保健・化学物質対策
我が国の水銀関連技術・施設
国立水俣病総合研究センター
国立水俣病総合研究センターは水銀に特化した世界で唯一の総合機関であり、多くの情報・分析技術・研究成果を蓄積しています。
水銀に関するWHOの協力研究機関でもあり、経済優先で環境への配慮が欠けた結果起きたメチル水銀による環境汚染に起因する水俣病に関する情報を、世界の教訓となるよう、水俣病情報センター(水俣病アーカイブ)や研修を通して発信しています。
さらに、水銀による環境汚染が顕在化している国々で、水銀の曝露評価と被害防止のために調査・研究を積極的に展開しています。
廃水銀使用製品に含まれる水銀のリサイクル
我が国では、企業による自主回収や自治体による分別回収で集められた廃水銀使用製品が環境上適正な方法で処理されていますが、それらに含まれる水銀の多くが北海道の鉱業所でリサイクルされています。
日本国内では水銀の一次採掘は行われておらず、これら回収された水銀が各種用途に再生利用されています。
製造プロセスにおける水銀使用の削減
水銀を使用する製造プロセスとしては、塩素アルカリ(か性ソーダ)製造、塩化ビニルモノマーやアセトアルデヒドの製造などがありますが、我が国では全て水銀を用いない方法に転換されています。
か性ソーダを製造する方法には、イオン交換膜法、アスベスト隔膜法、水銀法がありますが、戦後の経済成長期の我が国のか性ソーダ製造は水銀法が主流で、1960~1970年中頃までは、日本の水銀使用の半分以上を占めていましたが、1986年には水銀法は全廃されました。同時に、日本のソーダ業界が資金を投入して技術開発を行った結果、イオン交換膜法の技術は日本を代表する技術に育ち、1999年には日本の製法はすべてイオン交換膜法になりました。
高品質、省エネルギー性など多くの特徴を誇るこの技術は、現在世界各国に技術輸出されています。