大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年6月22日(火)10:52 ~ 11:12 於:環境省第一会議室)

1.発言要旨

 今日、冒頭は、私から1件、先週金曜日に閣議決定されました骨太の方針、成長戦略、そして規制改革実施計画について触れたいと思います。その前に、今月は環境月間でもありますので、昨日報道発表させていただいた皇居外苑和田倉休憩所、これは環境省が管理するところでもありますが、ここにオリパラに合わせまして、7月に仮営業という形でスターバックスが新たにオープンすることになったことを報告したいと思います。このスターバックスは環境に配慮した取組が様々にやられるということで、例えば利用者の方の手洗い水の循環利用、こういったこともそうですし、店内でお客様方がコーヒーを飲んだり利用されるときには、リユース可能なグラスやマグカップ、こういったものでドリンクを提供するということで、最近よく言われるサステナビリティーに非常に配慮した形でスターバックスさんがやっていただけるというのは、新宿御苑にも出店をいただいていますけれども、今回も心強いなというふうに思っています。ぜひ、7月から新店舗、仮営業が行われますので、皆さんにも御利用いただきたいと思います。その他、いろいろ世の中も動いてきましたね。私としてはプラスチックの関係の動きも、最近のコンビニさんの動きもそうですけど、富士急ハイランドがトーマスランド内で提供する食事の容器やカトラリーを脱プラをするということを発表したこともうれしく思います。今後もこういった取組を後押しをしていければと思っています。それでは、今日冒頭の1点について触れたいと思いますが、一言で骨太の方針、成長戦略、規制改革実施計画、環境省としてはこれだけ環境のこと、脱炭素のこと、これが主流化をしたことが明確になった政府決定はないと思っています。例えば、骨太の方針では、今回、「グリーン社会の実現」というのが新たな成長の原動力の筆頭に位置付けられましたし、何よりも今後の予算の重点配分、この一番最初にこの「グリーン社会の実現」というのが来たことは、今後の概算要求を含めて非常に心強いというふうに思っています。そして、何よりも「再エネ最優先の原則」、この文言がしっかりと入ったことは、今後、再エネの最優先にあらゆるルールが、制度がなっているかどうか、1つの大きな土台ができたと、基盤ができたと思いますので、この言葉は私は非常に重いというふうに思っています。また、何度も「再エネ立地交付金」というふうに言っていますが、複数年度にわたって計画を計画的に実施する新たな仕組みを検討するというふうに盛り込まれたことを受けて、今、省内でも議論を始めていますが、新たな交付金に向けてしっかりと議論を詰めていきたいというふうに思います。また、脱炭素ロードマップもしっかり骨太の方針の中にも入りました。今後、少なくとも100カ所の脱炭素先行地域を作っていくために、概算要求を含めてしっかりと予算の中にも対策を入れていきたいというふうに思います。そして、昨日もカーボンプライシングの委員会がありましたが、「成長に資するカーボンプライシング」に「躊躇なく取り組む」、この文言が入ったことも、カーボンプライシングを昨年12月から総理の指示を受けて経産省と一緒になって検討を深めてきた中で、この言葉を形にすべく今後もしっかりと議論を進めたいというふうに思います。そして、成長戦略においてはふるさと納税の返礼品として地域の再エネを活用できるように総務省にもしてもらったこと、そして経協インフラ戦略会議で決定をした石炭火力の輸出支援を年末までに終了する、こういった新たな方針についても閣議決定で明確になったこと、さらに、私はよくカーボンニュートラルのことを、「これは新たな地方創生だ」という表現をしていますが、まち・ひと・しごと基本方針でも、地方における脱炭素社会の実現に向けた施策が1つの大きな項目としても位置付けられました。このように環境政策が新たな局面に入る中で、来年度の予算、税制、組織定員や制度改正に向けて検討をさらに加速させていきたいと思います。今日は冒頭、以上です。

2.質疑応答

(記者)幹事社の共同通信の佐藤です。冒頭発言にもありましたが、骨太の方針の「再生可能エネルギー最優先で取り組む」というこの文言が盛り込まれまして、この原則を今後、このエネルギー基本計画ですとか、電源構成のその表現や数字にどのように反映していくお考えかお聞かせください。
(大臣)再エネ最優先という原則に反するものは政府方針にならない、ということが、シンプルな答えではないでしょうか。最近も事業者の方との意見交換を何度かしていますが、この文言に非常に勇気づけられたという声を聞きます。つまり、民間で頑張って取り組んでいる再エネの分野の皆さんからすれば、政府が再エネ最優先と言ったわけですから、再エネ最優先になっていない現場の様々な状況が散見される中で、そういったことに対して意見が言いやすくなったんじゃないでしょうか。そういったことの後押しを私も考えてみましたし、今後、官民合わせてしっかりと再生可能エネルギーが地域に還元される形で導入量を増やしていけるように、我々としてもしっかり汗をかきたいと思っています。エネルギー基本計画についても、そのような思いの中で我々としても主張をしていくということであります。

