大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年4月23日(金)8:55 ~ 9:20 環境省第1会議室)

1.発言要旨

(大臣)閣議案件は今日はありませんが、冒頭、熱中症対策について一言申し上げたいと思いますので、熱中症を担当していただいている堀内副大臣にも今日は御同席いただきました。ありがとうございます。先日策定した「熱中症対策行動計画」では、新たに熱中症による死亡者数ゼロに向けて、できる限り早期に死亡者数を年1,000人以下とする中期目標を掲げました。この達成に向けて、昨年度まで1ヶ月間であった熱中症予防強化月間を今年度から拡大して、4月から9月にかけて「熱中症予防強化キャンペーン」と銘打って、各府省庁と連携した取組や地方自治体との連携を強力に展開していきます。具体的には、4月28日から熱中症の危険度を示す「暑さ指数」の予測値、実況値の情報提供を踏まえた「熱中症警戒アラート」を気象庁と連携して、対象地域を全国に拡大して運用を開始します。また全国8つのモデル自治体を選定して、地域における効果的な熱中症予防対策の実践例を創出していきたいと思います。熱中症予防のために、こまめな水分補給などにも心掛けていただきたいと思いますし、そういった対策のためにもマイボトルなども活用いただければ嬉しいです。関連して、暑い時期にはエアコンによる適正な室温管理と各人の判断による服装も通じ、働き方改革にも資する省エネ、省CO2対策として「クールビズ」も実践をしていただければと思います。詳細は、環境省内でこのプロジェクトをお取りまとめいただいた堀内副大臣から御説明をさせていただきますので、どうぞ。
(堀内副大臣)先ほど大臣から御説明のあったとおり、本年度から熱中症警戒アラートの対象地域を全国に拡大することになると。このアラートを受信したら外出を控え、また昼夜を問わずエアコンを使用して、暑さを避けるなどの適切な予防行動を取るような習慣が定着するよう、様々なルートを通じて呼び掛けていきたいと存じております。特に熱中症対策においては、自治体が中心となった地域の取組が重要であります。環境省としては、今年1月、2月に初めて自治体を対象とした意見交換会を開催いたしました。また本日、地域の取組の参考として、これまで地域で実施された優れた事例をガイダンスとしてまとめましたので、本日発表させていただくとともに、各自治体にもいろいろしっかりと情報共有をしていただいて、そしてそういうふうな状況をしっかりと受け止めて情報共有していただけるように指示していきたいと思っております。また、夏本番のシーズンを迎える前のエアコンの早期点検の呼び掛けについて、これまでは経産省から個別に業界団体や企業に対して実施していたところを、新たに経産省と環境省が協力して自治体などに対しても取組を依頼し、幅広く周知してまいります。この他、省庁との連携の取組も現在調整中であり、できるものから実行に移してまいりたいと思っております。環境省としては、新たに策定された熱中症対策行動計画に基づいて各府省庁との連携を強化し、熱中症予防行動の定着に取り組んでまいりたいと思っております。以上です。
(大臣)はい、ありがとうございます。

2.質疑応答

(記者)TBSの亀井です。昨日のサミットで発表された温室効果ガスの削減目標の数値、46%ということですが、昨日夜に行われたブリーフィングでも、環境省としても相当対策を強化する必要があると。経産省としても電源構成などは全て、そういったものはこれからで、野心的な数字だということだったと思います。大臣として国内外様々な調整があったと思いますが、最後は総理の政治判断だったという論調もよく聞かれますが、その辺り、言える範囲で、サミットにも立ち会われて、最後は菅総理の強い意思というか政治判断だったのか、その辺りをお聞かせください。
(大臣)やはり総理というのは決断の方だというふうに、私は改めて敬意を表します。その総理の決断ができる環境を整備することが、調整に当たった私、そして官房長官、また産業界と向き合う大変な御苦労をされている梶山経産大臣、そういった関係の閣僚同士でもう何度やったか分かりませんが、その中でどこまでだったら行けるか、そういった本気度、調整の表れが、よく46というのが切りがよくない、なぜ45じゃないのかと、そういう問いをされることがありますが、それはそれだけ、どこまでだったら積み上げられるか、そして積み上げだけではなく、どうしたら日本の政策、次世代のために持続可能な地球環境をつくらなければいけないという先進国としてのリーダーシップを発揮するレベルで行けるか、この繰り返した結果が46です。その上で今、日本は既に2013年比26%という、もともとのこの数字を目がけてやっていましたが、今、実績はどうなっているかというと、その当初の想定を超えて排出削減が進んでいます。それを考えれば大事なことは、もうここまでしかできませんというメッセージではなくて、ここまでは頑張るけども、その上も目指して挑戦をし続ける国なんだというメッセージを発信することが私は一番大事なことだと思っていました。それを最終的に総理が50%の高みに挑戦をし続ける、非常にクリアな明確なパワフルなメッセージになったと思います。その現れが昨日の、私も夜中まで出席をしていて、気候変動サミットで20数カ国が参加する中で日本は国として4番目に発言をしていた。そしてもう既に対外的にも総理の発言に対する評価の声が続々と届いています。これからその裏付けとなる具体的な対策を、しっかりと梶山大臣とも連携して作っていきたいと思います。
(記者)気候サミットについてですけれども、大臣も遅くまで立ち会われて、こういった日本の取組についての各国の反応ですとか、受け止めなんかをお聞かせいただければと思います。
(大臣)例えば私のカウンターパートで言えば、今週月曜日に日本に来日したCOPの議長、アロック・シャルマ氏でありますが、もう既にツイッターで日本の新しい2030年目標、これに対する評価のツイートをしてくれています。そして、ジョン・ケリー氏も既にツイッターの方で日本の46、そして50に対する思い、こういったことも触れていただいています。また国連のエスピノーザ氏、事務局長ですね、既に同じように評価のツイッターを上げていただいています。こういった形でもう既に国内外さまざまなところから、経団連もそうですし、そしてまた企業の中でも先進的に取り組まれているJCLP、JCI、こういったところからも総理の今回の決断に高い評価をいただだいています。まさに環境大臣になって以来、日本が環境先進国の復権だと、そのことの思いで頑張ってきた中で新たな階段を日本は上がったことになる、非常に画期的な総理の結論だったと思います。

