大臣談話・大臣記者会見要旨

山口大臣閣議後記者会見録(令和4年3月18日(金)9:00~9:26 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

今日、私からは3点。福島県沖を震源とする地震への対応、明日の福岡県への出張、そしてゼロカーボン・パークの第4号案件の登録についてです。初めに、3月16日の福島県沖を震源とする地震では、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。環境省では、福島県沖を震源とするこの地震の発生に対応して、16日の23時50分に環境省災害情報連絡室を設置して、被害状況の情報収集を行いました。これまでのところ、国立公園施設や廃棄物処理施設など環境省に関わる施設の大きな被害の報告はありません。また、原子力施設についても、内閣府と原子力規制委員会で事故合同警戒本部を設置し、プラントのデータに異常は確認されていないとの報告を受けています。今後も、現地の情報収集を進め、必要があれば、迅速かつ的確な支援を行っていきます。2番目に、福岡県への出張について。福島県の除去土壌等の県外最終処分に向けた全国での理解醸成活動として、4回目の対話フォーラムを、明日3月19日に福岡市で開催し、私も現地に赴き出席させていただきます。除去土壌の再生利用等に関する理解が深まるように、参加者の皆様との間で、丁寧なコミュニケーションを図っていきます。前回同様、オンラインでも同時中継する予定です。多くの方に御覧いただきたいと思います。また併せて、当日は、環境政策に係る全国行脚の一環として、ユースも含めた地元福岡の関係者の方々との意見交換も行わせていただく予定です。今回も生の声をいろいろ聞かせていただいて、地域脱炭素の実現を始めとする環境省の政策に生かしていきたいと思います。それから、3番目のゼロカーボン・パークの第4号案件の登録。国立公園をカーボンニュートラルのショーケースとする「ゼロカーボン・パーク」として、本日、阿寒摩周国立公園がある釧路市及び妙高戸隠連山国立公園がある妙高市を、第4号案件として同時登録することとなりました。阿寒摩周国立公園については、今年の1月に私自身も訪問しました。釧路市では、今後、阿寒湖温泉の施設における温泉熱活用や、電動スポーツサイクルの活用などを進めていく予定と聞いています。また、妙高市では、妙高高原ビジターセンターなどの公共施設における再エネ電力導入、プラごみ削減のためのウォーターサーバーの設置、デマンド型交通の推進による温室効果ガスの排出削減などを進めていくと聞いています。今後は、ゼロカーボンを目指すこれらの取組に環境省からも必要な支援を行っていくとともに、全国の国立公園にこうした取組を広げていきたいと思います。以上です。

2.質疑応答

(記者)毎日新聞の信田です。対話フォーラムのことで伺います。福島第一原発事故から11年という節目を迎えましたが、県外最終処分についての理解醸成がどの程度進んでいるとお考えか。また、対話フォーラムの出席は大臣としては2回目だと思いますけれども、理解醸成に対してどんな課題があって、今回はどのように対応されたいかというのを教えてください。
(大臣)福島県内の除去土壌等の県外最終処分というのは、法律で定められた国の責務であると同時に、福島の復興に向けて果たさなければならない約束であるということが、まず第一にあると思います。この実現に向けて、今年度、様々な理解醸成活動を進めてきたところです。取組はまだ途上であると思っています。引き続き、多くの皆様に御理解いただけるよう、努力を重ねていく必要があると思います。中間貯蔵施設に、今年度もうすぐですけど、大体、福島県内の除去土壌を運び込んで、最初どれだけあるか検討もつかなかったと思うんですよね、ですから、なかなか時間がかかって大変なこと、それがやっと今年度、中間貯蔵施設に取りあえず運び込んだと、取りあえず今の段階そうですね。2024年目途に、この工程では、それまでに必要なスペック、どういうものが最終的に必要かというところを割り出して、2025年以降、いろいろと相談させていただくという段取りになっているところです。私自身が行かせていただいたのは12月の名古屋ですけれども、オンラインでも、そのときも同時中継しながら行いました。前回は、オンラインでいろいろと意見をいただいていたようですけれども、必ずしも全て触れることができなかったみたいなので、今回そういう意味では、できるだけそこら辺を改善させていただければと思います。いろいろな質問あるいは意見もいただいていたわけですから、今回、また丁寧に回答して、疑問や不安の解消に努めていきたいと思います。今、信田さんから、11年たったけど、どの程度進んでいるんだと。1都1道2府43県ということから言えば、全国行脚のことも、もちろんそのときにも少し触れていますけれども、まだ4回ですね。東京、大阪、名古屋、今回、明日で4回目。47のうちの4つ目ですから、そういう意味では、オンラインで見ていただいている方もおられるとは思いますけれども、まだまだ理解醸成という点から、我々は更に努力させていただこうと思います。
(記者)あと、全国行脚で、今回、ユースも含めるということですけれども、これまで企業関係者の方とかは呼んでも、ユースというのは入っているという話は聞いていなかったんですが、これは大臣のお考えだったのでしょうか。
(大臣)私自身が行かせていただいたのは、埼玉、それから北海道でもいろいろと対話させていただいたわけですけれども、地元の市長さん、あるいは町長さん、あるいはいろいろな協会の会長さん、ある意味で取りまとめ役の方々が多かったわけですけれど、ユースという趣旨は、今まだ勉強されているとか、そういう意味ですけどね、そういう方も入っていただいたらどうかなというところで、今回、そういう方にも入っていただいています。

