大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年4月27日(火)8:35~8:51衆・分館1階ロビー)

1.発言要旨

今日はちょっと冒頭多くて、4件あります。閣議の案件はないんですが、1つ目は地熱、そして2つ目は水俣、3つ目がモニタリングの調整会議、そして4つ目が食品ロスと、4点あります。まず最初に、地熱について報告をしたいと思います。先週、菅総理が気候サミット、そして温対本部において2030年の46%、そして50%の高みに挑戦をするという発言がありました。こういったことも受けまして、環境省として地熱開発についての加速化のプランを今回まとめましたので、お知らせしたいと思います。まず、今までもたびたび言っていますが、日本は再エネの資源が豊富です。2倍のポテンシャルがある中で、火山国として地熱のエネルギーも豊富にあります。自然公園法に関する今まで2回の規制緩和の結果、熱源が集中する国立公園と国定公園内で62件の案件が今進行中です。これをさらに加速すべく、今日の午後、河野大臣のタスクフォースで示す自然公園法や温泉法の運用の見直しなどを進めつつ、環境省自らも率先して行動していきたいと思います。まず、現在ある60を超える地熱の施設数の全国での倍増を目指すこととし、今、地熱のリードタイムというのは10数年と言われているんですが、これを最短で8年にしていきます。そのために温泉モニタリングなどによって温泉の事業者の方の不安の材料の払拭、そして地域と共生できる地熱ポテンシャルの特定、そして今、御審議いただいている温対法の改正の中で促進区域をつくるということを言っていますが、こういったことの指定、そして景観の影響を最小化して、地域の魅力創出につながるビジネスプロセスの促進、そういった取組を環境省が実施して、円滑な地域調整を進めて案件開発を加速化していきます。さらに有限な温泉、地熱資源の適切な管理に関する制度についても様々な法令が関係するため、検討をさらに深めていきたいと思います。地熱については以上です。そして、水俣についてでありますが、大変残念でありますが、昨年度も中止となった水俣病犠牲者慰霊式が、今コロナの感染拡大を受けまして今年度も中止ということになりました。大変残念な思いでありますが、改めてこの場をお借りして、水俣病によってかけがえのない命を失われた方々に対し、心から哀悼の意を表したいと思います。環境省はこれからも水俣病の原点であるこの環境庁設置50年、環境省ができてから20年、この節目にも改めて原点を忘れずに1つ1つできることを積み重ねていきたいと思います。そして、処理水のモニタリングの調整会議についてです。それは今日の夕方、私が議長を務めているモニタリング調整会議を開催をします。今回、処理水の海洋放出を行うに当たって、海域モニタリングを拡充・強化することが政府の基本方針に盛り込まれたことを受けて、関係省庁が連携してその具体化に取り組むよう、この会議の場で私から要請をします。風評の影響を抑制するためには、透明性、客観性、信頼性が重要です。今日の会議自体も環境省の公式動画チャンネルでライブ配信をする予定です。これからも関係省庁とよく連携しつつ、海洋モニタリングの実施に向けた準備を進めていきたいと思います。最後になりますが、食品ロス、この推計値が、平成30年度のものが出ましたので報告をしたいと思います。そして、併せて環境省の取組を2点御紹介したいと思います。まず、環境省と農水省が行っている食ロス発生量などの推計結果によれば、平成30年度の食品ロス量は約600万トンと、前年度と比較して約12万トンの削減です。政府は2030年度までに2000年度比で食品ロス量を半減、489万トンにする目標を掲げています。仮にこのペースで来年度以降も今と同じぐらいの削減ができれば達成可能でありますが、毎年約12万トンの削減を継続することは容易なことではありません。引き続きしっかり対策を進めたいと思います。その観点からも環境省としてはフードドライブの推進、これは先日報道発表しましたが、神戸市、株式会社ダイエー、そして株式会社サカイ引越センターと共同で実証事業を実施中です。そして、2点目が災害用の備蓄食料の寄付、これは来月5月に環境省で不要となった災害用備蓄食料をフードバンクに寄付する予定です。生活困窮者支援の観点でも重要な取組です。こういった取組は、誰も損をしない形で食品ロスの削減ができる、そしてCO2削減にも資すると、こういった取組ですので、しっかり企業とも自治体とも連携して取り組んでいきたいと思います。今日は冒頭、以上です。

