大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年9月24日(金)10:31~10:55於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

それでは、今日私からは冒頭2件あります。1つが動物愛護などの関係と、2つ目が再生可能エネルギーの導入拡大に向けた環境省の取組についてです。今日お手元にも様々多くの資料をお配りさせていただいておりますが、まず1点目についてです。今日の閣議で「動物の愛護及び管理に関する法律施行令の一部を改正する政令」及び「愛玩動物看護師法施行令」が決定されました。これは、犬猫へのマイクロチップの装着の義務化、そして愛玩動物看護師法の施行に向けて手数料などを定めるものであります。以前の会見でも申し上げましたが、今週9月20日から26日までは動物愛護週間です。お手元に御案内をしている明日のオンラインシンポジウムを始め、各地で様々な行事が行われているので、国民の皆様には、人と動物の共生する社会の実現に向けて、改めて動物との関わり方を考える機会としていただきたいと思います。また、この後、動物福祉に取り組む動物環境・福祉協会Evaと面会をします。環境省としては、関係する様々な方からの協力を仰いで、飼養管理基準、これは「レッドカード基準」というふうに言っています。この「レッドカード基準」の順守を徹底させて、不適切な状態に置かれている犬や猫をなくしていくことや、法的にも道義的にも許されない動物虐待の防止といった動物愛護の精神にのっとった対応をしてまいりたいと思います。今日は動物愛護週間に関連してもう1つ、動物の殺処分についてお話をしたいと思います。全国の動物愛護センターや保健所では、引取手が見つからないなどの理由から殺処分をせざるを得ない犬や猫がいます。殺処分数は10年前に全国で約23万頭であったものが、現在では約3万2000頭と7分の1にまで減ってきました。飼い主の責任の徹底や新しい飼い主への譲渡しを推進してきた自治体や愛護団体、NGOの皆様に心から感謝したいと思います。殺処分の数をゼロに近づけていく取組を関係者の皆様と協力して絶え間なく継続したいと思います。殺処分の数を減らすには、広く国民の皆様にも御協力いただきたいことがあります。例えば、犬や猫をペットショップで購入するのではなくて保護犬や保護猫を飼うこと、最後まで責任を持って飼うこと、野良猫にみだりに餌やりをしないこと、外来種を外に捨てないこと、是非お願いしたいと思います。また、こうした動物たちの殺処分については、保健所だけでなく、もともと日本にいなかった生物、いわゆる外来生物の防除の現場でも行われています。こうした現場で殺処分という厳しい業務を担っていただいている方々は社会の重要なエッセンシャルワーカーであり、この場で改めてお礼を申し上げたいと思います。環境省では、できる限り苦痛を与えない方法を採用するように指針を定めていますが、外来生物の防除に際して、例えば捕獲したアライグマを水没死させるなど、する側にとっても心理的負担の大きい方法での殺処分が行われている例もあると聞いています。外来生物の防除は生態系などへの被害を防止するために行うものでありますが、外来生物も望んで連れてこられたわけではありません。防除をしっかりと進める中で、捕獲した外来生物の殺処分について、できる限り苦痛を与えない方法で行うことが大切であり、事務方に実態の把握とそれを踏まえた対策の検討を指示したところであります。また、現在、中央環境審議会で外来生物対策の今後必要な措置について検討いただいているところであり、外来生物防除における殺処分の在り方についても併せて議論いただきたいと考えています。こうした取組を進めることは、外来生物などの防除に従事していただいている方々の心の負担を軽減することにもつながります。そうした視点も持って環境省として力を入れていきたいと考えています。1点目は以上です。2点目になりますが、再生可能エネルギーです。再生可能エネルギーの最大限の導入に向けて環境省としてもあらゆる政策を動員して、自ら汗をかいていく旨をこれまでも申し上げてきました。今日は、お手元にもありますが、バイオマス、地熱、風力の導入拡大に向けた環境省の取組を御説明いたします。まず、バイオマスについてでありますが、今日、「大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令」が閣議決定されました。今回の改正は規制対象となるボイラーの要件を見直したものです。詳細についてはお手元の資料を御覧いただきたいと思います。これにより、バイオマスボイラーについても、大気環境保全を確保した上で、設置に係る規制の効率化が実現します。次に、地熱発電の開発加速化です。今年の4月に地熱開発加速化プランを発表して、自然公園法や温泉法の運用の見直しを進め、9月17日の検討会で改正案について合意を得たところであります。自然公園法では、現在、第2種・第3種特別地域で「地熱開発は原則として認めない」という運用を行っていますが、これを転換して、取扱通知において、「自然環境に配慮した優良事例は容認し積極的に推進する」という基本的考え方を明確化します。また、温泉法では、都道府県の内規などで蒸気を取り出すための井戸について距離規制や本数制限を設けている場合がありますが、ガイドラインを改訂して、大規模な地熱開発について、これらの規定を撤廃できる場合の考え方を整理します。さらに、地熱開発による温泉への影響を把握して、地域の合意形成を促すため、今年度から東北地方の温泉地など2カ所で国直轄のモニタリングを試行します。次年度以降は、これを全国展開すべく、予算と定員の要求も行っています。改正温対法に基づく再エネ促進区域の活用とも合せて、合意形成、適地誘導、環境配慮などの支援を充実させていきます。これらの取組によって開発までのリードタイムを最大2年短縮して、2030年までの地熱発電施設数の倍増に貢献してまいります。なお、本日、那須塩原市がゼロカーボンパーク第3号に登録をされ、日光国立公園を対象に温泉熱の活用などを進めていくこととなりましたので、併せてお知らせしたいと思います。最後に、洋上風力発電ですが、事業者がアセスメントに必要な調査を実施するという発想を転換する新たな取組に着手します。具体的には、再エネ海域利用法を所管する経産省や国交省とも連携して、環境省自らが海域において調査を実施し、その成果を活用することで、事業者の環境アセスの期間を1、2年程度短縮することを目指します。来年度からの実証調査に向け、実施海域の選定、海外事例の分析、調査の詳細設計や関係者間の調整などを今年度後半から進めてまいります。関係省庁とも連携して洋上風力発電のリードタイムを短縮することで、2030年までに見込んでいる洋上風力発電の導入拡大に貢献してまいります。冒頭、長くなりましたが、今日は2点、以上です。

