大臣談話・大臣記者会見要旨

山口大臣閣議後記者会見録(令和4年4月1日(火) 9:00~9:36  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

私からは、本日から施行される環境省所管の法律について述べさせていただきます。本日から新年度が始まり、環境省所管の法律で施行日を迎えるものも多いわけですけれども、その中でも2本の法律について、施行に当たってのメッセージを述べさせていただきます。まずプラスチック資源循環法について、今回の法施行に併せ、既に様々な積極的な取組が行われています。事業者の皆様に改めて感謝申し上げます。昨日、環境省ツイッターに私からのメッセージ動画を掲載したところですけれども、消費者の皆様には、プラスチックは選んで減らしてリサイクルを是非お願いします。買物をする際には、詰め替え製品を選択する、不要なスプーン等は受け取らないなど、一人ひとりが身近なことから、行動を起こしていただければ非常に幸いです。改めてお願いします。続いて、昨年改正した温暖化対策法について、改正法の施行により、地域の合意形成を円滑化しつつ、環境に適正に配慮し、地域に貢献する再エネ事業を促進する仕組みがスタートします。この仕組みや、脱炭素先行地域づくりなどを通じて、地域共生型の再エネ導入を加速していきます。近年、再エネの導入に当たって、環境配慮や地域とのコミュニケーションが不足していることによりトラブルを生じている事例があります。環境省としては、適切な環境配慮がなされず、丁寧な合意形成が図られていない再エネについては、今後も厳しい態度で臨んでいくとともに、地方環境事務所を通じた情報収集にも取り組んでいきます。以上です。

2.質疑応答

(記者)日本テレビ松野です。冒頭に御発言もございました。いわゆるプラスチック新法を本日施行ということで、事業者側で様々な取組を行われておりますけれども、一方で、ポイント還元というところは、いまいち出だしがちょっと鈍いのかなというふうに印象を受けるのですが、その当たり、どのように見ていらっしゃいますでしょうか。
(大臣)プラスチック資源循環法では、ワンウェイのプラスチック製品について削減の目標を定め、その達成に向けた取組の実施を求めることとしています。もう既に御指摘のようにコンビニ等では軽量化されたスプーン、木製あるいは植物由来のプラスチックを使用したフォークへの切替え、あるいは宿泊施設ではフロントにアメニティバーを設置するといった取組が進んでおり、私としては大変心強く感じています。ポイント還元の取組が鈍いという御指摘については、クリーニング店舗などでは実施されているのではないかというふうに承知しています。具体的な取組については、事業者が自らの業種や業態に応じて目標の達成のために有効な取組を選択する、そういうことが重要であり、各社それぞれが検討して決定されたものであろうと思います。今後も事業者による積極的な取組を期待しています。

(記者)TBSテレビの緒方です。先ほどの冒頭でも発言がありまして、今の日本テレビさんの質問にも関連するのですが、プラスチック新法が今日から施行ということで、2020年国内での廃棄プラスチックの総排出量は822万トンとなっていて、環境省の担当課に問い合わせたところ今回のメインとなってくる特定12品目の削減の義務化、これで得られる効果、期待される効果というのが、数万トンぐらいだということが分かりまして、822万トンに対してその数万トンというのはちょっと少ないのかなというふうに思うのですけれども、その辺りの効果や期待というのはどのようにお考えでしょうか。
(大臣)大きな流れとしては、世界全体でプラスチックごみをなくしていきたいということがあろうかと思います。今回、このワンウェイプラスチックの削減というのは、世界全体として、このプラスチック問題に取り組む上で欠かせない対策という位置づけをさせていただいています。プラスチック資源循環法では、今回、ストローやスプーン等の12製品を対象として、代替素材への転換などの使用の合理化の取組を提供事業者に求めるという形です。ストローやスプーン等のワンウェイプラスチックの使用の合理化の取組は様々であるため、削減量を一概にお答えすることは、難しいとは思います。国内の廃プラスチック排出量約800万トンに対して、法の対象となる12品目が占める割合は必ずしも大きいとは言えませんけれども、このワンウェイプラスチックが過剰に使用されることがないようにという、そういう意識を高めていただいていくということがまずは第一歩かなというふうに思っています。
(記者)もう1点、関連してなのですが、822万トンのうち2020年だと、316万トンほどが一般廃棄物の容器、包装、コンテナ類というところで、主にこのところで、いわゆる使い捨てのプラスチックの容器ですとか、包装というのが入ってくると思うのですけど、例えばお弁当の箱だったりとか、そういうテイクアウトで使われるような容器は、今後、今回のように削減だったり、何か取組としてメスを入れていく方針だったりというのはあるのでしょうか。
(大臣)プラスチックについてはリサイクルできたり、あるいはリユースできたりすれば、問題ないと思うのですけれども、それ以外の形になった場合にごみになっていくというところで、今おっしゃったようなことを含めて一遍に全部やるというのは、法律の施行としては少し無理があるのかなという気がしますから、まずはこのワンウェイプラスチックとして代表的な12品目でスタートさせていただくという形です。

