大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年9月3日(金)11:01~11:36於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

今日は、お手元に資料をお配りしているとおり、たった今、地球温暖化対策推進本部が行われまして、4つの政府案を取りまとめたので、そのことを少しお話ししたいと思います。まず、4つの政府案というものは、地球温暖化対策計画、そしてNDC、長期戦略、政府実行計画、この4つです。今後、パブリックコメントを通じて国民の皆さまから幅広く御意見をいただきます。このパブコメの後は、NDCと長期戦略をCOP26までに国連に提出できるように作業を進めていく予定です。今まで総理も「COP26までに」という話は国際会合でも言っていましたし、このスケジュールにしっかりと間に合うように進めていく、そんな1つの契機になったということであります。温対計画の案と長期計画案については、これまでも審議会の資料として御覧いただいていますが、今日はお手元に資料として全体の分かりやすい形でお示しをさせていただきました。ポイントを幾つか説明したいと思います。まず、皆さん、お手元の1ページ目になりますが、改めて、なぜ気候変動対策を行う必要があるのか。先日のIPCCの報告書でも示されたとおり、気候変動が熱波、大雨のような極端現象を世界で引き起こしています。1.5度を大きく超えないために、2050年カーボンニュートラルの実現、すなわち社会変革が必要であるということです。2ページ目にお示しをしたのは、温対計画と長期戦略は、言わば社会変革の実現に向けた道しるべであって、新しい2050年目標と2030年目標を受けて、今回、全面改定を行うものであります。3ページ目、ここからはカーボンニュートラルを目指すことで生み出される具体的な社会像は何かと、この御説明になりますが、まず、エネルギーについては10年後には電源構成の中で再生可能エネルギーが最大となります。38%が上限ではないというのがポイントであります。再生可能エネルギー中心の新たなエネルギーシステムに向けて、再エネ最優先の原則で取り組んでまいります。4ページ目は、気候変動はビジネスにとってリスクであると同時にチャンスであるということです。カーボンニュートラルに早く取り組んだ企業が新しい市場を獲得することができる。日本がグローバルな競争を勝ち抜くためにこそ、気候変動対策に率先して取り組む必要があります。それが日本の成長につながります。そして、5ページ目にはモビリティについて書いてあります。2035年までに乗用車の新車販売は全て電動車が占めることになります。自動運転といった新しい技術を取り入れながら、脱炭素社会では電動車は地域とつながり、暮らしを豊かに変えていくためのツールとなります。そして6ページ目、これは、カーボンニュートラルに向けてはライフスタイルも大きく変える必要があるということです。ポイントやナッジといった仕組みも活用しながら、持続可能なサステナブルなライフスタイル、衣食住を楽しむ社会への変革を進めていきます。そして7ページ目は、これまで述べてきた再生可能エネルギーの導入、電動車、ライフスタイルといった取組は、いずれも地域づくりにつながっていくということです。地域の課題解決と脱炭素化を同時に進めます。まずは全国100箇所から意欲のある自治体の取組を後押しして、ドミノのように全国、海外に広げていきます。そして、最後になりますが、8ページ、以上の社会変革を実現するための施策をまとめたものが今回の温対計画と長期戦略の改定案になります。パブリックコメントを経て改定した後は実施フェーズへと入っていきます。カーボンプライシングを始めとして、ルールや資金などのリソースを総動員して目標達成のための取組を後押しします。昨日、有識者会議が官邸で行われましたが、私が一番印象的だったのは経団連の十倉会長の発言です。カーボンプライシングについて、今まで以上に踏み込んで前向きな御発言をしてくださいました。炭素税という言葉にも言及をされて、あのような発言が経団連の会長からあったことは今までになかったので、私は、この有識者会合も、回数を重ねるごとに間違いなく歯車が回り始めてきた、環境省も税制改正要望にカーボンプライシングをノミネートしたように、もう一歩、脱炭素を大きく進めていくための残されたピースがはまり始めた、そんな心強い、頼もしい気持ちになりました。カーボンニュートラル実現への道のりは決して容易な、たやすい道ではありませんが、その先には必ず今よりも豊かな社会が待っています。国民の皆様にもその点を御理解いただいて、環境省が進めていく施策への応援をお願いしたいと思います。 今日は冒頭、私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)NHKの吉田です。環境行政の質問ではないのですが、1点質問させてください。先日来、自民党の総裁選挙や解散に関する報道が各紙で相次いでいます。その中で、来週前半にも党人事と併せて一部の閣僚の交代も検討されているとの報道も出ています。現内閣、現閣僚の1人として今回の党人事、あるいは閣僚の交代についてどう思われているでしょうか。小泉大臣御自身のことも含めて、何かお感じになっていることがあればお願いします。
(大臣)党人事は党の総裁の権限ですから、私から申し上げることはありません。そして、内閣の閣僚としては、閣僚の人事は総理の人事権ですから、それについてもコメントすることはありません。ただ、就任以来ずっと言っているように、環境大臣というのは間違いなく重要閣僚だと思っています。

