中央環境審議会第27回総会議事録

日時

令和2年7月31日(金)10:00~12:30

場所

TKP新橋カンファレンスセンター「ホール11D」

議事録

○秦総務課長 おはようございます。それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第27回総会を開会いたします。

 私、環境省大臣官房総務課長の秦でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

現在、委員30名のうちWEBでのリモート参加の委員を含めまして27名の委員にご出席をいただいております。定足数であります過半数を満たしており、総会は成立いたしておりますことをご報告申します。

 なお、リモート参加につきましては、新型コロナウイルス感染症対策として、今年の2月に武内会長の了解を得て、当面の間、WEB会議システムによる参加についても「出席」とみなすということになってございます。今回につきましても、武内会長から同様の了解を得ております。リモート参加の委員におかれましては、音声等でもし不都合がございましたら、事務局までお電話を頂きますか、あるいは、チャット機能でお知らせいただければと思います。

 また、「中央環境審議会の運営方針について」におきまして、原則、総会は公開するものとなっておりますけれども、コロナ禍における会場の収容能力を踏まえまして、会場での傍聴は行わず、WEBでの同時配信をもって公開とさせていただきます。

 さて、前回から本会までの間に委員の交代がございましたので、ご報告をさせていただきます。

 平成31年4月25日付で、榮敏治委員に代わりまして、右田彰雄委員が、令和元年10月29日付で、南部美智代委員に代わりまして、石上千博委員がそれぞれ任命をされております。

続きまして、議事に先立ちまして、副大臣、政務官よりご挨拶を申し上げます。小泉大臣は公務のため、後ほど出席をさせていただきます。

 では、まず佐藤副大臣、よろしくお願いいたします。

 ○佐藤副大臣 皆様、おはようございます。環境副大臣の佐藤ゆかりと申します。

 本日はお忙しい中、この中央環境審議会に皆様方にお集まりを賜りましたことを改めてまず厚く御礼を申し上げたいと存じます。委員の皆様方におかれましては、日頃から環境行政に対しまして多大なるご貢献、ご指導、ご協力を賜っておりますことをまた改めて厚く御礼を申し上げたいと存じます。

 先ほどございましたように、本日、小泉大臣は公務によりまして若干遅れてのご到着と聞いておりますので、僭越ではございますけれども、私、佐藤のほうから、まずご挨拶を申し上げたいというふうに存じます。

 新型コロナウイルス感染症のほうもまだ足元、急増している中で、非常に懸念もあるところでございます。目下の対応は、当然ながら進めなければなりませんけれども、同時に、この新型コロナウイルス感染症収束後のいわゆるニューノーマル、コロナ危機と、それから気候危機、この二つの危機に対する取組というものをやはり今からしっかりと考えていかなければいけないというところでございます。

 そうしたニューノーマルの経済社会構造をよりしなやかで持続可能な強靭なものにしていくための変革、そうした流れの中で、さきの緊急経済対策では、デジタルと脱炭素化への移行というものが位置づけられたわけでありまして、これからデジタルトランスフォーメーション、DXと脱炭素化、これを車と言いますか、ブルドーザーの両輪のように考え進めていかなければいけないというところだと思っております。

 さきに私の副大臣室でもこの観点で進めておりました気候変動×デジタルのプロジェクトというものがございましたけれども、先日、その取りまとめ結果を環境省としても発表させていただいたところでございますが、例えば、このデジタルにおきましては、ブロックチェーンなどのデジタル技術を活用しまして、これまでのJ-クレジット制度というものの利便性をさらに高めていこう。いつでも、どこでも、誰でも使える容易なものに変えていこうというようなプロジェクトについて、一定の検討結果が出ましたので、先日発表させていただいたとおりでございます。

 また、気候変動につきましても、昨今、熱中症で救急搬送者数ですとか死者数の数が増加傾向にございます。特に今年はマスクの着用などによりまして、一昨年前と比べますと、やはり搬送者数が増えているということも観測をされております。

 こうしたために、環境省では気象庁と連携をいたしまして、熱中症予防に関する新たな情報発信であります「熱中症警戒アラート」の施行を今月から開始をいたしております。こうしたことで、新型コロナウイルス感染症が流行している中でも熱中症予防の普及啓発を進めていかなければいけないと考えるところであります。

 このように持続可能で強靭な社会への変革をしていくために、環境行政におきましても地球規模の環境問題から地域に根差した課題まで、様々な取組を進めておりますが、そこで期待されます環境省の役割というのは日々非常に高まってきているという認識でございます。

 環境行政の支柱は、当然ながら専門的知識を有される委員の皆様方のご審議でございます。そういう意味では、引き続きご指導を賜りまして、本日は有意義な総会となりますことを祈念申し上げ、一言ご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 ○秦総務課長 続きまして、石原副大臣、よろしくお願いいたします。

 ○石原副大臣 座ったまま恐縮でございます。環境副大臣の石原宏高でございます。

 本日はお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。

 私は、小泉大臣の下、廃棄物・リサイクル対策、除染、中間貯蔵施設事業、指定廃棄物などを担当しております。特に東日本大震災に関しまして、震災から9年以上が経過しました。福島の復興に向けては、まだ課題が残っており、引き続き復興に向けた取組を着実に実施していかなければならないというふうに考えております。中間貯蔵施設事業を引き続き進めていくとともに、残る指定廃棄物等の処理についても地域の皆様のご理解を得ながら着実に進めていきたいというふうに考えております。

 委員の皆様には、山積している課題に関しまして、専門的知見に基づいて忌憚のないご意見を頂ければというふうに考えております。今後ともよろしくお願い申し上げます。

 以上です。

 ○秦総務課長 では、続きまして、八木政務官、お願いいたします。

 ○八木政務官 おはようございます。ただいまご紹介を賜りました環境大臣政務官を仰せつかっております八木哲也でございます。着座でご挨拶をさせていただくご無礼をお許しいただきたいと思います。

 私は、小泉大臣、佐藤副大臣の下で地球温暖化、自然環境などを担当しております。今、環境省として取り組んでいる課題は山積しておるわけでございまして、国内外での温暖化の問題、国立公園の保全・活用、生物多様性の保全、化学物質対策、また大気・水・土壌環境対策、海洋ごみ対策などなど、多岐にわたっております。これらの問題が国内だけで解決できる問題と、国際社会と協調しながら解決していかなければいけない問題、非常に多うございまして、しっかり環境省としても、今、政府で進めておりますキーワードとしましては、「環境と成長の好循環」という言い方をしておるわけであります。環境の果たす役割は本当に重要であると、こういうふうに認識しておる次第であります。

 実は、先日29日だと思いますけれども、BSフジで夜8時からのニュース番組で小泉大臣が温暖化、特に石炭火力について討論をされておられました。あのようにしっかり国民の皆さんにメッセージとして発信できたことが非常によかったのではないのかなと、こういうふうに思いますし、そのようにメディアを通じて、また皆さん方も通じて、しっかり国民の皆さんに理解を頂けるような発信をしていかなければいけないのではないかと、そんな思いがしております。

 そのように、山積している課題に対しまして、皆様方のご知見に基づいて、忌憚のない意見を頂いて、「環境と成長の好循環」、その一端を担っていただくことに心から敬意を表しましてご挨拶にさせていただきます。よろしくお願いします。

 ○秦総務課長 続きまして、加藤政務官、お願いします。

 ○加藤政務官 環境大臣政務官の加藤鮎子でございます。

 本日はお忙しいところ、誠にありがとうございます。

 私は、小泉大臣と石原副大臣の下で資源循環政策、除染・中間貯蔵・指定廃棄物などを担当してございます。環境省として取り組んでいく課題は山積しております。中間貯蔵施設の整備と除去土壌等の輸送、帰還困難区域における特定復興再生拠点区域の整備、指定廃棄物等の処理、放射線に係る住民の健康管理や健康不安への対応、国内外における資源循環の展開などでございます。

 委員の皆様におかれましては、これら山積している課題に関しましてぜひとも専門的知見に基づいた忌憚のないご意見等を賜りたいと思ってございます。

 この会議、大変重要な会議だと認識してございますけれども、私の地元で発生している災害への対応の関係で、遅刻、また途中退席させていただくことをお詫び申し上げます。大変大事な会議と認識してございます。どうか委員の皆様、よろしくお願い申し上げます。

 ○秦総務課長 次に、先週、幹部の人事異動がございましたけれども、本日出席しております幹部職員を紹介させていただきます。

 中井環境事務次官でございます。近藤地球環境審議官。正田官房長。和田総合環境政策統括官。小野地球環境局長。山本水・大気環境局長。鳥居自然環境局長。森山環境再生・資源循環局長。田原環境保健部長。上田大臣官房政策立案総括審議官。白石大臣官房審議官。瀨川大臣官房審議官。大森大臣官房審議官。土居大臣官房審議官。松本大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官。角倉大臣官房秘書課長。大熊大臣官房会計課長。

 なお、幹部職員につきましては、公務のため途中退席をする場合がございます。あらかじめご了承をお願いいたします。

 続きまして、資料の確認をさせていただきます。

 会場参加の委員はお手元のタブレット、リモート参加の会員は別途送付してございますファイルをご確認いただければと思います。議事次第の裏面に配付資料一覧がございます。資料1から5、資料6-1から6-6及び資料7、最後に参考資料を準備させていただいております。ちなみに、資料2と資料6-6は資料配付のみの対応とさせていただきます。不足等がございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。

 ここで1点お詫びを申し上げます。本日、小西委員につきましては、リモート参加ということで、ちょっと我々のミスでございまして、今日は実参加ということで、山本委員の隣にリアルで参加いただいておりますので、お詫びとともにご紹介申し上げます。

 では、取材の方々のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いします。

 それでは、以後の議事進行につきましては武内会長にお願いをいたしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

 ○武内会長 中央環境審議会会長の武内でございます。

 本日は、本当に久しぶりにこの総会をフィジカルに開催させていただくということになりました。関係の皆さん、大変ご努力されてこういう会場を用意されたということでございます。また、最近の特徴として、バーチャルな参加というものも可能になっているということで、今回は多くの方がバーチャルで参加しておられるという状況でございます。

 環境政策につきましては、ご承知のように、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、大きな変容を遂げようとしております。国連の関係の様々な発言を見ましても、ぜひこのウイズ・コロナ、ポスト・コロナを持続可能な社会にやはり結びつけていくための環境政策、これが非常に重要になるんだということを言われております。

 私も一昨日、国連生物多様性条約の事務局長とテレビ会議を行いまして、これからどういうふうに我々、協力関係をしていくかという話をしたんですが、そこでもやはりこの問題の根底には人間と自然の正しい関わりの在り方というものをきちっと見直す必要があると。そういう意味で、次、今度、中国の昆明で5月に開催予定となっておりますけれども、生物多様性条約の第15回の締約国会議、これ、次の2030年までの生物多様性の戦略を定める非常に重要な会議でございますけれども、そういう中にもこの問題を取り入れていくということで事務局長もそのように進めたいというふうなお話を伺ったばかりでございまして、今日は、日本の環境政策の中でウイズ・コロナ、それからアフター・コロナの環境政策の在り方について委員の皆さんのご意見を伺いたいというふうに思っておりますので、どうぞ、そうした点についてご検討いただきますよう、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。

 報告事項①の「中央環境審議会の審議状況について」でございますけれども、審議会議事運営規則第6条にて、会長の同意を得て審議会の決議とした部会の決議については、会長は、総会に報告するものとされております。前回の総会、平成31年2月8日でございましたが、それ以降の審議状況を資料2、「中央環境審議会の審議状況等について」に取りまとめておりますので、これをもって総会に対する報告とさせていただきます。なお、従前、このタイミングで各部会長からコメントを頂いておりますが、今回は議事⑥、質疑応答の冒頭に時間を取っておりますので、何かございましたらそこでご発言をお願いしたいと思います。

 次に、報告事項②、「大気汚染防止法改正について」の説明、これについて環境省から説明をお願いしたいと思います。

 ○山本水・大気環境局長 それでは、資料3に基づきまして、水・大気環境局からご説明を申し上げます。

資料3の2枚目に1枚紙がございます。こちらに基づきましてですが、今後の石綿飛散防止の在り方につきましては、中央環境審議会に諮問を行いまして、今年の1月に答申を頂きました。武内会長、畠山部会長、大塚小委員長をはじめとした皆様方に大変感謝を申し上げます。

 この答申を踏まえまして、大気汚染防止法の一部を改正する法律案、さきの国会において無事成立をいたしまして、6月5日に公布されております。その中身につきまして、本日の資料で簡単にご紹介いたしますと、この1枚紙の中に青い矢印が四つございますが、この4点が主な内容ということになります。

 1点目につきましては、このレベル3と言われる建材を含めた全ての建材に対して石綿防止対策の対象に拡大したというところでございます。2点目が、その事前調査の調査方法を法定化しまして、これの報告を義務づけたということでございます。3点目につきましては、作業につきまして、これ、不適切なものについては直接罰を創設するということで規制を強化したということでございます。4点目につきましては、作業結果につきまして、発注者に報告をするということを義務づけまして、従来から問題点として指摘されていた課題につきまして、解決を図る形で改正をさせていただきました。

 これは、公布の日から1年以内に政令で定める日までに施行するということで、今、政省令を含めた施行準備をしているところです。下のKPIのところに書いてありますように、電子システムの整備でありますとか、関係の作業者の確保ということで人材育成を今進めておるところでございます。しっかりと改正法が施行されるように、今、準備に努めているところでございます。

