大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年8月20日(金)10:35~11:01 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

冒頭、私からは3点です。まず1点目は、大雨に関する環境省の対応についてです。まず初めに、今回の大雨によってお亡くなりになられた方々、そして今、被災をされている方々に心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。環境省では、8月12日に環境省災害情報連絡室を設置をして、13日には環境省特定災害対策本部を設置しました。各地で浸水、そして土砂崩れなどによる住家被害が発生をしているところでありますので、8月13日付で都道府県へ事務連絡を発出して、災害廃棄物が発生した場合の初動時の対応等について助言をするとともに、地方環境事務所を中心に情報収集を進めてきました。また、地方環境事務所の職員を現地に派遣をして現場の状況確認、そして仮置場の適切な運用に向けた助言を実施しています。詳細についてはお手元に資料をお配りしていますので、御覧をいただければと思います。さらに、避難者やボランティアの方々に対して熱中症の注意喚起を実施いただくように8月13日、そして16日付で関係自治体へ事務連絡を発出しました。今回被害が生じている地域は、近年豪雨に伴って大きな住家被害が生じ、災害廃棄物の処理に苦労されたところも少なくありません。今後、「気候危機」の状況においては、今年もまた、今、被災をしているところがもう一度被災をする可能性、そしてまた、毎年のように、また繰り返されて被災地になってしまうケース、まさに今回、例えば佐賀県の武雄とか大町とか、2年前に私も大臣室で自治体の首長さんたちから被災をした後に要望を受けた、そういった地域でもあります。そこがまた今回被災をされたわけですから、今、私の中では省内の担当の部局とも議論をしてですね、気候変動の今の時代の状況を考えれば、今般の大雨に伴う災害廃棄物の処理が本格化するに当たって、過去の豪雨の経験も踏まえて、積極的にニーズをくみ上げて、柔軟な思考で迅速かつ的確な支援を行うことが必要だと思っています。一度、2年前に被災地になって支援を受けているから、今回はその制約があって、なかなかできませんとか、そういうことにならないように、柔軟な発想でこの被災地の支援を、どんな施策ができるか考えるように指示を出しているところであります。まだ大雨が続いている地域もありますので、環境省の廃棄物担当としては雨が上がってきてから被害の確定がされて、どれだけの規模になるかというのはもう少し時間がかかるかもしれませんが、今から準備を進めるように指示を出したところであります。そして、今日2点目が気候変動適応推進会議についてです。今日、私が議長を務める第5回気候変動適応推進会議を開催します。先日、IPCCによる第6次評価報告書の政策決定者向け要約が公表されて、改めて世界全体で「気候危機」の認識が共有されました。今週も全国各地で災害が、大雨による被害が発生しています。改めて気候変動対策が待ったなしの課題であるという思いを強くしています。今日の会議では、気候変動適応計画の骨子案や改定スケジュールを確認するほか、中山防衛副大臣にも参加をいただいて、防衛省で設置された気候変動タスクフォースの取組などを紹介いただく予定です。私からは各省に対し、気候変動に関する取組を進めるための体制整備など、3点をお願いする予定です。その3点の内容については、今日の会議の場で申し上げたいと思います。また、今回改定する適応計画では、新たに計画全体を推進する観点からの対策評価指標、KPIと目標を設定してフォローアップを行う予定です。気候変動の原因となる温室効果ガスを減らすこと、これを緩和と言います。気候変動の影響を軽減すること、これを適応と言いますが、この緩和と適応は気候変動対策の車の両輪です。今回の気候変動適応計画の改定、そして実施を通じて政府一丸となって適応策を強力に推進して、災害などの気候変動の影響に強い国づくりやCOP26におけるこの防災という分野における日本の強み、これをさらに発揮していく形につなげたいと思っています。3点目は、最後に福島の除去土壌の再生利用に関する理解醸成のための対話フォーラムの開催についてです。これは5月に東京で第1弾を開催しましたが、第2弾は9月11日にオンラインで開催をする予定です。当初は大阪での開催を検討しましたが、今のコロナの感染状況を踏まえ、オンラインで全国の皆さんに参加をいただける形でやるということに決定しました。