(記者)産経新聞の奥原です。ちょっと関連してなんですけれども、総裁選で菅首相に関しては、最高指揮者、トップにある人物だから、総裁選のさなかにですね、何か我々が想像できないようなことを仕掛けるんじゃなかという疑心暗鬼が自民党内に広く広がっているなという実感があるんですけれども、それについて改めてどう思われるかということと、また、今日のカーボンニュートラルの資料に関して、4ページ目のですね、2030年、36~38%の再エネの割合に、※印で「上限ではない」というところが盛り込まれた意図について改めて教えてください。2点です。
(大臣)まず1点目については、なかなか総理はお忙しいですから、党内の若手を含めて直接のコミュニケーションの機会があまり持つことができない中で、今回様々、疑心暗鬼や不信感のようなものが声としてあったことは事実だと思います。しかし、近くで見ている私としては、総理ではなくて、一部の周辺が考えることが、あたかも総理が考えていることのように捉えられ、報じられ、そして総理に対する反感などにつながることは、これは何とか正さなければいけない、そういう思いが支える立場としてはありました。総理は堂々と、正々堂々とこの局面に向かおうとしています。昨日、総裁選に勝った者が衆議院選挙の日程を決めるのは当然だと、そういう思いを私にも伝えたのは、そういった党内に対する疑心暗鬼に対して、そんなことは考えていないという明確なメッセージだと思います。そして、1つ目については、これは今まで私も再三申し上げたとおり、エネルギー基本計画を見れば、36%~38%はキャップをはめるものではない、上限ではないというのは文言としては書いてあるんです。しかし、よく一般的に出回る電源構成別の数字の表になると、途端にそれがないんです。それはやはりおかしいんじゃないかということは申し上げてきた中で、よく引用される、使われる、電源構成別の表などにも、ちゃんとそのことは「キャップではない」「上限ではない」ということは示されるべきではないかという意見に対して、前向きに梶山大臣の方でも最終的に受け止めていただいた結果だと思います。よかったと思います。

(記者)神奈川新聞の石川です。総裁選に関して、関連で伺います。昨日、自民党の神奈川県連の土井幹事長がですね、会見で、「菅さんを頼むという応援をするつもりは一切ない」というようなお話をされたという報道が各紙でされていますけれども、いろいろ、その前には「何とか支えたい気持ちもあるが」など、いろいろな幹事長のコメントもあるんですけれども、若干その、「応援するつもりは一切ない」というところが独り歩きしているような印象もありますけれども、この幹事長の発言の意図とですね、県連の今回の対応について小泉さんの見解を伺いたいと思います。
(大臣)土井幹事長は、このように捉えられる意図で言ったわけではないと思います。神奈川県連というのは今まで歴史的に見ても、特定の候補者をみんなで応援するというよりも、それぞれ考えるという、その自主性というのが神奈川県連イズムだというふうに言う人がいます。私も神奈川県連の一所属議員として時々聞きますけど。それに、あまり今回の発言は特に大きなことではなくて、そもそも私の父が総裁になったとき、私の父は県連から役職停止処分を受けていましたからね。それからすれば大きなことではないと思います。県連で役職停止処分になった人が総裁になったんですから。

(記者)テレビ朝日の川﨑です。先ほどから話が出ているとおり、報道で大臣についていろいろな党のポスト、名前が出ているというところもあると思いますが、そういった中で、大臣としては先日もお話しされていた、環境省の事務方の皆さんが不退転の決意でカーボンプライシングの道を進める、あるいは省を挙げてこれから戦うという中で、いまだ道半ばという認識なのか、それとも環境大臣として、また省として長年取り組んできた税制改正要望を概算要求に盛り込むことができて一定のめどが付いたという認識なのか、どちらの思いが強いんでしょうか。
(大臣)もちろん世の中の課題で、これで全てが解決というのは永遠にないんだろうと思います。ただ、私が大臣になってからこの2年間で、これだけの政策の実現を共に歩んでくれたのは、環境省の職員の献身的な支援がなければ実現できませんでした。時にはコミュニケーションに苦労することもありましたし、私も思うようにできないこともあったし、職員も私が考えていることがよく分からなかった、そういったこともあったと思います。だけど、このカーボンプライシングという環境省が長年実現に向けて思いを温め続けてきたものが正式に税制改正要望にノミネートできて、そして昨日、経団連の会長が、環境省からすれば正直言って一番反応を気にしていた方が、前向きな、今までにない前向きな姿勢を示していただいたこと、私としては今日の総理の、温対本部での最後の総理の挨拶の中で、「まず第1に再生可能エネルギー最優先の原則で進めます。第2に省エネです。第3にライフスタイルの変化も含めた徹底です」と、この3つだけポイントとして挙げられたときに、環境大臣のようなポイントを言っていただいているなと。そこまで環境省が進めてきたことが政権のど真ん中に位置付けることができたこと、本当に職員の力のたまものです。不退転の決意でこれからも実現に励むと、そういう姿勢を示してもらっていることも私も頼もしく思いますし、うれしかったのは、今こういう局面で、私も政策と政局と、両方なっている中で、「我々に支えられることはありますか」という声をかけてくれた職員もいて、ありがたいですね。本当にうれしかったです。

