大臣談話・大臣記者会見要旨

山口大臣閣議後記者会見録(令和4年1月14日(金 10:04~10:47 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

今日は2点ですね。プラスチック資源循環法政令の閣議決定、それから、阿寒摩周・釧路湿原国立公園への私の出張についてお話しさせていただきます。始めに、本日の閣議で、昨年の通常国会で成立したプラスチック資源循環法の施行令及び施行期日を定める政令が決定されました。プラスチック資源循環法は、製品の設計から廃棄物の処理に至るまでのライフサイクル全般で、あらゆる主体の取組を促進するものです。今般、代替素材への転換など使用の合理化を義務付ける対象製品(ストローやスプーン等)を指定するなど、法律の施行に必要な事項を正式に定めるとともに、法律を本年4月1日から施行することを決定しました。また、本日、プラスチック資源循環の周知・広報のための特設サイトを開設しました。「プラスチックは、えらんで、減らして、リサイクル」と題して、自治体、事業者や消費者の皆様に具体的な取組をしていただけるよう、制度の解説や支援措置の情報などを整理して、今後も更に充実を図っていきます。皆様の御協力をお願いします。環境省としても、法律が円滑に施行できるよう、関係省庁とも連携して万全を期していきます。それから、今日1月14日及び15日にかけて、阿寒摩周国立公園及び釧路湿原国立公園を訪問させていただいて、国立公園満喫プロジェクトの実施状況などを確認します。私が大臣を拝命してから、今回が初めての国立公園の視察となります。貴重な自然環境であるとともに、地域発展のための重要な観光資源でもある国立公園の現場を、是非見させていただきたいと思っております。また、現地では脱炭素型の観光地づくりや、新型コロナウイルス感染拡大により影響を受けた観光地の再生をテーマとして、地域の関係者の方々との車座対話を行います。昨日は、ブロック別の意見交換ということで、埼玉で行ったわけですけれども、地域脱炭素に関して自治体の皆様から様々な声を聞かせていただいて、私としても地域脱炭素の実行に向けて非常に参考となったと思います。今回も現場の皆様から生の声を聞かせていただいて、脱炭素の地域づくりを始めとする今後の施策にいかしていきたいと思っております。以上です。

2.質疑応答

(記者)幹事社のテレビ朝日の川﨑です。まず一点、冒頭にありました、いわゆる「プラスチック新法」に関連しての法律施行令や期日政令なんですけれども、削減努力を求める製品の品目が指定されるとか、いわゆる国民の生活に直結する話であると思うんですけれども、具体的な内容、今ストローやスプーンなどという品目出ましたが、今一度、どういったものが指定されているのか、あるいは環境省として国民にどういった形で削減努力をしてほしいのか、また、そもそも回収の狙いなどをお話しいただければと思います。
(大臣)ストローあるいはスプーンなどの、一般的に使い捨てと言われているような、いわゆるワンウェイプラスチック、そういうものを削減するというのは、世界全体として、プラスチックごみ問題に取り組む上で、潮流となっているという認識があります。今日、閣議決定したプラスチック資源循環法の政令においても、プラスチック製のストロー、スプーンなど12品目を定めて、小売業や飲食業等において、ポイント還元という仕組み、あるいは代替素材への転換といった取組を義務付けることとしております。具体的なものでは、小売店や飲食店等ということを念頭に置いて、フォーク、スプーン、ナイフ、マドラー、ストロー、あるいは宿泊施設関連では、ヘアブラシ、くし、かみそり、シャワーキャップ、歯ブラシ、クリーニング店のハンガーあるいは衣類用のカバーというものが挙がっています。
(記者)今、お話しいただいた内容、結構多岐にわたるというか、生活に密着するものだと思うんですけども、これを回収する狙いと、あと大臣、今やはり生活に直結するものなので、国民に回収を呼びかけるような言葉をいただけたらと思います。