(記者)テレビ東京の松並です。2点あるんですけれども、1点目は、反応や受け止めで、すごく評価が高かったと言われる日本の削減目標なんですけれども、他の国の削減目標、50%とかと言われている中で、単純に比較はできないと思うんですけれども、世界的な高い目標の中でこの数値をどう受け止めているか、ということと、もう一つは、実現させるために現時点で一番重要と思われている具体的な施策というのはどこにあるのかということを教えてください。
(大臣)まず、各国の目標が野心的なものかどうかを測る一つは、2050年カーボンニュートラルと整合的であるかどうかだと思います。その観点から測らなければ、単純に英国が78、米国が50から52、日本が46、じゃあ78と46を比べたら、という議論は全くおかしいと思います。そういった整合性を考えたときに、日本はEUやアメリカと並ぶ野心的な中間目標、これは間違いありません。だからこそ国内外から高い評価を受けていると思います。そして、その対策は何がカギかという2点目の質問については、間違いなく再生可能エネルギーです。昨日、総理がぶら下がり会見でエネルギーについて問われるたびに、まずは再生可能エネルギーを抜本的に導入を進めていく、そういった話をされていましたとおりです。環境省も経産省と協力をしながら、我々ができる屋根置きの太陽光を含めて、そしてまた国立公園・国定公園内の地熱、こういったことの加速化、そして洋上風力に対しても我々環境アセスの部分も関わっていますが、それを経産省や国交省などと一体となってセントラル方式のような形で進めていく。我々自身が汗をかかなければいけない責任もありますから、そこは政府一丸となって、まさに再エネの主力電源化、とにかく再エネが、昨日総理も再エネが優先だという話に触れていましたが、全く同じ思いです。
(記者)やはりその再生可能エネルギーの中でも、リードタイムの短さという意味では太陽光が一番取りかかりやすいところなんでしょうか。
(大臣)そうですね。リードタイムが短いものというと、太陽光と、風力の中では洋上と陸上で比べれば洋上よりも陸上の方がリードタイムは短い。ただ太陽光の場合は、どなたでも、例えば一般家庭の屋根を含めて、そして企業の屋根、工場の屋根、ため池、ダム湖、耕作放棄地、そして営農型太陽光、さまざままだまだ使えるところはありますので、未利用のところをしっかり生かして、排出削減と再エネの導入拡大、それによって海外に支払う化石燃料代は浮いてくるわけで、エネルギー安全保障にも資する、2倍のポテンシャルを生かすんだと。それが総理の再エネ優先という思いだと私は理解をしています。

