大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年6月25日(金)09:06~09:44 於:環境省第一会議室)

1.発言要旨

 今日は、環境省の幹部職員の任免について閣議において了承されましたので、その報告をしたいと思いますが、その前に1点、環境省としてもうれしいニュースが一つあります。国立公園の関係なんですけど、今年の3月に開始した国立公園をカーボンニュートラルのショーケースとする「ゼロカーボン・パーク」の第2号案件が生まれました。第1号はこの前、松本市の方でありましたが、今回は伊勢志摩国立公園にある志摩市から申請がありまして、今日登録をすることになりました。志摩市は市のほぼ全域が国立公園内にあって、暮らしと公園が密接に関わっているため、関係者の皆さんが多岐にわたりますが、今回、特徴的なのは、今年の3月まで環境省で働いていた志摩市の職員さんが志摩市役所に戻ってから、短期間で登録に向けた調整を進めてくれたという点にあります。皆さんもご存じのとおり、この環境省の中は全国の自治体から職員の方々が出向で来てくれています。もちろん、企業からも出向で来ていただいていますが、今回、地方自治体での人材交流を通じた国と地方の政策連携、これはまさに効果的であるということの1つの象徴だと思います。その職員さんにも感謝を申し上げたいと思います。志摩市ではレンタサイクルによるサイクリングツアーの充実、CO吸収源となる沿岸域の藻場・干潟の再生を進めてきました。また、プラごみ削減のためのウォーターサーバーの設置などを進めていくというふうにも聞いています。今後は、中部地方環境事務所もこうした取組に伴走して必要な支援を行っていきたいと思います。先日取りまとめた地域脱炭素ロードマップを踏まえて、今年度中に5カ所の「ゼロカーボン・パーク」の登録を目指すとともに、全国34の国立公園に脱炭素化の取組を広げていきたいと思います。それでは、今日、まずメインでもあります環境省の幹部職員の任免、こちらを御報告したいと思います。発令はちなみに今日ではなくて、7月1日発令ということになります。まず、今回の人事をお知らせする前に、同じく7月1日から2050年カーボンニュートラル、そして2030年度46%削減目標の実現に向けた体制として、新たに「地域脱炭素推進総括官グループ」を設置することをお知らせしたいと思います。地域脱炭素ロードマップが取りまとまったタイミングで、スピード感を持って脱炭素ドミノを実現していくために、環境省自身も率先して体制を整えてまいります。年度途中で急きょ予定外の体制を整備するのは、環境省にとっては東日本大震災後の平成25年、2013年9月に、除染の加速化と中間貯蔵施設の整備のために放射性物質汚染対処技術統括官を設けて以来のことになります。異例の体制整備には御理解をいただいた官邸、そして内閣官房、そして関係各省の多大なる御支援がありました。改めて、この場を借りて感謝を申し上げたいと思います。さらに、脱炭素社会への移行に環境省も総力を挙げて取り組むために、事務次官を筆頭に、地球環境審議官、官房長も加わり、全ての局、地域脱炭素推進総括官、そして地方環境事務所長がメンバーとなる「チーム2030」、これは通称「チーム2030」と呼んでいますが、「地域カーボンニュートラル省内連携チーム」を設けます。2030年に向けて温室効果ガス46%削減と、50%の高みに向けた挑戦、そして2030年までに地熱発電施設の倍増、そして陸、海の保全区域の30%目標、ワンウェイプラスチック累積25%発生抑制、今、列挙したものはすべて2030年目標であります。