サーベイメータで計測される空間線量率には、自然界からのγ(ガンマ)線も含まれています。もし東京電力福島第一原子力発電所事故による放射線量のみを算出する場合は、今実測される空間線量率から、東京電力福島第一原子力発電所事故前の計測値(バックグラウンド値)を引き、事故による上昇分を求めます。事故前の値は、ウェブサイト「日本の環境放射能と放射線(https://www.kankyo-hoshano.go.jp/data/database/)」で調べることができます。
こうして求めた屋外と屋内の線量率の上昇分に、それぞれで過ごす時間を乗じたものが、平常時から増加した被ばく線量(追加被ばく線量)の目安になります。
事故後の追加被ばく線量を求める計算例では、滞在時間を屋外8時間、低減係数0.4の典型的な日本家屋に16時間滞在すると仮定して1日の追加被ばく線量を計算しています。さらに、1日の追加被ばく線量に1年間の日数の365を掛けることで、年間の追加被ばく線量を推計しています。
事故後に市町村が中心となって除染を行う汚染状況重点調査地域を指定する際の基準となった毎時0.23マイクロシーベルトは、追加被ばく線量年間1ミリシーベルトに由来します(上記の計算例と同じ安全側の仮定の計算で、年間の追加被ばく線量が1ミリシーベルトとなる1時間当たりの被ばく線量0.19マイクロシーベルトに、自然放射線由来被ばく線量0.04マイクロシーベルトを加えたもの)。
この計算例は、東京電力福島第一原子力発電所の事故対応において、保守的な仮定の下で設けられた簡易的な推計方法です。そのため、実際の生活の中で個人が受ける外部被ばく線量は計算結果より低くなりうると考えられています。
本資料への収録日:2013年3月31日
改訂日:2022年3月31日