(記者)エネルギージャーナルの清水です。政局絡みで伺うんですけども。
(大臣)清水さんもですか。どうぞ。
(記者)1つはね、これだけ、今おっしゃった政権のど真ん中に環境、温暖化対策問題の進捗があったのに、菅首相のね、支持率がずっと低迷してきているという、なんと言うんですか、歴史的な英断を下した首相に対して評価が低いという。この落差をどうお考えになるか。もちろん、マスコミの報道ぶりにも原因はあるかとは思うんですけれども、私のところも含めて。しかし、この落差ね、どうも理解できない。そこをその、今度の総裁選や何かに向けて、やはり環境問題が政権のど真ん中ではなくて、国民のど真ん中に打っていけるようなものに是非なってほしいと思うんです。これをどう今認識されているのか。これが1点。
(大臣)私は一言で言えば、コロナに尽きると思います。それだけ国民の皆さんの日々の生活に大きな御負担と制約とストレスをこれだけ長期間の間お願いをしなければいけない環境の中で、政権の中で前向きに本来は評価されていいようなことも、恐らく国民の皆さんの中でも、総理のあれだけ朝早く起きて、あれだけ仕事に没頭される方は、私は近くで見ていて本当にその姿を多くの方に分かってほしいと思いますが、私は国民の皆さんも、総理が「なんでもっと自分の言葉で語ってくれないんだろう」という、そういった不満はありながらも、仕事をひたむきにやろうとしていることって、分かってくれている方もいると思うんですよね。だけど、そのいいことですら素直に受け入れられないほどコロナによる負荷やストレスや苦しみや悲しみ、こういったものはものすごく大きいと思います。だから、早くコロナから前向きな日常に向かっていけるような環境を整えなければいけないと思いますし、その環境を整えることができれば、私は間違いなく菅政権の1年間での仕事ぶりって、とてつもない実績を上げてきたなという正当な評価がされると思っています。その環境が作れるように、私は全力でお支えしたいと思っています。

(記者)環境新聞の小峰です。先ほど小泉大臣がおっしゃった、「環境は政権のど真ん中、政治のど真ん中だ」とおっしゃいましたけれども、小泉大臣は否定するかもしれませんけれども、実際、来週の月曜日はですね、党役員人事、そして一部閣僚の人事があるかもしれません。そうすると、今日はですね、小泉大臣、環境大臣としての最後の会見になると思う、可能性もあるはずです。
(大臣)はずですというのは、小峰さんの。
(記者)そこでですね、環境政策がど真ん中だということで、おっしゃっていましたので、当然ですね、次の環境大臣もですね、心の中に意中の人がいると思います。お答えは、「総理が決めることだ」ということだと思いますが、総理が決めるとしてもですね、総理に進言するのはですね、小泉大臣だと思いますので、まず、意中の人がいるのかどうか。そして、意中の人の中にですね、すぐに、今回の政局からいって、すぐに交代ということで、これを引き継げる人は環境省の副大臣の中から、2人の副大臣の中から出てくるのか。その中でも、笹川博義副大臣の可能性はいかがかということをお聞きしたいと思います。以上です。
(大臣)まず、大臣というのは民間の方もなれますので、私は小峰さんを推しておきます。そして、今いろんな報道で要職に起用するんではないかという中で名前の幾つか挙がっている中で私の名前も見ることはありますが、私は環境大臣は要職だと思っています。以上です。

