大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年6月8日(火)9:02 ~ 9:26 於:環境省第一会議室)

1.発言要旨

 今日の閣議案件は2件、私から報告をさせてもらいました。1つ目が人事の関係で、中間貯蔵・環境安全事業株式会社の代表取締役社長・小林正明氏の再任ということで閣議で了解が得られました。略歴などは配布資料がありますので御覧いただきたいと思います。 そして、2点目が白書です。今日の閣議で環境白書、循環型社会白書、そして生物多様性白書が決定され、また、令和2年度の原子力規制委員会年次報告を国会に報告することが決定されましたので、御報告をしたいと思います。今回の白書は、環境省にとっては2050年カーボンニュートラル宣言後初めての環境白書となりました。その白書として、2050年カーボンニュートラルに向けた経済社会のリデザイン、こういったことをテーマにして、様々な世の中の変化のことも取り上げながら、コラムや様々な事例も取り上げて多くの方に知ってもらいたいと。そして、特に若い世代の皆さんには、これからの気候変動の時代を最もど真ん中で生きる世代ですから、できればそういった皆さんにも目を通していただければなというふうに思います。若い人に読んでもらうには、この白書というのは随分課題がありますけどね。厚過ぎるし、これは来年に向けた課題だなと。どうやって読んでもらえるか、そういったことも課題を感じながら、しかし、職員を挙げてこの白書には思い入れを持って作ったメンバーもいますので、どうか読んで参考にしていただけたらなと思います。地域脱炭素ロードマップも今週取りまとめを迎えますので、そういった地域の事例と多くの方の取組、これを1人でも多くの方に読んでいただきたいと思います。今日は冒頭、私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)幹事社共同通信の水内です。環境白書について伺います。2050年カーボンニュートラルに向けて、衣食住といったライフスタイルの見直しの必要性を指摘しております。食に関してはいわゆる代替肉を初めて取り上げたと思うんですけれども、その狙いについて伺いたいのと、また、環境省として菜食や肉食減の普及策で何か考えていることはありますでしょうか。
(大臣)初めて代替肉を取り上げた理由の1つは、やはり、もはや当たり前の選択肢の1つになってきたということも言えるんじゃないでしょうか。もう我々が今、身の回りで、日々の生活の中で、コンビニに行けば代替肉の商品はあります。そしてコーヒーショップ、例えばドトール、そしてコメダ珈琲、こういったところでも当たり前に、もう使われるようになりました。モスバーガーなどのハンバーガーチェーンでも、もはや代替肉というものが当たり前にあります。こういった中で、食に対する価値観の変化もあると思います。健康にいいものを食べたいという人はもちろんいるでしょうし、しかし一方で、できる限り環境負荷を減らして生活をすることを自分の生き方として大切にしている方、そういった方にとって代替肉というのは1つの選択肢として確立されてきたと。そんなことも多くの方に知ってもらいたいし、私自身、福島のふたば未来学園にも行って、学校給食が、もう植物性たんぱく質のものしか出さない日があるような、こういった新しい動きも感じています。この環境省の中の26階に食堂がありますけど、もうプラントベースメニューというのがあって、昨日も私は代替肉のハンバーガーを食べましたけど、今日は、お昼御飯は委員会の合間にその食堂のプラントベースメニューを食べる予定です。このように、間違いなく身近なところで変わってきたことも紹介できたのはよかったんじゃないでしょうか。

