でございます。米国の現ブッシュ政権は、ご案内のとおり京都議定書はとらないという方針を出しておりますけれども、しかし、2月にブッシュ大統領訪日に先立って発表された政策がございまして、それを踏まえて、当面アプローチは違うかもしれませんが、実質的な対策を一層強化されていくことを期待するものでございます。米国に対しては、日米ハイレベル協議などを通じて、その働きかけに全力を尽くす所存でございまして、(注)にもございますが、第1回は昨年7月に行っておりますけれども、第2回協議を本年4月にも東京で開催できるように、現在、米国と調整中でございます。
 途上国の参加につきましては、その自主的な取組を引き続き支援していくことが重要であろうということで、あらゆる機会を通じて途上国の理解を求めていきたいと思っております。また、議定書の実施に係るいろいろなルールのうちの極めてテクニカルな細かいところについては、まだ若干作業が残っておりまして、CDMクリーン開発メカニズムの実施手続でございますとか、登録簿の整備、吸収源活動の算定などについては、今後さらに詳細な検討が行われる予定でございます。下のスケジュールにございますように、6月には補助機関会合、10月にはCOP8がインドのニューデリーで開催される予定でございます。そういったところに積極的に参加していきたいということでございます。
 次に資料の7でございますが、ヨハネスブルグサミットでございます。持続可能な開発に関する世界首脳会議ということで、ちょうど10年前のリオで開催されました地球サミットから10年目の節目でございまして、8月26日から9月4日まで、ヨハネスブルグで開催されるということでございます。
 リオサミットで合意されましたアジェンダ21の実施に世界が取り組んでまいりましたけれども、その実施には、まだ大きなギャップがあると言われております。その実施状況について包括的に点検し、今後さらにその実施を加速、促進していくために、どのようなことをなすべきかということについて議論しようということでございます。
 成果としては3つ、現在、国連事務局で考えているものがございます。第1に「政治文書」ということで、ヨハネスブルグサミットで各国首脳が集まることが計画されております。各国首脳が改めて決意を盛り込む文書をつくろうということでございます。2番目には「世界実施文書」ということで、アジェンダ21の実施を促進する取組についてここに合意をしようということでございます。3番目は、今回非常にユニークなものでございまして「約束文書」というふうにとりあえず訳をつけさせていただいておりますが、各国政府はもとより、各界関係主体等による自主的・積極的なイニシアティブ、新たな約束というものを積極的に出していただこうと、それらを盛り込んだ文書をこの会議でつくり、そしてその後のフォローアップもしていこうというものでございます。
 これまでの準備プロセスでございますが、アジアも含めまして、国連の各地域でボトムアップという形でやってまいりましたが、ことしの1月末からニューヨークで第2回準備委員会ということで、実質的に世界的なレベルで初めての委員会が開かれました。環境省からは奥谷大臣政務官にご出席いただきましたけれども、そこで今後の議論の土台となる議長ペーパーというものが出てきております。これをたたき台にいたしまして、3月末から第3回の準備委員会が開かれまして、そこでその草案を準備するということでございます。この間、この資料にございますように、既に2月13日からコロンビア、カルタヘナにおきまして、国連環境計画(UNEP)の閣僚級の会合が開かれておりまして、ここで国際的に環境問題の取組を推進していくための機構といいますか、組織のあり方がいかにあるべきかということで、国際環境ガバナンスと呼ばれておりますが、そういう議論をいたしました。
 それから、現在、ニューヨークにおいて、森林問題に関する国連のフォーラムが開かれております。また、今月後半はメキシコのモントレーというところで開発のための資金会議というものが開かれる予定でございまして、これはやはり途上国からいたしますと、貧困の撲滅、あるいは、そういうためにも開発の促進が必要だというようなことで、かなりそちらに途上国は重点を置きたいということで、そのための資金をどうするかということが、大きな世界的な課題でございます。それらについて議論をしようということでございます。
 そういった議論も踏まえまして、第3回準備委員会を行う。そしてさらに、5月の末から6月にかけまして最終準備委員会がジャカルタで開かれます。これは、最終の3日間は閣僚級でやるということでございまして、先ほど申しました政治文書の草案を準備する。そして最後はサミットに至るということでございます。
 詳細は後ろに第2回の準備会合の結果の資料をつけさせていただいておりますので、また後ほどご覧を賜れば幸いでございます。以上でございます。

【森嶌会長】
 ありがとうございました。それでは、次に環境管理局からご報告お願いします。

【西尾環境管理局長】
 環境管理局長の西尾でございます。資料8で大気対策について、若干のご報告をいたしたいと思います。資料8に幾つかの事項を挙げているんですけれど、今日は自動車大気汚染対策に絞りまして、4ページと5ページで二つほどのポイントをご説明したいと思っています。
 自動車対策、いつも私ども三本柱ということで、低公害車と自動車NOx・PM法と排ガスの単体規制の三本柱でやっていまして、低公害車は資料をつけておりませんけれども、昨年の総理のイニシアティブに従いまして、3年以内に政府の公用車を低公害車に完全に切りかえるということで取り組んでいます。
 それから第2番目の柱は、昨年、法律を大改正していただきました自動車NOx・PM法でございますが、4ページのスケジュールにあるように、12月には対象地域を拡大いたしまして指定いたしました。2月には車種規制などの内容の政省令の準備を始めています。今、総量削減基本方針の案の策定中でございまして、こういう準備をいたしまして、本年の5月には事業者によります計画的な抑制対策を施行、それから10月からは車種規制を施行するというふうにして規制を強化していきたいと思っています。
 それから、5ページの排ガス規制値のところでございます。これにつきましては、ずっと自動車排出ガス専門委員会で大変詰めた議論をしてきていただきました。本日の午前中、池上部会長の指揮のもとに大気部会が開かれまして、専門委員会の報告が審議されました。新長期規制の導入に向けて、答申案を取りまとめいただいたところでございます。この後一月程度、パブリックコメントに供した後、4月中頃には答申をいただきたいと思っていますが、その中の一番ポイントになりますのが表になっていますけれども、重量の重い方の影響の大きいディーゼル重量車の規制でございます。上の方は2003年ごろの規制でございますが、窒素酸化物は米国・欧州に比べてきついんですけれども、PM(粒子状物質)はまだ甘いという状況でございます。これを2005年には、米国・欧州に比べても、日本というところに書いてありますように、世界で両方とも最も厳しい規制をやろうという意欲的な答申案を取りまとめいただいておりますので、ご答申いただきました上は2005年に向けて着実に実施できるよう取り組んでまいりたいと思っております。以上でございます。

