大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年8月31日(火)10:02~10:40 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

今日は冒頭は2件あります。まず1点目は、ジョン・ケリーアメリカ気候変動問題担当大統領特使が、今、来日をしています。今日この後、お会いしますが、そのことについて一言触れたいと思います。G20環境・気候大臣会合の際にお会いをしました。これは初めてリアルでお会いをしたのが先日のG20の場でした。2度目の対面での面会、オンラインや電話での会談などを含めると今回で6度目の面会ということになります。気候特使が、バイデン大統領になって就任をして、直後に会談を、オンラインですけども、電話などでやっていますので、私からするとジョン・ケリー特使が環境省に来る日が来たなと、そういったことを非常に感慨深く思いますし、日米が歴史上初めて気候変動パートナーシップというものを結んで、日米の新たな協力の領域に気候変動というものが加わったのを象徴的に表すのが今回のジョン・ケリー氏の来日ではないかなと私は捉えています。じっくりとCOP26に向けて議論を、共にCOP26の成功に向けて協力を確認し合いたい、議論したいと思います。ケリー特使とは先週も米日カウンシル主催のイベントでもオンラインで対談を行ったところであります。イベントは明日9月1日に配信されますので、是非事前登録の上、御覧いただければと思います。ケリー氏の点は以上です。2点目は、令和4年度環境省重点施策について、昨日次官などからも説明があったと思いますが、このことについて改めて取りまとめた検討のプロセス、そして私の思いについても一言触れたいと思います。今年の6月頃から、環境省のミッションや今後の政策の方向性について、各局縦割りから脱して、いかに部局横断的な環境省の取組が実現できるかということで、横断的な政策のディスカッションを20回以上やりまして、積み重ねてきました。私の海外出張後の隔離期間もオンラインでやっていましたので、幹部から若手職員まで最大で100人近くの職員がオンラインで徹底的に議論できたのは霞が関でも前例のない取組だと思います。まず、環境省のミッションについては、お手元にもお配りをしてありますとおり、環境庁創設から50年という節目の時期を迎える中、コア・ミッションとして次の2つを位置付けました。脱炭素、循環経済、分散型社会への移行を目指した「時代の要請への対応」、そして人の命と健康を守るという「不変の原点の追求」。次に、政策の方向性については、今回は2050年カーボンニュートラルの宣言がされた後、初めての予算要求となります。昨年10月の菅総理の宣言を契機に、企業、金融、地域における取組が本格化してきました。環境省としてこうした努力をさらに後押ししていくとともに、残されたピースである国民1人1人のライフスタイルの転換を推進し、今までの延長線上ではない、社会全体の行動変容を実現することが必要であるとの結論に達しました。こうした問題意識の下で、今回、令和4年度環境省重点施策として、カーボンプライシング、各分野での制度・ルールの見直し、予算や減税措置、そして環境省の体制強化、こういった分野横断的な政策パッケージをまとめ上げました。特にカーボンプライシングについては、環境省は今まで長年、力強く取り組んできましたが、ようやく総理の指示の下、政府全体で検討する体制が整ったということもあり、今回、税制改正要望にもカーボンプライシングをノミネートすることとなりました。そして、環境省の事務方とも何度もこの件についてどう進めるかを議論した過程の中で、私が非常にうれしかったのは、事務方の皆さんの方から、「大臣、戦います」と、「もう不退転の決意でカーボンプライシングは進めてまいります」と。今までよく羽交い締めにされることもありましたが、カーボンプライシングについては省を挙げて戦うという、そういう宣言が職員からあったことを心強く思います。例えば、イメージからすれば、私は税の部分で言えば石石税、石油石炭税というのは今、間違いなく石油、天然ガス、そして石炭、この階段で一番税率が低いのは石炭ということで、これこそまさにカーボンプライシング、脱炭素の時代の中では逆行している象徴的な、今、税目になっていると思いますし、そういった1つ1つをしっかりと政府全体として脱炭素型に政策を変えている。その取組を環境省を挙げて不退転の取組の決意でやっていきたいという職員の思いが私にも表明されました。ということで、年内の取りまとめに向けてしっかりと環境省を挙げてやっていきたいと思います。冒頭、私からは今日は以上です。

