大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年7月9日(金)10:31~11:04 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

閣議案件は、今日はありませんので、まず大雨の環境省の動きについて一言、触れたいと思います。まず、この度7月1日からの大雨によりましてお亡くなりになられた方々に改めて心よりお悔やみを申し上げたいと思いますし、けがをされた方も各地に出ております。お見舞いを申し上げます。熱海についてでありますが、災害廃棄物の処理については、市内に仮置き場を設置して、本日から搬入を開始しています。前回の会見では、環境省の職員を4市に計7名派遣しているという話をさせていただきましたが、昨日までに環境省の職員延べ10人を現地に派遣をして、被害状況の情報収集や仮置き場の設置に関する助言などを今しています。そして、7日からの大雨では鳥取県、広島県を始めとした中国地方全域で浸水被害が発生しています。環境省では7日から中国四国地方環境事務所の職員が現地調査、そして情報収集を行って、災害廃棄物の発生状況や仮置き場の設置予定の確認を進めているところです。今後もまだ週末の雨も予想されますので、現地の情報収集を進めて、自治体などから積極的にニーズをくみ上げて、迅速かつ的確な支援を行えるように対策を進めていきたいと思います。今日は冒頭は、私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)毎日新聞の鈴木です。私からは1点、政府は7日にですね、来年度の概算要求基準を閣議了解しました。内容として成長分野と位置付ける脱炭素やデジタルなどに充てる特別枠などを設けたというのが特徴だと考えています。地方脱炭素などの実現を目指す環境省として、今回の概算要求ルールの御所感をお聞かせください。またですね、大臣はかねがね「再エネ立地交付金」の創設を目指すことも言及されていますが、改めて概算要求に向けての環境省としての考えをお聞かせください。
(大臣)まず今回、予算編成に向けた考え方として、グリーンの重点的な予算配分が閣議了解をされた。四つの分野ありますが、その筆頭にまずグリーンが来たということ。まさにこれこそ、環境というのは経済にとってのコストではなくて、環境に取り組むことこそが成長につながるのだという根本的な発想の転換が、予算面でも明確に位置付けられた。私はとても画期的なことだと思います。今、交付金の話もありましたが、交付金については詳細な制度設計が必要ですから、省内で日々、白石審議官を中心としてですね、非常に多くの職員、知恵を出しながら頑張ってくれています。そして、この案件については、今回、他省からも環境省に人材が来てもらっていますので、そういった知恵も借りながら、今、制度設計の議論をやっています。そして、この予算の概算要求に向けた議論をですね、今、特に先行的に議論を深めているのは和田統括官のグループで、まずはですね、他の各局に対して、一つのこのような発想でこれから概算要求をやるんだということを示してもらうためにも、今、非常に前向きな、いい議論をやっていただいています。今後、グリーンに重点配分ということですから、環境省としてもしっかりと要求を、昨年度の比較という、そういった考えではなくて、むしろゼロベースで考えるように指示を出してあります。必要ではないもの、若しくは政策の優先順位としては低いものは、これから縮減若しくは廃止、こういったものもしっかりと見つけて、作っていって、しかしより重要なものに対しては重点配分ですから、それなりのものを要求をしていく。こういったことでスクラップ・アンド・ビルドをしっかりと、分かりやすく示したような予算にしていきたいと。今、和田統括官は非常に頑張ってくれています。

(記者)電気新聞の匂坂です。私からは、再生可能エネルギーの2030年に向けた積み上げの議論についてお伺いしたいと思います。今週の火曜日、経産省は小委員会で各省に再エネの積み上げのヒアリングをして、環境省からは太陽光2000万キロワットを始め、風力でもバイオマスでも積み上げの報告をされていましたけれども、この環境省の積み上げた2000万キロワットなどは十分とお考えか、それともまだ足りていないとお考えか、お伺いできればと思います。