【森嶌会長】
 どうもありがとうございました。それでは、水環境部からお願いいたします。

【石原水環境部長】
 水環境部長の石原でございます。水環境部の関係のご説明をさせていただきます。水環境の関係につきましては、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海のトータル窒素あるいはトータルリンの暫定目標の見直し、あるいは水域の類型の見直し等の答申をいただいたところでございます。また、ダイオキシン類の提出基準の見直しを現在、検討、ご審議いただいているところでございます。また、土壌農薬の関係につきましては、農薬の登録保留基準の答申、それから土壌環境保全対策についてのご答申をいただいたところでございます。本日は資料の9番ということで、特に土壌汚染対策についてのご説明をさせていただきたいと思います。
 土壌環境保全対策につきましては、昨年の10月に諮問させていただき、この1月に答申をいただいたところでございます。この答申に基づきまして、土壌汚染対策防止法を今通常国会に、この2月15日に提出させていただいたところでございます。資料に則しまして、その概要につきましてご説明させていただきます。土壌汚染対策についての社会的要請の高まりの部分につきましては省略させていただき、法案そのものの概要につきまして、ご説明させていただきます。大きく見ましてポイントは、一つは汚染のおそれのある土地をどうやって把握するか。その汚染の有無が判明した土地については、健康被害の防止措置を講ずるという2点からなっております。
 まず、1つ目の汚染の有無の把握につきましては、土壌汚染状況調査ということでございます。どのような場合に土壌汚染状況調査を実施するかと申しますと、有害物質を使用している工場等が別の用途に変わるような機会をとらえまして調査をしていただくというのが1点。それと、それ以外の場合、例えば地下水の監視をしている中で、汚染の疑いが非常に高い土地があるというような場合の調査命令という形での方法で、土壌汚染の有無を把握することにしております。
 土壌汚染の有無が把握された、汚染があるということで把握されますと、指定区域として指定し、その台帳に登録する。それと、その汚染がある土地につきましては、当然、健康リスクなりがあるわけでございますので、健康被害の防止措置ということで、知事の方から健康被害がないような措置をとるようにという命令を出すという構造をとっております。この場合、汚染原因者が判明する場合は汚染原因者に対し、そうでない場合に対しては土地所有者に対し、汚染状況等の措置をとっていただくということとしております。この場合、土地所有者等が措置を実施した場合につきましては、汚染原因者に費用を請求できる。なお、どのような措置をとるかにつきましては、汚染の状況あるいは土地の利用状況にかんがみまして、ここに「措置の内容」と書いてありますような立入制限、覆土、舗装、封じ込め、浄化といったような措置がとれるようにすることとしております。
 それから、スタティックな状態での汚染の防止というのは、そういうことになるわけですが、覆土、舗装というような形での措置をとった場合、その土地を深く掘り返すといった形での区画形質の変更がなされる場合につきましては、汚染の拡大のおそれがありますから、その場合には土地の区画形質の変更の届出をしていただくということとしております。
 このような体系で土壌汚染の防止を図ることにしております。その場合に土壌汚染対策の円滑な推進を図るという観点から、例えば住宅等の土地所有者について汚染原因者もいないというような場合での支援措置を予定しております。基金を造成して助成するということを予定しているところでございます。簡単でございますが、土壌汚染対策法案の概要の説明にかえさせていだきます。
 それから、フローと汚染の判明事例数が増加しているという状況の資料、現行の土壌環境基準、先ほど申しましたいろんなリスクの低減措置の事例としまして資料をつけておりますので、ご参考にしていただければ幸いであると考えております。以上でございます。