2.質疑応答

(記者)日本テレビの川崎です。今、大臣がおっしゃったところの中で、「国民1人1人のライフスタイルの転換」というワードがありました。その中で今、グリーンライフポイントに関して色々お話を聞かせてください。国民に配慮するポイントだと思うんですけれども、来年4月から世の中はどういうふうに変わるのか、大臣から見る4月の光景というのはどんなことが想像できるでしょうか。それが1点。それから、行動変容をするのに10億円というお金が出てますけれども、この額は少なすぎないかとも感じます。その辺の補正予算を含めた今後のシナリオ部分も含めて教えてください。
(大臣)総理から経済対策の指示が昨日幹事長にされたという報道もありますが、今後、そういった機会も含めてインパクトのある形で、今までの延長線上ではない、社会全体、国民1人1人のライフスタイルの行動変容につながる形につなげていきたい。その1つがこのグリーンライフポイントにも込めた思いですので、まず来年度の概算要求、重点要望として出しましたが、様々な機会を通じてより社会を大きく動かしていくための全体の今後の経済対策も含めた連携は頭の中では持っていたいなというふうには思っています。そして、来年4月からどう変わるかという御質問ですけど、これはプラスチック新法による来年4月からの世の中の景色の変化と、このグリーンライフポイントの変化というのは結果として共に相乗効果を発揮していくと思います。まず、国民の皆さんにとって身近なコンビニ、スーパー、ドラッグストア、こういったところでは間違いなく景色は棚を見れば一変すると思います。今、特保の商品が、特保のマークの付いたガムとかドリンクに付いていますけど、これが環境配慮設計のものが同じように環境版特保のようにもう景色が変わって世の中に並んでいくようになります。どの商品が、仮にプラスチックのペットボトルだとすると、再生プラスチック100%利用のものと、そうではない使い捨てプラスチックのものは環境配慮設計かどうか、もう一目瞭然ですから、それが今までは分からなかったと思います。それが分かるようになります。そして、4月以降、例えばホテルや旅館、そういったところに泊まる方、今までだったら無料で使い捨てプラスチックを使われる歯ブラシとかアメニティー、そういったことについても今までとは全く変わってきます。そして、例えば、4月を待たずにもう既に動きだしているところで言えば、例えばスターバックスなど、国民の多くの皆さんに身近な生活の中の様々な場所で既にプラスチックを減らしていく方向が始まっています。併せて、このグリーンポイントというのは、そういったものを積極的に買うこと、消費者の皆さんの選択が、むしろそういった環境配慮設計の商品を選ぶことが得をする、そのインセンティブを付けるものでもあります。特に私がこのポイントで強調しておきたいのは、かなり幅広いものを網羅する説明が昨日事務方からあったかもしれませんが、最大のポイントの一つは食であります。これは誰もができる脱炭素の行動の1つは食です。地産地消、そして旬のもの、国産、これを選べば結果としてフードマイレージも小さくなりますから、是非多くの皆さんには地産地消、国産、こういったものも、実は何気なく取っていた今までの選択が脱炭素の行動としてポイントが付くような形で食を応援をしていきたい、そんな思いを持っています。来年4月から、若しくはそれよりも前から、世の中の景色は間違いなく変わっていくと思います。

(記者)読売新聞の山下です。カーボンプライシングの税制要望についてお伺いします。1点目が、有識者から意見の多かった「炭素税」という文言が文面上入っていないんですけれども、これは見方によっては慎重になっていらっしゃるんじゃないかなと思えるんですけれども、「炭素税」という文言が入っていないことへの受け止めをまずお聞かせください。
(大臣)「炭素税」という文言が入っていないということは、取引とかクレジットとか、そういった1個1個を全部書くのではなくて、むしろ年内の取りまとめを目指してカーボンプライシングを今回の税制改正要望にノミネートしたというのが最大のポイントです。このカーボンプライシングを税制改正要望にノミネートするのは初めてですから、そこまでも行かなかったんですよ。しかも、年内の取りまとめだと。そこもしっかりと文言に最後に加えて、そして、そこで不退転の決意を環境省としても示していくわけです。さらに今、私、石石税の話をしましたが、今でも既にこの脱炭素、そして再エネ最優先の原則を阻害するようなものがあるわけですから、それは直ちに変えていくべきだと思います。環境省の職員を含めてみんな同じような思いです。