(記者)テレビ朝日の川﨑です。霞が関の文科省の向かいに、環境省の新庁舎の改築工事の看板が立てられていた敷地があったんですけれども、着工が令和3年12月上旬、完成が令和6年10月下旬となっていたんですが、あまり進んでいるような、動いているような感じではなかったんですけれども、現在、どういった状況なんでしょうか。
(大臣)今、この環境省が入っている庁舎があるわけですけれども、ここと、それから規制庁と分かれているということがずっと課題になっているようですね。分散している庁舎の集約等を図るため、今、御指摘いただいた旧日本郵政ビルの建物をリノベーションして、移転する予定になっているようです。免震改修工事は終了していると。今後は、内装・外装等の改修工事を進めていく。入居は令和7年度(2025年度)中をめどとしているようです。新庁舎の環境面の性能についてはということで、郵政省というと昔からありましたからね、相当ビルとしては出来たてのほやほやじゃない、それで免震工事等やっているんでしょうね、そういう建物のリノベーション、築52年だという、そのリノベーションだから、そういう制約の中で、いろいろ工夫をしているようですね。
(記者)当初の予定とは大分違うんですか。かなり遅れている、その辺りは何か。
(大臣)申し訳ないです。当初の予定とどこまでというのは、ちょっと私承知していないんですけどね。
(記者)遅れた理由というのは、何か聞いていますか。
(大臣)必ずしもはっきりしていないけれど、本当だったら、新しい建物をびしっと建てればもっと早いんだと思うんですけど、築52年ということで、かえって時間がかかっているんだと思うんです。レトロフィットみたいなこともできればいいんだろうけれども、この間も地震があったことを踏まえれば、そういうの大丈夫かなというのも心配になりますしね。そういう意味では、免震工事というのか、そういうものも徹底してということのようです。私、議員宿舎の19階だったんですけどね。しばらく揺れが止まらないんですよ。地震自体の揺れが終わっても、免震工事をされているビルは、ずっとしばらく揺れているそうなんです。「おかしいな。ほかのところは揺れていないのに、何でこのビルだけずっと、ぎしぎし、ぎしぎし言っているんだろうかな」と。それほど新しい技術なんでしょうけどね。そういう工事も徹底しているようです。
(記者)あと、再生可能エネルギーの最大限導入を進める官庁として、ZEB化など新庁舎での取組というのは、何かありますでしょうか。
(大臣)築52年の建物だから、リノベーションして頑張るといっても、私普通に考えて、制約があるんだと思うんです。「環境省なんだから、最先端の環境を整えて」というのができれば、本当は一番あるべき姿だと思いますけどね。それはいろいろな財政的なことなのかどうなのか。省エネ性能向上や再生可能エネルギーの導入について最大限取り組もうとしているというところだそうなんですが、私的には「ZEBは100%」と、「環境省なんだから」というのが、私に聞かれれば、そういう指示を出しますね。だから今、担当しておられるスタッフの人もいるわけだから、そういう意味で、これまで目一杯頑張ってきているんだと思いますけれども、「環境省なんだから、ZEBと言われたら100%」というところまで持っていかないといけないなと思います。
(記者)本当に、環境省の建物がそういったものにならないと、どうなのかなと思いますので、そこは是非。
(大臣)私は決める立場でも何でもないし、そういう意味では、ここでもって仕事させていただいているわけだけど、次に移るということは、これは変わることはないと思うんです。何年か後にね。そこはそこで精一杯やるにせよ、環境政策というのは、日本の国家戦略のこれから大事な部分だという意識でもって、いずれ世界ナンバーワンの環境省のビルディングだというところら辺まで持っていってほしいなという願いはあります。でもそれは、まだ全然決まってもいないし、まず移ってからの話だろうから、そういう意味では、そんなに近い話ではないんですけれども、「2030年が勝負の年だ」と言って、「この10年が分かれ道だ」みたいなところで、我々は頑張っているわけだから、これから新しく入省してくる人、本当にある意味で、胸一杯膨らませて来ていただくわけですからね、将来あそこの、あんなに立派なビルに入るんだという気持ちを持ってもらえるようなところまでは持っていきたいなとは思います。
(記者)耐震工事は済んだということなんですけど、実質的な工事はこれからということなんですか。
(大臣)内装とか外装、いろいろあると思うんですね。だから、そういう意味では、一番大事な部分というか、大変な部分を先にやっているんだと思うんですけども、それをいろいろやってからということのようです。
(記者)今の状況だと、環境省の皆さんが引っ越しするのは、いつになるんですか。
(大臣)入居は令和7年度(2025年度)中をめどとしているようです。だから、今から3年くらいですかね。川﨑さんが今気づかれたこと、私も非常に同感です。もうちょっと、国の、例えば公務員の人の建物、あるいは我々国会に行かせてもらっている、そういう関係の建物、何かしらきちんと整えたら叩かれる雰囲気に今なっているので、遠慮しているかもしれないけれども、外国に行ったらきちんとしていますよね。私は外務省の関係で、よくいろいろな国の外務省にも行くことが多かったですけどね。日本の役所に比べるときっちりしているなと。きれいだし、荘厳だし、立派だなと。それに比べてと、つい思ってしまったんですけどね。そういう意味では、やはり仕事をする環境というのは大事だと思うから、見え方、それから実際の在り方を含めて、環境省はこれから日本の国家政策の中で一番大事な部分の一つを担うわけですから、それにふさわしい建物であるべきだなというふうに思っています。