【森嶌会長】
 どうもありがとうございました。それでは、最後に自然環境局からご報告をお願いします。

【小林自然環境局長】
 自然環境局長の小林でございます。自然環境保全行政の最近の動きにつきまして、資料10でご説明申し上げます。
 1ページ、まず第1点目は、生物多様性の保全の取組でございます。生物多様性国家戦略というのが生物多様性条約に基づきまして平成7年10月に関係閣僚会議で決定されております。大分、日がたちますし、環境基本計画も策定されて新しくなったことでございますので、これの見直し作業に取り組んでございます。
 「経過」のところの三つ目のポツですけれども、平成13年10月10日、中央環境審議会に諮問いたしまして、自然環境部会と野生生物部会との合同部会を設置しまして、生物多様性国家戦略小委員会において積極的なご議論をいただいてございます。現在、パブリックコメントの募集をしているところでございまして、3月の最終的には25日の日に合同部会を開催いたしまして、ご答申をいただきたいというスケジュールでございます。
 最終的には、前回と同様、ことしの3月末を目途に関係閣僚会議において新しい国家戦略を決定していただきたいということでございます。
 見直しのポイントが三つございます。生物多様性の保全に関しましては、まだまだ危機的な状況が過ぎていないという認識のもとに、さらに保全の強化をするということ。それから2点目ですが、保全の強化に加えまして、失われた自然を積極的に再生、修復していくということ。さらに3点目は、生物多様性保全に配慮した持続可能になるような施策を進める。この3ポイントで新しい戦略をつくろうということです。
 特色といたしましては、特に里地里山の自然環境、人為的なかかわりのある自然地域の保全の問題。次のページになりますけれども、湿原ですとか水辺、干潟、藻場、珊瑚礁とといったような減少とか劣化の著しい湿地、ウエットランドの保全の重要性について指摘しております。
 その中で、また2番目で自然再生事業に関しましても重要な課題テーマとして掲げてございますが、そのために(2)に書きましたように、14年度から関係省庁の連携で自然再生事業を積極的に推進していくということも、国家戦略に盛り込むとともに、もう既に来年度の事業から実施しようとしています。この2ページの一番最後のところに、環境省でもこの取組を始めようということで、来年度予算要求で釧路湿原と埼玉県くぬぎ山の雑木林というところで自然再生事業を関係省庁と連携する予定にしてございます。
 3ページでございますけれども、自然公園法の改正ということも、今回の最近の動きとしてございます。自然公園につきましては、従来、自然風景地の保護ということで進めてきましたけれども、その施策に加えまして、生物多様性の保全を図る観点から施策を充実させていきたいということで、改正の概要のアに書きましたように、責務の規定で、国及び地方公共団体の責務として、自然公園内の生態系の保全ですとか、生物多様性の確保を図るということを明確にいたします。
 それから、イで書きましたように、近年、利用者が集中したりしまして、踏みつけ等による植生破壊などが進んでおりますが、そういうことを防止するために、国立・国定公園内に新たに利用調整地区という名前の地区を設けまして、そこに立ち入る利用者の数を調整するような制度をつくるとか、また、自然公園の特別地域内での高山蝶というような動物の捕獲ですとか、廃車・廃タイヤなどの廃棄物を集積したり貯蔵したりする行為を許可制にいたしまして、地域の保全を図るというようなことを考えているところでございます。
 4ページの3は野生生物の保護・管理に関してでございます。希少な野生生物の保護に関しましては、種の保存法に基づきまして、引き続き施策を推進することにしております。(2)の鳥獣保護の管理につきましても従来どおりでございますけれども、5ページの上の方、ウというところに書きましたように、鳥獣保護法の改正を検討してございます。この法律は大正7年に制定された古い、現在も片仮名書きの法律でございまして、大変、条文の構成も読みにくく、入り組んでございますので、これを平仮名書きにするとともに、条文もわかりやすいような形で体系的に整理し、手続規定も現代的なものに改めるということでございまして、今年の1月8日に中央環境審議会の野生生物部会でご答申をいただいたところに基づきまして、ここの[1]、[2]、[3]に掲げてありますような項目について若干の改正をいたします。この問題につきましては、まだまだいろんな面で制度的な問題点を抱えてございます。平仮名書きにしました後、現在、自然環境局に検討会を設けて抜本的な制度についてどうあったらいいかという議論を進めておりますので、その方向がまとまりましたら、また改めて審議会でのご審議を賜るというようなことも考えてございます。
 また、(3)に書きましたのは、近年、各地で移入種の問題が起きてございます。ここのアに書いたように、いろいろな外国からの生物が生態系の攪乱をしている状況があります。在来の生物についての大きな影響が出ています。これについては、当面、環境省では奄美大島ですとか、沖縄のヤンバルとかでマングースの駆除とかというようなことで実際にやっておりますとともに、[2]に書きましたように、皇居外苑のブルーギルにつきましても、在来の魚を駆逐するということで、これの駆除対策もやっています。ただ、個別的な対策だけでは、なかなか全国的な問題に対応できませんので、平成12、13年度2カ年で我が国の輸入種問題について、全体像をどうしたらいいか検討しております。基本的な対応の方向を明らかにしていきたいというふうに考えてございます。
 次の6ページでございますが、これはバイオセイフティーに関することでございますが、遺伝子改変生物の利用に伴いまして、これが野外に出て、生物多様性の影響が大きな問題になる可能性があるということで、これを防止しなければならないということで、この遺伝子改変生物の輸出入の手続、国際的な枠組みについて、「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」というのがございます。これが採択されてございまして、この発効は50カ国が締結すると90日後に発効ということで、今年の秋にもヨーロッパが参加してきますと発効する可能性があります。
 我が国も早期に国内体制を整備する必要があるという認識のもとに、関係省庁連携しまして、国内措置の検討を開始しているところでございまして、環境省におきましても、今年1月から中央環境審議会野生生物部会におきまして小委員会を設けて検討しております。今年の前半には、ある程度、方向をまとめまして、関係省庁の連携のもとに、国内の法整備が必要となるのではないかと考えているところでございます。
 それから、7ページでございますけれども、動物の愛護及び管理に関してでございます。省庁再編に伴いまして、「動物の愛護及び管理に関する法律」が環境省の所管になりました。現在は(2)に書きましたように、動物の飼養保管基準の見直し作業につきまして、中央環境審議会動物愛護部会で昨年の12月に諮問いたしまして、ご審議をいただいているところでございます。年度内を目途に答申をいただきたいということで作業を進めているところでございます。以上、簡単ですけれど、ご報告を申し上げます。

【森嶌会長】
 どうもありがとうございました。以上をもちまして、各部局からのご報告が終わりました。
 先ほど申しましたように、一括してご質疑を承りたいと思いますが、何局、何局とやっておりますと、また時間のめどもつきませんので、どの部局に対してでも、また、どなたからでも結構ですので、どうぞご質問、ご意見ございましたら、よろしくお願いいたします。いつも申しますけれども、最後の方になって終わりの時間を超えるときに、たちまち手が挙がりますので、なるべく早くに、また後からお手をお挙げいただいても結構ですので、どうぞお気付きの点がございましたら。はい、どうぞ。

【浅野委員】
 自然環境行政に関してのご報告をいただいたわけですが、自然再生事業について、ここにこういうご報告がございますけれども、報道で聞くところによりますと、議員提案で法案が提出されるのではないかということも出ておりますが、その辺について、もし今の段階で何かおわかりのことがありましたらお聞かせください。
 それから、私は自然再生事業については、温暖化対策のシンクの方の観点からも、積極的にうまく連動させて取り組めればいいとかねてから考えておりまして、地球環境部会でも、シンクの問題について、本当に割り当てをもらった分だけこなせるんだろうかという議論もやっているわけで、その辺のつながりについてもぜひお考えをお聞かせください。

【小林自然環境局長】
 自然再生事業の推進につきまして、現在、与党、自民党・公明党・保守党の議員の先生方の間で、議員立法として推進の法律をつくるという検討作業が行われていることを承知しています。事実関係からいいますと、公明党の案が1回出てきまして、今、与党3党でその法律をつくるという方向になっています。基本的には、関係する事業省庁がございますけれども、環境省、国土交通省、農林水産省という事業省庁も積極的に意見を述べさせていただきながら、その法案の作業を進めているところでございます。いずれにしても今の認識では、役所、官だけが、国とか地方自治体だけが、この再生事業に取り組むということではなくて、民間の学識経験者の方とか、NGO、NPOなどの民間の活動団体の方も広く積極的にご参加いただくような仕組みにしたいというのが大勢の議論のように伺っております。
 それから、シンクの問題でございますけれども、勿論この自然再生事業というのも、自然のシンクの問題、吸収源としての役割を果たし得ると思っております。これだけではなくて、森林の管理の問題というのはもっと幅広くございますので、それはまた別途検討はしているところでございます。

