大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年2月26日(金)8:41~8:53於:衆議院分館2階ロビー)

1.発言要旨

 今日の閣議関係は瀬戸内海環境保全特措法、この法律を改正する法律案の閣議決定がなされました。これは3点ポイントがありまして、まず、今までは水質の規制というところから水質の管理という、こういったところに水行政の在り方を転換する非常に意義のある法律になると思います。加えて、この気候変動の影響で海水温が上がっているということが、この瀬戸内海の環境の変化に大きな影響を与えていますので、初めて気候変動というものを基本理念の中に位置付けて、そういった要素があるということをしっかり明確にしたこと、そして栄養塩類管理制度の創設ということで、今まで一律にエリア全体で見ていたものを、海域ごとにしっかり見ていって、地域の皆さんの理解も得ながら、この地域の産業や地域の環境、こういったものの前向きな転換につなげていきたいというふうに思います。そして海洋プラスチックごみ、併せてブルーカーボン、こういう海の問題というのに対しても、前向きな転換をできるように法律の中にも位置付けています。特に海洋プラスチックごみについては、ペットボトルに焦点を当ててみると、海洋に出ているごみの9割が瀬戸内海は国内のペットボトルだという、極めて他の地域とは違う状況がありますので、今回、瀬戸内海で国内のもの9割ですから、対策を講じれば劇的に状況が改善する可能性もあります。こういったことにもしっかり取り組んでいくこと。そして、これからCOの吸収源として山の方は森、海の方は藻場、ブルーカーボン、こういったことも可能性がありますから、こういったことも応援をするための自然海浜保全地区の対象として追加を広げていくと、こういったことも考えています。いずれにしても、閣議決定されましたから、今後は国会で成立するようにしっかりと努力をしていきたいと思います。
 あとは、今日は2点短く触れたいと思います。1点は、先日、福島県沖の地震がありました。この被災をされた方、改めてお見舞いを申し上げたいと思います。そういった中で、今回環境省として東日本大震災の被災地、そして、一昨年の令和元年東日本台風での被害、加えてコロナ禍での被災といった事情を踏まえて、家屋の解体については全壊家屋に加えて、特例的に半壊家屋の解体についても支援を行うことにいたしました。また、今回の地震で損壊した瓦やブロック塀などのがれきなどの災害廃棄物の処理を進めるとともに、被災した農業用ハウスなどの処理について農林水産省と環境省が連携した支援を実施することにしました。市民の皆さんが一日も早く元通りの生活が取り戻せるように、我々は一生懸命頑張っていきたいと思います。
 最後になりますけども、ゼロカーボンシティの1億人超え、これを改めて報告したいと思います。昨日静岡県、そして大阪、福島、こういった関係の自治体の皆さんが宣言をしていただいたことで、私が大臣に就任した当初、たった4自治体の2000万人規模のゼロカーボンシティが、とうとう1億人を昨日突破しました。改めて、呼び掛けに応じてくれた関係の自治体の皆さん、そして、私と一緒になって呼び掛けを続けてくれた環境省の職員の努力に心から感謝をしたいと思います。このゼロカーボンシティとともに、5年間が勝負だと。この5年のうちに、しっかりと脱炭素の先行エリアをつくって、こういった地域が報われるヒト・モノ・カネ、こういった支援を環境省としては、これからも創設に汗をかき、一緒になって日本の中の「脱炭素ドミノ」を展開していきたいと思います。
 最後に関係ない一言ですけど、最近いろんな脱炭素のニュースがある中でも、ちょっと今日はこういう動きも出てきたなと思ったのは、三菱商事の石炭火力のベトナムの案件からの撤退ですね。私は安倍政権の環境大臣として、石炭火力の政策の見直しを進めてきましたが、こういう動きがとうとう出てきたなと。今後もこういった脱炭素の世界的な動きというものが広がる中で、日本は揺るぎない脱炭素の意思がしっかりと国際社会に示されるように官民の動きをしっかりと注視しながら、官民連携を併せてやっていければと思います。私からは、冒頭以上です。

2.質疑応答

(記者)フジテレビの三上です。おとといの経済財政諮問会議で、民間議員からカーボンプライシングについて、環境省と経産省でそれぞれ検討されているが政府一体となって議論を進めるべきと提言が出ていますが、骨太方針への盛り込みも含めて、今後どのように政府一体となって議論を進めていくのかお願いします。また関連で、総理からカーボンニュートラルについて、政府全体で検討する場を設けることも考えていきたいとの発言がありました。新しい会議体なのか、全部の会議を一体とするのか、どういったものを想定しているのかお願いします。
(大臣)今そこは総理の方でお考えだと思いますが、いずれにしても、一つになってそれぞれが脱炭素の実現のために頑張っていく、そのベストな体制を構築するということだと思いますので、私としては今、環境省、経産省連携して、しっかりと総理と情報共有しながら、仮にそのような体制になったときに、しっかり頭を合わせて動いていければというふうに思っています。いずれにしても、民間議員の皆さんからカーボンプライシングについて早期に結論を得るべきだと、こういった後押しになるような発言もありました。こういったことと中西経団連会長の発言を聞いていれば、私は本当に経団連会長というよりも環境大臣の発言かと思うような、こういった発言でした。経産省、経団連、環境省、こんなに頭が合っている時代はないんじゃないでしょうか。その一つになってきた認識を、体制面でもこれから総理の方でお考えがあれば、その下で私もしっかりと汗をかきたいと思います。

