大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年6月29日(火)10:44~11:16 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

今日冒頭は閣議の関係はありませんが、2点。1点目が今、配布をしてありますJCMの関係です。そして2点目が、明後日、環境省はちょうど50周年、環境庁以来50年を迎えますので、前回も少し記者さんから御質問がありましたが、ちょっと改めて触れたいと思います。まず、1点目のJCMについては、お手元に配布をしましたとおり、今月15日に発表した「脱炭素インフライニシアティブ」の最初の実践として、今年度の二国間クレジット制度(JCM)設備補助事業の第一次採択結果をお知らせしたいと思います。今回、11件の案件を採択しています。そのうち、イニシアティブの注力分野として再生可能エネルギーで7件採択をしています。これまでと比べて約1.8倍の9メガワットの工場での屋根置き太陽光の導入や、初めてとなる地熱発電の新設案件もあります。地熱倍増プランなど環境省が国内で推進している再エネを海外でもJCMで推進をして展開をして、国内外の再生可能エネルギーの普及の相乗効果を狙っていきたいと考えています。また、JCMとしては初めてとなる商用大型廃棄物焼却炉を採択しています。べトナム・バクニン省の3分の1の人口の一般廃棄物に当たる日量500トンの処理能力を持ち、サーキュラーエコノミーとカーボンニュートラルの同時達成を目指してまいります。今回の採択分による2030年度までの温室効果ガス削減見込量は約120万トンで、事業規模は310億円に相当します。これまでに採択した案件と合わせると、約2,000万トンになります。今後、これらの事業で得られた成果やノウハウを環境インフラ海外展開プラットフォームに参加されている約400の企業、団体に幅広く共有をして、JCMを通じたインフラ展開を一層強力に進めたいと考えています。加えて、JCMの対象地域の拡大にも着手をします。7月2日には第9回太平洋・島サミットが開催予定でありますが、環境省としても今後、太平洋島しょ国とのJCMのパートナーシップ構築を進めてまいります。また、オーストラリアと連携をして、グリーン水素の太平洋島しょ国における利活用の実証も行ってまいります。これらの取組を通じてインド太平洋地域の脱炭素化に貢献をしていきたいと思います。1件目は以上です。そして、2点目は、環境庁創設50年に絡みまして一言申し上げたいと思います。明後日7月1日、1971年の環境庁創設から50周年を迎えます。今日はこの節目となる機会に、環境庁の歩みを振り返り、今後の展望を一言述べたいと思います。50年前、高度経済成長に伴い、深刻な大気や水の汚染や自然破壊に見舞われました。公害訴訟では原告勝訴の判決が相次ぎ、美濃部都知事がごみ戦争宣言をして、八王子市で日本で初めてとなるノーカーデーが実施をされて、東京電力福島第一原子力発電所が運転を開始したのもこの年でありました。こうした中で、公害対策本部を発展させる形で環境省の前身である環境庁が発足しました。そして、50年後、今ですね、東京都内で大気汚染の原因となる二酸化硫黄の濃度が約20分の1になるなど、公害対策は目覚ましい成果を上げました。一方で、大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済発展とグローバル化の進展で気候変動などの地球環境問題が深刻化し、50年間で日本の平均気温は約1.7度上昇して、北日本の降雪量は半減しました。このように公害対策が進展する一方で、気候変動の深刻化、大量生産、大量消費、大量廃棄、生物多様性の損失といった私たち人間の暮らしに根差した新たな課題が深刻化し、既に全国各地で目に見える影響が出始めています。これらの課題がさらに深刻化して取り返しがつかなくなる事態を回避し、この豊かな地球環境を確実に将来世代に引き継ぐためには、現在の延長線上ではなく、未来からのバックキャストで必要な政策を果敢に打ち出していく必要があります。グリーン社会の実現が骨太の方針の筆頭に位置付けられ、気候変動対策が日米首脳会談やG7の主要議題になるなど、環境省の取組が政権の中心課題、世界の中心課題になりました。7月からの新たな体制の下で、原点である公害問題、気候変動、福島の復興などの諸課題に全力で取り組むべく、環境省の総力を挙げて来年度予算、税制、組織定員や制度改正に向けた検討を加速させていきます。また、7月1日からは、先日発表した人事にあったとおり、省を挙げて地域のカーボンニュートラルを進めていく省内の連携チームを立ち上げます。また併せて、7月1日付で、霞が関版20%ルールを環境省は持っていますが、そこで活躍をして成果も上げていただいたファッションタスクフォースのチームリーダーを循環型社会推進企画官に併任で発令をする予定です。食ロスのようにファッションロスとしての観点からも、組織としてファッションの活動を取り組んでいくようにしたいと思います。霞が関版20%ルールは、職員の自立と成長、環境省の政策立案能力を増強することに加えて、既存の組織の枠を超えて社会のニーズに合った新しい政策を実現することにもつながったと考えています。この20%ルールによって生まれた成果を、しっかりと組織として環境省全体で受け止めて取り組んでいきたいと思います。なお、近藤広報室長も7月1日で異動予定であります。ありがとうございます。近藤さんには、「環境省のアイデンティティーというのは、環境省のカスタマーは将来世代である」という、あの言葉は近藤室長との意見交換の中で生まれた言葉でもあります。しっかりとこの広報機能の重要性というものが環境省の組織に今まで以上に根付く、そんな転換点を担っていただいたなと、後任にもしっかりその近藤イズムを引き継いでもらいたいと思います。ありがとうございました。今日は冒頭、まずは私からは以上です。皆さんから御質問があれば、よろしくお願いします。

