大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年7月16日(金)10:50~11:19 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

今日は、閣議案件はありませんが、今日はこちらに示してあるエコチルについて一言触れたいと思います。7月19日、来週ですけど、「健康と環境に関する疫学調査検討会」を立ち上げ、エコチル調査の今後の展開について検討を開始をします。エコチル調査では、これまで主に妊婦及び乳幼児の化学物質と健康影響に関する成果が出ています。今回、立ち上げる検討会では13歳以降の調査をどのように進めるか、エコチル調査の成果を社会にどのように効果的に還元するかなどの議論を期待しています。エコチル調査は全国10万組の親子の御協力によって、今まで継続できています。調査を開始して10年経過したことから、調査に御協力いただいている方に私から御礼のメッセージをお送りしたいというふうに考えています。こうした取組を通じて、よりよい環境を守ることが子どもたちの健やかな成長につながっているということを、改めて多くの人に知っていただきたいと思います。今日は冒頭、私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)毎日新聞の鈴木です。14日にEUの欧州委員会のほうで気候変動対策の新たな計画が発表されましたが、2035年にガソリン車やディーゼル車の販売を事実上禁止するほか、環境規制の緩い国からの輸入品に関税を課す国境炭素税の導入なども盛り込まれました。今後、日本にも少なからず影響があると思いますが、今回の計画について大臣の御所感をお聞かせください。
(大臣)今までもこういう方向性で国際社会が動いてくるというのは織り込み済みですので、今回の発表に特段サプライズはなかったなというのを私は思っています。まずカーボンプライシングの関係で言えば、炭素国境調整措置、これで対象とされたセクターが具体的に出てきましたが、それについても現実、どれぐらいの影響があるかというのは、直接的なものはまだ軽微だという報道もありますけど、じゃあ間接的に見たときにはどのような影響が出るのか、サプライチェーン全体の把握はかなり難しいと思いますが、今後もしっかりとEUが具体的にどのような制度を設計をしていくのか、そういったことでも影響はかなり変わってくると思いますので、しっかりと分析をしていきたい、また注視をしていきたいと思います。そしてガソリン車の販売を、これはハイブリッドも含めて2035年以降はやめていく、この方針も前々からEUとしてはハイブリッドを抜いていく、考え方は表明されていたので、そのとおりになったなと。ですから、今まで国内政策の強化をずっと働き掛けてきました。総理が2035年というふうに明確に年限を言ってくれましたが、その前は2030年代半ばとか、そういう表現でしたよね、調整段階では。そういったことも、より明確に国内の政策が強化されていくように働き掛けもずっとやってきたので、この方向でやはりヨーロッパを含めて海外は行くんだなと。グローバルなビジネス展開をしている日本の多くの自動車メーカーを含めて、企業としても今後そういったことを本格的に考えなければ、間違いなくマーケットは縮んでいくわけですから、日本がガラパゴスにならないように、我々としても政策支援で後押しできることはしっかりやっていきたいなというふうに思っています。

(記者)テレビ朝日の川﨑です。今日関東が梅雨明けする見込みで、来週、五輪が開幕しますけれども、環境省の暑さ指数のホームページを見ると、今日の段階で、12:00時点で「危険」のところも出ています。その点、大臣の受け止めをお聞かせください。
(大臣)今日オリパラの会議も官邸で閣議の後に開催されて、私も出席をしましたが、関係者の皆さんに暑さ指数がリアルタイムで分かるような表示盤とか、そういったものも今回、会場に設置をする予定でいます。無観客ですから、観客の皆さんということの対象というよりも、関係者の皆さんに注意喚起を促すということがメインだと思いますが、今回もう既に警戒アラートが出ている地域も多数出てきている中で、更に今年の夏は開催期間中、例年よりも暑くなる、そういう予想が出ています。ですので、熱中症で亡くなる方も多い中で、今年の夏はさらに警戒をしていただくためにも、是非多くの方に熱中症警戒アラートが届くようにアプリの活用などを進めていただきたい。我々も熱中症対策として、その取組も強化をしていきたいと考えています。

