原爆被爆により生殖系列細胞のゲノムに誘発された遺伝子変異が、受精後の胚や胎児や新生児の成長に障害をもたらす可能性を調査するため、1948年~54年に新生児調査が実施されました。しかし、放射線の影響は観察されませんでした1。
小児がん生存者の子供の疫学調査(上巻P110「小児がん治療生存者の子供に対する調査」)の中で、米国/カナダ2、3やデンマーク4、5で出生時異常などの調査が実施されています。これらの調査でも、男親の被ばくによる先天奇形や死産のリスクは観察されていません。一方、女親の卵巣・子宮の10Gy以上の被ばくでは、子宮機能の低下による早産、死産が増加していました3。
1. M. Ohtake et al.: Radiat. Res. 122: 1-11, 1990.
2. L.B. Signorello et al.: J. Clin. Oncol. 30: 239-45, 2012.
3. L.B. Signorello et al.: Lancet 376(9741): 624-30, 2010.
4. J.F. Winther et al.: J. Clin. Oncol. 30:27-33, 2012.
5. J.F. Winther et al.: Clin. Genet. 75: 50-6, 2009.
本資料への収録日:2018年2月28日
改訂日:2019年3月31日