大臣談話・大臣記者会見要旨

山口大臣記者会見録(令和4年5月10日(火) 9:03~9:16  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。私からは、トキと共生する里地づくり取組地域の公募開始について、お話しさせていただきます。

「トキと共生する里地づくり取組地域の公募開始について」ということで、トキの野生復帰については、2008年に佐渡で初めて放鳥を行った後、長年の間、地域の関係者の協力を得て、現在約480羽まで生息数が増加しました。このため、次の段階として、佐渡だけでなく本州等におけるトキの定着を目指すこととしています。今月から、定着に向けたトキの餌場やねぐらとなる自然環境の整備等に意欲のある地方公共団体を募集し、8月をめどに「トキと共生する里地づくり取組地域」として選定します。かつてのように、本州等でもトキが空を飛ぶ姿が見られる日の実現に向け、多くの地方公共団体からの応募を期待しています。詳細は報道発表資料を御覧ください。以上です。

2.質疑応答

(記者)おはようございます。フジテレビの井上です。冒頭、御発言がありましたトキと共生する里地づくり取組地域の公募開始について、本州での繁殖に向けて、今進んでいくということかと思いますが、大臣の期待感を教えてください。また、6月の末まで公募期間で8月めどに選定ということですが、その後の取組などのスケジュールも併せて教えてください。
(大臣)トキについては、いろんな意味で、日本だけではなくて、隣国の人たちにも取り上げてもらったりして、日本としても非常に大事にしていかなければいけないところだと思います。その意味で、佐渡において大分増えているわけですけれども、それが他の所でも見られるようにというのは、是非頑張っていきたいなと。今まで地域的に幾つかの地域で関わっていただいていることもあるようですから、そういう地域を中心にいろんな意味で、そういう取組が広がっていけばありがたいなというふうに思います。トキについては、これまでは佐渡において関係自治体、佐渡市、あるいは新潟県が主体となって生息環境整備、あるいは社会環境整備を行ってきたところです。その意味では、またほかの自治体も関わっていただいて、トキが生息し、地域と共生できる環境整備に取り組んでいただきたいというふうに思います。取組を行う地域においては、トキとの共生を目指した環境整備等を通じて、里地・里山の保全・再生が進み、また地域の社会・経済の活性化につながることも期待しています。今、お米でもトキの名前をつけたブランドも出てきたりしているので、そういうことを含んで、地域の社会・経済の活性化につながるといいなというふうに思います。スケジュール的には、今後、8月上旬頃に選定結果を公表する予定です。

(記者)朝日新聞の関根です。世界気象機関、WMOですけれども、本日、先ほど最新の予測を公表いたしまして、今後5年間に世界の平均気温は産業革命前と比べて、1.1度から1.7度上昇するという予測を公表いたしました。その上で、5年間のうち少なくとも1年間は、世界目標の1.5度を超える可能性も五分五分であるという、非常に厳しい見方を示しているようです。ウクライナの問題もあって一服感もありますけれども、今後の取組と調査結果の公表、中身についての受け止めをお願いします。
(大臣)1.5度以内に抑えるというのが、みんなの努力目標としてCOP26でもって、心合わせをやったわけです。それを受けて、日本としてもこれから実行の年だということで、200億円の地域脱炭素移行・再エネ推進交付金、それから、あるいは脱炭素化支援機構の財政投融資、脱炭素と町おこしが両立するようにという趣旨でみんな受け止めてくださいという意味での全国行脚。それから、鉄鋼業界から始まって各業界とのいろいろな意味での対話。そういう中で実行をずっと進めているつもりです。それで今、何度なんですかということで言ったら、関根さんから1.1度から1.7度というWMOの話をしていただきました。もうあまり余裕がないということは、もっともっとみんなに知っていただかなければいけないなと思います。ある見方だと、あと5,000億トンが限界で、毎年400億トンずつ温室効果ガスが増えているということであれば、あと10年くらいではないかと。これももう少し厳しく見なければいけないかもしれないというのであれば、そういう意味で、あまり余裕がないというのがあると思うんですね。だから、1.1度なり1.7度なり、私的には1.2度まで来ているのではないかなと認識しているのですけども、あまり余裕がないなということで、再生可能エネルギーは、環境省的には、太陽、風力、水力あるいは地熱、将来的には水素等も含めて、自前の、国産のエネルギーシステムで、脱炭素を目指さなければいけないなと。ぎりぎりのところだというのはWMOと、我々と同じ認識だと思います。

