大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年5月25日(火)15:33 ~ 15:57 環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日の環境省関連の閣議案件はありませんが、2点、冒頭私からお話ししたいと思います。1点が原子力防災訓練、もう1点が海ごみ対策についてです。1つ目の原子力総合防災訓練については、今年度、昨年度見送りました宮城県女川地域、この女川地域を対象に実施することになりましたので、御報告をしたいと思います。実施の時期については、新型コロナウイルス感染症の流行状況を勘案しつつ、宮城県などとの関係機関と連携をして決めていきたい、調整していきたいと思います。訓練の実施に当たりましては、宮城県知事からも要望がありましたとおり、新型コロナ、この対策をしっかり行いながら、住民の参加も含めた完全な形で実施できるように調整をしてまいります。1点目は以上です。そして、2点目の海ごみ対策でありますが、今日皆さんのお手元にもお配りをさせていただいたものの1つが、ローカル・ブルー・オーシャンビジョンの推進事業で、今後5つの自治体を、モデル事業を実施する自治体として決定をしましたので、そこでアップサイクルや海ごみの内陸部における削減の取組、こういった特徴ある取組を実施していただくことになります。詳細はお手元の資料を御覧いただきたいと思います。さらに、5月30日、今週の土曜日、「ごみゼロの日」ということで、この日から6月8日の世界海洋デーまでの約1週間を「海ごみゼロウイーク」として、環境省と日本財団が共同で全国一斉清掃キャンペーンを行います。今、このチラシも皆さんの元にお配りをさせていただいております。この中でも、全国でも様々な取組がやられますので、ぜひこの機会に、今、国会で審議中のプラスチック新法、こういったことについても、併せて多くの方に御理解がいただけるように取組を進める1週間にしていただきたいなというふうに思います。あと、マイクロプラスチックの問題が国会でも、野党の方からも話題になることが多いです。このマイクロプラスチックの発生や流出の抑制、そして、回収に役立つ日本企業などの取組を、我々としてもいい事業として、グッド・プラクティス集に取りまとめて先日公表しました。これもお手元に配布をさせていただいておりますので、例えば、繊維くずの流出抑制効果を高めた洗濯ネット、こういったものも今出ていますし、ぜひ参考にしていただいて、こういった対策が様々な形で広がっていくことを我々としても後押しをしていきたいと思います。今日は、冒頭2点、私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)幹事社の共同通信の服部です。よろしくお願いします。先週末、G7の気候・環境相会合が開かれ、共同声明が採択されましたが、まず、この声明をどのように受け止めていらっしゃるのか。あと、石炭火力発電の国際支援の停止について、「それぞれの国の裁量による限られた状況以外では」などとする留保条件が付記されました。昨年、日本の輸出要件の厳格化方針が決まっていますが、これを追認するようなものとも取れますけれど、日本の石炭政策について十分な理解を得られたとお考えでしょうか。
(大臣)まず、今回、コミュニケ全体としては、私は歴史的、画期的だと思っています。それはなぜかといえば、G7が一つの声で、ワンボイスとして化石燃料依存型の経済から新たな経済へと向かっていくメッセージを明確にしたということでもあります。そして、石炭については、私は大臣就任直後から、特に海外の案件につきましては、原則と例外を転換すべきだと、そういったことを訴えてきました。当初、約2年前、なかなか理解が得られずに、政府内の調整もうまくいかず、あのCOP25はそういった調整がまとまらない形で臨まざるを得ませんでした。しかし、その後、何とかこの政策を変更するべく、関係省庁との議論も重ねた結果、昨年、海外案件に対して厳格化の方針が固まって、そして、今回G7の中で、G7まとめて前向きなメッセージを発することができたのは、そういった調整努力をしなければできなかったと思っています。原則と例外の転換、私は基本的にはそういったことが、今まで大臣として取り組んできたことがG7のコミュニケに、私は一つ反映されていると、そんな理解をしています。
(記者)あともう1点、それぞれの国の電源について、「2030年代の電力システムの最大限の脱炭素化」に取り組むということになっていますけれど、電力の安定供給の観点から、2030年代においても排出削減対策が取られた石炭火力は必要だとお考えでしょうか。
(大臣)とにかく、火力については、いかに排出のない形の火力に転換を早めていくか、こういったことが日本にとっては大事です。そして、電力の安定供給はもちろん大事です。今日の午後の参議院の環境委員会でも、今の御質問と同じように電力の安定供給について御質問ありましたが、それはもちろんそのとおりではありますが、時代が変わってきたのは、単純にどんな電力でも供給すればいいという時代から、需要家サイド、つまり企業の側から電力を選ぶ時代に変わってきたと思います。もはや、再エネがなければビジネスの土俵にすら上がれないような時代になってきたときに、安定供給はもちろん大事でありますが、いかに再生可能エネルギーを安定的に入れていくか、こういったことをしっかりと確立をしなければ、日本が、企業がビジネスチャンスを失いかねない。それは、ひいては国民の雇用に影響しかねない。そういう認識をより多くの方に持っていただけるようにしていきたいと思います。