 以上でございます。

 ○武内会長 ありがとうございました。

 それでは、次に報告事項③、「新型コロナウイルス感染症対応状況について」の説明をお願いいたします。

 ○松本大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官 それでは、資料4に基づきまして、ご説明をいたします。

 ページをめくっていただきまして、新型コロナウイルス感染症対応状況についてでありますけれども、1月30日に小泉大臣を本部長といたしまして、「環境省新型コロナウイルス感染症対策本部」を立ち上げておりまして、これまでに計20回開催をいたしております。

 具体的にはどんな取組をしているかということは、それ以下、枠で囲っております4点にまとめております。

 まず1点目でございますが、省外に向けての取組であります。特に廃棄物処理事業の継続のための取組と、現場の感染防止対策の徹底に取り組んでおります。具体的には、マスク、防護服等の調達のあっせん、資金繰り支援などのお手伝いをさせていただいております。

 (2)は省直轄の話でございます。国立公園等の施設の閉鎖や環境省が主催するイベントの中止等を含めた感染拡大防止措置を講じてきております。緊急事態宣言解除以降は、感染防止措置を取りながら、順次再開をさせていただいているところでございます。

 (3)これは省内での取組であります。環境省内でのテレワーク及び時差出勤の励行として、特に緊急事態宣言下におきましては、最大70~80%程度のテレワーク等の取組を進めております。そのためにまたWEB会議システムなどの情報基盤の整備も行ってまいりました。

 次のページに入りまして、(4)その他でございますけれども、今年度の第1次補正予算におきまして、金融経済対策として国立公園におけるワーケーションの推進、また、高機能換気設備等の導入支援等、トータルで115億円の緊急経済対策の予算額を確保いたしております。

 (4)の②でございますが、7月31日現在でありますが、厚生労働省、また、内閣官房のコロナ室等に環境省の職員をこれまで延べ99名派遣するなど、取組を進めてきております。引き続き、こうした対策を進めてまいりたいと思っております。

 説明は以上であります。

○武内会長 ありがとうございました。

 次に、報告事項④、「経済財政運営と改革の基本方針2020及び成長戦略(令和2年7月17日閣議決定)について」の説明をお願いいたします。

○和田総合環境政策統括官 それでは、資料5に基づきましてご説明させていただきます。

 経済財政運営と改革の基本方針2020、いわゆる骨太方針、それと成長戦略についてということでございます。

 まず、スライドの1枚目でございますけれども、骨太方針から参ります。第1章では、気候変動などの地球規模の課題に対応しまして、持続可能で環境と調和した循環経済の実現といったこと、それから、国際協力の視点が盛り込まれているところでございます。

 第2章では、昨今の災害への対応と、それからいわゆる気候変動危機の観点を踏まえまして、熱中症対策、さらには東日本大震災については未来志向の視点も改めてハイライトさせていただいているところでございます。

 2ページ目に参りまして、第3章になりますけれども、国立公園の関係、ESG投資、再エネ、主力電源化、それから適応の視点も踏まえた復興ということで「適応復興」というコンセプト、それから、SATOYAMAイニシアティブの推進などが盛り込まれているところでございます。

 4ページ目に参りまして、成長戦略のほうでございますが、実行計画につきましては、第9章になりますけれども、ウイズ・コロナ、ポスト・コロナ社会での基本理念の一つということで、脱炭素社会・循環経済の実現ということのコンセプトが社会像の設計の視点から盛り込まれているところでございます。社会像の設計という視点では、いわゆるリデザインという観点で最近、環境省から発信しているところでございます。

 5ページ目以降になりますけれども、成長戦略フォローアップのところでは、コロナ後の経済社会構造をより持続可能で強靭なものへ、いわゆるサステナブルでレジリエントな社会へということで、脱炭素社会、循環経済、分散型社会という三つの柱の移行を加速化させることとしているところでございます。

 個別の施策ということでございますけれども、非効率石炭火力のフェードアウト、いわゆるインフラ海外展開に関する新戦略の骨子、先般出されたものでございますけれども、その内容が盛り込まれております。

 6ページ目に参りまして、JCMの活用、SBTなどの視点、それから地域循環共生圏の具体化とゼロカーボンシティの推進、それからプラスチック資源循環戦略の具体化、熱中症対策などが盛り込まれておりまして、7ページになりますが、食ロスの関係、瀬戸内水環境保全の関係、それから国立公園におけるワーケーションなどといったところが盛り込まれているところでございます。

 私どもからは以上でございます。

○武内会長 ありがとうございます。

 それでは、次に報告事項⑤の「その他(当面の諸課題について)」でございますが、5件ということで続けてご説明をお願いしたいと思います。

○和田総合環境政策統括官 それでは、その他のところの1点目でございますけれども、まず、地域循環共生圏の創造とゼロカーボンシティについてということで資料6-1になりますので、ご用意をお手元にいただければありがたく存じます。

 まず、お開きいただきまして、第五次環境基本計画の基本的方向性ということで、こちらについては、もう既に何度もこの総会のみならず、中環審の様々な部会でもご議論を頂いているところですけれども、地域循環共生圏というものを前面に打ち出した環境省としての基本戦略をさらに進めているところでございます。

もう申すまでもありませんけれども、自立・分散型社会の形成ということで、いわゆるオーナーシップをベースにした上で、お互いに支え合う、つながり合う、いわゆるネットワーク型社会というものをベースにした新たなコンセプトを環境省が打ち出しているところでございます。その意味では、世界のモデルとなる日本ということも念頭に置いてありまして、さらに上位概念の哲学としても、「環境・生命文明社会」ということで、いわゆる人類の文明論、さらには、私たちの社会像の観点からも新たなコンセプトを打ち出しているところでございます。

 次のパワポに参りまして、2050年、二酸化炭素排出実質ゼロ表明自治体ということで、いわゆるゼロカーボンシティというものを昨年来より立ち上げたところでございます。お陰様をもちまして、現在、表明自治体は人口ベースでまいりますと、約ほぼ7,000万人近くになっておりまして、過半数を超えているということと、それから、さらには、各参加の自治体のほうから、今後はより具体的な取組をより一層ぜひやっていきたいということですので、その辺のバックアップ、支援もお願いしたいし、ぜひ一緒にやっていきたいといったところでございます。

 それから、次はもう既に何度も配付させていただいているところの曼荼羅図と呼ばれて、もう字がかなり小さくて見にくくて恐縮でございますけれども、ここで申し上げたい1点は、コロナの問題が始まる前から、もうはるか前から、数年前からこのコンセプトを打ち出してきたところなんですが、コロナショックにおいてでも、改めてこのコンセプトが有効だと、いわゆるこのコンセプトがずれていないというところが改めて認識できたんじゃないかなということで、より一層、このコンセプトを進めていきたいと思っているところでございます。

 最後になりますけれども、重層的な圏域で構成される地域循環共生圏ということで、こちらで申し上げたいことは、まさに地域循環共生圏、圏というのがどのくらいの範囲なのかということが紋切り型ではなくて、多様な視点での単位、範囲というのがあり得るということをよく分かりやすく表したものでございます。いわゆる身近な観点でいえば、コミュニティベースになりますし、さらには、一番イメージしやすいのは市町村ということですけれども、もう少し地理的な観点、それから文化的、歴史的な観点も踏まえた、いわゆる流域という視点も非常に有効な地域循環共生圏のコンセプトになるのではないかと。さらに広げて、ブロック内になると、より一層ネットワークの幅が広がる、さらには、トータルとして国際に発信していくといった重層的な観点で地域循環共生圏を多様なステークホルダーで重層的に、さらには、国際に発信していくんだというところについて、環境省としてもより一層強力にこの路線を進めてまいりたいと思っているところでございます。

 以上でございます。

○武内会長 続けてどうぞ。

○小野地球環境局長 引き続きまして、気候変動対策についてご説明いたします。資料6-2でございます。

 表紙をめくっていただきまして、まず、1ページ目、気候変動×防災でございます。現在も進行中でございますけれども、激甚な気象災害が頻発しているというような状況を踏まえまして、今後の気候変動と防災の方向を示す小泉環境大臣と武田防災担当大臣の共同メッセージを6月末に発出しております。

 次のページにそのメッセージの概要がございますけれども、大きく申し上げますと、気候変動×防災の主流化ということでございまして、各分野の政策において気候変動×防災というコンセプトを組み込んで政策の主流にしていくことを追求するというメッセージを発出いたしております。

 次のページでございますけれども、そういった状況も踏まえまして、適応法に基づく気候変動の影響評価を現在、中環審の小委員会のほうで実施していただいておりまして、今年中に評価を取りまとめる予定でございます。その評価を受けまして、来年度、令和3年度には適応計画の改定を行うということでございまして、引き続き、中環審の小委員会のほうにご議論をいただくということにいたしております。

 次の4ページ目でございますけれども、石炭火力発電輸出の方針変更でございます。この7月9日にインフラ海外展開に関する新戦略の骨子というのを新たに策定いたしまして、石炭火力発電の輸出の方針を変更いたしております。

新たな方針といたしましては、まず、基本的に脱炭素移行型のインフラ輸出支援を推進していくということでございます。その上で、石炭火力発電の輸出につきましては、相手国のエネルギーを取り巻く状況・課題や脱炭素化に向けた方針をしっかり把握していない国に対しては、政府として支援を行わないということを原則とし、その上で、いわゆる4要件という要件を厳格化いたしております。

次の5ページ目でございますが、先ほどの脱炭素移行政策誘導型のインフラ輸出支援ということについては、環境省といたしましてもこれまで様々進めて、アジア地域を中心に進めておりますが、今後も例えば長期戦略の策定支援でございますとか、セクター毎、あるいは都市レベルの支援というのを様々なツールを総動員して推進していきたいと考えております。

最後に、新型コロナウイルスからの復興と気候変動・環境対策に関するオンライン・プラットフォームでございまして、ご案内のとおり、気候変動のCOP26が約1年延期と、来年の11月に延期になりました。各国とも、コロナからのグリーンリカバリーということで様々な対応を取って、日本も含めて取っておるということでございます。

この中で、大臣のほうから、やはりCOP26に向けて機運を維持すると、向上させるというためにオンライン・プラットフォームを提案し、気候変動枠組条約の事務局長、あるいは主要国の支持・賛同を得ております。9月3日に閣僚級のオンライン会合を開催するという予定で、現在、様々な調整をしておりますが、新型コロナウイルスからの復興における気候変動、環境保全の取組について議論をすると。さらに、その1回だけの議論ということではなくて、情報ウェブサイト(オンライン・プラットフォーム)を構築いたしまして、各国、ビデオメッセージでございますとか、様々な経験、事例などを集積し、その機運の維持を図ってまいりたいと考えてございます。

以上でございます。

○武内会長 それでは、山本局長、どうぞ。

○山本水・大気環境局長 それでは、資料6-3に基づきまして、プラスチック対策についてご報告をいたします。

 1枚めくっていただきまして、海洋プラスチックごみ対策の国際展開と国内の取組というところですが、これは、昨年の大阪のG20のサミットで大阪ブルー・オーシャン・ビジョンということで2050年までに追加的な汚染をゼロにするという野心的な目標を掲げて、これをビジョンとして共有するということを進めております。

 これを受けて、二つ目の箱にありますような実施枠組というのを設けておりまして、この中で、緩やかでありますが自主的な取組を実施して、効果的な対策と成果を共有していくという枠組みを設けております。その1回目のフォローアップ会合を昨年10月に開催して、今年はサウジがG20のホスト国になりますけれども、こちらにつないでいるという状況です。

 このことも踏まえまして、国内取組としてそこに掲げておりますような様々な取組をしております、自治体におけるモデル事業、あるいは、住民参加型のごみゼロウィークの取組、漁業者の協力を得た海ごみの回収といったようなこと、それから、組織的にも我が局の中に海洋プラスチック汚染対策室を新設するといったようなことを進めてございます。

 次のページは、プラスチック資源循環の観点からの取組ということで、これは循環基本計画に基づくプラスチック資源循環戦略をこちらの審議会でおまとめいただきまして、それを政府のものとして昨年5月にまとめております。これをどう具体化していくかということで、ここにありますように、①から⑤まで、多角的な取組を進めております。

 まず、審議会におきましては、その具体化に向けて大きな方向性をこの夏までに整理いただいて、年度内には最終成案を頂くべく、検討を進めていただいております。

 それに先立って、2番目のところですが、レジ袋の有料化の方針については、昨年まとめていただきまして、これに基づきまして、この7月からあらゆる小売業者が参加した形で有料化を進めています。

 それから3番目のところはバイオプラスチックということで、温暖化対策としても有効なバイオマスプラスチック、あるいは、生分解性プラスチックを適材適所でどう使うのかというロードマップを、今、検討しております。

 それから、ファイナンスの観点ということで、ESG投資を用いてプラスチックをいい資源循環に持っていくと、こういった取組も今進めているところでございます。

 それから、国内の受皿ということで、これは主に予算で支援をする形で国内での受皿をしっかりと構築するということを進めております。

 2.はバーゼル条約の改正を行いまして、こちらはプラスチックの越境移動についてきちんと管理をしていくということで、これも来年1月からの施行に向けて準備をしています。

 3番目が国際の取組ということで、特に廃棄物の管理がしっかりなされなければいけないということで、アジア地域のみならず、アフリカも含めた取組が進むように二国間、多国間の様々な取組を進めているところでございます。

