大臣談話・大臣記者会見要旨

山口大臣閣議後記者会見録(令和4年4月26日(火) 9:51~10:08  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 私から、今日は2点です。PCB廃棄物の処理事業受入れの御礼について。そして、脱炭素先行地域の選定についてです。
最初に、昨日25日に、北九州市の北橋市長がお見えになり、昨年9月に環境省から北九州市に対して要請した、JESCO北九州事業所での高濃度PCB廃棄物の処理継続について、処理の安全性や期限内処理の確保等を条件に受入れの回答をいただきました。北九州市を始め、JESCOのPCB処理施設が立地する自治体の市民の方々から、御理解と御協力をいただけたことに、心より感謝申し上げます。PCB廃棄物の1日も早い処理完了に向けて、全力を尽くしてまいります。
 2つ目は、今年1月から開始した脱炭素先行地域の第1回の募集では、全国102の地方公共団体から、79件の提案をいただきました。評価委員会の評価を踏まえ、本日26件の提案を脱炭素先行地域として選定しました。詳細は報道発表資料を御覧ください。脱炭素先行地域は、2050年を待つことなく、前倒しでカーボンニュートラルを目指す、全国のモデルとなる地域です。その高いハードルに挑む、意欲的な提案を多くの地方公共団体からいただいたことに、改めて感謝を申し上げますとともに、地域脱炭素の機運の高まりを改めて強く感じる次第です。勝負の10年において、地域脱炭素は極めて重要です。今回選定された地域における脱炭素の実現に向け、環境省もともに汗をかいてまいります。それぞれの先行地域が起点となって、全国各地へ脱炭素ドミノがつながっていくということを期待しています。なお、6月1日に選定証授与式の開催を予定しています。詳細は改めてお知らせします。脱炭素先行地域は、今年度内に第2回の募集を行う予定です。今回選定に至らなかった地域や、第1回は準備が間に合わなかった地域へのフォローアップも含め、地方公共団体への丁寧な伴走支援を行いたいと思います。引き続き多くの地方公共団体から提案をいただくことを期待しています。以上です。

2.質疑応答

(記者)おはようございます。幹事社日経新聞の岩井です。脱炭素先行地域の選定に関してお伺いします。1回目の選定結果を踏まえて、次回公募のスケジュール、次回応募を検討する自治体に対して、どういった提案を期待するのか、大臣のお考えをお願いします。また、交付金の予算規模の拡大が必要という声もありますけれども、現時点でどういった方針でしょうか。お願いします。
(大臣)2回目の公募のスケジュールは、時期は未定ですけれども、今年秋頃の選定を目指して、夏頃の募集を予定しています。それから、次回応募していただく地方公共団体の方は、今回選定された地域の取組も参考になると思います。そして、市街地、農山漁村、自然公園、離島など、多様な地域における先進性とか、モデル性のある積極的な提案を是非していただきたいなと思います。いろいろな成功事例を見ていただくというのが、一番インスピレーションを湧かせられると思いますので。今後、脱炭素先行地域の選定数が増加して、各事業の本格化も当然想定されるわけで、令和5年度以降の財政需要にもお応えできるように、毎年度、所要額の確保に全力で取り組んでまいります。今回きちっとやっていくということが、次につながる最大のポイントだと思います。ですから、今回も評価委員会でかなり厳正に見ていただきましたし、それを踏まえて、きちっと実行に移していくというところが200億から更に、というところの可能性につながるのかなと思っています。