【森嶌会長】
 ほかにどうぞ。ございませんか。ご報告のなかった点につきましても、先ほど申しました、これは審議会の開催状況について、いろんな専門委員会部会の開催状況をざっと並べたものでありますが、関連した事項についてのご質問、ご意見でも結構でございます。どうぞ。

【鈴木委員】
 化学物質の問題を考えるときに、人の健康の問題と生態系の保全の問題と、ようやく列挙して常に二つの問題として提起されるようになってきたわけですけれども、人の健康の問題だけというわけにはいかなくなってくると、環境省の中でいえば環境保健部と自然環境局とがその問題を両方から扱っていかなければいけなくなるわけですが、その辺のところはこれからどのように展開していくのでしょうか。

【岩尾環境保健部長】
 化学物質の問題につきましては、ちょうどこれの前にも環境保健部会でご報告させていただきましたが、OECDのレビューによっても、化学物質に対する問題というのを、人の健康のみならず、生態系への影響の観点からも考えるべきというカントリーレビューといいますか、日本に対する報告をいただきました。それを踏まえて、一応、環境省の中では、私の環境保健部というところが窓口となりまして、一元的に化学物質の健康への影響及び生態系への影響ということについてのリスクの評価をしていこうということは考えております。
 問題は、リスクがあると、またそのリスクを定量化する意味での環境媒体として、水質ですとか、水の底質、それから大気、あるいは野生生物等々、それぞれのメディアの中に、どの程度の化学物質が存在しているかということについては、各局、各部の協力をいただいて現在も調べております。そのような中で、一定の生態系へのリスクがあるということであれば、詳細な評価をした後に、それぞれの所管するところで規制ということにつながっていくのかなというふうに思っています。
 したがいまして、現在5万とも10万ともあります化学物資につきましては、まずきちんとしたリスク評価をしていこうということで、平成9年から始まったシステムに則ってやっておりますが、これをより詳細な評価、そして健康に影響があれば、もちろん私ども及び健康を所管する省庁にもきちんと通報はしてまいりますけれども、環境についても、それぞれの所管部局と連携をとるというシステムで進めていくということになっております。

【森嶌会長】
 既存の化学物質のリスク評価というのは、どれくらい進んでいるんですか。

【岩尾環境保健部長】
 ちょうどPRTR法が始まったということもございまして、平成9年から進めたものにつきましては、現在のところ39の物質について終わっています。そして、先ほども出ましたが、私ども昭和47年から環境中に存在する化学物質を幾つか調べておりますが、現実的にはまだ数百のオーダーということで、5万、10万とあるものをどうするのだということを先ほどの部会でもご指摘いただきましたけれども、より効率的に調べていくということが必要だろうと。その場合に、PRTR法で出てくるようなプライオリティーの高い物質ですとか、それから、より多く生産され、より多く環境に排出されている物質のようなものに重点を置いて、今後きちんとやっていこうということで、今ルールを、今までが場当たりと私が言うわけにいかないんですが、今後きちんとした形でルールづくりをやっていきたいというふうに考えています。

【森嶌会長】
 どうもありがとうございました。はい、どうぞ、今のと関連して。

【鈴木委員】
 続きで、実は今の話から入っていくと、自然環境局で考えておられる生物多様性の問題と、実はそこでつながってくるのではないかと。そうすると、生物多様性の問題を考えていく上で、化学物質対策というのは、それこそ環境内分泌攪乱物質問題みたいなところがあるわけですけれども、あれは人よりも、むしろ野生生物に対する影響の方がはるかにはっきり見えている出来事ですから、そこを抜きにしてはいけないわけです。どうも今の環境保健部から入っていったアプローチと、自然環境局からその問題をどう扱うかというのが、私には何となく今までのところインテグレーティッドな構造にうまく見えないというのがあるんですが。

【南川総務課長】
 恐縮ですが、今、桝本委員が来られましたので、ご紹介させていただきます。

【桝本委員】
 遅参いたしまして、桝本でございます。よろしくお願いいたします。

【小林自然環境局長】
 化学物質による野生生物への影響ということで、鈴木先生もご存じのように、我が方としても環境ホルモンのいろんな野生生物の蓄積状況を調べてはいます。生物多様性国家戦略の中でも、その方向というのは入れておりますけれども、先ほど環境保健部長からのご説明がありましたように、例えば環境ホルモンについてだけですけれども、野生生物への顕著な影響がまだそれほど確認されていないという。その辺を、もうちょっと様子を見て、リスク評価の中での判断でどういうふうに対応するかということを考えていきたいと思っています。
 現在はリスク評価をしている段階で、その結果これから対応しなければいけない状況になれば我が方からと、また発生源の方に削減をお願いするようなことも出てくるかもしれません。野生生物への影響調査の結果からは、これまでのところそんなにすぐに対応しなければいけない状況にはないと思っております。

【藤井委員】
 大気の方で、ディーゼルの規制値が世界一厳しくなると、これは非常によろしいことですが、1ページの燃料品質の規制強化のところについて伺います。
 従来、新環境基本計画の中で、私もこの問題を取り上げて、ぜひこの硫黄分の削減をというお話をしてきましたので、この500ppmから50ppmまで低減する予定というのは非常にうれしいことですが、これはディーゼルの重量車についてまずやるということで、全体で言えば、平成16年度末までで500ppmが全ディーゼルのどのくらい、50ppmがどのくらいの割合でしょうか。そして、その後、最終50ppmにどう持っていくかという、その辺のスケジューリングをちょっと教えてください。