(記者)南日本新聞の吉松です。先月30日に水俣病被害者互助会の男女7人があの患者認定を求める行政訴訟で、熊本地裁が全員の訴えを退けましたが、この判決に対する大臣の受け止めをお願いいたします。
(大臣)3月30日に熊本地裁において、互助会抗告訴訟の判決の言渡しがあって、結論として、熊本県及び鹿児島県の主張が認められた形になっていると承知しています。環境省として引き続き関係県・市と密に連携しながら、公健法を適切に運用していきます。

(記者)熊本日日新聞社の福山です。今ほどの水俣病問題に関連してお伺いします。公健法を適切に運用していくとのお言葉ありましたが、環境省は2014年に複数症状の組合せがなくても、患者認定できる基準の運用指針を新通知として、お示しになっていますが、この新通知をめぐっては、被害者の皆さんから、認定の門戸を狭めたとの批判があります。またこれを踏まえた認定審査の現状についても、水銀の影響を受けた結果、症状があれば認定をするという公健法に基づく水俣病行政の原則に逆行しているとの批判も強いです。認定審査の在り方を見直す考えはないのでしょうか。その理由と併せて教えてください。
(大臣)私自身は今までの科学的知見に基づいて、いろいろと進んできたと思いますので、その方針に沿ってやっていきたいと思います。