(記者)今まさにお話があった「年内に一定の方向性」ということなんですけれども、税だと当然、法律改正とかですね、準備もあるとは思うんですけれども、イメージとして、年内の政府・与党の税調でですね、このカーボンプライシングについて一定の結論が出て、早ければ来年度にも何らかの動きがあるというスケジュール感という理解でよろしいでしょうか。
(大臣)例えば分かりやすく例を出すと、EUなんかは2026年という5年を一つの目安にして、それで炭素国境調整措置などをやっていくと言っています。だから、カーボンプライシングで大事なのは、長期的に見たら炭素価格が上がっていきますよと。そういう価格シグナルを出すことによって、早く脱炭素の方向に移行した方が負担が少なくなる。そのことによって、そのメッセージで企業、産業界を含めて行動が脱炭素の方により加速をしていくことを促すのがカーボンプライシングの大事なポイントです。それからすれば、よくこのカーボンプライシングの議論をするときに、「このコロナ禍で経済が傷んでいるときに何を言っているんだ」という、そういう声がありますけど、これは全くカーボンプライシングのことを理解されていないと思います。今日、明日の話ではなくて、今後2050年カーボンニュートラルに向けて長期的なシグナルとして打ち出していかなきゃいけないし、そのために不可欠なのはカーボンプライシングなので、むしろ今からコロナ後を見据えたときの経済競争力、産業競争力、このためには今から議論をしておかなければ、方向性を決めておかなければ、完全にコロナから脱却をして、さあ、これからの日本経済、社会をどうするかというところから始まって議論をするんだったら到底カーボンニュートラルは実現できない。ですので、足元のこの経済状況とは別の話だと、そういうことをご理解いただければと思います。

(記者)テレビ朝日の川﨑です。昨日総理と会われていらっしゃったんですが、どういったことを話されたのでしょうか。
(大臣)昨日は環境省、経産省の事務方が一緒に入りまして、プラスチック新法について、総理にどういったものが環境配慮設計なのかというものをお示しして、御説明をさせていただきました。というのも、やはり国民の皆さんにとって身近なプラスチックというものが歴史上初めて法律になって、そのことが国民の皆さんに影響が出てきますので、それを総理にしっかりと、こういった法律になっています、ポイントはこうです、と。先ほど日本テレビの川崎さんからお話があったように、じゃ4月からどういうふうに世の中の景色が変わるのか、それを総理に報告するのは大事なことだろうということで、環境省、経産省が一緒になって説明をしたということであります。
(記者)ちょっと話が変わってしまいますが、二階幹事長が降りるという報道がありますけれども、常々総理にこの間も厳しいことをおっしゃっていると話されてましたけれども、そういった立場からですね、逆に、「では汗をかいてくれ」というような、幹事長のポストの話などは出たりということはあったのでしょうか。
(大臣)どういうことですか、その後半の部分は。
(記者)自民党のポストの新しい話とかについて、そこで話し合いをされたことはありますか。
(大臣)報道にはいろいろ出ていますけど、人事の任命権者は総理、総裁ですから、それは他の人がコメントすることではないと思います。ただ、私としては、再生可能エネルギーの最優先原則を様々な党内の抵抗も政府内の抵抗もはねのけて、ぶれずに運び切っていただいたのは総理ですから、今までもその方向性を共に歩むために汗をかいてきました。私としてはもう1つやらなければいけないのは、なかなか総理に入っていないというふうによく言われる厳しい声を総理にもしっかりと届けなければいけない。今、党内に相当厳しい声もありますし、仮に派閥が「総理(を支持する)」と言っても、私はそんな簡単(に決まるよう)な状況ではないと思います。そういうことも含めて、今の状況を正確に支える方に入れることも支える側の責務だと思いますので、正直汗をかくというよりも、いつ、あまりに厳しいことを耳に入れ過ぎて、「もうおまえの顔は見たくない」と、そういうことを言われかねないなということも思いながら、汗をかくことと同時に、時には冷や汗もかきながらも、やらなければいけないと思う。だけど、そういうこともしっかりと受け止めてくださる方ですので、そこも、言われているような人の声に耳を傾けないわけではありませんので、仮にそういうふうに思われているとしたら、そうではないということも、多くの若手も今声を入れたいという方がいますから、しっかりそういうところもつないでいきたいなと思いますね。