【西尾環境管理局長】
 今の点でありますけれども、現在も500ppmが燃料基準ですけれども、それよりもきれいな燃料も一部は出ているわけです。そういうものを全体に普及させるという課題が一方であったわけですけれども、この17年の新長期規制をやるときには、DPFといいますか、フィルターをどうしてもつけないといけない。そういうようになりますと、燃料は500ppmではもたないということでございますので、軽油の燃料基準としても全部50ppmにしてもらわなければいけないということでございますから、全部50ppmにしていただくということで、16年末までに各石油の関係のところで設備投資をしていただいて50ppmにしていただくということでございます。ですから、17年の規制強化に対応する、その前に16年には燃料は50ppmに全部していただくということで進めます。

【竹内委員】
 先ほど小林局長が説明されました生物多様性国家戦略のことなんですが、その中での移入種動物に関するものがございますね。一方動物愛護の方では、愛護対象動物、特に現在飼育管理基準を検討している家庭で飼われている動物が随分変わってまいりまして、これからますます広がるだろう。そうすると移入種動物がどうしてもその中に入ってくる。その辺の規制をどういうふうにうまく調整していかれようとしていらっしゃるのか、その辺の基本方針がおわかりになれば聞かせていただきたいと思いますが。

【小林自然環境局長】
 非常に難しい問題を抱えています。現実のお話を申し上げますと、今、沖縄県の北部ヤンバル地域で、ヤンバルクイナですとか、そこの地域固有の、世界でそこにしかいないような生物に対して、マングースの被害、それからマングースだけならまだあれなんですけれども、野猫による捕食害が起きていまして、マングースの捕獲とともに野猫もわなにかかるものですから、捕獲した上で、それをどう処分するかということでございます。
 マングースにつきましては、従来、野生生物の範疇の中で、捕獲したものは一応、殺処分にするということにしております。猫の問題につきましても、このまま放置しておきますと、いつまでたってもヤンバルクイナなどへの影響というのが非常に大きな問題があります。不妊手術をして放すということもありますけど、結局それが生きている間は固有なヤンバルクイナなどへの野生動物への影響ということがありまして、生態系への大きな影響が懸念されますものですから、今の段階では猫も、具体的にはある一定期間置きまして、普通の野犬とか捨て猫と同じ取り扱いで一定期間を置きまして、引き取り手のない個体につきましては、やむを得ず殺処分というような形にしています。
 やはり、もともとは飼っている方がきちっと管理をするということが大前提でございまして、その点、現在、動物愛護部会でご審議いただいていますペットの飼育管理基準というものを、しっかり動物、ペットを飼う方々には徹底してもらいたいという気持ちですけれども、やむを得ず手放したり、それが野外に出て、いろんな状況を及ぼすときには、ある程度そういうことは、引き取り手がない場合は殺処分にせざるを得ないという現状であろうかと思っています。

【竹内委員】
 よくわかります。その辺はなかなか難しい微妙な問題があるんですが、やはり、動物を必要があって処分するといっても、それに対して非常に敏感な人たちがいることも事実ですし、今のところ、同じ局の中ですけれども別々に進んでいるようではありますが、やはり生物多様性の問題、特に移入種動物をどう処分してどうコントロールしていくかという問題と、一方の動物愛護の問題と、どこでどういうふうに整合性を図っていくか、あるいは処分についてのきちんとした論拠をどういうふうに定めていくかというあたりを、ぜひ慎重に検討していただけたらなと思います。

【和気委員】
 2点ほど伺いたいところがございます。一つはフロン回収の法律と、自動車リサイクル法へのつなぎのところの考え方にやや不安がありますので、その辺を伺いたいというか、確認、要望も含めてお話ししたいんですが、フロン回収及び破壊の委員会に参画いたしまして、フロンを引き取って回収し破壊するという仕組みについて、それなりの成果が出てくるような仕組みが考えられ、それが法制化するわけですけれども、今度、自動車リサイクル法の中に、そのフロン回収法がそのままどういう形で組み込まれるかによっては、自動車が放置されると、そのままフロンが放置されるという仕組みになってまいります。自動車が放置されるという、全体が放置されるのと、フロンがどういう形で何の回収、破壊もされずにそのまま放置されるのとでは、またさまざまな環境への影響が違ってまいります。
 そこで、今般決まるフロン回収破壊法と自動車リサイクル法のつなぎの部分がどうなっていくんだろうかという辺を、もし追加的に何かご説明いただければありたたいなという点が第1点です。
 第2点は、地球温暖化問題についての、これは前にもご質問した点につながるんですが、今般オランダとパナマがCDMについての政府間協定を結んだという情報も入ってまいります。イギリスも二国間協定をいろいろなところと結ぶことについて、かなり積極的に動いております。このCDMの協定については、政府自身が動かないことには、民間各主体がどうにもならないところもございます。そこで、そのCDMの二国間協定に向けての、あるいは多国間もあり得るかもしれませんけれども、日本政府がどのくらいまで動き得るのか、動いているのか、その辺の事情を伺いたいなというふうに思っております。

【飯島廃棄物・リサイクル対策部長】
 フロン回収破壊法と、これからつくります自動車リサイクル法との関係でございますが、フロン回収破壊法のときから、自動車リサイクル法がこの後できるということで議論をしてきていただいているわけでございまして、具体的には、フロン回収破壊法の第2種特定製品、カーエアコンからのフロンの回収に関する規定は、自動車リサイクル法に移行するという考えです。ただし、破壊に関する規定については、引き続きフロン回収法に置いておく。
 今、この10月から施行になりますので、細かい法的な調整事項については、現在詰めているところでございます。そこは全く心配のないようにやっていきたいと思っていますし、ご心配の自動車が放置されたらというお話なんですが、この自動車リサイクル法は、いわゆる放置自動車とか不法投棄車がなくなるように義務づけをして、初めにリサイクル料金をとって、今まで放置自動車問題や不法投棄問題がありまして、それについての解決方法というのは別途考えなければいけないんですが、この法律によって、そういった心配は少なくなるというふうに考えております。

