大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年6月15日(火)9:34 ~ 10:05 於:環境省第一会議室)

1.発言要旨

 今日は、本日の閣議の案件が1件あります。森林・林業基本計画の変更の閣議決定がありました。そのほか、今日はG7、そして環境省脱炭素インフライニシアティブについて、触れたいと思います。まず、今日の閣議で決定をされた森林・林業基本計画の変更ですが、この計画は農水省が中心となって策定をする森林、そして林業に関する各種施策の基本となる計画で、環境の保全に関する基本的な計画と調和が保たれたものとして策定することとされています。2つの分野で、この計画を踏まえて、特に重要だと思っていますので、取組を進めたいと思います。1点目が気候変動です。昨年10月、農水省、環境省で連携の合意をしましたが、この計画に基づいて吸収源としての森林の保全管理、そして木質バイオマスの利用促進、森林の公益的機能に留意した再エネの発電に対する林地の適正な利用促進などにも連携して取り組みたいと思います。2点目が生物多様性です。今国会で自然公園法を改正しました。国立公園を世界水準の国立公園にするということで、国立公園と国有林を連携させるということを発表しましたが、こういった保全、利用、そして管理、この取組をしっかりと進めていきたいと思います。そして、今日、まずG7について。無事に終わりましたし、まさに化石燃料全体から明確にシフトをしていくという首脳同士での宣言を採択されて、非常に私はこのG7は歴史的、画期的なものになったと受け止めています。気候変動と自然環境保全が、サミット本体に加えて、財務、外務、貿易、保健等の閣僚級会合でも取り上げられたこと、この「気候変動と自然」というものが主要議題になったG7は初めてだということであります。今日はこれについて4点触れたいと思います。第1に、先月のG7気候・環境大臣会合に続いて、G7の首脳間でも2050年までのカーボンニュートラルの実現と、これに整合する2030年目標にコミットしたことを確認して、また全ての国にNDCの強化などを要請したこと。そして2つ目が、排出減対策が講じられていない石炭火力発電への政府による新規の国際的な直接支援を、2021年末までに終了することにコミットしたこと。これは、大臣会合の結果を首脳間でさらに進めて、世界の脱炭素化に向けて化石燃料から離れていく意思を明確にしたという意味で、歴史的な成果だと受け止めています。なお、この「排出減対策が講じられていない石炭火力は年内で終了」という捉え方、これについても様々な報道がありますが、今までの4要件、これを厳格化したことを進めてきましたが、今後は今の4要件で例外的に認められることも認められないというのは明確だと思います。そういったことを私としても改めて強調しておきたいと思いますし、今までのように、「これがクリーンコールだ」という日本でしかなかなか通用しないようなことを、「2021年末まで」ということはCOPも含みますから、そこで日本としてそのような強弁をすることは、私としては考えられないというふうに明確にしておきたいと思います。そして、第3に自然環境保全について特に取り上げられたこと。国内の状況に応じて2030年までに陸地と海洋の少なくとも30%の保全、又は保護、そして大阪ブルー・オーシャン・ビジョンに基づく海洋プラスチックごみへの取組強化などを行動の柱とする2030年の自然協約、ネイチャー・コンパクトに合意をしたこと。これについては、やはり日本がG20で取りまとめた大阪ブルー・オーシャン・ビジョン、これをしっかりと明記した上で、今後、世界の中でのルールメイキングにもしっかりと乗り出していくということを発信する好機、チャンスにもなったなというふうに思います。これもしっかり取り組んでいきたいと思います。そして、最後の4点目ですが、G7として2025年までの国際的な公的気候資金全体の増加と改善にコミットしたこと。総理からは、真に支援を必要とする途上国に対して2021年から2025年までの5年間に6.5兆円相当の支援を表明しました。加えて総理からは、環境省が先週、国・地方脱炭素実現会議において取りまとめた地域脱炭素ロードマップを踏まえて、2050年カーボンニュートラルを目指す決意や地域での脱炭素化に向けた取組なども表明をされました。今後、来月はG20の環境・エネルギー大臣会合があります。そして、生物多様性条約COP15と気候変動COP26の成功に向けて、G7各国とも連携をしていきたいというふうに思います。なお、このG7ではCOP26までにNDCの提出、そして長期戦略、こういったものも言わば国際公約になったわけです。そういった中で、エネルギー基本計画も国内では今後策定されることになりますが、ごく一部の報道で、選挙後に、なかなかもめているから選挙後に先送りをされるのではないかというような一部の報道がありますが、よもやそんなサボタージュ的なことは考えていないだろうというふうに私は思いますので、COP26に間に合うスケジュールでやるのが当然のことであると、もうそう遠くない時期に作っていくようなことをやらなければCOP26には間に合わないし、よく言われるぎりぎりに滑り込んで、あまり議論の時間がない中で持って行かざるを得ないような、こういったことがCOP26に臨む環境省として許されるものではないということを明確にしておきたいと思います。G7は以上です。最後に、環境省脱炭素インフライニシアティブ、これについても触れておきたいと思います。G7のサミットでも途上国の脱炭素化の支援、そして、自由で開かれたインド太平洋というものも主要テーマになりました。関連して、今年、国際対応で環境省として重視をする3つのポイントとして取り上げましたが、1つがアジア太平洋、インド太平洋地域の脱炭素移行を進めるということでありました。そういった観点から、今回、脱炭素インフライニシアティブを取りまとめ、2国間クレジット制度、JCM、これをしっかりと活用して、これまでの政府による削減目標達成に活用する補助事業としてのJCMから、民間企業によるカーボンニュートラル目標達成にも活用でき、企業にとってクレジットの活用がメリットとなるJCM、こういった形に拡大をしていきたいというふうに思います。具体的にはJCMの2030年度の目標として、これまでの累積で「5,000万トンから1億トンの削減の見込み」となっていたところを、「1億トン程度の削減」というふうに、倍増に近いですね。こういった目標設定をします。そして、この事業規模は1兆円程度に相当すると見込んでいます。日本の脱炭素技術の展開と世界の脱炭素市場の拡大にも貢献できると思います。このJCMを拡大するための条件整備として、市場メカニズムに関する国際ルール作りの主導、これはCOP26にとって大事です。そして、民間資金を含む資金の多様化、アメリカ、オーストラリアを含む国際的、地域的な連携、そして、長期戦略策定から政策・対策実行まで一気通貫の支援を通じた脱炭素市場の整備、今後こういったことを経団連や経済界とも連携をして、まさにこれから海外に展開をしていくものは石炭ではなく環境インフラなんだ、脱炭素インフラなんだということを明確にしていきたいというふうに思います。冒頭、今日は以上です。