(記者)朝日新聞の川田です。再エネなんですけれども、これまでも2030年までに2倍にすると繰り返されてきましたけれども、この46%目標が出て、その考えはどういうふうに考えていらっしゃるのか、教えてください。
(大臣)46%達成に向けては再エネを倍入れるような、そういう方針で向かわなければ排出削減はできないので、とにかく再エネを増やす、その方向で各省連携をしていきたいと思います。
(記者)去年は2倍と言っていたが、それ以上とか、さらに積み上げるということでしょうか。
(大臣)これも昨日の総理の、46%が中間目標であるけども、50%の高みを挑戦し続けるというのと同じように、2倍入れば終わりではないんです。どれだけ入っても対応できる国をつくらなければいけないんだと。余ったからもう入れません、つくり過ぎですという状況を変えるのがこれからの時代です。余ったものは水素にする。だから、再エネはとにかくつくった分だけ入るようにする、こういった方針で進まなければいけないと思います。
(記者)もう一点、46%について、菅総理から直接どういう説明、どういう話があったのか具体的に教えていただけますでしょうか。
(大臣)昨日、総理がぶら下がり会見で言っていたとおりで、本当に梶山大臣と官房長官を含め、何度も何度もどこまで来たかという、そういった確認作業、調整はやっていました。この積み上げの努力は経産省の職員、エネ庁の職員、そして我々環境省の職員、そして関係する農水省、国交省を含めて全ての省庁に対して、どこまでだったら出せるか。恐らく一般的には信じられないぐらいの細かい、かなり緻密なやりとりをやりました。どれだけリモートワークが進めば、どれだけの移動が減るから、これだけ排出が減るとか、あらゆる社会状況の変化なども勘案しながら、どこまでだったら排出削減ができるかとやります。そういう本気のぎりぎりの作業をしてきて、総理が昨日ぶら下がりの表現として、46%が視野に入ってきたからそういう表明ができたという、視野に入ってきたという表現を使われましたけど、まさにです。その視野に入ってくるところまで調整をすることが、梶山大臣のお陰もあって、官房長官の理解もあって、来ることができたからこそ、総理の発言の中で46%だけど、50%の高みに挑戦し続けるというところまで表明する環境ができたと思います。

(記者)テレビ朝日の藤原です。大臣は気候変動担当になられたときに交渉のところなどで、事務的な意味でも全然変わってくるという話をされていましたが、今回サミットにおいて、気候変動担当についてのことでどう変わったのか、その辺の話があれば教えていただきたいのと、実際46に向けてどうするのか、環境大臣であり気候変動担当としてどういう役割といいますかか、指示をされていくのか教えてください。
(大臣)まず、政府内の調整も動きやすくなったというのはこの前も言いましたけど、今回、総理が46、そして50の高みに挑戦する、この表現にどういうメッセージを込めたのかというと、対外的に正確に発信する必要があります。こういったことは既に始めています。その中で、私は日本の気候変動を担当している大臣として、私から説明をしますという形の説明の仕方をしています。その意味でも国内外に対して今後、COP26まで約半年ありますけど、その中で今回の中間目標の決定にはどういう思いを込めたのか。これは継続的に世界に対して正確に発信をする必要がありますから、対外発信の面においても気候変動担当と明確になっていることは非常に大きいと思います。

(記者)NHKの吉田です。昨日の中期目標の発表を受けて、いくつか、各団体から評価をする声も出ているとは思うんですけれども、中には原発の再稼働、あるいは新増設を求める声なども複数聞かれておりまして、改めて中期目標を実現する上で、原発はどのように考えられるかお願いいたします。
(大臣)そこも昨日、総理はクリアだったんじゃないでしょうか。その問いと同じような問いを昨日官邸のぶら下がりで総理は受けて、まずは再エネですと、再エネ優先です、できるだけ入れます、その上で原子力は今までの状況に応じてという形の発言がありましたが、まさに再エネを入れるだけ入れて、その他の電源というのは再エネが入るだけ他の電源に対してもその影響が出てくる、再エネ主力電源化というのはそういうことだと思います。

(記者)フジテレビの鈴木です。今の発言の中で、再エネの電源構成について、2倍入れれば終わりではないということおっしゃられましたが、改めて2倍以上目指すということでよろしいでしょうか。
(大臣)2倍というのはゴールではないので、あくまでも2030年に向けて2倍いかなければいけないよと、そういう思いを私は述べています。これから2030年以降、今までかなり精緻な今後のトレンドを見ていますけど、2030年よりも後に再エネはぐっと入ってきます。洋上風力などはかなり出てきますので。そして環境省が加速化したいと言っている地熱、これも地熱って大体リードタイムというのは10年前後かかりますので、2030年に間に合わない案件もあるんですね。ですから、その後を見据えれば間違いなく2倍にとどまらない再エネになりますし、そして2倍であろうと3倍であろうと4倍であろうと、とにかく作るだけつくって、余ったものを水素にする、これが一番合理的です。そういう社会に変えていくことが再エネ主力電源化でもあり、水素社会の実現だと。この認識を多くの方と共有して具体的なロードマップ作り、前に進んでいきたいですね。
(記者)あともう一つ、最近ツイッターを始められたと、うちの若い記者が見つけてざわついていますが、これについて気候変動担当として、よりPR活動に力を入れたいのか、どういう気持ちがあったのか聞かせていただけますか。
(大臣)英語版のアカウントで始めたんですが、これはやはり気候変動の世界は気候変動のコミュニティというのが国内外にあるんですね。特に、私はCOP25も経験していますから、そのときに築いた人脈、そしてこの世界の私のカウンターパート、そしてまた有識者、シンクタンク、この中でやはり一定の国際世論の形成などが図られています。そこに対して、日本からの発信をより効果的にやるためにはどういうツールがあるだろうかと考えたときに、ものすごく早く、ストレートに届けることができるツールが一つはツイッターだと。まさに昨日も総理の発表があってから、既にジョン・ケリー氏、シャルマ氏、エスピノーザ氏、その皆さんがツイッターで日本に対する評価を発信していただいている中で、それに対して反応するツールとしてもツイッターは活用できますね。そういった観点から英語でやらせていただいています。

