保健・化学物質対策

米国

 米国環境保護庁(USEPA)では、内分泌かく乱物質スクリーニングプログラム(EDSP)を進めている。これは1999年に策定されたものであり、食品品質保護法(Food Quality Protection Act)及び飲料水安全法(Safe Drinking Water Act)により、人の健康に有害な影響を及ぼすようなエストロゲン様作用をもつ農薬及び飲料水中汚染化学物質をスクリーニングすることを目的としています。

(1)試験法の開発と妥当性の検証

 内分泌かく乱物質スクリーニングプログラムでは、Tier 1スクリーニングとTier 2テストの2段階の試験体系を採用しました。
 Tier 1スクリーニングは、生物の内分泌系に対する化学物質の作用の検出を目的とした試験であり、5種類の試験管内試験(ラットエストロゲン受容体結合試験、ヒトHeLa細胞エストロゲン受容体転写活性化試験、ラットアンドロゲン受容体結合試験、ヒトステロイド産生試験及びヒトアロマターゼ試験)及び6種類の動物試験(ラット子宮肥大試験、ラットハーシュバーガー試験、ラット雌思春期試験(Pubertal female)、ラット雄思春期試験(Pubertal male)、両生類変態試験及び魚類短期繁殖試験)より構成されています。試験法の妥当性の検証が行われ、2009年10月までに事業者が提出する試験法が公表されました。
 Tier 2テストは、化学物質の生物に対する有害な影響を確認するための試験です。

(2)Tier 1スクリーニングの実施

 Tier 1スクリーニングの対象物質としては、ヒトのばく露情報の有無を踏まえ、第1次リストとして、農薬活性成分(PAIs)及び高生産量化学物質(HPVs)の計67物質が選定されました(その後、自主的な農薬登録の取り下げ等により、対象物質は52物質となった)。2014年には、第2次リストとして、農薬及び飲料水において検出されている109物質が選定されました。
 Tier 1スクリーニングについては、2009年10月から2010年2月にかけて、Tier 1スクリーニング第1次リスト収載物質の登録者、製造者及び輸入業者に対して実施命令が出された。提出された試験データと既存情報(未公開情報を含む)をもとに、証拠の重み付け(weight-of-evidence)を考慮して、Tier 1スクリーニング評価が行われました。
 2015年6月にUSEPA よりEDSPにおける52物質のTier 1スクリーニング評価結果が公表された。Tier 2テストの候補として18物質が選定され、併せて各物質に対し実施すべき試験項目が示されました。