2.質疑応答

(記者)幹事社TBSの亀井です。2点お願いします。1点目は食品ロスについて、いただいた資料でもおおむね横ばい、微減ということも言えるのかなと思うんですけれども、食品ロスの問題は我々の意識などもすごく大きく重要だと思うんですが、そもそもフードドライブに回す以前に廃棄物となるほどの量を作らないなどいろんな対策が必要かと思いますが、その辺、意識の啓発以外に何かやること、抜本的にお考えになっていることがあれば教えてください。もう1点は、週末の選挙の受け止めをお願いします。
(大臣)フードロス、これは最近番組にも出演をしたときにも申し上げていますけど、WFPが世界で食料支援を展開している量の1.5倍も日本は捨てている、こういった状況をやはり多くの方にも知っていただきたいと思いますし、環境省として、関係省庁の中での役割分担もありますけど、まずは食べ残しを持ち帰ることができる「mottECO」という新しい取組を連休明け、この緊急事態が解除された暁になると思いますけど、ロイヤルホストさん、デニーズさん、こういった多くの国民の皆さんにとって身近なファミレスの関係者にも協力をいただきながら、新たな取組を始めていきたいと思います。そして、様々民間の取組も加速しています。イオンさんなどでも、もうプライベートブランドで賞味期限の表示を年月日という、何年何月何日というものを、長期の缶詰とかレトルトとか、こういったものをやめる。そして年月表示、そこまででとどめるとか、こういったことも始まっていますので、様々な取組をより後押ししていきたいと思います。それと、選挙の受け止めですが、大変厳しい結果となりました。この結果をしっかりと受け止めて、多くの国民の皆さん、自民党に対しても、また今は政府に対しても、このコロナ対策でストレスとか御不満をためられているのはよく分かります。その厳しい声を受け止めて、1つ1つ課題を前に進めて信頼回復に努めていきたいと思います。

(記者)熊本日日新聞の福山です。水俣病公式確認から65年という時間が経った中で、まだ水俣病問題が終わらないことについて、被害を受けられた方々の中には、不知火海沿岸にお住まいの皆さんに対する健康調査、これがまだ実施されていないからだという声があります。2009年に施行された特措法では政府に速やかな健康調査の実施を規定していると思いますが、大臣、改めて実施についての時期などの考えをお聞かせください。
(大臣)今おっしゃったように、私が水俣を訪問した際にも、メチル水銀が人の健康に与える影響の調査に関して強い要望があって、これまで事務方と何度も議論を重ねてきました。環境省では特措法の規定に基づいて、メチル水銀の健康影響を客観的に明らかにする手法の開発に取り組んできました。この手法開発については、昨年9月にお話ししたように、これまでの研究開発の状況について、医学、統計の専門家など学識経験者からの意見を伺っているところです。その成果が整理でき次第、皆さまにお知らせしたいと考えています。
(記者)それについて、9月に確か1、2年をめどにという時間的な話もあったかと思います。その辺り、改めて進捗を教えてください。
(大臣)今御指摘いただいたように、1、2年をめどにということですから、それに沿ってしっかりと今進めているところでもあります。