(記者)エネルギージャーナル社の清水です。ウクライナ情勢、ロシア、非常時だという御認識が強いかと思いますが、気候変動問題、温暖化対策を始めとして、国際的にも大きな後退が想定されますか。また国内的にも、エネルギーの供給需給確保など、最優先で、経済対策も進められようとしていますが、大臣の御認識はどうですか。
(大臣)このウクライナの話というのは、大きくて広いですよね。戦後の世界の在り方の根本を揺るがしているわけですから。戦後、3つの柱があったと思うのです。武力の行使を禁止して、国際平和をつくっていくということで、国際連合をまずつくったと。しかし今回、国際連合安全保障理事会の常任理事国として拒否権を持っているロシアが、それを、ある意味で言えば機能不全ということを典型的に示してしまった。ソ連には拒否権があったけど、ロシアにはないといった議論など、いろんな議論があると思いますけど、まずは1本目の柱の国際連合というものが、平和の維持について、機能不全を示してしまったと。それから2つ目は保護貿易だったから戦争になったという意味で、この自由貿易、これを進めていこうということで、GATTとか、あるいはその後ウルグアイラウンドからWTOつくって、やりましたけれども、最初の加盟国が少ないときには何とか全会一致も成り立ったとしても、今は、WTOで200近い国がいる中で、全会一致ってのはほとんど無理になって、ではその世界の仕組みを全部ごそっと自由貿易にするというのがほぼ無理であり、ドーハラウンドの座礁乗り上げとなっている。そこで、次善の策として、TPPとかFTAとか、ジグゾーパズルみたいに組み合わせるわけですよね。だけど、なかなかこれもうまくいってない。うまくいってないというか、完璧には全部ジグゾーパズルが完結してないと。日本の周囲を見ても、例えばTPPからアメリカが国内事情で抜けているという、それからASEANやRCEPはできたけど、環日本海はないわけですよね。例えば環日本なんか、ロシア、それから中国も含むわけですけどね。だからそういう意味ではこのジグゾーパズルが不完全。これで2本目の柱もなかなかうまくいってない。3本目の柱は本当、あのドル基軸通貨体制だったと思うのですけれども、これは早くに実態というものは変質してしまっていると。だからそういう意味で、国連自由貿易、お金のドル、全てこの戦後の体制というものが今、ある意味で、もう一度根本からつくろうと、あるいはつくらなければいけないということのように私は思います。パクス・アメリカーナということでずっと来ましたけどね、アメリカ自身もオバマさんのときに世界の警察官ということはもう無理だというふうに言っており、パクス・アメリカーナ自身が変質してしまっている中で、日本のこの吉田路線、吉田茂さんが安全保障をアメリカに頼って、日本は経済中心にやっていくというこの路線についても、ある意味で根本的に、日本が自ら平和をつくっていくということを、これから考えていかなければいけないですよね。エネルギーに置き換えてみたら、石油をめぐって戦争が起こっていたと。多分、中曽根さんの時代だと思うのですけど、原発により自前のエネルギーでいくと、ところが福島が起きて、やはり、これからは再生可能エネルギーで自前のエネルギーをつくるかと。簡単には、今まだいってないわけですけれども、でも方向としては間違ってないと思うのです。その中でウクライナ、ウクライナが日本に呼びかける1つの大きなポイントは、自前の国産のエネルギーを確保しろと。石油で4%、天然ガスで9%、石炭で11%日本はロシアから輸入しているわけですけれども、これやっぱりできるだけ早く、やはり太陽光、風、水、地熱に。本当は明日にでも私は実現したいところですけど、そういうものは急にはできません。だから少し時間がかかるでしょう。だけど問いかけているのはそういうことです。その中でまたいろんな議論が出てくるでしょうけどね。電源構成が、例えば石炭は32%から19%とか、あるいは再生可能エネルギーを18%から36%なり38%とか、あるいは原発を6%から20%なり22%とかいろんな議論がある中で、自前の国産のエネルギーを確保すると。もうこれを加速化していくということが今求められているのだと思います。そういう世界の国際秩序の、ある意味では変容、その中で、ウクライナが問いかけていることの1つは自前のエネルギー、そういうことではないかなと思います。だから、そこからしたら、やはり環境省の今の役割、再生可能エネルギーを最大限導入していくというところは、さらに力を入れてやっていくということで、方向性をさらに、矢印を太い矢印に変えていくという、そういうような状況だと思います。
(記者)1つだけ端的に伺いたいですが。パリ協定、COP26、27は予定されていますけども、ウクライナ等による国際情勢の激変によって、何かこのパリ協定で、目指すべきもの、目標も含めて、これが一時停滞というか、あるいはダウンせざるを得ないというそういう認識ありますか。
(大臣)ありません。環境問題の中でCOP26の合意は1ミリたりとも揺るぎません。この間OECDのこの環境委員会閣僚レベルの会合があったわけで、私は国会の関係で出られずにネット参加だったのですけれども、各国からは、冒頭で、ウクライナ情勢について一言、かなりはっきり厳しいそれぞれのコメント、もちろんありました。しかし、そのような中でも、環境問題については、待ったなしという感覚は、共有されています。担当の閣僚によって、それぞれの重点の形は違うわけですけれども、だけども、これが人類にとって、もう、あと5,000億トンぐらいのco2許容しかないわけでしょう。毎年400億トンずつ出ている。ウクライナが起こってもそのバジェットは変わりません。したがって、刻々と時計が進んでいく中で、それをしなければ、人類が滅びると。そこら辺の共通認識は、日々、強くなっていると私は認識しています。
(記者)もう1つだけ関連して。ロシアはco2排出で見ると、世界でも確か、6番目か7番目。パリ協定の目標としているco2排出と、戦争によって発生する温暖化、排出ガス、これがどういうカウントをされているか、そこは1つ大きな問題を今回提起したと私は思っているのですが、戦争によるエネルギーの使用とかco2排出については国際的にどういうカウントをしているのか、そしてそれは、通常の削減自主目標の枠の外になっているのではないかと思うのですが、やっぱり日本は、そういうことについて問題提起をすべきであって、何も経済制裁だけじゃなくて、そういう国に対しては、自主目標のペナルティーを科すとか、何かやっぱりそういうその国際ルールみたいなものを、さっき、ジグゾーパズルでいろいろ混み合っているとおっしゃったのですけども、そういうことはやっぱり日本は示していく、主張していくべきじゃないかと思うのですが、いかがですか。
(大臣)プーチンさんは大きな計算間違いしているわけでしょう。もうco2も何もかも全部含めて計算間違いしているわけですから。そういう人に、今、合理的な計算式を示しても通用しないのではないでしょうか。これは世界として、そういうことは人類の敵だというぐらいの感覚でみんな今思っていると思いますよ。もう完全にco2の次元を超えた話だと思います。だからそこは平和をつくるということで、清水さんが言われた日本のリーダーシップというのはやるべきだと思います。でもそこは根本的な枠組みの話だから、いずれもう少し理性をロシアが取り戻したときに、そういう計算式の話は通じるかもしれません。しかし今、プーチンさんの心の中を察するに、パニック状態に近いのではないでしょうか。もう計算間違いの連続でしょう。まさかゼレンスキーさんがあそこまでやるとは誰も思ってなかったのでしょう、コメディアンだった彼が、大統領として、危機の大統領として、文字どおり体を張って守っていると。私は、戦争はまず絶対駄目だと思いますけど、仕掛けられた戦争に対して、しっかりやっていくというのは、プーチンさんの完全な誤算の1つでしょう。それからプーチンさんが怖くて、内部的な情報が正しいものが上がらないと。正しい情報なくして正しい戦略は成り立たないですよ。だからまずはロシアの中での正常な政治が行われるようにというところで、制裁は効きます。日本としては、武力は使わない。その上でどうやって戦争を止めていくかというのが今の状態じゃないですか。バイデンさんはいろんなこと言われておりますが、まずは戦争に持っていかないようにするために、細心の注意をもっている点では、私はむしろ共感するところはあります。日米同盟と、このウクライナの状況は全然違います。ウクライナはNATOのメンバーじゃないから、それがいいか悪いかはともかく、ウクライナにロシアが今侵略したけど、NATOとしては同盟国じゃないウクライナに対して集団的自衛権は発動できないわけですね。日本の場合には、集団的自衛権をアメリカは発動すると、それが安保条約ですから。だから全然状況は違うと思います。だから今、例えば飛行禁止区域を上空に設定したら、アメリカの飛行機がロシアから飛んできた戦闘機を飛行禁止区域だからといって手を出したら、それは確実に第3次世界大戦の引き金になり得るでしょう。その点についてバイデンさんは極めて冷静に判断していると思いますよ。だから経済制裁でもって、この経済制裁の効果についても、プーチンさんのいわゆる部下の人たちは、確実に不正確な情報を上げたということが、もうだんだん明らかになってきているわけでしょう。だからあとはロシアの民主的な要素がいかに戦争を止めるために動くか、そこにも大きな要素が隠されているのではないかと思います。戦争にならないように、戦争というか第3次世界大戦にならないようにどうやって持っていくかということでしょう。
(記者)御答弁は要りません。是非、5、6月ぐらいには出るであろう環境白書、外務省は外交青書、何か出したようですけども、是非戦争と気候変動の問題というのを是非言及してもらいたいなと思います。以上です。