(記者)朝日新聞の川田です。来週のG20環境大臣会合が開催されますけれども、それに向けて、どういうふうに臨むのかということと、どういうことを期待するのか、どういうことを目指しているのかということをお聞かせください。
(大臣)来週のG20でイタリア・ナポリに伺いますけど、やはりG7で合意したことをどのようにG20で共有できるか、こういったことが1つのポイントではありますが、そんなに容易なことではないと思っています。ただ、久しぶりに閣僚同士が直接会う場です。そういった中で、やはり今回のG20の場も通じて共有をしたい1つのポイントは、COP26に向けて特に6条、この市場メカニズムも含めて何度かパリ協定のルールブック、これをしっかりと完了させるんだ、交渉を妥結させるんだ、この意思を少しでも多くの国々と共有をしたい。そして、今後展開をされていく予定の様々なCOP26までの外交日程がありますけど、そこにつながるような形にしていくことが大事だろうと。G20になれば中国、インド、ブラジルを含めてG7にはいない国々かつ排出が多い、そして考え方として多様な考え方を持っているプレーヤーが入ってくるので、G7のとおりにはいかないと思います。ただ、そういったことも、もう関係国でも理解をしていることなので、いかに違うところを見ずに同じような方向性を見いだしてG20としての発信、まとめることができるかというのがポイントだと思います。我々としては、例えば今、国内で進めている取組が、かなりヨーロッパの方はサーキュラーエコノミーの関心も高いので、日本が国内でプラスチック法という国内法制もしっかりと整備をしたこと、それにイタリアとしても随分この分野も関心があるというのも聞いていますので、例えばイタリアはファッションで有名ですよね。今、日本の環境省としてもホームページを見ていただければ、サステナブルファッションのホームページを立ち上げたように、世界の中では世界第2位の環境汚染産業とも言われている、このファッション分野をどのように持続可能に環境負荷の低いものにしていくかということも、関心が高いと聞いています。我々としても貢献できるところがあると思うので、しっかりと今、日本がやっていることも発信をしていきたい、そういうふうに考えています。

(記者)エネルギージャーナルの清水です。冒頭の幹事の質問に関連して伺いたいんですが、炭素国境調整措置ですね、これはやっぱり、日本の製造業の輸出にとっては大きな打撃になる可能性があると思いますけれども、そのメルクマールというか、日本の製造業のCO2の排出量はEUやなんかに比べて、世界標準、EUやなんかに比べて、どうなんですか、高いんですか。それとも、まだ炭素税やなんかが導入されていないので細かく言えないと思いますが、EUのそういう炭素税の水準なんかに比べると低いのか高いのか、その辺の認識はいかがでしょうか。
(大臣)まず、それはEUがこれからどういう制度を詳細設計していくかによると思いますね。EUの中でも国によって炭素税をどこまで見るか、これは国によってばらつきますし、我々日本としても、じゃあ、この炭素国境調整措置との関係で、どのようにカーボンプライシングが国内の水準だというふうに捉えて、その制度と調整をするのか、これはまさにこれからだと思います。ただ、いずれにしても、環境対策が甘い国からヨーロッパのような国に流れ込むものを負担をかけていくという話ですから、グローバルにビジネスを展開している日本の企業にとって、この影響は多かれ少なかれ出てくるだろうと。そういった中で、日本の国内の対応が不十分なことで国際的なビジネスを展開している企業に不利益が起きるとか、そういったことがないようにするためにも、やはり国内対策をしっかり、どうやるかということが改めて大事だということが今回も明らかになっていると思うので、骨太の方針でカーボンプライシングについても、「躊躇なく取り組む」、こういった文言を入れていますから、まさに今後、日本の中でのカーボンプライシングの在り方を議論する上で、やはりこのEUの動きも含めて、より関係者が同じような危機感と認識を持って議論を丁寧に進めていきたいと、そういうふうに考えています。
(記者)追加でもう1点だけ。やはり、中国の影響が非常に国際的には大きくなると思うんですが、日本の場合、最大輸出国が中国ですよね。そこにCO2対策の強化を、言わば提携してですね、そこにスキームを作っていくのか、それとも、言わば製造業の輸出、これも経済的には非常に大きいですよね。そういうところを優先していくのか、その辺の考え方の整理を政治家としての考えを伺いたいんですけど、どうですか。
(大臣)まず国際社会、G7で一致したことは、排出が多いG7以外の国々に対しても、排出をより抑制する政策強化を求めていく、これで一致しているわけですね。ですので、今の清水さんの御質問を私なりに理解をすると、炭素国境調整措置のような形で厳しいハードルを課すマーケットに挑むよりも、そんなに気候変動対策を重視しない、かつ大きなマーケットである中国とかに輸出対象を持っていった方がビジネスとして楽なんじゃないかという、そういう思いもあるのかなと。そういう捉え方を私はしたんですけど、結果は中国を含めて、パリ協定のメンバーなんです。ですから今後、大きな方向性で見たときに、決してCO2対策、気候変動対策をやらないと言っているわけではなくて、方向性としては間違いなくマーケットは脱炭素のマーケットに向かっていくわけですよね。ですから、時期的な国による違いもあると思います。いつの時点で脱ガソリン車になるのか。もしかしたらヨーロッパが世界的には先駆けて、脱ガソリン車のマーケットになるのかもしれませんが、いずれにしても、中国はそういう方向にいくと言っていますよね。ですから日本にとっては、もう縮小していくマーケットが分かっているなら、早く成長していくマーケットの方でどのように日本企業の利益を、また国家としての力を、産業競争力を付けていけるのかということに早くいった方がいい、私はそういう発想で国内対策もしっかりと強化していきたいと。そのためにも大事なのは、やはり非常に取組を先導的に進めている日本の企業が多く出てきましたから、その企業たちが報われるような制度設計を様々、しなきゃいけないし、今日の日経新聞の1面にも分かりやすく載っていましたけど、やはり各国の気候変動対策、脱炭素対策と比べたときに、日本の予算規模は圧倒的に少ないんですよね。私は、安倍政権からの環境大臣を務めている中で、当初1年9カ月前、私が大臣に就任したときと比べたらですね、間違いなく脱炭素の歯車は回ってきたと思います。自治体が動き、企業が動き、政府としても2050年カーボンニュートラルと46%、50%。ただ全体として、より大きな歯車を回していくときに、あと何が欠けているかというと、1つはカーボンプライシング、そしてもう1つは、欧米の規模と遜色ないようにする国としての意思を示す大規模な予算、投資。私はやっぱり、そこの欠けている部分をどうやって埋めていくかというのは、ずっと訴えていることですから、今後、補正予算、今、一部で話も出ています、まだ正式には来ていませんが。そして来年度の当初予算。環境省は正直に言って、予算で勝負する省庁ではなくて、ルールで勝負する省庁ですから、私は予算ありきだとも思いませんが、ただ政府全体としては、間違いなく気候変動対策、そして脱炭素の投資を促進するような大型の予算、こういったものが私は不可欠だと思いますので、そういったことも政府内でしっかりと私なりの思いを伝えていきたいと思います。