2.質疑応答

(記者)幹事社産経新聞の奥原です。拡張主義的な動きを強める中国に対しての大臣の認識を伺いたいんですけれども、これまで大臣が主導されてきた石炭火力の輸出停止措置などは、結果的に途上国に対して中国の権益を増すおそれがあったりとか、普及を志されているソーラーパネルなども、シェアが中国が市場1位であったりとか、あとはポリシリコンが新疆ウイグル自治区で生産されているなど、結果として中国を利するような政策が目立ってしまっているのかなと思いますけれども、改めて、自由と民主主義、法の支配といった概念を途上国といいますか、途上国などに植え付ける、埋め込むために、JCMもそうだと思うんですけれども、環境政策の面からどのような政策が必要とお考えでしょうか。
(大臣)まず、どこか一国を利するような気候変動対策を継続する必要は全くないし、そうあってはならないというのが私の認識でもあります。そして、G7で一致して、今回、新規の海外に輸出する石炭に対する公的な信用は年内で終了する、こういったことに一致した背景には、やはり世界全体で最も海外に対して石炭火力を輸出している中国に対しても同じようなコミットメントを求めていくというのがG7が一致した声としてまず合致したというのは、これは前向きなことだと思います。奥原さんが言うように、太陽光のシェアを見れば、これは中国が圧倒的じゃないかと。こういった世界各国がその国家の安全保障にとっても重要な製品、そういったものをどこか一国に依存する危険性、これはコロナにおいても医療関係の様々な製品も含めて、安全保障の観点からサプライチェーンをどういうふうに持続可能なものに転換をしていくかということを迫られますよね。まさにこの気候変動対策も、今までずっと気候変動は、これは安全保障なんだと言ってきたとおり、今後、持続可能な再生可能エネルギーを日本にとどまらず世界各国が増やしていきますから、そのときにどこか一国を利するようなことがないような新たなサプライチェーンに組み替えていく。特にこれを民主主義を掲げている同じ価値観を共有する国々と新たなサプライチェーンを構築して、そして東南アジア等、発展途上国に対しても我々と同じような価値観を共有する国々が共に再生可能エネルギーの導入などを支援していくような新たな選択肢を作っていくということが非常に重要なことだと考えています。