(記者)環境新聞の小峰です。今日は質問をするつもりはなかったんですけど、テレビ朝日の川﨑さんの質問がありましたので、それに関連してお聞きします。環境省は、ともかく国民の声を聞くということが、また弱い者の声を聞いて環境省というのはこれだけ発展してきたと思うんですが、前置きが長くなって、すみません。2025年に新しい新庁舎になったときにですね、隣の経産省みたいにですね、全室施錠、そして国民遮断、情報機関遮断というですね、大英断というか大悪断をしたのは世耕弘成、当時の経産大臣で、経産省の記者クラブは毎回、定期的に抗議しているんですけどね。2025年に、そのようなあしき慣例をですね、山口大臣はするおつもりでしょうか。いかがでしょうか。
(大臣)ちなみに小峰さん、今はそれぞれいろいろな部屋で出入りしていただいていると思うんです。私も外務省に、若いときにいたわけですけれども、課長のところ、あるいは首席事務官のところに、メディアの方が来られて、いろいろと話をされているんですよね。偉くなったら、やはり記者の方とああやって話ができるんだなと思いました。やはりそこは、政策をどういうふうにみんなに共有していただくか、あるいは、先取りして伝えなければいけないときにどういうふうに理解していただくかというときに、メディアの方々との関係というのは一番大事ですよね。どうしても、今はまだ言えないという話は当然あるわけですけれども、それはそれぞれがちゃんと管理すればいい話であって、遮断というのはちょっと私も違和感が強いです。今、いろいろな役所がどうなっているか、必ずしも分からないけれども、環境省はこれからもいろいろと先取りして考えていくことが多いと思いますから、そこはよくメディアの方々と理解を共有させていただいて、言えないときはちょっと申し訳ないということもあると思いますけどね。それは環境省が開かれた環境省であり続けるように、そうならなければいけないなと思います。
(記者)ちなみに経産省の場合ですね、メディアだけじゃなくてですね、国民、そして企業も事前のアポだとかですね、突然に行ったときには非常に大変な手続があってですね、経産省の地盤沈下もですね、そういうところにあると、私、小峰は思っているんですけども、メディアだけじゃありません、やっぱり国民との対話、企業との対話ができなくなるということもあるということで、改めて山口大臣にはそういうことのないようにお願いして、質問を終わらせていただきます。
(大臣)いろいろな意味で、役所というのは秘密も当然守らなければいけない部分がありますから、誰彼が自由にそれぞれ入っていいというわけではないので、そういう意味では、あらかじめのアポというのは、むしろきちんと取っていただいて、我々もそこはきちんと対応できるようにというのはあるとは思うんです。環境省の場合で言ったら、私も担当で原子力防災というものもありますから、そういう意味では、原子力に関することというのは、やはり誰彼がみんな入っていいというわけでも必ずしもないので、移った場合でも一部そういう違いはあるとは思います。制限というものは残るとは思います。そこはそういう性質ですから。