(記者)朝日新聞の関根です。今のお話の中でカーボンバジェットの話がありましたけれども、例えば世界で5,000億トンの許容量しかないという中で、日本としては、あとどれぐらいの排出量が許容されていて、どれぐらいの量の排出を目指していくかということについての大臣のお考えがもしあるのであれば教えていただきたいと思います。
(大臣)本当であれば、その400億トンなら400億トン、毎年これは打ち合わせたものじゃなくて、結果の話でしょうから、だから本当は世界の中でそういう、今関根さんが言われたような打合せもできるべきでしょうけど、まだそこまで行っていないのではないですか。事実として400億トンずつ出ているから、あと10年前後しかないと、多分10年ないのではないかというのが今の見積もりですよね。プラス、そこまで言ってしまったらもう後戻りができないのではないかということだから、10年なんて言わずに、もうあと僅かしかないぞという、今の切迫感でしょう。ただ、全体で日本はどこまでだったらいいとかそういう話は、環境のいわゆる閣僚会議とかでもそこまでは出ていないです。それぞれの国ごとに定められたNDC、そういうことをどういうふうにきちっとそれぞれがやっていくか、そこで今進んでいるわけですよね。パリ協定前の京都議定書だと、もうちょっと拘束力のあるものだったでしょうけど、それだと実効性が乏しいということでパリ協定式にしたわけでしょう。それぞれの国がNDCを決めて、それぞれがやっていくと。だから、そういう横のつながりもあったらいいなとは思いますけど、今の仕組みではそこまで行っていないですね。
(記者)日本で、ある種自発的に定めるように政府内で議論を提起するとかそういうお考えがあるというわけでは、今のところないということでしょうか。
(大臣)そういうことで進めるわけでしょう。2030年までに46%削減という中には、省エネとかそういうことも含めて目いっぱいやって、あの数字ですから。だから日本として全力でそこをまずやるということが今の状況です。