(記者)福島民友新聞社の桑田です。被災地の復興事業のですね、従事者に対する新型コロナワクチンの接種についてお伺いしたいと思います。ワクチンの職域接種が昨日から本格的に始まりまして、福島の場合はですね、廃炉や除染、家屋解体といった復興事業に携わっている方々の中には、住民票を移さずに被災地で暮らしながら働いている方々がいます。そうした方々は市町村によるワクチン接種が非常に受けにくい状況になっておりまして、地元からは職域接種を望む声が出ております。相馬市の立谷秀清市長から大臣にも直接意見をお伝えになられたと伺っておりますが、企業による職域体制の整備というのは課題にはなりますけど、環境省といたしまして、受注された企業に対して職域接種を促すお考えはありますか。今後の対応をお聞かせください。
(大臣)結論から言うと、あります。そして、環境省としても今、御指摘のとおり、私も立谷市長から思いを伺っています。やはり最大の思いは、この除染の事業を含めて、大手の事業者が入っているとはいえ、その大手の企業から下請け、孫請けを含めて地元で事業を営んでいただいている小規模事業者の皆さんもいるわけですよね。そういった皆さんも含めてしっかりとワクチン接種が進むようにしてもらいたいと、これがやっぱり現地の首長さんを含めて地域の皆さんの思いだと思います。併せて、今、御指摘のあったように、作業に関わられている方の中には住民票がそちらにないという方も多くいらっしゃいますので、それも含めて住民の皆さんにも安心してこの復興事業を見ていただけるように、また、取り組んでいる方にも安心して今後も作業を続けていただけるように、ワクチン接種を環境省としてもできることを全面的に協力をしていきたい。今、継続的に、どのような形が一番地元の望む形に近づけることができるかを、継続的にコミュニケーションをとっているところです。しっかりと我々も協力します。

(記者)毎日新聞の鈴木です。「再エネ立地交付金」について、お聞きしたいんですけれども、今、省内で検討に入ったということなんですが、例えばその、規模感、交付金の、どのくらいのボリュームで出したいとか。この数年間、複数年度で交付金出すとなるとある程度の規模が必要になると思うんですけれども、強力に推し進めるという意味では。そこの点と、交付金の使途についてはどのように線引きをされるのか、というところ。大臣はよく電源立地交付金と比較されるんですけれども、電源立地交付金は使途がかなり幅広く使えるようなものもあって、正直言って原発とほとんど関係のないような、そもそも地域振興のようなものとして使う側面があるんですけれども、それと同じようにすべきなのかという論点もあると思うんですけれども、それはどうお考えでしょうか。
(大臣)やはり国民の信頼の高い形での交付金にしなければいけませんよね。ただ、最大のポイントは、最初から規模がこれぐらいですということではなくて、地域から歓迎される再エネ事業がどれだけ生めるか、そしてそのためには自治体の皆さんが再エネをもっと入れようと、それが地域のためになる、というふうに思ってもらえる、この地域が自ら再エネに取り組むということの後押しになるような交付金にしなければいけないなと。ですから、今後、例えば我々環境省の事業でEV、FCVと再エネをセットにしている補助事業があるように、そしてまた水素と再エネがセットになっているものもあるように、そして住宅と再エネというもののセットがあるように、今後、私はありとあらゆる政策は、環境省においては再エネとセットにするというところの1つの大きな考え方が必要だと思っております。そして、地方の自治体においてもこれから取り組まれるまちづくりなどには、ありとあらゆる事業が再エネとセットになっている、これが先行地域を含めて脱炭素のためには必要な取組なので、そう考えていくと、「再エネ立地交付金」という私は呼び方をしていますが、その再エネの導入は単純に再エネだけに限らず、再エネと今までつながっていなかった幅広い取組に対して今後導入が必要である、そんな発想も含めて、今はまだ、制度設計はまだスタート時点でありますが、自由な議論をやらせていただいています。ただ、いずれにしても、目的は地域が自ら再エネをもっと導入しようというふうに意欲が湧くようなインセンティブを作らなければ、温対法の改正で位置付けた再エネ促進区域でも、何もインセンティブがないのに計画を作りますという事業者や自治体はありませんからね。そういったことも想定しています。
(記者)交付金にするべきなのか、若しくはある程度使途を限定して補助金というものでもいいのかなと個人的には思うんですけれど、それはどうお考えでしょうか。
(大臣)補助金という形で今はやっていますし、ただ、やはり分かりやすいメッセージとして、交付金というのは誰が相手ですかと言われたときに、まず自治体という、すぐに想定がつきますよね。我々、国と地方の脱炭素実現会議もそのメッセージが非常に強かったように、これからの脱炭素の取組は国と地方が一体だと。環境省にとってこれからどこが大事だと見ているのかと言ったら、やっぱり地域なんですね。その地域と一体で進めるというメッセージを明確にするには、私は交付金というのは一番そのメッセージが明確になるというふうに思っております。なので、省内でもいろんなアプローチはあるかもしれないけれども、環境省はこれから誰と一緒に取組を進めるのか、地域であると。そしたら、メッセージは分かりやすく交付金の方がいいんじゃないかと。
(記者)もう1点なんですけれども、心配事として、電源立地交付金ができた背景として、迷惑施設というものを自治体が受け入れるところへの交付金という側面が強いと思っていて、それと対比されると、再エネもこの迷惑施設なのかと、そんなうがった考えを持たれる方もいらっしゃるんじゃないかなと思います。その辺はどう捉えるべきなのかなと。
(大臣)残念ながら、そういうふうに捉えて、地域の方から理解が得られずに反対、そして規制型の条例ができてしまっている現状もあります。そういったことも含めて、理解を得られる環境に転換をしていかなければいけない中では、様々な意見はあると思いますが、とにかくこれから再エネ最優先にやるんだというメッセージが明確になるような分かりやすい支援制度というのを作らなければいけないというのが最大の思いです。ただ、再エネは迷惑施設どころか、今後、地域の中で資金が回り、そして新たな仕事も生むことができ、そして海外に依存していたエネルギー自給率の向上にも資する、国家も地方もより自立型に向かう方向ができるので、迷惑施設なんてとんでもないと思いますね。ただ、残念ながら、地域との共生において課題があることも事実ですから、それを乗り越えていくための力強い後押しとなるような支援策を講じようと、そういったことでもあります。使い勝手という面で、電源立地交付金がかなり、本当にそれが関係あるんですかというところまで、そこまで地方の方の声を受け入れる形でやってきたというところは、もちろん批判もありますけど、我々としても使い勝手、そういったところというのは十分考えなければいけないと思っています。