 以上でございます。

○武内会長 どうぞ、続けてください。森山局長。

○森山環境再生・資源循環局長 それでは、資料6-4をお開きくださいませ。

 まず2ページ目でございますけれども、東日本大震災の被災地の復興の関係でございますが、まず、除染等の作業を進めてございます。2018年3月までに基本的な面的除染が完了してございます。右にある地図のエリアが国直轄、また市町村で除染を進めてございまして、その結果、左の上に線量マップがございますけれども、発災当時に比べまして大幅に線量のほうの低減も図られたところでございます。さらに、帰還困難区域では、しばらくなかなか手が出させないところについても、区域を限定しまして、そこの除染ですとかインフラ整備という帰還に向けた準備を進めていたところでございます。

 3ページをご覧ください。この除染に伴いまして、除去土壌、そういったものが大量に発生しているものでございまして、これを中間貯蔵施設で安全かつ集中的に管理・保管していくという方針でございます。その中間貯蔵施設につきましては、全体が1,600ha、大変広うございますが、この中で全体の73%、民有地ベースでいいますと90%弱の用地を契約済みでございまして、現在、ここに土壌の運搬ですとか、そこで土壌を分別し、貯蔵すると、そういった作業をしているところでございます。

 右のほうに運搬の状況でございますけれども、全体で1,400万m3あると考えてございますが、全体の800万m3を超える量を輸送済みでございます。右のほうにグラフがございますが、年々搬入量が増えてございまして、今年度、また来年度で帰還困難区域のものを除きまして、概ね搬入が完了と、そういうふうな算段になってございます。

 この結果、3番目でございますけれども、現地に県内でも1,400か所程度、仮置場があったわけでございますが、現在では550か所程度まで減っていると、そういう状況で、見る見る仮置場のフレコンと呼んでございますけれども、そういった黒い土のう袋がなくなっていると。なくなった後には、仮置場は田畑に戻すと、そういった作業が進んでいるところでございます。

 4ページをご覧ください。ここの除去土壌でございますけれども、これにつきましては、中間貯蔵開始後30年以内に福島県外で最終処分というふうになってございます。そのこともありまして、最終処分量を減らすために、政府一体となって除去土壌の減容化、再生利用の取組を進めているところでございます。

その一つの例としましては、南相馬市、飯舘では、実証事業を通じまして、飯舘村では具体的に農地を造ろうということで、大量のその土地を使いまして、農地の造成工事に今年から着手ということでございます。その模様が、下の写真でございます。

 また、廃棄物がございます。これは、災害瓦礫ですとか、建物を解体したときの瓦礫、廃棄物でございます。こういったものにつきましても、基本的には順調に整備が進んでございまして、また、廃棄物で使えるものは使いますし、また、可燃物は燃やすというものでございますけれども、右下にございますけれども、これは燃やしたものにつきましては、特定廃棄物ということで、福島県の富岡町、楢葉町にあります処分場に搬入してございまして、順調に搬入が進んでございまして、全体の4割を超える程度が搬入済みという状況でございます。

 以上でございます。

○田原環境保健部長 引き続きまして、同じ資料の5ページをご覧いただきたいと思います。放射線に係る住民の健康対策についてであります。

 6ページをご覧いただきたいと思います。この福島県の住民の健康管理等につきましては、平成23年度に福島県が創設をいたしました福島県民健康管理基金に対しまして、国が交付金を拠出しております。右側にありますように、福島県がこの基金を活用して被ばく線量や健康状態を把握するための健康管理等を実施しているところでございます。

 次のページ、7ページをご覧ください。その中でも一番大きな関心を持たれておりますのが、甲状腺がんの検査でございます。当時、概ね18歳以下だった全県民38万人を対象にした検査をずっとやってきておりまして、それぞれの調査結果につきまして評価を行っているところでございます。

 中段のところにありますように、福島県民健康調査の検討委員会での評価、あるいは、一番下にありますように、国連科学委員会、UNSCEARの評価が行われておりますけれども、直近の評価におきましては、中段の下のところにありますように、令和元年7月における評価でございますが、現時点において甲状腺がんと放射線被ばくの間の関連は認められないと、こういう評価になっているところでございます。引き続き、甲状腺検査を実施いたしまして、評価が行われていく予定でございます。

8ページをご覧いただきたいと思います。放射線に係る健康影響に関するリスクコミュニケーションにつきましては、いわき市に相談員支援センターを設置いたしまして支援を行っているところでございます。

また、下のほうにありますように、統一的な基礎資料を作成して、正確な情報発信をしているところでございます。

以上でございます。

○土居大臣官房審議官 続きまして、資料6-5でございます。災害廃棄物対策についてということでございます。

 1枚おめくりいただきまして1ページ目でございます。上の囲みにございますが、事前の備えとしては災害廃棄物処理計画を各市町村でつくっていただくというのが一番重要でございます。その支援を行っておりますが、現時点でいきますと、策定済みの市町村が51%ということで、この引上げにさらに支援をしていきたいと思っております。

 同時並行といたしまして、計画を策定していない市町村におきましても適切な対応ができるようにということで、この2月に発災当初、3週間でどのようなことが必要なのかということの初動対応の手引きというものを策定してお示ししているところでございます。内容につきましてもきちんと分かりやすいようにユーチューブに解説の動画を載せているところでございます。

 2ページ目でございますが、今年度の取組の二つ目といたしまして、災害廃棄物を処理する経験をしました自治体の職員の方々の人材バンクをつくるということでございます。現時点でも熊本の災害現場には、常総市であるとか朝倉市、倉敷市など、これまでの経験者も入っていただいておりますが、これらを体系立てるために人材バンクをつくり、登録をしていただきたいというふうに考えております。9月にも推薦を頂きまして、11月にはリストを作成し、そのリスト化された方々につきましては、12月には研修をし、その力を結集していきたいというふうに考えております。

 続きまして3ページ目でございますが、現時点での熊本の災害廃棄物の状況をまとめてございます。上の部分にございますが、2行目のところで、現在では12の市町村で仮置場が設置され、そこへの搬入が続けられているというところでございます。特に被害の大きい人吉市、球磨村、芦北町には、環境省をはじめ、自衛隊、あとは関係自治体が支援のために入っているという状況でございます。

 黒丸の下から二つ目でございますが、特に防衛省と連携をしながら、大型ごみの片づけを行っているということで、人吉市、また、球磨村におきまして、実施をしているというところでございます。

その具体的な内容につきまして、4ページ目でございますが、自衛隊と、あと、トラック協会が連携をしまして、畳・家具・家電、こういった重いものをまず自衛隊が積込み搬出をすると。その後、④のところにございますけれども、その他の可燃物などにつきましては、市の清掃業者がパッカー車を使って収集するということで、迅速な対応ができるような新しい仕組みを構築したというところでございます。

これらを取りまとめまして、全国に周知をし、速やかな災害対応ができるようにしていきたいというふうに考えてございます。

以上でございます。

○武内会長 どうもありがとうございました。

 それでは、報告事項全体を通しての質疑応答に入りますが、その前に、リモート参加の山極委員が11時までご都合によりご参加と伺っておりますので、退室される前にご発言がございましたらご発言、2分程度でお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。

○山極委員 ありがとうございます。様々な立派な取組をしていただきまして、今の報告を聞いて得心いきました。ありがとうございました。

 私、質問というよりも意見を言わせていただきたいんですが、特に地域循環共生圏の創造とゼロカーボンシティについてなんですね。これ、従来からおっしゃっているように、高邁な思想の下に、大変立派な目標を設定していただいたわけですけれど、これが実際、2050年までにどういう形になっていくのかという、その見取図がよく分からないんですね。私も環境省以外にいろんな政府の委員会に出ていますけれども、例えば内閣府のCSTIでは、ムーンショットをつくって、この課題4と課題5が環境に関連する技術の開発です。2030年、2050年までにどのような形にするのかという、かなり具体的な目標設定をして進めています。そういった技術を取り込んで一体どういう地域循環共生圏ができるのか、曼荼羅図でいろんなことが書き込んでありますけど、実際に例えば日本列島というのは相当な地理的変異があります。環境も違います。、文化・歴史も違いますから、そういう地域の特性を踏まえて、どういった形のものができるのかという具体的な想像がここからはできないんですね。

私が提案したいのは、様々な、例えばゼロカーボンにしても、すでに相当な数の地域、自治体が声を上げています。2050年までにカーボンをゼロにすると。そういう宣言を踏まえて、どういう形にしていくのか、そのプロセスについて認証制度を設けたり、あるいは、アワードを設けたりしながら、地域の自治に踏まえてどういった地域循環共生圏ができるのかということを見通しながら後押ししていかなくちゃいけないと思うんですね。しかも、環境省だけがやるのではなくて、ほかの省庁を巻き込みながらやっていく必要がある。

例えば、今度のコロナ騒ぎというのは、一つの契機、好機だと思います。要するに、大都市集中型ではやっていけないことが分かったし、地域の自治、しかもそこに持続性というものがどういうふうに担保されるのか、皆さん真剣に考えつつある。環境問題も非常に大きな課題としてそこに残ります。そこで、ライフラインをしっかり確保しながら、地域の住民がどのような自立的な生活を送れるのか、人口移動も将来踏まえて、その動きを踏まえながら見取図を作っていかなくちゃいけないと思います。

そのときに、恐らく、主導的な役割を果たすのは環境省だと思っていますので、そういったところをまず地域創生、地方創生を巻き込みながらやっていっていただきたい。その上で、それをまとめた上で、総合的に、例えばカーボンゼロというのはどのくらい達成されるのかということをインターナショナルな舞台で小泉大臣におっしゃっていただきたいし、そして、その中で、恐らくSATOYAMAイニシアティブという日本独自の概念も実際に達成されるでしょうし、モデルができるでしょうから、それを具体例を踏まえながら世界に広げていっていただきたいというのが私の意見でございます。

以上です。よろしくお願いします。

○武内会長 どうもありがとうございました。

 それでは、冒頭申し上げましたとおり、各部会長から2分程度で簡潔にご発言をお願いしようと思っております。

 まず、総合政策部会と自然環境部会について、部会長であります私のほうから説明をさせていただきます。

 資料2に戻っていただきまして、その4ページ、総合政策部会の審議状況が記されております。総合政策部会では、第五次環境基本計画、とりわけ提唱されたSDGsのローカル化としての地域循環共生圏、これを実際に社会実装していくということで、先ほど和田統括官からも説明がございましたように、プラットフォーム事業が展開されております。

 私自身もこうした概念が国際的にも有効ではないかということで、今月開催されましたニューヨークでのハイレベル政治フォーラムの場でも時間を頂きまして、この概念の重要性について国際社会に訴えたところでございます。

 他方、部会といたしましては、第五次環境基本計画の進捗状況の点検を行っておりますけれども、そうした中で、このコロナの問題が発生したということで、それも踏まえて、コロナ後の持続可能でレジリエントな地域づくりについてということで審議を始めたばかりでございまして、これが、従来の点検とは違う大きな点検の内容になるのではないかというふうに思っております。

 こうしたことを踏まえて、第六次環境基本計画を見据えて議論を今後展開していきたいというふうに考えております。

 他方、自然環境部会についてでございます。これについても非常に大きな方針の変更というのがございました。これは、自然環境保全基本方針というものでございまして、これが最初につくられたのは昭和48年でございます。小規模な変更はございましたけれども、これを根本的に改変するというふうな形での変更案を取りまとめて、そして、閣議決定をしていただきました。

 大きな変更の第1点は、沖合海底自然環境保全地域を設けるということでございまして、これは東京から小笠原につながるような、ああいうところの海域の保全ということで、鉱物資源との競合を避けながら適正に管理していくということで、これは自然環境保全の対象を大きく拡大するということに資するものでございます。

 もう一つは、昨今の環境基本計画の進展、それから、生物多様性国家戦略の進展、こういう事態を踏まえて、これまでの基本方針を大きく見直したというものでございます。

 例えば、昭和48年には日本が人口が減って高齢化が進むなんていうことは全く想定してなかったんですね。ですから、自然は破壊されると、その破壊を食い止めなければいけないと、こういう論調であったわけですが、他方で、自然は放っておくと荒廃すると、どうやって適正な人の手を加え続けていくということが必要なのかというような、これはSATOYAMAイニシアティブの精神でございますけれども、そういうことを入れ込んで方針を見直したということでございます。

 それから、中央アルプス国定公園、これを新規指定いたしました。国立公園、国定公園を充実していくというのは、我が国の自然環境保全上、大変重要な施策であるということで、これについても今後とも検討を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

 以上、私からでございました。

 続いて、循環型社会部会長の酒井委員、お願いいたします。

○酒井委員 武内会長、どうもありがとうございます。循環型社会部会を担当しております酒井でございます。

 先ほどの資料2の6ページから、6、7、8ページで要点をまとめていただいております。

6ページのところにある一つが、循環の基本計画、第四次でございますけれども、この点検作業の、議論を進めてきております。先ほどの総合政策部会と同じ事情で、この3月にほぼ成案に至っていた訳ですけれども、その状況で今回のコロナ禍ということでございますので、その点検の中身にしっかりと感染症と循環、あるいは廃棄物管理との関係整理、ここを踏まえて報告にすべしということでの議論の準備を現在進めているところでございます。近々、議論の上、できるだけ早い成案を目指したいというふうに思っております。