2.質疑応答

(記者)幹事社の共同通信の水内です。冒頭発言にもありましたエネルギー基本計画についてお伺いします。この策定が遅れているということですけれども、大臣遅れている要因というのは、どういったものと捉えていますでしょうか。特に原発の取扱いをめぐってなかなかセンシティブになって、「選挙後に先送り」というような話も聞こえてくる状況ではあります。先ほど発言ありましたように、なるべく早く出す必要があることについて、改めて説明をお願いいたします。
(大臣)合理的に考えれば、選挙後というのは考えられないと思います。まず、我々スケジュール、政策を進めていくときには、見据えるべきスケジュールでのバックキャストで考えています。COP26が11月、じゃ11月にNDCも、そして長期戦略も提出をすると。これは今回G7でもコミットしているわけです。そうすると、11月から逆算をしていくと、パブコメとかの期間もありますし、特にこのエネルギー基本計画の中身というのは様々な関係者が関心を持って、国民的な関心も高い重要政策であります。それを考えると、パブコメの期間だって、例えば例外的に短縮をしてとか、こういったことだって私は国民の理解を得られないと思いますね。それを考えると、もちろん選挙のタイミングがいつかは総理が判断されることですけれども、いずれにしても何か9月とか10月とか、秋じゃないかというような声が一部聞こえてきますけども、私は全く考えられることではないし、そういった動きには私は明確に反対であります。特に、仮に選挙後の方が議論がしやすいと思っているとしたら、それは「なかなか国民の理解が得られなそうだから後に回したい」「その方が滑り込みやすい」という、そういった思惑が感じられるわけですから、そういった形で重要な政策、エネルギー基本計画が策定をされるということは、私はよもやそんなことは考えていないというふうに思っていますね。

