保健・化学物質対策

「平成26年度放射線の健康影響に係る研究調査事業」新規研究課題の公募のお知らせ

平成26年5月29日
環境省総合環境政策局環境保健部
放射線健康管理担当参事官室

放射線の健康影響に関する研究調査について平成26年度より新規の研究を開始します。それに伴い新規に実施する研究課題を以下の通り公募します。

1.背景

原子力災害からの福島の復興及び再生に関する施策の総合的な推進を図るための基本的な方針として、平成24年7月に福島復興再生基本方針が閣議決定されたところであり、国内外の英知を結集した放射線の人体への影響等に関する調査の重要性等について指摘されているところです。また、同時期に公表された東京電力福島原子力発電所事故調査委員会報告書や東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会報告書においても、継続的な健康影響に関する調査を行っていく必要がある旨の提言を行っているところです。

環境省では、このような状況を踏まえて、平成24年度から放射線の健康影響に係る研究調査を行っています。本事業では、昨年度までの内容を踏まえつつ、放射線の健康影響に係る研究調査を推進することを目的としています。

2.公募内容及び概要

今般の東京電力福島第一原子力発電所事故(以下「今般の事故」という。)後、福島県の行う県民健康管理調査を始めとした健康管理や、健康不安への対応が行われてきたが、特に子どもの健康に対する幅広い影響が注目されているなかで、依然として放射性物質の汚染による健康影響への不安の存在が推測されるところです。

こうした状況を踏まえ、「平成26年度放射線の健康影響に関する研究調査事業」においては、住民の健康管理や健康不安解消への取組の有効性を高めることを主目的に、以下の4つの研究を推進します。なお、研究期間は原則として最長で3 年としますが、各年度に実施する有識者による研究成果及び次年度の研究計画の評価結果により、次年度の継続を認めないこともあり得ます。採択件数は(1)~(3)で合計数件、(4)では1件を予定しております。

(1)放射線被ばく線量の評価に関する研究

今般の事故における被ばく線量評価として、現在、個人線量計による外部被ばく線量の測定や、ホールボディカウンターによる内部被ばく線量の測定等が実施されています。これらの取組みを補完し、一般住民の被ばく線量の評価に資する研究、電子スピン共鳴法(ESR)等、測定技術の改良開発による一般住民の被ばく線量評価に資する研究(1課題あたり1千万円程度の研究)を採択します。

(2)放射線による健康影響の解明及び放射線以外の要因による健康リスクの低減を含めた総合的な健康リスクに関する研究

放射線による健康影響については、広島・長崎の原爆被爆者に関する調査を初めとする疫学調査、動物実験等による放射線生物学に係る研究等により、これまで様々な科学的知見の集積が行われており、これらの知見を踏まえて、一般住民の健康管理を行う必要性や健康管理の内容の検討が行われています。こうした取組に資する極低線量(10mGy未満)及び低線量(10~100mGy)の放射線被ばくによる分子レベルの変化が個体レベルでの発がんにつながるのか否かを明らかにする研究や、生活習慣等自然発がん頻度を修飾することが明らかである要因について放射線発がんへの影響とその機構を解明する研究、福島県民健康管理調査等の既存の取組で指摘されている課題の解決に資する研究(1課題あたり1千万円程度の研究)を優先的に採択します。

(3)放射線による健康不安対策の推進に関する研究

放射線による健康影響、特に低線量被ばくの健康影響については、多様な意見があることもあり、国民の方々は健康不安を抱えています。健康不安に対応する上では、正確かつ迅速な情報提供を行うとともに、個々の住民が有する健康不安の内容に適切に対応する必要があることから、これらの取組をより一層適切に行うことに資する研究を推進します。特に、放射線に対する健康不安の背景や原因に対し、一定の妥当性を有するアプローチで対話を試みる研究や、健康に関する正確な情報に基づき、職種横断的に取り組む健康不安対策について、福島県内の自治体と連携して住民の参加を促しながら、総合的かつ客観的に評価する研究(1課題あたり1千万円程度の研究)を優先的に採択します。

(4)事故後の住民の被ばく線量の包括的な把握に関する研究

放射線による健康影響を検討するためには、福島第一原子力発電所事故後の累積被ばく線量を把握することが必要です。これまで、事故後の外部被ばく線量や内部被ばく線量については様々な実測や推計結果が地域やグループ単位で報告されているところです。そこで、これらを網羅的に考慮の上、事故後の住民の被ばく線量を包括的に把握する研究(1億円程度の研究)を推進します。なお、推計に際しては、「ヒトへの被ばく推計に資する環境放出量推移と放出放射性物質の環境拡散プロセスの再構築」、「薬物動態モデル」、ヨウ素等の短半減期核種も念頭においた「外部被ばく線量再構築」、「内部被ばく線量再構築」等の分野について考察するものとし、原則としてこれらが関連する分野の専門家を研究グループに含むものとします。

3.応募方法

様式1「平成26年度原子力災害影響調査等事業(放射線の健康影響に係る研究調査事業)研究計画書(主任研究者用)」をダウンロードし、主任研究者が研究計画書作成要領【主任研究者用】に従って必要事項を入力の上、下記事務局にメールで送付してください。分担研究者を必要とする研究計画の場合、様式2「平成26年度原子力災害影響調査等事業(放射線の健康影響に係る研究調査事業)研究計画書【分担研究者用】」をダウロードし、分担研究者が研究計画書作成要領(分担研究者用)に従って必要事項を入力の上、主任研究者を通じて様式1とともに下記事務局にメールで送付してください。
※応募いただいたメールを受理した旨を事務局からメールにて返信いたします。応募後5日経過しても受理メールが届かない場合は、お手数ですが事務局まで電話にてご確認願います。
※必要書類は「6.添付書類」よりダウンロードして下さい。

4.応募期限

平成26年5月29日~6月26日17時まで(26日必着)

5.研究の採択

研究の採択につきましては、送付された研究計画書に基づき、今後、開催する「放射線の健康影響に係る研究調査推進委員会」にて研究課題についての評価方針に従って採択の可否が検討されます。合計7課題程度の採択を予定していますが、採択しない場合もあり得ます。採択の可否については事務局より御連絡いたします。

6.添付書類

事務局:お問い合わせ先及び研究計画書送付先
環境省総合環境政策局環境保健部放射線健康管理担当参事官室
参事官補佐 枦山(はぜやま) 智博
〒100-8975
(住所)東京都千代田区霞が関1-2-2
(電話)03-3581-3351(内線6394)
(FAX)03-3581-3368
(E-Mail)TOMOHIRO_HAZEYAMA@env.go.jp