保健・化学物質対策

リスク評価(一次)評価Ⅱにおける生態影響に係る有害性情報の御提供について

 優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価IIにおいては、国が有害性情報を収集し、生態影響の観点からはこれまでに、32物質の評価を実施してまいりました。しかしながら、一部の優先評価化学物質につきましては、有害性情報が不足しているため、より大きい不確実係数が適用され、その結果、有害性評価値(PNEC:予測無影響濃度)が過度に低く設定されている可能性があります。適正な評価を行うためには、信頼性のある有害性情報をより広く収集し、生態影響に係る有害性評価の不確実性の低減をはかることが必要です。
 事業者の皆様におかれましては、適正なPNEC設定のため、生態影響に係る有害性情報の提供に御協力いただきますようよろしくお願いいたします。

1.有害性情報の収集対象物質について

 有害性情報の収集対象物質は、表1のとおりです。

「信頼性のある有害性情報の有無」の"○"は既に信頼性のある情報が得られていることを意味しており、"×"は信頼性のある情報が得られていないことを示しています。優先評価化学物質名をクリックしていただくと、環境省で収集した有害性情報の一覧及び信頼性評価の結果(以下「一覧表」という。)が御覧頂けます。

 

 生態影響の有害性評価では、水生生物の3栄養段階(藻類、甲殻類、魚類)の急性及び慢性毒性データのうち何種類のデータが得られるかにより、不確実係数(UF:Uncertainty Factor)が決まります。一覧表では、現在不足している情報を提出して信頼性ありとされた場合の不確実係数積(UFs)の変化が御覧頂けます(例えば、1000→100など)。

 UFsが小さくなると、キースタディに変更がない場合には、より大きいPNECが導出されることとなります。PNEC導出フローは図 2に、UFsについては表 2に示すとおりです。有害性情報の提供期限については、表1を御覧ください。

 

表 1  有害性情報の収集対象物質(最終更新日 令和5年5月)

優先評価化学物質
(#通し番号)
審議月/予定月 有害性情報
の提供期限
信頼性のある有害性情報の有無
藻類 甲殻類 魚類
急性 慢性 急性 慢性 急性 慢性
nーヘキサン(#3)[PDF:445KB] 2025年度以降 随時 × × × × ×
エチレンオキシド(#19)[PDF:163KB] 2025年度以降 随時 × × × × × ×
ジスルフィラム(#41)[PDF:394KB] 2025年度以降 随時 × ×
3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール(#134)[PDF:319KB] 2025年度以降 随時 × × ×
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(#159)[PDF:683KB] 2025年度以降 随時 × × ×
ヘキサデシル(トリメチ)アンモニウムの塩(#166) [PDF:464 KB] 2025年度以降 随時 ×
ジデシル(ジメチル)アンモニウムの塩(#167)[PDF:567KB] 2025年度以降 随時 ×
飽和脂肪酸(C=8~18、直鎖型)のナトリウム塩又は不飽和脂肪酸(C=16~18、直鎖型)のナトリウム塩 (#172)[PDF:336KB] 2025年度以降 随時 × × × ×
N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アルカンアミド(C=8,10,12,14,16,18、直鎖型)、(Z)-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)オクタデカ-9-エンアミド又は(9Z,12Z)-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)オクタデカ-9,12-ジエンアミド (#173)[PDF:327KB] 2025年度以降 随時 × × × × ×
ナトリウム=アルケンスルホナート(C=14~16)又はナトリウム=ヒドロキシアルカンスルホナート(C=14~16)(#175)[PDF:516KB] 2025年度以降 随時 ×
飽和脂肪酸(C=8~18、直鎖型)のカリウム塩又は不飽和脂肪酸(C=18、直鎖型)のカリウム塩 (#178)[PDF:383KB] 2025年度以降 随時 × × × × × ×
2,2-ジブロモ-2-シアノアセトアミド (#182)[PDF:566KB] 2025年度以降 随時 × × × × ×
ヘキシル=2-ヒドロキシベンゾアート(#185)[PDF:320KB] 2025年度以降 随時 × × × × ×
2-ベンジリデンオクタナール (#199)[PDF:303KB] 2025年度以降 随時 × × ×
N,N,N-トリメチルドデカン-1-アミニウムの塩(#229)[PDF:675KB] 2025年度以降 随時 × × ×
5-クロロ-2-(4-クロロフェノキシ)フェノール(#254)[PDF:501KB] 2025年度以降 随時 × × ×
 



図 2 PNEC導出フロー

図 2 PNEC導出フロー

 

表 2 水生生物に対するPNECの導出に用いる不確実係数UF

採用する毒性値

種間外挿のUF

急性から慢性へのUF(ACR)

室内試験から野外へのUF

不確実係数積
UFs

3つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の最小のNOEC

10

10

2つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の小さいほうのNOEC

5

10

50

1つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合のNOEC

10

10

100

3つの栄養段階の急性毒性L(E)C50がある場合の最小のL(E)C50

ACR

10

10×ACR

慢性毒性試験結果が欠けている栄養段階の急性毒性値が揃わない場合の小さいほうのL(E)C50

10

ACR

10

100×ACR

ACR

藻類

 

20

 

 

ミジンコ

アミン類

 

100

 

 

アミン類以外

 

10

 

 

魚類

 

100

 

 

2.有害性情報提供等の流れについて

 有害性情報提供および提供された後の流れの詳細については、別紙をご参照ください。専門家会合での信頼性に関する説明を希望される場合には、その旨お知らせください。環境省から説明を依頼することもございます。

なお、所有している又は試験実施により取得した有害性情報が化審法第41条1項の規定による報告対象に該当する場合には、化審法第41条1項の規定に準じて経済産業省へ御提出ください。

 

【有害性情報の提出先及びお問合せ先】

環境省大臣官房環境保健部 化学物質安全課 化学物質審査室

電話: 03-5521-8253(直通)

e-mail: chem@env.go.jp. 

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