大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年8月3日(火)10:45~11:07於:オンライン)

1.発言要旨

今日は冒頭は私からはありませんので、幹事社さんからお願いします。

2.質疑応答

(記者)幹事社日経新聞の岩井です。私からの質問は、エネルギー基本計画と地球温暖化対策計画についてお伺いしたく思います。両計画の取りまとめが大詰めを迎えているかと思いますが、今後ですね、この計画の実行フェーズに入っていくかと思います。野心的な2030年目標を達成するために、計画を実行する上で何が重要か、大臣のお考えをお伺いします。関連して、産業界や国民生活でですね、急速な脱炭素への移行を進めていく必要があるという中で、雇用の移行や人材の再教育が必要と言われています。日本においてはどのような対応が必要か、大臣の考えをお伺いします。
(大臣)2030年の目標に何が必要かということですが、今回、エネルギー基本計画、そして温対計画の中では、エネルギーだけではなくて、社会経済全体の変革が必要だと。特に環境省は需要サイドですから、そういった観点から言うと、やはり行動変容も含めてですね、社会の在り方、ライフスタイルの変容なども力を入れて位置付けていきたいと考えています。サーキュラーエコノミーについても、2030年までに80兆円の市場規模があると言われていますから、こういったことも併せて推進をしていくことで、2つ目の今、労働移行の話もありましたが、脱炭素、そしてサーキュラーエコノミーの方向に向けて多くの雇用と、そしてビジネスチャンスがありますから、この脱炭素に進んでいくことは、苦しい未来に向かっていくことではなくて、今後、持続的に発展していくための市場と、そして雇用もより多く守っていくことになるんだと、そういった思いで進めていきたいと思います。また、この目標達成に向けては間違いなくカーボンプライシング、そこが不可欠だと考えています。ですので、そういったこともしっかりと位置付けられるようにしていきたいと考えています。以上です。

(記者)毎日新聞の鈴木です。私からは、先日、国会で成立したいわゆるプラスチック新法に関することでお尋ねします。今週、環境省と経産省のほうでプラ新法についての政省令を定める議論が始まりました。大臣としてどのようなことを期待されるか、お聞かせください。
(大臣)できる限り幅広く、そして、この2050年までに追加で汚染をゼロにするという「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を打ち立てた日本ですから、その目標に向かって着実に歩んでいくだけの対応が求められると考えています。今までレジ袋とかスプーンの有料化とか、そういった一部が話題になりましたけど、今回全てのプラスチックを対象にしますので、漏れのないようにしっかりとカバーをしていくこと、そういったことの対応を今、指示をしていますので、経産省との間でもしっかりと前向きな議論が進んでいると思いますから、来年の施行に向けて多くの皆さんに前向きに取り組んでいただけるように進めていきたいと思いますし、もう既にこの政省令を定める前から企業が動きだしていますよね。ですから、その企業などが後押しをされるような認定を活用した形の消費者の皆さんが選んでもらえるような、そんな環境をしっかりと位置付けていきたい、作っていきたいというふうに思います。

(記者)時事通信の武司です。私からは、東京五輪のメダルについてお伺いしたいんですけれども、毎日、日本はメダルラッシュが続いてますけれども、今回のメダルは環境省も関わって小型家電から都市鉱山を取り出して作られています。こうした取組は、日本のリサイクル技術を世界に発信する上で大事な機会になるかと思うんですけれども、大臣はこのリサイクルで作られたメダルについてはどういったふうにお考えでしょうか、お願いします。
(大臣)素晴らしい取組ですよね。もう既に私も発信をしていますけど、このメダルだけに限らず、今回オリンピックでは、かなり多くの環境配慮型のオリンピックになっています。再生可能エネルギーの利用もそうですし、そして表彰台の再生プラスチックの利用、そういったことも含めて、このオリンピックを通じて、もう既に社会に実装されているという、こういった取組を多くの方にも知っていただきたいですね。あと、嬉しいのは、オリンピックに出場している世界各国のアスリートの皆さんが、日本の例えば、ごみの分別のこととか、様々なことについて発信をしてくれています。例えば、イギリスの水泳の飛び込みで金メダルを取られたデーリー選手なんかは、日本は水道水が飲めるということに驚いて発信をしてくれていますよね。これも日本の中では当たり前に思われていますけど、世界の中で水道水を飲める国というのは本当に珍しい。日本は恵まれています。ですので、そういったことも含めてですね、発信をしていただける。日本の魅力、価値が改めて世界に発信をされるいい機会になっていると思います。併せて、環境とはまたちょっと違いますが、環境省として福島、最重要な課題の1つとして大切にしている立場からすれば、アメリカの監督がですね、福島の桃のことをものすごく感動して6個も食べたと。そういうふうに前向きに福島の桃のことも、食の魅力も前向きに評価していただいている、発信してくれているというのは本当に嬉しく思います。残念ながら、復興五輪という形の印象を強く打ち出す機会がなかなかない中ですけど、こういった形で少しでも復興に目を向けていただければと思います。

