大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年8月27日(金)10:00~10:45 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

今日、私からは冒頭2件あります。1つが、今、画面にお示ししているとおり、生物多様性について。そして、2点目が、かねてからカーボンプライシングを待たずに環境省からできることをやらなきゃいけないと、そういった関係で新しい取組を始めていきますので、そこについても報告をしたいと思います。まず1つ目が、通称「30 by 30」と言われる、2030年までに陸域、そして海域、30%以上を自然環境エリアとして保全する取組、これが「30 by 30」というふうに国際社会ではよく言われるんですが、日本は既にそういったことに賛同し、そこに向けて進めていくことは言っているとおりです。今日の中央環境審議会より、次期生物多様性国家戦略の検討を開始をします。現在、国際的に検討が進められている次期世界目標に先んじて国内での議論を進め、国内での先進的な取組を推進していきたいと思います。次期世界目標の重要な要素が、2030年までに地球の陸と海の30%以上を自然環境エリアとして保全する「30 by 30」です。今回、環境省では、日本での目標達成を目指すための「30 by 30ロードマップ」を策定することとしました。今、こちらの画面でお示しをしているのがその基本コンセプトになります。「30 by 30」の実現の鍵となるのは、企業などにより自然に優しい土地の管理が行われるエリア、いわば自然共生地域と言うべき、このことはすごい難しい表現なんですけど、OECMというふうに英語では言われるんですね。これも、我々としては、これじゃ分かりにくいだろうということで、自然共生地域というふうに現時点では表現をしています。例えばですね、どういうところかというと、企業の持っている森や林、企業有林などもそうですし、例えば明治神宮とか、こういう神社、そしてお寺さん、鎮守の森とか、こういった社寺林もそうです。そして、例えば東京の中で言えば東京ミッドタウンとか、ああいうふうに広く緑地が守られているようなところもありますよね。こういったことも含めてですね、都市内の緑地なども候補となり得ます。国際目標の達成に向けて、より多くの地域や企業、そして国民1人1人の力を結集するものとなるように制度設計を進めていきます。ロードマップは、次期世界目標の決定が見込まれる来年5月ごろまでに策定をして、2023年には、様々なステークホルダーの御協力をいただきながら、各都道府県内に、要は全て47都道府県に作っていきたいと思いますし、全国では少なくとも100地域以上を先行的に認定するなど、具体的な目標を盛り込みたいと考えています。このようにロードマップではなっていますが、一番鍵となるのは、いかに個人、そして企業、そしてまた、農家さんで言うと棚田とか、そしてまた、今、小学校とか、学校でビオトープとか活動をやられているところも多くあります。そういった多くの方の参加によってこの2030年までの30%の自然共生エリア、これを確保する、こういった取組を進めていきたいと思います。そして、2点目が、かねてから申し上げてきたとおり、カーボンプライシングを待つ余裕はありません。環境省からできることはやらなければいけないと申し上げてきましたが、その一環として、改正温対法に基づく新たな排出削減等指針の策定に向けた作業を開始をします。まず、国内外の技術情報などのファクトを収集・整理をして、年内にも一定の整理を取りまとめて発信をします。脱炭素化に向けて利用可能な最高水準の技術を持った機器・設備に関する事項、そして脱炭素経営に関する事項、企業が消費者に提供すべき情報、こういった取りまとめた成果は、新たな排出削減等指針への反映を検討します。実施すべき対策のスタンダードを示して、各企業の気候変動対策をより実効あるものに引き上げていきます。また、指針を踏まえた率先実行を促すために、環境省のエネルギー対策特別会計予算の補助金については、排出削減等指針に沿って取り組んでいる企業を優先的に採択するよう段階的に移行を図ってまいります。こうしたルール変更を環境省が主導して、脱炭素化技術を前倒しで導入していく企業やビジネスモデルを脱炭素型に積極的に転換していく企業が競争上有利になるような社会を構築していきたいと思います。今日、冒頭、以上2件になります。後は幹事社さんからお願いします。