【浜中地球環境審議官】
 CDMについては、私どもも我が国の京都議定書目標の達成にとって、きわめて重要な役割を果たすべきであろうと考えておりまして、本日は時間の関係もございましたから資料の説明を省かせていただきましたが、お手元の資料6の参考の1に2月13日の地球温暖化対策推進本部決定というのをつけてございますが、その中で、裏側と申しますか、地球温暖化推進法の一部改正法案に盛り込む京都議定書目標達成計画と、そこの四つほど要素が書いてございますけれども、2番目の○と申しますか、そこに京都メカニズムの活用ということで、途上国の排出削減などのODAの活用といったことも書いてございますけれども、具体的にこれをどう進めるかということで、おっしゃいましたように、私どもも政府の役割が非常に大きいと思います。よほどしっかりしたサポートをしないと、民間企業が十分に役割を果たして、途上国でプロジェクトを形成するということも難しいと思いますので、条件整備を急ぎたいと思っております。
 オランダがパナマと二国間協定を結んだことも我々は非常な関心を持って見ておりまして、所要な情報収集もしたいと思っております。その他、先進国各国、アメリカも含めて、いかにしたら効果的、効率的にこのCDMのプロジェクト形成が進むのかということについて、お互いの経験を交流し合い、そして、よりよいアプローチを模索していきたいというふうに思っているところでございます。
 今のところ、主要途上国との間で、まずは政府レベルで政策対話をしていきたいということで取りかかっているところでございます。まだ協定といったところまで話は進んでおりませんけれども、そういうオランダのアプローチなども大いに参考にさせていただきながら、大いに京都メカニズムの活用が進むように取組を進めていきたいというふうに考えております。

【村杉委員】
 ただいま、それぞれの部局から、今後のいろいろな施策についてご説明を賜りました。それぞれの部局での環境行政としては、ごもっともな部分が多いと思うんですけれども、やはり例えば自然環境保全にしましても、化学物質にしましても、地球温暖化にしましても、一般の市民、生活者がいろんなことに取り組まなければいけないのは論をまたないわけです。
 そこで、横断的施策としての環境教育とか人材育成という部分は、やはりもっともっと力を入れてやるべきだろうと思うわけですが、その辺のところについての国としてのサポート、これは「環境行政の課題」という参考資料で拝見しますと、「環境教育」の部分で「こどもエコクラブ」、「環境カウンセラー」、「NGO等に対する支援」というのが課題として挙げられておりますが、その程度のところなのでしょうか。横断的な環境教育の部分について、ご説明をちょうだいできればと思います。

【炭谷総合環境政策局長】
 私自身、今ご指摘のように、環境政策を推進するという立場に立ちますと、基盤としての環境教育、また環境学習といってもいいのかもしれませんけれども、そういうものが大変重要だろうなというふうに思っております。やはりそれは、できれば保育園、幼稚園ぐらいの若い世代から、さらに小・中学校、場合によっては、さらに高齢者と、各年齢層に応じた環境教育、環境学習というものがあるべきではないのかなというふうに思っています。
 特に最近、強い要求がありますのは、来月から小学校で「総合学習」という時間が設けられますので、その中で環境というものが四つの分野の中の一つの大きな分野として取り上げられるということですので、そこにおいても環境というもので、ぜひ効果的な学習というのは進められないのかなということで期待いたしております。
 ただ、いずれにしても、どうもこういう環境教育、環境学習といった場合、そのやり方、どういうふうに学んでいただいたらいいのかなということについて、まだまだ日本の場合、開発が十分されていない。開発されていても、それを教えていただく方々、リーダー、学校の先生たちの教育というのは不十分ではないかなと。そういう面についても力を入れていかなくてはいけないというふうに思っています。
 最近、ヨーロッパの環境教育について、詳しく聞く機会がございました。ヨーロッパ、特に北欧では、こういう環境学習が日本に比べて20年ぐらい進んでいるのではないかなというふうに感じたわけでございますけれども、ぜひ、環境政策を支える意味で、もう少し私どもとして力を入れていきたい。
 今おっしゃいましたように、エコクラブとかいろいろとやっておりますけれども、やはり何かもっと基盤的なものを充実していきたいということで、私ども今、いろいろな広がった人たちから意見を聞いて勉強しているところでございます。

【森嶌会長】
 どういうふうに取り組むつもりかという点は、いかがですか。どういうふうに国としてサポートしておられるか、あるいはサポートするつもりかというご質問にはいかがですか。

【炭谷総合環境政策局長】
 結局、私ども、例えば国としてのサポートとなりますと、どうしても今の状態、今ご指摘されましたように財政的な支援とか、また、いろいろな仕組みというのは、まだ弱いんじゃないかなというのがご指摘のとおりだろうと思います。いかにこれを充実させていくかというのは、先ほども申しましたように、もっといい方法はないかということについて検討していきたいというふうに思っております。

【一方井政策評価広報課長】
 ただいまの点に補足でございます。資料6の地球温暖化対策のところで、一番下に「環のくらし会議」というのを始めたというのがございました。これは、まさに京都議定書の目標を達成するという意味では、地球温暖化対策は確かに目的ではあるんですけれども、「環のくらし」というのは地球温暖化対策だけではなくて、自然の面でも廃棄物の面でも、すべての面で環境に負荷がなるべく少ない暮らしをしようというものでございます。
 第1回目は確かに有名人の方を集めて、一般の方のご関心も高めようということだったんですけれども、今やっておりますのは、この下に分科会を4つほどつくる作業を進めております。そこでは、企業の方とか、実際の実践団体の方とか、あるいは関係省庁も入ることにしておりまして、そこでいろんな具体的な討議、例えば消費者の側からいくと、こういう製品なり、こういう技術があるともっといいなということはあると思うんですけれども、そういうのを企業の方に受けとめていただく。あるいは、企業の側からすると、せっかくいろいろこういうものを開発しても、消費者の方は安いものばかりで全然買ってくれないというような話がありますので、そういうようなものを分科会の中でやっていくことによって、いろいろ新しいアイデアが出てこないかということでございます。
 この「環のくらし会議」全体としては、今、全国でいろんな形で既に活躍してといいますか、頑張っていただいている団体がたくさんありますので、そこと極力まずリンクをつけて応援をするというのと、その際に教材、ツールがなかなかないというお話をします。それで、最近ではDVDというような新しいメディアも出てきておりますので、そういったものを我々、今、一生懸命つくり始めておりまして、あるいはインターネットから簡単にダウンロードできるような教材をどんどん示せないかとか、そういう教材の提供も含めて、できる限りのお手伝いをさせていただこうと思っております。

