大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年7月2日(金)10:31~10:57 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

まず、今日は冒頭私からは一言、経団連の前会長、中西会長がお亡くなりになったことについて一言コメントさせていただければと思います。私も大変お世話になりまして、表で会うこと以外にもですね、2人でお時間をいただいたことが何度かありました。そういった中でいつも明るく笑っておられて、今日も新聞各紙で評伝などを読ませていただきましたし、各紙が使われている中西会長の写真の中で、特に、ある新聞が満面の笑みの中西会長の写真を使われていましたが、あの写真を見て、寂しくなりましたね。もう直接あの笑顔を見ることができないのかと。私としては、世代は違いますが、同じ思いを持ちながら、日本を良くしたいというふうにともに仕事をさせていただける、同志のような方だと思って、御指導いただきたいとずっと思っていました。そして、最近私も入院をしましたが、特に入院中にですね、中西会長のことを何度も考えました。入院中、病院から官邸の諮問会議など、そして、気候変動の有識者会議など、ずっと病室からリモートで参加をされている姿、それでも、病室からとは思えない明るさで、そして、私とは違って、長期の入院の中でもあのような元気な、心の強いお姿を改めて自分が入院してから考えたときに、どれほど強い方かと、改めて尊敬の念を持ちました。また一緒に働けることを楽しみにしていましたが、中西会長の思いをしっかりとこれからの日本の必要な改革に向けて、活かしていきたいというふうに思います。改めて感謝申し上げるとともに、心からお悔やみを申し上げたいと思います。それでは、今日は熱中症ですね、これについて官邸の今日の閣僚懇談会でも触れましたので、一言触れたいと思います。昨日から7月に入りました。まだ全国的には、今日もそうですが、梅雨ですが、梅雨が明ければ暑い、夏の本番を迎えます。特に、今年の夏は全国的に平年よりも暑くなると言われていて、梅雨明け後、暑さに慣れていない方が多くなる中で熱中症の心配は今まで以上にあるなというふうに考えています。環境省と気象庁では、今年度から「熱中症警戒アラート」を全国展開しています。このアラートは、環境省LINEの公式アカウントでも確認することができます。早速今日、アラートが福岡県、長崎県、熊本県、鹿児島県、沖縄県に出ています。今年、沖縄以外でのアラートは今日が初めてとなります。さらに、おとといからは、「熱中症警戒アラート」がヤフー株式会社の協力のもと、ヤフーの防災アプリと連携をしました。これによって、アラートの情報が利用者数2,200万人の防災アプリで配信をされることになりました。こうした情報をぜひ積極的に活用いただいて、アラートが発表された日にはエアコンを適切に使用する、こまめに水分を補給する、外出の予定を変更するなど、普段以上の熱中症予防を心掛けていただきたいと思います。こうしたことから、今日の閣僚懇談会でも私から関係閣僚の皆さまに、熱中症対策に取り組んでいただくよう呼び掛けました。詳細な取組内容は、今日午後に開催する熱中症対策推進会議で議論をする予定です。例えば、高齢者におけるエアコンの使用促進、こまめに水分補給できるようマイボトル用の給水器の普及など、今後の取組について議論します。特に、マイボトル用の給水器の普及については、関係府省庁の所管施設での積極的な設置などを期待しています。環境省も今、ウォータークーラーなどがありますが、それをマイボトル用に切り替えていく、こういったことも進めていますので、関係省庁にもお願いしたいと思います。今日は冒頭、私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)幹事社毎日新聞の鈴木です。6月30日に総務省の方で、外来種対策の推進に関する政策評価の中間報告が取りまとめられました。内容については、外来種のヒアリやアライグマの駆除対策などについて自治体と関係部局との連携に課題があるとして、環境省に改善を求めているものであります。中間報告を受けての受け止めと、今後の環境省の対応を教えてください。
(大臣)環境省としては、今回、まだ最終評価ではないんですが、最終評価を待つことなく、今回の御指摘を踏まえて自治体としっかりと連携の強化を進めて、そして、外来種対策の強化を図っていきたいと考えています。
(記者)もう1点なんですけれども、冒頭発言があった中西前会長の件ですが、中西前会長は非常に脱炭素についてリーダーシップを発揮されていたと思います。その点についての大臣としての中西前会長の評価とですね、非常に、産業界でもいろいろ賛否ある中で強力にリーダーシップを発揮されていた中西会長と、環境省でも賛否ある中でリーダーシップを発揮する小泉大臣と、すごく共通する精神を感じるんですけれども、そこについても御所感を伺えたらと思います。
(大臣)省内に賛否があるかどうかは、鈴木さんの見立てということで承りますが、中西会長でなければ、これだけ日本政治の中で脱炭素化を政権の主軸に、産業界と足並みをそろえて歩み続けることはできなかったと思いますね。やはり、今までは低炭素から脱炭素という、言葉一文字を変えることですら、経済界、産業界の中では、「脱炭素は早過ぎる」とか、「脱炭素は無理だ」とか、そういう後ろ向きな反応があった中で、中西会長のリーダーシップと手腕がなければ、前向きなコメントとかが出ることもなかったかもしれない。そう思うと、中西会長が、様々な声が産業界である中で一つの声にまとめ上げたということは、私は感謝の念に堪えません。そして何よりも、私が中西会長をいつも拝見をしていて思ったことは、経団連会長としての発言ではなく、中西会長御自身の思いを常に大事にされていましたよね。ですから、常に後ろの事務方が冷や冷やしている姿が印象的でしたし、「今日、何を会長は言うんだろうか」という、そういった形で後ろの列に座っている事務方の顔を見るのも、私はいつも楽しみにしていました。もしかしたら鈴木さんが言う共通する部分は、「今日はうちの大臣は何を言うんだろう」と思っているうちの事務方の表情を鈴木さんは見ているのかもしれないなと。そこは共通するのかもしれません。改めて寂しいです。