(記者)環境新聞の小峰です。今日は原子力防災担当の小泉大臣に原発安保についてのお考えを聞きたいと思います。御承知のとおり、先に東京電力柏崎刈羽原発のですね、テロ対策のでたらめぶりが発覚しましたが、金太郎飴のような電力業界としてはですね、他社も推して知るべしだと思います。そして今、サイバー攻撃として、サイバー原発テロというのがですね、大変に喫緊の課題になっております。そこで、ずばりお聞きしますが、来年度の概算要求でですね、内閣府原子力防災担当及び経産省、防衛省、警察庁、公安調査庁、そして国家安全保障局、NSSの連携事業として原発安保を今要求すべきではありませんか。何しろ2021年度、今年度予算では、防衛省と環境省の初めてのですね、霞が関内での連携事業をやった小泉大臣のことですから、もう来年度の要求に向けて原発安保対策について弾は仕込んでいると私は思いますが、いかがでしょうか。
(大臣)小峰さんが言う「原発安保」というのが一体何を意味するのかというのは、私なりに推し量ると、大きな意味で見れば、気候変動が安全保障の脅威であるという認識の下、日本の政府の政策も進めるべきだという一環だというふうに思います。そういった意味では、この前、小峰さんが、岸防衛大臣のインタビューをされた記事も読みましたけど、今から私が大臣になったときを振り返ってみても、防衛大臣がタスクフォースを立ち上げ、安全保障の観点から環境新聞のインタビューを受け、共に環境省との連携をうたうところまで政府全体の気候変動と安全保障の関係を強化して深めてこられたんじゃないでしょうか。そして、テロ対策を万全のものにするというのは当然のことであります。そんな中で、そのテロ対策に不安を持たれるような事案を起こしてしまった事業者というのは、やはりそもそも福島の教訓から信頼を回復させなければいけないところで更に信頼を失墜させるような、こういうことはあってはならないことでありますし、事業者に対する、この原発に対する責任を持って見ている規制委員会からも適切な指導をされたいと、そういうふうに思います。私としては、やはり安全保障のことを考えても、いかに再エネを増やしていって、日本の歴史的な命題でもあるエネルギー自給率、そしてエネルギー安全保障、これを確立させていくかという方向で考えなければいけないと思いますから、いかに今後、政府の中で再エネを最優先の原則の下に最大化できるか、そういった方向に全力を尽くしていきたいと思います。
(記者)あの、環境新聞の小峰ですが、ちょっと更問でお願いさせていただきますけれども、再エネをやるといっても、既にですね、原発はですね、9基動いています。動かなくてもですね、使用済みプールにですね、使用済み燃料も入っています。現に原発はあるんですね。これは、安保対策を、あなたがいったいどうするのかと、安全、テロ対策を。ここはあなたじゃなければできないんじゃないかと思っているんです。それで、喫緊の課題ですから、8月31日の概算要求締切りまでですね、まだ2カ月ちょっとあるんですから、ここのところは岸防衛大臣、梶山経産大臣とざっくばらんに、話して、来年度の要求へ向けた言葉が欲しいですね。
(大臣)小峰さんが言う「テロ対策を万全に」という思いは、もちろんそのとおりです。そして、仮にテロ対策をより強化するという方向になれば、それだけコストがかかります。そして、現実にテロ対策の強化が求められ、その対策に事業者なども対応している中で、再稼働が見込めないものも今出てきています。ですから、これを議論していれば分かるとおりですね、原発にかかるコストという問題もあるんです。それにもかかわらず、再エネが国民負担だというふうに、再エネにかかるコストばかりを強調されることはおかしいんじゃないでしょうか。立地交付金も見てください。再稼働すれば25億円ですよ。動けばお金は下りる、造ればお金は下りる。再エネにこんなことは全くありませんよ。「かつて国策民営で動いた原発だからそれだけ金が動くんだ」というならね、再エネは今、国策ですよ。再エネ主力電源化なんですから。そうしたら、なぜ再エネだけが「国民負担」と言われなきゃいけないんですかね。私はそういうのを変えていきたいですね。そして、それだけ他の電源にも国民の負担が発生をしている。テロ対策が大変だったら、それはもっとコストはかかる。全体としてコストがいくらか。私、「早くそのコストを見せてくれ」と言っているんだけど、全然報告が来ません。そういったことを明らかにする議論がエネルギー政策では必要じゃないでしょうか。

(記者)フジテレビの安宅です。先ほど環境白書の話の中で、「特に若い世代に」という発言がありました。そこの思うところをもう少し詳しくお聞かせ願えますか。
(大臣)やはり気候変動の深刻化が逃れられない時代になりました。私も今、自分の息子が1歳ですけど、よく考えますよね、この子が生きる時代はどれぐらいの状況になるんだろうかと。そして、私が子どもの頃からずっと見てきた地元の横須賀の海の景色も相当変わってしまうだろうし、砂浜だってこのままいけば8割、9割、日本からなくなるわけですから、そういった中で何とか、失われるものが分かっているからこそ、失われるものを少しでも減らさなければいけない、その思いを持って私は気候変動対策の強化を全力でやってきました。そして、それを分かっている若者たちが何とか政府に対して気候変動対策の強化を求めて、突き上げている。そういった声が世界中で起きています。残念ながら日本は、若者からの政府に対する気候変動対策の強化に対する突き上げというものは他の先進国から比べたらまだまだ弱いです。私としてはそういった思いも若い世代と共有をしたい。そういうふうに思いますね。今回、白書を読んでもらいたいですけど、「白書は分厚くて読む気がしない」という方がいたら、環境省は全く関わっていませんけど、Netflixの「地球の限界」という映画を見てほしいと思います。全く関わっていませんが。何で環境省が今回4本の法律を出したか、その理由が、私は見ながら、まるで環境省の4本の法律の意義を説明してくれるようなドキュメンタリーだなと思いながら見ていましたけど、ぜひ「地球の限界」を見てみてください。ちなみに、Netflixは「撮影を全部再生可能エネルギーでやる」と、そういうことを言っている会社でもありますから、ぜひ今日はテレビ局の皆さんもいますけど、カメラも含めて、スタジオも含めて、「再生可能エネルギーで我が社は放映をしています」と、そういった会社が出てくることを期待していますね。ちなみに新聞でいうと、東京新聞さんも新聞の一面に書いてありますね、「わが社は再エネです」ということを。

