大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年3月2日(火)8:38~8:51於:本会議場正玄関側)

1.発言要旨

 今日、閣議案件、環境省は2件あります。一つが温対法の改正法案、そして二つ目が自然公園法の改正法案について閣議決定がされました。まず、ここまで運んできた職員の皆さんにも心からお疲れさまと。ここからですけど、閣議決定を無事迎えることができてよかったと思います。今日はその二つのポイントに加えまして、今日午後にカーボンプライシングの小委員会2回目が開催されますので、そのことに一言触れたいと思います。
 温対法の改正について、ポイントは、やはり総理のカーボンニュートラルの2050年の宣言を宣言に終わらせず、法的根拠を持ってこれから国際社会に対しても訴えることができるし、日本の政策の継続性、投資の予見性、こういったものを高めるという非常に象徴的な効果もありますし、法律の中に年限をしっかりと書き込む、これは異例なことでもありますので、こういったことも職員の皆さんと一緒にここまで練り上げることができて、無事に法制局の理解も得て、来ることができてよかったです。条文の中に、この基本理念で、関係者の皆さんと一緒になってこれを進めるんだという中で、特に私は国民の皆さんを関係者の先頭に位置付けた、このことは私としては特に思いを持っています。これは質疑の中でもしっかりと説明をしていきたいと思いますが、国民一丸となってこのカーボンニュートラルへの道を歩んでいく法的な基盤とすべく、成立に向けて全力で汗をかきたいと思います。併せて、再生可能エネルギーを促進するための、市町村が認定する再エネの促進区域のようなものを位置付けますので、こういったものを契機に再エネを規制するような条例が増えていくことなく、再エネを促進する条例、もしくは区域、これが上回っていく、伸びていく、そんな逆回転を起こしていきたいというふうに思います。そして、企業が今頑張っています。もう毎日、新聞を見ても、あらゆる企業が排出抑制の取組をやっています。そういった企業が報われるように企業の算定・報告・公表制度、これをデータ化を進めて、デジタル化を進めて、今までだったら情報開示請求がなければ開示をしなかった。それをオープンデータ化をして、開示請求なしでデータをオープンにしていきます。このことによって期待される効果というのは、今、ESG投資が非常に伸びています。こういった企業の取組が評価される環境をつくっていきたい、こういったことも考えています。
 自然公園法につきましては、これは特に今まで国立公園というのは保護一辺倒という意識が強い方もいたと思いますが、これからさらに利活用、この保護と利活用の両輪、両立をしていくと。特にソフト面の強化、そしてハード面。ハード面は、例えば私は廃屋の撤去という話も随分記者会見でもしてきましたが、この廃屋の撤去などもより進められるようにして、国立公園の魅力を更に高めていきたいと思います。そして、一方で保護も大事なので、クマの餌付けに対する厳罰化とか、また違法伐採、そして無断で太陽光パネルを敷いてしまうとか、そういったことに対する厳罰化、こういったことも強化をして、保護と利活用両面で強化をする法律になっています。こういった法律、2本、今回閣議決定になりましたが、この国会、改めて重要性が増していると思いますので、しっかりと取り組んでまいります。
 最後に、カーボンプライシングでありますが、今日は2回目となります。炭素税、そして、クレジット取引を議題として御議論いただきます。さらに、(前回の小委員会において、経団連・電事連の委員の方から、)日本商工会議所の方にもぜひ参加をしていただきたいと、そんなお話もありましたので、今回から日本商工会議所の委員の方にも新たに加わっていただいて、きめ細かい意見交換をしていきたいと、そんなふうに考えています。経産省においても昨日、第2回のカーボンプライシングの会がありましたが、梶山大臣、経産省一緒になってこれからも連携を前に進めていきたいと思いますし、先日の経済財政諮問会議で民間の委員の皆さんから、カーボンプライシングについては結論を得るために検討を加速せよと、早期に結論を得るべしと、こういった後押しもいただいていますから、まさに政府一丸となって前進をさせていければと、そう思っています。冒頭、私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)朝日新聞の戸田です。再エネの拡大について、今、風力発電の見直しも進めていて、河野大臣から年度内にという話もありましたけれども、方向性や、今のところどんな感じなのか教えていただけますか。
(大臣)結論から言えば、今おっしゃったように年度内に環境省としての方向性を出したいと。年度内といってももう3月ですから、今月ですね、今月にしっかり出したいと思います。
(記者)どんな感じの方向性でしょうか。
(大臣)今、最終調整ですけど、もちろん河野大臣の方の再エネタスクフォースで関係者の皆さんから言われている意見もありますし、それを踏まえた上で環境省として自然保護と再エネ促進とどのように両立をさせるか、かなりいろいろ、何度も議論をやっています。ですので、今月出します。そのときにまた改めて説明したいと思います。

