大臣談話・大臣記者会見要旨

IPCCによる第六次評価報告書(AR6)に関する小泉環境大臣談話

 本日、気候変動分野において重要な政府間組織である、「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)による第六次評価報告書(AR6)第I作業部会報告書の政策決定者向け要約(SPM)が公表されました。

 日本から選出された10名の執筆者の方々をはじめ、この報告書に関わられた多くの皆様の御尽力に深く感謝申し上げるとともに、心から敬意を表します。

 今回の報告書には、多くの示唆に富む知見が盛り込まれていますが、特に、3つの重要な知見をいただきました。

1.第一に、これまでは、20世紀半ば以降の温暖化の主な要因は、95%以上の確率で人間の影響であるとされていたのが、今回初めて、人間が原因であることは議論の余地がないと言い切る報告となりました。

2.第二に、世界中のほぼ全ての地域で、命にかかわる被害をもたらす熱波・豪雨等の極端現象が増加したことが初めて報告されました。

 さらに、熱波のような極端な高温現象については、人間の活動が極めて高い確率(95%以上)でその原因となった事例があったということも初めて報告されました。

 例えば、我が国では、平成30年7月の豪雨や記録的な高温に、地球温暖化の寄与があったとされています。

3.第三に、気温上昇を2.0℃ではなく、2050年カーボンニュートラルの実現によって1.5℃に抑えることで、近年発生している50年に一度と表現されるような極端な高温現象の発生する確率を30%程度減らしうることが示されました。

 国際社会に目を向けると、先月開催されたG20気候・エネルギー大臣会合においても、この1.5℃目標を追求するためには全ての国による効果的な対応が必要であるとの認識が共有されています。

 今回報告された重要な科学的知見を踏まえ、世界の国々と共に野心を高め、パリ協定の着実な実施に繋がるCOP26になるよう、日本の環境外交力を発揮してまいります。

 私も、既に影響が現れている気候危機に対し、気温上昇を1.5℃に抑制するために、まずは2030年に向けて、カーボンプライシングをはじめとする幅広いポリシーミックスを検討し、地球温暖化対策計画の策定と計画を実現するための大胆な政策強化に全力を尽くさなければならないとの想いを新たにしました。そして、対策が成功すれば災害は減らせるという希望が示されたことを国民のみなさんと共有し、ともに気候変動政策を前進させ、次世代への希望に繋げる決意です。