(記者)NHKの岡本です。2点ございます。脱炭素先行地域に関してです。1点目は、各地域、かなり、地域の特色をいかした提案があったかと思います。大臣は一通り御覧になったかと思いますが、そういった、地域の特色をいかしたエネルギーに関する提案について、御覧になっての所感、どういうふうにお感じになったか教えてください。もう1点はですね、脱炭素先行地域が去年6月の地域脱炭素ロードマップで書き込まれてですね、そこから準備が進められてきたと思います。当時は前大臣の時代でしたけれども、当時と比べて、社会情勢は大きく変わっています。その中で、今、脱炭素先行地域の意義というのも、1年前とまた変わっていると思うのですが、今の社会情勢に鑑みて、どういうふうな意義があるとお感じなのか教えてください。
(大臣)2つ目の、地域脱炭素が社会情勢の変わった中でどういう意義があるかということについては、端的に、例えばウクライナの情勢を見ても、自前の国産のエネルギーというのが必要なわけですね。地産地消ということにもつながりますけれども、そういう意味では、この地域の脱炭素の動き、前にも増して重要になっているなということが、まず1つあると思うんです。それから、いろいろな特色のあるものを出していただいて、これも全部評価委員会で全部きっちり見ていただいていて、私自身は全く関わっていないんです。ですから、そういう意味で、全貌を必ずしも私が把握しているわけではないのですが、さっと一覧したところ、いろいろな発想をすごく湧き立たせていただいているなというふうに思います。例えば、自前で、再生可能エネルギーでライトアップするとか、そういうことも含めて。2030年に民政部門のカーボンニュートラルと脱炭素というところが念頭にあるわけですから、いろいろな道があると思うんですね。その中でもいろいろな工夫をされているなということは非常に強く思いました。だから、これから全国各地で脱炭素の波を起こしていただきたい。あるいは私らもサポートさせてもらいたいなというふうに思う中で、是非、いろいろな形で参考にしていただければと思います。それから、町おこしと両立するというところがポイントなんですね。脱炭素と町おこしを車の両輪として、お互いに相乗効果を持たせてやっていくという、そういう観点から評価委員会でも選考いただいたんだと思います。そういう、いろいろな意味でいいプロジェクトが並んでいるなと思います。

(記者)テレビ朝日の川﨑です。よろしくお願いします。関東で選ばれた自治体を教えていただければと思うのですが。
(大臣)まず1つ、埼玉県さいたま市、「さいたま発の公民学によるグリーン共創モデル」が1つです。それから2つ目、神奈川県横浜市、「みなとみらい21地区における、公民連携で挑戦する大都市脱炭素化モデル」。それから3つ目、神奈川県川崎市、「川崎市の交通要衝「みぞのくち」からはじめる、CO2最大排出都市の脱炭素アクション」。この3つです。

(記者)朝日新聞の関根です。G7のですね、気候・エネルギー・環境大臣会合の声明原案というものが各国に示されていて、その中で議長国のドイツが、2030年までの各国内の石炭火力の廃止方針というのを盛り込んできております。日本政府はエネルギー基本計画で、2030年度時点でも19%、石炭火力を活用するということになっているわけですけれども、この方針に対する対応、並びに大臣の考えを教えてください。
(大臣)確かに、2030年に、32%から19%に減らすと、ゼロじゃないわけですね、今のところ。その中でいろいろな考えが欧米のほうでは当然あるんでしょうけれども、ウクライナの情勢を踏まえて、これは開催国のドイツだって石炭をぐーんと増やしていますからね、だからそういうものも踏まえた上で、いろいろな議論をしなきゃしょうがないと思うんです。このG7の気候・エネルギー・環境大臣会合に向けた話というのは、今調整中ですから、取りあえずそこまでで答えとさせていただければありがたいです。
(記者)中身の話は、さておきですね。その考え方として、つまり脱炭素先行地域の中で、勝負の10年ということを御指摘されておられましたけれども、一方で、ウクライナ問題があって、目先の対応が続いていると。しかも、その目先の対応というのがどれだけ続くのかが、ちょっと見通しがつきにくい中で、いかに両兎を追うべきなのか、その辺についての大臣のスタンスを改めてお願いします。
(大臣)全般的に全部見なきゃいけないので、石炭をゼロにしたら全部カーボンニュートラルができるかというわけではないですよね。ですから、石炭もそういう意味では、よくやり玉に挙げられますけれども、日本としては、例えばアンモニア混焼とか、JERAのほうで一生懸命進めていますよね。これはまだまだ初期段階で、2024年までに実験を取りあえず終えて、そして2020年代で20%入れて、2030年代で全部ということで、2040年代に完成すると。そういう図柄、取りあえず、今、日本としては進めている中での話だから、その英語でよく「unabated」という言い方をしていますけれども、日本的には島国で、例えばフランスとドイツだったら、パワーグリッドでつながっているから、「ちょっと足りません」と、隣から融通できるわけですけど、そういうのがこの日本を取り巻く環境ではできないですよね。それから、風力発電もこれからどんどんどんどん力を入れていくということで、今、始めようとしていますけれども、イギリスの場合は浅瀬だから割と着床式でやりやすいかもしれないけど、日本の場合には洋上の浮体式というところで、技術的にも高いもの。でも、それも始まりつつありますから、そういう意味ではこの石炭というものをできるだけ減らしながら、その間、再生可能エネルギーを増やしていくという日本の考え方というのは、もちろん現実的だし、それから気候のカーボンニュートラルを達成する意味でも、2050年のカーボンニュートラルに向けて、十分現実的に達成可能だというふうに思っています。その途中の筋道で2030年までにゼロにするというのは1つの考え方かもしれないけど、通り道としては、他にもありますから。日本独自の情勢についても、きちっと理解してもらわないとしようがないなというふうに思います。