(記者)朝日新聞の川田です。また総裁選で申し訳ないんですけれども、改めてですね、これまで菅総理支持をずっとおっしゃってましたけれども、現地で結構逆風が強い状況の中で、改めてどういうふうに支えていくか、どう支持していくかというのをお聞かせください。
(大臣)さっき清水さんが言ってくれたように、これだけやっている、歴史的なこともやっているのにこれだけ評価が低い落差、これが何なのかということは総理自身も感じておられると思います。そして、御自身の発信に問題があるということも自覚されています。そういった中で変わろうという努力をされてきました。最初、プロンプターを始める前はずっと下を見ているといってたたかれたんですよね。そして、プロンプターを始めたら、右、左を見ているとたたかれはじめたんですよね。私は変わろうというふうに努力をしている総理を近くで見ていて、総理って本当に不器用過ぎるほど不器用で、もっと自分がやったことを言えばいいのに、言わないんです。もっとPRすればいいのに、とにかく仕事を前に進めることに全集中しているんです。私はその総理に対する正当な、総理の仕事ぶりに対する、課題解決を本当に一心にやってきたことに対する正当な評価が多くの国民の皆さんにしていただける環境を作りたい、それが支える者として今一番考えている日々です。

(記者)フジテレビの鈴木です。今こうやってお話をお伺いしていると、もうなんか、次に大臣は官房長官になるしかないのかなと聞きながら思ってしまったんですけれども、実際に総理のコミュニケーション能力というか不足の部分については、これまでもずっと言われている中で、これを今後支えていく中でどういうふうに具体的に変えていかれたらいいというふうに思われていらっしゃいますか。今、国民だけじゃなくて、結構党内からもかなり反発の声が上がっていまして、それはコミュニケーション不足というのを気にするのであれば、総理はどこをどう変えていけばいいのかという、もしそういう策というかアイデアみたいなものがあれば教えていただけますか。
(大臣)やはり人間誰しも変えられるところと変えられないところというのはあると思います。そして、ものすごく苦手で不得意なところをものすごく得意にうまくやるって、きついですよね。だから、私は総理には、壁に直面をしたときに、既得権を突破するときの突破力、そして、周りから止められても、そこまではさすがに無理なんじゃないかという、「ワクチンは70万が限界じゃないか」と言われても、「いや、100万だ」と言った。あれは総理一人しかいませんよ、100万だと言った人は。それでも決断ができる、「責任は俺が負う」という、その決断に対する覚悟、私はこれが総理の強みだと思います。あとは、その強みを総理が発揮していけるような環境をどうやって周りが作っていくか。苦手なところは周りが支えればいいと思います。もちろん、御本人に、「もっときれいに読まなくていいから御自身の言葉でお話をしていただくことを国民の皆さんは待っていますよ」と、そこも伝えてありますので、御自身にもそういったことを伝えながら、見せていただきながら、苦手なところは周りが必死に支える。その必死に周りが支える姿を国民の皆さんに見ていただくことも私は大事なことだと思います。

(記者)テレビ東京の松並です。先ほどの質問でも今日が小泉大臣の環境大臣として最後の会見になるかもしれないということで、やはりCOP26というところは、そこに向けて今までずっと御尽力されてきたところでもあると思うんですけれども、もし大臣が変わってしまった際の心残りというか、どういったCOP26への思いを引き継いでいきたいと思っていらっしゃいますか。
(大臣)もし変わったらということの話は今する必要はないと思います。

(記者)NHKの吉田です。これはNHKの質問としてなんですけれども、こちらの温対計画などのことについて1点だけちょっと質問させてください。
(大臣)いや、むしろこれが本筋ですよね。今日の会見のメインなので、これをむしろしてください。
(記者)こちらの中でも春先から宣言されていたように、2030年46%減ということが盛り込まれているかとは思うんですけれども、さらなる高み、50%の高みに向けてどうしていくのかというところがですね、これまでの議論を聞いているとなかなか描けないのではないかなと、描けていないんじゃないかなという印象を持ちます。もう46%を達成するということ自体とても大変な目標ではあることは承知はしているんですけれども、さらなる高み、その50%に向けてはどういうことが必要になるのかということをお尋ねしたいです。やっぱりカーボンプライシングがキーになるというふうに理解した方がいいんでしょうか。
(大臣)そのとおりです。カーボンプライシング抜きには46%も50%も達成できないと思います。その意味でずっとカーボンプライシングと言い続けてきて、昨日経団連の会長も前向きな姿勢を初めてあそこまで前向きに表明をしてくれたことは、私は本当にようやく大きな歯車が回り出すかもしれない、そんな気持ちです。ただ、もちろん46%で、カーボンプライシングが入ったって、ああ、これでもう全部大丈夫だという、そんな楽観はしていません。ただ、この2年間の世の中の動き、政治の世界の動きを1回振り返ってみてください。2年前にこれだけ進むと想像した人はいますか。日米で気候パートナーシップにもなり、一緒になって気候変動を語るようになり、2050年カーボンニュートラル与野党一致、カーボンプライシングも税制改正要望、経団連も前向き、企業の取組が一気に広がって、新しい再エネ交付金もできる、ポイントもやる、EVも電動車も今後100%にしていく道筋は立てた。エネルギー基本計画に再エネ最優先の原則ができた。この2年間で私自身もここまでくると思いませんでした。これが日本の力ですよ。一度高い目標でも大きな方向性を出せば、今まで反対したり抵抗したりした人も一度セットした高い目標に向けて世の中、社会全体の総力が一つの方向性に向かっていく。そして、他の世界と違うのは、政治的な対立がないということです、与野党で。これが何よりも私は政策の継続性にとって大きいと思いますね。ですから、今後大変ですけれども、この2年間を思えば決して不可能なことではないと、そういうふうに思っています。