(記者)電気新聞の匂坂です。カーボンニュートラルに向けた業界団体との意見交換についてお伺いしたいと思います。先日、日本ガス協会とも会談されまして、これで、電気、石油、ガスのエネルギーの大きな3団体との意見交換会をされましたけれども、改めてカーボンニュートラルに向けてですね、エネルギー業界の課題ですとか、またエネルギー業界に何か要望のようなものがありましたら、その辺りをお伺いできないでしょうか。
(大臣)この間、ガス協会ということで、いろいろとお話も伺ったわけですよね。近々の課題で言えば、ウクライナにロシアが入っていって、そういう中で、アメリカが天然ガスとか原油をロシアからというのは止めましょうと。彼らは3%くらいしか依存していない中で、日本とかは数字が10%、20%という具合で違うわけですから、状況も違うし、ただ、今のロシアのやっていることというのは、これは根本的に世界の在り方というものを、きっちり平和をどういうふうに保つのか、あるいはつくるのか、あるいは繁栄をどういうふうにそこからつくり上げていくのかというのを、根っこから考えさせられていると思うんです。まさか国際法を破ってまでそんなことはしないだろうというのが、まさかが起こっているわけですから、そこは我々自身も、原油とか、あるいは天然ガスについて、いろいろと再考を求められているんだと思うんです。そこの担当は経産省ですから、私もこれ以上は言えないですけれども、でも他方、2011年の3.11でもって原発がああいうふうになって、どういうふうにエネルギーの状況を考えるか、今から11年前ですけどね、そのときにも議論としては、太陽光で全部まかなえるだろうかと、日本の屋根の上に全部、太陽光パネルを敷いたらまかなえるだろうかという仮説を少し議論したこともあります。でも、はっきりはよくは分からないんですけどもね。というのは、パネルを置いても蓄電池があの頃はまだ、今と比べて初期段階だったろうし、それから蓄電池のシステムも整うことが一つまた条件としてありますけども、それで日本の国産エネルギーである太陽、風、水、地熱、そういうところでもってまかなって、外からのエネルギーに頼り過ぎないようにということは、これからどうしても必要になってくるだろうなと思います。そこら辺をこの間も、ガス協会の方とは共有させていただこうと思って触れはしましたけど、協会はやはり協会でいろいろ状況がありますから、どこから天然ガスを持ってくるほうが距離が近くてとかいう話も、いろいろあるかもしれない。だから、そういう意味では、一朝一夕にいろいろな課題が解決できるわけではないでしょうけど、今の状況というのは、それぞれの業界の方も考えておられるし、中長期的にはカーボンニュートラルというのは、当然変わらないし、求めていくし、今回、乱気流みたいなものがどんと走っているけど、むしろ、その乱気流を超えていこうと思ったら、加速化しなければいけないかもしれないですよね。太陽、風、水、地熱。日本の中で採れるエネルギーでもってどこまでカバーできるか。それは相当イノベーションにお金もかけないといけないでしょうし、その分、官民合同でお金もシュアしながらやっていかなければいけないなという思いで話しました。カーボンプライシングについても、当然少し話させていただきましたしね。そういう意味では、大事な話をかなりさせていただいていると思います。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/TRHvi-kw8sI 

(以上)