2.質疑応答

(記者)幹事社の読売新聞の服部です。地熱開発の関係でお伺いしたいんですけれども。自然公園法などの運用見直しの改定案に合意されたということなんですけれども、開発事業者にどんどん参入してもらうために、もし環境省として今後できることがあれば教えていただきたいというところと、あと、洋上風力のほうは、何か2030年とかのですね、目標の値みたいなものがあれば教えてください。
(大臣)まず、2030年の地熱の目標については、もう明らかにしているとおり、60箇所を倍増させていくということを目指して今回の運用見直し、それで地熱開発はリードタイムが長いですけど、そのリードタイムを2年程度短縮をしていきたい、そして2030年にできるだけその案件形成が間に合うようにしていきたいと思います。そして、参入のために何ができるかということでありますけど、その事業者の参入ですね、やはりこれは経産省などともしっかりと連携することも大事だと思っています。そして、今回運用見直しで、先ほど私が申し上げたとおり、今までの在り方を転換をするわけで、今まではむしろ原則駄目ですよというメッセージが事業者の皆さんには伝わっていたはずです。ですから、よく私も声を聞いていたのは、「環境省の国立公園などが地熱のポテンシャルを阻んでいるんだ」と、そういう声って相当聞きますよね。しかし、今回のことで、もうそういった声に対して「我々の考え方はもう転換をしています」ということが明確に言えるようになるので、この我々の姿勢の転換と、そして、この運用見直しの前ですら既に全国の国立公園、国定公園の中で地熱の開発も進んでいたということも改めて理解をいただきたいと思いますね。今後、この倍増計画実現に向けて、今回の運用見直しやそれに伴う事業者の皆さんの参入意欲が高まることによって、この倍増をしっかりと実現に道筋を付けていきたいと考えています。あと、風力についても、やはり2030年にできる限り間に合わせていける案件があれば、環境省自らが出ていってこのリードタイムを短くすることに貢献をしていきたい、それが今回の内容なので、そこも経産省や国交省としっかり連携していきたいと思います。