2.質疑応答

(記者)日本テレビの川崎です。「30 by 30」の話をもうちょっと詳しく聞かせてください。生物多様性、自然への環境配慮、これは素晴らしいことだと思うんですけれども、であれば、具体的にこれは本当に実現可能なのかというふうに思ってしまうことがいくつかあります。企業の土地と今おっしゃいましたけれども、それが本当に可能になるのかどうか、いわゆるそれにまつわるインセンティブというのが果たしてあったりするのか、壮大なる目標ではないのか、その辺りをもう一度話をお聞かせください。
(大臣)まず、実現可能かというのは、可能だと思います。今から0%から30%にするということではありません。まず、陸のところで言うと、現時点で日本の陸域の保護地域面積割合が20.5%です。あと9.5%必要になります。そして、海域、今が13.3%、この方が野心的な取組になっていますから、あと約17%ですね。しかし、我々としては、政府、そして民間の皆さん、一丸となって達成可能だと考えています。じゃ、どうやるのかという今の御質問に対しては、環境省としては、まずは国立公園などの保護地域の拡張、こういったことも考えています。そして、企業や地域団体など様々なステークホルダーに御協力を呼び掛けながら、生物多様性保全に貢献する地域を、先ほど自然共生地区みたいなことを言いましたが、国際的にはOECMと言われるものに認定をしていきたいと、そう考えています。このため、昨年度から有識者や関係省庁と議論を順次進めてきています。今年度中には陸域の認定基準の考え方を取りまとめます。具体的な目標設定、進め方は、今後策定する「30 by 30ロードマップ」や次期国家戦略の中で示してまいります。認定を受けた企業や団体がメリットを実感できる仕組みを構築をして、国、地域、企業、国民の取組を結集していきたいと思います。今、インセンティブとかという御質問もありましたけど、同じような発想でインセンティブがないと動かないなと思ったのは再生可能エネルギーなんですね。だから、今、制度設計、詳細なもの、今日自民党の部会でもお話もしますが、再エネ促進区域をより作っていく、自治体が再エネを導入することにインセンティブを感じるようなものにするために交付金を今回創設することを決めています。じゃ、今回、この「30 by 30」を達成するために、より認定をする行動に対するインセンティブとして何ができるのかということも含めて省内で議論を進めるように私からも指示をしてありますので、併せて今後そういったことも考えながら議論を進めさせたいと思います。

(記者)NHKの吉田です。私も「30 by 30」の関係で伺わせてください。もう少しですね、OECMの部分について、今後どうなっていくのかというところをもう少し詳しく伺いたいんですけれども、自然共生地域とか、呼称についてはまだお考えになっているところだと思うんですけれども、こちらに認定されるとですね、何か保全のための開発の制限ですとか、何か、経済活動の制限というものがかかるんでしょうか。あと、それと併せて、保全地域を増やしていくということは、経済活動の制約ですとか、あるいは、今、直近で進めようとしている再エネ導入拡大ですとか、そういった側面にも何かしら影響が出てくるのかなと思うところではあるんですけれども、その辺り、生物多様性の保全と再エネの拡大導入の両立といった面で大臣はどうお考えなのか、よろしくお願いします。
(大臣)まず、具体的な進め方、これは中央環境審議会、今日から検討を進めますので、来年5月に決定される次期世界目標を踏まえて、来年秋頃の策定を目指す中で、今、吉田さんがおっしゃったような様々な論点についても具体的に詰めを行ってまいりたいと思います。ただ、大事なのは、じゃ、それが30%の自然保護区域を作ることでそれが経済活動を阻害するものなのかというと、今、世界的な認識はむしろ逆だと思います。自然を活用することで社会課題の解決につなげていくというアプローチ、これを国際社会、特にイギリスがすごく力を入れて言っているのが、「Nature Based Solution」という言葉もよく使っています。まさに、自然の力を生かして、例えば防災に活用すること、そして健康につながるような取組にもつなげること、そしてまた、じゃ、このOECMに認定をされる候補地としてどういうものがあるかというと、先ほど棚田という話をしましたが、実は私、石川県の輪島市にある千枚田という棚田の、私オーナーなんですね。その1枚、小さな区画ですけど、毎年お米を送っていただいています。まさに生物多様性とそして自然保護と両立をしているような農業をやられている方もいっぱいいます。そういった方々が作られた有機農法などに基づいたものを積極的に消費者が買うことによって応援して、結果、そういう地域を守ることにつながることが、むしろ環境と経済を両立させる取組を後押しをする消費を生むことができると思います。今後、このOECMが正式に認定をされて動き出す過程の中では、今、私たちグリーンポイント、このポイントの話も進めていますが、より後押しをしやすいようなインセンティブとの連携、そしてまた、今後そういったことが認定を受けた暁には、より消費者の皆さんに選んでもらいやすい、そんな見せ方もできる可能性があるのではないかなと思います。
(記者)もう1つ、あの、最後に御質問させていただいた再エネの導入拡大との両立といいますか、兼ね合いについてはいかがでしょうか。
(大臣)そうですね、まず、再エネについては、やはり今、屋根置きとかPPAとか、相当加速をしてきました。今までPPAモデルとかも導入してこなかった事業者、企業などもこれから一気にやりますということがあって、これが進んでいけば、自然を破壊せずに、むしろ、今までは未利用の屋根だったり土地だったりするようなところをより活用する形が加速していくのではないかなと思います。そしてまた、この自然との両立をするために、促進区域と併せて、促進をしない、そういった考え方もやっていく、こういったことも言っていますので、この再エネを導入することと30%の保護区域を守っていくこと、これは私はしっかり両立をした上で、2030年の気候変動の部分で言うと46%の削減目標、自然保護区域で言えば30%目標、これを両立して達成する、環境省としての大きなミッションだと思っています。