(大臣)私は、例えば、クリーニングのハンガーとか衣類用カバー、確かに、私なんかうちでクリーニング出して、ハンガーが来たらまた返してます。そういうことを、ごく自然にやっているわけなんだけれども、人によっては、そうじゃないかもしれない。だから、このプラスチックをごみとして捨てないように、みんなで気を付けていただきたいなと、そういうことだと思います。あと、ナイフなんかでも、実際にプラスチックのナイフみたいなのがあるわけですけれども、この柄のところを、ぽこぽこ穴を空けたりして、そういう意味では、例えば紙にするとかそういう話では当然ないわけなんだけれども、機能的に、できるだけプラスチックのものを少なくしていくということです。カミソリについても、似たような話ですね。それで、このプラスチックのごみというのが、結局よく分かるようになってくると、小さいマイクロプラスチックみたいになって、いろいろ海の中でも、魚が吸い込んだりとかいう、悪影響がだんだん分かるわけだけど、なかなかこの辺のところが難しいところだと思うから、確かにこれ、どういう意義なんだというと、この辺プラスチックのごみに関する話というものを、更にみんなに分かっていただけるように、発信していかなきゃいけないですね。
(記者)脱炭素の行動変容の1つという部分もあると思うんですけども、国民の生活の一部を少し変えるような、大きい政策の1つだと思うんですが、その点、重要性については、今のお話だとあまり感じないのですが。
(大臣)SDGsという大きなくくりの中での話だと思うんですけれどもね。SDGsの中にはいろいろな項目があるけれども、そういう中で、このプラスチック、例えば、もう少し視点を変えると、川があって、私の選挙区にも3つ4つ大きな川があるんですけどね、雨が降って、その後、その川の中の木の枝にビニールとかいっぱい引っかかってて、かなり見苦しいです。そういうものも含めて、どういうふうに、世の中全体から、プラスチックのごみを取り去っていこうかという話が、SDGsという大きな話だと思うんですね。これで今、12品目というのをとりあえず挙げさせていただいたけど、これは極々本当に一部の話であって、そういうところを順番にみんなの意識を高めていただきたいなという趣旨で、この政令を作らせていただいたようなところです。
(記者)もう1点、昨日、脱炭素施策の課題とか要望を聞き取る意見交換会、埼玉で行われましたけれども、実際に、地方の首長さんと大臣が直接やり取りされて、見えてきた課題があれば、どういった点なのか教えてください。
(大臣)昨日、埼玉でもって、地域の脱炭素の先行地域ということを念頭に置いて、意見交換をさせていただきました。多くの地域の、大野知事を始め、大勢の市長さん、町長さんに関わっていただいたわけですけれども、かなりきちんとした形でお話しいただいたと思います。短い時間でしたから、それぞれの市長さんも町長さんも端的な表現の仕方をされたわけなんですけれども、例えば、強く印象に残っている1つは、いわゆる我々キャパシティビルディングと呼んでますけれども、「役場にその先行地域の申請をする際に、なかなか専門的な人が少ない、非常に難しい」ということを言っておられましたね。ですから、私のほうからは、「環境省としてアドバイスあるいはサポートを是非させていただきたい」ということも申し上げたんですけども、いわゆる地方環境事務所なり、あるいは環境省の本省なり、そこでもって連絡取っていただいて、アドバイスをさせていただければなと、そんなことを思いました。あともう1つは、川崎市もあるいは千葉市も、「製鉄業等、二酸化炭素を排出する業種を抱えてるんだ」ということをおっしゃってましたね。やっぱりこの辺が、この脱炭素の一番のポイントの1つだと思うんですね。CO₂に対して、一番の抜本的な解決というのは、コークスの代わりに水素でやるとか、そっちの話でしょう。それ、相当の額がかかると。それから、私的には、どこまでの額がかかって、それをどう手当てし得るんだろうか、そういうものが念頭にあります。じゃあ、その中の1つのツールとしてカーボンプライシング。それで、カーボンプライシングの中に、排出量取引とか、クレジット取引とか、炭素税がある。それについての理解を少しずつ深めていっていただきたいなという気持ちもあります。川崎市あるいは千葉市を始めとした市長さんの気持ちの中で、先行地域に手を挙げるにしても、CO₂をものすごく出す業種を抱えてる中で、どうしたらいいんだろうという気持ちをそのままぶつけていただいたんだと思うんですね。かなり大きな話ですね。これ簡単に、ああだこうだということではなくて、やっぱりツールの話をし、1つ今カーボンプライシングの話もしましたけれども、少し大掛かりな図柄が必要だと思うので、昨日はしっかりそれをまず受け止めさせていただいて、これから大きなグランドデザインを描いていきたいなというふうに受け止めました。あともう1つありましたね。省庁間の縦割りについて、環境省がしっかりリーダーシップを取る気持ちでやってくださいという意見も複数ありましたから、ここは特に大事な話ですね。やっぱり役所というのは、それぞれきちんと司司(つかさつかさ)で仕事をする仕組みになっていますし、今どきやっぱり、役所の担当をまたいだ話というのがいっぱい出てくるわけですから、そこを環境省が世話役になって、ある意味で一生懸命みんなの意見を聞かせていただきながら、汗かいてまとめていく。そういうことが大事なんだろうなというふうに受け止めました。