こういった明確なターゲットイヤー、目標年を全省を挙げて横串を刺して取り組んでいくために、部局の縦割りを超えて具体的な政策を着実に実施したいと思います。それでは、それに関係する具体的な人事についてお知らせをさせていただきます。具体的には、近藤智洋地球環境審議官、山本昌宏水・大気環境局長及び鳥居敏男自然環境局長の勇退を認めるとともに、森山誠二環境再生・資源循環局長を国土交通省大臣官房付に出向させます。地球環境審議官の後任には正田寛大臣官房長、そして大臣官房長の後任には鑓水洋国税庁次長、そして水・大気環境局長の後任には松澤裕環境再生・資源循環局次長、自然環境局長の後任に奥田直久財務省長崎税関長、環境再生・資源循環局長の後任に室石泰弘福島地方環境事務所長を充てます。なお、勇退する近藤地球環境審議官、山本水・大気環境局長、鳥居自然環境局長は環境省の参与に就任をしていただきます。新たに設ける大臣官房地域脱炭素推進総括官兼内閣官房内閣審議官には上田康治大臣官房政策立案総括審議官を充てます。また、その他の審議官級の人事についても報告をします。新たに角倉一郎内閣官房内閣参事官を大臣官房政策立案総括審議官に昇任させるとともに、土居健太郎大臣官房審議官を環境再生・資源循環局次長に、その後任には国土交通省出身の前佛和秀国土交通省道路局国道・技術課長を充てます。さらに、松本啓朗大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官を大臣官房審議官に、そして大森恵子大臣官房審議官を大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官に充てます。詳しくは皆さんのお手元に資料を配布してありますので、確認をしていただければと思います。最後になりますけど、私からは退任をされる近藤さん、山本さん、鳥居さん、そして国交省に戻られる森山さんにも一言申し上げたいと思います。近藤さんにおかれましては、非常に世界全体の動向をいつも見ていただいている地球審としてお支えをいただきました。特に私として印象深いのは、私が今国会、入院ということがありましたが、そのしばらく前にですね、近藤さんからは、「大臣、お疲れじゃないですか」という一言をかけていただいたことが、印象深く残っていますね。近藤さんには見抜かれていたかもしれないなと。そうやって温かくいつも気にかけていただいたこと、改めて感謝申し上げたいと思います。そして、山本局長にも、特に私としてはやはり瀬戸法、この、今回改正があった前に、環境省としては異例の4本という多い法案だったので、「4本全部いけるかな」、というときに、山本局長の思いを伺って、「よし、4本全部挑戦しよう」と。そして、局長の新しいこの今までの規制から管理へという、これが専門家として、また今まで環境省職員としてやってきた中で、この規制から管理へというところに対する熱い思い、この局長の熱い思いがなければ今回の瀬戸法改正はなかったというふうに思います。そして、鳥居自然局長についても、本当に幅広い自然局の中の課題、動物愛護の飼養管理基準、そしてまた、今までの自然局の発想を超える地熱の倍増とか再エネに対する向き合い方、こういった変革期の局面に局長として局をまとめてくれたなと、大臣を支えていただいて本当にありがとうございました。感謝申し上げたいと思います。森山局長もこれから国交省に戻られますが、難しい中間貯蔵、除染、こういったことの安心・安全に基づく課題の前進に対して全力を尽くしていただいて、これから国交省からも新たな人材が環境省にはまいりますが、これからも国交省からも応援をいただきたいと、そういうふうに思っております。今日は冒頭、私からは以上になりますので、皆さんから何か御質問があればお願いしたいと思います。

