大臣談話・大臣記者会見要旨

山口大臣閣議後記者会見録(令和4年1月7日(金)10:27~11:02 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 明けましておめでとうございます。2022年、よろしくお願いいたします。年頭に当たりまして、これから環境省あるいは私自身が目指す方向性について、何点か申し上げさせていただければと思います。まず、キーワードは「脱炭素ドミノ」と、これだと思います。昨年のCOP26の成果を受けて、世界全体が、産業革命前に比べて1.5度に抑えると、この目標の達成に向けて、本格的な実行のステージに入ったというふうに認識しています。岸田総理も年頭の会見で述べられたとおり、この経済社会全体を脱炭素の方向へ変革するために、我々は総力を挙げて取り組んでいきたいと思います。環境省的には、今年は「地域脱炭素元年」というふうに捉えています。そのために全力を尽くしていきます。先行地域から脱炭素ドミノを起こして、全国の脱炭素化を進めるべく、事業活動あるいはライフスタイルを脱炭素に変えていくためにどうしたらいいかということを議論したいと思います。そのために、私を含めて、2人の副大臣あるいは大臣政務官の方々とともに、地域脱炭素に向けた全国行脚を行ってまいります。COP26で合意したルールを踏まえて、世界の脱炭素市場に日本の優れたソリューションを展開していきます。あるいは生物多様性のCOP15、あるいは海洋プラスチックごみに対処する新たな国際的な枠組みづくりについても、主導的に役割を果たしていきたいと思います。東日本大震災あるいは原発事故からの復興・再生に向けては、除染等の事業の着実な実施に加えて、福島県内の除去土壌等の県外最終処分に向けて、再生利用などに関する全国での理解醸成活動を引き続き展開していきます。また、福島の復興を一層進めるために、未来志向の取組も進めていきます。このほか、循環経済あるいは分散型の自然共生社会に向けた移行、それから環境省の出発点である「人の命と環境を守る取組」を着実に進めていきます。持続可能な社会は、様々な関係者の御理解と御協力を得て初めて実現できるものです。先ほど申し上げた全国行脚を含めて、今年も関係する皆さんと心を合わせて政策を進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。

