大臣談話・大臣記者会見要旨

山口大臣閣議後記者会見録(令和4年1月21日(金)9:26~9:36於:衆議院本会議場正玄関側)

1.発言要旨

今日は、私のほうから、昨日、イギリスのCOP26の議長を務められたシャーマ議長とオンライン会談を行わせていただきました。シャーマ議長は、今年の11月の次のCOPまで、COP議長として、パリ協定など気候変動の国際的な議論をリードされる立場にあるわけです。会談では、昨年のCOP26の振り返りを行いました。そしてまた、今年エジプトで開催される予定のCOP27に向けた対応について意見交換を行いました。引き続き、日本とイギリスで連携していくことを確認しました。以上です。

2.質疑応答

(記者)共同通信の水内です。御発言ありましたシャーマ議長との会談ですけれども、COP27に向けてはどういったことが論点になるのか、また、日本として、そういった論点、課題にどうやって臨むおつもりか、お考えをお願いします。
(大臣)イギリスのグラスゴーでは、一番最大のポイントの1つは、1.5度という目標をみんなで共有すると、それに向かって頑張っていくんだと、そういうことだったわけですよね。COP27では、その目標に向けて、さらに、いわゆる野心の深掘りというか、そのことを明らかにするということになっていますから、だから、それに向けて、エジプトが次の議長国ですけど、エジプトの関心というものもいろいろと探りながら、エジプトとかいろいろな国は、いわゆる災害が起こったときにどうやって対応するかという、そのアダプテーション(適応)ですね、そっちのほうにむしろ関心が高いだろうと思われるし、そうなると、その資金ということにも、対応をどうするんだということが話題になるわけですね。我々としたら、ミティゲーション(緩和)ですよね。温暖化をどういうふうに緩和していくか。そのことのほうに重点を置いていきたいわけですから、どちらもバランスを取れた議論ができるようにということがあると思うんです。日本としては、この1.5度の目標に向けては、内においては地域脱炭素の先行地域を決める作業に既に入っていますし、それから外においてはJCM(Joint Crediting Mechanism)を活用して、今、既に17か国との間にパートナーシップ協定を結んでいるわけですけれども、それを更に拡大していく方向。あるいは、岸田総理が「アジア・ゼロエミッション共同体」というふうに言われていること。これを受けると、これまでの17か国とも意思疎通を図りながら、そのアジアのゼロエミッションに向けた心合わせというかね、いろいろなジョイントプロジェクト的なものがあり得るかどうか、そういうことを探っていくことによって、1.5度の目標に向けた日本の行動ということになると思います。国内での全国行脚は既に始めているわけですけれども、その中ではカーボンプライシングということについても触れています。したがって、全国でのコンセンサスづくりに、既に着手して、汗をかいているところです。

(記者)日刊工業新聞社の松木です。先日の会見でも出ていましたけれども、建築物省エネ法の改正法案の今国会での提出が検討になった件について、国会での成立が遅れてしまうと、ハウスメーカーですとか建材メーカーの事業計画にも狂いが生じて、製品開発というのが遅れる懸念があると思います。また、そうなると温対計画での家庭部門の66%削減にも影響が出たりですとか、国内の木材利用というところにも影響が出るかと思っています。今回の提出が遅れることによる大臣の懸念ですとか、また、さらに、提出というのを大臣として働きかけていくような考えがあるのか、教えてください。
(大臣)この住宅あるいは建築物の脱炭素化、これは、当然非常に重要だと思うんですね、パーセンテージとしても高い比重を持っていますし。他方、この話というのは、国土交通省においては、我々も含めて、省エネ対策の強化などの取組を進めるということに変わりないわけですよね。その中で、法律を所管する国土交通省で適切に対応していくんじゃないかなと、我々はそういうふうに思っています。したがって、確かに、世の中変えていくときというのは、法律を変えてという、あるいは法律を作ってということがあるわけですけれども、現実に、例えば環境省でも、ZEBとかZEHとか、補正予算の中にも入れさせてもらっていますし、建築物の省エネ化あるいは再エネの導入の拡大を進めているところです。法案の提出云々にかかわらず、国土交通省を始め、関係省庁と我々連携して、住宅建築分野の脱炭素化に取り組んでいくという方針に変わりはありません。

(記者)毎日新聞の信田です。昨日のシャーマ議長との会談について伺いたいんですけれども、「野心の深掘り」と先ほどおっしゃいましたけれども、野心の引上げを今年中に検討することになっていますけど、そのことについての議論はあったんでしょうか。
(大臣)私自身から日本の経緯として、去年の10月に正式に閣議でもって、46%とか、あるいは50%の高みとかということが決まったと。4月に明らかにしてから、閣議で決まったわけですけれども、そのこと自体が非常に野心的なものですから、だから、その実現に向けて、まずは最大限頑張りますというところまではお伝えしました。気持ちとしてはね、もちろん、それはどんどんどんどん数字を高みに向けていくという気持ちは変わってないわけですけど、そのことをまず実現することが先だということをお伝えしました。
(記者)シャーマ議長からは、何か、「検討してくれ」みたいなことを言われたということですか。
(大臣)気持ちとしては、そうなんでしょうけど。「分かりました」ということで。

(記者)朝日新聞の関根です。先日、海外の機関とのインタビューで、「イノベーション国債」というおっしゃり方をされておられたようなんですけど、いわゆるグリーンボンドということなのかもしれませんけれども、この考え方について、ちょっと大臣のイメージといいますか、それをちょっとまず伺いたいんですけど。
(大臣)まず最初に言っておかなければいけないのは、これは、まず個人的な構想だということでね、まだ政府の中で共有されているわけではありません。他方、脱炭素化に向けては、相当、経済社会の大変革が必要なわけですから、そういう意味では、どういうふうに財源を調達して、イノベーションを進めていくか。イノベーションだけじゃないですけどね。お金のかかる話ですから、そのイノベーションの財源をどうするのか。今、地球温暖化対策税で多分2,000億ちょっとだと思うんですけれども、それがありますよね。それで、全然足りないわけですよね。だから、そうなってくると、どうなるのか。カーボンプライシングの中の炭素税という話も当然あるんでしょうけれども、それ、今、全国の関係者の人とコンセンサスづくりに努めているところです。それでも足りないとは思うんです。じゃあ、どうするのかというところが、この「クリーンエネルギー戦略」の会議の中でも、当然話題になってくると思いますけれども、私の個人的な構想としては、今、赤字国債、建設国債しかない中で、「イノベーション国債」という新しいものも、もしも、あり得るんであれば、そういうものを使ったらどうだろうかということを個人的に構想したというか発想したというか、そういうまだ次元の話です。グランドデザインを作らなければいけないわけですからね。グランドデザインの中には、これをどうする、あれをどうする、いつする、という話が入ってくるけど、それを、財源をどうするかという話が当然関わってくるわけですから、その1つのブレーンストーミングをやれば、自分としては、そういうこともあり得るんじゃないかなというふうに思っています。
(記者)そうすると、今回のクリーンエネルギーの戦略の検討の俎上に、大臣として、提起して乗せていくという、そういうお考えもあったりするんですか。
(大臣)順番としては、まずは地球温暖化対策税があるんでしょう。その次に、カーボンプライシングがあるんでしょう。そこはよく見ないといけません。同時に、どういう業種がどういう額を必要としているんだろうかと。あるいはどういう対策にどういう額が必要なんだろうかと。そういうことを積み上げた上で、じゃあ、どうすると。順番としては、そうなりますから、そこを、まず議論を詰めていかなきゃいけないと思います。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/DNjg4oz2QUI

(以上)