 それから、この点検報告の中では、先ほどご報告のありました地域循環共生圏政策との統合的、あるいは協調的な展開、特に具体化に向けた方策といったところの議論も始めているところです。総合政策部会、あるいは、この地域循環共生圏の検討とのしっかりとした足並みをそろえて、今後検討を進めてまいりたいと思っております。

 この関係で、先ほど山極総長のほうからご指摘のあった見取図が少し見えにくいのではないかということですが、地域循環共生圏のプラットフォーム事業を既に進展されているというふうに伺っております。その具体化、実装化の動き等を、もし後で時間がございましたら、ご紹介いただければ、山極委員のご懸念にも少しお応えいただけるのではないかというふうに思っております。特に、地域金融との関係でしっかりと協議会を立ち上げて進めるといった枠組みは、ある意味、地域にとって極めて重要かつ新しい動きと理解をしておりますので、その辺りを紹介いただければというふうに思っています。

 それから7ページから8ページにかけましては、先ほどもご紹介のありましたプラスチック素材対策というところの議論です。かなり時間を割いて議論を進めてきているところでして、相当に密度の濃い議論ができているところかと思います。レジ袋有料化に始まる今後の総合的なプラスチック対策ということの成案に向けて現在、努力しているところでます。

 以上でございます。

○武内会長 ありがとうございました。

 それでは、次に環境保健部会長の大塚委員、よろしくお願いします。

○大塚委員 はい。武内会長、ありがとうございます。

 保健部会につきましては、本日、この後、午後に保健部会が開催されるわけでございますけれども、そこでの重要な点といたしましては、PRTRの対象物質を追加するということについて検討する予定でございます。

 それから、二つ目でございますけれども、第五次環境基本計画の点検、化学物質関係についての点検を議論する予定でございます。

 第五次環境基本計画の点検といたしましては、先ほど来、ご議論がございます地域循環共生圏との関係も非常に重要でございますけれども、環境保健部会といたしましては、熱中症との関係とか、それから、そもそも適切なリスク管理体制を構築して、安心・安全な子育て環境の実現と少子化対策に貢献するというところ、それから、製品ライフサイクルの複雑化も勘案して、安全・安心なリサイクルを促進するなどの観点で地域循環共生圏の基盤をつくるということを本日議論する予定でございます。

 それ以外につきましては、次の9ページのところから記されておりますけれども、POPs条約との関係での物質の指定でございますとか、あと、石綿の健康被害対策に関しての被害の判定の小委員会等を開催しております。

 以上でございます。

○武内会長 ありがとうございました。

 それでは、次に、地球環境部会長の三村委員、よろしくお願いします。

○三村委員 どうもありがとうございます。三村です。

 遠隔で報告をさせていただきます。資料の14ページ以降に地球環境部会の報告が書いてありますので、それを見ながら話をさせていただきます。

 地球環境部会自体は、昨年3月から今年の2月まで、4回開かれました。この間、取り組んだ大きな問題は3点あります。一つは、地球温暖化対策計画の進捗状況の評価ですけれども、これは全国的にCO2の排出、温室効果ガスの排出が減少してきているというような報告がありました。

 2番目は、昨年の夏に政府全体としてパリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略をつくるということが行われました。これは、全体としては環境と経済の好循環を確保しながら、脱炭素社会の方向を目指すというようなことが組み込まれたわけですけれども、この中で二つ印象的な議論があったのでご紹介したいと思います。

 一つは、いろんな委員から石炭火力問題をどうするのかというような意見が多く出されました。この議論の中では、地球環境部会としては特にそこで結論を得るということではなかったんですけれども、そういうようなものがあって、先ほども紹介されました我が国における石炭火力の非効率な設備の廃棄の方向であるとか、あるいは、輸出に関する条件の変更とか、そういうような政策につながったのではないかというふうに思います。

 2番目は、この長期戦略の主要な柱がエネルギーや産業の技術のイノベーションによって達成するということで打ち出されたんですが、これも何人かの委員から、より国民一人一人の行動、そういうようなものに結びつくような社会イノベーション、あるいは、生活スタイルへの呼びかけ、そういうような観点も重要なのではないかというような意見が出されまして、そのような観点も含めていただいたということであります。

 3番目は、気候変動の適応の取組についてです。これは、2018年にできました気候変動適応法によって5年置きに影響評価をやって、適応計画の見直しにつなげるというような枠組みになっています。

先ほど小野地球環境局長からも報告がありましたが、ちょうど今年、2020年が2回目の全国的な影響評価の年に当たっていまして、重大性や緊急性、そういう指標に基づいて小委員会で影響評価に関する報告書を、今、作成中です。それが出ましたら、それを全体に報告をして、今後の適応策の取組につなげていただくということだと思います。

 ちょうど今日もそういう議論になると思うんですけれども、実は、地球環境部会、8月4日に開くことになっていまして、そこではまさに気候変動と防災、さらに新型コロナウイルス感染症のときにどういうふうに対策を取っていくのか、そういう方向の議論を今後するということになっております。

議論の状況は以上です。

○武内会長 ありがとうございました。

 次に、大気・騒音振動部会長の畠山委員からご発言をお願いいたします。

○畠山委員 はい、ありがとうございます。大気・騒音振動部会の部会長を務めております畠山でございます。

 大気・騒音振動部会は、部会そのものは8月に開かれることになっておりますので、その部会に所属する幾つかの小委員会や専門委員会がこれまで開かれておりまして、その状況は、資料の18ページ以降にそれぞれの委員会で話し合われたことなどが取りまとめられておりますが、先ほど水・大気環境局長から大気汚染防止法の改正についてご説明がございました。やはり法改正については非常に大きな事項でございますので、それに関連して一言申し上げたいと思います。

 環境大臣から諮問がありました今後の石綿飛散防止の在り方につきまして、大気・騒音振動部会では、環境保健部会部会長の大塚先生を委員長とする石綿飛散防止小委員会というものを設置いたしまして、そちらで審議を重ねてまいりました。

 18ページにも書いてございますけれども、これは第4回からしか書いてございませんが、平成30年10月の第1回から令和2年1月の第8回まで、多くの審議を重ねてまいりまして、この小委員会では関係者からのヒアリングやパブリックコメントを実施してまいりました。特に昨年の11月から12月には、そこで実施いたしましたパブリックコメントに対しまして、国民や事業者等の方々から、合計約3,600件の非常に多くの意見を頂いたところでございます。

 今回取りまとめました答申におきましては、いわゆるレベル3の建材への規制対象の拡大とか、それから事前調査の報告制度の創設など、今後の石綿飛散防止対策強化の方針につきまして打ち出すことができたのではないかというふうに考えております。

 今般のこの大気汚染防止法の改正を契機にいたしまして、今後さらなる石綿飛散防止対策の徹底が図られることを期待しております。

 また、この答申では、大気濃度の測定など、今後さらなる検討が必要であるとした項目もございますので、環境省におかれましても、改正法の施行状況を踏まえ、引き続き石綿飛散防止の取組、残された課題についても引き続き対応されていくことを期待したいと思います。

 以上です。

○武内会長 ありがとうございました。

 それでは、次に、水環境部会長、土壌農薬部会長の細見委員、お願いいたします。

○細見委員 はい、ありがとうございます。

 水環境部会と土壌農薬部会の二つの部会長を務めさせていただいております。

 まず、水環境部会の関係におきましては、お手元の資料の21ページ以降にございますように、今年の5月に有機ふっ素化合物の一種であるPFOS、PFOAを人の健康の保護に関する要監視項目に位置づけまして、指針値として50ng/Lを設定することについて答申いたしました。

 また、引き続き生活環境項目の環境基準の見直しや、水質汚濁防止法に基づく暫定排水基準の見直しなどに取り組んでいく必要がございます。

 また、昨年6月には環境大臣から諮問されました瀬戸内海における今後の環境保全の方策の在り方について、答申を今年の3月に取りまとめたところでございます。

 さらに、本年2月には、環境大臣の諮問を受けまして、第9次の水質総量削減の在り方について、新たに総量削減専門委員会を立ち上げまして、検討を始めたところでございます。年度内を目途に答申をまとめる予定でおります。

 また、土壌農薬部会関係は、24ページ以降にありますように、一昨年の6月、農薬取締法の改正によりまして、農薬の生態影響評価の対象として、従来、水産動植物から陸域を含む生活環境動植物に拡大されたということを受けまして、昨年2月、鳥類、それから水草を新たな評価対象として加える旨の一次答申を行いました。さらに、この6月におきましては、野生ハナバチ類を追加する旨の第二次答申をまとめたところでございます。

 土壌関係におきましては、土壌環境基準や土壌汚染対策法の特定有害物質に係る基準の見直し、カドミウム、あるいはトリクロロエチレンにつきまして、本年1月に第四次答申をまとめたところでございます。

引き続き着実に持続的に今後とも検討を進めてまいりたいと思います。

 以上でございます。

○武内会長 どうもありがとうございました。

 動物愛護部会長の新美委員におかれましては、本日、ご欠席ということで、資料でご確認いただければと思います。

 それでは、質疑応答に移りたいと思いますが、ご意見については後ほどの協議事項の中でご発言いただければと思いますので、少し恐縮ですけれども、ご質問のみに限定させていただいて、ございます方はネームプレートを立てていただければと思います。それから、WEBの方は挙手の表示をお願いいたします。こういう組合せで今日はやってみたいと思います。いかがでしょうか。

ちょっと私が抑制的にお願いし過ぎたかもしれません。もうちょっと自由にご質問を頂いて結構でございますけれども、いかがでしょうか。

 じゃあ、大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 どうも恐れ入ります。

 1点お伺いしたいんですけど、自然環境との関係でございますけれども、先ほど、武内先生のほうから来年、昆明で生物多様性条約の締約国会議が開かれることをお話しいただきましたが、愛知目標について、海洋関係の保護区とかについては達成したと思いますけれども、日本では必ずしも達成していないところもあるやに聞いておりますけれども、どの点が達成されていて、どの点が達成されていないかについて教えていただけますでしょうか。恐れ入ります。

○武内会長 後ほど一括してということで、回答はお願いしたいと思います。

 それでは、次に、畠山委員、お願いします。

○畠山委員 マイクロプラスチックのことでちょっとお伺いしたいんですが、レジ袋の有料化が進んできております。それに対して、各スーパーなどでは非常に薄いビニールと申しますか、プラスチックの袋が今でもただで供給されているわけですね。それで、新聞等の指針というか、レジ袋の有料化に伴ってエコバッグを使う人が大変増えていると。ただし、エコバッグをそのままずっと使い続けていると、例えば肉や魚からの汁がエコバッグについて、それから菌が発生して夏場などは食中毒なんかにもつながりかねないと。だから、そういうビニール袋にいろんなものを入れて、エコバッグに入れるようにしましょうという、そういう示唆があるんですけど、そうだとすると、プラスチックの削減にほとんどつながらないというおそれがあるんですね。その辺のところをエコバッグとレジ袋のつながりと関連してどういうふうにお考えかお聞きしたいと思います。

○武内会長 ありがとうございました。

 豊岡委員、お願いします。

○豊岡委員 では、第五次環境基本計画について、地域側からご質問をしたいと思います。

 これが策定されたのはコロナの以前でございまして、コロナを受けて大変地域の経済が疲弊してまいっております。それとともに、未曽有の災害が年々増えてきているということで、地域は人口減少だけではなくて、様々なことで基金も減り、非常に経営的にも困っております。

第五次環境基本計画、これを推進した後には、非常によい地域も分散型のレジリエントな社会も形成されるということなんですけれども、この未曽有の事態を受けて、さらに取組を推進していただきたい。ピントを絞って、総花的に曼荼羅的にやるのも非常にいいのでございますけれども、できましたら、地域の経済に資するような、地域の省エネに資するような、レジリエントに資するようなオーナーシップが地域が持てるような対策の推進をぜひお願いしたい。

と申しますのも、地域のほうには特殊な人材であるとか、こういうことを推進していく体制というのが非常に薄くて、非常に推進体制が遅れている。意識もなかなかついてきていないという中で、新しい産業としてこれを創出していきたいわけです。それを環境省さんにおかれましては、ぜひピントを絞って経済に資する、そういう金融も含めて、多様なビジネスの創出、それを、しかも分散型でレジリエントな再生可能エネルギーをゼロカーボンシティを創るときにオーナーシップがぜひ地域にあるような対策として後押しをしていただきたいということについて、これを第五次環境基本計画を立てた頃より非常に時代がまた変わってきているということでございますので、スピード感を持ってやっていただけるのかどうかということをご質問したいと思います。

○武内会長 ありがとうございました。

 崎田委員、お願いします。

○崎田委員 ありがとうございます。

 質問という形でさせていただこうと思いますけれども、今回、いろいろな取組を伺いまして、やはり脱温暖化とコロナ対応のデジタル化の進展、そこで分散化が非常に進むという、こういう大きな状況の中で、私は環境政策、特に環境基本計画の中で取り組んできた地域循環共生圏という、地域がそれぞれの個性を持って強くなっていく、こういう大きな流れというのは大変重要だと思っています。

 そういう意味で、昨今、世界各国がコロナ後のグリーンリカバリーに関していろいろな発信を始めていますけれども、私は、ぜひ政府として、この地域が元気になるという流れを基盤にしながら新しい社会を、脱炭素、デジタル化、分散化の社会をつくっていくということを明確に日本の政策として発表していくような、そういう形を取っていただくといいのではないかとに思っています。

ぜひその辺の政府内でのお考えの集約状況とか、取組状況などがあれば、お伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○武内会長 ありがとうございました。