(記者)テレビ朝日の川﨑です。今日の入省式の取材の機会がないということで、新しく入省してくる方々にどういったことを期待するかというのを1点伺いたいです。もう1点、4月1日ということで、今年度の抱負などあれば、特に取り組みたい点、端的に、あれば教えてください。
(大臣)入省式ですね。私が外務省に入省したのは1979年だから今から40年以上前ですけれども、その日ははっきり覚えています。日本の国家百年の大計を、これから仕事していく一員になり、プロの外交官としてやっていくのだと。プロ野球の選手が毎日毎日何百本も何千本も練習するわけでしょう、ノックを受けて。それで9回の裏、3対2で勝って、1点守らなきゃいけないときに、最後のショートゴロをぴしっと捕れるかどうか。もうその1球のために仕事をするのがプロの選手ですよね。だから自分もそういう中で仕事をするということを自分に言い聞かせて。だから今日は入省式に来ていただく、それぞれ一人一人の方に、日本が今、大きなこの世界の分かれ道に立っている中で、日本もこれから1億人を超える日本のそれぞれの人のために、その幸せのために、大きな仕事の役割を一人一人が担っていただくのだと。誰一人欠けても成り立たないというつもりで、一人一人切磋琢磨しながらも研さんに努めてくださいということを伝えなければいけないなと思います。これからの環境省の仕事、私が最初、外務省に入省して、当時の環境省は環境庁と呼ばれていたわけですけど、水俣病をスタートとした環境庁が、今やその水俣病についても本当に誠意を持ってきちっと取り組みながら、国際的な地球温暖化についても大きな役割を果たしていると。日本の政府の中で、環境に関する国際会議は環境省がやっています。だからそういう大きな役割を持っている環境省に入省していただいたわけだから、そこはこれから一人一人が大きな山となってもらえるように頑張ってほしいなというところを伝えたいと思います。それからもう1つ、今、霞が関に勤めて途中で辞める人が非常に昔に比べて多くなっています。仕事もきつい面はあったと思います。私の代で、大蔵省や通産省と言われていた時代、外務省も含め、大体みんなどの人も、朝、家を出るときは「また明日ね」と言って出ましたからね。それは真夜中に帰ってきたら、みんな寝ていますから。真夜中というのは大体2時か3時、4時ですけどね、毎日帰ってくるのは。それで、出ていくときに、朝もう1回家族と会って、それで家族に、「それじゃまた明日ね」と。そんな毎日ですから、それは大変だったと思う。今、働き方改革という中で少しはよくなっているかもしれませんが、やっぱり一人一人の負担量というのは大きいと思うんですね。他方、やっぱり世間から何か役所というか官僚に対して、それは政治家もそうですけれども、物すごくどっちかというと批判的な目がすごく多いようにも思うんです。給料も申し訳ないけど、そんなにたくさんもらっているとは私は思いません。特に若い人は、民間の企業に、同じようなレベル、例えば規模の、例えば外務省で行ったあの頃3,311人だったけど、3,311人の規模の会社の給料と比べたら全然低かったですよね。だから、仕事は大変で給料は低い。だけど、日本の国家の政策を中枢で担わせていただいているという使命感でもって我々は仕事やっていたと思うんです。だけど、今いろんな形で責められていると。「ばからしいな」と思う人がひょっとしたら増えているのかもしれない。でもこれは非常に危険なことですよね。いろんな国がやっぱり日本に対して、「日本は手ごわいな」といったときに、霞が関の手ごわさというものが一番あったと思うけど、その霞が関がだんだんそうやって途中で辞める人が多くなっているというのは非常につらいものがあるなと。だから環境省というのはすばらしいところだから、ぜひ一生ここで頑張っていくと。そのことが日本のためにも世界のためにもなるという気持ちでお願いしますということは伝えなければとは思います。それから私の抱負。この半年、来させてもらって、私は環境省の一人一人のスタッフの方にまず心からお礼を言いたい。物すごくよく支えていただいていると思うし、それは先ほど申し上げた環境庁の時代も頑張っておられたけど、そこから物すごく環境省として進化してきましたよね。だから今この半年間支えていただいて、ここからある意味で、超特急で、いろんな課題、カーボンプライシングの話もありますし、それから、COP26で合意された1.5度をどういうふうに実現していくかという、軌道に乗っけるという話もあるし、それからもちろんCOP26の中で日本が提案した、この市場メカニズム、パリ協定6条の話、これをJCMとして、パートナー国を広げたり民間の資金も巻き込んだり、それからいろんな国がJCMについて詳しくなってもらえるよう、国際会議を開いたり、いろんな形でこの環境問題について、軌道に乗っけると。だから2050年、この軌道の上で2050年カーボンニュートラルができそうだなというふうに日本国民全体が感じていただけるようなところまで何とか持っていきたいなと。そのために今、全国行脚して、そのために今、いろんな産業の方、業界の方々とも対話していると。グランドデザインをつくるために行っているわけですから、そこは岸田総理のインストラクション、萩生田大臣と私とで協力してやるようにということに集約されますけれども、そこを明確にしていって、日本のこれからのグランドデザイン、これをはっきり示せるようにしたいなというふうに思っています。