前回、この第1回をやった後にですね、記者の方からも、対話型で双方向でやった方がいいんじゃないか、そういった御指摘を受けました。そういったことも踏まえて、より改善した形で再生利用の必要性や安全性について議論を深めていく機会にしたいと思いますので、多くの皆さんに御参加いただければと思います。今日は冒頭、私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)日本テレビの川崎です。今日昼にサステナブルファッションの推進について、関係省庁の連絡会議が開かれると思います。着るもの、衣料に対しての大量生産と大量廃棄は大きな問題だと考えますが、3省連携して今後何をどのように進めていくのか、具体的にどんなことを進めるのか、この辺の話を改めて聞かせてください。
(大臣)何をやるのかという最大のポイントの一つは、ファッションロスについて国民の皆さんにも、より知っていただく機会を我々3省を挙げて共に進めると同時に今、ファッション業界を挙げて何とか環境負荷の高い、中には「環境汚染産業」とも評される今の状況を変えたいと思っている業界の皆さんが多くいて、その皆さんと共に服を生産、流通させる上での過程を見える化する、そういったところの取組が不可欠だというのが出ていますので、今考えているのは、主に3点の取組が中心となるんではないかというふうに思っています。その1つが今、私が言ったファッションロスの削減。そして2つ目が今、後半に触れた生産、流通。生産の背景や流通の見える化。これが2点目。そして3点目が意識改革、行動変容の我々3省を挙げての取組。この3点が取組の大きな柱だなと考えています。環境省の中では、今まで有志でこのファッションの分野での持続可能性、環境負荷の高さを何とかしなければという思いで、職員たちが非常に意欲的に取り組んできてくれました。今示している、環境省のファッションに取り組んでいるタスクフォースが作ってくれたホームページなんですけど、私は環境省の中でも最もよくできた分かりやすい、国民の皆さんに政策の課題が伝わりやすいホームページのデザイン、中身にもなっていると思いますし、非常にデータとファクトも充実しています。これは霞が関で一番よくできているホームページじゃないかなと思います。しかも、反響がものすごく高くて、様々な雑誌、そしてメディアの方にも取り上げていただいている状況でもあります。今回ありがたいことに、井上担当大臣から、消費者担当大臣として、今までも食品ロスの関係で連携をしてきたんですけど、新たにファッションロスについてもより連携できないかという呼び掛けがありましたので、これは環境省だけでやるよりも経産省、そして消費者庁と連携をすべきだと。そんな思いから、今日、具体的に関係省庁連絡会議という形に、ステージが一段上がる形になって開催されることを大変ありがたく思います。今後も企業が取組を進めていますし、ジャパンサステナブルファッションアライアンスというものも設立をされましたので、こういった皆さんとも連携を深めていきたいと思っています。

(記者)産経新聞の奥原です。総裁選について伺いたいんですけれども、総裁選についてもしお考えがあればということと、菅さんに関しては、「このままでは戦えない」という声も自民党内の若手の方々から上がっていて、代えた方がいいのではないかという声もあると。実際に共同通信さんの世論調査でも「菅首相を代えた方がいい」という声が多いんですけれども、その辺について御所感を伺えればなと思います。
(大臣)私はこの機会に、総理にとって今まで進めてきた政策、このことをしっかりともう一度お伝えをする機会にしていただきたい、そのように思います。菅総理じゃなければ、再生可能エネルギー最優先の原則の国づくりの基本はできませんでした。今回のエネルギー基本計画、そして骨太、カーボンニュートラル、カーボンプライシング、再エネ最優先、これはすべて菅総理じゃなければ、様々な政府内のテーブルに、党のテーブルに、ものすごい詳細に語れば、あまりにハレーションが大きいので、その中のやり取りは語りませんが、総理のぶれないリーダーシップがなければ、再生可能エネルギー原則の下にこれから日本が歩んでいくという礎は絶対にできなかったと言っていいのではないでしょうか。世の中、今、コロナで一色ですけども、このグリーン、デジタル、これからどの政権ができたとしても、間違いなくこの2つは今後の政権の最重要課題として位置付けられる。その基盤を作ったのが菅総理であると。そして、良いときも悪いときも常に温かく支えていただいている政界の大先輩でもあります。私としては、菅総理は戦う方ですので、一番総理が政治家としての強みを生かされる機会というのは、既得権益に対して戦っているときの総理です。私は今回の総裁選の機会、もう一度、戦う菅総理の、その良さを多くの方に感じていただけるような、そんな機会にしていただきたいと。やはり総理は戦う人ですから、その戦う菅総理の姿がなかなか、今、伝わっていないことには何とかしたい、そういう思いでいっぱいです。