 田中委員、お願いします。

○田中委員 田中でございます。ご説明をありがとうございました。

コロナ対策についての環境省の力強い取組から、今後のニューノーマル、新しい価値観等が地域循環共生圏の中から生み出されることを期待し、ぜひ後押しされたいというふうに思いますし、今回の対策において、今動き始めた共生圏の活動の中での対応策とともに、予算措置が取られるかにおいて、具体的なことがありましたら教えていただきたく思います。

 また、共生圏の単位、範囲について、市町村、コミュニティに加えて、流域という考え方が水災害の観点、生物多様性の観点、環境そのものの観点からも大変重要だというふうに思っておりますが、流域というのは、生活圏とマッチしないところもあると思います。先日も他の部会で共生圏の先進事例をお伝えいただきましたが、

流域の切り口において成功の兆しがあるようなところの事例がありましたら、今日でなくても結構ですけれども、ご教示いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

○武内会長 ありがとうございます。

 それでは、中根委員、お願いします。

○中根委員 ありがとうございます。力強い取組のご報告、ありがとうございます。

 1点ご質問ですけれども、資料2の4ページにあります総合政策部会の一番下のところに環境研究・技術開発推進戦略専門委員会について、現時点ではなしとなっていますけれども、今日のコロナ後の環境政策についての議論を踏まえて、恐らく研究の前提が大きく変わってくるわけで、ポスト・コロナに対して現在進められている研究に対してどんな示唆を出していただくのか、また、新規課題についてどういうふうに取り組んでいただくのかというところなどを推進戦略のフォローアップなどでご議論いただくといいのではないかと、その辺りについてのご予定をお伺いしたいと、そういうことでございます。

○武内会長 ありがとうございます。

 小西委員、お願いします。

○小西委員 ありがとうございます。2点簡単に。

 まず一つが、2050年ゼロを約束する自治体の人口が7,000万人に至っているということで、これ、本当に「We are still in」のアメリカの日本版という形で非常に心強いんですけれども、今やはりコロナで、先ほど豊岡委員がおっしゃったように、非常に疲弊している中で、2050ゼロというのがビジョンだけで終わらない、いかに具体化していく支援をされるかと、先ほどおっしゃっておられたので、どのような支援をお考えかということをお聞きしたいと思います。

 もう一点が、オンライン・プラットフォームなんですけれども、これ、言わば京都議定書以来の日本のホスト国になるという大きな機会かなとすごく期待しております。京都議定書のときに日本はすごく国内の環境政策が進んだだけではなく、例えば主要メディアも毎日新聞が、環境科学部をつくるとか、メディアにすごく大きな影響を与え、かつ、私たち環境NGOもこれをきっかけに大きくアドボカシーとして日本で、今でも小さい存在ですけれども、そのときに初めて芽生えて、日本でも根づいてまいりました。

ですので、今回のオンライン・プラットフォームで二つ大きな意義があるかなと思っているんですが、一つが国際的な日本の存在感を高めるということと、もう一つが日本の気候のステークホルダーの底上げが図れるんじゃないかと思っています。特に今回は非国家アクターで自治体の底上げというところが大きなポイントになってくるのかなと思いますが、このオンライン・プラットフォームをどのように設計していかれているかということをぜひお聞きできればと思います。

 以上です。

○武内会長 ありがとうございます。

 それでは、WEBで参加の石井委員、お願いします。

○石井委員 どうもありがとうございます。

 資料2になるんですが、土壌農薬部会の細見部会長からのご報告について、1点ご質問させていただきたいと思います。

 現在、浸透移行性農薬、ネオニコチノイド系農薬などの生物多様性影響が注目されているところです。11月12日に開催された72回の部会に野生ハナバチ類の取扱い、それから農薬の鳥類に対する影響評価についてという議題がありますけれども、そのような内容だったのでしょうか。どんなような結果だったかも含めて教えていただければと思います。

○武内会長 ありがとうございました。

 それでは、事務局のほうでただいま頂いたご質問に対して簡潔にお答えをお願いしたいと思います。

○鳥居自然環境局長 自然環境局長でございますけれども、大塚委員からご質問のありました愛知目標の達成状況について簡単にご説明を申し上げます。

 2010年の名古屋での会議で愛知目標ができましたけれども、20の目標がございます。そのうち、例えば目標11、「陸域の17%、海域の10%が保護地域等により保全される」、これは、陸域については既に17%を超える保護地域がございまして、海域につきましては、先ほど武内会長からもご説明がありました沖合海底自然環境保全地域の指定を今進めてございますが、これが達成できればクリアできる見込みでございます。

 また、目標16は、名古屋議定書、遺伝資源からの利益の衡平な分配の話でございますけれども、これも我が国は議定書を締結してございますので達成しています。

ただ、それ以外には、例えば目標1の「人々が生物多様性の価値と行動を認識する」とか、あるいは、目標4の「全ての関係者が持続可能な生産・消費のための計画を実施する」とか、そういったようなことにつきましては、一定の達成ができてございますが、まだまだ十分でないというのがほかの目標にも言えるところでございます。来年の5月のCOP15で新たな世界的な目標、枠組みができますので、それを踏まえまして、縦割りではなくて、横割りの横断的な課題解決に向けた目標を、日本でも生物多様性国家戦略を改定いたしまして取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

○森山環境再生・資源循環局長 環境再生・資源循環局長でございます。

 畠山委員からエコバッグというものが導入しても、結局その中にまたビニールで入れると、そうすると意味があまりないんじゃないかというご質問がございました。レジ袋有料化につきましては、7月から全面施行し、多くの店では4月からもやっていただいてございます。概ね順調な滑り出しかと思いますけれども、一方では、同じ時期にコロナが発生し、テイクアウトが増えるだとか、そういった事情もございます。また、個別に有料化というものの中でどれぐらいレジ袋が減っているのかとか、そういった状況もいろいろ踏まえながら、必要な対策ができればというふうに考えてございます。

また、リユースですとか、素材代替を踏まえた材質の件につきましても、プラスチック全体で今現在、資源循環の議論を小委員会で進めてございまして、そういったことを踏まえながら必要な対策も考えていけたらというふうに考えてございます。

○和田総合環境政策統括官 続きまして、地域循環共生圏の関係等々につきまして、ご質問を賜りましたので、それの関係ということで、まず、先ほどご質問もありましたけれども、武内会長、それから酒井部会長、さらには山極委員からも地域循環共生圏のキーワード、見取図とか、より具体的にとか、どうやっていくのかというようなことでありましたけれども、まさに、先ほど資料の最後のページを割愛した部分がありましたけれども、「ヒト・モノ・カネ」、さらにはソリューションということかと思うんですけれども、いわゆる、何を動員して、どのようにやっていくのかと、そういう意味では、ゼロカーボンシティというものが出来上がって、オーナーシップの中心となるのが地方自治体というような雰囲気が出来上がったところなんですけれども、次はどのように、さらには、予算支援措置があるんですかというようなご質問なんかも頂きましたので、より具体的にという意味では、今まで環境省が立ち上げてきました環境省ローカルSDGsプラットフォームのコンセプトの中で、関係省庁との連携、それから、ほかのネットワークとの連携、それから金融、いわゆるESG金融との連携、それから、企業の登録制度といったようなことを動員しまして、コンセプトで言えば、地域・社会というキーワードと経済・産業というキーワードというのは、どちらかというと敵対コンセプトみたいな感じがあったと思うんですけれども、そこを地域のビジネスというキーワードをつなぐということを、このプラットフォームコンセプトでよりエンジンをかけて進めていきたいと思っているところが、より具体的にという点です。

 それから、予算その他の支援についてというところでございましたけれども、そこについては、今後まさに重点、予算の議論の中で、さらには、何をどのように予算的なことも踏まえてバックアップ、支援していくのか、ローカルSDGsの原点でありますプラットフォームを活用してということになろうかと思います。

 それから、さらにはしっかり発信すべきであると、国際的にももちろんだけれども、政府全体としてしっかり政策論として発信すべきということもございましたので、そこにつきましては関係省庁の連携は大分エンジンがかかってきたところでありますので、環境省だけが言っているという観点ではなくて、地方の総意をまとめた上で、霞が関全体、さらには日本全体で少しムーブメントとして創り出していくという意味でも、創り出した上で、国際的にも発信できるようにということで、新しい力強い政策、展開をしていきたいと思っています。

 以上でございます。

○小野地球環境局長 続きまして、地球環境局でございますけれども、小西先生からオンライン・プラットフォームについて強い期待を頂きまして、どうもありがとうございます。

 ステークホルダーの参加という点でございますけれども、まず、WEB上で締約国はもちろんでございますが、UNFCCCの全てのオブザーバー機関にもビデオメッセージなどを出していただけるようにということを働きかけております。また、それ以外の様々なステークホルダーの方もいらっしゃいますので、そういった方々をどういうふうに参加を確保していくかということについては、よく検討していきたいと考えております。

 また、崎田先生からも、分散化についての国際発信というのがございましたけれども、コロナからの復興という中で、分散化というのは、非常にキーのコンセプトになると思いますので、オンライン・プラットフォームの機会なども活用して、国際発信をしていきたいと考えております。

 以上でございます。

○山本水・大気環境局長 それでは続きまして、石井委員からネオニコチノイド農薬に関する質問に関してですけれども、こちらにつきましては、本当に大きな問題だと考えて、審議会の中でもしっかり議論していただきました。対象の生物として従来の鳥類に加えて、野生ハナバチを加えるというところ、それによって、新しく出てくるものについては、しっかりとその影響についてチェックをするという仕組みができたわけですが、来年度からは、既存の登録農薬についても順次しっかりとこれをチェックしていくということです。その中でも、ネオニコチノイド系の農薬は優先順位が高いと考えておりますので、取り組んでいきたいということでございます。これについて、審議会の中でガイドラインもまとめていただきましたので、その方向性に沿って、着実に取組を進めていきたいと考えております。

 以上でございます。

○和田総合環境政策統括官 補足で加えさせていただいてよろしいでしょうか。あと二つあったかと思いますが、一つは、中根委員のほうからありました、研究費の関係でございますけれども、コロナ前のコンセプト、政策のほうをベースにしているわけですけれども、その後はということでありましたけれども、今、まさに推進費の運用の在り方などにつきまして、ウイズ・コロナ、ポスト・コロナの観点も踏まえまして、どうあるべきなのかということを今後議論していくということになろうかと思います。

 また、もう一点補足し忘れましたけれども、流域というキーワードについて、どう捉えていくのかということで、事例があればということでございましたけれども、それについては、また後ほど、事例をご用意して、報告できるようにしたいと思います。

○武内会長 よろしいですね。どうもありがとうございました。

 小泉環境大臣が出席をしておられますので、ここで小泉大臣からご挨拶を頂ければと思います。

○小泉環境大臣 改めまして、皆さんこんにちは、小泉です。今日は閣議の後の記者会見もありまして、遅参したこと、まずはご理解をいただきたいと思います。

 そして、武内会長には、審議会の会長として、各部会、そして、この会をまとめていただいて、いつも環境省がお世話になっています。ありがとうございます。

 そして、特に委員の中では、髙村先生、今日いらっしゃいますが、石炭政策の見直しにつながった多大なる貢献を頂いたのは、髙村先生のおかげです。本当にありがとうございます。

 まさに私が大臣になって以来、何とか国際社会の日本イコール石炭という、この評価を変えたい。そして、日本が頑張っているイノベーションとか、自治体の努力とか、地域の皆さんの取組とか、いい取組が国際社会に適切に、そして確実に届くためには、この石炭火力の政策に必ず踏み込まなければいけないのだという思いで、私は取り組んできました。それが今回、髙村先生など多くの方のご理解、またはご協力もあって、海外の石炭輸出は、相手国のエネルギーを取り巻く状況・課題や脱炭素化に向けた方針をしっかり把握していない国に対しては、原原則、これから支援をしないと。そして、一昨日、JBICの前田総裁が記者会見をして、事実上もうないだろう、そういうような発言もされたのが、まさにこの風穴を開けた一つの証左ではないかと思います。

 そして、経産省が国内の石炭のフェードアウト、これを梶山大臣のリーダーシップで一歩動かしていただきました。まさにこれが何を意味しているかというと、環境省が国内に、国外に問題提起をして、その問題提起をすることをきっかけに、世の中に大きな風穴を開けることができる。そういったことの一つのシンボルだと思っています。

 私は、この審議会の皆さんに期待をすることは、環境省のお尻をたたいてもらいたいと、そして、一部会、一問題提起のように、世の中に問題提起をしていただくぐらいの、そういった思いで運んでいただきたいというふうに思っています。

 一昨日、ゼロカーボンシティ、自治体の2050年までのネット・ゼロ、これが目標達成をしました。6,500万人を超えて、6,900万人を超えました。私がなぜこれに力を入れてきたかというと、環境省だけでは変えられない。政府全体の目標を変えるためには、ボトムアップアプローチを取る以外はないと。そういった思いから、現実を変えていけば、今の目標にこだわっている意味がなくなるだろうと。そういう思いで、まずは現実から変えてしまおうと、そういうふうに思って、自治体の皆さんにも呼びかけをして、もう既に政府の目標を上回る2050年のネット・ゼロを宣言している自治体のほうが、また人口のほうが過半数を占めれば、2050年の80%、また、2050年以降、できる限り、早い時期に脱炭素社会の実現をするという、今の政府目標を引き上げることに、大きな後押しになるという思いで、ここまでやってきました。

