大臣談話・大臣記者会見要旨

山口大臣閣議後記者会見録(令和4年6月10日(金) 9:50~10:08  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。今日、私からは2点です。令和3年度の国会事故調フォローアップ報告書についてと食品ロス発生量推計値の公表についてです。

初めに、本日の閣議において、いわゆる「令和3年度国会事故調フォローアップ報告書」を決定しました。この報告書は、国会法の附則において「内閣は、当分の間毎年、国会に事故調査委員会の報告書を受けて講じた措置に関する報告書を提出しなければならない」とされており、今回で10回目の報告となります。なお、本報告書は本日中に内閣府原子力防災のホームページに掲載します。

それから、2つ目、食品ロス発生量の公表について。環境省と農林水産省が推計している食品ロス発生量の最新の結果がまとまりました。2020年度の食品ロス発生量は約522万トンで、5年連続の減少となりました。前年度と比較すると、約48万トン減少しています。これは、2012年度の推計開始以来、最大の削減量です。食品ロス削減推進法が制定され、食品ロス削減に向けたマニュアル策定や計画策定の支援等による自治体の対策強化、あるいは飲食店での食べ残しを持ち帰るmottECOや、フードドライブ等の普及などの環境省の取組や、国民の方々、あるいは企業、自治体における取組がある程度進展した結果と受け止めています。2030年度までに、2000年度比で食品ロス量を半減、要するに489万トン削減するという目標の達成に向けて、着実に減少していると思います。一方で、食品ロス削減は資源循環だけでなく、炭素中立型の経済社会の形成にもつながる。そういう意味で、半減にとどまらず、更なる削減に向けて、事業者あるいは国民の皆様に引き続き御協力をお願いしたいと思います。以上です。

2.質疑応答

(記者)おはようございます。幹事社のNHKの安藤です。先日、閣議決定された骨太の方針についてお伺いします。この中で、再生可能エネルギーとともに原子力についても「最大限活用する」と明記されました。大臣は、以前の会見で、「再エネを徹底的に導入していく、したがって原発の比率は低減していく」という認識を示されていましたが、今回、原発の依存度を低減するという表現がなくなり、このような表現になったことについて、改めて大臣の御見解をお聞かせください。
(大臣)何も変わっていないと思います。昨年、閣議決定されたエネルギー基本計画等において示された、原発について安全を最優先し、原子力規制委員会の判断を尊重して進めていく。そして、再生可能エネルギーの最大限導入を図る中で、結果として可能な限り原発依存度が低減する。そういう方針に変更はありません。

(記者)環境新聞の小峰でございます。先ほど、30分ほど前に萩生田光一経産大臣の記者会見に出席して質問しましたが、「いわゆる骨太の方針で盛り込まれたグリーントランスフォーメーション経済移行債については、片仮名で、やたら長くて、ちんぷんかんぷんだが、萩生田さん、参議院選を控えて、これは国民は分からないのではないか、山口壯大臣は二度にわたり指摘しているがいかがか」と聞きましたら、私もこれは片仮名の多い世の中で、今回のことについても名称変更を検討していきたいと言っていました。言い出しっぺの山口大臣、萩生田発言をどう受け止めますか。
(大臣)恐縮です。この環境問題、あるいは今おっしゃられているのは地球温暖化対策の一環ですけれども、環境省と経済産業省はある意味一心同体で来ています。そういう意味で、私と経済産業大臣の萩生田さん、心合わせはしっかりできていますので、その意味で言わんとしたところを前向きに受け止めていただいたようにも感じます。そして、脱炭素を制する者は次の時代を制するということを常々申し上げているわけですけれども、やはり国家戦略を決めていく、あるいはグランドデザインという言葉が使われているように、今回、この脱炭素というものは、大きな国家戦略的な意味を持っていると思います。その意味で、新しい資本主義の中でも、大黒柱の1つであれば、脱炭素という言葉を国民の皆さんに共有していただけるような、そういう国債のネーミングがいいなという気持ちはあります。萩生田さん、そこは感じていただいたのかもしれません。これから、夏に実行会議というものもセットされて、そこでロードマップを具体的に詰め、実行段階に入っていくということですから、名前も含めて、いろいろと具体的になっていくと思いますので、みんなで心合わせをしていきたいと思います。

(記者)日刊工業新聞の松木です。おはようございます。先日、新潟県知事が来られて、県外への再生可能エネルギーの供給によって、首都圏の企業ですとか、地域への脱炭素に貢献しており、そのほかに、今後、CCUSの導入等を検討しているということで、県外の、地域外の再生可能エネルギー供給に貢献していたり、その地域の場所を使ってCCUS等を導入する地域に対してインセンティブが欲しいという提案があったかと思います。新潟県に限らず、地方ではそういうCCUSができる場所や、都市部に再生可能エネルギーを供給できる地域がたくさんあると思います。そういった地域へのインセンティブについて、何か考えていることがあったら教えてください。
(大臣)今のシステムが需要側に焦点を当てた仕組みになっているというところで、新潟県知事からそういう提案もいただいたのだと思います。すぐにということではないですが、エネルギーを、県をまたいでいろいろやり取りするということですから、私的にはどの県が、この県が、というのを、仕組みとして、どうやってやるのかなというのが正直なところです。でも、みんなにインセンティブを持っていただいて、再生可能エネルギーを最大限導入というところですから、いろんな意見を聞かせていただいて、どこまでできるのか考えていかなければいけないなと思います。