(記者)テレビ朝日の川﨑です。先日17日の閣議後会見で、記者の質問に答える形で話された高市さんのエネルギー政策について、自民党の山本拓議員から公開質問状が出ている件なんですけれども、見られていると思うんですが、まず大臣の発言内容を「越権介入」としているんですけれども、これについてはどうお考えでいらっしゃいますか。
(大臣)先日の記者に答える形というのは、まさにテレビ朝日の川﨑さんに答える形で答えているんですけど、私がそのときに発言したものをもう1回見ているんですけど、これのどこが問題なのかが私には分かりません。ただですね、それに関して改めて明確にしておきたいのは、今回のエネルギー基本計画のパブコメまでたどり着いたプロセスというのは、これは政府の正式なプロセスに加えて、与党のプロセスを経ていますから、それが何よりも一番重要なことであると思います。
(記者)質問の中では、かなり具体的な数字を挙げて大臣の見解を求めているところがあると思うんですけれども、再生可能エネルギーの具体的な道筋については、こういった質問状の内容に関して何か反論等はありますでしょうか。
(大臣)まず、再生可能エネルギー最優先の原則でやっていく、それは環境大臣のポジションではなく政府のポジションです。つまり、今回様々な御意見がこのプロセスの過程の中であったことは承知をしています。その上で党内でも様々な議論や質問や意見があった上で党内の正式なプロセスを経た、これが事実でありますので、今回、山本先生の方から出ているような御意見も含めて、様々な意見が政府の中でも与党のプロセスの中でも議論されたというふうに私は理解をしています。なお、今回この質問の中でも環境大臣を「菅内閣の重要閣僚である」というふうに書いていただいているというのは、私は山本先生にありがたいなと。ずっと一貫して環境大臣は重要閣僚だと、そういうふうに申し上げてきたので、その認識を山本先生と共にできていること、ありがたいなと思います。

(記者)朝日新聞の川田です。先日、中国が石炭火力のですね、輸出を今後やめると表明しましたが、これについての受け止めとですね、日本も、今たしかG7で合意をされていますけれども、日本の国内の石炭についても考え方をもう一度お願いします。
(大臣)まず、中国が海外の石炭火力の建設を今後中止をするということでありますが、まず現時点でその具体的な詳細が明らかになっていないので、そこは確認をしなければいけないと思います。ただ、これは私の今までの石炭火力政策の見直しを見続けていただいている記者クラブの皆さんには御承知のことだと思いますが、私が「石炭火力の政策見直しが必要だ」と、「海外の案件も4要件の見直しを含めて必要だ」と言っていたときに、反対する側からの声の中で最も根強かったのは、「日本がやらなければ中国がやってしまう」ということでした。今回これでもうその論理は使えなくなりましたよね。それに対してどう思うのか、是非その主張をしていた方々に御質問いただきたいというふうに思います。改めて、これで途上国、第三国に対しても、いかに再生可能エネルギーの導入などをやっていくことが大事か。今、総理がQUADをやっていますけど、まさにそのQUADの中だって気候変動、再エネ、これが議論になっているわけですから。約2年かかりましたけど、あのときからずっと言っていましたからね。早く動かなきゃいけないということを感じていただきたいですね。これも日本が先に打ち出した方向性も相当影響したと思いますよ。今年で日本はやめると最初に言っていたんですから、G7のところで。

