大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年4月9日(金)8:50~9:09 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

閣議案件はありませんし、冒頭、私からは特段ありませんので、幹事社の方から、御質問あれば、どうぞ。

2.質疑応答

(記者)時事通信の武司です。菅首相が先日、福島第1原発から出る処理水について全漁連会長と意見交換をした上で、近日中に判断したいと述べられました。会長は海洋放出に絶対反対と話されています。小泉大臣はこれまで福島の復興に強い思いを持って取り組んできたかと思うんですけれども、処理水の海洋放出は必要なことだとお考えになるでしょうか。
(大臣)処理水の処分方法は正式に決定している段階ではありませんが、どのような方法にするにしても、この方法の決定を先送りをし続けることで復興の足かせになってはいけない、そう思っています。特にこの処理水のタンクが置かれている福島第1原発の立地自治体である大熊町、双葉町。そのタンクが置かれている福島第1原発の立地の町長の思い、発言、これをよく見てほしいと思います。この先送りが、戻りたいという方の帰還への影響、そして仮にこの前のように地震があったときのリスク、そういったことを考えたときに、大熊の吉田町長、双葉の伊澤町長、前々から先送りは復興の足かせだという、こういう思いをされています。そういった思いをしっかりと受け止めながら政府としての責任を果たしていく。環境省はモニタリングの調整会議の議長もやっています。まだ正式に決定はされていませんが、仮に一定の結論、決定などがあれば、環境省として福島の復興のためにその責務を果たしていきたいと考えています。

(記者)電氣新聞の匂坂と申します。再生可能エネルギーの2030年までの大量導入に向けてですね、環境省としていかに貢献していくかということについてお伺いしたいと思います。今週7日に経済産業省の小委員会で、2030年のエネルギーミックスを見据えて再生可能エネルギーをいくら上積み、導入できるかという具体的な数字の議論に着手しました。環境省の手掛けている風力アセスの見直しによって、風力が約200万キロワット上積みできるといった試算というか、分析もされていましたけれども、もっと、環境省は他にもいろいろな取組、政策を打ち込もうとしていますけれども、30年に向けてですね、どんな政策を、30年に向けての、数字として効いてくる、一番効く政策は何か、お伺いできればなと思います。
(大臣)やはりリードタイムの少ない太陽光でしょうね。環境省としては、今、匂坂さんのおっしゃったような風力、こういったことについてもできることをやります。アセスのことも今触れましたけど。そして地熱、この地熱は環境省が止めているというような誤解がありますけど、国定公園・国立公園があるからと。しかし、今実際に国立公園・国定公園の中で地熱の案件は数十あります。こういったことも環境省はできるところを前に進めていきたいというふうに思っています。ただ、この風力、地熱ともに言えることは一定のリードタイムがあるということです。ですので、2030年というふうに年限を見たときに、やはり間に合うものと間に合わないものということを考えると、リードタイムの少ない、短い太陽光をいかに導入できるか、これに尽きますね。私はこの前、瀬戸法の視察で兵庫県、そして香川県に行ったときに、行政の首長さん、知事たちにも言ったのは、兵庫県、香川県ってため池の数は日本で有数なんです。兵庫県は日本一です。私も車の中から多くのため池を見ました。使えるなと、思いながら見ましたね。いわば未利用地がその水面ですから。そして、昨日は参議院で国会の瀬戸法に対する審議もあって、そういったところでも他の国会議員さんにも、中には兵庫県選出の議員さんにもその話をしたところ、水面に浮かぶ太陽光というタイプがあることを意外に知られていないんだなということがよく分かりました。なので、改めてそういったところも余地がある、ポテンシャルがあるんだと、そういったことを多くの方に知ってもらいたいし、それが実際に進むように環境省としてもできることをやっていきたいと思います。
 今後、都市の在り方も、今までは都市は地方から大量に電力を送ってもらって、エネルギーの消費地としての都市でしたけど、その在り方を変えなければいけないと思っています。エネルギーを自ら生み出していくという都市に変わらなければ、私はカーボンニュートラルは実現できないと思うので、こういった東京のような大都市においても使える屋根は使う。この屋根置きをいかに増やしていけるか、そういったことについても環境省はできることを徹底的にやっていきたいと。そして、倍増というふうにずっと言っている中で、その数値に近づけていける努力を環境省自身も覚悟を決めてやらなければいけないと思っています。

(記者)読売新聞の山下です。2030年のですね、温室効果ガス削減目標についてお伺いしたいと思うんですけれども、複数報道がある中で、40%台調整であったり、45%といった、具体的な数字についても報道が出てきているわけなんですけれども、改めてその削減目標の数字と公表のタイミング、大臣は一番ベストなタイミングを探りたいということを、これまでおっしゃっていたわけなんですけれども、改めて公表の時期に関しても考えをお伺いできればと思います。
(大臣)これは以前の国会でも、今週、毎日国会に呼ばれていますので、そこで申し上げているとおりです。総理からできるだけ早くという言葉がありましたので、調整する立場としてできるだけ早く、この総理の指示の下に調整をしています。それ以上のことはありません。

(記者)産経新聞の奥原です。今の読売さんの質問に関連して、数値目標についてはどうお考えなのかということと、匂坂さんの質問に関連して、2030年に向けてリードタイムが少ない太陽光の導入を検討される、進めたいというお話でしたが、国立公園の地熱の活用なども、これもできる限り、最大限行っていくお考えなのか、その2点をお伺いします。
(大臣)後半の地熱についてはそのとおりです。国立公園の中、国定公園の中、今も、具体的な数字は、さっき数十と私言いましたけど、後で幾つかという案件の数はお知らせしたいと思います。そういったことを、前に進められる地域の合意形成が必要ですけど、今までなかなか環境省として、多くの方からは、環境省がそこは国立公園だから、というところで進めないんじゃないかと、こういった思いを、イメージを払拭するような環境省自身の取組が不可欠だと私は考えています。できることを覚悟を持ってやらなければカーボンニュートラルは実現できませんから、そういったことも進めていきたいと思います。そして、1点目は、数字、NDCの数字の話でした。先ほど申し上げたとおりで、調整中だと。それ以上のことは今ありません。