2.質疑応答

(記者)幹事社のテレビ朝日の川﨑です。冒頭でもありましたが、地域の脱炭素推進に関連してなのですけれども、脱炭素先行地域が先月の下旬に第1弾の募集要項、ガイドブックが公表されましたけれども、先進的な取組をしている自治体の担当者からも、「募集開始まで約1か月と、かなりタイトなスケジュールの中で、具体的な計画が求められているのはなかなか難しい」と。「2030年までにゼロカーボンを実現するような施設を短期的にそろえるのが難しいんじゃないか」とかですね、あるいは、「先行地域を獲得するために無理をするのは本意ではないので、計画の提案書の提出をちゅうちょしている」というような声も聞こえてきているのですが、大臣としては、このような声にどのように答えますでしょうか。
(大臣)それだけこの脱炭素というものが簡単ではないということだと思うんです。2030年というのが1つの節目ということですけれども、やはりそこに向けて、我々は46%あるいは50%という数字を出している。それを「もっと更に」という声もありますけれども、まずはこの46%から50%、そのこと自体が相当野心的な話ですから、それを実現するためには、この国内で、まずは地域の脱炭素先行地域と、こういう順番になるわけですけれども、それは簡単なことではないというのは十分理解しています。その過程で、川﨑さんがおっしゃったような地域の声があるんでしょう。これは今まで、昨年9月から年末にかけて、Web上で自治体に対する説明会を複数回行ってはいます。もちろん、それが十分だという趣旨ではないですけれども。そういう意味で、提案書の提出もちゅうちょされるという話も今ありましたけれども、それは是非ね、忌憚なく、環境省の担当の部局とすり合わせをしていただいて、1回出したら終わりというよりも、それはやはり、やり取りをして、ここはこうじゃないかというアドバイスもできると思いますしね、そういう意味で忌憚のないところで、あるいは遠慮なく環境省の方と連絡を取っていただいて、時間は非常に限られている、それはもう2030年までが「勝負の10年」だという限られ方をしていますから、そういう意味では、本当に全体が限られている、切羽詰まった話ではありますけれども、環境省的に今までのノウハウもいかしながら、あるいは先行事例等を念頭に置きながら、しっかりアドバイスさせていただきたいと思いますので、そういう意味では、連絡を取っていただければと思います。また、自治体によって、それぞれ検討の、いわゆる熟成具合が違うと思うのですけれども、そこは先行地域の募集というのはこの1回で終わるわけではありません。また、2025年度まで毎年2回程度の募集を行う予定です。そういう意味では、毎回一定数を選定するということになると思うのですけれども、それぞれの地域の状況を踏まえながら、よく検討させていただきたいと思います。
(記者)このことも含めて、先ほどもお話が出ていた全国行脚があると思いますけれども、通常国会は17日からという話も出ていて、なかなか時間があまりないですけれども、今のところ、まだスケジュール等公開されていませんけれども、どのようなスケジュール感で実施されるおつもりでしょうか。
(大臣)できるだけ早く行きたいと思うんですね。1都1道2府43県ですから、5人で割れば1人当たり10件になるのですけれども、万が一、私が予算委員会等で行けなくなる場合には、副大臣あるいは政務官のほうでカバーしていただくということになっていますから、そこはできるだけ早く、まず1周させていただきたいと思うんです。具体的なことは今、スタッフの方々に詰めていただいていますから、できるだけ早く明らかになればなと思っています。
(記者)来週とかには、もう実際にされるという。
(大臣)気持ち的にはそうですけれどもね。行く限りはきちんとさせてもらいたいなと思うので、最初は地域のブロックごとにという形になると思うんですけれどもね。そのとき、いつになるかというのは、今、調整させていただいているところです。できるだけ早く行かせていただきたいです。
(記者)そこでですね、どういった話を進めたいということなんですか。ちょっと具体的に。
(大臣)キーワードは、やっぱり「知恵」とか「インスピレーション」だと思うんですね。そのためには、「ああ、世界ではそういう先行事例もあるのか」とか、あるいは「日本の中でもそういうふうな先進事例があるのか」というところが参考になると思いますから、そういうモデルケースを紹介させてもらいながら、話していきたいなと思います。また、それに付随して、大きな課題としてカーボンプライシングという話もありますから、そういうことも併せて、いろいろな話ができればなと思っています。
(記者)先方からの意見とかも聞きたいということですか。
(大臣)そうですよね。どこにアドバイスを求めたらいいんだという話も出てくると思いますし、そういうことも併せて、いろいろと心合わせをさせていただきたいなと思います。

(記者)環境新聞の小峰です。今、幹事社のテレ朝の川﨑さんの質問に関連してですけれども、難しいかなと思ってちゅうちょするところもあるかもしれませんけれども、私の取材によると、全国各地で大変な関心を示しているという感触を環境新聞社では持っております。そして、これはですね、募集の開始が、今月25日、そして締切が来月21日ということですけれども、もっと、締切の後も、来年度(2022年度)、再来年度(2023年度)と続く話ですから、ここは山口大臣を中心とした政府だけではなく、自民・公明の与党も動いていくということが必要なんじゃないかと思っております。山口大臣の頭の中にも、必ず、自民党等の与党との連携の構想がですね、二階派の事務総長もやられた方ですからね、当然入っていないはずがないはずなんですよ。いかがですか、お聞かせください。
(大臣)小峰さん、叱咤激励をありがとうございます。これはね、国を挙げての話だと思うんですね。世界が脱炭素に向かって急激に進んでいく、だから、産業的にも、鉄鋼業、航空業界、あるいは自動車業が今、もう必死になってこの10年どういうふうに取り組んでいくかということを考えているところだと思うんです。ですから、私的にも全日本的な発想でもって、このオールジャパンのね、どういうふうに戦略を描いていくかというところを一生懸命考えています。そういう意味では、政党でもって成り立つ議会政治ですから、そういう意味では自民党とよく連絡を取りながら、その自民党のほうからまた公明党とよく連絡を取りながら進んでいってもらえればなと思います。環境省は政府の一員ですから、それはもう国民の代表としてしっかり頑張っていきたいと思います。いわゆる、我々5人の中には、公明党を代表して中川政務官もいていただいていますからね、そういう連携もしっかり保ちながら、全国行脚の中でもオールジャパンで日本を、脱炭素ドミノを起こしていって、世界の中で冠たる地位をこれからも占めていけるように、今、いわゆるこの30年間景気が良くないということを言われて、30歳以下の人は景気が良いというのはどういうことかということを経験したことがないわけですよね、それから、この脱炭素というものが経済をイノベーションでもって次の次元へ押し上げていく、そういうものとしても、全国行脚の意味はありますから、日本全体を世界の中でどういうふうに押し上げていくかという観点から取り上げていきたいと思っています。
(記者)今、積極的に党と連携してやりたいという山口大臣のお言葉がありましたけれども、そうすると党の中にですね、「脱炭素推進本部」だとかですね、そういうふうな党の組織を新たに設けることもお考えなんじゃないかと思います。同時にですね、そうなると、その本部長は一体誰なのか、新旧の幹事長なのか、新旧の政調会長なのか、それとも新旧の総裁なのかと、この辺はどうでしょうか。
(大臣)日本がね、第二次大戦に負けた最大の原因は、二重外交だったということもありますから、環境省で取りまとめて、一元的に進めていくほうがすっきりするのかなというふうに思います。ただ、よく連絡は取って、この気持ちを党でもよく共有してもらいたいと思いますから、そこは連絡をよく取りたいと思います。

