大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年4月2日(金)8:40~ 8:55 於:衆・分館2階ロビー)

1.発言要旨

今日は環境省関連の閣議案件はありませんが、1点私から、今週結構、気候変動関係の動きも国内外ありましたので、ちょっと報告をしたいと思います。まず、今まで国際対応については、今年は三つ鍵があると。一つ目が二つのCOPの成功、二つ目がアメリカとの連携、三つ目がインド太平洋地域の移行支援、この三つが重要だという話をしてきました。まず、今週動きがあった一つは、一つ目のCOPに向けた成功の鍵でもある中国、これは特にCOP15、この生物多様性COP、主催は中国ですから、これについて今週の火曜日に、中国の生態環境部の黄部長と会談をしまして、中国の野心の向上についても、改めてこちらから、これは、野心の向上というのは気候変動関連でもありますが、私の方からも要請をしました。そして、5月のG7環境大臣会合、そして6月のG7の首脳会合、こちらに向けて、まずは4月22日、23日のアメリカ主催の気候サミットで世界各国の取組、行動の向上に貢献していきたいというふうに思います。そして、東南アジアを含めてインド太平洋の移行支援でありますが、昨年夏に脱炭素のパッケージ支援を合意したベトナム、そして1月に環境ウィークを行ったインドネシアなどの各国に対して、日本の環境技術の展開を支援していきますし、今後はタイと政策対話で環境協力を加速させていきます。また、先月は脱炭素都市国際フォーラムも開催をしました。その中で15カ国、28以上の都市が参加をして、1,800人以上の方々に御参加、御視聴いただいて、その場で東京都とマレーシアのクアラルンプールで2050年カーボンニュートラルの宣言につながった、まさに脱炭素ドミノが日本から海外へと広がっていったということも世界中に認知が広がったと思います。廃棄物の分野ではインドネシア、マレーシア、フィリピンなどに対して、制度づくりの支援や技術協力を実施して、国レベル、自治体レベル双方のこの枠組みを活用して、日本の技術展開を強化したいと思います。最後になりますけど、アメリカとの連携であります。アメリカはパリ協定に復帰して、世界的にもこのダイナミズムが大きく変わってきたと思っています。そして、私もケリー特使、そしてマッカーシー大統領補佐官と会談を重ねてきましたが、きょうの朝は新たに着任をした環境保護庁の長官、リーガン長官と、初めてのバイ会談を行いました。気候変動から海洋プラスチックごみ問題まで、さまざまな環境問題に関して、緊密な連携を図っていくことで一致しました。私としては今後も協力を深めるべく、リーガン長官とも対話を継続していきたいと考えています。今年は、このように重要な1年でもあります。今週、国内では気候変動の有識者会議もキックオフをしましたし、日米首脳会談、気候サミットも迫っていますので、とうとう今月ですから、新年度になり、新たにこの年度を気候変動政策の国内における前進の年に加えて、国際社会の野心の向上に日本が貢献をしていきたいというふうに思います。冒頭、私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)時事通信の武司です。気候変動の有識者会議についてお伺いします。国際会議を見据えていろいろな意見があったと思うんですけれども、大臣が特に重要だと思われた意見や論点はどういったところにありますでしょうか。
(大臣)有識者会議では、ある有識者の方から、改めて京都議定書とパリ協定の性格の違い、これについての言及があり、やはりパリ協定の下には、国が高い目標を示して、その高い目標に向けて企業や民間の投資、こういったものを最大限引き出していくという、こういったアプローチが非常に重要だということが確認をされたのではないかと思います。改めて国の野心的な目標、そういったものが非常に重要だということがその場でも共有されたのではないでしょうか。

(記者)NHKの吉田です。今朝のリーガン長官との会談なんですけれども、その中で、特に国境炭素調整措置について何か意見交換ですとか、お話に上がったりとか、そういうことはなかったでしょうか。
(大臣)今日は、それについてはなかったですね。

(記者)共同通信の水内です。気候変動の有識者会議で出た有識者の意見、単に積み上げだけではないという趣旨だと思うんですけれども。従来はエネルギー基本計画がまとまって、2030年の削減目標を設定するということを想定していたと思うんですけれども、その順番が変わる、先に削減目標を設定して、それに整合的なエネルギー基本計画を策定するということもあり得るということでしょうか。
(大臣)私は去年の10月以降、変わったと思っています。総理が2050年のカーボンニュートラルを宣言したのは、まさに今までのできることしか言わない日本からの脱却で、積み上げて、それでできることだけしか言わないのではなくて、国が高い目標を示して、そこまで一緒に引っ張っていくんだと、こういうアプローチを総理は取られて、それは大きな日本の中での国際社会と向き合う上で、私は必要不可欠な転換だったと思っています。この2030年目標についても、単純な積み上げだけではない、これこそまさに有識者の中からも出た声でありますし、それが京都議定書とパリ協定の違いの一つでもあると。そのことをしっかり踏まえた上で、2050年カーボンニュートラルと整合的な2030年目標を、政府全体として出していく努力をしていきたいと思います。