2.質疑応答

(記者)幹事社の産経新聞の奥原です。エネルギー政策について伺いたいんですけれど、大臣はかねがね再エネ最優先の原則を持ち出されて、まい進されていると思いますけれども、30年、50年、特に50年は長期的にですね、再エネに関しては出力が、出力の変動が左右されるということ、欠点はありますけれども、調整用電源が必要となっていて、そうなると、「原発に関しては低減させますよ」と、「石炭火力はもうアウトさせる」という中で、調整用電源にはどういったものを想定されているかなという。天然ガスなどを格上げするのかなと思いますけれども、以前の質問とかぶるんですが、改めて教えてください。
(大臣)今の質問の調整力に関しては、どの時間軸で見るかによってもあると思います。ただ、当面はやはりLNG、そして火力というのは調整力として機能すると思います。ただ、長期的に見たときには、いかにこの火力の部分を脱炭素化していくかという、こういったことに加えて蓄電池、そして水素、この調整力として機能できる、こういったものを育てていく、これも大事です。そして、さらに総理がずっと「グリーン」と「デジタル」と言っているように、これからデジタル化をこのエネルギー政策と連携させていく、つまりこの需給の調整を含めたところでのデジタルの活用というのは、非常に今、経産省が進めている仮想発電所、VPPと言われますけど、こういったことも含めてですね、相当可能性もあると思いますから、我々環境省としてもそういった前向きなところ、経産省ともしっかり連携をして、分散型の地域のエネルギー施設の確立というのが大事だと思っています。
(記者)大臣はこれまで、環境省に入られてからは脱原発に関しては主張はなかなかされてこなかったなという、トーンを下げられてきたなという印象ではあったんですけれども、この5月、6月に入って、エネ基の改定などもあるかと思うんですけれども、一気に再エネよりも脱原発、こちらに主張のトーンが激しくなったなという印象があるんですけれども、これは何かきっかけがあったんですか。
(大臣)私は、菅政権の最初から言っている方針に忠実だということだと思います。まず再エネ、そして原発の依存度は下げる、こういったことを総理ずっと言われている中で、私はずっとそれが守られるかどうか見ていますので、この骨太とか成長戦略とか様々なやりとりをする中で、一時期この再エネ最優先、原発の依存度は低減、これが消えかかった、そういう局面がありましたから、それは違うと。そういったことを総理をお支えする立場としても、この環境省という気候変動全体として取りまとめる立場からも主張していくことは当然だと思っていたので、そこは当然のことですが、主張させていただきました。
(記者)一方で、党総裁直轄の自民党のカーボンニュートラル本部が5月24日にまとめた緊急提言では、新増設やリプレースなどを盛り込んでいるんですね。実際、菅首相の発言を持ってきても安倍政権から特に変わりはなく、原発の依存度を低減するのは安倍さんが2014年か2015年のエネ基に盛り込んだ施策でもあるし、その辺は特に変わりはないのかなと。菅首相は、原発に関しては依存度は確かに下げるけれどもという、それは紋切り型の表現をされるだけであって、特に強い思いを持っていないのではないかと思うんですけれども、その辺はいかがですか。
(大臣)そうですね、総理は非常にニュートラルだと思います。その中で、ただクリアなのはまず再エネ最優先だろうと。そういったことは常におっしゃっていますので、私としても一閣僚として実現すべきは再エネ最優先だという原則の下に政策が立案をされて実行されること。なので、今回の骨太の方針で「再エネ最優先の原則」ということが入ったのは初めてです。原発の依存度の低減は奥原さんが言うとおり安倍政権から続いていることです。それを守るべきだと。
(記者)それを守るべきだというのは、自民党のほうから、議連など、あと、資源・エネルギー戦略調査会、額賀さんが会長を務められている、あの辺りでリプレース等が盛り込まれて、20~22%の現行に関しても維持・強化すべきだという、そういった主張があるから、小泉さんは、菅政権、安倍政権が掲げてできた原発の依存度を下げるという方針とは違うやろということをおっしゃっているんですか。
(大臣)まず、原発の依存度低減は一時期抜けましたよね、その表現は。それが違うんじゃないかと。