(記者)産経新聞の奥原です。昨日の分科会で、串田委員から御指摘があったと思うのですけれども、バタリーケージ、日本では95%採用されている中、欧州では2012年から、アメリカでは2025年からバタリーケージ撤廃という動きがあります。各省間の連携、省庁の縦割りの打破というところもあると思うのですけれども、環境省で各種アニマルウェルフェアの指針を定めているということで、農林水産省側にこれからゆっくりと連携など是正を働き掛けるようなお考えと、バタリーケージが95%という状況に関しての見解を改めて伺えればと思います。
(大臣)昨日も答弁で申し上げましたけど、野上大臣との合意の中で、様々な連携が書いてあります。昨日のバタリーケージの案件を含めたアニマルウェルフェア、この観点からも、我々連携が深められればと思います。昨日串田先生からもありましたが、国際的な動きの中で、気付いたら日本の中では問題視されていなかったのに、世界的な動きの中で、日本のビジネスのチャンスが失われかねない、こういったことにつながってはいけません。コロナの後に、外国人観光客の方を含め、インバウンドが再開されたときに、日本のバタリーケージで産まれている卵だから私たちは食べたくないとか、こういった動きが拡大したときに、その経済的な影響を受けるのが、そのことを知らなかった日本の事業者だとすると、それは我々行政のサイドも国際的な動きをしっかりと共有していただきながら、その移行支援というものをどのように一緒になってできるか、環境省と農水省でできることがあれば、ぜひそれは考えてみたいと思います。

(記者)毎日新聞の鈴木です。梶山大臣と二人で、CPの議論について、総理に検討状況を報告したいという発言を以前されていたのですけれども、それについてどうなっているか教えていただけたらと思います。
(大臣)まず予算委員会を今、毎日やっていますから、こういったことが落ち着いたときに行こうと、そういう話をしています。

(記者)産経新聞の奥原です。何を報告されに行くのか、この前の経産省の研究会の中身についての報告なのか、今後、環境省、経産省として、どういう方向性で議論をまとめるかという話を報告するのか、何かもしあれば。
(大臣)まず、総理の立場では一つ一つ環境省の小委員会の中の議論と経産省の検討会の議論と、これはそこまでは見る時間がありませんから、我々からそれぞれこういった議論がされていますと、そういったことの報告をするのは、もちろん必要なことだと思います。その上で、総理は諮問会議にも出席をされていますから、民間議員の皆さんから早く結論を得るべきだと、こういったことが出ているのも総理はその場で聞いています。なので、両省からしっかりと両省での状況を報告した上で、どのようにしたら、その結論を前向きな成長戦略に資する形だということで合意を得られるのか、そういったことが議論できればなと、その材料になればと、そういった報告をしたいと思います。

(記者)読売新聞の山下です。CPの関連で、国境調整措置の関連で、世界がルールづくりに動いている中で、日本としてCPの議論の結論を出すこと、ルールづくりに参加する有資格者になれる権利を得るのは、まず国内でやるべきことをやってからだという御意見も専門家からはあるのですけれども、改めていつまでに、国内の議論を早くということもあるのですけれども、いつまでに出されたいのかということと、国際的なルールづくりが欧米で始まっていると思うのですけれども、そこにどう加わっていきたいか、というところをお願いいたします。
(大臣)まず、国境調整措置というものがまだ全体像すら見えていない。それとWTOとのルールの関係、こういったものは、まだこれから一気に議論が出ますから、そういった状況は状況で注視をしながら、国境調整措置がこれからどうなろうとも、私はカーボンプライシングが必要だと思っています。やはり脱炭素のためには産業構造が転換されることが必要で、それはエネルギー政策だけを変えるのではなくて、全体の新たなルールを設計する必要があって、このルールがまさに炭素の排出に価格が付けられる、そして意欲的に頑張っている企業が報われる形でそちらに行こうという形の経済の在り方を、歯車を回していく、これがカーボンプライシングの基本的な狙いですから。なので、私は国境調整措置の動きはしっかりと見ながら、ルールメイキングに日本は参加をする構えを持ちながら、しかし国内のもの、カーボンプライシング、これは国際的な状況がどうあろうと私は進めるべきものだと思っています。

(以上)