(記者)琉球新報の安里です。大臣、2点ほどお伺いします。在沖縄のアメリカ海兵隊がですね、26日に普天間飛行場に貯蔵していた有機フッ素化合物、PFOSですね、の公共下水道への放出を始めました。除去作業をした上で放出しているとして、日本の暫定目標値である1リットル当たり50ナノグラムを下回っていると主張しております。他方で、県が焼却処分をこれまでずっと求めてきたという経緯もございます。そうした中での放出となります。昨日、日米合同委員会でもですね、和泉洋人首相補佐官がですね、グリーン駐日米臨時代理大使に対して遺憾を表明して、放出中止も求めているということもございます。まず、2点なんですけれども、環境大臣としての、まず受け止めとですね、2点目は、米軍は在日米軍施設の環境保全を定めた日本環境管理基準に準拠しているというような主張もしているんですけれども、こうした米軍の対応は適切であるか、日本の環境政策に沿う対応だとお考えでしょうか。その2点をお願いします。
(大臣)まず、普天間飛行場内の地下貯水槽に保管されたPFOSを含む水の取扱いについては、放流しない処分方法などの代替案、これは今おっしゃった、例えば県が求めている焼却だとか、そういった放流しない処分方法などの代替案も含めて日米間で協議を行っているところにもかかわらず、一方的にPFOSなどを含む水を放流したことは極めて遺憾であり、アメリカ側に対して強く抗議しました。これまでの公共用水域への流出事案などもあり、地元沖縄県では大変不安に感じているものと認識をしています。PFOSなどを含む水の適切な処理に向けて、環境省は引き続き関係省庁、そして沖縄県などと連携をして対処してまいりたいと思います。そして、2点目の御質問で、日本環境管理基準にという御質問がありましたが、一般的にアメリカ側は日本環境管理基準、JEGSに基づいて適切な環境管理に努めているものと承知をしています。一方で、今回の放流については、JEGSへの適合性も含め、日米間で協議を行っている中で一方的に行われたものでありますので、アメリカ側に対して改めて詳細を確認しているところであります。
(記者)確認なんですが、強く抗議されたということでよろしいですか。
(大臣)はい。抗議をしたということです。
(記者)昨日の段階でされたということでよろしいですか。
(大臣)これは昨日でいいのかな。昨日ですね。

(記者)共同通信の佐藤です。アメリカからの報道についてでして、バイデン政権で気候変動問題を担当しますケリー特使が今月31日に訪日して小泉大臣と会談するという報道があるんですが、31日の会談予定とですね、その際どのようなテーマで会談されるのか、また、菅総理を始めほかの閣僚とケリー特使の会談予定はありますでしょうか。お願いします。
(大臣)そういった報道があったということは承知をしていますが、他国の要人の海外訪問ですから、現時点で言及は控えたいと思います。