(記者)産経新聞の奥原です。今のお話で、政治的な対立がないということなんですけれども、以前から言っているように、例えば46%の急進的な目標を掲げるということは他の産業界にひずみを生むんじゃないかという疑念もありますし、この2年間で大きく政策転換は果たされたと思います。昨年の秋に再エネが36%から38%になるなんて誰も言っていなかったというか、疑わしいものだったなと思ううんですけど、そういう一部の政治家であったりとか経団連であったりとか意識高い系のZ世代の方々であったりとか、そういった一部の方は気候変動対策で脱炭素が重要だという実感はあると思うんですけど、世の中一般にそういう気候変動対策、温暖化対策のために何が何でも脱炭素をやるんだという風潮にはなっていないと思うんですよね。いわゆる社会の上層部の人たちがごーっと突き進んでいってしまったっていう結果かなと思うんですけれども、そういった上からの方針転換みたいな、意識高いレベルでの方針転換みたいなところという政治手法というのはいかがと思われるかなと。これからそういうやり方になっていくのかなというお考えなのかと。
(大臣)それは政策課題によると思います。残念ながら日本は、ヨーロッパやアメリカのように、国民の特に若い世代からものすごく大きなうねりになって政治勢力が突き上げられる、選挙で突き上げられる、こういったことが残念ながら非常に弱い、日本は。そういった中で、世界は脱炭素の市場とルールメーキングとその脱炭素の技術による産業競争力で今後のマーケットのシェアというのが決まってくる動きに世界の金融の動きもなってしまった。じゃ、日本は下から突き上げられるのを待った上で、よし、ようやく政治が動くかといったら、残念ながらその間にもガソリン車市場はどんどん縮小していって、そして脱炭素市場がどんどん広がっていって、この動きが遅ければ遅いほど参入するチャンスが減るんです。遅ければ遅いほど雇用も失われていくんです。なので、これは政治がリーダーシップを取って前に進めていかなければいけない課題だというふうに私は思いました。そのアプローチの違いというのは政策課題によってあると思います。

(記者)エネルギージャーナルの清水です。また政局なんですけれども。
(大臣)珍しいですね、清水さん。
(記者)自民党といいますか、政党関係のプロの人、選挙プロの人には、自民党は50議席以上、このままでいけば減るんじゃないか、ゆえに公明党との連立政権も交代なんではないかという、こういう見方があるんですけれども、まさに環境政策が一時的な高揚で終わるかどうかということは、次期政権に向けて大きなやっぱり、日本としての重要な課題だと思う。そこで、自民党のこの今の嵐の中というか、大変な状況の中に小泉環境大臣は飛び込んでいくお考えがあるんでしょうか、どうですか。
(大臣)まさに今、総理をお支えしていることが、その厳しい局面に向かって、今までこの政策を、気候変動政策を前に進めてくれた方とこの厳しい局面に向かっていこうという、そういう今日々を送っています。この方向性が完全に逆戻りをすることはないと思います。それは今年の国会で法律にしていますし、さっきも言ったように、与野党で全会一致で成立させている法律が今後大きく変わるということは、私は想定できないと思います。だからこそ法的な担保で、政策の継続性というものが担保されていることが強みになって、法律の中に、温対法の中に「2050年カーボンニュートラル」と明確に文言としても位置付けたことの意味が必ず今後効いてくると思うので、私は、エネルギー基本計画で再エネ最優先原則を入れたことだって菅総理じゃなかったらできなかったけど、一度入れた以上、さあ、次でひっくり返してやるという勢力がもしかしたらいるかもしれないけど、そんなことにはさせません。以上です。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/RRWvrIIGjRw

(以上)