(記者)テレビ東京の松並です。11日からのG7で脱炭素について、とりわけ石炭火力の扱いなどについてどういった話し合いが行われることを期待されていますか。
(大臣)この前のG7環境・気候大臣会合でまとめられたコミュニケが明確ですよね。もう化石燃料に対して脱却をしていくという明確なメッセージが出た中で、それが首脳同士の1つのメッセージになったときに、どのようなメッセージをG7が1つのメッセージとして発信できるか。日本が貢献できるところもありますので、そこは私は、今、菅総理が準備をされながら、日本が明確にリーダーシップを発揮してこの世界でも貢献をすると、そういう打ち出しができるような準備をされているのではないかと思います。

(記者)NHKの吉田です。白書の関連で細かいことになるんですが、2点ほど伺わせてください。今回の白書はいろいろと事例を取り上げられて、読んだ人に取組を促す、ライフスタイルを変えてもらうように促すような内容になっていると思うんですけれども、やはりあの、事例を紹介するだけでは、その読んだ人が本当にライフスタイルを変えてくれるかどうか分からないと思いまして、その、白書をまとめたことも1つではあるんですけれども、国民1人1人のですね、ライフスタイルを変えていくために、改めて環境省からどのような後押しをしていきたいのかということを一言いただきたいのと、また、先ほどからちょっとお話に上がっていると思うんですが、環境白書の内容が十分には広まっていないといいますか、読まれていない現状もあるかと思うので、Netflixの話ではなくて、環境白書の内容をどうやって環境省として広めていくのかということについて一言お願いします。
(大臣)来年はNetflixに白書を作ってもらいたいと思います。というぐらい、やはりこれは、吉田さん、環境白書の問題を言いますけど、恐らく各省、全ての白書は、残念ながらそんなに伝わっていない可能性があると思います。専門家は読むかもしれません。だけど、今の時代、本当に伝えようと思ったら、このスタイルでいいのかというのは、私、特に今回感じました。というのも、ある民間企業の方に、株主総会で報告をする会社の事業の紹介とか、今までだったらすごい分厚い、本当に字しかないような、こういったものを何と最近、漫画のスタイルでやられたところがあるんですね。それを見たときに、もしも間に合っていたら環境白書もそういうふうにすればよかったなというふうに思うぐらいのものでした。特に環境省の環境白書は若い世代に読んでもらいたいということを考えれば、今までの白書という形にこだわる必要は全くないし、逆に白書でこれだけ小さな組織がものすごい労力をかけてやっていますから、最適なリソース配分を考えたら、この白書だけに、限られたリソースを配分するということも来年に向けて考えようだなということを感じています。そこは来年に向けた課題だなと。ただ今回、白書だけで世の中は変わらないというふうに言われましたが、「白書に載っけてくれた」ということを受けて、一気に目覚めたような取組があることも事実なんです。これは私も驚いて、例えばある高校が、「自分たちがとうとう環境大臣賞をもらった」、「自分たちが環境省から国会で紹介をしてもらった」、このことを本当に全校を挙げて喜んでくれて、今では学校が再エネ100%にしますとか、そこにつながるという小さなきっかけ作りにもなっているのは間違いありません。ただ、吉田さんが言うような、社会全体が白書で変わるかといったら、そこは白書だけでは変わりません。だから、今回、いろいろ賛否はありますけど、プラスチック法案など、今後間違いなく、今から1年後を想像してみてもらえたら、あのプラスチック新法が施行された後の世の中の景色って間違いなく変わっていますよ。そして、温対計画もそうですし、1つ1つの法律も活用して世の中を変えていきますし、今、来年に向けて概算要求のアイデア出し、こういった議論も省内で始めました。そういった中で、法律というツールだけではなく、白書というツールだけではなく、予算というツールを使ってどのように世の中全体を変えていくかということも、これは今、来年度予算に向けてしっかりと入れ込んでいきたいと思います。