(記者)熊本日日新聞の福山です。水俣病問題について伺います。大臣は本日、水俣病関係団体とのオンライン懇談に出席される予定です。団体からは様々な切実な要望を聞かれることにはなるかと思いますが、公式確認から65年がたった今もいまだ訴訟が起こっているなど、水俣病問題が解決していないことは事実です。こうした中、大臣が「水俣病は原点である」と常々おっしゃっている環境省が7月1日に前身の環境庁から数えて設立50年を迎えます。この節目を前に、改めて大臣の水俣病に対する現状認識と解決に向けた取組の方針を教えてください。
(大臣)今回、来週で50年という環境省にとっては節目の、環境庁の時代から50年ですけど、今日申し上げた人事が大きく体制も含めて強化されて役割が広がった中でも、我々環境省にとって不変の原点というのが水俣病を始めとする公害問題であります。この、「人と命を守る」、これを、環境省としてはこれからもどのような時代変化があっても決して忘れてはならない原点として持ち続けていく決意です。私としても、大臣就任以降、水俣病に対する環境省としてのできることを一つ一つ前へ進めること、こういったことを意識して関係部局と議論をし、そして関係の皆さんとも向き合ってまいりました。本来であれば毎年、水俣にお伺いをして、お会いをして、膝詰めで、私が前回お伺いしたときに、皆さんと一緒に御飯を食べながらゆっくりと懇談をさせていただいたようなことができれば一番よかったんですが、残念ながらコロナでそれがかなわない状況の中で、今日は久々にリモートでお顔を拝見することができること、私も語り部の皆さんとの面会を楽しみにしていますし、また様々な課題、そして問題意識を持たれている団体の皆さん、そういった皆さんからも1つ1つ声を伺って、今、我々として進めている、そういった状況もお話をさせていただいて、これからも環境省としては追うべき課題というのは広がりつつも、水俣病を始めとする公害問題に誠実に、そして全力で取り組むことは変わりありませんと、そういう思いを改めてお伝えしたいと思います。
(記者)すみません、今おっしゃられたような1つ1つできることをなさっていく、あとは環境省が進めていることも今日説明されるというお話がありましたけれども、大臣はこれまでに表明されている特措法が政府に求めている住民健康調査に用いる客観的診断手法について、来年の秋までをめどに研究成果の有効性を見極めるという、そういう方針をお示しになっていらっしゃいますが、そもそもこの診断手法が開発された暁にはこれをどう生かすのでしょうか。例えば不知火海沿岸に居住歴がある全住民への悉皆調査を実施するのか、あるいは現在行われている水俣病認定審査の項目に組み込むのか。そういったことは開発と並行して出口を示すこと、というのはできるのかなと思うのですが、高齢化して1年、2年という時間の経過ですら切実な被害者の皆様がいらっしゃるわけで、そういった方々に希望や長年の苦労に応えることにもなるかなと思いますが、その点いかがでしょうか。
(大臣)そういった高齢化をしている現状の中で、少しでも前進をさせなければいけないという思いで、私はこの前、1、2年をめどにというお話をさせていただきました。私も最近この研究をされている当事者の先生からもお話を伺いました。そういった中では、やはりこの精度を高めていく、そのことによって信頼性を高めていかなければいけませんから、その精度を高めていく点においてもう少し時間がかかる面もあるのかなと思います。ただ、そういった現状についてもお話しできる限りお話しすることも大事だなというふうに思っています。
(記者)出口をお示しになる、どういった形で生かすのか、そこの点はいかがですか。
(大臣)そこも今この1年、2年をかけてやっていく中で、どのような精度までしっかり上がっていくか、こういったことも含めてしっかり考えなければいけないことだというふうに思っています。

(記者)フジテレビの鈴木です。今日は所管外の質問で恐縮なんですが、昨日、西村宮内庁長官が東京オリンピックに関して、「天皇陛下が開催が感染拡大につながるのではないかと懸念していると拝察している」と、そういう発言をされたんですが、この発言に関する受け止めをお願いします。
(大臣)官房長官がおっしゃっているとおり、宮内庁長官御自身の考え方じゃないでしょうか。

