保健・化学物質対策

水俣病の経験と国内の水銀管理に関する取組

 1956年に公式確認された水俣病など、水銀による甚大な被害を経験した我が国は、環境保全対策を強化するとともに、政府、地方自治体、産業界、市民団体が一体となって水銀対策に取り組んできました。

制度面の整備の例

  • 公共用水域、地下水、土壌に関する環境基準の設定と環境排出の抑制
  • 大気に関する指針値の設定と大気排出の抑制
  • 一定濃度以上の水銀を含む廃棄物について特別な処理基準を設定

産業面の取組の例

  • 1990年代初めに乾電池を無水銀化、ボタン形電池も水銀フリー化に向けて推進
  • 蛍光灯の水銀使用量の削減、LED化の推進
  • 国内の水銀鉱山は1974年に全て閉鎖
  • 水銀を使用していた製造プロセスは水銀を使用しない方法に転換

 これらの取組の結果、国内の水銀需要はピーク時には2,500トンだったものが約8.7トンまで減少しました(2010年時点)。また、大気排出量も約18トンとなっています(2014年時点)。

国内の水銀需要の推移

国内の水銀需要の推移

日本における水銀需要

日本における水銀需要

国内における主要排出源ごとの大気排出量

国内における主要排出源ごとの大気排出量

水俣地域の環境を軸とした地域づくりの取組

水銀を排出する原因となったアセトアルデヒドの生産が1968(昭和43)年に停止されても水俣地域の海底には水銀が残っていましたが、汚泥を浚渫し、水俣湾奥部の埋立地に封じ込めました。

 今は魚介類の安全性も確認されています。

 現在では、水俣病の経験と地域再生の取組を地域資源として、水俣地域の振興等に寄与するため、高等教育・研究活動及び産学官民連携を促進し、知の集積を図る拠点づくりとしての水俣環境アカデミアの設置や公共交通機関等を活用した低炭素型観光の推進など、環境負荷を少なくしつつ、経済発展する新しい形の地域づくりを実践するべく、様々な取組を展開しています。

水俣湾に生息するスズメダイの群れ、水俣環境アカデミア