本文へジャンプ

環境省保健・化学物質対策科学的知見の充実及び環境リスク評価の推進化学物質の内分泌かく乱作用に関するホームページ取組紹介環境省の取組:OECD協力事業 >ExTEND2005における無脊椎動物試験法開発について

取組紹介

取組紹介
環境省の取組

「国際協力関連事業」

ExTEND2005における無脊椎動物試験法開発について

H21第1回ExTEND2005作用・影響評価検討部会
09.10.16
資料1-3

ExTEND2005 における両生類試験法開発について

1.これまでの取組

The OECD Work on ED:A Special Activity of the Test Guideline Programme添付資料1:The OECD Work on ED:A Special Activity of the Test Guideline Programme

平成16年4月にOECDへ提案したEnhancedTG211は、5月のOECDWNT会合において、オオミジンコ(Daphniamagna)を用いた無脊椎動物における内分泌かく乱作用に関する試験法提案として正式に認められた。12月の第3回VMG-ecoにおいて、OECD加盟6カ国からオオミジンコのさまざまな遺伝系統を手に入れて、予備的試験を実施することが承認され、国立環境研究所において実施した。平成17年11月のOECD第2回無脊椎専門家会合において予備的試験の結果を報告し、試験物質の選定、使用系統の選択等、バリデーション・リングテストの実施条件が検討され、12月に国立環境研究所がリングテストのリード・ラボラトリーとして選定された。

平成18年度には6カ国12研究機関の参加のもと、リングテストを実施した。平成19年1月のOECD第5回VMG-eco及び6月のOECD第3回無脊椎専門家会合に於いてリングテストの結果報告を行った。

OECDテストガイドラインプログラムにおける無脊椎動物試験法の進捗状況添付資料1:OECDテストガイドラインプログラムにおける無脊椎動物試験法の進捗状況

平成20年1月のOECD第6回VMG-ecoにリングテスト報告書案(DraftValidationReport)をDraftEnhancedTG211とともに、提出した。会議の結果、TG211の改訂を行うのではなく、Annexとして仔虫性比を付け加えることによって、必要に応じて使えるようにするという位置付けとなった。4月の第20回WNTでは、リングテスト報告書案は提案通り承認された。またDraftEnhancedTG211に関しては、仔虫の雌雄判別を従来のTGにAnnexの形で付け加えることとなっていたため、大幅な改訂の必要がないことが合意され、10月に改訂版TG211として発行された。

平成21年6月のOECD第4回無脊椎動物専門家会合では、TG211を用いた化学物質暴露で試験個体が死んだ場合、その死亡データを統計にどう反映させるかについて、ガイドラインに記載するようにとのあらたな提案について議論を行った。

これはすでに4月のWNT会議において北欧の国々(ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、フィンランド)から正式に提案されていたもので、これについて無脊椎動物グループの会議で議論するように要請があった。

日本からは、国内のデータ277試験のうち対象となる53試験についての再計算を行い、その結果を示した。試験個体が試験中に死亡した場合、それらの個体を解析から除外しても含めても、37試験では結果に違いはみられなかった。一方、残り16試験のうち、14試験でNOECが安全域にシフトし、2試験では反対にNOECが高くなった。これらの結果より、北欧の国々の懸念はほとんどないことが示された。会議ではTG211改訂の歴史的な経緯をふまえ、現行のままでよいとの意見が大勢を占めた。

無脊椎動物を用いた試験法の概要添付資料2:無脊椎動物を用いた試験法の概要

従来ミジンコでの毒性試験として使用されてきたテストガイドライン211に、オスの出現(仔虫の性比の変化)、脱皮回数の変化という新たなエンドポイントを追加することを改訂テストガイドライン(EnhancedTG211)として提案している。

2.平成21年度検討及び実施事項

(1)TG211改訂後のOECDにおける無脊椎動物試験法開発及び改訂に関する情報収集

平成21年6月の第4回無脊椎動物専門家会合に出席し、北欧4カ国から提案のあった仔虫数のデータ解析方法に関する改定案に対して、日本が行った国内試験データを用いた試算結果を示した。また他の無脊椎動物を用いた試験法開発に関する情報収集を行った。

(2)OECD及びEPA(米国環境保護庁)との研究協力におけるミジンコ多世代試験の検討及び実施

前年度に引き続き、日本はミジンコを用いた多世代試験法の検討の一環として、殺虫剤フィプロニルと除草剤アトラジンについて、オオミジンコ21日間繁殖試験と短期親曝露試験を行った。結果については、平成20年12月に東京で開かれた日米二国間協力実務者会議において報告された。

そのほか会議では、すでに試験が終了している物質(ミジンコについては一世代試験)についてのリストを更新し、今後試験を行いたい物質の優先順位を決めた。試験物質は、ミジンコとアミ、コペポッドとの間での結果の比較が行えるように共通の物質をなるべく選ぶようにしている。

日本は、すでに一世代試験として繁殖データが得られているフィプロニルとアトラジンについては、次の段階としてF0世代での曝露と組み合わせてF1世代での繁殖への影響を見る予定で、さらにその先のF2世代までつなげていくことを目指したい。ただし、多世代化に付随する問題点として、次世代の試験個体を得る際に生物の順化だけでなく、試験個体の選定時に元気な個体を選ぶなどの形でバイアスがかかってしまうということが挙げられる。この問題をどう捉え、解決するかが一つの課題である。そしてあらたにリンデンについても短期親曝露試験と21日間繁殖試験を行う予定である。

さらに、日米二国間協力実務者会議へ出席し、別途環境省が発注する化学物質の内分泌かく乱作用に関する日米二国間協力業務において報告する無脊椎動物に係る試験法開発進捗状況の説明を行い、試験法に関する提案を行う。

(3)ミジンコの性比に影響を及ぼす化学物質の情報収集及びスクリーニング試験

OECDに提案したEnhancedTG211試験は、試験法承認のための、バリデーションテストによる試験法の検討も済ませており、別途行った実験により、幼若ホルモン4種と幼若ホルモン類似化学物質として昆虫成長制御剤6種についていずれもオオミジンコでオス仔虫生産誘導を確認している他、他種ミジンコでも様の現象を確認済みである。一方、昆虫成長制御剤としてではなく生産・使用されている化学物質で幼若ホルモンかく乱作用が疑われる例についてはその情報は限られている。ここでは、幼若ホルモンとその類似化学物質(昆虫成長制御剤)以外でミジンコのオス仔虫生産を誘導する可能性のある物質を文献検索によって選び出す方法について検討する。

添付資料

添付資料