(記者)NHKの吉田です。私からは1件、海洋プラスチックのことについて伺わせてください。先日のG20のコミュニケの中でも盛り込まれた内容かとは思うんですが、海洋プラスチックの中でも、特に漁具・漁網による生態系あるいは環境への被害が大きいのではないかというふうに、専門家やNGOの間では言われています。G20のコミュニケのほうでもそうした、ゴーストギアと呼ばれる漁具・漁網についても国際枠組みなどを考えていくことで合意されていると思うんですけれども、今後、日本国内あるいは国際交渉の中で、この漁具・漁網についてどのような対応を考えていこうとお考えなのか、よろしくお願いします。
(大臣)漁具・漁網のうち、漁網の関係で言うと、私もこの前、ニチモウさん、この会社から話を聞きました。生分解性の漁網を作って開発をしていると。特にこの漁網というのは、もちろん漁業でも使われるんですけど、再生可能エネルギーの中の洋上風力の、着床式でいえば下の軸のところの根っこのほうに石を入れて、その石を包む形で漁網を使うそうなんですね。その漁網を生分解性にすることによって、最終的に環境に負荷をかけない形にすると、こういったことも伺っていますので、これは実現をすれば、世界の中でも日本が売れる技術だと思います。そういった形で、世界共通の課題であるこの漁網や漁具についても、日本の生かされる技術の余地というのは大いにあると思いますので、COP26の場なども通じて積極的にPRをしていきたいと思います。それと、やはり今回、G20の場で、プラスチックについても世界的な枠組みに向けてルールメーキングに日本が前向きに貢献をしていくという意思を明確にしたこと、今まではどちらかというと、INCという政府間の交渉の会合をですね、立ち上げることについて日本はニュートラルだったんですけど、それを転換して前向きにそれは賛同する、支持すると、そういう立場になったのは、やはり国内でプラスチック新法を整備をしたと、この国内法制を整備したということは非常に大きい影響がありました。これを生かしてプラスチックの領域についても、日本が世界の中でも先進的な技術をたくさん持っていますから、しっかりと将来の雇用、そしてビジネスチャンスに生かせるように後押しをしていきたいと考えています。
(記者)続けて、もう1点だけ質問させてください。もう一度、漁具・漁網の件になってしまうんですけれども、国内のことで言えば、プラスチック新法の参議院のほうの附帯決議の中でも漁具についての記載がありまして、要するに漁具・漁網にマーキングをしてですね、紛失したことがすぐに分かるように、漁業者さんの方で適切に管理できているかどうかが分かるようにマーキングを導入をすべきだというような御意見も附帯決議の中ではあったんですけれども、そうした国内のほうでの対応というのは、もしかしたら農水省との協力も大いに必要になるかもしれないんですけれども、いかがお考えでしょうか。
(大臣)そうですね、特に瀬戸内海の環境保全の瀬戸法も今回、改正しました。この瀬戸法とプラ法をしっかりと連携をさせて、特に私は省内に指示を出しているのは、瀬戸内海にまずはこの海洋プラスチックごみを回収をして成果が出る姿を見せなければいけない。この瀬戸内海は閉鎖性の海域ですから、90%のペットボトルの漂流ごみは瀬戸内海の地域から流れ込んでいます。言い換えれば他の地域と違って、やれば成果が出ますから、まずはこの瀬戸内海に環境省のリソース、そして農水省、水産庁との連携、しっかりとリソースを割いていきたいと思っています。今、省内でも政策ディスカッションをやっているんですけど、水産庁とは例えば漁具、海洋プラスチックを回収した漁師さんに対して補助金を出す。そして、漁業をやった中で、ごみが網の中に入ってきますよね。そういったことの回収に対しても、自治体との連携での支援もやっていますので、これをさらに強化できるような形にならないか、そんなことも今、検討しながらの議論を進めているところです。