 昨日、官邸で開催されている未来投資会議の場で、私は、政府目標を引き上げるべきだと発言をしてきました。これから、今日の記者会見でも申し上げましたが、石炭の戦いが終わったら一段落なんていう暇は、日本にはありません。環境省は問題提起を非連続で続けていって、世の中に社会変革を起こしていくためには、我々だけの力では足りません。審議会の皆さんのお力、そして、より野心のある政策を次々に生み出していって、この世の中を変えていきたいと思いますので引き続き皆さんの力強い後押しをお願いしたいと思います。

 今後、石炭のことが動いたことで、では再生可能エネルギー、原子力、そして、火力の将来、どうしていくのかという大きな議論も始まります。我々としては、残る高効率の火力はより高効率に、そして最終的には、ゼロエミッション火力という道も、今、技術としては出てきていますので、そういったことも、我々としては後押しをしていくつもりです。そして、再生可能エネルギーのできる限り多く導入ができるような支援もしていきますし、我々環境省自身が、2030年までに再生可能エネルギーを100%調達していきますので、今年の4月から新宿御苑をはじめとして、七つの施設で再生可能エネルギーを100%調達し始めましたが、去年、2019年で30%しか再生可能エネルギーを調達していなかった新宿御苑を、今年の4月から一気に100%に上げても、電力単価は変わりませんでした。再生可能エネルギーを高いという日本の思い込みを変えたいと思います。ぜひ、それも皆さんのお力添えをお願いしたいと思います。

 そして、我々だけではできないことは、ほかの大臣とも連携をするということで、河野防衛大臣とは連携をして、今まで気候変動の適応推進会議のメンバーに防衛省は入っていませんでした。それを気候危機に取り組むことは国家の安全保障に等しいと、そういった認識で防衛省にメンバーになるように働きかけをして、今、メンバーに入ってもらいました。そしてさらに、自衛隊というのは自己完結能力というのが非常に大事です。補給を受ける自衛隊ではなくて、補給を自らが賄っていく。自己完結にしていくために、自衛隊の施設等での再生可能エネルギーの導入を増やしていくための連携も今、河野大臣とやっていて、防衛省が、RE100のアンバサダーを宣言してくれました。

 そして、武田内閣府の防災担当大臣とは、気候変動×防災という観点で、もはや防災のところに、気候変動を入れていかなければいけないということで、新たに地域の特性などに応じた土地利用のコントロールも含めて気候変動への適応を進めていく、適応復興という今までの事前の元どおりに戻すという、原形復旧、そして改良復旧、それだけではなくて適応復興だと、こういった新たなメッセージも打ち出しました。

 今日は、この後皆さんに、コロナ後の環境政策の方向性、こういったことをご議論いただくことになりますが、ぜひ、今までの既存の流れにとらわれず、中根先生がさっきおっしゃったように、もう世の中、前提が変わっているわけですから、自由に闊達に、皆さんの見識の高いご意見を伺えればと思います。

 最後になりますが、さっき、畠山先生ですか、レジ袋の関係がありました。これは改めて私からも重要な点を申し上げますと、レジ袋を全部なくしたところで、プラスチックのごみの量、これに大したインパクトはありません。そして、それは目標でもありません。このレジ袋の有料化を進める、我々の最大の目標は、このことをきっかけに、プラスチックという、この素材に対する問題意識を、世の中に共有してもらいたい。既に世界では、60か国ぐらいが、もう何らかの規制を、プラスチックにはやっています。言わば日本は、そういった意味では後発組でありますので、様々なご意見があるのは承知をしています。しかし、この批判も含めて、プラスチックのことを考える機会につなげて、結果としては、世の中をより持続可能な、そして、循環型の社会に変えていきたいと思いますので、共に正しいメッセージが世の中に伝わること、別にレジ袋をなくして、プラスチックのごみの量を減らそうと、そんなことを言っているわけではありません。ぜひ、こういったこともご理解いただきたいと思いますし、小西さんからもご期待いただいているオンライン・プラットフォーム、これについても日本が主導して勝ち取った国際的な場でもあります。私が議長を務めることになりますが、できる限り実りある、一つのいい日本の取組をアピールする、そんな場にすべく頑張っていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 以上です。

○武内会長 小泉環境大臣、どうも力強いメッセージをありがとうございました。

 私も、大臣とマドリードで、私、記者会見を聞いておりまして、あの頃には、本当に小泉大臣、言わばマスコミから非常な質問攻めにあって、大変その当時は苦しかったんじゃないかなというふうに、私は拝見しておりましたが、現在では、逆に脱石炭火力に、本当に日本の社会が大きく舵を切ったという、ここまで環境大臣が、これを先導されたということに、改めて敬意を表したいと思います。

 そういうことで、ぜひ環境政策が、単に環境政策だけにとどまらず、社会や経済を変えていくエンジンとなるような環境政策に発展していくことが、とりわけウイズ・コロナ、ポスト・コロナの時代には重要でありますので、委員の皆様方の引き続きのご指導をお願いしたいと思います。大臣、どうもありがとうございました。

 さて、協議事項である資料7、「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた環境政策の方向性について」ですが、本件は先日の総合政策部会でも議論をしております。その点も含め、環境省からの資料の説明を簡潔にお願いしたいと思います。どうぞ、事務局、よろしくお願いします。

○和田総合環境政策統括官 よろしくお願いします。それでは、資料7のパワーポイントをお開きいただけますでしょうか。そのパワーポイントの次のページのところ、ちょっと字が小さいので、一部拡大してご覧いただかなければいけないかもしれませんが、この資料7につきましては、コロナ時代における持続可能なレジリエントな地域の在り方につきまして、環境省内で部局横断的に検討して取りまとめた議論のたたき台でございます。7月28日に総合政策部会におきましても、会長の下で一度ご議論いただき、様々な意見を既に頂戴しているところでございます。本日の総会におきましても、さらに忌憚のないご意見をいただきまして、今後の検討のご示唆をいただければと、かように思ってございます。

 資料7につきましてですが、ポイントだけご説明させていただきますが、資料7の部分で、まず、これは2枚目の物理的にある2枚目の上半分になりますが、上に三つの四角がありますけれども、それぞれは、コロナ後の地域づくりを考えるためのバックグラウンド、背景になってございます。資料7の3枚目以降につきましては、エビデンスベースということが、最近、昨今取り上げられておりますので、データを取りそろえておりますので、別途ご参照いただければと思います。

 まず四角の上の三つの1の(1)でございますけれども、国土利用の観点からということで、分散化の必要性をというものを取りまとめてございます。例えば、人口密度が高い大都市におけます感染率が指数関数的に高いという点を上げております。時間の経過とともに傾きが急になってくるなど、日々刻々と変化しているということもございまして、今後さらに分析を深める必要があろうかと思います。

 真ん中の1の(2)でございますけれども、コロナの示唆として、経済復興の観点から、分散化の必要というものをまとめてございます。例えば、デジタル化・脱炭素化を通じました経済復興が重要である点や、いわゆる行き過ぎたグローバル化への対応等の観点から、医療、エネルギー、食料などの生きるために必要な命の産業というキーワードを取ってございますが、地産地消などが重要である点を挙げてございます。

 右側が、1の(3)国土利用に係る中長期的なという視点でございますけれども、分散化を進めた上で、温暖化対策やインフラ維持の管理の観点から、一定程度の集約化が必要である点、災害対策として、生態系の持つ多面的な機能の活用も必要である点を言及しているところでございます。

 真ん中ら辺、2.になりますが、基本的方向性を二つ上げてございます。

 一つは、競争力強化、それと生活の質向上という観点から、地方の資本ストックを充実・発展させつつ、東京の一極集中から地方への分散化というもの。それは同時に受皿として、地方のヒューマンスケールの集約化、ネットワーク化へ移行するという方向を示してございます。

 もう一つは、循環共生型社会の実現の観点からということで、化石燃料などの、いわゆる地下資源の依存というものから、再エネ等の地域に分散する地上資源、いわゆる人類が生まれたときに、既に地上にあったものというコンセプトかと思うのですけれども、地上資源主体の社会へと移行する方向性でございます。このように国土の在り方をリデザイン、再設計することが新たな価値観を生み出すと考えているところです。

 次に3.下のほうになりますけれども、東京一極集中につながる今の経済社会構造において、分散化の原動力となるもの、二つ上げております。

 一つは、地域の魅力・競争力の強化といったことでございます。具体的には、地方の双発的な取組によりまして、比較優位のある分野を伸ばす必要があって、デジタル化、脱炭素化は、その柱となる可能性があるところございます。加えてGDPで把握できないような幸福度、地域の愛着、いわゆるオーナーシップ、先ほど来より、委員の先生方から頂いているキーワードございますが、そういうもの、また、さらには近年注目されている人的資本など、無形資産の強化に向けても地域の資本取得の充実、発展も必要でございます。

 もう一つの柱としては、地域の構造の在り方の量から質への変化が必要です。という点でございます。具体的には、生活に必要な機能が集約されたヒューマンスケールのコンパクトシティ、それから、ネットワークを進める必要があると考えております。

 最後には、これらを踏まえた政策の方向性として、総論として、ランドスケープアプローチの活用などを通じまして、地域循環共生圏をさらに深掘りしていく、より具体化、どのように進めていくかということを深掘りしていくことが必要かと考えております。

 各論としては、地域の脱炭素化支援、地域の資本ストックの充実・発展、いわゆる縮退が必要な地域などについての公的関与の下での人口資本の再整理などの検討を進めるべきだと考えているところでございます。

 総合政策部会で頂いたご意見の中にも、この資料の検討を踏まえていくべきではないかという様々な意見がありまして、人の生命、健康を支える環境の重要性の視点、気候変動と整合的なコロナからの復興の重要性の視点、それから、地域を力強くする意味での人づくりの観点などの意見があったところでございます。

 なお、今、ご説明させていただいたこの資料につきましては、コロナを踏まえた国土、地域づくりというテーマに着目した資料となっておりますが、本日は、コロナの影響を踏まえた、いわゆるウイズ・コロナ、アフター・コロナにおける環境政策の方向性についてということで、幅広い視点からご議論、ご意見を賜ればありがたいと思っております。

 以上でございます。

○武内会長 ありがとうございます。それでは、委員の皆様からご意見を伺いたいと思います。

 恐縮ですけれども、あと10分しか本来、時間がありませんが、少し伸ばして審議をさせていただきたいと思います。御用のある方は、ご退席いただければと思いますが、今のところ目処として、15分から20分ぐらい延長するということでご理解いただきたいと思います。

 それではどうぞ、畠山委員、お願いします。

○畠山委員 ありがとうございます。ウイズ・コロナ、アフター・コロナということで、対策がいろいろなことで考えられて、今、ご説明の中にもあったのですけども、今のご説明中で、全然出てこなかったのは、主にコロナの感染率の観点からいろいろ解析されているんですけども、重症化、死亡率といった観点というのは、非常に重要なポイントだと思っているんですね。特にそこに結びつくのが、コロナの最初の頃、たばこ、ヘビースモーカーは非常に重症化率が高くて死亡率も高いというようなことを言われましたけども、それとつながるんですけれども、大気汚染ですね。特にPM2.5とか、非常に大気汚染がひどいところでは、重症化率、死亡率が高いというのは最近幾つか論文が出てきております。そういう意味でも、大気汚染そのものによる健康被害だけじゃなくて、コロナと絡んだ健康被害というものは大気汚染による影響が非常に大きく出る可能性がありますので、その辺の観点もこの対策に含めていただけると大変ありがたいと思います。

 以上です。

○武内会長 ありがとうございました。

 それでは中根委員、お願いします。

○中根委員 アフター・コロナの環境政策を考える前提が、資料5に非常に分かりやすく書かれていますので、資料5の3ページですね。ここに第3章「新たな日常」の実現ということで、骨太方針の中で持続可能な開発目標を中心とした環境・地球規模課題への貢献ということで、しっかりすばらしいことが書いてある。これは非常にいいのですけれども、これが出来上がった新たな世界秩序に対する、こういう(4)の一課題についての貢献というもの以上の意味があるのではないか。つまり、骨太方針本文を読みますと、第1章の最初の方にに書いてあります、国際秩序が揺らいでいる、そして、新たな世界秩序を模索していると。そのときに、何が指導理念になるのか。それはやはり世界の各国が、もう5年前に合意しているSDGs、そして、それのドライビングフォースなっているESG投資、それから人間活動、とりわけ経済活動の環境制約としての脱炭素社会、パリ協定。それには各国は同意しています。それからこのコロナのパンデミックの中で、自然共生の重要性が再認識されていることは、冒頭、会長がお話しされたとおりです。こういうものが、この一つの構造、特にこのSDGsが新しい世界秩序の指導理念であるということで、このSDGsを中心とした取組、内外の取組というのが、まさに新しい国際地秩序をつくる取組だという位置づけで、環境政策に取り組んでいただくということが環境政策にとっても、日本の国際的な発信にとっても、非常に大きな意味を持つのではないかとそういうふうに考えております。その辺りの共通認識をぜひ作っていって、リードしていっていただきたいと思います。

 以上です。

○武内会長 次に、豊岡委員、お願いします。

○豊岡委員 ウイズ・コロナのデジタル化、グリーン化を通じた地域への投資促進のところについて、意見とご質問をお願いしたいと思います。大変こういう流れが、世界的にも、投資も呼び込まれているということは承知をしておりますし、いい流れ、チャンスが来ているとは思っております。