(記者)テレビ朝日の川﨑です。よろしくお願いします。7日の閣議後会見の前に、大臣も出られた電力需給に関する検討会があったと思うのですけれども、今年の夏、家庭や企業に対して節電を要請することが決められたと思うのですが、COOL CHOICEなどを呼び掛けていく環境省としては、この節電というところは強みとも言えるようなところだと思うのですけれども、打ち出しなどは考えていらっしゃいますでしょうか。
(大臣)先日開催されたその電力需給検討会合で、厳しい電力需給の見通しを踏まえて、国民生活あるいは経済活動に支障がないようということで電力需給を安定に万全を期すべく、電力需給に関する総合的な対策について決定されたと、そういう文脈になると思います。まずは政府自らの率先した取組が重要だというふうに思います。あの場で私からは、出席閣僚に対して、政府実行計画を踏まえた省エネや節電等の取組の着実な実施をお願いしました。環境省自身も積極的に省エネや節電に取り組んで、需給対策に貢献しなければならないと思います。また、地球温暖化対策の観点から、国民一人一人のライフスタイルの転換ということも重要だと思います。熱中症予防に留意しながらも、クールビズによるエアコンの適切な利用、あるいは省エネ家電への買換え、即効性のある窓のリフォームを始めとして、改めて日々の生活の中での省エネ等に関心を向けていただいて、取り組んでいただきたいと思います。環境省としても、必要な情報を国民の皆様に積極的に発信しなければいけないと思っています。
(記者)夏は暑いという予測も出ていますし、生命にも関わるようなところかと思いますが、大臣自身としては、どう乗り切ろうと考えていらっしゃいますか。
(大臣)私もパキスタンに勤務して40度以上の中でずっと生活していたのですけれども、だんだん温暖化してきて、日本でも40度を超す日が出てきて、どうするのかなと。それも、長期的には地球温暖化対策を環境省としてやっているわけですけれども、一人一人といった場合に、私も、きちんとしたところではネクタイをしているのですけれども、それ以外のところでは涼しい格好を許していただいていくのかなというふうに思います。
(記者)あともう1点なのですが、公害の被害者になった水俣病とかイタイイタイ病の方に8日に会われましたが、あの場で質問の機会がなかったので伺わせていただきたいのですけれども、水俣病患者会の67歳の中村房代さんという方が、ちょうどこの辺りで訴えをされていたと思うのですが、一人で30年以上苦しんできた、泣き続けてきたというようなお話だったと思うんですけれども、この訴えをどのように受け止められていますでしょうか。
(大臣)環境省の原点ということ以上に、実際にお言葉を聞かせていただいて、それはもう、本当に大変だったろうなというのはよく分かります。御主人とも一緒に来られたわけですから、本当に2人で大変だったろうなと。いろんな家庭内のこともおっしゃっていましたね。ですから、いろんな意味で水俣病というところを、我々はずっと関わり続けて、今作業を続けているわけで、この間の中村さんの気持ちに、できるだけ沿いながら作業を続けなければいけないなというふうに思います。
(記者)今もお言葉がありましたし、あの時にも、向き合って寄り添って、そういう精神でもって取り組むというお話をされていたと思うのですけれども、今のお話であった環境省の原点というのも度々おっしゃられていたと思うのですが、これは、「寄り添って取り組む」というのは具体的にどういうことでしょうか。
(大臣)二度の政治解決、既にやっています。ですから、公健法に基づいた、きちっとした運用という中で、ある程度のフレキシビリティを持った政治解決もトライしてきたと思います。他方、まだ認定申請されている方等おられるわけですから、そういう気持ちにできるだけ対応していきたいなと思います。
(記者)あの場の後に、実際に言葉を交わされて、中村房代さん側も、ぜひ熊本の現地に来て、直接会って話してほしいというふうな、お話されていましたけれども、今年の水俣病慰霊式があった際はオンラインだったと思うのですけれど、現地に行かれるとかそういったお考えはありますでしょうか。
(大臣)いずれ、機会を見つけていかなければいけないなと思います。

(記者)朝日新聞の関根です。冒頭の幹事社質問の関係なのですが、骨太に対しての大臣の見解はそのようなことと理解いたしました。この夏に参議院選挙がありまして、自民党も同様の、「最大限の活用」ということをうたっておりますが、一方で、これまでずっと踏襲してきた依存度を可能な限り低減するということについては、大臣の理解では、引き続き党のほうでも参議院選挙で同じように訴えていくと、そういう理解でよろしいのでしょうか。よろしくお願いいたします。
(大臣)総理もウクライナ情勢を踏まえて、いろいろな情勢を踏まえて、再生可能エネルギー、そして原発という2つを言われていますよね。政府の方針というのは、私、先ほど申し上げたように、原発については安全を最優先して、そして規制委員会が判断することを尊重していく。そして、再生可能エネルギーの最大限導入の中で、結果的に原発の比重が低減するようにというのが方針です。去年の10月末の閣議決定で当時6%から20%なり22%、今大体4%ぐらいですけどね、原発の比率をそういうふうに持っていくというのは、これは方針としてあるわけです。ですから、そういうことを踏まえれば察していただけると思うのですが、再生可能エネルギーも18%から36%なり38%に持っていく、原発も6から20なり22に持っていく、その方針に変わりないわけです。ですから、何も変わっていないしその方針でもっていくんだろうと、そのときに、原発については、これは経産省の所管ですけれども、原子力規制委員会の判断というものが一番大事だろうなというふうに思います。

 

 

https://youtu.be/HonkAsVVeh4 

(以上)