(大臣)まず、現時点での目指している水準自体は非常に野心的だと。とても高い意欲的な目標を掲げていると思います。ただ、私はやっぱり何度も繰り返し言っていますが、最も重要視しているのは、「再エネ最優先の原則」というふうに骨太に書かれたものが、実際に制度運用としてもそのとおりになるかどうかが、これから再エネが最大限の導入につながっていくか、この鍵だと思っています。ですので、今の現行のままで単純に積み上げるということだけではなくて、再エネ最優先の原則の下に、さまざまな制度やルールなど必要な見直しはやって、その上で、再生可能エネルギーの加速度的な導入を進めていく、そういったことだと思います。特に環境省としては、自治体と連携をしながら、具体的な案件づくりを地域脱炭素ロードマップに基づいて、1個1個の案件を作っていきたいと思います。それが結果としては2030年までの先行100カ所、こういったところの創出にも連動した形で再エネ導入が進んでいく、そんなイメージでこの概算要求、そしてまた環境省の中での組織改革をやっていますので、地域脱炭素ロードマップという、これは間違いなく環境省のコア・ミッションですから。ここに対して環境省のリソースがしっかりと充てられるようにやっていきたいと思います。

(記者)環境新聞の小峰です。エネルギー基本計画の見直しについてお尋ねいたします。自民党の一部で昨今の緊張した東アジア安保情勢に対し、大変無知なですね、エネルギー基本計画への原発盛り込みの圧力が強まっています。10年前の福島第一原発事故は、まさにですね、東日本全域の危機に発展するような、国家安全保障に関わることでした。「Fukushima 50」の活躍などで、辛うじて逃れましたけれども、今のエネルギー基本計画の前提は「S+3E」となっておりますけれども、このSでは生ぬるいですよ、大臣。まさに国家安全保障の「S」である。環境新聞は「S+3E」ではなく、ディフェンス、「D+3E」を提唱します。大臣の受け止めをお聞かせください。
(大臣)気持ちは共有します。10年前の福島の第一原発のときに、当時、民主党政権でありましたけど、最悪の想定というシナリオも考えられるときに、最悪2000万人以上の避難をせざるを得ない、最悪のシナリオもあるかもしれないというのが当時ありました。それはまさに首都圏も含めて避難をせざるを得ないような、そんなリスクさえ、日本は瀬戸際にあったわけです。そのことを決して忘れることのない、エネルギー政策と気候変動対策の連携をしなければならない。ですので、そこは安倍政権のときから再生可能エネルギーの導入を進めるとともに、原子力については依存度を低減をすると。それが一時、その依存度の低減というのが消えかかったときがありましたけど、今回、菅政権の中でも、再エネはより強化する文言に決着をして。骨太のときにですね、再エネ最優先の原則が初めて入り、原子力についてもしっかりとその依存度を低減すると。こういった形で福島の教訓を忘れることなく、国家の自立に向けてエネルギー自給率を高めていく、再エネの最大限の活用をする、そうなったことは、まさに再エネ最優先の原則は将来的に行き着くところは、小峰さんが言う「D+3E」になると思います。そういった方向性を私は目指していますから、今後、エネルギー基本計画の各省調整、協議、こういったことも出てくる時期ですけども、しっかりと私からも意見を申し上げたいと思います。
(記者)すみません、もう一つ質問で、環境新聞は「D+3E」を提唱していますけれども、これをやっている世界の国でですね、あの科学先進国のイスラエルです。イスラエルはですね、国防上ですね、原発を持っていません。核兵器は持っていますけれども。何かイスラエルに対して、突然の質問であれですけれども、何か感想はありますでしょうか。
(大臣)私が思うのは日々、危機管理とまさに国家の存立、この危機感の下で国家運営がされている国だと思っています。そういったことから学ぶべきことは多い。そしてイスラエルは私、農林部会長のときに、かなり農業関係の技術も注目をしていました。それはスマート農業とよく言われますけども、こういった取組、イスラエルは非常に盛んです。日本のように水に恵まれている国ではないので、いかにこの水を、限られた資源を最大に生かして食料を国民に提供していくのか、そこの部分でも日本は学ぶべきことはあると思います。ですので、世界各国、先進的な取組を、イスラエルもそうですし、各国、取り組まれていることも日本はしっかりとアンテナを上げながら、我々が学ぶべきことは学び、一方で、日本が海外に対して提供できるものも多くありますから、そういったことはしっかりと進めていきたいと思います。