 ただ、地域にとっては、先ほども何度も繰り返し申しましたように、ゾーニングであるとか、地域のルールであるとか、開発の優先権というものがなく、競争力にさらされた場合に非常に弱い、この中で投資が呼び込まれても、域外に経済の循環が持ち出されてしまうだけのおそれがあるという懸念を非常に感じております。なので、コミュニティパワーについては、地域に優先権がある水利権や漁業権と同じように、地域の資源であるというような概念を急いで議論を始めなければならないと思っているし、そういう思いでもって、各主体が取り組むという考え方を持ち込まないと、すごく投資チャンスということで、お金が降ってきたり、開発のお話もたくさん来ております。でも、大規模開発はほとんどが域外の大規模な企業が、企業のみがやったりということが非常に住民との対立を、むしろを招いたり、災害の懸念を起こしたりというようなことがございます。なので、この場合に、とても域内のコミュニティパワーの優先権というものを概念として確立を目指していただきたいというような私は環境省さんに対しても非常に希望を持っておりますので、そのことを意見として申し上げたいと思います。

 人材についても足りないので、非常にこのことについて関わる方々が少ないということにも懸念をしておりますので、ぜひ後押しの施策をお願いしたいと思います。

 以上です。

○武内会長 髙橋委員、お願いします。

○髙橋委員 ありがとうございます。私ども地方自治体の最大の今の課題は、地域循環共生圏の構築であります。私どもも中井さん、あるいは和田さんのご指導を頂きながら、地域の曼荼羅図、これを構築しているわけでありますが、先ほど、別の委員さんから、曼荼羅図だけを作っても分かりにくいと。個々の施策が必要だというふうにご意見を頂いたわけでありますが、もちろんそれも個々の施策も大切でありますけれども、関係者全員でこの曼荼羅図を共有することが、結局、様々な施策の中に環境問題を内包する、こういった効果があるんじゃないかなと思います。ですから、この曼荼羅図を全国各地に広げて、それぞれの地域でできる範囲の環境問題施策に取り組む。これがまず大事じゃないかなと思っております。その面でぜひ技術的なご援助を、環境省にもお願いしたいなというふうに思っているわけであります。

 そして現在、足元で一番大事な課題というのは、やはりプラスチック問題であると思います。私どもの市でも、レジ袋の有料化、お陰様で無事にスタートしているわけでありますが、レジ袋有料化が不衛生であるとか、あるいは、場合によっては、マイバッグを持ち込むことによって、万引きが増えているだとか、ちょっと違った形で捉えられて、批判がされているわけでありますが、先ほど小泉大臣からも、その本来の目的が力強くご説明があったわけでありますけども、ぜひ環境省からも、このマイバッグの有料化が本来何を目的としているか、もうちょっと分かりやすく国民にアナウンスがしていただけると大変ありがたいなというふうに思っております。

 また、詳細はプラスチックの小委員会のほうでも、全国市長会からの意見、申入れをさせていただきたいと思いますが、今回、収集運搬の新しい区分のプラスチックを作ろうというようなご意見もありますけれども、やはりプラスチックの問題は、全て製造、販売、流通、そしてごみ回収、さらには最終処分と、全ての関係者が取り組むべきことであって、単に地方公共団体のほうの収集・運搬区分を作ったからといって、解決できる問題ではないというふうに思っております。ぜひみんなで取り組んで、プラスチックを何とか解決したい、そのようにご指導いただきたいと思っています。

 以上です。

○武内会長 ありがとうございました。

 まだ、大分ご発言の方がおられますので、恐縮ですけれども発言については簡潔にお願いしたいと思います。

 崎田委員、お願いします。

○崎田委員 ありがとうございます。ウイズ・コロナ、アフター・コロナに関しては、先ほど発言させていただきましたが、ぜひしっかりと発信をしていただきたいというふうに思っています。その際、私はぜひ活用していただきたいのは、東京2020大会が、持続可能な視点を大変強調して準備をしてきているという、それをうまく活用していただきたいというふうに思っております。

 この中央環境審議会の委員の皆さんも、多くの方が組織委員会の外部専門家として、持続可能性に配慮した運営計画の策定、あるいはその実施に対してアドバイスを続けてきました。特によく知られているのは、都市鉱山メダルプロジェクトで、今度の大会の金、銀、銅メダルの全ては、日本の多くの国民の方が資源回収に参加してくださった、出してくださったものでできているということで、そういう再生資源を100%しっかり活用するということも、大きな日本からの発信になると思っています。その他、再生可能エネルギーを100%、新しく建設したした建物では使うとか、あるいは水素・燃料電池を活用する新しい都市型のモデルとしてバスや自動車、選手村などで様々な取組をしています。そういうような全てのことを踏まえて、うまくこれをウイズ・コロナ、アフター・コロナとして、の持続可能な都市型地域循環共生圏に向けたいろいろ仕組みづくりのレガシーとして活用するという、そういう戦略を持っていただくことが大事なのではないかというふうに感じます。

 最後に一つ、短めに。福島の浜通りのリスクコミュニケーションに関わっております。これまで環境政策の中で、環境省の取組の中では、中通り地域から除染・環境回復という形で、浜通りに向けて、いろいろな施策が動いてきました。昨今は、廃炉に関して、資源エネルギー庁やと廃炉に関する事業者からのコミュニケーションも始まってきております。その辺をうまくかみ合わせて、将来あの浜通り地域をどういうふうに脱炭素型の、そして、心豊かな社会に変えていくか、地域の方々も巻き込んでそういうコミュニケーションをもう一回再構築する、大事な時期なのではないかというふうに実感しております。ぜひ一緒に考えていただければありがたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

○武内会長 次に、大塚委員、お願いいたします。

○大塚委員 どうもありがとうございます。総合政策部会でも少し発言させていただきましたが、2点なり3点、申し上げたいと思います。

 一つは、今回、地域循環共生圏についてお話しいただき、さらに今のアフター・コロナの環境政策についてもお話をいただいたのですけれども、この見せ方が重要だなと思っておりまして、総合政策部会でもご議論がございましたが、欧米ではグリーンリカバリーに向けて、新しい施策を国として、政府として打ち出すということをなさっていますけれども、ちょっと日本の場合、それがあまり出てきていないところがありますので、ぜひ、そういう見せ方をすることが必要だと思います。今回のコロナとの関係では、やはり温暖化対策をすることもコロナのようなパンデミックの再発を防ぐという観点もございますので、その辺も含めながら、新しいビジョンを政府全体として打ち出すということもお考えいただきたいと思います。

 その柱になるのは、まさに地域循環共生圏で、そういう意味で、これをご検討されてきたのが、非常に先見の明があったと思っておりますけれども、この概念は、持続可能なエネルギーへの転換とか、エネルギー効率の改善とか、資源効率の改善とか、コンパクトシティとか、デジタル化とか、地方における雇用の創出とか、そういうことを全て含めておりますので、まさに地域循環共生圏を柱として、グリーンリカバリーのビジョンを打ち出していただきたいと思っています。

 2点目でございますけども、もう少し細かい点として、グリーンリカバリーについてEUなどでは、例えばフランスが、エールフランスの政府支援の際に、CO2の排出量の削減などを求めているというようなことがあったり、中距離フライトの削減を求めているということがございますが、日本もこういうことをやるべきではないかということがあるかと思いますし、農業に関しては、もう出ていたと思いますけれども、食料自給率を高めるための支援をするというようなことを検討する必要がないかという問題があると思います。

 それから、もう一つ申し上げておきたいところは、地域循環共生圏につきまして、環境省は本当に熱心におやりになっていて、大変いいことだと思っていますが、他省庁との連携という話、先ほどもございましたけれども、他省庁と政策を共につくっていくような方針が非常に重要だと思っています。伺っているところによりますと、地域循環共生圏は、他省庁においても評判がいいということでございますが、他方で、他省庁と政策が競合する場合もあると思っていまして、そういうときに、どういうふうに対応するお考えなのかということをお伺いしたいところがございます。

 以上でございます。

○武内会長 ありがとうございました。

 髙村ゆかり委員、お願いします。

○髙村(ゆ)委員 ありがとうございます。まず初めに、大臣から、過分なお言葉を頂いて、大変ありがたく思っております。

 大臣がファクト検討会を立ち上げられて、そこには大臣も、佐藤副大臣も、鈴木外務副大臣も、それから関係省庁もご参加をいただきました。近藤局長をはじめ、地球局の皆さん、秦さんはいるか分かりませんけれども、地球局の皆さんの非常に大きなご尽力があったと理解をしております。大きく踏み出した施策であるという点については、全く異論がございません。

 資料7について、2点でございます。将来の気候変動リスクの低減、つまりレジリエンスの強化、あるいは生態系の保全という観点からも、新しい産業や雇用を創出するという点でも、地域循環共生圏においても、コロナ後の日本の在り方とにおいても、脱炭素化の社会の実現は、非常に重要だと思います。

 3月31日にNDCを提出されたと理解をしておりますけれども、温暖化対策計画の見直しがこの後始まると理解をしております。そこでぜひお願いをしたいのは、今起きている大きな社会の変化を踏まえた上で、先ほど、武内会長がおっしゃった、温暖化政策が社会経済を変えていくという観点から、多くの自治体が既に表明をしている50年ゼロエミッションのために、どういう施策が必要なのかということを、真正面から議論をいただきたいという点です。国の支援も重要ですけれども、地域の脱炭素化の観点からは、私は、中長期的な政策の一貫性と明確な政策の方向性、見通しを示すことが非常に重要だというふうに思っております。その点について、ぜひ温対計画の見直しの中で議論をしていただきたいというふうに思います。

 2点目は、多くの委員が、このコロナの中で分散型の国土利用、あるいは地域づくりに、国の在り方を変えていかなければいけないというご指摘だったというふうに思います。事務局の資料も、それを「リデザイン」という形でうち出してくださっていますが、一極集中、大都市集中は、ここ50年来、日本の課題であり、あらゆる施策を取ってきたはずですけれども、解決していないという問題であるという認識を持った上で、しかし、インフラ形成にかかる時間を考えると、今こそここをやらないといけないという問題だと思います。

 その上で、この一歩をどう踏み出すか。皆さんがおっしゃっていたのは、やはり大きな統合的なビジョンの必要性、これは全くそのとおりだと思います。それを実際に、施策に転換をし、実施をしていってほしいという点も共通していたと思います。この点は、民間の投資を地域に招くためにも非常に重要だと思っております。

 環境省さんのこの間の施策を見たときに、例えば適応策というのは、環境省さんが、リスク評価を軸となって行っていると思いますが、そのリスク評価をうけた実際の多くの適応策は、それぞれの省庁が権限を持って行っていらっしゃる。これは、環境省さんが、一種、プラットフォームとなって、統合的なリスク評価を他省庁にインプットしながら施策を変えていかれた一つの例だというふうに思っていまして、先ほどの石炭火力のファクト検討会も、別の方法ですが同じように、各省庁を巻き込むという意味で面白い取組だと思いますが、どうやったら環境政策の統合的な実施に結びつけられるかという方策や仕組みを考えていただきたいというふうに思っております。

 もう一つ、最後に、財政についてぜひ脱炭素化のイヤーマークをつけていただけないかということが、現在の復興予算について希望するところです。多くの諸外国が、気候変動対策について、どれだけ予算を振り分けるかということをイヤーマークしていまして、この点については、ぜひご検討いただけないかと思います。

 以上です。

○武内会長 ありがとうございました。

 それでは、小西委員、お願いします。

○小西委員 ありがとうございます。今、まさに髙村先生がおっしゃっておられたことと同じことを言いたかったのですけれども、2点、それ以外に言わせていただければと思います。

 まず一つが、これは石炭、山のように動かないと思っていたものが、本当に転換されたというのは、本当に環境省さん、大臣のすばらしい結果だなと思って、かなり感動したのですけれども、あともう一つ、日本で全く動いていないのがカーボンプライシングです。経済復興策に、やはり具体的な脱酸素化の政策を入れていくといった場合に、これは、今、会長もおっしゃいましたけれども、環境政策が経済、社会を変えてくドライバーにするためには、その素地として、どうしてもこのカーボンプライシングの強化、今の二酸化炭素の排出量に応じた、炭素の税に変えていき、さらにできればその上に排出量取引制度といった、こういった仕組みがないと、実際に経済社会がどちらの方向に動くかというときのツールがない状態になってしまいますので、石炭が動いた今、カーボンプライシングも過去20年以上にわたって研究と検討だけしてきていますけれども、ここでぜひ入れていくということを、一つ動かしていただきたいなと強く願っております。

 あともう一つが、今、髙村先生もおっしゃっておられた、このレジリエンス、地域の強靭化を図っていく場合に、環境省さん、適応法を導入されて、三村部会長の多大なるご尽力もあって、この適応計画、地域のものが非常に進んできています。その地域の適応計画を立てる、支援もされていて、審査員もさせていただいているのですが、既にかなり地域さんのオーナーシップで計画が進んできていますので、適応復興といったときに、今、髙村先生がおっしゃっておられたように、これはどうしても国土交通省さんとか、防衛もそうですけれども、いろいろなところに全て関わることですので、それをどうやって他省庁を巻き込んで、一つ国土強靭化というのを果たしていくかということを、そのドライバーになっていただけたらなと強く願っております。