(記者)毎日新聞の鈴木です。私から、先週、河野大臣主催の再エネタスクフォースが開かれた件でお聞きしたいんですけれども、その中の議題で、再エネのコストにも当然関わってくる話だと思うんですけれども、再エネの最大限の導入に向けた議論がなされたと思うんですけれども、環境省が主体というよりも経産省側が主体だと思うんですけれども、その中で経産省側の考え方として、「原則再エネ最優先という言葉が独り歩きしないように」とか、あとは、「日本のエネルギー政策の大前提である3E+Sというものをきちんと考慮してほしい」など、考え方の方向性は一致しているんですけれども、少し慎重な言いぶりが目立ったんですけれども、その辺のことについてどのように受け止められていらっしゃいますでしょうか。
(大臣)政府全体は、再エネを主力にしていくということは1つにまとまっています。ただ、再エネに対する本気度、そこの部分で言うと、正さなければいけないことがいっぱいある中で必要な意見は申し上げていると。例えば国民負担の言いぶりもそうですし、コストもそうですし、そしてこれから議論をすることになりますけど、もう総理自身も「再エネ最優先」というふうに言っているわけですよね。それをいかに政策に変えていくか、私も必要なことは言っていきたいと思います。
(記者)河野大臣とは、再エネの考え方としては、完全に一致されているんでしょうか。小泉大臣と、お2人では。
(大臣)方向性は、基本的に同じ方向性を見ていると思います。それは、カーボンニュートラルとは原発の最大限活用のためにあるわけではなく、再生可能エネルギーの最優先原則の下、最大限導入をするんだと。そういった中でエネルギー政策、日本の政策をよりよいものに、持続可能なものに変えていかなければいけないと。その思いは共通だと思います。
(記者)会議の中でも、河野大臣の言葉として、「小泉大臣とコミュニケーションを取っている」という話もされていたんですけれども、そういう認識でよろしいんでしょうか。
(大臣)私は河野大臣ともコミュニケーションを取りますし、梶山大臣とも取ります。今回、再エネタスクフォースという形で、タスクフォース側からの意見もぶつけてもらうことで、結果として単純に環境省と経産省だけじゃない、そういう多角的な議論になることは、私は政府全体の政策をよりよいものにしていくという意味で多様な意見が入るということは間違いなくプラスだと思います。ですので、再エネ最優先の原則、そして原発最大限の活用ではないんだと。依存度を低減しつつ、再エネを最優先に最大限の導入をしていくんだということを最終的には成長戦略の中にも盛り込まれたように、政府としてそういう頭になったのは、結果、いいことだと思います。

(記者)朝日新聞の川田です。G7サミットの関係で、「日本も貢献できる部分がある」というのは、具体的にはどういう点でおっしゃったんでしょうか。
(大臣)日本が貢献できるところというのは、間違いなくG7が共通して一つのメッセージを出す上で日本の姿勢というものが大きく影響しますよね。もしも日本がそこに対して貢献できなければ、G7がまとまったメッセージを世界に向かって出すことはできないわけですから。それは2030年の目標設定を含めて、G7がみんなカーボンニュートラルで、G7全てがかなり高い目標を2030年に掲げることに成功し、G7で初めて、「気候担当大臣」という名前が付いた会合で1つのコミュニケをまとめることができて、これを含めて日本の貢献がなかったら、今のところまでも上がってくることはできなかったですよね。それに加えて、例えば海洋プラスチックの関係でいっても、日本がG20の場で大阪ブルー・オーシャン・ビジョンをまとめ上げて、そして日本は国内法でも今回プラスチック法を作って、今後、世界の中でこの海洋プラスチックという地球規模の課題にどのようにルールメイキングに関わっていくのか、私はこれから1つ日本ができることは大きいと思っています。そういったことも含めて、総理がG7の中で、日本が世界の中で先導できるところをしっかりと発信をしていただいて、日本が気候変動対策でも貢献できる国であり、リーダーシップが発揮できる、そういった場につながるように私もしっかりと総理をお支えしたいと思っています。
(記者)石炭に関して、気候会合の場でコミュニケに書かれている内容をそのままサミットのほうでもスライドというか、していくことを望んでいるというか、期待しているんでしょうか。
(大臣)そこは最後、シェルパ同士で調整をしているところでもありますから、調整中です。その上で、G7の首脳級になったときにどのような文言のコミュニケになるかは、まさにそういった調整の結果がどうなるかだと思います。日本としても、このコミュニケの大切なところがしっかりと首脳級でも反映されるようなことが一番望ましいのではないかと思います。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/kc9Uy6xZ7Z4

(以上)