(記者)エネルギージャーナルの清水です。再生エネの関連で1点伺います。100箇所の先行地域とか、それから、再エネの計画を認定する、作る自治体が。その際にですね、今話題の、今質問が出された、地域によってはやはり石炭火力や化石燃料を非常に多く使っている地域があるわけですよね。そういうところはどうするのか。2030年までに石炭は使い続けるという国の方針があって、かつLNGも使っていくという国の方針がある。しかし、ゼロにしたいという地域があるときに、困るだろうと思います。そういうところで環境省も、きちっとした、もう少し踏み込んだ考え方を出せるのかどうかということと、それとやっぱり、再生エネをやったときの需要をちゃんと確保できるかどうか、地域で。そこがやっぱり大きな課題だと思うんですけどね。その辺、どうお考えですか。
(大臣)1点目の石炭など化石燃料をベースにしている地域と早くゼロに向かっていく地域というのは、私は大きな方向性は変わらないと思っていて、それはなくしていく、早くゼロにと言っている先進的な地域も、今、化石燃料に依存している地域も、いかに早く脱却をして、再生可能エネルギーをベースにした経済社会や暮らしの方向に転換をしていくサポートができるか、ということが行政側としては対応すべき方向性としては変わらないことなので、その移行に対するスピードは清水さんが言うとおり差が出ると思います。ただ、石炭火力やLNGを含めて化石燃料からの脱却に向けて、いかにその移行を加速できる後押しができるかということを我々はしっかりやっていきたい。さらにそこと密接につながっていくのは再生可能エネルギーの導入拡大がどこまで進むかで、今回エネルギー基本計画の中に書いてあるとおり、再生可能エネルギーは上限を決めていません。上限で36%~38%以上で、この割合を超えたら他の電源は減ることになるというふうにエネルギー基本計画に書いてあるわけです。なので、早く化石燃料から脱却をしていく地域が生まれるかどうかと再エネの導入拡大がこのエネ基以上に進むかどうか。そのためには、この前私、北九州に2日前に行きましたけど、北九州はまさに太陽光を含めて再エネの出力抑制を受けている地域なんです、九州管内で。これなんて再エネ最優先原則と真正面からぶつかっている現状ですから、こういったところを、北九州サイドからも言われていますけど、やはり規制があるんだと。その規制を打破していって、再エネがより入っていくようにしなければいけないというふうに考えていますね。それと、よく今、再エネの中で、いろんな、「安定しない」だとか「医療に関して不安定な電力じゃ困る」とかいろんなことを言われていますけど、あれもすごくバランスの欠いた議論だと思いますよ。何しろ、原発は例えば13カ月に1回定期点検で止まって3箇月丸々止まるんですよ。その間、バックアップで火力も使って膨大なコストもかかっている。ですから、災害のことを考えても、しっかりとこの分散型をこれからいかに安定をさせるか、そういった方向性での議論がされずに、再エネ不安定、他のものは安定と、こんなまるで二者択一みたいな、二項対立のようなね、議論がされているということは、世界の中のトレンドとは全く違いますね。
(記者)あの、伺った地域での再エネの需要掘り起こしというのか、これも一体としなければいかんと思うんですけど、その点はいかがですか。
(大臣)地域の掘り起こしというのは。先進的にやっていく地域の掘り起こしですか。
(記者)再エネ需要。
(大臣)これは、最近、私、環境省の地方の事務所長たちともオンラインで週1回やり取りをする場があるんですけど、最近心強いことを聞いたのはですね、ものすごい関心だと、この再エネ促進区域。再エネ促進区域だけじゃなく、先行地域100箇所、そのための交付金も。それで、これはこの前、担当の審議官から聞きましたけど、先日、自治体に対する説明会を開催したんですよね。そうしたら何と600以上の自治体からの問合せがあったと。ある地方事務所の所長は、「これは100箇所どころじゃなくなったら大丈夫か」と。「そこは大丈夫だ」と言ったんです。これは「少なくとも100箇所」と言ってあるわけです。そういう声も出ていますから、清水さんの問題意識は「100箇所出るのか」というところかもしれませんが、地方の現場では、むしろそれを超える600の自治体から問い合わせがあったというのは、これは今後しっかりとそのやりたいという前向きな思いを捉えて我々としてどういうふうに対応できるか、今後しっかりとコミュニケーションを取らなければいけませんね。600でも、1,700の自治体のうちの600ですから、さらに増やしていけるように引き続き案件発掘はやっていきたいと思います。あと、清水さんがどうやって再エネ需要を掘り起こすかというところでいうと、私、先週農協の本部に、全中ビルに行ってきたときに、会長とも農協が将来的に地域新電力を担うと。私のイメージはJA電力が生まれるというイメージなんですけど。JAグループというのはお葬式もスーパーもガソリンスタンドもあらゆるビジネスをやっていますから、その中で実はエネルギーというところは空いていて、私はそこが今後新たなJAグループ、地域の農協の収益の柱になり得る新規ビジネスじゃないかなというふうに見ているので、小水力、そして風力、そしてさらに熱利用、また太陽光、ソーラーシェアリング、そういったところを非常に会長自ら御地元の和歌山県で水力、小水力なども出てきたという話をされていたので、森山国対委員長の地元の鹿児島のJAも、JAの施設で太陽光と、それが防災の備蓄とかになったり拠点となったりするようなこともやられているので、今後そういったところの掘り起こしができれば、私はさらに可能性は大きくなっていくと考えています。

(記者)テレビ朝日の川﨑です。今話に出た北九州の件で、PCBについて、現地で「見通しの甘さ」という発言もあったと思うんですが、ここ数年で掘り出しが進んで廃棄物がどんどん出てきた。「2年で終わる」という見通しもちょっと甘いのではないかと思うんですが、令和7年度以降も今後どこかで処理できるような場所を考えるべきじゃないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
(大臣)まず、見通しが甘かったことによって、前回の延長のお願いのときに、「もう延長はない」と申し上げていたにもかかわらず、今回改めて延長をお願いせざるを得なくなってしまったこと、本当に申し訳なく思っております。ただ、この数年間の間で我々相当どれぐらいあるかということもやっていることもありますから、2年あれば処理が完了できるだろうというふうに考えています。ですから、今、川﨑さんが言った令和5年度末、そこまでに処理ができるように、関係者の皆さんと連携をして全力で取り組んでまいりたいと思います。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/v98Ev8Sc34g

(以上)