(記者)環境新聞の小峰です。本日7月2日、太平洋・島サミットが官邸でオンラインで開かれます。またおととい、6月30日には菅首相とマーシャル諸島、ミクロネシア連邦などの首脳とのバイ会談がテレビ会議でありました。一方、これらの諸国はですね、中国の覇権主義のですね、対象としてですね、債務のわなに陥れられる可能性もあり、ますます、中国共産党100年を迎えてですね、覇権主義を強くしてくると思います。そうした中ですね、先日、小泉大臣はJCMのインド太平洋拡大戦略を掲げています。小泉大臣は今回の太平洋・島サミットなどの一連の会議をどう受け止めて、今後これらの太平洋の島しょ国に対してどういう対応をしていくのか、お考えを教えてください。
(大臣)太平洋島しょ国は気候変動によって国家の存立が最も危ぶまれている、そういった国々が多いです。まさに島がなくなる、国がなくなる、そういった危機感が世界の中でも特にこの島しょ国から発せられています。そういった国に対して、これからも島しょ国が持続可能な国家の発展を歩んでいけるように日本として支援をすることは極めて、気候変動対策という観点のみならず、安全保障、そしてインド太平洋の安定的な地域環境も含めて、非常に重要なことだと思いますので、今回、環境省としてJCMをさらに拡大して、この地域の脱炭素の支援をしていく。さらに重要なのは、オーストラリアなどのQUADと言われる4カ国の中でも、特に日本は今、環境省としては、オーストラリアと水素の中でも再生可能エネルギー由来のグリーン水素と言われるものを、日豪で島しょ国などの第三国に輸出をしていくプロジェクトを考えています。今、その事業者を公募中でありますが、こういったことも通じて太平洋島しょ国の脱炭素化、そして今後の国家の発展を共に連携をして、支援をしていくことが、日本としても国益につながると考えています。