(記者)テレビ朝日の川﨑です。よろしくお願いします。先日発表のあった脱炭素先行地域なんですけれども、北海道と並んで大臣の選挙区であります兵庫県で3件採択がありました。この件について、御所感を伺えればと。
(大臣)正直、私自身、全く関わっていないから、評価委員会でもって選考いただいた26地域の中にそういうことになっているんだと思います。それぞれがよいプロジェクトだったというふうに聞いてはいるんですけれども、どこが選ばれたかにかかわらず、春、秋、春、秋とこれから募集していきます。ですから、今回選ばれたところは、2030年の脱炭素先行地域ということで頑張っていただくのはもちろんのこと、選ばれなかったということであっても、「なんでだろう」ということは環境省のほうからもよくお話をさせていただいているようですから、プロジェクトの内容を更に詰めていただいて、秋に向けて応募を続けていただけたらと思います。兵庫県が3つというのは結果の問題として、評価委員会のほうで厳正に、中立に選ばれたと認識しております。
(記者)あともう1件、これも少し前の件で恐縮なんですけれども、自民党の環境・温暖化対策調査会の提言を受け取られたと思うんですが、その中でカーボンニュートラル担当大臣という内容の提言があったと思うのですが、これについては環境大臣と被るところもあると思うのですがどうお考えでしょうか。
(大臣)それだけ、カーボンニュートラルの作業というのは大変だという認識を自民党が示されたんだと思います。
(記者)あってもいいかなとお考えですか。
(大臣)それは私が決めることではないけど、私自身は目いっぱい頑張らさせていただいているつもりですから、何も支障は起きていないと思います。

(記者)北海道新聞の大澤と申します。4月23日に北海道の知床の世界自然遺産地域内で発生した観光船の事故についてお伺いします。観光船はヒグマなどの野生動物等の観察を目的としたエコツアーとしても人気を集めていましたが、遺産地域の適正利用やエコツーリズムを推進してきた環境省として、今回の事故への受け止めをお聞かせください。
(大臣)今回の事故を日本中の皆さんはニュースで知られて、お亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げます。非常に残念ですね。海上保安庁等による捜索活動で、一刻も早く行方不明の方々が発見されることを願っております。環境省としては知床の観光船によるツアーは、国立公園の重要な利用形態の一つであると認識しております。そういう意味では、今回の海難事故による影響を非常に懸念しております。船舶の構造や航行方法、その辺に問題がなかったかどうか、これが全てのポイントです。そういう点については、国土交通省において調査が行われていると承知しております。早急な原因究明、これから、こういうことが絶対起こらないようにというところが一番のポイントだと思います。国土交通省がどういうふうにされているか注視しながら、必要に応じて、もちろん必要な協力は行っていきます。
(記者)関連してもう1点。知床の遺産地域内で携帯電話の不感地帯が多いことについて、基地局の増設など、何か今後の対応についてのお考えがあればお聞かせください。
(大臣)知床は世界自然遺産ということで、原生林のまま保っている、それが一つの約束事で、そこに携帯電話施設を敷設するということについては、若干、いかがなものかなという気はします。他方、今回の事件については、船の無線がどうなっていたとか、めちゃくちゃ荒れたところに行って本当によかったのかとか、ということが主なところだというふうに思うんです。私の所掌でもなんでもないですけど、救命ボートでもあったらよかったのになと。20トン以下の船は、どうも、そういうのが法律上は免除されているやに、私もちょっと、申し訳ない、専門ではないから。だったら、そこをどういうふうにするのかなと。個人的な話はあまりしないほうがいいけど、でも、20トン以下の船は免除されているというよりも、これからは、空気をしゅっと入れたら膨らむようなゴムボートでも積んだほうがいいのかなと、こういうことを契機にいろいろ改善されていきますからね。私は、自分の所掌ではないけれど、個人的には何とかならなかったのかなという気持ちで、小さい船だと救命ボートを積まなくていいということではなくて、商売するのであれば、それくらいのことは、全部これからは義務づけると、いうくらいしてもいいのではないのかなと、いうふうには思います。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/HiI30A0-9aQ

(以上)