大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年7月13日(火)11:02~11:19 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

まずは、今日はこちらの映像も出しておりますが、福島の関係を触れたいと思います。まず、明後日ですね、放射線の健康影響に関する新しいプロジェクトのキックオフミーティングを開催をします。環境省では今まで除染、中間貯蔵、復興・創生を進める上での重要な事業として、この環境再生事業というのをやっているのがまず1つ。そして2つ目が処理水、このモニタリングに関する検討を進めている、これが2つ目。そして今回、御紹介をする放射線の健康影響に係る差別・偏見の解消に向けた新たなプロジェクトを立ち上げる、これが今回3つ目で、新しいプロジェクトを立ち上げることになります。明後日は私からどういったプロジェクトかということもプレゼンをさせていただく予定でもありますので、ぜひお越しいただければと思います。そして今この映像に示してあるものが、私どもの大臣室にあるのは記者の皆さんも見ていると思いますが、今回、官邸、この左上が総理官邸ですね、そして復興庁の復興大臣室、そして自民党の本部1階です、受付のところ、公明党の本部、この4箇所にこの鉢植えを新たに設置していただくことになりました。今朝、閣議で官邸に行きましたが、もう既に設置をされております。今回ですね、この鉢植えを増やすということが実現をした背景には、関係者の皆さんの御理解、そしてまた私も官邸の理解を得るためには、やはり総理にも直接お話をさせていただきました。復興にかける思い、そして、「1人1人が復興大臣である」、この菅内閣の思いを体現した形で協力をいただきました。5月にはこの再生利用の理解を進める対話フォーラムを開催しましたが、そのときに、まずは政府が率先して実行することが大事だということを発言しました。今回のこの鉢植えを増やしていく、そのことは政府が率先してやるというその意思を具体的な形として表したというふうに捉えていただければ幸いです。小さな一歩でありますが、このように動きを見せていく、このことが私は非常に重要なことだと思っていますので、御協力いただいた関係者の皆さんには心から感謝をしたいと思います。この鉢植え以外、福島県でも長泥地区では頑張って実証をやっていただいていますが、その他まだ具体的な案件がないので、こういった一歩一歩の積み重ねをしっかりと重ねた上で、案件作りを今後も全力で省を挙げて取り組んでいきたいと思います。今日は冒頭は以上です。

2.質疑応答

(記者)毎日新聞の鈴木です。幹事社から1点、昨日あった経産省の有識者会議で、2030年時点の電源別発電コストの見通しが示されました。最も安い電源が原発から事業用太陽光に変わったとする内容です。この試算は次期エネ基の前提ともなります。今回の試算結果について大臣の受け止めをお聞かせください。
(大臣)今まで、再エネに対するネガティブキャンペーンはやめてもらいたいと、なぜ再エネだけが国民負担なのかと、再エネは高い高い、と言ってきた方はいっぱいいます。そういった中で、今回、今後2030年に向けて一番安いのは太陽光だと。今まで一番安いのは原発だと、こういった前提が変わったことは画期的なことだと私は捉えています。そして、このことをですね、今後しっかりと経産省とともに再エネ最優先の原則に基づいて、再エネの導入拡大、これに向けて環境省はしっかりと協力をしていく、新たなスタートにしたいと、そういうふうにも思っています。今回、真摯に、このコスト試算を積み重ねていただいた経産省の事務方の皆さんも含めてですね、心から感謝をしたいと思いますし、これで「再エネだけが国民負担」、そういったことは言われなくなるんじゃないでしょうか。世界的な潮流でもある再エネが安くなる、そして原子力については、今回のこの各電源構成別の表が出されていますけど、原子力のコストはむしろこれから上がっていく可能性が示されています。それを考えれば、今後の再エネ最優先の原則に基づいて、日本が再エネを主力にしていくということがコストの面でも1つ明確になったなと思っています。環境省もしっかりと汗をかいていきたいと思います。