 以上です。

○武内会長 それでは、酒井委員、お願いします。

○酒井委員 環境政策の方向性の基本の一つが、分散と、その中での適度な集中と理解をさせていただきました。その中で、ヒューマンスケールのコンパクトシティ、これはいいキャッチだと思いますし、ぜひ大事にしていただければと思います。

 その中で一つ、分散のデザインの考え方といいますか、その前提ということで、一つ申し上げておきたいと思います。

 現在、熊本、九州での災害、あるいは山形での災害、環境省は、この災害廃棄物の対応に非常に大きな取組をされている真っ最中であろうと理解をしております。そのこと自身は、廃棄物行政を所管されるお立場としても敬意を表する以外にないのですが、この水害でのハザードエリア、そこに関わる日本の人口が相当の割合になりつつあるという、そういう事実に直面をしている問題であると考えることができると思います。

 その一方、今回の参考資料のほうで、空き家のマップをお示しいただいています。この空き家というのも、中長期的な意味での大きな廃棄物問題の基になる話でして、この辺りを総合的に考える手はないのか。すなわち、ハザードエリアと、それから空き家の適切なマッチングというのをすることはできないのか。これは口で言うのは簡単ですけれども、これは非常に難しい、ある種の行政調整が必要な、そういう話だと思います。ただ、そういうことを考えて分散型をデザインしないと、むやみな分散型でいった場合、また、大きな災害の被害を受けるということになりかねない。こういう問題も、ここの背景にはあるということで一言ご発言させていただきます。

○武内会長 ありがとうございました。

 それでは、大久保委員、お願いします。

○大久保委員 SDGsの総合的取組という観点から、3点申し上げたいと思います。

 第1点目は、減災、気候変動プラス生物多様性という観点です。今、酒井委員が話されたこととも関係しますけれども、6-2の資料では、Eco-DRR、あるいはグリーンインフラという考え方が記されてはいますけれども、このグリーンインフラに関しましては、できるところを活用するという考え方プラス、今後は中期的には効果のあるところ、また、必要性の高いところにしっかりとグリーンインフラを整備していく。あるいは保全していくという段階に来ていると思います。そのために何が必要かといいますと、欧州のTEN G、Trans European Network for GIとのように、生物多様性の様々な機能、特に防災機能を含めまして、見える化をしていく。デジタル化という観点で、そうしたデータを、国交省の持っているハザード情報と統合したデータとしてオープンデータ化していくということが極めて重要であると考えております。これが第1点です。

 第2点は、新型コロナウイルスと生物多様性ということでございますが、これは7-1に、国土利用の地域づくりということで、1の(1)でも少し出ておりますが、絶滅危惧種の個体数が減ると、人と生物共通のウイルスの数が増えるという研究が出ております。ぜひ、人と生物のワンヘルスアプローチということを明確に打ち出した生物多様性の戦略というものが必要ではないかと思っております。

 第3点は、プラスチック政策です。海洋環境の保全という観点では、6-3でご説明がありましたけれども、国際的には大阪ブルー・オーシャン・ビジョン、そして国内では、従来の容リ法への不満から、プラ資源循環への大変大きな関心が寄せられており、私も国外から日本の国内でのプラ資源循環政策について、様々な問合せを頂いているところでございます。この点では、先ほどお話がありましたように、プラ小委員会で極めて集中的な議論が行われ、7月21日には基本的な方向性の案も示されているところだと思いますけれども、より効率的、効果的に持続可能なリサイクルを進めるために、容器包装だけではなく、プラスチックという製品の特徴に焦点を当てた、新しい法的な仕組みというものも含めて、統合的なプラスチックのリサイクル法制といったものの検討も必要ではないかと考えております。

 以上3点でございます。

○武内会長 ありがとうございました。

 田中委員、お願いします。

○田中委員 田中です。まず、この2020年4月に、上場企業で、サステナビリティ推進室など、部門として設置したところが大変増えていまして、私どもの編集部の調べでも、60社に迫る形です。CSRからSDGs、あるいはサステナビリティ部という名称にされたところが多く見受けられまして、これは経営トップが直轄で、総合的にしくみをつくり、このコロナ禍において、持続可能な新しい経営を目指していこうと考え、取り組み始めようとしているはいけいからとみております。

 また、今、お示しいただいた地域におきましても、中小企業は今、大変厳しい状況で、地域の支え手である中小企業の方々も、承継者を第一対象として、承継のタイミングで公民連携のスキームが組めるような環境、サステナビリティ中心の経営というのにシフトしていく傾向が伺えます。

 その中で、企業内の起業ですとか、スタートアップをするにおきましても、やはりイノベーションとサステナビリティはセットです。しかし個々の、特に中小規模の企業内には、具体的な環境政策の知見や情報は、十分ではなく、欠けているところがあると思いますので、ぜひ環境省発で、先ほどのプラットフォームも生かしながら、ぜひ多様な知見、経験、疑問当を集約できるような体制ができるといいかと考えます。 具体的には、例えばですけれども、今、注目のワーケーションにおきましても、個人でワーケーションをしてみてもいいかなという動きを待つにとどまらず、局所の動きを超えて、ワーケーションの定義や機能、ワーケーションによって生み出される価値というものを企業経営、組織全体の視点から考えることが有効ではないかと思います。企業が取り組む働き方改革とワーケーションを、CSRとセットで地域に導入すれば、見えるものが大きく変わってくるはずです。広い視野と連携とともに作る、共創の部分、ここを意識した取組が、環境政策にはより期待されると思います。

 以上、よろしくお願いいたします。

○武内会長 それでは、次に、三村委員。オンラインでお願いします。

○三村委員 どうもありがとうございます。先ほど、酒井先生がおっしゃったことと、近いので、簡単に申し上げます。分散型国土地域づくりというのは、非常に重要だと思うのですけれども、これは国全体で考えた場合には、東京の一極集中をどう是正するかという問題ですが、地域のレベルでは、これだけ災害が広がると、危険な場所から撤退して、人が住むところをどう集約、それからコンパクトにするか、その両面が必要だと思います。国際的な適応戦略では、防護、順応、撤退の三つあると長く言われていたのですけれども、我が国では、ほとんどこれまで撤退戦略は検討されてきませんでした。今後、この方向を真剣に考えるべきではないかと。適応策の一つとして、そういうことも柱の一つに作る必要があると。そのためには、実は、我が国の法制の中で、人々の住むところを移動することを促進する政策、法律というのは、あまりないのですね。そういうことも含めて、国土交通省などでも検討されているようなので、ぜひ一緒になって、地域の構造自体、国土の構造自体を変えるというような方向を検討すべきだと思います。

 以上です。

○武内会長 ありがとうございます。

 それでは、岸本委員、お願いいたします。

○岸本委員 兵庫県尼崎市周辺で石綿環境ばく露が明らかになり、ちょうど15年が経過をいたしました。石綿健康被害判定小委員会では、特に石渡と関係の深い、中皮腫症例が増加をしております。今回の資料では、環境が健康に与える側面が非常に少ないように感じております。

 ウイズ・コロナ、アフター・コロナでは、環境が健康に与えるかなりの障害が、身体的のみならず、精神的にも大きいと思いますが、環境省では、環境とこの健康について、どのようにお考えなのかをぜひ聞かせていただきたいと思います。

 以上です。

○武内会長 ありがとうございました。

 右田委員。

○右田委員 右田でございます。産業界の立場から、話をさせていただければと思います。

 ウイズ・コロナ、アフター・コロナの問題を考えるに当たって、産業構造の転換、あるいは雇用構造の転換ということが起こっていくであろうということを念頭に置いていく必要があると思います。サプライチェーンの分断が起こり、マーケットの分断化が起こっていくということが、これからのトレンドになる可能性が極めて高いわけですけれども、日本の製造業、かなり輸出型の構造になっておりますので、マーケットを失うという可能性が極めて高いと思います。そうなりますと、かなりの雇用問題というのがこれから起こってくるということを考えていかなければならないことであります。したがいまして、ウイズ・コロナ、アフター・コロナを考えていく上で、脱炭素化、気候変動対策、これは極めて重要だと思っておりますけれども、同時に産業構造の変換、雇用構造の変換が起こるということも含めたパッケージとしての政策を考えていただきたいというのが1点であります。

 2点目は、今回のコロナ禍の中での大幅な移動制限、規制等が起こったこととの関係でいいますと、世界中でやった結果として、CO2の発生量は8%ほど減ったと聞いておりますが、この規制とCO2削減効果とのバランスを考えたときに、我々が目指す道のりがいかに長いか、遠いものかということがよく分かると思います。その意味で、今、政府が考長期戦略に掲げておられます、ビジネス主導での非連続的なイノベーションを通じて実現していくということが極めて重要だと思います。我々産業界も、CO2排出の削減に向けて、いろいろ努力してまいるつもりでおりますけれども、例えばCCUSの利用、あるいはグリーンな水素の大量供給、こういったインフラの問題に関して、ぜひとも政府としての取組を強化していただきたいというふうに考えます。

 以上であります。

○武内会長 ありがとうございます。

 石井実委員、石井委員、お願いします。

○石井委員 どうもありがとうございます。自然環境部会所属の石井でございます。

 多分説明がなかったのではないかと思うのですけれど、資料6-6の一番最後の6ページ目ですかね。小泉大臣の生物多様性の日におけるメッセージが掲載されています。私は、これを拝見して、大変感銘を受けたところです。ポスト・コロナの生物多様性施策というのを力強く述べたものだと思います。後ろのほうには、ポスト愛知目標に関する施策についても述べられているということで、ぜひともこの内容について、環境省で進めていただくとともに、国際社会に発信していただければと思います。

 この中で、SATOYAMAイニシアティブについて、触れられていますが、これは里山のような二次的自然の持続的な利用が、生物多様性の維持・増進にも貢献することを日本から世界に発信する国際的な取り組みです。私は、モニタリングサイト1000の里地部門に関わっておりますが各地には、本当に多くの里山の自然を大切に思いその生物相の調査をしている方々がおられます。モニタリングサイト1000の事業は、もう15年以上が経過していまして、実は着々といろいろな成果が出ています。その中で、外来種やニホンジカの分布拡大などとともに、ツバメとかノウサギのような身近な生物や、いわゆる普通種の昆虫の減少なども分かってきたんですね。こういうことについて、あまり中環審の総会では出てこないんですけれども、地元でこの長期調査を支えている人たちがいるということをご理解いただいて、ぜひともモニタリングサイト1000の成果を、環境施策に生かしていただければというふうに思います。

 以上でございます。

○武内会長 どうもありがとうございました。大変有益な意見を、多くの委員の方から頂きました。ここにフィジカルにおられる方の発言のほうが、バーチャルに参加されている方の発言よりも早いという、そういう傾向があるということが分かりました。これをどうやってもうちょっとミックスしていったらいいのかというのは、一つ解決すべき課題かなというふうに思った次第でございます。

 最初にお約束いたしましたように、延長をお願いしたわけですが、もう延長も、私がお約束した時間をはるかに超えております。したがいまして、環境省、事務局からの回答については、大変恐縮ですけれども、文書にて回答をさせていただくという形にさせていただきたいと思います。

 本当にどうもありがとうございました。台本だと、そろそろ時間も参りましたのでと書いてあるのですが全然そんなことはなくて、とても延長させてしまいまして申し訳ございません。

 環境省におかれましては、本日の委員の皆様からのご意見等を参考に、今後の環境政策に反映させていただきたいと思います。

 どうぞ、大臣。

○小泉環境大臣 改めて、皆さん、時間延長してまでも、お忙しい中、ご協力いただきまして、本当にありがとうございました。

 さっきWEBのほうで、健康と環境の関係をどうなっているんだというふうに質問をされた先生がいらっしゃいましたが、今日の閣議後の記者会見でも、なぜ我々が熱中症対策に力を入れるのかというところは、まさに昨年でも1,200人以上の方が熱中症で亡くなっていて、そしてこのコロナの中で、明日から8月という大変暑い、例年以上に暑くなるというふうに言われているこの中で、外で適度な距離があればマスクは外しましょうというふうに積極的に我々は言っているんですが、なかなか、実は株式会社タニタの調査によると、外で適切な距離があればマスクは外していいということを知っている人は、実は50%ぐらいしかいないと、こういったことも明らかになっていますので、健康という観点でも、我々はしっかり頑張っていきたいと思います。

 そして、最近、私もいろいろな方にお話を聞くのですが、住宅の部分でのCO2排出をどうやって減らしていくのかという部分でいうと、断熱の話なんかもあります。諸外国では、断熱の性能表示の義務がかかっている中で、日本はそういうことがありません。高断熱といいながら、実際はその数値を見ると、どれぐらいが高断熱なんだ。このままでいいのかということは、まさに健康という観点から言えば、日本はヒートショックでお風呂で亡くなる方が非常に多いです。この健康と気候変動、この部分についても、まさに部会の先生方には、このままでいいのかという問題提起、これは最終的には国交省も動かなければできませんが、ぜひそこは自由に我々環境省として気概を持って、世の中に様々な提案、問題提起をしていかなければいけないと思いますので、足らざるところを皆さんに補っていただきながら、引き続きしっかりと発信、政策の実現につなげていきたいと思います。

 今日は改めて、本当にありがとうございました。

○秦総務課長 では、最後に事務連絡だけさせていただきます。

 本日の議事録につきましては、本日ご出席の委員の方々にお送りをして、ご確認をいただいた後に、ホームページで公開をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 以上をもちまして、本日の総会を終了いたします。ありがとうございました。