(記者)北海道新聞の立野です。来週で環境省50年ということで、来週きちんとした形で考えを述べられるかもしれませんが、現段階で環境省が50年を迎えるに当たっての所感と、あと、今後50年に何が求められるかということをどう考えていらっしゃいますか。
(大臣)まず、1971年からの50年というのは、私も今までの歴史を知る職員たちとも50年前に何があったのかということも一度議論させてもらいました。この50年の中で、当初は公害問題、これが環境省の扱う主要な課題の中で大気汚染などは間違いなく改善をしてきました。この前、この観点で話を聞いたときにそうかと思ったのは、東京から富士山が見える年間日数が32日だったそうなんですね、今から50年前。それが今では年間で110日、3倍に増えた、そういったデータもあるそうです。一方で、大量生産、大量消費、大量廃棄、こういった高度経済成長から続いてきた経済社会の在り方を続けてきたことによる社会の中の大きな課題が顕在化してきた。それが地球規模の気候変動や地球温暖化の問題であります。今この50年間で気温上昇が明確でありますし、我々環境省の取り組むべき課題の中心に気候変動というものがなってきたこと、それが今、日米の首脳会議での主要議題にもなり、G7の主要議題にもなる。まさにこの50年の最大の変化の一つは、気候変動という環境省が所管する課題が政権の中心課題、そして世界の主要国間の中心課題、これになったということが環境省、最大のポイントとも言えるんじゃないでしょうか。私としては、今回、今日発表した新たな体制強化、そして人事、こういったことはこの50年の歩みの中で、今最大の課題にもなっている気候変動全般とする、今まで環境省の所管していた領域を政権全体、そこに拡大をする中で、くしくも50年の歩みと新たな体制強化というのが合致したなと思います。今後、新たな体制の中で決して忘れてはならない普遍的な公害問題に対する取組はこれからも変わらず続け、福島の長期的な復興へも最重要の課題として位置付け、取り組むとともに、新たなこういった気候変動などの課題についても環境省として新たな発想を持って、そして新たな体制の中で環境省の総力と、そしてまた新たな人材の総力をしっかりと一致団結してこれから事業を進めていきたいと思います。そういった中ですから、今後、組織の中では体制強化、今回実現できました。これは大臣として非常にうれしいのは、私が大臣就任以降、多くの課題を、環境省の職員の皆さんには担っていただいて、もうこれ以上このままの体制でやると職員の皆さんも疲弊してしまう。何とかその負担軽減を体制強化という明確なメッセージで実現をしたいと思っていました。そうでなければ、新しいことなんかできっこない。それを今回、政権を挙げて、官邸も含めて理解をいただいて、異例のタイミングでありますが、体制強化を実現できたことは大臣としてよかったですし、そのメッセージを職員の皆さんにも感じてもらいたいと思います。同時に、もう省内で議論を始めましたが、これから各局の抱えている政策に優先順位を付けて、その優先順位の低いものに対してはスクラップをしていくという、こういったことも併せてやらなければならないと思います。そうでなければ、いくら体制を強化したといっても、もともと抱えている課題もいっぱいありますから、そういったことを全て処理することはできない。そこはなかなか、やってきたことをやめるというのは難しい部分もあるかと思いますが、そこはまさに大臣の責任としてやっていかなければいけないなと。今そこの優先順位を整理させているところです。

(記者)新潟日報の渡辺です。水俣病の関連なんですけれども、今日熊本の被害者団体の方と面会されるということなんですけれども、新潟水俣病の被害者団体と面会する予定があったりとか、大臣として会いたいという意思があるかというのを伺いたいのが1点と、改めて新潟水俣病の救済に向けて、まだ被害者の方も大勢いるんですが、救済に向けての大臣の思いというのをお聞かせください。
(大臣)これは以前も新潟日報の方から御質問をされたときにお答えをさせていただきましたが、機会があればぜひというふうに思います。残念ながら、さっき熊日さんにもお答えしたとおり、リモートでやらなければならない課題が大変多く、なかなか現場に行くことができず、そこは残念に思っています。今後も熊本、そして新潟、双方において、我々としてしっかりできることを一つ一つ前に進めていく、全力で取り組んでいきたいと思います。

