放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(平成29年度版、 HTML形式)

第3章 放射線による健康影響
3.2 人体影響の発生機構

DNA→細胞→人体

DNA→細胞→人体
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放射線の当たる箇所を細かく見てみると、放射線は細胞に当たり、細胞の中にある遺伝子の本体であるDNAに傷をつけることがあります。このついた傷は、体の中に備わっているシステムで修復されます。
少しの傷であれば修復が成功し、元に戻ります。傷が多ければ修復できずに細胞自体が死んでしまいます。少しの細胞が死んでも、他の細胞が代わりをすれば、その臓器や組織の機能障害は生じません。多くの細胞が死んだり変性した場合、脱毛・白内障・皮膚障害といった急性障害や胎児発生障害等の確定的影響が生じる可能性があります(上巻P85「被ばく後の時間経過と影響」上巻P86「確定的影響」 )。
また、遺伝子の修復が完全ではない細胞が生き長らえた場合には、突然変異を起こし、がんや遺伝性の障害等の確率的影響が生じる可能性があります。
DNAを傷つける原因は、放射線以外にも、食物の中の発がん物質、喫煙、環境中の化学物質、活性酸素等があり、1日1細胞当たり、1万から100万箇所の頻度でDNAは損傷を受けているといわれています。低線量放射線による損傷は、代謝に伴うDNA損傷に比べて圧倒的に少ないのですが、放射線は局所にエネルギーを与えるために、複数のDNA損傷が複合した複雑な損傷を作ります。また、放射線による影響も、その約85%は放射線により生じる活性酸素等の影響であり、約15%が放射線による直接の損傷によるものです。

本資料への収録日:平成25年3月31日

改訂日:平成29年3月31日

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