環境省保健・化学物質対策国際的動向と我が国の取組諸外国の新規化学物質審査規制制度の概要

諸外国の新規化学物質審査規制制度の概要

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新化学物質環境管理弁法  |  危険化学品安全管理条例
【はじめに】
  この資料は、平成26(2014)年12月時点の情報を基に作成しました。分かりやすく説明するために、手続の一部を省略、条文に厳密に沿っていない場合がありますので、制度の詳細については原典等で御確認ください。環境省は利用者がこのサイトに掲載されている情報を用いて行う一切の行為について、何らの責任を負うものではありません。


  1. 制度の経緯、背景等
  2. 法規等
  3. 所管当局
  4. 既存化学物質リスト
  5. 届出(申告)者
  6. 届出(申告)を要する物質(製造輸入、使用時)
  7. 届出(申告)の種類
  8. 届出時期
  9. 要求される情報
  10. 届出の提出方法
  11. 届出の審査及び製造・輸入の開始
  12. その他
0.  制度の経緯、背景等
  目的:新規化学物質の製造・輸入のための許可の要件を確立する。新規化学物質の中国における環境リスクを管理する 。
  「新化学物質環境管理弁法(旧17号令)」(以下「旧弁法」とする)は、新規化学物質の生産・輸入の管理のために、生産前・輸入前申告登記制度を実施するものであり、国家環境保護総局により公布され、2003年10月15日から施行された。「改正新化学物質環境管理弁法(7号令)」は、新規化学物質の環境リスクの管理のため、目的と適用範囲を広げて2010年10月15日から施行された。改正によりリスク評価報告の追加、登録後の監督管理の追加等がなされ、旧弁法が大幅に変更された。
  製造・輸入時に届出(申告)を要する物質は、中国現有化学物質名録に記載のない化学物質(すなわち新化学物質)のみであり、既存化学物質を対象にしていない。
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1.  法規等:  新化学物質環境管理弁法、
新化学物質申告指南(届出のガイダンス文書)
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2.  所管当局:  国家環境保護部(MEP)
環境保護部個体廃棄物及び化学品管理中心(MEP-SCC)
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3.  既存化学物質リスト   
中国現有化学物質名録(2013年PDF版 2013.1.14)
http://www.mep.gov.cn/gkml/hbb/bgg/201301/t20130131_245810.htm
中国現有化学物質名録
中国現有化学物質名録
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4.  届出(申告)者  
中国国内の生産事業者(製造商)、輸入事業者(貿易商)として登録された機構
中国国外の製造商は中国国内の代理人に委託して申告する。
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5.  届出(申告)を要する物質(製造輸入、使用時)  
  新化学物質―中国現有化学物質名録(既存化学物質のリスト)に記載のない化学物質
・  医薬、農薬、化粧品、食品・食品添加物、資料・飼料添加物等の製品の原料・中間体
・  通常の使用時に意図的に放出するよう設計されている物品中の物質
・  特定の機能がある中間製品/製品中の物質
・  分子構造を確定できない物質、ポリマー
  <MEP-SCCへの調査依頼(名称が秘密にされている物質への調査)>
  化学物質を生産/輸入しようとする者は、「新規化学物質新規性調査委託書」を提出し、名称が秘密にされて名録に記載されている物質の調査依頼が可能。
 申告手続きが免除される化学品/物質
・  他の法律等で管理される化学製品:放射性物質、農薬、化粧品等
・  天然に存在する物質
・  不純物、偶然の反応による化学産物、反応プロセス中の廃棄物及び副生物等の非商業目的/非意図的生産物
・  その他特殊類別
* ガラス類、セラミックス原料・陶磁器、スチール製品、アルミナセメント、ポルトランドセメント等の材料類
* 合金類(金属間化合物は除く)
* 反応容器/装置を離れない非分離中間体
* 特定の要求に合致する物品(アーティクル)
  !   注意点:少量免除、研究開発免除が無いため、新化学物質は微量でも申告が必要
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6.  届出(申告)の種類
申告の種類
     科学研究届出申告(生体毒性試験、科学研究等)
  簡易申告特殊状況(低懸念ポリマー、2%ルールポリマー等)
  簡易申告基本状況(1トン未満/年)
  常規申告:量等級に応じた通常届出
   常規申告: 特殊な形式として、以下がある。
    *   系列申告(同一申告人が類似物質を総体として申告)
分子構造が類似しており、用途が同じか又は似ており、試験データが似ている物質を1つの総体として行う申告
    *   連合申告(同一物質を複数の申告人が同時に申告)
2人以上の申告人が同一の物質を連合して行う申告
    *   重複申告(同じ物質の後申告人が全申告人の申請データを使用する)

出典:ハニカム・テクノリサーチ株式会社資料p.34
http://chemical-net.env.go.jp/pdf/20141203_Seminar2_jpn.pdf
   簡易申告が可能なポリマーの条件
  *低懸念ポリマー
  
  • 平均分子量1,000~10,000ダルトンで、低重合体の量が一定量以下、高懸念官能基非含有
  • 平均分子量10,000ダルトン以上で、低重合体の量が一定量以下
  • ポリエステルポリマー
     *2%ルール適用ポリマー
  