(記者)菅さんの再選は支持されるというお考えか、ということと、戦う菅総理がなかなか伝わらないということは何に原因があると思いますか。
(大臣)やはり多くの皆さんが今求めているのは、目の前のコロナに対する大胆な、後手に回らない、たとえ賛否があっても、方向性の見える決断を私は総理に求めていると思います。そして、今までも繰り返し「総理は言葉よりも決断の人だ」と私は繰り返し言ってきましたが、残念ながら今、その決断というものが、総理が先手を打つ形で示したという形が映っていないというのが率直にあると思います。その中で、ワクチンに関しては間違いなく総理の決断が、今これだけ、1回目の接種が国民の50%を超えた。そして、このままワクチンの供給が今のペースで順調にいけば、河野大臣が言っているように、希望する12歳以上の全ての方々には秋には供給ができる。そして今、米国とか欧米の国々を見ていると、若者のワクチン接種がなかなか進まず、一定のところでワクチン接種率が頭打ちになってしまう、そういう現状が起きています。しかし日本は一度、歯車が回れば、その加速度は世界の中で最も早い加速度でワクチン接種が進んだ国でもあります。ですから、これからこのワクチン接種がうまく回っていけば、世界の先進国の中でも最も国民の接種率の高い国になる可能性があります。私は、このワクチンという、コロナから次の新しいコロナ後の時代に向かっていく中では、間違いなく必要なワクチン接種を確実に今の次元の接種率まで上げてこられたのは、その、総理の周りが、さすがに1日100万回は無理だろうと。これはよく河野さんも、「「いや70万が限界じゃないか」と言ったけど、総理が、「いや100万だ」と。それで総理が押し切った」という話をしていましたけど、結果150万ですよね、ピークは。ですから、私はこういう総理の決断というものが、ワクチンに限らず、例えば今、医療体制の確保、私も最近の妊婦の方が感染をされてお子さんが亡くなってしまったケース、そして40代のお母さんが亡くなってしまって、御主人そしてお子さんが残されたケース、同世代としても本当に人ごとじゃないというふうに思います。私から総理にもそういった事案が起きていること、そしてこれは今日も明日も起き得るということ、その中で求められている政府に対する取組というのはあると思いますので、そこを是非矢継ぎ早に打っていただきたいということは総理にお伝えしています。是非、そういう決断を果断に総理には打ち出していただきたい、そう思います。

(記者)エネルギージャーナルの清水です。せっかく奥原さんが政治的な話をしてくれたので、質問を出してくれたので、続けて伺いたいんですが。国務大臣としてむしろ伺ったほうがいい、と思います。やっぱり、一部の首長さんからも出ていましたけれども、こういう事態、非常に未曽有の事態でもあろうと思います。「政治休戦」をね、積極的にね、そういう状況を積極的に作っていくべきじゃないか。特に自民党の若手グループでですね、そういう機運を盛り上げていってほしい。小泉環境相は気候変動対策で、与野党一致でね、あそこまでの、もちろん菅総理の大変な決断があったと思いますけれども、そういう土壌というか、実績を作ってきた。その延長線でいけばね、「政治休戦」をして、この緊急事態を、特にホットスポット地域でもいいですから、ロックダウンするとかね、やっぱりそいう、与野党の合意の下でそのぐらいの対応をですね、しないと、日本はつぶれると思うんですよ。という危機感があるんです。そういうお考えはどうでしょうか、ないでしょうか。
(大臣)「政治休戦」というのが、何をもって「政治休戦」というのかというのは、私は詳細には理解をしていません。例えば今、「政治休戦」という意味は、コロナにしっかりと政府も与野党も専念できる体制をつくるべきだというものが「政治休戦」という意味だとすると、私は真っ先に考えた方がいいんじゃないかと思うのは、田村厚生労働大臣をあれだけ国会答弁に縛る必要はないと思います。本当に田村さんを見ていて、厚労省の中のことができないと思います。国会答弁が毎日ですよ、ほぼ。そして毎日移り変わるコロナに対して、国民の皆さんに説明する機会を国会の場を通じて提供する必要性はあると思います。ただですよ、それを必ず大臣じゃなければいけないのか。私、今だったら私、環境省内のことを省内でかなり多くの指定職や、時には若手も含めて省内で政策の議論をやっていますけど、田村さんはきっとできないですよ。