(記者)エネルギージャーナルの清水です。2点ほどありまして、1つは、中西会長が亡くなられた件で、いろいろ出ていますが、環境問題、グリーン成長に象徴されるように、政権のど真ん中に環境、気候変動問題を入れたという、そういう状況を作った小泉大臣のあれも非常に大きいと思いますが、経団連の中西会長の理解がなければこれはなかっただろうと思いますね。かつ、環境省と経団連がストレートな関係でやるということも、いろいろ調整するということも、歴史的になかった。常に経産省という所管のところの、その意向を踏まえて経済界とは対応するという環境省の姿が長く続いたと思うんですけれども、その辺を打開された非常に大きな要因はどういうものだったと認識されているか。ここを1点伺いたい。もう1点は、昨日も経産省からカーボンプライシングの話が出ましたけれども、概算要求が近いですから、環境省としてカーボンプライシングの優先順位、施策の優先順位、あるいはその期限的なものも含めてどういう大枠の考え方が今あるのか、2点伺いたい。
(大臣)まず、中西会長となぜこういう足並みをそろえて政策を進める関係が構築できたのかというのは、何か不思議でしたね。初めてお会いをしたときから、初めてお会いをする感じがしませんでした。私からすれば、父親のような世代の方でもありましたし、率直に、「この方に学びたい」、それは最初に会ったときからそういう気持ちになりました。そういう人を魅了する力が、中西会長が日立の中でも、経団連の中でもリーダーシップを発揮できた、その人間力ではないでしょうか。私も中西会長という方に心酔した一人です。そして、今だから言っても差し支えないと思いますけど、経団連と環境省で連携協定を結ぶと、こういった過程の中でですね、中西会長にお会いをしたいということで、会長が「俺が環境省に行こうか」と、そういうお話もあって、だけど清水さんが言うように、今まで経団連というと、経産省という形がありましたから、「先にちょっと環境省」というのは、こういういろんなこともあって、そこはちょっと順番を踏まえてやりたいなと、こういったいろんなやりとりがあったんです。そういう今までの何か霞が関と経済界の慣習のようなものに全くとらわれない方でしたね。ですから、私も環境省として、経団連としっかり連携をやって、政策を前に進めることができたわけです。清水さんが言うように、中西会長抜きには今の政策強化は実現をしていなかったはずです。特にカーボンニュートラルを菅総理が宣言した後の前向きなコメント、さらに、12月にカーボンプライシングについて、総理から経産省と環境省に指示が出た後の、最初に産業界がどう反応するかということは、私も正直言って不安な部分もありました。それが、中西会長からまず「否定しない」という、その前向きなコメントが出たことが、今のカーボンプライシングが政府全体で、産業界も含めて議論する環境を作ってくれたと思っています。ですので、中西会長は間違いなく日本の脱炭素の政策の礎を、土台を固めてくれた最大の功労者の1人だと思います。もう1つ言えば、私の中では、中西会長はこの脱炭素だけではなくてですね、今でも忘れないコメントは、政府の会議で、官邸の会議で、3EプラスSということがエネルギー政策で言われましたけども、「3EプラスSって言うけど、最初は環境なんだよ」と。「一番大事なのは、今環境なんだ」ということを中西会長が言ったんですよ。あの言葉が経団連の会長から出るかという、そういう思いをして、私はその後に、「まるで環境大臣からのコメントのようなコメントを経団連の会長からいただきまして」という話をしましたが、もっと一緒に仕事がしたかったですね。本当に残念です。カーボンプライシングは、環境省としても最重要です。これ抜きに、46%、50%の高み、そしてカーボンニュートラルの実現はないと。これは不可欠な課題ですから。手法としては様々な手法があると思いますが、前進を、必ず実現をさせるために、今月から新体制に環境省はなりましたが、その中でもまず環境省としてできることを徹底的に洗うように、そういう指示を出しておりますし、関係省庁ともしっかりコミュニケーションを取るようにという指示を出しています。
(記者)2点目で、概算要求の前に大きな枠組みというか、環境省として2022年度の税制改正要求もあるし、その辺のイメージというか、大枠はそろそろまとまりつつあるのでしょうか。
(大臣)これからですね。今まず環境省の中の組織を、在り方を整理していますし、政策の優先順位を付けるように言ってあります。ですので、各局とのディスカッションを、今までもこの新体制の前に1回やってはいますが、新たにこの新体制の下でもやらなければいけないと思っていますので、今月、精力的にそれをやって、概算要求に向けた重点事項の取りまとめというのをしなきゃいけませんから、各局の局長、審議官には、しっかりと政策の優先順位を付けたものを上げてほしいと、その議論を始めています。