(記者)読売新聞の山下です。福島の除去土壌に関してお伺いします。先ほど大臣も一歩一歩の積み重ねとおっしゃっていたんですけれども、土壌をめぐってはですね、再生利用が非常に大きな鍵だと位置付けられていると思うんですけれども、再生利用に関しても、政府がですね、例えば政府の持っている建物であったり、そういう敷地にですね、再生利用をモデル的にやってみるとか、そういう再生利用に関しての政府の率先的な取組については、意欲なり、どういうふうに考えられているのでしょうか。
(大臣)ぜひ実現をしたいと思いますが、そんな簡単な案件作りの話でもないこともよく分かっています。様々な、例えば政府の施設となれば、そこに所在する自治体の理解、こういったことも含めて、ありますが、私がなぜ政府の率先実行が大切かと言っているかというと、やはり調整コストが最も少ない、そういった意味でも実現可能性は高いと思います。ですから今回、鉢植えという形の小さな形になりますけど、広がりを見せたという、この環境省だけでというところから広がりを見せていくという段階に行くことが私は大事だと思ったので、この次にどういう広がりを見せることができるのか、ここに全力でトライをしたいというふうに思っています。ただ、その可能性の高いところとして政府、こういったところの関係のところでやる、そこは間違いなく、1つの有力な選択肢だというのは間違いないと思います。

(記者)エネルギージャーナル清水です。1点、要望というかですね、考えてほしいんですが、国立公園の国民的な利活用を推進するという観点からね、再エネの立地、地熱等も含めて、これは重要なことだとは思いますが、そのコロナ禍でね、その、いわば密の状態の排除がね、ずっとここ半年、1年ぐらい続いているわけですよね。そういうときに、やっぱり、国立公園や国定公園とか、県立自然公園も含めて、密な状態を回避できる、いわば資源なわけですから、国立公園は。ぜひ開放してもらいたい。無料ででもいいし、東京から地方に行く国立公園、国定公園に車で行ってもいいし、そういうところではお酒もどうぞ自由に飲んでくださいというぐらいのね、それくらいの、なんというか、国立公園というもののね、利活用をぜひ、こういう非常事態だからこそね、考えてほしいと思います。いろいろな制約なり障害はあるでしょうけれども、やっぱりこれだけ国民がコロナ禍で密室的なところで生活を強いられる。あるいは、企業もそうですけれども、仕事も国立公園やなんかで、椅子でも用意してパソコンだったら打てるから、どんどん開放すればいいですよね。こういうことで、ぜひそこは、こういう身近なところでの公園利用というのを、考えてほしいなと思います。どうですか。
(大臣)是非清水さんには国立公園ワーケーションをやってもらいたいですね。今、清水さんが言ったことは、まさに環境省がコロナのときの第1次補正でワーケーションの予算を入れたのはそういう思いなんです。国立公園だったら密ではなく、そしてより快適な環境、生産性が高く働けるところで、もう国立公園が遊ぶだけではなくて働ける場所にもなるんだ、まさに清水さんが言ったとおりのことを今やっています。今は緊急事態になってしまいましたので、人の流れを東京から圏外の国立公園に促すということは今は控えなければいけませんが、是非国立公園の地域の皆さんの利用、残念ながら「地域の方に親しまれる国立公園」というところについてはまだ課題があって、現時点ではやはり地域の皆さんに楽しんでいただきたいと思いますね。コロナがワクチンの接種も秋をめどに一定希望者の方には完了するとなった後にですね、「Go To 国立公園」、こういったことだって考えられる1つではあろうと思いますし、福島の中でも魅力的な国立公園もありますし、そういったことは私も積極的に後押しをしていきたいというふうにも思います。ありがとうございます。