(記者)電気新聞の匂坂です。排出削減等指針のことについてお伺いたいと思うんですけれども、こちらの取組は脱炭素に資する取組の一環としては理解できるんですけれども、これとカーボンプライシングとの関係がちょっと分からないんですけれども、炭素の価格を付けるといったカーボンプライシングとこれが一体どんな関係があるのかというところの補足をお願いできればと思います。
(大臣)カーボンプライシングというのは、まずは価格シグナルで脱炭素に取り組む動機をしっかりと示すというようなアプローチなんです。長期的に炭素価格が上がっていきますから、早く移行した方が得です。一方で、今回の指針がそのカーボンプライシングとどういう関係かというと、今回の指針は、じゃどういうふうに脱炭素化に取り組めばいいのかということに対して具体的にその脱炭素対策の基準を示していく。そして、環境省としては、その基準を示すだけにとどまらず、環境省としては最大の補助金であるエネ特、このエネ特のこれからの採択の在り方を、この基準に沿ってやっている事業者を優先的に採択をしていく、そのことによって脱炭素対策に取り組む企業の取組を加速をさせていきたい。つまり、全体の政策を推進する哲学として、カーボンプライシングのような、これから環境省の施策はそういう脱炭素の「カーボンプライシング原則」、そういった考え方に変えていきますよという形で企業の取組を後押しをしたい、既に頑張っている企業が報われるようにしていきたい、そういった形で整理をしています。

(記者)産経新聞の奥原です。総裁選で、昨日、岸田さんが出馬会見されましたけれども、既に菅さん支持を表明された小泉さんとして、岸田さんと菅さんの対決は何が焦点になると思いますか。
(大臣)やはりコロナ対策、ここにいかに向き合っていくかというのが、党員、国民の皆さん、菅総理と岸田さんで何が違うのかというのが最大のポイントの1つではないかと思います。ただ、私は大きな方向性に違いはないと思っています。なぜなら、岸田さんは野党じゃないですから。もしも野党であれば、ゼロコロナを主張するでしょう。しかし、自民党、今、コロナ対策の大きな方向性は、ゼロコロナ戦略ではなくて、ウィズコロナ戦略です。その中で、いかに病床の逼迫をこれ以上深刻化させずに、ワクチンを接種した方々、そして、状況の改善に伴って個人や企業の活動の抑制を緩和をしていける方向性を探る。このウィズコロナの方向性の中で、じゃ岸田さんはどこが違うのか、そういったところというのは、建設的に提言をいただく中で、今の政権の中で欠けているところを指摘するところは指摘していただいて、政策論争を活発にやる環境ができれば、私はそれはプラスのことだと思います。ただ、これは選挙ですから、どちらが勝つかによって大きく変わるわけであります。ですので、今後具体的な政策論争の中身をしっかりと、まだ1カ月ぐらいありますから、私もよく見ていきたいと思いますし、むしろ、今、政府の中でコロナ対策の指揮を執っているのが菅総理ですから、私は、耳を傾けるべきところがあれば、すぐにそれを取り入れることも含めて、総理は考えられた方がいいんじゃないかなと思います。