(記者)共同通信の水内です。カーボンプライシングの話に戻るんですけれども、長期的なシグナルが必要であるというお話と、その前段として、従来からおっしゃっているような、石石税を脱炭素の観点から早急に見直さないといけないという本日もお話をされたと思うんですけれども、その部分については先行して変更することはあり得るんでしょうか。
(大臣)私は十分検討の余地がある思います。なぜなら、誰の目でどう見ても、化石燃料からの脱却を日本も世界も目指しているのに、化石燃料に一番得な税制になっているんですから。その一番石炭が安くなっているということを説明をするときにですね、よく言われるのが、これはエネルギー安全保障を含んでいるので、単純に排出比例でこの階段になっているわけではありませんみたいな説明をされるんですけども、いや、エネルギー安全保障は他の制度でやればいいじゃないかと。石石税で合理的、科学的になかなか説明し難いような要素を入れて階段を付ける必要は私はないと思います。そして、エネルギー安全保障の重要性は、ものすごく大事だからこそ、再生可能エネルギーを最優先で主力電源にすることがエネルギー安全保障にも資するから、早く頭を切り替えてそちらに行かなければいけないとずっと言ってるんです。しかし、その再生可能エネルギー最優先原則と主力電源化を阻害する1つが、化石燃料の方が負担が低いということです。それをやっている限り、水素も再エネだって社会に実装されないですよ。だから、よく水素、水素という方は、「水素よろしく」と言うんだけど、「カーボンプライシングよろしく」と言わないんですよ。そこもしっかりと、水素も再エネもカーボンプライシングも全てがつながって初めて整合性のつく脱炭素の方向に資する政策なんだということを、政府内でも理解を得て、できるだけ早く、それとは違う、逆行性のものは正していかなければいけないと思います。
(記者)ありがとうございます。重ねてですけれども、EUが5年後、2026年という話で、ちょっと先ではありますけれども、それより前に石石税の部分は、例えば来年度とか、そういうことを見据えていらっしゃるんでしょうか。
(大臣)ちなみにEUの5年後というのは、EU国内のことというよりも、むしろ外国との取引の中で発生する炭素国境調整措置、そこの部分なので、むしろ日本はまだそこのところに議論は行っていない。国内でのカーボンプライシングをどうするか、そこの議論ですから。私はそこも立ち止まっている時間はないというふうに思っています。

(記者)エネルギージャーナルの清水です。2点あるんですけれども、まず1点目は、「脱炭素・再エネ立地交付金」について伺います。仕上がりの状況は、単年度200億円、そして8年間の長期の事業としてやるということですけれども、先ほど来カーボンプライシングの議論が出ていますが、長期の8年で回していくということなると財源が必要になってくると思います。そこで、カーボンプライシングなり石石税の見直しというものが連動してくるのかなと思うんですけれども、仕上がりのですね、200億は、規模が問題ではないとおっしゃっていましたけれども、やっぱり、自治体から見れば、環境省のやる気をどう見るかは、かなり予算規模によってくると思うんです。その辺の仕上がった状況から見た大臣の今の認識といいますか、これが1つ。
(大臣)まず事務方の皆さん、よくここまで運んでくれたと思いますよ。それは、新しい制度を作るってそんなに簡単な作業ではありませんので、そこは突貫工事で、かつ中身のあるものにしていただいたと。私の指示はもう一貫して、規模や額に重点を置くのではなくて制度に重点を置いてもらいたい、そのことでした。ですので、打ち出しは200億ですが、これは20~30箇所を想定しての額であります。2030年までに100カ所を想定していますから、この200億×5ですね。それで100箇所になります。だから1,000億規模を想定しているというのは、昨日事務方からも説明があったはずです。自治体が環境省の本気を見ているということもそうですけど、環境省も自治体の本気を見ています。よく私、長野県の例を出しますけど、長野県の本気度、そして横浜や東京、京都、400以上のゼロカーボンシティが宣言される前から、最初の4箇所だった。私からするとゼロカーボンシティのコア自治体みたいなイメージですけど、そういったところの取組はやっぱり本気度が違いますよ。長野県の2030年のCO2削減60%とか、これから建設する住宅は基本ZEHにするとか、やはりそういったところが報われるようにしたいですね。