(記者)朝日新聞の関根です。年頭の総理の記者会見の発言内容について、ちょっと見解を伺いたいのですけれども、脱炭素についてですね、総理がクリーンエネルギー戦略の会議に出席して、関係各省に取組を進めるよう指示を行うことにしたということで、再エネとか小型原子力、水素等々挙げていましたけれども、環境省としてですね、総理指示を受けて、どのようなことに力を入れて取り組むことになるのか、大臣のお考えをお願いします。
(大臣)COP26に出席させていただく前にも、総理のほうから、「自分から追加的なコミットメントも表明したし、そのことは非常に高く評価されたというのは現場でも感じた」と。そのおっしゃるとおりでしたね、行ってみたら。やはりジョン・ケリーさん始め、そのことに対してAppreciateしているという、はっきりした表明もありました。それを受けて、私のほうは市場メカニズムに関する6条を中心に根回しをして、そのことによって全体の機運を高めて、この1.5度というところにこぎつけたという感覚を持っています。それを報告したところ、総理のほうからは「よくまとまりましたね」というところでねぎらっていただいたんですけれども、それを受けて、あとは「この30年、50年と、この長い道のりのようだけれど、千里の道も一歩からということで、国内の実現体制、国外においてはJCM、それに向けて頑張ってください」という言葉がありました。総理の発想の中に、あるいはこれからの戦略の中に「気候変動」、あるいはこの「脱炭素」という言葉ははっきり刻まれているということは、この年頭の記者会見のことを見ても分かっていただけると思います。これからの日本の戦略の中で、この「新しい資本主義」という総理の言葉の中で、どういうふうにこの日本の経済を進化させていくかという中で、一番大きな柱の中の1つがこの脱炭素というところだと思っています。したがって、環境省的には総理にそこまできちっと認識を共有していただいているという、そういう受け止めをこの記者会見でもってさせていただきました。ですから、これからはどういうふうにしていくかというのは、我々が考えさせていただいていることを、これは更に総理あるいは官邸と共有させてもらって、あるいはさっき小峰さんからもありましたけれども、党のほうとも共有させてもらって、これを着実に進めていくというか、もうかなり突き抜けて進めていくというぐらいの気持ちで受け止めています。特にその中では、産業界、この経済産業省の関連のこともいっぱいあると思うんですね。カーボンニュートラルというものを実現していくためには、いわゆる国民レベル、それとともにこの産業界と、軌を一にしてやっていかなければいけませんから、そういうところでは経済産業省を中心として、いろんな省と連携しなければいけないこともあると思います。そういう中で、環境省としては、脱炭素に向けた総理のこの確固たる決意を実現していくべく、いいスタートが切れるように特に頑張らせていただきたいなと思っています。
(記者)具体的には、ずっとおっしゃっている地域脱炭素の取組というのは、その中に入ってくるということになるんですかね。
(大臣)地域脱炭素、プラス、やっぱりカーボンニュートラルという中の1つの要素として、カーボンプライシングという話もあります。これはもう、業界ごとに私自身もヒアリングを重ねていきたいと思っています。そのことは、経産省ともよく連携しながらの話の中ですけれども、環境省としてカーボンニュートラルを進めていく、あるいはこの脱炭素を進めていくという中で不可欠な要素ですから、そういう意味も込めて、いわゆる業界の気持ちも真っ正面から受け止められるように、できる範囲の我々のサポートが可能になるように、そういう趣旨で取り組みたいと思っています。