国会答弁とその前の準備で。職員だって、それでパンクしますよ。そういうことも含めて、この国会の中での「休戦」とは何なのか。これはそこがつまびらかにならないと、一概にその4文字だけで、いい、悪いという評価はなかなかできないと思います。そして、もうこれだけ任期が差し迫っている中で、様々な選挙の時期についての発言も今、世の中は与野党を含めて飛び交っていますけど、野党はオリンピックに反対なんですね。人流を抑えるというところで。しかし、例えば解散については10月21日、それまでにということを含めて、コロナの感染に関係なく、この一定の期間にということは、人流を抑制するためにオリンピックを開催するべきじゃないとか、そういったことと私は矛盾するんじゃないかなと思いますよ。ですから、「政治休戦」という分かりやすい4文字だけで、その良い悪いは評価はできないと思います。ただ、間違いなく今危機の中にある中で建設的な野党の提案があれば、それは採用すべきは採用する、多くの声を聞いて前に進めていく、そこは間違いなく必要なことだと思います。
(記者)「政治休戦」と申し上げたのは、与野党を超えてね、やっぱり国民から見ると野党の主張、与党の主張は別として、とにかく今の事態を打開してほしいという、これは非常に、率直なあれとしてあると思うんですよね。そういうことへの醸成というか、雰囲気の醸成というか、それがもっと出てきていいと思うんです。
(大臣)ただ、これは冷静に今まで野党が言ってきたことと与党が言ってきたことと政府が言っていることとを振り返ってもらいたいんです。野党が求めていることは、コロナで何かというとゼロコロナですよ。ゼロコロナは本当にできますか。ゼロコロナの方向性をこれから政府が進めるんですか。私はそれはどう考えても現実的ではないと思います。枝野さんが言っているじゃないですか。ゼロコロナ。そうなんですよね。ですから、これから野党の皆さんのコロナ対策はゼロコロナが基本なんですよね。私、今の政府はゼロという方向ではないと思います。いかに変異し続けるこのコロナと向き合うかで、何とかこれ以上の医療のさらなる逼迫、そして救われない命をこれ以上多くしないで前に進めるか、もがきながらも先を見ながらワクチンを進めて。今、欧米でもワクチンの接種が進みながら少しずつ経済活動の再開を進めていますけど、私は方向性としては、コロナをゼロにしなければ経済活動の再開に進めない、そういう方向性ではなく、コロナがゼロにならなくても、一定のところで前に方向性を示して、世の中の経済活動に向けてもう一度、前に進めていくという方向性が今我々が歩んでいる道だと思います。ですので、その「休戦」という意味は、じゃあ野党はゼロコロナなんですか。基本的な方向性が違ったら、なかなかそこは難しいところがあるのが現実なんじゃないでしょうか。ですから、これから、時期はいつかは分かりませんが、選挙があります。そのときにゼロコロナなのか、そうじゃないのか、そういったことというのも国民の皆さんに審判をいただくということになるのではないか。少なくとも私は、ゼロコロナは現実的ではないと思います。
(記者)環境に戻りますけれども、概算要求も近いですから。前に大臣が言われていた温暖化対策のための○○○交付金について、その輪郭あるいは規模感の検討は進んでいるのか。制度をつくることへの思いを聞かせてほしいですね。
(大臣)以前、白石審議官が頑張ってくれていると話しましたけども、本当によく頑張ってくれています。私からは制度設計に当たって指示をしたのが、今、規模と言いましたけど、規模ありきではやらないでくれという指示を出したところです。なので、もうすぐ自民党、公明党、与党に対しての、今われわれが組み上げている概算要求が説明をされ始める段階ですけど、そこで、じゃあ交付金がどれぐらいの規模かという規模は、私は注目するべきところではないと思います。それよりも、またこの制度の設計、これが2030年までの100カ所の先行地域につながるような形で、自治体が再エネを導入することがメリットがある、そのインセンティブが働く自治体の行動変容につながっていく。さらに、その自治体と共に再エネを進めていくためには、民間の金融機関や民間の皆さんの協力、連携も必要ですので、その民間のさらなる投資、こういったものも呼び水となるような形で制度設計ができないか、そんな方向で今スキーム作りを最終調整をやっていますので、是非そこは白石さんを信用していただきたいと思います。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/9q2DDMY2Gpk

(以上)