(記者)関連するんですが、促進地域の指定なり選定をやっていくんでしょうけども、一方で環境省は数年前から里地里山、あるいは生活圏の環境保全というか、これを、かなり柱にやってきたわけですよね。再エネが最優先ということで地域でなると、まさに里地里山とか里海とか、あるいは「30 by 30」の話もありますけど、そういうところと競合するというか。一方で、再エネ促進地域だけは経済的なメリットが自治体にはあって、利用者にもあって、しかし地道にそういう里地里山とか地域の環境保全に対しては、評価がされないとは言わないけれども、国から、環境省からあまり評価がないというのは、ちょっとその、統一性というか、整合性というか、環境政策としてここはちょっと矛盾するのではないかということを感ずるんですが、その点どうですか。
(大臣)それはそういうことはないと私は思っていて、その明確な方向性が出たのが先日の記者会見で発表した「30 by 30」です。これは里地里山とか、あとは地域循環共生圏、環境省がずっと言っている、これを発展させた分かりやすい方向性が2030年までに30%の陸と海の自然保護区域を作るということなので、今、環境省の向かう政策の方向性と達成目標が明確になっているんですよ。気候変動分野は、2030年の46%、そして50%の高み。生物多様性の分野、自然保護、これについては2030年度30%。ですから、この46と30を2030年に達成するのが環境省の使命なんです。もちろんこれは政府全体でやるということ。ですから、清水さんが御懸念されるような、2つが相矛盾していくということではなくて、両方が同時達成されるようなことが環境省が向かっている方向で、これがイギリスがよく言っている、「Nature Based Solution」と彼らは言うんですけれども、自然を活用して社会課題を解決するアプローチ。この先駆けが環境省から始まっているというふうに御理解をいただければと思います。

(記者)朝日新聞の川田です。今日のケリー特使との会談ですけれども、目的というか、何を話し合われるっていうことなんでしょうか。
(大臣)ケリー特使、この後、中国に行きます。中国は世界最大の排出国でありますし、世界第2位の経済大国の相応の責任を果たしていただく必要があります。そして、COP26が目の前に迫っている中で、いかに世界全体で取組の強度を高めていくか。そして、先日IPCCからも発表があったとおり1.5度目標の達成はまだ死んでいないと。そういった国際的なメッセージを出すには、中国の前向きな取組を引き出す、そこが不可欠です。そういった観点からも、ケリー特使ともCOP26の成功に向けて必要な議論を今日はしたいと思いますし、今までもオンラインなど、また先日のイタリア、イギリス、その場でもかなりコミュニケーションを取っていますので、継続して共有していることも今日改めてお互いのアップデートを共有したいと。そしてまた、ケリー特使の様々な今後の活動の中でも、今後の連携と情報共有を確認をする場にしたいというふうに思いますね。特に日本としては自治体の取組を重要視しているところもありますから、アメリカもそれを重要視していて、その観点からもより幅広い協力の可能性があるんじゃないかということも含めて、こちらからも様々な提案を投げ掛けたいというふうに思います。
(記者)もう1点、先ほどのカーボンプライシングに戻るんですけれども、炭素税に関してなんですが、制度設計とかもまだ広がっていない状況で、ある種、事項要求のような形になっているんですけれども、炭素税に関してはどういう位置付けなんでしょうか。