(記者)福島民報の佐久間です。福島県内で出た除染土壌の県外最終処分・再生利用については、認知度が低いということで、対話フォーラムが開かれて、先月も名古屋で初めて対面式で行われたわけですけども、認知度が低いのは、全国低いんですけれども、県内でもなかなか知られていない。で、県内で低いものをほかの地域で知られるというのも、何か無理があるのかなと思うんですけれども、福島県内での周知に向けた対話フォーラムなどの取組についてですね、時期とか、やる方向があるのかを含めて、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
(大臣)いわゆる中間貯蔵施設にある土壌というのは、これ、福島県外に持っていくものですから、やっぱり福島県外の方々の理解がどうしても必要だと思うんで、この間、名古屋で行わせていただきましたけれども、また別の地域で行わせていただくべく、今、環境省のスタッフの方々に努力いただいているところです。
(記者)福島県内では開く予定、お考えというのはないですか。県内、県民が理解していないと、そういうものも、ちょっと進まないのかなと。
(大臣)いわゆる受け取っていただくところがどこかという話ですから、そこを中心に考えさせていただくのかなと思っています。

(記者)毎日新聞の信田です。EUのタクソノミーについて伺いたいんですけれども、原発と、あと移行の意味でのガスというのがクリーンエネルギーと位置づけるということで検討しているということで、そこについての御所感と、それが日本にどう影響するのかというところを教えてください。
(大臣)EUが原発を脱炭素化に貢献する投資対象と認定する案、今はそれについて言及されたわけですよね。EUもいろんな考えを持っておられるし、そういう意味では、我々も考え方について研究しなければいけないとは思っているんですけども、それぞれ状況が違いますから、そういう意味では、日本として、またEUがそういうふうにしたとしても、すぐそれに倣うということでは必ずしもないと思います。日本の場合、やっぱり、いろんな状況も検討しながらということがあると思うんですけれども、資源も限られている中で、そしてまた、隣国との間で電力網というものがない中で、我々も苦労しているわけですけれどもね。だから、そういうことも踏まえつつでありますけれども、ここはもう慎重に、いろいろと検討しなければいけないなと思っています。