(記者)環境新聞の小峰でございます。COP15についてお伺いします。中国雲南省で年内にCOP15、生物多様性条約第15回締約国会合が開かれますが、小泉大臣はCOP15のホスト国として今の中国はふさわしい国だとお思いですか。というのは、中国はウイグル人へのジェノサイド的行為やモンゴル族への民族弾圧、チベット族においては、いわんやをやです。人種、民族、人権の弾圧をし続けております。生物多様性条約というのは、人種、民族、人権の多様性がそもそも背景になっているのではないでしょうか。更にお聞きしますが、小泉大臣が仮にふさわしい国ではないとお思いでしたら、EUや日米豪印のQUAD(クワッド)に、中国の弾圧が停止されるまで今年のCOP15の延期をですね、働き掛ける気持ちをお思いでしょうか。以上です。
(大臣)お久しぶりです。小峰さんが記者会見をボイコットしているんじゃないかと、心配をしていたので、今日はお見えいただいてうれしいです。お元気で何よりです。今、小峰さんから御質問があった件ですけれども、人権は国際社会の普遍的な価値でありますし、自由、そして基本的人権の尊重、法の支配、こういったことはまさに世界全体で共有すべき共通の価値であるべきだというふうに思っています。そういった意味から、日本がアメリカ、そしてオーストラリア、インド、こういった基本的な価値を共有する国々と協調した形で、中国に対してもその基本的な価値を、どこの地域であっても尊重されるように働き掛けていく、これは不可欠なことだと思います。

(記者)NHKの吉田です。話は変わるのですが、今週4月6日にですね、循環型社会部会が開かれまして、その中で2050年カーボンニュートラルに向けた廃棄物分野の脱炭素対策についてという議題がありまして、廃棄物の分野でもカーボンニュートラルに向けた検討が部会の中で始まったという段階に来ているんですけれども、2050年のカーボンニュートラルに向けて、今後、中長期的なシナリオも示されていくという説明が事務方からあったんですが、このシナリオについて改めてどういうものなのか、また大臣の方で何かこれによって期待しているものですとか、あればお願いします。
(大臣)廃棄物分野に限らず、あらゆる分野で、これから2050年に向けたロードマップ的なものがないと進まないですよね、削減が。特に廃棄物で言うと、これは最近国会でも問われて何度も言っていますが、一部の自治体などではプラスチックを回収・リサイクルするよりも燃やした方がいいんじゃないか、こういうふうに思っているところが結構あります。ただ、データを見ると、それはCO2削減からすれば全く違って、回収・リサイクルをする方が燃やすよりもCO2削減効果は3倍あります。ですので、こういったことも一つ一つしっかりと共有をさせていく。また、今プラスチックの法案を出していますけど、この基本的な考え方の中にあるのは、まずはごみを出さないことが前提の社会になっていくのが経済社会が変わる循環型経済、サーキュラーエコノミーの世界ですから、廃棄物分野でこれから、今、検討してもらっているところというのは、まさに全体として今回のプラスチック法案を落とし込んでいく先にあるのがこの廃棄物という、全体についても大きく変えていく先駆けになるのがこの法案ですので、そういった中で一つ一つ具体的な積み上げと政策を打ち込んでいくと、そういったことです。

(記者)エネルギージャーナルの清水です。冒頭の質問があった、福島第1原発の処理済み汚染水処理についてお伺いします。これをタンクから放水するということは、言わば発電所から構外に、構外というか、公共用水域に出るということですから、環境省がこの汚染水対策のあるべきスキームを用意するのか、それとも原子力規制委員会の方に一義的には行くのか、この辺のお考えをまず1つお伺いします。環境省として対応するということになると、2つ目に伺いますが、後でお伺いしますが、モニタリングの会議を主催しているということからいくと、やっぱり、監視体制、そしてそこに第三者、例えば地元の漁民の人とか地元の長を入れるとか、そういう安心感をつくるということも大きな大事な役割だと思うんですけれども、その辺はいかがですか。
(大臣)まず、清水さん、お分かりいただいていると思うんですけど、汚染水ではなくて処理水です。この処理水については、今、清水さん言っていただいたように私がモニタリング調整会議の議長をしていて、その調整会議で作っているのが政府の総合モニタリング計画です。そして、環境省として今、環境省の設置法を根拠として福島県の沿岸の海域のセシウム134、そしてセシウム137などのモニタリングを担当しています。ALPS処理水の処分方法については、今、仮に海洋放出だったらということで御質問をいただきましたけど、モニタリングについては環境省も政府の一員として関係省庁と連携をして必要なことをやっていくと。その中で環境省としての貢献として、これは政府全体で取り組むことですが、どのような放出の決定をしたとしても、風評という課題は出ると思います。その風評という課題に対しては、環境省でできることは全力でやるとともに、政府全体の取組として国内外に対する発信も含めてやっていかなければいけないので、そこはどのような放出の在り方であったとしても、環境省としてできることを全力でやります。
(記者)法律的な適用については、あるいは原子力規制委員会が一義的に行くのか、環境省が持っている法律、水質汚濁防止法とか、そういうもので行くのか、細かいことで恐縮ですが、その辺の考え方はどうですか。
(大臣)まず、最終的な決定をしていない段階ですから、具体的に放出の在り方が決定された暁に具体的な話はすべきだと思います。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/a5Tidf-lj6o

(以上)