(記者)毎日新聞の鈴木です。今日人事の発表ということで、人事のことでお尋ねしたいと思います。環境省の長年の人事の課題だと思うんですけれども、特に指定ポストというか、幹部人事については、外部の省庁からの出向、技官というところで幹部が支えられている実態がある。悲しいことに事務官が元気がない。これも長年のことだと思うんですけれども、この現状、特に出向組と技官が支えているという、ほかの省庁を見渡してもかなり稀有な状況だと思うんですが、それを大臣としてはどう見ていて、今後どう変えていこうとか、何かお考えがあれば教えてください。
(大臣)そうですね、これは環境省独自の課題はもちろんあると思いますが、私は霞が関全体の課題も相当あると思います。やはり環境省の人事の在り方を考えても、霞が関全体の人事のルールを変えなければ実現できないことが多々あるなと正直感じていました。そして、人事の交流の面についても、一人の人事を考えることは、結果としてその周辺の人事全部絡むので、玉突きが相当起きるんですね。なので、そういった中で、かなりこの、悩みながら、そして一番私として大事にしたいと思うのは、環境省の職員の皆さんがモチベーションを高く、総力を挙げて仕事ができる体制を整えなければいけない。一方で、環境省は他の省と比べて圧倒的に官房の職員の数が少ないとか、こういう体制的により強化しなければいけないところは、じゃあ時間がたつのを待てますかといったら、待てません。課題は目の前に山積していますし、2030年までにやるべきことが決まっていますので、そのときに一日も早く動かしていきたいという中で各省から協力を仰ぐと。そういったことは、やはり現実論として環境省だけでやることが、結果、環境省の職員のためにもならないこともありますから、負担軽減の課題も含めて、今回の体制になったと。ただ、人事の交流を他の省とやること自体は私は悪いことではないと思います。その下で相乗効果もありますから。ただ同時に、今回、他省からも応援をいただく中で、環境省のいわゆる生え抜き、こういうメンバーの皆さんにも、他の省からの知見もしっかり吸収をして、そして環境省からも他の省に対して環境省の培ってきたものをしっかりと共有をして、共にウィン・ウィンの関係を組織全体として築いていきたいというふうに思います。

(記者)エネルギージャーナルの清水です。2問あるんですけれども、1問目、さっきの人事に関連して、官房長に財務省から鑓水さんが今回来たと。先ほどの質問にも関係するんですけれども、官房長というのは要ですよね、組織の。その人を、そのポストに、それまで関係のない、要するに経験のない方が来るというのは何か別な政策的な、非常に重要な狙いがあるのでしょうか。それとも環境省の人材が育っていない、ということなのでしょうか。しかも「チーム2030」の要役も果たしている。それが気になったのですが、どうですか。
(大臣)まず1点はですね、やはり環境省はこれから2030年という目標年を横串を刺して全省で共有してもらいたいと思っているんです。そういったことを省を挙げて、やるためには、組織の在り方をしっかりグリップをして、よく私は例えとして、ホールディングスの下にそれぞれ課題ごとによって、事業会社があるような形を組織の形としてイメージをしていますが、この組織の在り方というのは、今までの環境省の中でよく、フラットな、ティール型とよく言われるんですけど、こういう理論を考えていた方とはまたちょっと次元が違うかもしれません。ただ、2030年にやらなければいけないことが明確になった中では、やはり組織全体をまとめ上げて、そして今までの動き方とは変わるかもしれないけども、横串を刺してそれぞれの能力を発揮させていくという、この組織の在り方を少し変える必要があるなと、そこは率直に感じています。今、幹部ともそういう話をしている中で、さっき私が言った各局の政策の中での優先順位を付けて、低いものはやめていくということをやった上で、各局の在り方を少し考え直したいと、このことを感じていますから、この新たな人事体制の中で、今回、人事発令を今日発表したものに続いて、また新たな人事が発表されますが、今後、そういった中でより見えてくることがあるのではないかと思いますし、この新たな体制を作っていく過程の中には、全ての職員の皆さんに、なぜこういう人事体制になり、なぜ新たな体制に行くのか、なぜ政策の優先順位を付けて、やめるべきものをやめていくのか、そして新たなことをやっていくか、こういったものが共有されるような、この共有の過程をどういうふうにするかも考えていきたいなと、そのように思います。ただ、明確なのは、環境省はこれから実行官庁になると、2030年にやるべきことを、プロジェクトを抱えているという意識で確実に2030年に向けて動いていく組織を作っていく、そのスタートだというふうに私は考えています。
(記者)この間、カーボンプライシングの委員会のアウトプットがありました。環境省としてどういう場合にそのカーボンプライシングの制度をね、やるべきかというメッセージがあまり伝わらなかったんですけれども。というのは、カーボンニュートラルにした場合に、やはり既存の財政の5兆円ぐらいにも上るものが、相当大きな減収になるわけですよね。そういうプロセスも見えているにもかかわらず、何かその辺へのアウトプットもないし、ちょっとなんか、その、迫力がないこの間の中間まとめだったなと思いますが、その辺はどうですか。
(大臣)中間取りまとめは中間ですので、これは結論じゃありません。一方で、この前、朝日新聞さんからもカーボンプライシングについて議論がありましたが、今回、骨太の方針の中に「カーボンプライシングに躊躇なく取り組む」と入ったことは今まで一度もないことですよ。ですから、この躊躇なく取り組むことを、環境省と経産省が頭を合わせてどのように運び切れるかが今後の鍵なんですね。ですから、その運び切るためには一つのことに決め打ちをせず、間口を広げて議論をして、双方の一致点を見なければいけません。一方で、今、省内にも指示をしているのは、環境省だけでもやり切れる制度の見直し、このカーボンプライシングに資するような制度の見直しなどは省内の知恵を使って洗い出すような、そういったことも今指示を出してありますので、今そういったことも検討中であります。いずれにしても、カーボンプライシング、これがなくてカーボンニュートラルが実現できるとは私は考えていませんので、カーボンプライシングを本格的に成長につながる形で実現をするために、新たな体制の中でも全力を尽くしていきたいと思います。