(記者)環境新聞の小峰です。昨日、午前11:00からの、さいたま市の大宮会場で開かれた、関東ブロックでの会議、山口大臣のブロック別の第1弾の全国行脚でしたけれども、その冒頭ですね、大臣は極めて重要な発言をなさいました。というのはですね、「脱炭素を制する者は次の世代を制する」、「グリーンを制する者は世界を制する」と。もうもはやこの発言はですね、山口壯大臣は、二階派の事務総長ではなく、自民党の事務総長だと、そのような覚悟を述べたものだと思いました。そして、ここ数回の大臣会見で私から質問しましたけれども、自民党の「地域脱炭素推進本部」は、山口大臣、どのように進展しているんでしょうか。お聞かせください。
(大臣)この気候変動が非常に大事な課題だということは、岸田総理も非常に強く認識しておられます。我々、国家戦略とか、あるいは、時々最近、私はグランドデザインという言葉使わせていただきますけれども、日本が、これからどういう方向に進むのか、どういう戦略で進むのかというのは、もう間違いなく国家戦略ですけれども、この気候変動、特にその地球温暖化に対してどう対処していくのか、そこは日本にとってものすごく大きな方向性ですよね。それは、二酸化炭素を減らすということは、その産業の在り方あるいは我々のライフスタイルを変えていかなきゃいけないということだと思うんです。そのことによって、日本の経済の強さとかあるいは強靭さとか、そういうことが変わってくるんだと思うんですね。今までは、環境に配慮というと、会社にとって、コストが高くなる、あるいは大変だなという受け止め方が多かった中で、環境に取り組んでいることによって初めて投資も呼び込めるという関係になってきている。だから、この日本全体の力をどういうふうに「世界に冠たる日本」というふうに持っていくかというところが、この気候変動に対する私の認識です。そういう意味では、岸田総理もそういうふうに認識されているように、私も思ってますし、今度、施政方針演説でどういうふうにされるか、その辺が出てくるんじゃないのかなというふうに思います。米中でいろいろ対立をしてますけれどもね、それはやっぱり彼らも、「グリーンを制するものが世界を制する」ということを念頭に置いて、そしていろいろと話し合っていると思うんです。他方、「環境問題に国境なし」という感覚もあると思います。ですから、今、民主主義対全体主義という言われ方もするようですけれども、その中でどういうふうにつないでいくか、アメリカの戦略というのは、民主主義同士では戦争起こらないということで、どういうふうにつないでいくかというのが1つのポイントだったように思うので、そういう意味では、この環境問題に彼らが中心を置いて、「国境なし」ということでやってるということで、他方やっぱり「グリーンを制する者は世界を制する」という発想は私は必ずそこにあると思います。今、最後に小峰さんが「自民党のほうで」ということをおっしゃっていただいたんですけど、私自身が今、党というよりも政府のほうにいますから、そういう意味では党のほうをどういうふうにというのは、今あまりここでいう立場ではないんですけれども、やっぱり党と政府というのは、議会政治の中で、政党政治でやってますから、そこは大事な部分なので、よく意思疎通を図っていきたいと思います。小峰さんがおっしゃりたいことは、よく受け止めさせていただいているつもりです。私自身も政治家ですからね。そういう意味では、国全体のことを考えて、やっぱりやることが大事なんで、あまり大仰なことは言っていただくと、照れくさいと同時に困ってしまうから、環境大臣としての仕事を目いっぱい頑張らせていただきたいなと思います。

(記者)日経新聞の岩井です。地球環境問題は、現役世代よりも、若者や将来生まれてくる世代の影響が深刻と言われています。日本では、欧米に比べて、若い世代がこの問題への関心、活動が低調であるということも指摘されていますが、どういった課題意識、考えをお持ちでしょうか。