(記者)エネルギーフォーラムの松﨑です。熱海の土石流の件で、先日の会見で、再エネのネガティブゾーニングを検討されるとおっしゃっていましたけれども、それは新規への立地規制と併せてですね、既存設備への対応強化というものが重要な視点かと思っております。再エネトラブル当事者の方たちの話を聞くと、やっぱりFIT法違反ですとか関連法令を順守していない設備というのはまだまだ多いと。それへの対応というのは後手後手で仕組みがざるなんじゃないかといったようなお話を聞きます。既存設備への対応というのは大臣はどう、強化というのはですね、どう考えていらっしゃるのかお伺いいたします。
(大臣)まず私がこの再エネ、メガソーラーを含めてネガティブゾーニングと言ったことと、今の熱海のことは直接の関係はありません。なぜなら熱海の案件は今、調査中でありますから。あの盛り土の崩落、そして土砂崩れにつながったことの原因というのは今、静岡県で調査をしていると。それが分かった上で、私としては多くの国民の皆さんが不安を持たれている、命の危険にさらされるような形で再生可能エネルギーの、特に山の斜面での太陽光などが放置をされると、野放しにされるということは良くない。その思いで何ができるかと考えて今、省内の議論をやっていますが、1つのイメージとしてあるのは、この前、国会で改正をした温対法、この温対法の改正の中で、再エネ促進区域というのを新たに自治体が設置をすることができるようにしたわけです。しかし、これは基本的にはポジティブゾーニングの発想でやっている制度です。まさに名前のとおり、促進するための施策です。しかし今、このような状況を考えたときに、促進する区域がある一方で、促進すべきではない区域、そういったものをどのような形で設計できるのだろうか。今、省内の議論を進めているところです。既存の再エネについてはどうかということでありますが、一義的に、そこは経産省の事業の部分もかなりありますので、今後アセス、こういったところの関係も含めて経産省と環境省もよく議論をすることが必要ではないかなというふうに思っています。アセスについても、今後については省内の議論をやっているところです。
(記者)アセスは、既存設備に対して、アセスで網をかけるのは可能ということなんでしょうか。
(大臣)今、基本的にアセスは、まずこのアセス法というものに対する多くの方のイメージと実態ってちょっと違っていて、よくアセスだと、まるでびしっとアセスで意見を言うと止められる、というふうに誤解をされている方がいます。しかし、アセスというのは手続き法なので、実際に1つの事業、案件が形成をされる中での意見を述べていくわけですよね。しかし一度出来上がった後に、出来上がってしまったものに対してアセスは何ができるかというと、そこはやはり限界がありました。これについて、どういうふうに今後対応するのかというのは、やはり1つの課題ではあると思っているので、今後どのようなことが可能なのか、しっかり議論しなければいけないなと、そういうふうに感じているところです。

(記者)産経新聞の奥原です。大臣が普及促進に努めているソーラーパネルに関して、かねがね指摘されてますけれども、原料のポリシリコンが中国の新疆ウイグル自治区で世界的に生産拠点になっているということで、ウイグルの方々に対する強制労働と太陽光との関係性が指摘されています。助長しかねないという中で。大臣かねがね、民間企業に関しては、環境とこれからは人権問題が、こういったものが中心に位置付けられるという見方もお示しされますけれども、ウイグルの在日団体等もありますので、そういった方々の御見解を伺うような、機会があれば、「聞いてみようかな」とかございませんか。