(記者)環境新聞の小峰です。入省式の挨拶ですけれども、今、若い人たちが霞が関で離職率が非常に高いということですけども、実は先日、ここの事務局の幹部と話をしたときですね、霞が関の省庁で環境省は離職率がとても低いということです。それで、そういうことがありますということを、いかがでしょうか。
(大臣)環境省に大きな未来を感じていただいているのだと思います。私はそこの認識は非常に正しいだろうなと思います。役所に入って、最初は私の時代だったらコピー取りとか、何でこんなコピー取りやらなきゃいけないんだろうと思った時代もあったけど、いろんなことをやって。高い山ほど裾野が広いって言いますからね。裾野のいろんな雑用もこなして、その中で山が高くなっていくということで。本当はそういう雑用にもそれなりの意味はあるのですが、特に環境省へ入ってきて最初はそういう雑用もあるかもしれないけど、そこは環境省全体が目指しているものの崇高さ、あるいはそれを世界全体でやろうとしていることの意義、それから日本がこれから国家戦略としてどういうふうなものをやっていくかという際に、やっぱり環境省が扱っていることが枢要な要素を占めるだろうと。いろんなことを考えてもね、やっぱり生きがいというか、働きがいというか、やりがいというか、感じていただける職場だと思うので、その辺をぜひお伝えできればなと思います。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/NK-cr3ZytKA 

(以上)