(記者)読売新聞の服部です。総裁選の関係でお伺いしたいんですけれども、今、「大きな違いがない」という発言もあったんですけれども。
(大臣)それはコロナ対策の方向性の話ですね。それは菅さんと岸田さんは、キャラクターも含めて違いはあると思います。
(記者)念のためなんですけれども、菅首相を引き続き支持されるということでいいのかということと、あと、小泉大臣自ら出馬する意向はないということでよろしいのかという確認をさせてください。
(大臣)当然、誰かを支持すると言って、「自分は出ます」とは言えないですから。
(記者)菅総理を依然として支持するという形でよろしいですか。
(大臣)もちろんです。昨日も朝日新聞さんからインタビューを受けて言いましたけど、1年前、安倍総理が辞めざるを得ない状況になって、「安倍政権を支えてきたあなたしかいない」と言って、派閥の皆さんを含めて、菅総理に「出てくれ」と、そういう動きがあったわけですよね。そして、菅総理は無派閥であって、そういった中で、私は国民の皆さんが菅総理に期待したことは、支えられた派閥に気を使って政治を、政権を担うことがない、無派閥だからこそ遠慮せずに国民にとって当たり前の改革を行う、その闘う姿勢を期待をしたと、それが当初の私は支持率が70%あった菅総理に対する国民の期待だったと思います。残念ながら、今、そういうふうに見られていません。私は総理には、「下ろすなら下ろせ」と、そういう不退転の決意で闘う姿勢を持ってこの総裁選に挑んでいただきたいと思いますし、是非、今、国民の皆さんが総理から聞きたいのは、もちろん政策で足りないところを、しっかり足りないところは認めて、より必要な政策を示してもらいたい。これだけ不安な日々の中で、安心を求めている人はいっぱいいると思います。そこに届ける政策はもちろんなんですけど、私は、同時に、やはり菅総理自身の言葉で感じていることを国民の皆さんに届ける、その姿勢を私は総理に持ってもらいたいと思いますね。記者会見で読むことは悪いことじゃないと思うんです。私だって必要なところは読みます。プロンプターだって必要なときは使うでしょう。しかし、それだけではなくて、やはり自分の言葉で、この危機の中にあるからこそ、官僚が作った言葉だけではなくて、もちろん手を入れていると思いますよ。だけど、総理自身が感じていることを危機の中にあるリーダーから発せられることを、私は求めていると思います。ですので、今回の総裁選は、特に国会で一言一句間違えたら大変だという世界とはまた違う、党員、国民の皆さんに訴える機会なんですから、総理自身の言葉で闘い切ってもらいたいですね。

(記者)神奈川新聞の石川です。横浜市長選についてお伺いします。菅首相もですね、小泉さんも、支援を表明された小此木さんがですね、野党系候補に大差で破れてしまうということになりました。まずこの市長選の受け止めとですね、この敗因の理由をどのように分析されていらっしゃるのかということと、2点目なんですけれども、小此木さんは政界引退の意向を示されております。小泉大臣は小此木さんのことを兄貴分として慕っておりましたけれども、そのことについての受け止めや、何か選挙後やり取りされたことがあれば教えてください。
(大臣)まず、敗因については、間違いなく政権のコロナ対策に対する市民の皆さんの不満、そして怒りなど、そのあおりを真正面から小此木さんが受けざるを得ない環境になってしまった。特に当選された山中さんはコロナという主張を最大にされていた方ですから、余計、構図としてはそういうことになってしまいましたね。そんな中、やはり無党派の方、10%近くしか小此木さんに行かなかった。そして、自民党の中の約4割しか小此木さん支持に回らなかった。まず、党内を含めてまとまり切らない中で選挙に勝つのは難しいですね。本当に尊敬する、そして慕う小此木さんが政界引退をされるという結果になってしまったこと、非常に残念に思います。ただ、お話をする中で、もちろん当日もお電話しましたし、それ以降も何度かお話しさせてもらいましたけど、わざわざ事務所まで挨拶に来てくれて、本当に義理堅く、小此木さんが仮に政界引退をしても、小此木さんのような懐の深い、温かい、そして本筋を忘れない、そういった姿勢を私としても引き継いでいきたいと。そして、小此木さんからは、「総理を頼む」という言葉もありますから、小此木さんの代わりをできる人は誰もいませんが、少しでも力になれるようにしたいと思います。

(記者)日刊工業新聞の松木です。排出削減等指針についてもう少し教えていただきたいんですけれども、指針のイメージできるようなもっと具体的な中身、どういった指針になるのか、「Best Available Technology 」とか書かれていますので、例えばハイブリッド車でなくて電気自動車にするとか、そういうことなのかどうかというのと、あと、「Science Based Targets」みたいな、そういう脱炭素目標みたいなものがこの指針に入ってくるのかどうなのか。それと、この指針を年内に整理するということですけれども、どういったプロセスで、有識者会議みたいなものを作って、やるのかどうか、その点について教えてください。
(大臣)これはまず、年内に示していく中で詳細については詰めたいと思いますが、一方で、このカーボンプライシングの議論、税制改正要望の話もありますけど、これでどこまで進むかというところも含めてですね、その周辺状況もよく確認をしながら、我々としてもどういう指針にすることが必要かというものをよく考えたいと思います。そして、今、松木さんが言ったように、この対策の指針となる1つは技術、例えば省エネ効率とか、そういったことも含めて候補になると思いますし、今、SBTの話を言いましたけど、TCFD、こういったことだって歓迎するかもしれません。そこをよく詰めたいと思います。ただ、年内が1つのめどですね。