(大臣)幅広い形で様々な方から御意見、お考えを聞くのは大切なことだと思っています。ただ、このウイグルの問題に関して、まずしっかり、環境省だけではなく、政府全体として私も含めて情報をよく収集したいと思います。例えば今、奥原さんは、太陽光とポリシリコンとウイグルという関係での御指摘ですけど、一方で例えばファッション業界、このコットンがどこから来ているのか、そういった観点から今、ウイグルの関係性が指摘をされているようなところもあるので、私はこの、私たち日本人の暮らしの中で気付かないところで、かなりサプライチェーン全体を見たときには、そういった人権の観点からもこれから浮かび上がっていくような課題があるのではないかなというふうに思いますので、しっかりと情報収集をまずしたいなと。経済の安全保障もこれから非常に重要になってきて、政府としても今、経済班をつくって経済安保ということで取り組んでいますよね。まさに一国に依存する形でサプライチェーンを持ってしまうことのリスクは、経済だけではなくて、安全保障の観点からもかなりシビアな、深刻な時代になってきた中で、どうやったらそこに依存しないサプライチェーンを構築できるのか、それと国民の経済、暮らし、これが成り立たせることができるか。そういったことについては、まずちょっと外務省、そして経産省を含めて、私も情報収集をしっかりやりたいと、まずそれからだと思っています。あとはちょっと1点、改めて申し上げておくと、さっきのネガティブゾーニングのお話もありましたけど、私は再エネは推進すべきだという立場です。しかし、なぜこういったネガティブゾーニングのような考えが必要かというのは、これから再生可能エネルギーの導入を加速していくためには、いいものはいい、駄目なものは駄目、こういった形でしっかりやっていかなければ、再生可能エネルギー全体に対する、私は今、過度なネガティブキャンペーンが起きていると思うので、そういったことを食い止めたい。先日、残念ながら毎日新聞さんの方で「公害だ」という表現がありましたけど、私はやり過ぎだと思います。そういった形で再エネに対する過度な風評を今まき散らすのは、一体何のためなのだろうかと。これは現実的に、2030年までにどのような選択肢があるのかと考えたら、これは好きとか嫌いではなくて、選択肢としては間違いなく太陽光というのが出てくるはずです。そういったところを冷静に見ていただいた議論が必要ではないかというふうに思います。熱海のことは今、県が調査中です。しかし一方で、再エネは促進するという考えの下に、促進をするからこそ、国民の皆さんの理解が得られない、命の危険があるようなところはしっかりと促進をしないというところが位置付けられるべきだという考え方というのも、改めて御理解いただければなと思っています。
(記者)過度な、公害という、毎日新聞さんの公害という指摘に関して、おかしいと言われましたけれども、そういうことを言われるというのは、エネルギー政策というのはトランジションが必要で、緩やかに変えていかなければいけないじゃないですか。民主党政権のときもそうですし、今回の菅首相の46%のような急進的な方針の転換があるからこそ、国民の中に、それに群がるような変な事業者が出てきて、国民の不安というのが増幅されるのではないかなと。そこは新聞のせいではなくて、政治の急進的な姿勢の転換にあると思うんですけれども、その辺りはいかがですか。
(大臣)急進的ではないと思いますね。
(記者)そうですかね。
(大臣)うん。
(記者)26%を46%にというのは急進的ではないですか。
(大臣)世界を見たら、日本以上にこれをどうやって達成するんだと。例えばイギリスは78%ですよ。そういったことも含めて考えたときに、G7全体の中で、日本は2050年カーボンニュートラルと整合的な2030年目標を掲げたと思っていますし、それは評価がありますし、その中でエネルギー政策をどうするのかと考えたときに、日本の安倍政権が始まったときに、その方針の中で再エネをしっかり増やしていく、これは安倍政権です。菅政権で何が変わったかというと、再エネを優先するという立場から、それを一歩強化して、再エネ最優先の原則、これは急進的ではなくて、私は段階的な立場の強化だと思います。そして原子力についても、安倍政権も原子力の依存をどう下げるか、そして菅政権も原子力の依存度を下げる、そういったことを見ていければ、むしろ、これからの方向性に向けて一歩一歩、国民の理解を得られる方向で、エネルギー政策と気候変動対策を連動した形で進めているというように思います。