(記者)エネルギージャーナル社の清水です。まず1点目は、気候変動のCOP26に向けての国際的な対応について伺います。特にG20気候変動大臣会合や何かで、最大排出国の中国への対応がもう1つクリアにならなかったような気がするんですが、中国の目標の前倒しとか、あるいは削減のですね、枠組みについて、何か前進が、特にあったのでしょうか。その点を1つお伺いします。
(大臣)まず、清水さんにもこのオンラインの記者会見にお入りいただいて、御質問いただいたことを嬉しく思います。ありがとうございます。中国についてというのは、やはり今回、G20でも最大の排出国ですから、中国だけではなくてですね、他にもインド、そしてロシア、ブラジル、サウジなど、新興国の中での声の大きい、影響力の大きい国々というのも参加をした中で、私は非常に印象的だったのは、ちょっと、かなり交渉とか会合の中に入るので、機微なところは控えたいと思いますが、ただ、よく報じられているような、「先進国対新興国」という、この構図というのが必ずしも当てはまらないという場面も今回、相当見ました。ですので、世界の中で機運が相当に高まってきて、インドネシアも石炭からのフェーズアウトについてのPRを非常に熱を込めた形で発信をしていました。ですので、このまま、今、COP26に向けて課題は幾つかありますが、合意できなかった部分、これについては10月の首脳級の会合に、むしろそこでの議論に委ねるという形に、例えば石炭のことについてもそうですけど、無理に弱まった形で、今回の会合でまとめることなく、首脳級に送ったということは、私はいい判断だと思っています。そして、それ以外の部分については、例えば1.5度目標ということ、1.5度ということに何度も言及している文書になっていますね。これも行く前の想定では、もしかしたら入らないかもしれないと思っていました。それぐらいG20は難しいですから、先進国だけではないので。そして化石燃料全体に対する補助金についても、これからやめていかなければいけないというようなところも言及はありますし、長期戦略もCOP26までに対応することも書いてあります。ですので、全体としてみれば、私は今回、G20というのは非常に前向きな、予想以上の成果につながったと思っていますし、中国も含めて、この世界全体、G20の中でもだいぶ各国の取組が、思った以上に脱炭素の方向に前向きになっていることを感じているはずです。今後、その中で得られた成果をですね、各国と連携を深めながら、9月の国連総会、そして10月のG20、11月のCOPと、様々な機会にどうやってより1.5度に向けた各国の貢献を引き出していけるか、日本が引き出せる価値も大いにありますから、しっかりと取り組んでいきたいと思います。
(記者)もう1点あります。水俣病関係の話です。先日、菅首相は、原爆の被災者、被爆者に当たるかが疑わしい人たちについての判決があり、控訴をしないという判断をされました。同様にですね、水俣病ももう何十年とたっている折、コロナ禍という社会経済情勢の激変とか、あるいは、日常的な現在の大変さということから鑑みまして、水俣病の被害者に当たるかが疑わしき人たちの救済というのを、同様に考える必要があるのではないでしょうか。かねがね大臣は1、2年かけて総合的な判断をしていきたいというようなことをおっしゃっていましたけれども、その点はどうお考えでしょうか。
(大臣)総理の御決断によって今回の判断があったと思いますが、水俣病についてもですね、今まで政治的な決断というものも歴史的にはされてきた過程というのは、私も承知をしています。その中で環境省として、できるだけのことを、皆さんの高齢化の現状などもありますし、医療や福祉のサービスの提供とか、地域の中で失われた絆の修復、様々な取組を進めてきました。今後も1つ1つをしっかりと重ねていく、その中で、私としては、役割と大臣としての責任を果たしたいと考えています。政府全体としても、水俣が環境省の原点であると、そういったことを忘れずに取り組んでいく、そういった思いです。

(記者)朝日新聞の川田です。最初のエネルギー基本計画と地球温暖化対策計画に絡むんですけれども、地域での脱炭素を進める中で、「再エネ交付金」についてはおっしゃっていますが、再エネを自立した電源というふうにするには、地域の民間投資を呼び込むというのが重要かと思うんですけれども、金融手段の活用とかを含めて、今どのように考えているのかというところを教えてください。
(大臣)今、全体の議論を省内で詰めているところです。どういう資金支援の全体のスキームがあれば、再エネが地域にとってより導入加速をされていくのか。交付金に限らず、全体の議論を今進めているところですので、現時点で詳細な制度について詰めている、そういった現状です。また2030年に向けては、やはりそういった交付金などの資金支援スキームに加えて、カーボンプライシングがより本格的に強化をされていく、そういった方向性も合わさっていかなければ、目標達成はできないですし、それがあっての目標達成に資すること、環境整備ができるということだと思うので、カーボンプライシングというものが、もう1つ、日本の中での脱炭素の取組ではまっていけば、より歯車は回っていく。それは成長に資することであると、こういった理解が進むように政府全体の中でも意見をしていきたいし、政府の中でも位置付けていきたいです。また、総理も躊躇なく取り組むと言っていますので、しっかりとそこは位置付けていきたいと思っています。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/ViKSKPBTdts

(以上)