(記者)日刊工業新聞の松木です。先ほど説明ありましたが、脱炭素インフライニシアティブなんですけれども、企業が海外でビジネスを展開しながら自社の脱炭素にも取り組めるというスキームになるんだと思んですけれども、実際にこのイニシアティブを推進していくために環境省としてどのような行動を取っていくのか、お聞かせください。
(大臣)今回、今、御指摘いただいたように、民間のビジネスチャンスが間違いなく広がっていくと思います。そういった中で、私はやはり経済界、経団連も含めて、JCM、経団連さんが今日提言を発表されるということを聞いていますけれども、その中でも、とうとう経団連が今まで「低炭素実行計画」という低炭素からカーボンニュートラルに名前を変えて、新会長の下で新たにカーボンニュートラルに明確にかじを切ったことは、私としても心から歓迎をしています。その中でJCMの活用なども考えていただいているので、そのタイミングで「年内に今までの石炭はもう輸出をしない」と、これが明確になったことによって、結果、JCMでこの環境インフラも脱炭素インフラも海外に官民挙げて展開をしていくことによって、世界の脱炭素化を支援しようと。これで結果として日本の産業競争力や、そしてまた、世界から輸出をすることに非難を浴びながら、日本のいい取組が覆い隠されていたような今までの日本のインフラ輸出から、SDGsの観点も含めて、その国の地域課題の解決も含めて、経済的、そして社会的、そしてまた環境的な統合的な課題解決のアプローチで明確に進んでいけるきっかけになりますので、今後、我々としては経済界との連携、そして、様々な政治的な各国とのバイ、マルチ、いろんな機会を通じて企業の動きも後押しをしていきたいと。そのコミュニケーションの場も各省連携を含めてやっていきたいと思います。

(記者)エネルギージャーナルの清水です。今の松木さんの質問に関連して、JCMは、国内のCO2削減と一体化すべきだと思うんですよね。企業が進出して、やるというのは一歩前進ですけれども、カーボンニュートラルとか、自治体単位の環境産業と一体化をして、CO2削減を自分のものとしてカウントできるという、非常にその、使いやすい無難なものにすべきじゃないかと思うんです。これが1点です。もう1つは、これはやっぱり、国際的にきっちり回していくためには、パリ協定の6条でしたかね、これがどうなるということが非常に大きいと思うんですが、この辺の見通し、をお願いします。もう1つありますけど、まあいいです。
(大臣)まず、私も2問覚えているうちに答えたいと思いますけど、2問目でJCMとパリ協定の6条という話がありましたけど、清水さんが言うとおりで、この6条の交渉が妥結をできるかどうかが、JCMを含めて世界的なクレジットの取引も含めて、活性化できるかの1つの大きな鍵となりますから、環境省としてこの6条の交渉は思いを持って取り組んできた分野でもあるので、COP26に向けてしっかりとその交渉に貢献していきたい。議長国イギリスとも、そしてまた多様な意見を持っているプレーヤーがいっぱいいますから、そういった中での調整を含めてやっていきたいと思います。1点目に、民間の、今回のJCM活用が民間の脱炭素の取組にもプラスになるような形にしていきたい、それは全くそのとおりの趣旨で今回考えています。一方で、46%、そして50%の高み、この中間目標の達成とJCMといったときに、清水さんの論点で考えると、私はJCMを当てにする46%、又は50%の高みというのはないと思います。しっかりと国内の削減対策はやる。ですから、「足りない部分はJCMで」というようなスタンスではない。しっかりとまず国内はやるのは当然だというふうに思います。「JCMを当てにした目標達成は、そういう姿勢ではありません」というのが分かりやすい言い方かもしれません。