(記者)読売新聞の山下です。先ほどの産経新聞さんの質問にも関連なんですけれども、言及があった、太陽光のシェアは中国が圧倒的ということの関連で、太陽光を含めですね、今のロードマップでは再生可能エネルギーを抜本的に導入していく、主力電源化していくという政策を打ち出されていますけれども、じゃあそれはどこで作られたものを導入するのかとか、シェアの話を以前、小泉大臣はされていましたけれど、国内で風力も含めて、生産能力を高めていくとか、その辺に関してはどういうビジョンや戦略があるのでしょうか。
(大臣)まず、自国だけで全てを賄うということは事実上不可能ですよね、現実的ではないでしょう。それを言い出したら、食料はどうしますか、そしてエネルギーはどうしますか、そして我々が着ている服は98%輸入ですから、こういった現状を考えたときに、日本はなぜ一国で生きられないのかというのが分かると思うんです。世界の経済の中の日本の中で生きているわけですから、今後大事なことは、まず、新たな経済社会の形に向かっていく中で、自国の産業競争力を上げていく。そして、残念ながら太陽光もそうですし、風力もシェアを見ればヨーロッパ勢です。こういったことを考えれば、今後ニーズが出てくるような分野において、いかに自国の産業を鍛えていくか、そして人材を育成していくか、これは同時進行でやらなければいけません。ただ、じゃ、それができるまでに全く導入しないのか、新たな太陽光を作るのにですね、これも現実的ではありません。ですから、大事なことは、奥原さんが質問してくれた中でも回答したとおり、いかに今後長期的に、再生可能エネルギーの分野というのは成長分野なんですから、その成長分野で新たなマーケットを取っていけるような日本の製品、そして産業競争力を共に作っていこうという思いを政府全体として今持っているわけです。だから、このグリーン成長戦略、この成長戦略にグリーンが付いているわけです。そして、再エネ最優先の原則を入れているわけです。これを見ても向かうべき方向性は、今のままでは自分たちの産業競争力にプラスのような形につながらないことを、この負のスパイラルを変えていかなければいけないという方向性は明確だと思います。ただ、最近も様々な報道で私は違和感があるのは、ちょっと太陽光に対するネガティブキャンペーンが過ぎるんじゃないですかね。「まるで公害だ」という、毎日新聞さんも最近1面でやられていましたけど、私は今まで再エネに対するネガティブキャンペーンというのはおかしいと。なぜ再エネだけが負担だと、そういうことを言うのかなというふうに言っていましたから、この可能性が見えてきたものに対して、課題はもちろんあります。しかし、その課題をことさら負のメッセージを発信することでその可能性をくじいてしまう、こういったことはあってはならないと思いますから、私はこの課題に対してしっかりと向き合う対策は温対法の改正でも地域の皆さんの同意がなければ進まないのですから、再エネ促進区域を設定しているし、今後もしっかりと地域の皆さんの理解を得られるように、再エネが前向きに捉えられるように、やっていきたいと思います。それは交付金の新たなものも創設に向けて準備をしていますし。ただ、その一方で、エネ庁の審議会が明日ありますけど、国環研とかこういう研究所からの一定の定量的なモデル分析みたいなものも示される予定です。そういった中で、今後、再生可能エネルギーが導入されていった暁には、毎年17兆円とか大量に海外に対して支払っている化石燃料代が、将来的には約10兆円規模ぐらいで減っていって、海外に対して日本の富が流れていくような、流出してしまうような現状がかなり抑えられるというような数字も出てくる予定です。こういったことも含めて私はフェアに捉えてもらいたいし、そういったことも私はしっかり後押しをしていきたいと思います。

(記者)熊本日日新聞の並松です。冒頭の50年の発言に関係してお尋ねいたします。水俣病のことですが、大臣は先日、現地の被害者団体の方とオンラインで意見交換をされて、いつもこれはおっしゃっていることかと思うんですが、「1つ1つできることを前に進めていきたい」とおっしゃっていたかと思います。一方で、水俣病公式確認から65年ということもありまして、現地の方、被害者の方は非常に高齢化しておりまして、残された時間はそうないのかもしれないと思います。その中で、大臣の「1つ1つ前に」という言葉が、時に時間の経過を考えるとですね、少し酷にも聞こえるようにも思います。大臣のこの言葉に込めた真意を聞かせていただければと思います。
(大臣)1つ1つ様々な状況がある中で、どういう一歩だったら環境省として50年の歴史の中でも今も変わらずにこの水俣病という原点を忘れない、その思いを持って行政課題に向き合っているかをお伝えできるか、その具体的な一歩一歩の一つとして、先日発表したこの客観的な評価法を1、2年をめどに、そして私も実際にその研究をやっている、当事者である中村先生からもお話を聞いて、そして私も当初、この1、2年も、どういうことをやるから1、2年かかるんだろうか、そういう思いが、お話を聞けば、より正確な形で活用ができるように、一定の正確性は今も既に出ているんですけど、それをさらに高めていく必要があるということは私も聞いていて納得感がありました。先日のオンラインの意見交換で、団体の皆さんにも私が聞いたようなお話を、この秋までに中村先生からも皆さんにもお話をしていただく、共有をしていただく機会を設けたいという話をさせていただいたとおり、こういったことも今までにはない取組でありました。そして、地元の経済界、まちづくりをやっている皆さんからは、やはり今まで環境大臣が水俣に来たときに、団体の皆さんとは会うけど、まちづくりを前向きに進めていきたいという、そういう経済界の皆さんとは意見交換の機会がなかったと。そういう声を受けて、大臣として初めてそういう場を設定もしています。こういったことも含めてですね、これからも、地元の方からすればまだまだ足りないところはあるかもしれませんが、1歩1歩確実に前に進んでいけるように、これからも努力をたゆまずやっていきたいと思います。
(記者)ありがとうございます。1点だけ確認させてください。今、おっしゃっているその手法の開発とですね、その先にあります健康調査なんですけれども、水俣病特措法の規定によりますと、健康調査を実施して結果を公表するとまでしか具体的には書かれていません。現地にはこの調査がですね、自分たちの救済につながるものだという期待感はあるわけなんですけれども、その目的について大臣はどのようにお考えか、お聞かせください。
(大臣)やはりこの1、2年をめどにしてどういうふうに活用できるかという、開発された手法の活用方法、これについて精度をしっかり上げていく中で考えていかなければいけない課題だなと思います。ですから、私も中村先生から話を聞いて、今どの程度までの正確性まで精度が上がってきたか、これは一定程度、他のものと比べても相当な正確性は出てきたというふうには思います。ただ、この活用に対しては、より正確性を高くしなければ、逆に御理解が得られなくなる可能性だってあるわけですから、その一定程度積み上げることができた正確性を、さらに正確性を高めるために必要なことを積み重ねないといけないというその思いは、私も中村先生から話を聞いて、納得した部分もあります。ですが、そういった中村先生のお話をより多くの方に聞いていただくということも、その理解の進む一助になると思っています。ですから、日程調整は先方の日程もありますし、中村先生の日程もありますが、私としては秋までにはそれを実現していきたいと、それも一歩だと思います。