(記者)エネルギージャーナル社の清水です。2点ほどありまして、1つは、ちょっと話題が変わるんですが、コロナ対策というのを環境省、環境行政としてのアプローチ。これを、やっぱり、ちゃんと環境省はやるべきじゃないだろうかということを、前小泉環境相のときにも言いましたけれども、といいますのは、コロナの発生源が、雲南省の某所という具合に言われていますけど、それにやっぱり、生物多様性とか、あるいは人間と動物との関わりとか、あるいはそういう種の保存の問題とか、そういうのが関わっているというのはもう、国立環境研究所か何かの報告でも出ているわけでして、2030年、2050年の話も重要ですけども、やっぱり当面のね、コロナというこの感染に環境というのがどう関わってきたか、どういう要因があるのか、何が分かっていて何が分からないのかというのを、やっぱり環境行政の観点から、やっぱり日本は進んでいるわけですから、やるべきじゃないかなという具合に私は思います。これが1点です。それから、2つ目はですね、地方行脚の話も出ていますけども、やっぱり政府系の庁舎とか建物とか、あるいは自治体系の庁舎とか建物とか、事業者としての官公庁というか、これが再生エネをどれだけ普及させて、どんな方法でやっていくかということが非常に重要だと思うんですよ。もちろん、温対計画ではそういう計画をもう、きっちりフォローしているとは思うんですけども、今現在の普及程度と、それから今後、3年、5年、10年でどこまで普及させるのかというところの見通しがあったら、伺いたい。以上2点です。
(大臣)後者のほうから。これ、46%あるいは50%を詰めるときに、そういうこともいろいろと議論されたと思います。細かい数字をいろいろ積み上げた中であるんでしょうけど、それが進められれば、更に大事なことですから、今伺ったこと、率先してということを更に進められればいいと思います。それで、全体のこのエネルギー、誰が使っているかというと、6割はやっぱり国民一般が使っているということもありますから、みんなでやらなければいけないことですから、誰が率先してということと同時に、そこだけにとどまらずに、全部で、みんなで頑張っていくという話だと思うんで、そこを、必ずしもまだ認識が、それほど共有されているかどうか、私もよく分からないんで、そこは全国行脚でやっていきたいと思います。私も、年末年始、地元にいる時間もあったわけですけれども、一生懸命、新年の交礼会等で、脱炭素あるいは脱炭素ドミノを頑張っていくんだと言っていたら、だんだんみんなも同じようにそれを言い出して、やっぱりこれ、全国行脚で訴えていくということの意味というのが、そこでも感じられたような次第です。今、清水さんがおっしゃっていただいた、「率先して」ということと同時に、みんなの意識がそうやって向いていくようにやっていくことだと思います。その中で、今の話を同時に共有させてもらうつもりです。また、コロナと環境。発生源については、いろんな説もあるし、私もいろんな意味で、その辺のことも大事だというふうには思います。この生物多様性については、COP15ということで、これから、まだ日程は流動的ですけど、次は昆明であるかもしれません。そういう中で、またいろんな議論が出てくるんでしょう。コロナの発生源をそこで議論するというところでは必ずしもないかもしれませんけれども、生物多様性の重要性というのは、そういう中で捉えていきたいなと思っています。あと、政府の実行計画は、「2030年度には設置可能な建築物の50%以上に太陽光発電を設置」というようなことがあるようです。
(記者)ちょっと、私、異論があるんですけども、大臣に就任以来、中間目標を、CO2の46%とか50%、非常に厳しいという認識がよく言われるんですけども、これ、日本政府が46%決めるのが遅過ぎたわけでして、もう、四、五年前から、各国は、もう、その厳しい目標に取り組まざるを得ないというのを出しているわけで、G7の中でも日本は非常に遅かったほうで、そこはちょっとね、何か認識がちょっと違うんじゃないかなと思うんですけど、この点、どうですか。
(大臣)そんなに、46%、50%が低い数字だとは思っていません。これをとにかく実現するということを、それほど簡単ではないことは、みんな分かっていると思います。だから、期待値を大きくするということは、やっぱり実現可能な現実がどこまでついていくかという話になりますから、期待マイナス現実というのは全部不満になりますからね。やっぱりきちっとこの46%を実現すべく頑張っていくということがまず第一歩だと思います。まだ、去年の10月に閣議で決めたばっかりです。表明したのは去年の4月の気候サミットというところで、それまで相当これ、細かい積算作業もしたようですから、そういう意味では、決してこれは、余裕を持って決めた数字じゃなくて、相当野心的に決めた数字のようですから、それを簡単には、私は実現できるかどうかというのは、まだそれほど楽観視していません。だけど、できれば、これを50%以上に、50%なりあるいは50%以上に持っていくということは、望ましいことですから、またそこに向けて可能な限り努力していきたいと思いますけれども、まずはこの46%、50%を実現可能になるように、その最初の1年が今始まったばかりじゃないのかなと思っています。