(記者)NHKの吉田です。冒頭で、G7の関係で少し触れられていた石炭火力のことについて、もう一度ちょっと、少し確認をしたいんですけれども、G7の結果を受けて、これまで例外的に、石炭輸出、石炭火力発電の輸出に関して、「これまで例外的に認められてきたことも認められなくなってくるのは明確」と御発言があったかと思いますが、これは具体的に、政府が去年まとめたインフラシステム海外展開戦略を修正していくですとか、政府の方針をまた改めて変えるものになるのでしょうか。
(大臣)結果そうなると思いますね。今までのインフラの戦略の中身は4要件も含めた対応ですから。しかし、今回のG7の中で合意されたことで言えば、例えばその4要件の中で読み込めていたUSC、超々臨界とか、こういったものも含まれないというのが理解です。ですから、このインフラ戦略もG7で合意された内容を踏まえたものに変えていく必要があると、そう考えています。
(記者)そういう意味で、もう少し具体的に、一昨日終わったところなのでこれから具体化するのだとは思うんですけれども、もう少しイメージを伺いたくて、石炭火力発電といってもいろいろありまして、先ほど言われたようなUSCもありますし、IGCCもありますし、あるいはCCSを付けたような、これから進めていこうとする形もあると思うんですけれどもが、今後の石炭火力発電の輸出というものは、削減、排出削減対策を講じているもの、いないものを含めて、どうなっていくべきというふうにお考えでしょうか。
(大臣)まず、基本的に今回イギリスの例示として文言の中に入れているのはCCUSですよね。それぐらいですね。ですから、そのCCUSというのは、出てしまうCO2を捕まえて、そして、結果出さないようにする、これが例示として挙げられているという中で、「出すけど、出す量が今までよりも少ないです」という日本の今までのコミュニケーションは、到底今年のCOP26で通用するものではないと。「その理屈でこれからもいきます」という姿勢は、私にはありません。これは明確にしておきたいと思います。ですから、仮にCCUS付きで、若しくは例えばゼロエミッション火力、これもアンモニアとか水素とか、そういったことが今後、実現可能となった場合は、まさに削減対策を講じている火力ということになると思いますが、現時点でそれは商用化していません。そして、仮に商用化されたとしても間違いなくコストは上がってきます。そのときにですよ、なぜ一部の途上国を含めて、今石炭を求めているかといえば、1つはコストが安いからですよね。コストが安く大量に電力を送れるというものが、コストが高いとなった場合に、しかも環境対応を含めて、そこには様々な課題も出てくるといったときに、そこに市場はありますかと。あったとしても、ものすごく小さなマーケットになっていくことは目に見えていますよね。いつまでそこに日本はしがみついて、やるんですか、という観点でいえば、今回は踏ん切りがつくきっかけになったんじゃないですか。それを後押しするためにも石炭は閉じていく、しかし環境インフラ、脱炭素インフラは徹底的に後押しする。その中での脱炭素インフライニシアティブを経済界等も含めて、今度はこっちの大きくなっていくマーケットにみんなで進もうじゃありませんかと。そして、海外に対して展開すればするほど非難を浴びるものを輸出するんじゃなくて、展開すればするほど世界から感謝される。そういうインフラ戦略に変えていこうじゃないですかというのが今回、両方とも合致した方向になったというふうに私は捉えています。
(記者)もう一度確認のため、言質を伺いたいんですけれども、今回のG7を踏まえて、昨年まとめたインフラ海外展開戦略なども見直していくお考えであるということで大丈夫でしょうか。
(大臣)そうなると思います。

(記者)朝日新聞の川田です。今おっしゃったIGCCとかも含めて、これが支援対象にならないというのは政府としての考え方ということですか。
(大臣)今政府の中で、そこについて様々な表現ぶりを逡巡しているような報道も一部ありますけれども、今日私が申し上げたとおりです。今後COP26も含めて、最終的に臨んでいくのは環境大臣でもありますし、もしかしたら総理もCOP26には出席をする可能性もありますね。そのときに、今回G7で、「2021年末で削減対策を講じられていない石炭火力は公的な支援を終了します」ということを首脳間で合意した総理がですよ、想像してみてください、仮にCOP26に行って、「あれは、日本としての理解は、こういう石炭火力であったら輸出は継続することだ」と言えますかね。考えられないと思いますね。そんなことをやったら本当に日本の信用というのは私は失墜すると思いますよ。ですから、そんなことはない、それが私は、政府としての見解として、また姿勢として進めるのは当然だと思います。
(記者)国内の石炭火力についてはあまり進展はなかったと思うんですけれどもが、御地元の横須賀も含めて、国内の石炭火力について、どういうふうに、輸出をどう考えるべきなのか、その辺の見解をお願いします。
(大臣)これは気候・環境大臣コミュニケで合意されたことが踏襲をされる、そういった形に今回のG7、首脳の声明にもあったと思います。いずれにしても、電力分野の脱炭素化をできる限り早く進めていかなければいけないということはもう世界各国、G7では一致したわけです。ですので、まさにそれはエネルギー基本計画の中身と関わるんですけど、現時点でも明確になっているのは、再生可能エネルギーは入れるだけ入れると。そして火力はできる限り減らしていけるようにする。そういった形でエネルギー基本計画をセットしていく方向が、このG7の中の閣僚のコミュニケも首脳級のコミュニケも、その方向性については私は合意されているということだと思いますから、国内についても非効率なもの、そういったものについては日本として明確に、着実にフェードアウトしていくということが、私は今回改めて強調されたということだ思います。