(記者)日本テレビの川崎です。熱中症の件で聞かせてください。以前もお話があったかと思うんですけれども、ヒートショックも含めて高齢者の方が亡くなることが非常に多い状況があると思います。大臣は前も、これは絶対防がなきゃいけないと言われたと思うのですが、改めて高齢者に向けてのメッセージをお願いしたいです。
(大臣)まず9割問題と言われる、熱中症で亡くなっている方の中で9割の方が高齢者、9割の方が室内、9割の方がエアコンを使っていなかった、こういったことの解決のために高齢者の中でも特に課題となっている一つが、やはりお独りでお住まいの高齢者の方に対してどのように情報を届け、そしてまた対策を実行していくか。その観点からは、今回、孤独・孤立担当の坂本大臣の部局との連携も非常に重要だと思います。そういった連携を深めて、今年1人でも多く亡くなる方を減らして、今1,000人以上熱中症で亡くなってしまっている、本当に熱中症という災害ですよ。今年の夏も、今のところの予測だと暑い夏になるかもしれないと言われている中で、何とか1,000人を切って、最終的には熱中症による死者数ゼロ、これを実現をするために関係の省庁、部局と連携を深めたいと思っています。

(記者)NHKの吉田です。私からも熱中症対策の件で1件だけ質問したいことがありまして、東京オリンピックに向けた対応なんですけれども、熱中症でもオリンピックがどうなるかによって、この夏の対策の仕方や考え方が変わると思うんですけれども。屋内は観客の制限がどうなるかもまだ見通せない状況かと思うんですが、観客がどうなるかも含めて、オリンピックでの熱中症対策について今どのようにお考えでしょうか。
(大臣)オリンピックの担当部局も含めて熱中症はあらゆる省庁も入っていますので、一緒に対策を進めていきたいと思います。ただ、観客があるかないかを問わず、熱中症対策は基本的に大事なことの一つが、喉が渇いたという感覚を持つ前から水分補給を的確にしていただくことです。そのことをやっているかやっていないかで全然違いますので。例えばマイボトルの普及なんかも、環境省はできる限りプラスチックを減らすという観点からもやっていますが、健康にとっても熱中症対策にとっても効果はありますので、そこも広げていきたいと思います。副大臣の方から何かありますか。
(堀内副大臣)オリンピックで訪れた方々が熱中症になられて、そして救急搬送されるような事態にならないようにしっかりと防いでいくために、やはり先ほど大臣がおっしゃられたような水分補給、または熱中症警戒アラートをしっかりと外国の方にも見ていただくような、そういった工夫も必要だと思っています。

(記者)エネルギーと環境の大村です。先ほど46%の積み上げの話が出ましたけれども、その積み上げの内容はどのようなタイミングで、どのような形で、国民に、あるいはマスコミに知らせていただけるんでしょうか。
(大臣)まず先日も申し上げていますが、温対計画の見直し、そしてエネルギー基本計画の見直し、長期戦略の見直し、この三つを我々は同時に完了させるような考え方で今、関係省庁とも作業を進めています。そういった中で実際に46%をこのように進めていきますよ、こういった裏付けとなるようなロードマップ、これは環境省は今、官邸の中で国・地方脱炭素実現会議という会議もあります。そこで地方の脱炭素のロードマップも作っていきます。そんな一つ一つを積み上げて、国民の皆さんにこのようにともに46%削減に向けて頑張りましょうと。そしてまた、総理が昨日もサミットでも言っていましたとおり、ここの脱炭素の取組、不可欠なのは政府以外のプレーヤーの皆さんにも前向きに取り組んでいただくためには、やはり政府が明確な意思と覚悟を示して民間の投資、そしてESG金融、こういったものが動いてくるという呼び水となるような刺激策、これが不可欠だと思います。総理は昨日、その刺激策という言葉を使われていましたが、こういったことも含めてですね、政府を挙げて全力で前に進めていって、多くの国民の皆さんとともに進めていければと思います。
会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/aOJt-OhVwRM

(以上)