(記者)テレビ朝日の川﨑です。水曜日に総理に会われていると思うんですが、その会われた際にどういう話をされたのか、ということ。あと、フジロックなんですが、フジロックの後援を環境省はされていると思うんですけれども、開催についてかなり意見もあった、中止すべきだという意見もあると思うんですが、その点について所感をいただければと思います。
(大臣)総理とどんな話をしたかというのは詳細は控えますが、やはり最近増えてきたなと思うことは、地元で相当厳しい声を聞いている同僚の議員から、総理にそういう厳しい声が入っているかどうか、そういうふうに言われることが多いです。例えば、ある議員は「地元でポスターを剥がしてくれ」と。今までは「貼っていいよ」と言っていたけども、「ちょっとそれはもうやめてくれ」と、そういうふうに言われているような現状も聞いています。一方で、そういった現実が起きていることがちゃんと耳に入っているだろうかというふうに不安に思っている議員が、そんな声も伝えなければいけないとも思っているので、こういったことに限らずですけど、様々、総理からすれば聞いていて面白くないこともあると思いますが、そういったことを入れる人がいなくなったらそれこそ本当に恐ろしいことなので、そういうことをやっていくことも、小此木さんもやっていたことだし、私もやっていかなければいけないというふうに思っています。そして、フジロックに関しては、もちろんイベントを開催するかどうかというところは主催者の判断なんですが、結論から言うと、今後、こういった政府として人流抑制をできるだけしたい、そして何とかこの感染拡大を抑えたい、そういった環境の中で、環境省として後援をする、そういったことは今後見直さなきゃいけない、そういうふうに思います。それが妥当だと思います。しっかり事務方にも、今後この後援の承認取扱要領というのがあるんですが、その見直しをするように指示したところであります。

(記者)エネルギージャーナルの清水です。「脱炭素・再エネ交付金」の概算要求の仕組みについて伺います。200億円当初というのは相当こぢんまりしたものに受け取りましたが、再三、大臣は、「再エネ立地交付金」については地方の脱炭素ロードマップも含めて、言われてきたわけです。これでは自治体のやる気、あるいは環境省が本気でやるのかどうかというところが伝わらない規模だと思うんですが。経産省は2兆円の基金を作ってもう既に運用しているし。自らのエネルギー特会、環境省のね、2,000億円ぐらいあるはずなのに、えらい小規模になったというところの認識と理由を教えてほしい。また、できればプラス、山梨県が太陽光発電規制条例を10月1日から施行します。そういった、言わば足かせ的なものも出てきている中で、交付金がこれだけ小さいというのはどうかなと思いますが、その2点について。
(大臣)まず、今まで清水さんにも申し上げてきたんですけど、規模じゃないと何度も言いましたよね。経産省の2兆も、世界的に見たらアメリカは数百兆ですよね。もちろん、エネルギーとか脱炭素だけで数百兆じゃないですけど。なので、環境省としては正直言って、予算で勝負しても世の中を大きく変えることというのは、環境省が勝負するのはそこじゃないと私は思っているんです。だから何だというと、環境省は制度とか規制とか、そのルールで戦っていく省庁なんです。結論からすると、カーボンプライシング。いくら、補助金でいくら積んでも、交付金でいくら積んでも、カーボンプライシングが実現できなかったら他のことをやったって大きく歯車は回らないと思っています。なので、この1点で46%削減を達成することはもともと考えていません。ただ、今回、呼び水としてこの200億の交付金だけではなくて、財投を含めてですね、民間の事業者と自治体の取組を連携させて加速させるような資金スキームも入れてあります。その資金スキームを活用する形でこの補助金、この交付金は使えるぞと、そういう声がまず自治体の受け止めであれば、間違いなく初年度から今後について、それは自治体の中で手を挙げるところは増えていくと思うんです。これは省内でも何度も言っていたんですけど、小さく産んで大きく育てる交付金にすべきだと。なので、清水さんの評価としては大きな金額が清水さんの評価基準だったのかもしれませんが、私としては何度も今までも言ったとおり、そもそもそこを狙っていないので、是非具体的な2030年までの先行地域の100箇所作りに貢献できる使い勝手のいい制度になるかどうかというのが私の狙っているところでした。もう既に問合せも自治体からありますので、その自治体の取組が形となっていく、開いていく姿を今後も継続的に追っていただければうれしいですし、今後、環境省を見ていただくときに、カーボンプライシングは不退転の決意でやりますから、職員は、「戦いましょう」と言っていますから、是非その職員の姿勢も見続けていただきたいと思います。
(記者)山梨県の点についてはいかがですか。
(大臣)山梨県は、今、規制条例の話だけを取れば、まるで山梨県が再エネに否定的だというふうに清水さん思うかもしれませんが、実は山梨県って水素をすごい頑張っているんですよ。いろんな企業が産業クラスターのような形で集積をしている地域でもあります。ですので、山梨県の皆さんには仮にそういう再エネ規制条例ができたとしても、水素の社会実装のためにはカーボンプライシングは不可欠ですから、カーボンプライシング応援県になってもらいたいですね。そう思います。