(記者)朝日新聞の川田です。先ほど、骨太の方針のところでカーボンプライシングについて「躊躇なく取り組む」ということでしたが、一方で、「負担の在り方にも考慮しつつ、専門的、技術的な議論を進める」という表現にとどまったようにも読めたんですが、その議論は深まって、進んでいるのでしょうか。
(大臣)間違いなく進んでいると思いますね。これはぜひ1年前を想像してほしいんですけど、骨太の方針にカーボンプライシングが「躊躇なく取り組む」ことになることを誰が想像しましたかね。そして、「環境省は変わらず追求するだろうけど、それはまあ環境省だけが言っているよね」というふうに思っていた方がほとんどじゃないでしょうか。それを考えたら、政府を挙げてカーボンプライシングの必要性を共有し、骨太の方針に位置付けられたということは、今後も経済・財政におけるマクロな方向性を決定付ける政府文書ですよ。そこの中にカーボンプライシングを「躊躇なく取り組む」、これはものすごい画期的だと思いますね。ですから、もはや成長に資する形でのカーボンプライシングを抜きに今後の経済財政運営はないと、そういう方向が位置付けられたということですから、あとは、昨日の議論の中で例えば炭素税においても仮に1万円の設定だとしても成長が描けるという、そういうモデルもこの中には紹介されているのがありますし、もちろんそれに対して反対意見もありますよ。ただ、いずれにしても、何か1本だけを考えているわけではなく、様々な政策を総動員して、カーボンプライシングの考え方の方向性に経済財政運営を持っていくということですから、それは排出がより抑制をして取り組まれている企業に対してはものすごく大きな力強い後押しになる制度設計をして、そしてまだ取り組まれていないところに対しては早く移行するインセンティブにもなる。そうすることによって新たな投資、そして新たな需要をつくる、これにつながるので、私は今回、骨太の方針にこのような形で「躊躇なく取り組む」ということが入ったことは、ものすごく画期的な位置付けをされたというふうに思っています。

(記者)日本テレビの川崎です。原子力防災について聞かせてください。明日、原子力規制委員会で島根県の島根原発2号機が事実上の合格という状況になると思います。県庁所在地にある原発、30キロ圏内にある原発、いわゆる防災計画でいうと、これまた大変な状況がこの先起きると考えられます。その辺りの思いと、今、大臣が「再エネ最優先」と言っている中で、原発がこの先動き出す、また1個合格する、その辺の思いを聞かせてもらえますか。
(大臣)私も現地には視察に行きました。そういった中で、うちの内閣府の原子力防災の部局では、国の職員に加えて地方の職員も一緒になって緊急時の対応についての計画策定を本当に誠心誠意やっています。そういったことがしっかりと進められて地域の皆さんが安心できるようにすることは、原子力がこれから再稼働するにせよしないにせよ、内閣府の原子力防災担当大臣として必ずやらなければいけない責務だと思っています。動いているかいないかを問わず、そこにあるだけでリスクはありますから、その対策をしっかりとやっていきたいと思います。一方で、エネルギー政策としてこれから考える方向性としては、「再エネ最優先」、この原則をしっかりと確立した上で、再エネが入ればその他の電源は減っていく、まさに原子力を含めて依存度の低減、これは今回の政府の方針にも入ったわけですから、その方向性でこれから日本としては行くんだということは今後も立地の自治体の皆さんを含めても、しっかりと御理解を得られるように説明を尽くしていきたいと思います。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/qsP1olN7Dtg

(以上)