(記者)福島民報の佐久間です。日曜日、23日に、原発事故に伴う除染廃棄物の福島県外での最終処分について、国民理解を促す初めての対話フォーラムが都内で開かれました。環境省が抜本的に強化して取り組む理解醸成活動の第1弾でしたが、全国的な知名度が低い中で、今後一層の効果的な情報発信が求められると思います。大臣、実際に参加された受け止めと、今後の活動に向けて感じられた課題についてお伺いします。
(大臣)ありがとうございます。まず、福島の地元の新聞2紙の両紙には、まず感謝申し上げたいと思います。大きく報じていただいて、そのことが、県内の中でも5割の方が、この30年の約束のことを知らない方がいる中で、より多くの方に知っていただく機会になったのではないかなと思っております。そして、今回、オンラインの形で、約1,000名ほど登録をいただいて、多くの方にまたこの話をしたいという回答を、対話フォーラムの後に結果として出ていますので、これを積み重ねることが非常に大事だなということを、改めて対話フォーラムの意義を実感しています。そして特に学生の、福島県大熊町出身の遠藤さん、この遠藤さんが当事者の立場から、単純に福島県外に持っていってくれという思いではなくて、仮に持っていったときに、その持っていく先の方々にも、苦しい、つらい思いをさせたくないから、どのような形だったら再生利用の理解が得られるかを考えることが大事だという、こういった思いをお話ししてくれたことは、その思いを大切にして、これから対話フォーラムと、それと具体的な再生利用の案件づくりに覚悟を持って進めていきたいと。その上で、改めて政府の取組が、やはり政治の実践が不可欠だと考えています。その具体性を持った案件をつくれるように、省を挙げて全力で案件づくりをする。その思いを新たにする、非常に意味のある1回目の対話フォーラムだったと考えています。

(記者)福島民友の桑田です。同じく対話フォーラムについてお伺いしたいんですが、今回、1回目の対話フォーラムということで、代表質問2回と、当日寄せられた質問3問にパネリストの方々がお答えになられました。対話フォーラムということで、我々地元の立場では、実際どんな意見が寄せられるのかというのを、すごく注目していたんですけど、3問だけしか今回は取り上げられなかったので、次回以降、こちらの改善について、まずどのようにお考えか、大臣お聞かせください。
(大臣)そうですね、できる限り対話型でやれるような改善点は、今回のことを踏まえて、より対話型、双方向でできる在り方を模索していきたいと思います。例えば地元紙の立場から、こういう形はどうかというのは何かありますか。
(記者)正直、パネリストが多かったのではないかと感じました。私たちは地元なので、今回の課題について承知しているということはありましたけど、環境省、いわゆる発信する側の人数が若干多過ぎて、限られた時間の中で、寄せられた意見を吸い上げられなかったのではないかという実感を聴講していて感じました。
(大臣)逆に、多過ぎたのではなくて、こういったところは、むしろより加えた方がいい要素だということはありますか。
(記者)加えるというところは、前半のプレゼンは、大熊町長、双葉町長のビデオメッセージも含めて、説明としては非常に分かりやすかったというふうに思います。いろいろなパネリストがいましたが、責任ある立場で答えられるのは大臣1人ということで、大臣と、若しくは高村先生のような放射線の専門家、開沼先生のようなリスコミの専門家の方々に、答える方は絞って、率直な意見に、数をある程度答えた方が、対話というかですね、理解の醸成にはつながるのではないかというのが私個人の感想です。
(大臣)なるほどね。ぜひ両紙が連携してタイアップして、対話フォーラムを実現することができたら、またいいかもしれませんので、ちょっと今の御意見も参考にさせていただいて、次回の開催の在り方をよりよいものにしていきたいと思います。
(記者)実際、終わった後のですね、事務方のブリーフィングで、関西や九州も計画されているということでしたけど、カンニングの竹山さんも言っていたように、福島から離れれば離れるほど実情が伝わりにくい状況があるので、今後の開催について、より福島、東京から遠い地域での開催に当たっては、そこにもう少し力を入れた方がよいかなと思いますが、地元の立場で協力できることがあれば協力したいです。
(大臣)ありがとうございます。
(記者)もう1点、お伺いしたかったのは、今ほど、大臣の発言にもありましたように、政治の率先、実践というのが大事だというのはフォーラムでも大臣自らがおっしゃっていました。国会、霞が関、永田町から案件をつくらなければいけないという決意を示されましたけど、なかなか10年たってもまだ実践がない中で、大臣は鉢植えという形でいち早く取り上げられましたけど、今後の案件づくりに向けてですね、どのようなところを調整していきたいとお考えでいらっしゃるでしょうか。
(大臣)今、環境大臣という行政の立場からは、立法府である国会に対しての意見というのはなかなか難しいところもありますが、私個人としての考え方としてはですね、国会、この議事堂の中の敷地だってあるわけです。そういったところも含めて、あらゆる可能性を模索して、具体的な案件を作っていって、政治が自ら、この福島の復興に責任があるわけですから、政治が主導して実証の場を県外にも作って、それを多くの国民の皆さんに見ていただく前に、我々国会議員も含めて、それを目にしていく環境、それを多くの国民の皆さんに我々議員が、こういう実証をやっているから県外の30年の約束、そして実証を、また、再生利用を進めることに御理解くださいという形で広げていく。まさに内から外に広げていくようなことをやらなければいけないと考えています。そのために、しっかり汗をかきたいと思います。