(記者)北海道新聞の大澤です。鳥獣保護管理法の指針の改定に関連してお伺いします。鉛弾の、鉛中毒の被害において、鉛弾の全国規制について大臣は2年前に強い気持ちを話されていたかと思うんですけれども、本日の答申に当たり、今現在のこの問題への大臣のお考えをお聞かせください。
(大臣)前回、北海道だけじゃない全国でそういったことが必要だというふうにお話を記者会見でもしています。あれからですね、省内の中も相当激しい議論をやりました。やはりいろんなところを気にするので、そう簡単にいくのかという議論も慎重論もありました。ただ、私がずっと思っているのは、北海道はできたじゃないかと。そして、よくこういう大きな制度改正を前に進めていくときに団体の意向というのをものすごく気にするんですね、霞が関は。しかし、北海道新聞さんですから誰よりもご存じだと思いますが、北海道は猟友会の皆さんが鉛弾を使わないような方向で前向きに取り組んで、今実現している先進地域なんですよ。ですから、私はその慎重論にくみしてはならないなというふうに思って省内の議論を進めてきました。職員の皆さんは頑張ってくれましたね。その結果がどういうふうに結実したかは、ちょっと今日はネタが多過ぎるので、今日じゃないよねと。しっかり頑張ってくれたことをやっぱり評価していただきたいし、職員の皆さんも頑張っていますから、どういう形で発表した方がいいか、今ちょっと省内で詰めています。頑張ってくれました。現時点ではそういうふうに言っておきます。
(記者)引き続き応援します。
(大臣)はい。

(記者)環境新聞の小峰です。環境と国防との関係について聞きます。今日、大臣は冒頭おっしゃった「30 by 30」、これを日本の陸域と海域を広げるためにですね、今日から中環審が検討を始めるということですが、大臣は昨年の12月にですね、自然環境保全法に基づいてですね、小笠原地域をですね、小笠原の周辺を沖合海底保全地域に指定しました。これはもともと中国のですね、漁船が小笠原諸島の島民より多いぐらいですね、押し掛けてですね、5、6年前ですけど、アカサンゴを強奪した事件がきっかけでした。けれど、沖合海底保全地域に小笠原諸島沖合を大臣は指定して、ある意味防げたと思います。今、中国及び韓国が狙っているのがですね、日本最東端の南鳥島、最南端の沖ノ鳥島、そして竹島、そして尖閣諸島ですよ。あと、現在、大臣もおっしゃってますけど、海域は13.3%、30%にするためにはですね、保護の海域を増やさなければいけません。そのときに、何よりもですね、環境と国防の両立を図るためにですね、大臣も昨年の夏行かれた南鳥島、それから沖ノ鳥島、そして何よりも尖閣諸島を地域指定するべきではないでしょうか。以上です。
(大臣)あと17%近い自然保護区域、これを海域でどういうふうに広げられるか、関係省庁、水産庁も含めて、よく話したいと思います。大事なことは、これは最終的にはOECMとして国際的に通用する、そういうものにしなければいけないので、科学に基づいてしっかりと30%を確保して、日本の守られるべき自然が守られるような環境を作っていきたいと思います。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/6ZCPwJ189ys

(以上)