(記者)NHKの吉田です。また話が変わって恐縮なんですが、先日ですね、除染の関係で、先日、環境省の発注した富岡町の被災建物の解体工事に関連して、工事を請け負った鹿島建設の元幹部の社員がですね、下請け業者から謝礼金として現金をおよそ2億円程度受け取っていたと、この件に関して仙台国税局のほうから所得税法違反の疑いで告発が昨日されたそうなんですけれども、改めてこの除染の経費をめぐる問題ですね、企業の不正ですとか、このことに対する認識と、今回、刑事処分はまだだとは思うんですけれども、鹿島建設あるいはそのJVに対してですとか、このことに関して環境省から何か処分的なものなどを進めていくのかどうか、お考えをお願いします。
(大臣)まず、今まで環境省としては工事の受注者に対して企業統治の強化、そしてコンプライアンスの徹底を要請する文書を発出するとともに、工事受注者と下請けとの間で社会通念上、相当と認められる程度を超えた行為が明らかになった場合にも、不正又は不誠実な行為に当たるとして指名停止の対象とするための運用基準の改正などに取り組んでいます。また、事業を発注する際の積算基準や資材単価については随時の見直し、改定を実施するなど、市場単価等が適切に反映されるようにしています。今回、こういった報道されているようなこともありますが、個別の捜査のことですからコメントは差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げれば、復興のための事業を適切に執行していくこと、これは当然のことでありますし、そういったことがなされない場合には厳しく対応していく、それは当然のことだと考えています。

(記者)毎日新聞の鈴木です。先日のことで恐縮なんですけれども、環境分野のノーベル賞と言われるゴールドマン環境賞にですね、日本の環境NGO気候ネットワークの平田仁子理事が受賞されました。大臣と思いを重ねる部分はあると思いますけれども、特に国内の石炭火力政策についての活動が評価されたということなんですけれども、その辺について大臣なりの受け止めをお聞かせいただきたい。
(大臣)平田さんのように長年、まだ日本の中で政治的な主要課題に気候変動がなる前からこの課題に思いを持ってきた方が評価をされた、そこは気候変動対策に取り組む者として心から祝意を表したいというふうに思います。今回、石炭ということが1つの受賞された理由だというふうに私どもは認識をしていますけど、私は平田さんの思いというのは石炭だけにとどまらず、気候変動政策全般において強化する必要があるという中での活動の思い、これが評価されたと捉えていました。ですので、私も石炭政策の見直しに大臣就任後、取り組んできたことの思いは同じような思いですが、今後も平田さんのような方が、多くの仲間を持っていますから、そういった皆さんが日本の今の気候変動政策がここまで次元を上げてきたことを、私が取り組む前から強化してくれていたと、そのことに、その礎の下に私はやっているなと、その感謝を忘れずにやりたいと思います。まだこれからの次元として、フェーズとして大切なことは、いかにそれをより多くの方々に共感してもらえるような状況に持っていけるか、そこは大きなまだ課題があるし、平田さんなどともどういったことが必要か共に考えていければなと思っています。
(記者)関連なんですけれども、特に欧米との比較になってしまうんですけれども、向こうだと、環境NGOというのはある意味、政府のシンクタンクの機能を果たしている側面もあったりするんですけれども、あまり日本だとですね、NGOと政府との関係は、あまり目立った取組はないのかなと思ってしまうんですけれども、その辺はどうお考えでしょうか。
(大臣)これも変わっていくんじゃないですかね。環境省の場合は、もう既に審議会のメンバーとかでNGOの方にも入ってもらっています。ただ、何かこう、NGOというと、何かむしろ政府とは反対の方にいるというふうに見ている方が日本では結構いるんじゃないかなと。共に歩むパートナーではなく、反対する勢力としているという、それがだいぶもう変わってきていて、世界を見れば鈴木さんが言うように、共に歩んでいく、そういったケースも相当見られますよね。ですから、これから共にデータの共有とか、情報の共有、そしてそれを生かした政策に対する反映、こういったものというのは可能性はあると思いますから、そこは今後、私は前向きに進んでいく可能性は大きいと思います。
(記者)前向きに進めたいというお考えがあるのでしょうか。
(大臣)私が大臣になってから思うことは、この分野って意外に日本の中でも一定のコミュニティーに限られていますよね、この人材の情報ソースは。ですから、できる限り幅のある情報提供は欲しいと思いますし、多様な観点から情報を集めないと、政策立案が違いますから。今の時代って、霞が関が全ての情報を持っているということはないんですよ。私もそれは大臣になってから実感していますけど、情報収集能力による霞が関の限界を感じます。ですから、これはメディアの皆さんの情報量もそうですし、民間の皆さんの情報量もそうですが、こういったことにアンテナを伸ばしていかなければ、私は正しい現実に即した政策立案はできないと思いますから、今後もそのコミュニケーションはしっかりとやっていきたいと思います。あとは、最近、株主総会の時期ですよね。この株主総会で相当NGOの提案、こういったものが採用されるケースも増えてきました。そこは企業とNGOの関係も変わりつつあるんじゃないでしょうか。