(大臣)グラスゴーに行かせていただいたときに、ジャパンパビリオンで私がいろいろ説明受けていたときだと思うんですけれどもね、日本からの高校生の方がおられたものですから、いろいろと話を聞かせていただきました。グレタさんもいろいろ頑張っている、そんな中で、日本にもこうやって意識がすごく高い若い人がおられるんだなと。彼らが全てじゃない、たくさんの方がいると思うんです。特に若い世代の方々で、この気候変動問題に対する危機意識というのは高いという調査もいくつか最近出てきましたね。そういう意味では、日本が低調だということは必ずしも思わないんですけれども、あのときにも、五、六人の方がおられた、他にもいっぱいおられたんだと思うんですけれどね、あそこに来ておられたのは五、六人ですけれども、一人一人、全て声を聞かせていただきたいなと思って、そこは丁寧に聞かせていただいたつもりです。もちろん、高校生の方々、石炭の火力発電をもうすぐにでもなくしてもらいたい、そういう気持ちでおっしゃっていただいたんだと思います。他方、我々、必ずしもそのことに即、「そうですね」という状況じゃないんですけれども、本当はあそこの場で説明できればよかったんだけど、いわゆるCO₂を出さないように、アンモニアの(混焼の)話とか、あるいはCCUSの将来の話とか、いろいろなことを本当は説明できればよかったんですけどね。そういう中で、どういう気持ちで、若い世代の方が考えておられるのかなということを、例えばということで、その方々から聞かせていただいたんですけども、非常に強い意識を持っておられるなということははっきり感じました。
(記者)今後、その環境省の政策にその声をいかしていくようなお考え、具体的なアクションというのはございますでしょうか。
(大臣)石炭の話というのは、環境省だけで決めているわけではないし、エネルギー全体の話ですから、そういう意味では、環境省的には、石炭というものは、できるだけ再生可能エネルギーを主力電源に据えて、それを増やすことによって、という対応の仕方になるんだと思うんですね。ですから、再生可能エネルギーの比率を36%~38%という話もありますけれども、それをもっともっと増やしていくというのが、日本が取れる現実的な対応であり、また政府の政策だと思いますから、その辺のことに集中していくんだと思います。私と経産大臣との間での意思疎通も、よくしつつあるわけですけれども、その中で、こういう石炭の話についても、意見交換を重ねていかないといけないなと思います。他方、グラスゴーでの文案の中で、当然、環境省のみならず、外務省、経産省を含めて政府全体で取り組んだわけですから、いろいろな意見が出る中で、私は経産省のほうでもこの石炭についての意識が徐々に世界の潮流に合わせようという意識を、無言の意識を感じました。ですから、それは環境省との意思疎通の中で、また更に進めていけることだと思います。
(記者)小泉前環境大臣は、審議会に学生団体を呼んだりですね、若者との意見交換をYouTubeでライブ配信したりと、積極的に声を聞いたり、または意見を伝えたりということをされていた印象があるんですけれども、山口大臣、その辺りいかがですか。
(大臣)それもいいアイデアですね。是非そういう発想も取り入れたらいいかなと思います。日本の中で産業界あるいはいろいろな層があるんだと思うんですね。そのうちの1つ大事な部分が、今、岩井さんおっしゃったような将来世代ということだと思いますから、そこはいろいろな見方を吸い込ませていただくという趣旨で、大事な話だと思います。

(記者)エネルギージャーナル社の清水です。2点ほどありまして、1点はですね、通常国会で重要法案になるであろうと言われている経済安全保障法のことで伺います。前にもちょっと質問させてもらいましたけども、経済安全保障はレアメタルとか、そういう経済活動で不可欠な資源をどうやって確保していくか、備蓄していくかということだろうと思うんです。それに劣らず重要なのは、やっぱり気候変動で経済活動が維持できなくなったときとか、国民生活がやっぱり危機的な状況になったときにどう対応するかという、そこがきっちりまだ位置づけられていない。適応法という法律は環境省お持ちですけども、しかしやっぱり経済安全保障に環境保護、気候変動への対応というのが必要じゃないかと思うんですけど、その辺どうお考えか、それが1点です。それから2点目はですね、昨日、浦和美園地区での視察お疲れさまでした。大臣も熱心に視察されて、そのエリアが50戸超だったですかね。電信柱もなくて、かつ屋根にはみんな屋根置きの太陽光パネルがありました。非常にすっきりした街というふうに私も受け止めました。ただね、あそこは更地で都市開発、街区開発をしたわけで、やっぱり環境省の脱炭素を地域社会で実現するということでは、そういう更地の都市タウンではちょっとね、全体的に効果が上がるには程遠いんだろうと思います。いわゆる既存の街の中で、どうやってカーボンニュートラルを実現していくか、その辺の基本的な考え方で結構ですから、どうお考えか。その2点です。