  • ポリマーの一つまたは複数の新化学物質のモノマー/反応体が2wt%以下のポリマー(2wt%以下の場合、モノマー/反応体の名称を列記する必要はない)
  • 平均分子量10,000ダルトン以上で、低重合体の量が一定量以下
  • ポリマー自身は「現有名録」にないが、すべてのモノマーが「現有名録」に収載されているポリマー
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7.  届出時期
届出状況、既存化学物質リストとの関係、申告量、他社の届出状況などによって、必要な届出、試験実施時期が個別に決まる。
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8.  要求される情報
科学研究届出申告
要件があり、通常は生体毒性試験実施用サンプルの製造輸入等の際に適用される。
申告表(科学研究届出表)に必要事項を記載する。試験データは不要
簡易申告基本状況
製造・輸入量が年間1トン未満。申告表(簡易申告表)に必要事項を記載する。
中国国内で実施した生体毒性試験結果が必要である。
簡易申告特殊状況
申告表(簡易申告表)に必要事項を記載する。
同法で定義するポリマー等の要件を満足する場合中国での生体毒性試験が免除される。
常規申告
申告表(常規申告表)に必要事項を記載する。物理化学データ、毒性学データ、生態
毒性学データの提出が必要である。
  1級:1~10t/年、
  2級:10~100t/年、
  3級:100~1000t/年、
  4級:1000t/年以上
に分かれた年間申告量等級の違いにより、以下の表に示すように要求されるデータが異なる。
〇物理化学的性質データ
固体物質: 密度、引火点、自然発火温度、爆発性、粒径、水溶性等
気体物質: 爆発限界、酸化性 等
液体物質: 密度、酸化性、蒸気圧、燃焼性、水溶性、pH値等
〇毒性学データ
急性毒性、反復毒性、変異原性、生殖/発生毒性、慢性毒性、発がん性等
〇生態毒性学データ
藻類生長阻害、ミジンコ類急性毒性、魚類急性毒性、生分解性、ミミズ急性毒性、 魚類14日毒性、
生物蓄積性、魚類慢性毒性等
生態毒性学試験は、中国の供試生物を用いて中国国内で行わなければならない。
データ要件 一級
1≦
Q<10t/a
二級
10≦
Q<100t/a
三級
100≦
Q<1000t/a
四級Q≧1000t/a
急性毒性(401~406)
28日反復投与毒性(407,410,412)
変異原性(471~476)
90日反復投与毒性(408,411,413)  
生殖発達毒性(414~416,421)  
トキシコキネティックス(417)  
慢性毒性(452)      
発ガン性(451)      
藻類生長阻害試験(201)
ミジンコ類急性試験(202)
魚類急性毒性(203)
活性汚泥呼吸阻害毒性(209)
吸着/脱着性(106)
分解性(301,304A)
ミミズ急性毒性(207)
魚類14日間延長毒性試験(204)      
ミジンコ類繁殖試験(211)  
生物蓄積性(305)  
魚類慢性毒性試験(210,212,215)    
種子発芽と根発達試験(299)    
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9.  届出の提出方法
   申告表(科学研究届出表、簡易申告表、常規申告表)にそれぞれ要求項目を記載し、試験結果その他(安全技術説明書(SDS)、商品ラベルの見本等)とともに提出する。
   申告表の項目は、
  • ① 申告単位の概況
  • ② 申告物質のアイデンティティ
  • ③ 申告物質の検査測定方法の説明
  • ④ 申告物質の生産プロセス
  • ⑤ 申告物質の用途及びばく露状況
  • ⑥ 物理化学的性質データ
  • ⑦ 毒性学データ
  • ⑧ 生態毒性学データ
  • ⑨ 申告物質の安全使用の提案
  • ⑩ 事故応急措置
  • ⑪ 汚染予防及び除去方法
  • ⑫ 廃棄物の処理措置

  • 等よりなる。
  常規申告の場合
   特殊な形式として、系列申告(同一申告人が類似物質を総体として申告)、連合申告
(同一物質を複数の申告人が同時に申告)、重複申告(同じ物質の後申告人が全申告人の
申請データを使用する)がある。
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10.  届出の審査及び製造・輸入の開始
  科学研究届出申告
   資料提出後形式審査⇒MEP-SCCに提出後すぐに製造・輸入が可能である。
  簡易申告特殊状況
   資料提出後形式審査⇒MEP-SCCが受理、環境保護部に報告
要求を満たしている場合⇒登記許可、申告人に登記証交付
  簡易申告基本状況
   資料提出後形式審査⇒MEP-SCCが受理、評議審査委員会に提出
30日を超えない審査を実施し、要求を満たしている場合⇒登記許可、申告人に登記証交付
要求を満たしていない場合⇒登記不許可、申告人に通知、審査による登記不許可理由の説明
  常規申告
   資料提出後形式審査⇒MEP-SCCが受理、評議審査委員会に提出
危険有害性の鑑別、分類の基準に基づき、以下に分類される
  • 一般類
  • 危険類
  • 危険類重点環境管理危険類(難分解性、生物蓄積性、環境及び人の健康に有害)ヒト健康及び環境リスクの評議審査意見、リスク軽減措置の妥当性審査結果
  • 60日を超えない審査を実施し⇒登記許可、申告人に登記証交付または登記不許可、申告人に通知、登記不許可理由の説明
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11.  その他
  
(共通)
  • 新たな有害性の報告
  • 登記量級、登記用途等の、登記条件の変動に応じた際申告
  • 申告、生産又は輸入数量及び流通記録、新化学物質の影響等の資料を10年以上保存
    (科学研究届出申告には登記証は無い)
簡易申告
  • 製造・輸入量の年度報告
常規申告
  • 情報伝達義務、リスク抑制措置の実施、リスク管理能力のない使用者への譲渡禁止等
  • 初回活動報告
  • 危険類の場合は環境暴露状況、リスク軽減措置実施の年度報告等が必要
  • 重点環境管理危険類の場合はリスク抑制措置、排出状況等の監視、新たな使用者の報告等が加わる
   関連webサイト
国家環境保護部(MEP)
環境保護部個体廃棄物及び化学品管理技術中心(MEP-SCC)
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