(記者)神奈川新聞の石川です。2点ほどお伺いしたいんですけれども、先日の日曜日に行われた地元の横須賀市長選で現職が再選されました。大臣も応援に駆け付けたと思われるんですが、その結果をどのように受け止めたのかということと、もう1点は、小此木大臣が、引継式を終えて横浜市長選に向けて本格的に活動されていくということなんですけれども、地元横浜の市連ではIRの推進を掲げていまして、先日、横浜市役所で会見を開いた小此木さんはですね、「IRの横浜への誘致を取りやめる」と明言されていまして、ねじれが起きているという状況になっています。この辺を大臣としてどのように見ていらっしゃるのか教えてください。
(大臣)まず、横須賀市長選挙の方から、これは大臣というよりも地元選出の議員としてお答えさせていただければと思いますが、まず4年前と一変しましたね。4年前は現職に対して挑むという選挙戦で、本当に勝てるかどうか分からなかった。そして、ありがたいことにそのときに勝つことができましたが、そのときに当選、上地市長が初当選をしたときに私が直後にやったことは、相当激しい選挙だったので、横須賀の中でやはりしこりが残ると。こういったところをどうやって超えていけるかというものが今後のまちづくりにとっては課題だっていう、上地市長が言う「横須賀復活」というのは、横須賀を一つにすることが「横須賀復活」なんだということを言いました。そして、4年たって今回の選挙戦で痛感したことは、4年前、敵として向き合った方々が同じ選挙事務所にいたわけです。市議会の中では未来会議という市議団があるんですけど、前回の選挙では上地氏を応援しなかった方が多いです。その方々も一緒に入っています。そして、選挙事務所へ入って壁を見るとため書きがいっぱいあるんですけど、他の自治体の首長の中で、前回は相手に対してため書きを送った首長さんも、我々の方に今回それを送ってくれました。そして、何よりも労働組合、連合の皆さん、そして全中労の皆さん、こういった皆さんが今回一緒になって戦ってくれた。私に対しても全中労の幹部が、「小泉さんとは国政では水と油かもしれないけど、水と油も混ぜればドレッシングだからね」という、私はこの一言に今回の選挙は尽きると思っていますけど、本当に横須賀が一つになってきた。このことが私は前回の4年前の喜びとは全く違う、確実にまちづくりに向けて一つになってきた、これがすごいうれしいことですよね。小此木さんの話になりますけど、私の小此木さんに対する理解は、横浜を一つにしたいという思いが非常に強いんじゃないかなと思います。このIRの件でやはり立場はなかなか難しい状況ではありますよ。ただ、様々いろんな地元の事情を見ながら、横浜に対する思いは小此木さんは強いですから、何とかまちづくりに向けて1つの方向で歩めたら、そういう思いが今回の判断に至っているのではないかなというふうに、私は小此木さんに御指導いただいている立場としては想像します。今言った全ては、政府としてのコメントではありません。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/11tA6q5VMdM

(以上)