(大臣)確かに、あそこはLooopさん、それから清水さいたま市長さん共同でやっておられることに対して、環境省としてサポートしているということの文脈の中で行かせていただいたんですけどね。確かに、更地からやったからいろいろなことができるというふうにおっしゃっていました。だから、地中に電線を埋めたり、そういうことを言っておられましたね。やっぱりいろいろなことをやるときに、イメージをみんなが共有できるということが大事だということから言えば、「こんなふうにやれるとやっぱりいいな」というイメージとしては、非常に、私、モデル的だと思うんですね。いろいろなことをやるときに、最初のモデルとして、イメージを先行モデルとして、提供していただいているという点では、やっぱり更地からやったということで、それができているのかなという気はしました。それから、その後の更地じゃない部分は難しい部分ありますよね。電信柱を地中に埋めたりとか。それは金もかかるし手間もかかる。他方、やっぱり、「こんなにいいじゃない」というモデルを見せているという点では、非常にあれも大事だなという気はしました。それから、後はこれからの対応ですよね。それから、最初の経済安全保障に対して、適応とか、それが大事だと。結局、今これから2030年に向けて2050年に向けてとか、この全ての対応が、今、清水さんに言われたことにつながっていく。経済安全保障的な、いわゆる環境が崩れたら経済も何もないじゃないかと、吹っ飛ぶじゃないかというところに対する危機感が1.5度に抑えようとかという話になっているので、そこを、だから2030年に46%に向けて、あるいは50%の高みに向けて、その実現に向けて、あるいはそれをさらに高みに持っていけるように努力する。そこがやっぱり一番の対応だと思うんですね。適応の話というのは、日本で言ったら国土強靭化みたいな部分ですけれども、その根底をどうやって解決するかというと、やっぱり異常気象をなくすための二酸化炭素の削減、それについては日本だけではできないから全世界からやっていく。それから、その動き自体、取組自身が適応の根本的な解決という部分もありますから、適応と緩和どちらも大事というところだと思います。途上国はね、グラスゴーでも適応のお金をもっともっとというリクエストが大きな意見として出ていましたし、その気持ちもよく分かるんですね。他方、我々としたら、やっぱり根本的にこのミティゲーション、そっちの話がなければ、幾らでも話の終わりがないんだから、そこで1.5度にとにかく下げましょうということだと思います。それから、今、あと5,000億トンというのかな、二酸化炭素の許容量。それで毎年400億トンずつ出ているとしたら、あと12年じゃないかと。えらいことだと。じゃあ、2030年が本当に分かれ道になるんじゃないのかなと、そんな危機感が根底に共有されつつあるんだと思うんですね。だから、そういう意味でいけば、今、清水さんの言われたことというのは、その辺の危機感を共有されているんだと思うので、やっぱりどういうふうにこの二酸化炭素を急速に減らしていって、後戻りできないという状態にならないように持っていくということだと思います。よく最近言われて、だんだん共有されていると思うのは、地球温暖化が進んで、例えばシベリアの凍土が溶け出すと、そこに長い間眠っていたウイルスが飛び出してくると。そうしたら、我々免疫持っていないんだから、これはもうえらいことだと。新型コロナも大変だし、他方、そういうものがまたどんどん出てくるともっと大変だということもあるので、この状態までいくともう後戻りできないという、だんだんその認識も共有されてきていますよね。ですから、今おっしゃったのは、そういう時代も想定されているということだと思いますから、そうならないようにCO₂の削減を急ぐというところだと思います。
(記者)1点だけ。仮称ですけども、経済安全保障法には環境省は関与するという、そういうお考えはあるでしょうか。それとも、そこはもうほぼ決着がついているということですか。
(大臣)環境問題というのは全ての事象にまたがりますから、だから経済安全保障についても、いろいろな捉え方をする中では、特に関係すると思うんです。別に、そこの会議に入ろうが入るまいが、我々言うべきことは言うし、伝えるべきことは伝えますけど、あとはどういうふうに時々の会議が持たれるかによって、適宜きちっとした発言をすべきときがあればさせてもらうようなことで思っています。