(記者)電気新聞の匂坂と申します。私も地域脱炭素に関する全国行脚についてお伺いしたいと思います。足元で感染の拡大や、まん延防止等重点措置が出る地域もある中で、全国行脚を決行する意義のところがですね、もうちょっと伺いたいなと思っておりまして、それも、スタッフではなく、大臣や副大臣クラスが現地に行くことの意義です。先ほど計画の策定が厳しいという質問もありましたけれども、先行地域ですとか、例えば再生エネ交付金の条件、こういったものが、なかなか自治体から集まらないんじゃないかといった危機感などがあるから、大臣自らトップセールスのようなことをするんでしょうか。
(大臣)そうではありません。たくさん案件が、既に、私、出てくると思います。まだ正式にはね、1月、今月の末からの募集ですけれども、もう既にいろんな照会もあるようですから、20件か30件くらい、最初は決めたいなと思いますけれど、応募いただくのは、はるかに多い数になると思います。ですから、心ならずも最初の年度は20件か30件くらいに絞らなければいけないかもしれません。だけど、私自身が思うのはね、カーボンニュートラルという中で、この地域の脱炭素、その先行地域、それを2030年までにカーボンニュートラルを実現していただく地域、これ、相当野心的なものなんですね。全体が2050年でカーボンニュートラルと言っている中で、2030年までにゼロを目指していただくと、実現していただくと、そういう先行地域ですから、そういう意味では相当野心的な話なんで、その辺の気持ちを、あるいはどういうふうに実現していったらいいか、どこに知恵があるかということも含めて、ずっと回りたいなと思っています。COP26でも感じたんですけどね、やっぱり集まっていろいろ議論するということは非常に大事ですね。あのCOP26というのは、集まってやらなかったら、絶対にまとまらなかったと思います。Web会議で1.5度、産業革命前に比較して1.5度に抑えるという話がまとまったかというと、絶対まとまらなかったと思いますね。それから、市場メカニズムについての、この6条についての日本提案をしたといっても、これ、Web上で(交渉を)したといっても、絶対まとまらなかったと思いますね。環境省のスタッフの人を中心に、各国の代表と交渉して、膝詰めで交渉して、何度も何度もすり合わせして、こっちの国に行ってはあっちの国に行って、またこっちの国に戻って、その繰り返しの中でやっとまとまったというふうに思いますから、だから、やっぱり出会わないと、なかなか伝わらないというところはあると思います。あとはね、コロナの対策を万全に行うということは、気をつけてやりたいと思います。そういう意味では、いろんな意味で、今、オミクロン株が、数がどんどん増えている。他方、その中で、やっぱりきちっとした対策を行って、密にならないように気をつけながら、Webも併用して、ハイブリッドでやればいいなというふうに思っていますから、全員がそこに集まらなくても、いろんな形を取れると思いますから、コロナ対策については気をつけながらやっていきたいと思うんですね。そしてまた、いわゆる認識を共有していただくという意味では、このカーボンニュートラルという概念、あるいは脱炭素という必要性、それとともに、その1つの要素としてカーボンプライシングということもありますから、それについての理解、この辺もよく共有させてもらいたいなと思います。理念的に言ったら、炭素税というのは、2050年にカーボンニュートラルになれば、税金がゼロになる。そんなこともなかなか理解が難しいと思うんですけどね。その辺も併せて、いろんな理解を含めていく機会にさせていただければなという趣旨です。
(記者)脱炭素先行地域というものの意味なんですけれども、2030年までにカーボンニュートラルを実現する地域ということですけれども、実際の要件は、民生部門の電力消費のCO2排出ゼロだったと思うんですね。だから、産業用ですとか運輸とかは別に、減らすことまでは求めていないと思うんですけれども、これを2030年までにカーボンニュートラルを実現した地域というのは、ちょっと誇張に当たらないかなというふうに思うんですけれども。
(大臣)地域が独立してあるわけじゃないから、交通量もいろいろと行き交う中での話でしょうから、私もそこら辺は厳密に言うつもりもないんで、柔軟に捉えればと思いますけど、趣旨としてはそういうことを目指していただくという、そういう概念です。

(記者)テレビ朝日の川﨑です。ちょっと確認なんですけれども、総理の年頭会見前後で、ですね、実際に総理から大臣に何か指示であったり、言葉のやり取りであったり、あったでしょうか。
(大臣)そこは、いつも密に連絡を取らせていただいているつもりです。
(記者)具体的な指示とか、この脱炭素に関する話も大分ありましたけれども、こうしてほしいとか。何か。
(大臣)私自身がいろいろここでもお話しさせていただいていることを、総理もよく認識していただいているようですから、そのことを踏まえておっしゃっていただいているんだなと思うんで、改めてそれを確認するということは必ずしもありませんけれども、よく密にコミュニケーションを取れているつもりです。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/OywfS1n1W6I

(以上)