(記者)エネルギージャーナル清水です。大変いい議論に水を差すようで申し訳ないですけれども、廃棄物行政について伺いたいんです。というのはですね、今話が出ている2030年、46%から50%削減においても、廃棄物処理行政をどうするかというのは、非常に大きな、環境省が持っている話では、重要だと思うんですね。今は現状は、以前大臣もおっしゃったですけれども、「単純焼却方式が多い。これは是正すべきだ」と。「CO削減の観点からも。」とおっしゃってる。しかし、焼却場はそう簡単には設備を更新したりできないし、発電設備、エネルギーの有効利用をするにしても、なかなか容易に、トランジションがいて時間がかかるということだと思うんですけれども。これから質問なんですが、廃棄物行政のリサイクルも含めて、そういう転換をですね、どうやってやっていくのか。大変重い課題だと思うんですけれども、お考えを是非伺いたい。全体像を伺いたい。
(大臣)最終的に目指すべき方向性というのは、捨てることのない社会、これが目指されているのが今、世界的にもサーキュラーエコノミーと言われる世界ですね。そして日本は安倍政権のときに、プラスチックについては、追加的な汚染が海洋に対して出ないようにする、この「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を立てています。その目標の達成のためにも、今回の国会でプラスチック新法を作って、来年の施行を目指してやっていますけど、プラスチックの使い捨てのものは今後かなり減っていく方向になります。一方で、ごみというのはプラスチックだけではないので、そこに対するアプローチをどうするかという中で、最近、海外で、私は1つのヒントじゃないかなと思って注目をしている1つが、「修理をする権利」という動きが出てきています。これはイギリス、ヨーロッパ、そしてアメリカなど。最近、バイデン政権が、もしかしたら動きが出るんじゃないかということが言われていますけど。
(記者)日本もありますけどね。
(大臣)ありますけどね。ただ、今、欧米で議論されている一つは、自動車とかスマートフォンとか、こういったことについてメーカーがリペアをするパーツとか、その方法とか、こういったものを消費者に対して明かさなければいけないとか、あとは10年ぐらい持っていなきゃいけない、こういう議論、そして中には、法制化の方に行っているところもあります。最近、日本の中でも、新たに修理をされている、様々な業者さんがいますよね。こういったところが盛り上がってきて、さらに最近はネット上でリセールされている動きがかなり多いですから、安いから、買った方が安いから買おう、そして捨てようという社会から、修理して長持ちした方が環境にもいいし、そういった方向に社会を変えていこうという、もったいないというこの気持ちが多くの方が持っているので、それをどうやって後押しできるかということが結果、行動変容につながってくる。その発想の中で、環境省は廃棄物行政を抱えている立場として、廃棄物ができる限り出ないでリサイクルに回っていく、リデュースにつながっていく、そのアプローチは何ができるか。まさに今月、担当部局の政策ディスカッションをやる予定でいます。

(記者)毎日新聞の鈴木です。幹事社としてなんですが、幹事社が質問を受けていまして、質問を代読させていただきます。インターネット報道メディアIWJの濵本と申します。よろしくお願いします。7月3日、静岡県熱海市伊豆山地区で大規模な土石流が発生しました。この度、土砂崩落現場のわずか数十メートル西側には太陽光発電所があり、ソーラーパネル設置などの森林開発、そして開発の現場で生じる残土の処分を目的として行われる盛り土が土砂崩れに影響を及ぼしている可能性があると言われています。小泉大臣は6日の記者会見で、国が自治体に対する再生可能エネルギー発電所整備の促進区域を設けるよう促す改正地球温暖化対策推進法に、何らかの立地規制が必要かどうかの議論を始めたと説明されました。熱海市に隣接する函南町では、メガソーラーの建設が環境や景観に及ぼす影響を懸念し、市民は反対の声を上げています。現状の森林法では、メガソーラーの建設計画を進める際には、地元住民の同意を必要としていません。この度の土砂災害がメガソーラーの設置と関係があるのかどうか、環境省として調査されるおつもりがあるのかどうか、また、同様の災害が今後起こらないようにするためにも、中山間部における森林開発に対する規制措置を検討するお考えはあるのかどうか、大臣としてのお考えをお聞きかせください。