(記者)環境新聞の小峰です。今回の人事に関してですけれども、大臣は女性活躍の中で、今回新たな女性局長が出るんじゃないかということが注目されていました。昔からいずれがアヤメかカキツバタか、青龍か白虎、龍虎、大森恵子、瀬川恵子審議官、去年の夏にはシャクヤクのごとき麒麟が来た、森光敬子審議官、3人の審議官の中から誰か局長が出るんじゃないか、という臆測というか、随分あったんですけど、女性活躍の場を与える進次郎大臣ならやるだろうと見る意見が多かったが、今回、これが見送られたのはどういうことでしょうか。
(大臣)途中から何を言っているのかなというふうに思いながら聞いていたんですけど、最後はメッセージが明確でよく分かりました。全体として今まで私がやってきたことを見ていただければ、今までとは違って女性活躍を相当進めてきたことは御理解いただけると思います。例えば審議会などは、これをもうかなり省内の中でも様々な意見があったことは事実です。が、半数は女性。この新たな形の中環審の形を実現をして、会長が女性、こういった形は私は今までだったら考えられないことだったと思います。今回、今、小峰さんが言った、いわゆる幹部人事のところでどうかというところと、そういった中環審など全体の中での女性活躍というものを見ていただければ、その方向性というのは間違いないと。そして、これから環境省としても環境省は女性職員、今まだいわゆる指定職クラスではない職員クラスでも本当に優秀な職員の皆さんはいっぱいいます。願わくは霞が関で40代で局長、その抜てきというのが抜てきと言われない環境を早く作りたいというふうに思います。そういうふうに、40歳の私が大臣をやっているわけですから、40代で局長や審議官、こういったことになっていかないと、コミュニケーションも相当私も正直苦労するところもありながら、四苦八苦しながらやっている中では、ただそれをやるときに壁となって出てくるのが霞が関全体のルールなんですよ。ですから、人物本位、そして能力本位、こういった形の人事を貫徹するためには、まだまだ霞が関の中で壁はいっぱいありますが、その中で、できる限りのことをやるという決意は今回の人事体制でも示したと思いますし、これからも一歩一歩前に進めていきたいと思います。

会見動画は以下にございます。

https://www.youtube.com/watch?v=cdEBo3TN14k

(以上)