放射線が少し当たって、多少細胞が死んでも、残りの細胞だけで十分に組織や臓器が機能すれば、臨床症状は現れません。
放射線の量が増え、死亡する細胞が増加すると、その組織や臓器の機能が一時的に衰え、臨床症状が出ることがあります。しかし、その後、正常の細胞が増殖すれば、症状は回復します。
さらに大量の放射線を浴び、組織や臓器の細胞の損傷が大きい場合には、永久に機能喪失や形態異常が起こる可能性があります。
このように、細胞死によって起こる確定的影響(組織反応)には、これ以上放射線を浴びると症状が現れ、これ未満では症状が現れないという線量が存在します。この線量のことを「しきい線量」と呼びます(上巻P97「様々な影響のしきい値」)。
(関連ページ:上巻P86「確定的影響(組織反応)と確率的影響」)
本資料への収録日:2013年3月31日
改訂日:2021年3月31日