(大臣)まず、幾つか質問があったと思いますけど、環境省自身がこの熱海の件で調査をするかということを言えば、今、静岡県がやっていますので静岡県が調査をする。そして、仮に静岡県から環境省に対して何らかの協力の申し出などがあれば、それは対応していくということだと思います。そして盛り土については、これは赤羽国交大臣が最近発言されていますけど、国土交通省の方でも、この盛り土の関係については、非常に問題意識を持っているそうでありますので、これについても環境省、そして農水省を含めて、国交省と連携しながら対応するのは対応するんだろうというように考えています。あとは何でしたか。
(記者)今回の土砂災害がメガソーラーの設置と関係あるかどうか。
(大臣)それは静岡県が調査中だということですから、現時点で断定することはないということだと思います。
(記者)あとですね、中山間部における森林開発に対する規制措置を検討する考えはあるか、ということについては。
(記者)これから促進区域を設置する温対法の改正の中で、先ほども申し上げましたけど、促進すべきだと、地域の皆さんの合意形成がここは促進をしようというふうに促す方向でやっていく区域と、そしてここは促進すべきではないよと、こういった形で、どのような運用が可能か、今、中でも議論しているということです。

(記者)朝日新聞の川田です。先ほどの電気新聞さんの質問で「2,000万キロワットで十分か」ということについて、お答えになっていなかったので、その件をお伺いします。
(大臣)私の中では、そこについては上限ではなくて、どこまで入れるか、まさに再エネ最優先の原則が様々なルールの中でちゃんと実施されるかどうかだと思いますので、結果、今、目標の中で示した数字を、それがそこまで行けばもういいというものではない、それを越えたら越えたで、私はその方が望ましいと思っています。ただ、この今、設定しているものでさえ、かなり高い目標ですから、そこにまずは到達するところに向けてのやらなければいけない課題の1つは、ルールも含めた見直しも必要なところが出てくるだろうと、そう思います。
(記者)逆にその、目標に対してですね、46%削減目標に対して、足りないという指摘も、委員からもあったんですけれども、積み上げだけでは。それについてはいかがですか。
(大臣)まず、日本の中の議論は46%全てを、エネルギーを変えることだけで達成するというふうに見ている方がいると思いますけども、それは全く違います。エネルギーを変えるだけで達成できるものではないし、世界中そうです。何を変えなきゃいけないのかというのは、やはり、我々の経済、暮らしの在り方、そういったことからライフスタイルも含めて変えていくようなことが起きなければ、結果としてカーボンニュートラルの方向に社会は向かっていきません。分かりやすい行動変容で言えば、例えば今、ヨーロッパとかは飛行機の規制までやっていますよね。2時間半ぐらいの路線で、高速鉄道があれば、むしろその路線を廃止して高速鉄道に乗りましょうとか、夜行列車をもう1回盛り上げようということで、政府を挙げて今、鉄道業界に対する支援をやっています。これはまさに移動の手段を変えるという1つの分かりやすいアプローチだとは思います。ただ、それが日本がそのまま採れるアプローチかというと、そうではないと思いますけれども、環境省としては自治体、企業、そして1人1人の皆さん、行動が当然、脱炭素の方向に変わっていく方向で、我々としてはどのようなことが可能か、これもまさに今、新たな体制の下で議論を進めているところです。その、電力の脱炭素とか、そして行動変容を明確にしていくようなライフスタイルの転換につながるような措置、この両方をやっていかなければいけません。この行動変容の1つは、あるいはプラスチックの分野からも始まることがあるので、プラスチックの新法も作り、来年からはかなり景色が変わってくると思います。こういったことも、まだ私はスタートだと思っていますので、引き続きプラスチック以外の分野でも考えていく予定でいます。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/YpA0whqlvtQ

(以上)