(記者)環境新聞の小峰です。山口大臣、今日この会見が終わったら、羽田空港から釧路にすぐ行って、阿寒摩周・釧路湿原国立公園を視察する。同時に、釧路市長等と脱炭素の意見交換、47都道府県の第一弾を開始されます。これを山口大臣の阿寒摩周・釧路湿原国立公園視察及び釧路市長との意見交換、これは日本国の国民のそれぞれの本当の日本国を心配している機関、公安調査庁だとかですね、内閣調査室だとか、それだけじゃなくてですね、世界の、米国のCIA、FBI、英国の007、もちろん、中共政権、ロシア、今回の山口大臣の釧路訪問は世界中の注目になっています。御存じのとおり、阿寒摩周・釧路湿原国立公園はですね、満喫プロジェクトを進めると同時に、中国系の資本がですね、あそこのホテルだとかいろいろ水源地を買いまくっています。同時に、中国の李克強首相が、北海道を訪れた前年の2016年5月21日には、程永華駐日中国大使、山口大臣もよく御存じの方です、も釧路を訪問しています。このように、今、釧路はですね、中共政権の北極海ルートの巨大経済圏、一帯一路の窓口になろうとしています、日本で初めて。そういう中に、釧路訪問、そして阿寒摩周・釧路湿原国立公園に行かれる山口壯大臣、山口大臣は平成元年の頃ですね、天安門事件後、在中国の日本大使館の書記官として円借款の再開に尽力された方です。中国共産党政権はですね、山口大臣を非常に信頼しているはずです。そういう中で、山口大臣が今回釧路を、今日の午後、飛行機でたって、行くということは、全世界が注目しているんです。ここではっきりと、あなたは日本国のために尽くすことができますか。
(大臣)非常に大きなピクチャーの中で捉えていただいて非常に恐縮です。中国と日本との関係というのは、今決して良好ではありません。私ももともと外交官をやっていたわけですけれども、やっぱり外交で、外交官で処理できなければ、後は軍人の仕事になってしまう。だから、そういうふうにならないように、いろいろな手だてを尽くしていくということが大事ですね。そういう意味では、みんな日本の人が1945年に戦争が終わって平和な時代が来たと、これをずっと続けていこうと、そういう決意というのは今も変わっていないと思うんです。当時、中国(中華人民共和国)はまだできていませんでした。1949年にできて、そしてだんだん大きくなって2010年には日本のGDPを追い抜かして、その前には、日本はアメリカと一緒に、経済発展すれば民主主義的な要素が強くなるだろうと。民主主義同士では戦争にならないんだから、じゃあ技術も資本も投下しようかと。中国も鄧小平が改革開放ということで、オープンな政策を打ち出していると。そういう中で協力もしたわけですけどね、どうもそのことが民主主義的な要素を強めたかどうかという点で、今疑問に思っている人も多いと思うんです。私は、ここは必ずしも性急に結論を出すべきじゃないなというふうに思っています。いろいろな要素はあるんですけどね、今中国は資本主義になっているわけですよね。ただ、赤い資本主義、国家資本主義、こっちは市場の資本主義、全然、資本主義といっても要素が全く違うと思います。その中で、この資本主義と言いながらも赤い資本主義、共産主義と資本主義は絶対に相いれないんです。どっかで清算をしなければいけないんだろうと私は思います。だから、彼らもいろいろな意味で大きな存在になったいろいろな会社の社長が急にいなくなったりと、何かちょっと不思議なことが起こっていますよね。そういう意味では、私はまだ中国の民主主義的な要素がなくなったとは思っていません。中国の中でいわゆる中間層というのは、かなり育っているんじゃないのかなというふうに見ています。もう1つの要素はね、中国の4000年の歴史をずっと見てみると、民衆が支配層に不満を抱くと、天誅だと、王朝革命が起こっていくと。この歴史がずっと続いているわけですよね。今の習近平さんもその歴史についてはよく認識されているんだと思います。今、民衆の不満がないかどうか、私はあるんだと思います。格差も大きいし、あるんだと思います。だから、それを敏感に知っているからこそ、香港の状態に過敏に反応したり、ウイグルの状況におかしなことをやっていますよね。そのことについておかしいと思うことは当たり前のことだし。それから、そういうような中国ではあるけれども、これで戦争にならないようにするのが外交官であり、政治家の役目じゃないかと思うんです。日本は今、非常に大事なところに来ていて、戦争、日本とアメリカがやってしまったわけですけど、あの頃、誰も日本とアメリカが戦争になると思ってなかったらしいです。