(記者)日本テレビの川崎です。アニマルウェルフェアという、いわゆる動物福祉についてお話を伺わせてください。2月にも閣議後会見で話があったと思うんですけれども、鶏のケージでの飼育の問題について話をされました。今週、国際獣疫事務局で、卵を産ませる鶏のケージ飼育について協議されます。日本は鶏のケージフリーについて慎重な立場ですけれども、改めて大臣のお話を聞かせください。
(大臣)かねてから私は国会でも答弁をしていますが、このバタリーケージ、これについてはアニマルウェルフェアの考え方に立ったときに、環境省としては推奨しません。一方で、日本の中で約95%がまだこのケージ飼いということの中で、どのように日本の農業界と、理解を得ながら、そういった取組を推進していくのかは、環境省、農水省の中での連携を深めることも必要だろうと思っています。ただ、私は、この食に対する関心は、世界的にはこれからより高まるだろうと思っています。バイデン政権になってから、このG7でもそうでしたが、食品ロス、これと気候変動対策の観点からも、議論がアメリカ側からも出てきています。日本はWFP、世界全体に支援をしているその量を、上回る、600万トンの食品ロスを、我々日本というのは出してしまっているわけですよね。こういった食は、今の生産システムの在り方から、我々の食のライフスタイルを含めて、全体が問われる時代に入ってくると思いますから、その中で農水省は「みどりの食料戦略システム」、私は、あれは国際的にも評価が高いと思っています。こういった中で、官民を挙げて、この食料システムの在り方をより持続可能なものに変えていかなければいけないと、今の御質問いただいた点も、その一つの論点だと思います。

(記者)NHKの吉田です。冒頭発言のことで、原子力総合防災訓練のことで伺わせてください。まず内容の確認なんですが、新型コロナウイルスの影響を勘案しつつ行うということなんですが、訓練の実施時期については、まだ何もめどが立っていないということでしょうか。
(大臣)実施時期は宮城県と調整します。
(記者)これから調整するということでしょうか。
(大臣)はい。
(記者)関連してもう1点、再稼働に向けた動きへの影響について、事業の監督官庁は経産省だと思うんですが、昨年度訓練ができなかったことによって、会社で考えている再稼働のスケジュールへの影響等はあったりするんでしょうか。
(大臣)まず我々の立場としては、原防大臣として言えば、この原子力総合防災訓練と再稼働については関係はありません。ただ、原子力防災を担っている立場とすれば、原発が動いていても、動いていなくても、そこに存在をする限り、リスクがあることには変わりはありません。そしてコロナがあってもなくても、いつ事故が起きるかということは想定しておかなければいけないことであります。ですので、コロナがまだ流行している中であっても、仮に福島のように自然災害が発生をしたときに、コロナだからといって容赦してくれませんから、その中でもどのように原子力総合防災訓練をやるのかは、宮城県と調整した上で、その実現に向けて協力していかなければいけないと思いますので、あとは実施時期、しっかりと調整していきたいと思います。

