放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(令和元年度版、 HTML形式)

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第1章 放射線の基礎知識
1.3 放射線

放射線の種類と生物への影響力

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α(アルファ)線は生体組織に対する透過力が弱く、皮膚の角質層(皮膚表面の死んだ細胞の層)を透過できないため、α線による外部被ばくは問題になりません。しかし、α線を放出する放射性物質による内部被ばくの場合は、組織内で局所的にたくさんの電離、すなわち、高密度の電離を起こし、集中的にエネルギーを与えます。そのため、DNAに大きな損傷を与え、生物への強い影響を引き起こします。
β(ベータ)線はα線同様、通った所の物質に直接電離を引き起こしますが、電離の密度は低く、生物に及ぼす影響力はα線ほど強くありません。β線も透過力は弱いですが、α線よりも透過しますので、体外からの被ばくでは、皮膚や皮下組織に影響を与える可能性があります。
γ(ガンマ)線・X(エックス)線は透過力が強く、深部の臓器・組織にまで到達しますが、やはり電離密度は高くありません。生物への影響力はβ線と同程度です。
中性子は陽子と質量がほぼ同じであるため、中性子線は、陽子と衝突すると効率よく止まります。人体は水分を多く含んでいるため、中性子は水分子を構成する水素の原子核(陽子)とぶつかりながら、エネルギーを失っていきます。
(関連ページ:上巻P15「電離放射線の種類」上巻P18「放射線の電離作用-電離放射線の性質」

本資料への収録日:2013年3月31日

改訂日:2019年3月31日

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