まさかと思っていたらしいんですよ。日本の中で、「アメリカけしからん、やってしまえ」という声が起こっていたと。今から思うとちょっと不思議ですけど、でもそれが当時の空気だったそうです。それを誰も止められなかった。勢いのいい人がいっぱいいたんです。「アメリカけしからん、やってしまえ」と。そのことが真珠湾に結びついたんですけど、その結果がよかったかどうか。これはそれぞれの判断に任せるとして、私はよくなかったと思っています。そこには、対話の欠如があったんですよね。アメリカのほうは、日本が中国でやっていることを非常に気に入らなかったと。だから、日本には強く当たれば日本は引っ込むだろうという「If we stand firm, Japan will back down」と、確固たる立場をとれば日本は引き下がるだろうと。石油を止め、いろいろしたわけですけど、日本はバックダウンしなかったんですね。真珠湾攻撃に打って出たと。これが歴史が示すところなんですね。だから対話、アメリカは日本がそう出る、日本はそこにコミュニケーションギャップがものすごくあった。日本と中国に今、その教訓を置いた場合に、やっぱりコミュニケーションが絶対途絶えないようにということはまず大事だと思うんです。それから、私が言っているのは中国の民主化についてもまだ諦めるのは早いだろうと。民主主義同士じゃ戦争はしないという1つの大きなゴールがあるとしたら、やっぱり国家戦略として日本がそこを目指していくというのは間違いじゃないと思うんです。アメリカは戦争して民主主義国にするんです。日本にも戦争して勝って民主主義にした。ベトナムでやろうとして失敗して、アフガニスタンで失敗して、イラクで失敗しているんですよ。アメリカのやり方は通用しないんです。中国と戦争して、中国を民主化するというのは無理です。賢くないです。北朝鮮も同じです。だから、そこは日本のやり方をやっていくと。その中で、今おっしゃっている中国が水を求めて北海道に来たりしている。これはやっぱり中国の水をきれいにしてやることによって解決していくという道もあるから、それはやっぱり、中国がそこを買い占めているというのは私もよくないと思う。よくないというのは、それを止めるべきだと思います。だからそういう意味では、中国が一帯一路でやっていることに対して、日本は別の手だてを考えるべきですしね。それは、私自身が考えていることとして、環太平洋経済連携というのはTPPですよね。早くアメリカも呼び戻さなければいけませんけれども。太平洋があるんだったら日本海があってもいいじゃないかと。環日本海経済連携。これさえあれば、TPPの環太平洋とASEANとRCEPと、ミッシングリンクは環日本海なんですよ。だから、環日本海経済連携というものを打ち出すことによって、日本がこの平和の状態を作っていくということが大事だと思うんですよ。一帯一路に対抗するのは、そういうビジョンを持ってプロジェクトを進めていくことだと思っていますから、別に北海道に来ているというのは私も嫌だなと思うし、水で困っているんだったら、向こうの水、相当汚れているというところもありますから、きれいにしてやるというのが1つの手じゃないかというふうに思います。
(記者)釧路市長との対談では、どういうふうなことをお話になりますか。中国に関して。
(大臣)別に主題は中国じゃないので、環境についてあるいは国立公園についていろいろとお話し伺って、それから私自身が進めたいと思っている地域脱炭素についての意見交換をまずして、話が、小峰さんの心配されているところに及べば、それはまたいろいろ意見を聞きたいなと思っています。
(記者)大臣の大東亜戦争に対する見解は、環境新聞、小峰は全く正反対です。今回の大東亜戦争で約310万人日本人が亡くなりましたけれども、この大東亜戦争は、日本民族の2000年の誇りになります。白人から植民地を解放した。ここでは大臣とは全く見解が分かれますけれども、釧路訪問に当たって山口壯大臣が中国の環境大臣ではなく、日本国の環境大臣であるということを改めてお願いして、この質問を終わらせていただきます。
(大臣)ごく当然のことなんでね、そのように思っていてください。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/FeZYNebnCMU

(以上)

配布資料

・ プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行令等の閣議決定及び意見募集の結果について