【桝本委員】
 今の環境に関する教育についてでございますが、私は、ぜひお願いがございます。
 文部科学省の今の方針は、周辺から拝見していると、小学校、中学校の時間が減ってきております。おっしゃるとおり総合学習の時間がふえる等はありますけれども、したがって環境省だけで、この問題に取り組むということではなくて、文部科学省、ここにこれだけ大学の先生がいらっしゃいます。ここにいらっしゃる先生方のお知恵も大いにお借りして、検討ではなくて、すぐ始めていただいた方がいいのではないか。
 私の小さいころを思い出せば、やはり環境に関心を持つのは観察とか、野外活動とか、場合によっては実験とかいうところから入るわけです。ところが実際は小学校、中学校でも、こうした時間が徹底して減ってきております。だとすると、環境のところだけ切り離して勉強の態勢をとっても、実際の学習の場では時間的にとれないという問題にぶつかります。くれぐれも、文部科学省の大きな教育の場づくりの中で、この問題を位置づけるというきわめて具体的なところで、私は手を染め始めていただく必要があるというふうに思いますので、お願いでございます。

【炭谷総合環境政策局長】
 環境教育、環境学習についての文部省との連携というのは、当然、重要なことで、私ども既にそういうものについて両省間でやっております。
 例えば、これは自然環境局の方の所管に属しますけれども、こどもパークレンジャー事業というものは、文部省との連携事業として位置づけて、例えば来年度であれば、資料に載っていると思いますけれども、1,700万円程度の予算を計上して取り組んでいるところでございます。
 確かに桝本委員がおっしゃられましたように、学校においての環境教育というものに、もっと力を入れなくてはいけないというふうに思います。これについて、私自身、今いろいろと勉強しているんですけれども、例えば環境というものを独立して教えるのがいいのかどうかということについて、何かいろいろな専門家の意見を聞きますと、その方がいいという意見と、そうではなくて、ほかの学習と一緒に融合した方がいいというような両論があるというふうなご意見を伺ったりしております。ただ、いずれにしても、よりよい、効果的な学習、体験を通じた学習というものについて、文部科学省と既にいろいろと連携事業をやっておりますけれども、さらに強化していきたいというふうに思っております。

【竹内委員】
 ただいまのことに関してですが、総合環境政策局長からそういうお話があったのは、大変心強いと思いますが、実は私どもがお手伝いをしております動物愛護の方でも、ご承知のように文部科学省では、最近、初等教育における学校飼育動物というのを非常に大きく取り上げて、大きな柱にしようとしています。それはもちろん文部科学省がやってくださるのですが、同時にその場合、今ちまたといいますか関係者の間で心配しているのは、学校で飼われている動物、これは家庭の動物の延長として情操教育にということで飼われているわけですが、これがうっかりすると、動物虐待のお手本になりかねないという点です。どうしても動物愛護の方からも、先ほど小林局長がご紹介になりましたように、今、飼い方の基準をつくっておりますけれども、その中で学校飼育動物についても愛護の視点からどうしても触れざるを得なくなる。
 ですから、省庁間にそれぞれ壁があるとは申しませんが、文部科学省がカリキュラムを押さえているでしょうけれども、その中で動物については、まさに動物愛護の部分は中央環境審議会の部会の仕事になるわけです。同様な意味で、先ほどおっしゃいました環境教育全体にしても、環境教育というもは単純に考えられるものでは必ずしもないのではないか。
 そうなると、かなり胸襟を開いたといいますか、お互いの連携を密にしたプロジェクトチームができてこないと、いい教育ができないのではないのかなと。恐らく文部科学省は文部科学省で当然教育のポリシーを持っているわけですから、その中にどう入れていくかということですので、ぜひ、その辺をうまく交流をしながら、実を上げるようなシステムをつくっていただけるとありがたいなと思っております。

【中川環境事務次官】
 前総合環境政策局長として、一言申し上げます。
 私が局長をしておりましたときに、文部科学省の初等中等教育局長のところに私も伺いまして、総合的学習の時間に小中学校の先生が、どういうふうにして環境を取り入れていただけるのか。実は文部科学省もそこのところは非常に悩んでいるようなんです。一つは、環境カウンセラーという方が全国に2,500人ぐらいおられるわけですが、市民運動をされている方、あるいは企業で環境関係の仕事をされて退職された方とか、まだ2,500人ということで少ないんですけれども、これもなかなかボランティアでやっていただいているので、こういった方をどんどん増やしていきたいと思っておりますが、この環境カウンセラーも全国組織ができたばかりで、これからさらに充実していく方向になっていると思います。
 それで、総合的学習の時間に環境カウンセラーの方を活用していただく。それで、13年度の補正予算で雇用対策のお金が大分つきましたが、その教育の分野にも、そういった環境カウンセラーを活用して、謝礼が払えるようなシステムもでき、それで、環境カウンセラーの名簿を教育委員会にご紹介しております。それからまた、各学校の先生が主として総合的学習の時間に環境を取り上げていただけるように、先生向けの教材を教育委員会に配布しています。
 そういったようなことで、環境省と文部科学省は、まだ十分に連携し切れているとは言えないと思いますけれども、そういったことを始めて、さらに強めていきたいと思っています。

【中西委員】
 リサイクルの関連でお聞きしたいと思うんですが、循環型社会形成基本法では、優先順位、発生抑制と2番目に再使用、3番目に再生利用という優先順位が書いてあるんですが、現在いろいろ整備されている容器包装リサイクルとか家電リサイクルとかいう内容を見ると、どちらかというと再生利用のあたりに重点が置かれた施策になっているように思うんですが、基本である発生抑制についての施策というのか、これはなかなか目に見えてこないんですが、このあたりは具体的にどういうふうに取り組んでおられるでしょうか。
 これはまた、経済の活性化と相反するような、非常に難しい問題があるので、非常にやりづらいかと思うんですが、基本としてはそれが重要であるので、このあたりはどういうふうにお考えになっているのかといことをちょっとお聞きしたいと思います。