(記者)朝日新聞の川田です。カーボンプライシングなんですけれども、昨日、経産省から、「排出量取引について自主的なものに」という案が示されたんですけれども、この辺について大臣の考え方を教えてください。
(大臣)案は案なんで、最終案じゃない、最終的なものではないと思いますが、より企業の自主的なものを後押しして、規制的なものではないようにしたいというのは、産業界を所管をする立場からすると合理的なものだろうなというふうには思います。一方で、我々としては、企業の、国を先取りした動きが一部の企業でものすごいスピードで進んでいることは高く評価しています。トヨタさんのサプライチェーン全体に対するCO2削減を求めることとか、他の企業についても、サプライチェーン全体に求めている動きが広がってきました。ただ、その一部の企業が頑張ってやっていることのみで、46%や、そして今後の気候変動対策、また、世界に新たな脱炭素の市場を取るに値する速度で日本が変わるかといったら、私は不十分だと思います。ですので、自主的なものにとどまらないものを、最終的にどのような形でパッケージを組んで考えていくかというのが、ポリシーミックスという意味では非常に重要だと思います。なので、環境省の中でも今、環境省がまず自分たちでもできることを徹底的に洗うようにという指示を出しています。

(記者)北海道新聞の立野です。福島第一原発の周辺のPCB廃棄物を北海道室蘭市で処理するという件についてお伺いします。処理した後のですね、金属くずなどを、今度は苫小牧の産廃業者が処理するという話が地元で明らかになっているんですけど、それで、そもそも地元では、結構、市民団体の人から反発も出ていまして、改めて大臣の所感を伺いたいのと、あと、7月中にも住民説明会をやるという話がありますけど、具体的にその後決まったことがあれば教えてください。
(大臣)これは前回も御質問をいただいた状況ですけども、今、苫小牧うんぬんという御質問がありましたが、現時点で決定している事実ではありませんが、7月に開催すべく調整している監視円卓会議や、今、御質問の中にあった住民説明会、こういった場で環境省の考えをお示ししたいと。つまり今月ですね、もう7月になりましたから。今月、環境省の考え方を住民説明会などでお示しするということであります。地元の説明会には、環境省からPCB担当の課長を派遣する予定です。具体的な時期については、今、立地自治体である室蘭市、そして北海道と具体的に相談を行っています。今、コロナの感染拡大の状況も踏まえながら、丁寧な説明を可能な限り早期に実施できるように、開催に向けた準備を進めていきたいというのが今の状況です。

(記者)産経新聞の奥原です。大臣がかねがね言っている再エネ最優先の原則について、その中身についてなんですけれども、具体化するとしたら優先給電ルールをですね、今、自然変動電源の抑制が先にあって、その後に長期固定電源、原発、水力、地熱などの抑制があると思うんですけれども、この順番を入れ替えるというところが具体的な目標、具体的な話になるのでしょうか。
(大臣)私の中では、今、何か1つの制度、ルールを変えることが再エネ最優先の原則に当たるという考え方ではありません。政府の政策全体、その中で再エネ最優先の原則とは言えないものを、これから棚卸しをして、徹底的に見直しをしていく。そういった中の一つは、今、奥原さんが言ったようなことも私は俎上には載ると思います。
(記者)私が言った以外で何か、もしあれば教えてください。
(大臣)今、様々点検をしなければいけないという話をしていますが、例えばですね、今まで環境省の中でも再エネに対してのスタンス、これはあまり定まったものが今までは、いかに国立公園を保護、かなり重視をしていますから、そういった中で再エネをどうするかという話もありました。ただ、もう地熱の倍増を含めて、再エネはできるところからやるということも明確にしてあります。環境省で他にも何かあるのか、今あればしっかり見直すようにという話はしていますが、やはり主にはエネルギー政策を所管する経産省、エネ庁、そういったところが主な課題になるとは思うんですが、この再エネ最優先というのは、何と比べて最優先かというのは、いわゆる電源構成の中での最優先ですね。ですから、それを見直されるように、これから私たちとしてもしっかり意見を申し上げていきたいと思いますし、奥原さんが言ったような課題も含めてですね、全体の見直しが必要なんじゃないかなと思います。どれか1つということではないと思います。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/7Uu6kOG4gQ4

(以上)