(記者)毎日新聞の鈴木です。関連なんですけれども、単純な積み上げだけではないということなんですけれども、数字だけ高い目標を掲げればいいのかという問題もあると思うんですけれども、そこはどういう御認識でしょうか。
(大臣)低くすれば野心が低いと言われ、高くすればどうやってやるんだと、そういった声は間違いなく出ると思いますが、今、国際社会がこの2030年までが勝負だと。そういう中で、野心的な目標を掲げることで、いかに2050年の達成を導くような国と民間を合わせた取組を促していくのか、そういった要素も非常に大事だと思っています。  
 そして、日本は言ったらやる国です。まさに2050年カーボンニュートラルは、あの宣言をする前は、結構産業界も含めて否定的な声もありました。しかし、宣言をしたらどうですか。皆さん英断だと。そして毎日、再エネの投資、脱炭素の投資、ニュースにならない日はありませんよね。ですから、私は日本は必ず目的を、目標を定めたら、そこに向かって前向きな動きが一致団結して出てくる国だと思いますし、地方自治体は既に政府よりも前向きな取組をやっていますから、私は必ず行動はついてくると思っています。
(記者)菅総理も含めて、アメリカと気候変動対策をけん引していくという言い方をされるからには、今後アメリカは削減目標を発表すると思うんですけれども、それと肩を並べるような数字を出すという意欲なんでしょうか。
(大臣)私、まず前提としてすごく大事だと思っていることは、日本とアメリカの違うところの一つが、日本はパリ協定を抜けていないところです。日本は必ずその中で努力を積み上げています。そして、もう一つ日本とアメリカの違いは、党派間の対立がないということです。この党派間の対立なく、パリ協定の下に努力を積み上げてきたというのは、私は日本は胸を張っていいと思います。今、例えばこのアメリカの長期的なコミットメントというものを、これからしっかり国際社会が信頼できるというふうにならなければ、私は世界全体の国際協調というのは成し遂げられないと思います。ですから、日本とアメリカが向き合うときに、私は日本側として大事なことだと思っているのは、日本がこれをやりますと言うだけではなくて、日本が今回、国会で温対法の改正で2050年カーボンニュートラルを法律に明記するように、アメリカからも継続的、長期的なコミットメントをしっかりと表明してもらう、そういったことは非常に日本としてもやるべきことだと思っています。

(記者)産経新聞の奥原です。関連して、日本は長期的な信頼関係を得ているわけだから、短期的にアメリカの2030年目標と伍するようなレベルのものを日本が打ち出さなくても、脱炭素社会の実現に向けた、日本の国際社会の信頼はあるというようなお考えでしょうか。
(大臣)野心の高い目標は大事です。ただ、単純な数字の横並び、その比較だけをするべきではないと。特にアメリカが今まで4年間、前政権の下でパリ協定の脱退もありましたし、これから長期的なコミットメントというのは、世界的にもどこまでその長期的なコミットメントがアメリカからも発信されるのかというのは関心事です。恐らく昨日の長期的な投資、例えば8年間でこれぐらい出しますと、そういった目標がありましたよね。ああいったことについても、私はアメリカの長期的なコミットメントを示すという一つのメッセージではないかというふうに思っています。いずれにしても、日本として野心的な目標は大事にしつつ、日本として今まで積み上げてきたこと、そしてまたこれから取り組んでいくこと、こういったことを併せて、日本の政策の誠実さ、本気度、これを示していくことが大事だと思っています。

(記者)朝日新聞の川田です。先ほど中国に気候変動関係で要請されたということなんですが、内容はとしてはどういったことでしょうか。
(大臣)これも今の話と関連しますけど、世界第1位の排出国は中国です。その観点からすれば、アメリカの長期的なコミットメントが世界からも求められているように、中国の意欲的な政策、今、2060年が中国のカーボンニュートラルのゴールですけど、ピークアウトは2030年までですよね。しかし、それで世界共通の目標が達成できると思っている人は誰もいません。そういった思いをしっかりと伝えていきます。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/T2yhgVNNKI4 

(以上)