【飯島廃棄物・リサイクル対策部長】
 私ども、おっしゃったとおり循環基本法で廃棄物リサイクルの政策の優先順位を定めております。今、中西先生がおっしゃったように、レデュース、発生抑制が第1。第2にリユース、再使用。第3にリサイクルなんですがマテリアル・リサイクル。そしてその後にサーマル。ケミカル・オア・サーマルですね、熱回収。どうしても最後に適正処分しなければいけないものが残るという順位を定めています。
 これは、基本的には環境負荷を抑えようという順番から考えると、それが原則だろうというふうに考えておりまして、発生抑制対策というのは、直接的にやるのはなかなか難しい。例えば、処理費用を正当に払うようになれば、当然、処理費用を少なくしようということで発生抑制のインセンティブが働くと思いますけれども、現在よく言われているのは、容器包装リサイクル法なんかもそうなんですが、リサイクルの制度をつくることによって、メーカーが、もちろんリサイクルしやすい製品をつくるとインセンティブも働くのですが、その後で処分しなければいけませんので、例えばペットボトルの肉厚を薄くして、ごみになる量を減らしていくとかというインセンティブも働いてくるということが言えると思います。これは、家電も自動車も同じようなことが言えると思います。
 それから、よく言われるのは一般廃棄物、一般のごみの場合には、今はほとんど税金でやっておりますけれども、有料化という動きもだんだん活発になっておりますし、確かに発生抑制を直接言うと、生産する製品を少なくしろというような話につながるとなかなか難しい問題がありますが、今申し上げたように、リサイクルを進めるに当たって、リサイクルしやすい設計と同時にもともとの製品を軽量化していく。肉厚を薄くしたりといったことも現実に今ペットボトルなんかでは起こっていることでございます。

【中西委員】
 このことは地球環境問題の基本ともかかるので、全世界のコンセンサスを得なければならない問題だと思うんですが、やはり環境サイドの、いわゆる地球環境問題というのは、地球資源とかエネルギー問題とセットで考えなければならないし非常に大きな問題ですが、その受け皿となる社会経済システムがなければなかなか回ってこないと思うんですが、そのあたりも基本戦略としてご検討いただければ幸いだと思っております。

【森嶌会長】
 それでは、ほかに。ございませんですか。
 長時間にわたって議論してまいりましたけれども、私も環境省が発足して以来、大変少ない人数で、今日ご報告がありましたようなことを頑張ってこられ、しかも、自分の省だけで決めれよいということでは済まない、つまりいろんなところで、先ほどのご報告でも、いろんな省との共管であると。
 その点で、環境省は自分の考え方で政策を進めるという場合であっても、他省庁との調整というようなことはあり、それも残念なことに現時点では、先ほど各省庁の壁はないと思いたいというようなご発言がございましたけれども現実にある。その中で、大変今日の各部局からのご報告で意欲的にやっておられるということは高く評価したいんですけれども、やはり、国民の期待が高ければ高いほど、だれかの何かではありませんけれども、もしもそれが達成されないときの国民の失望というのは非常に大きいわけです。
 中央環境審議会では、新しい環境基本計画というものをつくったわけでありまして、いずれ点検という形で見直していきますけれども、ぜひ各部局とも、目の前の仕事は大変忙しいということは十分理解できますし、今やっておられる問題でも、かなり長期的なターゲットにつながることをやっておられることもたしかでありますけれども、ぜひ省として全体として、環境基本計画が別にバイブルだとは申しませんけれども、あそこではかなりストラティジックにものを考えて展開しているわけですので、各省庁とも日ごろの大変な激務の中で、自分たちが今やっていることは環境基本計画のどういうところに位置づけられるのか、さらには環境基本計画の全体の推進の中で、今やっていることはどの程度のどういう効果を持つのかというようなことを、せめてというと語弊がありますけれども、各局長において常日ごろ意識していただきたいと思います。
 今度の機構改革もありまして、中央環境審議会の総会というのは、今日もややそういうところがありますけれども、お祭りのところがありまして、具体的に政策をぎりぎりと検討するというようなことにはなっておりません。
 それから、かつては企画政策部会という形で総会にかえてやっておりましたけれども、現在は各部会でそれぞれやっておられるわけですので、各部局の責任者が全体の省内の調整と同時に、国の環境政策全体の調整ということを頭に入れていただいて、たまに集まる我々に、こういうふうにこれをやったというだけではなくて、このやったことは、こういうふうに環境基本計画の中で位置づけられるというような形で私どもにお示しいただければ、私どもにとっても非常に参考になりますけれども、恐らく環境省が新しく発足して1年たって、これをだんだんと積み重ねていく過程で、長期的に見れば、そうした政策の進め方が全体として統合的な、調和のとれたというのはともかくとしまして、要するにインテグレーティドされたものになるだろうというふうに思いますので、今日いいお話を伺ったことを感謝いたしますけれども、ぜひさらにせっかくできた環境省が国民の期待に沿うような総合的な政策を進められることを、私としてはお願いをしたいというふうに思います。
 ほかに特別にご発言がありましたら。あるいは副大臣、大臣政務次官、何かございましたら、せっかくの機会ですのでどうぞ。

【山下環境副大臣】
 2時間弱の会合であったのでございますけれども、全体会合でございますのでなかなか議論が詰め切れない部分もあったというふうに感じますけれども、今日ご発言いただいた内容につきましてしっかりと勉強させていただきまして、今後の環境政策に生かしていきたいと私自身もそのように感じました。
 省に昇格いたしまして1年ちょっとたちました。冒頭に申しましたように、環境への配慮といいますか、これはますます一人一人の生活に重みを増す時代状況の中にありまして、この中央環境審議会の役割も、単に環境省の審議会という形ではなくて、まさに首相直属の審議会の役割を求められるような、重みを増す状況になってきているのではないかというふうに感じております。
 そういう意味で、一挙にはまいりませんけれども、日本の国内におきましても、環境省の重要性が他省庁に影響を与えるような状況になることが、私は健全な日本になっていくのではないかというように感じておりまして、今日お集まりの先生方の使命といいますか、本当に期待されているというふうに、改めて今日は痛感させていただいた次第でございます。きょうは本当にありがとうございました。

【森嶌会長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、長時間にわたってありがとうございます。本日の会合をこれで閉会させていただきます。どうもありがとうございました。