大臣談話・大臣記者会見要旨

山口大臣閣議後記者会見録(令和3年12月17日(金)8:40~8:50 於:衆議院本会議場正玄関側)

1.発言要旨

私から、今日発言させていただくのは一点で、「GENESIS松島計画」に係る環境省大臣意見について、お話しさせていただきます。昨日、12月16日、電源開発株式会社の「GENESIS松島計画」に関し、環境影響評価法に基づく環境省大臣意見を経済産業大臣に提出しました。今回の案件は、既設の石炭火力発電を高効率化し、段階的にゼロエミッション火力の実現を目指すものです。大臣意見では、国内外における石炭火力への厳しい状況を十分に認識して、2030年度の中期目標及び2050年カーボンニュートラルに向けた排出削減の道筋が描けない場合には、事業実施の再検討を求めることなど、これまで同様に厳しい指摘をしています。本事業が石炭火力発電のゼロエミッション実現に向けた重要な第一歩となるよう、電源開発株式会社はCCUS技術の実装、バイオマスやアンモニアといった代替燃料の導入について、覚悟を持って進めていただきたいと思います。詳細については、報道発表資料を御覧いただきたいと思います。環境省としては、引き続き再生可能エネルギーの主力電源化を徹底するとともに、今後の電力業界全体の対応や本事業について、しっかりとフォローしていく所存です。以上です。

2.質疑応答

(記者)朝日新聞の関根です。まず、冒頭発言に関連してなんですけれども、事業者のほうが取材に対して説明しているところでは、CO2の削減効果ですね、そちらが約10%くらいというふうに説明しているんですけれども、この10%という数字というのは環境大臣としてはどういう評価になるのか、十分なのか、その辺の認識についてまず伺います。
(大臣)数字についてはいろいろあるかもしれませんけれども、我が国は、2050年カーボンニュートラルを宣言して、それに向けた野心的な2030年度の削減目標を掲げています。こうした目標の実現に向けた決意は、我々としてはいささかも揺らぐものではありません。カーボンニュートラルの実現に向けては、火力発電の脱炭素化が必要不可欠で、非効率な火力のフェードアウトに着実に取り組むとともに、ゼロエミッション火力発電の実現に向けて、アンモニアやバイオマス等のカーボンフリー代替燃料との混焼やCCUSに取り組むことが重要。本事業が石炭火力発電のゼロエミッション実現に向けた重要な第一歩となるように、電源開発には覚悟を持って取組を進めていただきたいというふうに思います。この石炭火力発電については、今言っているようなことができているかどうかというのをもう一回きちっと見させていただいて、それでそれがもしもうまくいっていない場合には、再検討を求めるということなど、これまで同様に厳しい指摘をしていくというところで理解していただきたいと思います。
(記者)それから、昨日の意見でも、いわゆるカーボンフリー燃料について可能な限り早期の導入を求めていたり、今も覚悟を決めて進めてほしいとおっしゃっていましたけれども、年限について具体的に示されていないという点について、例えばその官民の目標で、30年度に20%混焼というアンモニアについて目標があったりするわけですけど、そうしたことについてちょっと具体的に言及することというのはできなかったんでしょうか。
(大臣)例えば30年度に19%(第6次エネルギー基本計画における石炭火力の電源構成)とか、そういうことを踏まえて、2030年度に云々という、その具体的な数字を言うことができなかったかどうかということですか。
(記者)アンモニアの混焼の比率を30年に20%というのが、その官民目標であるようなんですけど、そうした導入年限について、もう少し具体的に昨日の意見で踏み込むことはできなかったのかと。
(大臣)今、JERAで実際にパワープラントでやり始めたというのが今の段階ですから、実際には24年までにこの実験を終えると。それから、30年までに実際に20%混焼で始めると。まだそこまでのことが、図柄を描いていて、実際にきっちり進めようとしているし、私は進んでいると思いますけれども、もう少し見定めてからでないと、その数字を具体的に言うのは早いかなというふうに思うものですから、あえてまだ言っていません。でも、実際には、それから更に進んで2030年代の中で全部に20%混焼、それから40年代には20%から40%、60%、100%というふうに専焼に向けてやっていくわけだけども、まだ少し言い切るのは早いかなという気がしています。だけど、JERAとの間ではよく心合わせをして、きっちりやってくださいと。できれば、私も気持ちとしては早く早くという気持ちはありますけどね。だけど、まだもう少し見てみたいなというふうに思います。きっちりいくことを確認してから、言っていかなければいけないかなと思っています。
(記者)国交省の統計問題がありましたけれども、省内で影響が出るようなことというのは、どうなんでしょう。
(大臣)そこはないです。そもそも、環境省、基幹統計というもの自体もないし、それから6つほど統計がありますけれども、そういう意味では、ありません。
(記者)それでは、ほかの環境省独自にやっている統計で、何か同じようなミスとか、何か意図的な手を加えたりだとか、そういったこともあるかどうかについての調査というのは、大臣としては今のところ指示は出していないのでしょうか。
(大臣)出していません。

(記者)テレビ朝日の川﨑です。冒頭の発言で、石炭火力についてなんですけど、なくしていくような世界の潮流の中で、石炭火力の延命だというような批判もあると思うんですが、この点に関してはどういうふうに受け止めていますか。
(大臣)確かに、そういう批判があることは私もよく承知しています。世界の潮流の中でといったら、やっぱり世界というのが、例えばドイツとフランスの関係では、ドイツは電力が足らなくなったら、電力網でフランスから調達と。フランスは8割近くを原発で賄っていると。それから、イギリスについては、資源もしっかりあるようだと。日本としては、資源が乏しくて、また周囲の国との電力網もなかなかない中で、どういうふうに自前で電力を安定的に確保していくかという、全然世界の中でも非常に違う状況があると思うんです。その中で、日本の産業を安定的に運営しながら、という点では、ほかの再生可能エネルギーをできるだけ主力電源として取り込んでいくけれども、でも、やっぱり石炭をできるだけ二酸化炭素の排出を抑えながら、何とかやっていくというのが日本の経済的には今のところ不可欠なのかなというところもあるんじゃないかなと思うんです。だから、延命措置というよりも、最終的にはこれゼロに持っていくわけですからね。混焼、専焼ということも含めて、あるいはCCUSということも含めて、最終的にはゼロに持っていくから、そういう意味では別に同じ非効率のものを延命するということではありません。むしろ、そういうゼロというものも念頭に置いた上での今回の措置です。

(記者)日刊自動車新聞社の村田です。先日、トヨタが新しいEV戦略を発表しました。脱炭素の面で貢献できると思うんですけれども、その辺りの受け止めをお願いします。
(大臣)環境省としても、特に昨年度、再エネ(100%電力調達等を要件としたEV購入)に対して80万、相当大きな補助も出してきて応援しているわけですね。私的には、やっぱりEVの流れというのは、これは変わらないと思います。それから、やっぱり自動車の概念というのもガソリン焚いて走る今までの自動車から、コンピュータが車をつけて走るようなそんな自動車に変わっていく、全然違うものに変わっていこうとしているから、トヨタの動きというのはそういう意味では心強いけど、やっぱり更に頑張って世界の潮流、追いつくんじゃなくて追い越して、やっぱり日本のメーカーが世界の中で引っ張っているなと。グリーンの車を引っ張っているなというところまで持っていっていただきたいなという気持ちがありますから、動きとしては非常に心強いけども更に一緒に頑張らせていただきたいなというふうに思います。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/gUudfdQeGw4

(以上)