放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(令和元年度版、 HTML形式)

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第2章 放射線による被ばく
2.5 身の回りの放射線

ラドン及びトロンの吸入による内部被ばく

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ラドン(ラドン222)及びトロン(ラドン220)はラジウム鉱石が放射性壊変をした際に発生する気体状の放射性物質で、呼吸によって人体に取り込まれます。ラドンは、ウランから始まる壊変(ウラン系列)で生成したラジウム226が壊変したもの、トロンはトリウム232から始まる壊変(トリウム系列)で生成されたラジウム224が壊変したものです。半減期はそれぞれ、ラドンが約3.8日、トロンは約55秒です。
また、天然に存在する放射線による被ばくの中では、ラドン及びその子孫核種による被ばくの割合が一番大きいといわれています。
ラドン及びトロンは地面や建材等から空気中に拡散するため(上巻P73「固体のラジウムから気体のラドンの生成」)、私たちは普段の生活において日常的にラドン及びトロンを吸い込んでいます。呼吸によって吸い込まれたラドンは肺に到達し、α(アルファ)線を放出するため、肺への内部被ばくが問題となります。体内に吸い込まれたラドンはさらに壊変して子孫核種となり、肺や、喀痰と共に食道から消化器官に移行して内部被ばくをもたらします。
ラドンとその子孫核種では、内部被ばくの寄与はラドンからは小さく、ラドンから壊変した子孫核種のほうが大きくなります。これは、ラドンは気体であるため、吸い込んだとしてもすぐ呼気と共に排出されやすいのに対し、ラドンの娘核種である放射性のポロニウム218やさらに壊変した鉛214等は固体状であるため、一旦吸い込むと、肺胞や気管支壁面に付着し、体外に排出されにくいことが原因です。

本資料への収録日:2015年3月31日

改訂日:2016年3月31日

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