(記者)共同通信の水内です。今のG7の閣僚会合の声明原案についてなんですけれども、ほかの筋道も、道筋もあるということで、提案については環境大臣として受け入れがたいという認識を示しているということだと思うのですが、そういうことでよろしいのかというのが、まず確認、1点ですね。また、先ほどウクライナの情勢下で、提案したドイツでさえ、石炭の使用量をぐーんと増やしているという御発言がありました。その提案自体が非現実的であると、ドイツがそういうことを言い出すことに対して、少し疑問視しているということでよろしいのでしょうか。
(大臣)最初の受け入れがたいかどうかというのは、環境大臣的には石炭の率というのはやっぱり落としたいし、その意味では再生可能エネルギーを増やしていくというのが、1つの割合を落とすということのやり方だと思っているんです。他方では、やっぱり日本のエネルギー事情、先ほど申し上げたような島国で、しかも資源的に限られている中での話ですから、ヨーロッパとは全然違うというところもありますから、受け入れがたいという表現を使うかどうかはともかく、その原案ではいかんなということで、調整が必要だなというふうに思います。それから、ヨーロッパ、ドイツはヨーロッパの中心の1つですけれども、例えば、原発をどう考えるかというので、それをサスティナブルだという、タクソノミーの話もありますよね。日本と大分考え方の距離があるなというふうに思うんです。ですから、ヨーロッパの場合、例えばドイツなんかも、原発についてはいろんな考え方を持っているみたいですけれども、ヨーロッパの中で、原発をどう取り扱うかという中で、この石炭をゼロにするかどうかという話も出てきているはずですから、全体像をめぐって議論をしなきゃいけないような話なので、石炭をゼロにするかどうかというところだけ見るというのは、若干無理があり、それだけを見て非現実的かどうかというのは、議論的にはあまりよくないと思います。そういう意味では何が現実的かというのを、それぞれの国に応じて状況は違うでしょうから、その辺をお互いに理解をしあいながら、最終的に2050年のカーボンニュートラルを目指していくと。それから、途中、2030年がちゃんとした軌道にそれぞれが乗っかっているように、というのをお互いにチェックし合うというところだと思いますので、この2022年のG7の環境・エネルギー大臣会合でもって、石炭火力ゼロというのは、ちょっと今そういう議論は少し修正が必要かなと、日本的な、そういう打ち出しもしなきゃいかんなと、経産省ともよくすり合わせしますけれど、というふうに思います。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/ra9_6fr5P1E

(以上)