(記者)毎日新聞の鈴木です。来週のG20の後に、COPの議長国である英国主催で関係閣僚会合が開かれる予定で、大臣も出席される御予定だと思います。この時期に閣僚級が集まることは少し異例とも思うんですけれども、今回の会合の意義と期待することをお聞かせください。
(大臣)これはG20、さっきの川田さんの質問にも関連するんですけど、やはりずっとリモートを続けてきて、オンラインでのバイ会談やマルチを重ね続けてきたんですね、このコロナ禍の中で。しかしシャルマCOPの議長、そして他の様々な国々の大臣たちと交流をする中で、やはり直接会って話さなければ、何とかCOP26で交渉を妥結させるんだという、この、まずは大臣間での政治的な意思をしっかりと作っていくという作業が必要じゃないかと。正直、世界の中でも途上国も含めて、スムーズにデジタルの対応が交渉の中でもできるかというとですね、デジタルでやる、リモートでやり続けるということに対しても賛否が起きているんです。そういった中でやはり、そうは言っても、この感染状況の中で、リモートと、そして実際に会うことのハイブリッドでやる中で、いかにCOP26までの中で大臣同士の意思を共有するかというところは不可欠だろうという議長国の考え方もあり、私はそれも賛同していますから。実際、このG20の機会に非公式だけども集まろうと。その非公式の場を通じて、率直な、それぞれ置かれた状況とか、COP26に向けて意思を共有するような、何とかCOP26で最後の残された宿題である6条の交渉を妥結させる、こういった意思を共有する場になることを期待をしています。日本としても、COP25で私も相当、対立する国々の間を走り回りましたから、そういった経験なども共有をした上で、シャルマ議長をしっかりと支える場になればと思います。
(記者)ワクチンは、大臣は打たれたんですか。
(大臣)ワクチンは最近、1回目を打ちました。1回目を打って、その間、4週間、私、モデルナですので、空けなければいけないので、時期を考えたときに今回、来週からイタリア、ロンドンに行く期間、そして帰ってからの隔離期間、隔離期間中に2回目の接種ができないので、そういったことを考えて今週、1回目を打って、帰ってきて隔離措置が明けたときに2回目、そういった、今、予定を立てています。

(記者)環境新聞の小峰です。先ほど小泉大臣が脱炭素へ向けてですね、欧米諸国に対して、日本は圧倒的に投資や予算が少ない、こういうことをおっしゃっていまして、政府全体として、これを増やさなければいけないということはですね、大型炭素税が1つの選択肢になると捉えてよろしいんでしょうか。
(大臣)カーボンプライシングはいろんな手法がありますが、間違いなくカーボンプライシングをより高い水準に持っていかなければ、脱炭素の歯車は回らない、これはずっと言い続けていることであります。それが、大臣に就任した当初は、政府全体の認識ではありませんでした。それが今では骨太の中にも、「躊躇なく取り組む」ということが入ることになって、さらに予算規模が欧米と比して圧倒的に小さい、これを様々な場で私は訴えていました。それが今回の骨太で、重点予算の筆頭に「グリーン社会の実現」。ですので、確実に今まで環境省から発信してきたことが、環境省だけじゃなく、政府全体になってきたので、あとはこれから、その規模としても中身としても、量だけではなくて、質も伴わなければ、メリハリが効かなければ意味がありませんから、そこにつなげていけるように、概算要求は来月締切りですし、仮に経済対策という話になれば、そういったことも見据えながら、しっかり政府全体の明確な脱炭素の民間の投資意欲を巻き起こすような、そういったものにつなげていかなければいけないなと感じています。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/rxUAaCkONcU 

(以上)