(記者)時事通信の武司です。放射線の新規プロジェクトについてお伺いしたいんですけれども、こちらに「放射線の健康影響に関する情報を読み解く力と風評にまどわされない判断力を身につける」というふうに書いてあるんですが、現状どういったところを課題に感じていらっしゃって、これをやるのか教えてください。
(大臣)たびたび相馬市長の立谷市長が法定協議会の場でよく発言をされるんですが、そのときに必ずと言っていいほど紹介されるのが、東京の中で都民の方にアンケートを取ると、放射線の影響による原発事故によって福島の子どもたちに遺伝的な影響とか、そういったものがあるというふうに間違って思い込んでいる方がかなり多いと。そういう福島に対する誤解だったり偏見だったり差別だったり、それを解消していくための放射線に対する新たな発信の取組も必要だろうと、こういった思いがあったので、我々としてもそこは何かできないか、そういったことを考えていました。今回、様々関係者の皆さんの御協力もあって、新しいプロジェクトを立ち上げるに至りました。その新しいプロジェクトの中には、例えば今までも話題になっていますけど、甲状腺検査、この甲状腺の検査で任意性の担保というのが本当にできているかということは国会でも問われていました。それに対しては、しっかりと希望する方が甲状腺検査を受けて、希望しない方は受けないという選択ができるような形で改善をしました。こういった環境をさらにしっかりと作っていくためにも、甲状腺検査の段階に応じた意思決定に必要な情報をしっかりと提供する、そういったことも今回新しいプロジェクトの中でも考えていく必要があるなというふうに感じています。さっき私が紹介した立谷市長がよく使う例というのは、去年、三菱総研が実施をした東京都民に対するウェブアンケートですね。これが現在の放射線被ばくで将来生まれてくる自分の子や孫などへの健康影響が福島県民に起こると思っている人の割合が約4割、これが去年の三菱総研が東京都民の皆さんにアンケートを取った結果なんです。そんなことはないので、「そういったことをしっかり正していかなければいけない」、「こういったことに対して国はもっと積極的に出てくれないか」と、その思いを何とか形にしなければいけない、そういうふうにも思いました。プロジェクトの一部はそういった思いもしっかりと受け止めた形になっています。

(記者)毎日新聞の鈴木です。幹事社として、クラブの加盟者以外から質問を受けているので、お知らせしたいと思います。質問者はIWJの濵本さんになります。質問をそのままお読みさせていただきます。7月11日、環境省は再生可能エネルギー発電所を積極的に整備するための法律である改正地球温暖化対策推進法に基づき、市町村が設定する促進区域から土砂崩れ等の災害の危険性が高い地域を除外する方針を固めました。静岡県熱海市での土石流災害等、全国的に大規模災害の発生が相次ぐ中、危険な場所に設置する発電設備への住民の不安が高まっていることに対応するためであるとのことです。しかし、改正地球温暖化対策推進法の促進地域から災害の危険性が高い地域を除外するだけでは、再生エネルギー発電所の整備における行政側の恣意性を完全に排除することは難しいと思います。再生エネルギー発電所の建設計画に際して地元住民の同意を必要としていない現在の森林法も併せて見直し、住民が建設計画に介入できるようにすべきであると考えますが、小泉大臣の御意見をお聞かせください。
(大臣)今回、温対法の改正の中で促進区域を位置付けましたが、そういった中で今後、具体的な運用の方針、この運用方針を固めていく中で促進をしない区域、私は今まで「ネガティブゾーニング」と言いましたが、そういった形をどのように設定するか。来月、検討会が始まっていきますので、その中でしっかりと関係省庁とも調整をしたいというふうに思っています。住民の皆さんの合意という観点からも今御質問がありましたが、もともとこの温対法の中でも、住民の皆さんの合意、理解を得られやすい、この合意形成を促すことも1つの目的に、再エネ促進区域というものは新たに創設をされますので、その中でしっかりと地域の皆さんから歓迎をされて、地域にその、今までだったら出ていっていたエネルギーの収支が、お金が外に流れ出ず、地域のものが地域の中で循環をしていく、これがやはり再エネの1つの強み、そしてメリットであって、今までのように地域の方がエネルギーは本来だったら地域の中で循環できるのに外に出ていってしまったことを変えていこうと、こういったことにつながるので、御理解をいただけるように再エネはしっかりと促進をする。コストが安くなっていることも今回明らかになったわけですから、さらに国民の皆さんにとってもメリットが分かりやすくなったと思います。そういった中で、不安に対してどのように対処するか、我々としても促進をしない方がいい、そういったところはこの運用方針の中で具体的に関係の省庁とも調整をしていきたいと、そう考えています。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/UH-K-legcFo

(以上)