保健・化学物質対策

化学物質審査規制法の見直しに関するシンポジウムについて

 「化学物質審査規制法の見直しに関するシンポジウム」が、6月29日(日)に都内にて開催され、事前に応募のあった5団体からの意見発表、会場との意見交換などが行われました。このシンポジウムは、中央環境審議会、厚生科学審議会及び産業構造審議会の合同会合において検討が進められている化学物質審査規制法の見直しについて、市民団体等からご意見を聴取するとともに、関係者による意見交換を行うため、厚生労働省及び経済産業省の協力を得て、環境省の主催により開催したものです。

日時・場所

 平成20年6月29日(日) 14:00~16:30(於:東京国際フォーラム)

参加者

 約80名(化審法見直し合同委員会委員、所管省からの出席者を含む。)

プログラム

時間内容講演者等
開会
14:00~14:05 シンポジウムの趣旨説明 環境省
14:05~14:30 化学物室審査規制法の見直しの状況について 戸田 英作
環境省環境保健部化学物質審査室長
化学物質審査規制法の見直しに関する意見発表
14:30~14:45 意見発表1
「ナノ物質の安全管理 化審法ではなく新たなナノ物質管理法が必要」
安間 武
化学物質問題市民研究会
14:45~15:00 意見発表2
「化学物質総合管理を実現する法体系への変革の提言」
星川 欣孝
特定非営利活動法人化学生物総合管理学会
15:00~15:15 意見発表3
「化審法の見直しポイント及び基本法制定の必要性について」
中下 裕子
ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
15:15~15:30 意見発表4
「現行の化審法の枠にとらわれない見直しを」
村田 幸雄
財団法人 世界自然保護基金ジャパン
15:30~15:45 意見発表5
「消費者の利益を中心にすえた化学物質政策を!」
茂木 なほみ
主婦連合会
意見交換
15:45~16:30 意見交換(発表に対する質疑を含む)
閉会

結果概要

(1)意見発表

 環境省からの趣旨説明、化審法見直しの状況の説明(説明資料へのリンク(PDF229KB))の後、各団体からの発表者より、以下の内容の発表がありました。

  • ナノ物質については、市民の参加の下に、予防原則に基づく法的強制力のある管理が必要。化審法の改正ではなく、予防原則と「データなければ市場なし」の理念に基づく「ナノ物質管理法」の制定、過渡期の対応等を提案。
  • 国際潮流に沿った化学物質の総合管理体系を実現するためには、法律、行政、評価機関の一元化による管理能力の強化と国際整合性の確保を図る必要。"化学物質総合管理法"の制定等を提案。
  • 予防原則等の明記、既存物質対策の強化、高懸念物質への対応、情報流通の強化等の法改正のポイントの提案。化学物質管理の一元的組織の設立及び"化学物質対策基本法"の制定等を提案。
  • ビジョンを明確にし、省庁の所管にとらわれず化学物質管理体系を包括的に見直すことが必要。市民の理解促進のための平易な情報提供が必要。幅広い関係者の参加による国際化学物質管理戦略(SAICM)の国内実施計画の策定を提案。
  • SAICMの公約を誠実に実行し、省庁の権限の枠を外した化学物質総合管理が行える仕組み作りが必要。消費者の立場からは情報開示を重視。「消費者庁」の創設に向けた動き及びその基本方針が参考になる。

(2)意見交換

 意見交換においては、ファシリテータ(環境省)による進行により、(1)発表に関する質疑、(2)発表者による意見交換、(3)フロアからの意見提出などが行われました。提示された意見の概要については、以下のとおりです。

発表者からの意見

  • 化審法と化管法の見直しを行う前に、現在の法体系が最善であるかどうかの議論が必要。
  • 欧州では、REACH規則に先立ち、関係者の幅広い参加により「白書」が作られたが、我が国でも同様の手続を経るべき。
  • 広く国民の声を聴きながら、化学物質管理に関する現状分析(ナショナルプロファイル)をまず作り、現状と課題を洗い出す作業を経て、SAICMの国内行動計画に反映させるべき。
  • 化学物質のリスクに関する情報が一本化され、気軽に市民が得ることができるようにすべき。
  • 予防原則又は予防的取組方法をどのようにして具体的に適用するかが重要。
  • 国外から見てもわかりやすい制度が必要であり、OECDの理事会決議や国連の国際合意などを実行して欲しい。そのためには中核となる法律と機関が必要。

フロアからの意見

  • 化審法、化管法の検討は一旦やめて、化学物質対策の抜本的な検討を始めるべき。
  • 化審法の中での人健康影響に対する環境影響の比重に物足りなさを感じる。
  • 化学物質の定義について、天然物を除外すべきではない。
  • 米国有害物質規制法や、EUにおけるREACHの既存化学物質点検の規則などに比べ、Japanチャレンジプログラムには法的な枠組みがないため限界がある。
  • 国際的にハザードデータの共有・整備を行い、市民に公開していくべき。
  • 化学物質による被害に関して消費者からの相談などに応じられる窓口を設けることも検討して欲しい。

意見発表資料(当日の発表資料です。)

「ナノ物質の安全管理 化審法ではなく新たなナノ物質管理法が必要」[PDF:454KB] 安間 武
 化学物質問題市民研究会
「化学物質総合管理を実現する法体系への変革の提言」[PDF:458KB] 星川 欣孝
 特定非営利活動法人化学生物総合管理学会
「化審法の見直しポイント及び基本法制定の必要性について」[PDF:915KB] 中下 裕子
 ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
「現行の化審法の枠にとらわれない見直しを」[PDF:192KB] 村田 幸雄
 財団法人世界自然保護基金ジャパン
「消費者の利益を中心にすえた化学物質政策を!」[PDF:137KB] 茂木 なほみ
 主婦連合会