東京電力ホールディングス株式会社は、政府が2021年4月に公表した基本方針に則った形で「ALPS処理水」の海洋放出を行った場合の放射線環境影響を、国際的に認知された手法(国際原子力機関(IAEA)安全基準文書、国際放射線防護委員会(ICRP)勧告等)に従って評価を行いました。評価については、パブリックコメント手続きで国内外から寄せられた意見やIAEAによるレビューにおける指摘、原子力規制委員会との議論を踏まえた見直しが行われました。その結果、人及び環境への影響は軽微であることが示されました。
■海洋における拡散シミュレーション結果(2019年の気象・海象データを使用。年平均)
・ 現状の周辺海域の海水に含まれるトリチウム濃度(0.1~1Bq/L)よりも濃度が高くなると評価された範囲は、発電所周辺の2~3kmの範囲に留まる。
・ 放出口の付近では、トリチウム濃度が30Bq/L程度を示す箇所も見られたが、その周辺で速やかに濃度が低下する。なお、トリチウム濃度が30Bq/Lであっても、世界保健機関(WHO)の飲料水ガイドラインの1万Bq/Lを大幅に下回る。
■人・動植物への放射線環境影響評価の結果(2023年2月時点の評価結果)
・ 人への影響は、日本人が自然放射線から受ける影響(年間2.1mSv)の約100万分の1~約7万分の1となる。
・ 動植物(扁平魚・カニ・褐藻類)への影響は、ICRPが提唱する生物に影響が生じ得るとされる基準値の約300万分の1~約100万分の1となった(カニでは約3000万分の1~約1000万分の1)。
(出典)
東京電力ホールディングス株式会社「多核種除去設備等処理水(ALPS処理水)の海洋放出に係る放射線環境影響評価報告書(建設段階・改訂版)」(2023年2月)に基づき作成
https://www.tepco.co.jp/press/release/2023/pdf1/230220j0701.pdf#page=316
本資料への収録日:2022年3月31日
改訂日:2024年3月31日