(大臣)ポリシーミックスという形で位置付けていますけど、どれか1つだけで今までの延長線上ではない行動変容が起きるとは思えません。炭素税単独で不可能だし。ですから、環境省が今回施策として、今お配りしているペーパーの中で、カーボンプライシングの一番左側で下に矢印が貫くように示してあるのは、全ての政策をカーボンプライシング原則のような方向性で、言わば政府全体の政策を脱炭素原則にしていくということです。だから今回、中小企業向けのCO2削減連動型の新たな補助金、これは中小企業向けにも打ち出しているので、削減すればするほど得がありますよという形にしているんですよ。先日の排出削減等指針、これの話をしましたけども、これも環境省のエネ特、この特会の補助金の使い方も、いかに早く排出削減にいくかという、そういったところの企業にむしろ優先的に採択をする。それがカーボンプライシングの原則なので、どれか1つだけということで解決する問題ではない。カーボンニュートラルが達成できるわけではない。ただ、明確に石石税をこのままにして再エネ最優先原則になりましたと言えますかといったら、言えないですよね。そういうものは1つ1つ変えていく必要があると思います。

(記者)環境新聞の小峰です。また私も、実は今日は、オリンピック・パラリンピックが無事に終わった、又は終わりつつという質問を予定していたんですけど、その質問を用意していたんですけれども、この質問は次の会見、パラリンピックが終わる頃にもう1度聞くとして、より重要なことがやっぱり出ましたんで、お聞きたいと思います。そちらに限りまして。カーボンプライシング、先ほどから出ている。税制改正要望の概算要求は、先週の木曜日、8月26日の16時にですね、専門紙、全国紙の方の記者クラブの会員に配布されました。それがですね、翌27日、水曜日の13時43分にですね、最も肝心なカーボンプライシングの修正文が入りました。その修正というのは、進次郎大臣もよくご存じの「年内に一定の方向性の取りまとめをすべく」という肝心要のところが入ったんですね。ところが、先週の木曜日の配布資料にはそれが抜けていたと。何で抜けているんだろうと私は思いましたよ。何か菅総理の退陣を前提にですね、菅政権の退陣を前提に、26日の時点では書いたのかなとも、変なふうにうがってしまいましたけれども、「年内に一定の方向性の取りまとめをすべく」ということが入ったのは、これは小泉進次郎大臣の強い意向なんでしょうか。それをお聞きしたいと思います。
(大臣)まず、ものすごくうがった見方だということだけはお伝えしておきます。ただ、小峰さんが言うとおり、最後の最後でここが加わったということは事実です。その過程で何があったかというと、やはりカーボンプライシングをずっと実現をさせたい、本格導入させたい。ただ、今まで総理が12月に経産省も一緒になって検討しようと言うまでは、もうカーボンプライシングのカの字に触れた瞬間から経産省も産業界も、もう血判状を発動するというか、反対でつぶすと、そういうような環境だというふうに見ていたので、とにかく誰も怒らせないように、誰からも反対が出ないように、寝た子を起こさないようにという意識が非常に強かったんです。しかし私の考え方は、むしろ反対なら反対だと表で言っていただかないと、カーボンプライシングの必要性や、若しくは課題、それが世の中の多くの方に共有されないだろうと。だから、もしも反対であるならば、表で言っていただいて構わないと。そして、よく「産業界は反対ですね」と言われますけども、これは全く事実と反することで、経団連の加盟企業の中では、「早くカーボンプライシングを本格導入してほしい、すべきだ」という企業と、「いや、これはちょっと炭素集中ガス排出型の部分にとっては厳しい」という声が分かれているんです。さらに事実を掘り下げていくと、EUなどカーボンプライシングを本格的に導入して日本よりも炭素価格のかなり高い国であったとしても、鉄鋼とかそういう配慮が必要なところに対しては、無償割当てなどの配慮をした上でやっているんです。そういったことを抜きにカーボンプライシングということを持ち出すだけで反対するぞということにおびえていては、これだけ世の中の、今までの延長線上ではない、行動変容を起こすようなものは実現できない。そんな議論を環境省内で度々やりまして、最終的にこの「年内に一定の方向性の取りまとめをすべく」という、「元々書いてあることも遠慮せずに書くべきだという認識に至りました」と。「我々を戦わせてください」という職員の側からの声があったので、「今から差し替えになるけど、よし、その意気込み、一緒になって戦っていこう」と。そういうことになったいうことが顛末です。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/pnwK-Ccg8I0

(以上)