(記者)産経新聞の奥原です。太陽光発電に関して倍増させるという考えがありますけれども、太陽光発電に関してはいかがでしょうか。
(大臣)太陽光ではなく、再エネ倍増ですね。
(記者)太陽光に関しては増やしていくという考えを強調されていますが、太陽光のポリシリコンという素材が、大臣御指摘のとおり中国の新疆ウイグル自治区で、世界で主要な生産地になっていて、バイデン政権に対しても最大の労働組合が輸入を禁じるように要請されると。大臣はかねてから、今後の企業の在り方として環境配慮型であったり人権配慮型の必要性を唱えていますけれども、この問題についてはどうお考えなのかということと、NDCの候補の数字をめぐって、大臣は民放の番組で「おぼろげながら見えてきた」という発言をされましたけれども、あれはどうなのかと私自身は思うんですね。もう少し、「展望が見えてきた」とか実直に答えればよかったにもかかわらず、ああいうポエトリーな言い回しをすることによって、これからの産業界に雇用や設備投資等で多大な負担をかける中で、意識を阻害するのではないかと思いますけれども、ああいう発言はこれからも続けていくのでしょうか。
(大臣)この前、橋下さんの番組に出たときに申し上げましたけど、炎上して、切り取られている部分も相当ありますし、あれは約30分ぐらい話しているんですよね。その中の一部です。でも、切り取られることは防げませんので、そういったことがあったらいろんな形でしっかり説明もしたいなというふうにも思います。ただ、「おぼろげ」という表現が仮に誤解を生んだとしたら、決して全く何も数字の積み上げがない中で出したものではありません。真摯な積み上げに加えて、やはり意欲の高い目標を設定するための作業の結果ですから、そこはしっかりと説明を繰り返していきたいなと思います。1点目については、ポリシリコン、こういったことも、よく国際的な動向をチェックしなければいけませんし、今、日米豪印、それに加えて最近も、今日報道も一部ありましたけど、やはり民主主義国の中でいかにグローバルなサプライチェーンを構築していくか、こういった新たな動きも始まりました。そこも踏まえて脱炭素のためにやらなければいけないことがありますので、そこも考えながら確実に再エネの導入加速を進めていきたいと思います。
(記者)そういう人権侵害地域で生産されたものを再生可能エネルギーに使っていくことに関してはどう思われるでしょうか。
(大臣)そこの事実関係を含めてよく精査したいと思います。

(記者)朝日新聞の川田です。地熱開発の中でリードタイムを短くして最短8年というのは、2030年を意識してのことでしょうか。
(大臣)そうですね。やっぱり間に合わせるように、そして今までの規制緩和だけではなくて運用の見直し、こういった中でもできる限り早くしたいと。その中で今回最短の8年と、やっていきたいと思います。
(記者)大臣、環境省としてできることというのは、この調査を加速させるということでしょうか。
(大臣)そうですね。このアセスと探査、こういったことも含めて加速をさせるということもそうですし、中には、やはり温泉事業者の方の不安をいかに払拭するかというのも大事なことなんです。そこの点で温泉量の水位、こういったことなんかも新たな設備も設置する形でモニタリングをして、温泉事業者の方にその地熱の開発と温泉の水量というか、こういったものを含めて変化をお知らせしていく、こういったことが大事だと思っています。

(記者)テレビ東京の篠原です。今回休業要請に対して、東京の4つの寄席が休業要請に応じないと、社会生活の維持に必要だということで休業要請に応じない判断をしました。大臣は寄席通いや落語議連に所属していろいろ思いをお持ちだと思いますが、今回の寄席の判断についてはどうお考えでしょうか。
(大臣)今回、寄席組合ですか、社会生活に必要不可欠だということで興行を続ける、こういう判断をされたと思います。私も一落語ファンとして、落語が日本の伝統文化、芸能、不可欠なことは間違いないと思います。社会生活にも必要なものだと思います。ただ、それを言ったら、他のさまざまな活動だって同じですよね。そういう中で、今、変異株の脅威を含めて、どうかさまざま御不満もあると思いますけど、御協力いただきたいと思います。

(記者)電気新聞の匂坂です。地熱プランについて伺います。2030年を意識したということですが、これが具体的に2030年のエネルギーミックスにどれほどの影響があるのか。例えば、何キロワットアワー増えているとか、再エネ比率が何%上がるとか、そういった評価というか、効果はどれほどになるのでしょうか。
(大臣)もともとの26%カットのときのエネルギーミックス、その中で地熱というのは大体1%ぐらいですよね、見込んでいるのは。今回その既存の60と、それと今の国立・国定の中の62案件、そういったことを進めていって、どれぐらいになるかというのは、実際掘って当ててみてどれぐらいのワット数になるかとか、現時点ではまだ分からないこともあります。ただ、いずれにしても、もともとのエネルギーミックスで見込まれている地熱の総量、これを達成する上でも今のこの国立・国定公園の案件をしっかりと間に合わせることは不可欠だと考えていますので、しっかり間に合うように環境省としても汗をかいていきたいと思います。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/S5aNjLFVpjc

(以上)