(記者)NHKの吉田です。福島の除染のことについて質問させてください。昨日の報道でも明らかになったのですが、大手ゼネコンの鹿島建設の幹部が富岡町で被災建物の解体工事を請け負っていたところ、下請け業者から多額の現金を受け取っていたことが税務調査で分かりまして、国税局で刑事告発も検討されているという報道がありました。この事件だけでなく、去年も下請けからゼネコンへの過剰接待が報じられたりですとか、更にさかのぼっては、下請け業者からゼネコン幹部への現金などのキックバック、あるいは宿泊費の不正受給といった事件もこの除染事業の中では散見されていたかと思います。こうした除染事業の中で企業による不正が相次いでいることについて、大臣の受け止めと、再発防止策はどうなっているのかお願いします。
(大臣)まず、復興事業に対する国民の信頼を揺るがす、そして疑念を抱かれるというのは、復興に対する地域の皆さんの思いも、そしてまた、国民全体の前向きな後押しも、くじくことになると思うので、こういったことが二度と起きないようにしっかりと我々としても対応しなければならないと思っています。今までも必要な体制構築を行ってきましたが、契約違反や法令違反などの不適正な行為を行った事業者に対しては、指名停止を行うなど厳正に対処することとしています。これに加えて、今年1月には指名停止等措置要領の運用基準を改正しまして、受注者と下請けとの間で社会通念上相当と認められる程度を超えた行為が明らかとなった場合についても、新たに指名停止の対象としたところであります。不正事案、不適正事案は大変遺憾でありますが、引き続き適切な積算基準の設定や不適正な行為を行った事業者に対する厳正な対処によって、適正な業務執行を図っていきたいと思います。
(記者)業者さんへの取材をこれまで重ねてきたところなんですけれども、前例のない規模で広大な範囲を除染するという巨大な公共事業を環境省が進める中で、人員の限りですとかチェック体制には限界があって、そこの甘さではないですけれども、隙を突かれたのではないかと指摘をする方も取材の中でいらっしゃったのですけれども、チェック体制は今までどうだったとお考えなんでしょうか。
(大臣)まず、福島の原発事故があってから、新たに環境省に福島の除染、中間貯蔵、この大きな新たな仕事が託されました。こういった中で慣れない仕事もあったと思いますし、職員の皆さんも大変だったと思います。しかし、それは言い訳にはなりませんので、しっかりと与えられた仕事を適正に遂行する、この必要性、そして、それは体制の言い訳は全く通用しませんから、しっかりとやっていきたいと思います。ただ一方で、体制を、私は環境省全体として抱えている重大な責任は非常に大きいと思いますので、この組織がより大きな仕事を適正に果たせるように、政府の中でも環境省としての体制強化や組織力の向上に、政府全体の理解が得られるように引き続き働き掛けていきたいと思います。

(記者)産経新聞の奥原です。カーボンプライシングについてお伺いします。脱炭素に向けて行動変容を促すカーボンプライシングの導入に向けて、大臣としては何が一番ハードルという面で鍵になるとお考えなのかということと、あと3.11に絡んでの質問なんですけれども、3.11の際には多大な支援をいただきました台湾で、中国の圧力とも取れるようなパイナップルの輸入停止が始まりましたけれども、それに対する受け止めを教えていただければと思います。
(大臣)カーボンプライシングの実現に向けては、まずは、やはり経産省を含めて政府内でいかに頭を合わせていけるか、これは非常に大切なことだと思います。ただ、それに対しては総理から、両省連携して前に進めるようにという指示がありますので、これは今までとは違う前向きな次元に突入をしたなというふうに思っています。一方でもう一つの課題は、やはり直接関係の大きい業界、産業界、こういった方の理解をどう得るか。これについては、私はまだまだ世の中やメディアの皆さんの報道を見ていても、より丁寧な我々の発信も必要だなと。例えば、よく直接的に影響の大きい業界という声が報じられますけど、海外でカーボンプライシング、この事例を見ていると、直接的にかなり影響のある業界に対しては、もともと実質的な負担がないような措置をやっていたり、様々制度の詳細設計の中できめ細かい対応をやっています。我々が今考えていることも、きめ細かく対応しなければいけない、そういったことはもちろん念頭に置きながらやっていますので、正確な理解が伝わるように、そして合意形成につながるように我々としては汗をかいていきたいと思います。総理としてもそういった関係者の皆さんとお会いをしていますから、私はそんなメッセージを総理も持っているんではないかなというふうに思います。二つ目の点については、台湾は本当に東日本大震災に限らず、日本に災害があるたびに温かい言葉をいただいています。私も被災地の復興に対する協力に感謝をして、青年局時代に台湾に行って、台湾プロ野球で始球式をやらせていただいた、非常に特別な縁を感じる台湾でありますが、食品に関して言いますと、福島の食品を台湾はまだ規制をしていますよね。私は、ぜひこの福島に対する食品の非科学的なものに基づく対応というのをすぐに外していただきたいと思います。これは台湾に限らず、幾つもの国でまだ福島の食品に対する、福島だけではありませんが、日本の食品に対する風評被害ですよね、これは科学的に判断していただきたいと思います。そのためにしっかりと汗をかきたいと思います。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/W-N5zbJ41Ko

(以上)