(記者)共同通信の水内です。海外インフラ輸出の戦略見直しに関して確認なんですけれども、それはCOP26までに政府として見直すのが当然であるという見通しでしょうか。
(大臣)私はそう思いますね。COP26に、先ほども朝日新聞さんに言いましたけれども、総理はカーボンニュートラルを決断された方で、そして2030年目標も総理の決断もあって、そして今回のG7でも実際にこの首脳級の声明を共に合意をした方で、その方がこれからCOP26に行くということを考えたときに、「いや、あのときの合意の中身というは、日本が今まで輸出していたものは、対策をとっているから引き続き認められるという理解だ」と到底言えるとは思いませんね。そして、そこに日本の利益は私はないと思っています。日本のより広がっていく利益は脱炭素インフラの輸出でより広がっていく、そこは明確だと思いますし、インフラの今まで策定をしたものはG7の今回の合意を受けて見直すと。それはもちろんCOP26までに見直すのは当然のことだと思います。

(記者)エネルギージャーナルの清水です。先日の、ロードマップ、脱炭素の、これで、ちょっと1点だけ伺いたいんですが、これに要するトータルとしてのコストと、それと、それに伴う経済成長の、その辺の見通しをちょっと、定量的なものがあったらぜひ伺いたい。ロードマップを見ると、「人口1,000人当たり」とかね、そういうものは出てくるんですが、えらい地味な話で、成長戦略に資するということであるならば、それはやっぱり、成長、経済成長への寄与がどのぐらいで、どのくらいの規模で、そしてそれはコストを上回るものだという、これやっぱり見通しは出す必要があるのではないでしょうか。どうでしょうか。その点です。
(大臣)そこは、清水さんが言うことも分かります。ただ、なぜ1,000人規模の経済的なメリットを今回出したかというと、国・地方の脱炭素ロードマップで特に重視したのは地域です。地域にとって、「国全体として何兆円の経済成長のメリットがあります」と言っても、小さな村や町にとって「何兆円の経済メリット」と言われたって、自分たちの町の予算なんて2桁億から3桁億ぐらいだよと。そうすると、「何兆のメリット」と言われてもなかなか自分事になりません。それを自分事になっていただくためにはどうするかといったときに、職員の中でも議論して、これは確かに華々しく、全体としては何兆円ということをやることも1つあるかもしれないけど、既にそれってほかの政策で、政府の計画でそういったものは出ていますよね、例えば成長戦略全体としたら。だったら、環境省が特に力を入れている地域ということで見れば、自分事になっていただくことを考えれば、1,000人規模でどれぐらいかというメリットを出したほうがいいのではないかという判断があったということは御理解いただきたいと思います。その上で、コストも含めて、支えなければいけないことは明確で、だからこそ複数年度にわたる支援スキームに向けて抜本的に見直す必要があると。それは私のイメージでは「再エネ立地交付金」ですけど、この「再エネ立地交付金」を作っていって、今までだったら出なかったところにちゃんとお金が出ていく。そして、今までだったら人がいないというところに人も出していく。そして情報がないというところに対して情報ツールもそろえていく。こういう徹底的な支援をして、我々地方の、環境省の地方の支分部局、そして各省の支分部局も連携をして、意欲ある自治体と民間の取組を支えていければ、私は間違いなく広がっていくし、この脱炭素ロードマップは、読めば読むほど結構政策がこれから展開をされていくものが含まれていますので、私は「再エネふるさと納税」は結構広がっていくと思いますよ。分かりやすいですしね。そのことが結果として地域新電力を支援することになりますよ。そして、地域の中で巡っていく真の地産地消型の地域経済圏というものが出来上がっていく方向に行きますので、今後やらなければいけないことは、そういったロードマップに位置づけた施策、これが展開をする上で壁となるようなものがあれば、それをどのように我々としては突破をして地域を支えることができるかを、今後実行面においてしっかり後押しをするということが大事だと思います。なので、まず特に注力すべきは、この「再エネ立地交付金」、これを作っていくんだということを明確にして、今までと違う発想で支援をしてくれるんだということが自治体の皆さんや地域の企業たちにも伝わるように、制度設計を省内挙げて知恵を絞っていきたいと思います。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/Q6V8bLWcWs8

(以上)