(記者)神奈川新聞の石川です。22日夕方にですね、横浜市戸塚区のアパートから逃げていたヘビがようやく捕獲されました。環境省も特定動物の飼育の注意喚起をするように、17日付で自治体に事務連絡をしているかと思うんですけれども、改めて注意喚起と併せて、この問題についての大臣の所感をお願いします。
(大臣)まずはけが人やトラブルがなく良かったなと、そして見つかるまでに多くの方が、行政機関も含めて、そして一般の方も含めて探してくれたわけです。その全ての皆さんに対して心から感謝を、またねぎらいを申し上げたいというふうに思います。今回こういったことで、結果として多くの方にも御負担、迷惑がかかったことも事実であります。我々環境省としては、その飼い主の方に、飼い主としての責任をしっかりと果たしていただきたい。今回幸いにして、けが人などがなく良かったんですが、今、世の中もこのニュースを受けて、「ああ、見つかって良かった」と、そして最終的に屋根裏だったと。そこをいろんなプロの専門家の方が知見に基づいて当てられたこと、それに対しての称賛だったり、前向きな報道になっていることは良かったと思いますが、もしものときがあったら、これは本当に不幸なニュースになりかねなかった。こういったことの重みを飼い主の方には考えていただきたいと思います。これはヘビに限らず、犬猫の飼い主も含めて、飼い主の責任は非常に大きいと、そういったことを改めて感じるニュースでもあると思います。

(記者)朝日新聞の川田です。先日の会見でおしゃってたんですけれども、再エネのコストは見えるが、原子力のコストは見えない、その意味するところを詳しく教えてください。
(大臣)これは昨日も有識者会合でも、原子力を仮に動かすのであれば、こういったことはクリアしなければ動かせないのではないかということを、1人の有識者の方は、項目を立てて発言しています。そちらも拝見していただきたいと思いますが、やはり原子力のコストの中で、この福島も含めてですね、仮に事故が起きたときに、今どれぐらいのコストがかかっているのかも含めて、やはり他の電源と比べて、同じコストの比較ができるような形でコスト比較がなければ、再エネが、FITだから、賦課金があるから、国民負担も含めて高いという論理は、私は通用しないと思っています。ですので、今このトータルでコストというのはどれくらいかかるものなのか、私はエネ庁からも聞いてみたいと思っていますので、しっかりそれを私は出される中で、今後、産業の電力、国民の電力負担、こういったものが議論されなければいけないと思います。

(記者)テレビ朝日の藤原です。まず、福島の30年の約束のことについてお伺いしたいんですけれども、先ほどの質問の中で、「国としても示していかなければいけない」という話があったと思うんですが、30年まで、もうあと20数年ですか。
(大臣)そうですね、45年までですからね。
(記者)というところまで来ていると思うんですけれども、いつまでにどういった形ができるとお考えか、立場上難しいことは承知の上なんですけれども。あと、それを阻むようなこととは、どういうことがハードルになると考えるか教えてください。
(大臣)まず、今実証をやられているの長泥の皆さんですよね。この実証をやっているのが福島県飯舘村の長泥地区だけにしておくわけにはいかない。そのためには、まずは政治から、という思いですから、いつまでにというのであれば1日も早く、そういうふうに思っています。それを阻む壁は何なのかといったときに、政治において阻むものはないと思うんですよ。これは福島の復興をしっかり前に進めなければいけない課題というのは、当時、原発事故のときに政権を担っていた今の野党も、そして今の我々も、共に共有する部分だと考えていますから、仮にこういったことが進まないとしたら、私は政治の覚悟が足りないことが、その阻む壁ではないかと思いますから、環境省としてできること、そしてまた一議員としても、あの震災、原発事故から取り組んできた、この福島の復興のために、政治が、国会が、前に進めるためにできることというのを、しっかりと多くの方にも御理解いただけるように、私としても汗をかいていきたいと思います。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/Tqa3nhbk0wI

(以上)